JPH08229385A - 難分解性有機塩素化合物の分解法と新規微生物 - Google Patents

難分解性有機塩素化合物の分解法と新規微生物

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JPH08229385A
JPH08229385A JP4220195A JP4220195A JPH08229385A JP H08229385 A JPH08229385 A JP H08229385A JP 4220195 A JP4220195 A JP 4220195A JP 4220195 A JP4220195 A JP 4220195A JP H08229385 A JPH08229385 A JP H08229385A
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JP
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decomposing
treatment
pcb
chlorine
organic chlorine
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Application number
JP4220195A
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English (en)
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Masanaga Nakagawa
正祥 中川
Takao Oana
孝夫 小穴
Minoru Shimura
稔 志村
Masao Fukuda
雅夫 福田
Kazuhide Kanehara
和秀 金原
Keiji Yano
圭司 矢野
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Railway Technical Research Institute
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有害物質を生成せずに有機塩素化合物を完全
に分解する。 【構成】 難分解性有機塩素化合物を有機溶媒に溶解し
波長が250nm以下のエネルギー線を照射して脱塩素
反応させる光化学処理の後、上記有機塩素化合物を少な
くとも一部分解できる微生物により、残存する有機塩素
化合物を分解する微生物処理を行う。 【効果】 常温、常圧下での反応であり、燃焼処理のよ
うな大量のエネルギーを必要としない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難分解性化合物の分解法
に関し、特に燃焼法に代わる有機塩素化合物の分解法に
関する。
【0002】
【従来の技術】化学的に合成された物質はさまざまであ
り、なかには難分解性の物質が含まれ、その処理法が確
立されていないものも数多い。それらの中には自然環境
を破壊する恐れがあるもの、人体への影響が心配される
ものが多く存在し、それらの安全な処理方法の確立が早
急の課題となっている。
【0003】難分解性化合物として代表的なものに有機
塩素化合物が挙げられる。従来より、種々の有機塩素化
合物が、農薬などに使用されており、土壌の汚染、農作
物の汚染など人体への影響が懸念されている。例えば、
殺虫剤としてDDTやその類似化合物であるディルドリ
ン、ヘキサクロロシクロヘキサンなどが知られている。
【0004】また有機塩素系溶剤として広く使用されて
いるのが、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレン
であり、ドライクリーニング工場で洗剤として、あるい
はマイクロチップ製造などでグリースの除去のために用
いられている。またクロロホルム、四塩化炭素、塩化メ
チレンなども工業的に用いられている。
【0005】上記有機塩素化合物は、一般に細菌類によ
り容易に分解されないので、環境内に長く残留するもの
が多い。そして、これらは難分解性で処理が困難である
だけでなく、燃焼すると一部に有毒な物質が生成すると
いう問題がある。例えば、有機塩素化合物を低温で燃や
すときわめて毒性の強いダイオキシンが大量に生成する
ことが知られている。したがって有機塩素化合物の処理
にあっては、厳しい汚染規制のもとで有害廃棄物専門の
高温燃焼炉での燃焼処理が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、有機塩
素化合物は、高温で焼却しなければ完全に分解しないた
めに、有機塩素化合物を燃焼処理する場合は、大がかり
な有害廃棄物専門の高温燃焼炉と冷却装置が必要であ
る。しかしながらこのような処理装置を建設するのは、
莫大な費用がかかり、かつ建設のための社会的同意を得
るのが困難である。さらに、有機塩素化合物の燃焼処理
にあっては、ダイオキシンなどの毒性の高い物質が生成
されていないかどうかのモニタリングを処理期間中継続
して行う必要がある。しかし、燃焼法は、燃焼後に生ず
る可能性のある物質の全てを予測できないという問題が
ある。すなわち、燃焼により未知の毒性化合物が生成す
る可能性がある。
【0007】したがって、燃焼法に代わる有機塩素化合
物の分解処理法の確立が望まれている。ここで、代替処
理法としては、目的とする有機塩素化合物を完全に分
解すること、処理中、処理後に生成する可能性のある
物質をすべて把握でき、それらの安全性を確認できるこ
とが望まれる。すなわち、特異性の高い分解反応によっ
て、目的とする有機塩素化合物を分解処理することが重
要である。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
なされたもので、有害物質を生成せずに有機塩素化合物
を完全に分解できる、有機塩素化合物の分解法の提供を
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の難分解性有機塩
素化合物の分解法は、難分解性有機塩素化合物に波長が
250nm以下のエネルギー線を照射して脱塩素反応さ
せる光化学処理の後、上記有機塩素化合物を少なくとも
一部分解できる微生物により残存する上記有機塩素化合
物を分解する微生物処理を行うことを特徴とする。上記
光化学処理において、上記難分解性有機塩素化合物が有
機溶媒中に溶解され紫外線が照射されることが好まし
い。上記有機塩素化合物としては、ポリ塩化ビフェニー
ルを用いることができる。
【0010】上記微生物は少なくとも塩素置換数3以下
の上記有機塩素化合物を分解できる性質を有することが
好ましい。上記微生物としては、シュードモナス・アル
カリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)TK102、
またはシュードモナス・スピーシィズ(Pseudomonas sp
ecies)KKS102が好ましく用いられる。
【0011】なお、シュードモナス・アルカリゲネスT
K102は本出願人により既に工業技術院生命工学工業
技術研究所に寄託されており、受託番号はFERM P
−14591である。
【0012】また、シュードモナス・スピーシィズKK
S102は既に工業技術院微生物工業技術研究所に寄託
されており、受託番号はFERM P−9354であ
る。
【0013】
【作用】一般に、光化学反応と微生物反応は特異性が高
く、反応産物が決まっていることから、難分解性物質処
理に適していると考えられる。
【0014】しかしながら、光化学処理または微生物処
理を、各々単独で、有機塩素化合物の分解に適用した場
合、完全に有機塩素化合物を分解することは困難であ
る。すなわち光化学処理では、有機塩素化合物の置換塩
素数を減らすことは可能であるが、完全に塩素を取りき
ることが難しく、また微生物処理では、有機塩素化合物
の分解活性の高い微生物であっても、置換塩素数が多い
有機塩素化合物を分解することができないという問題が
ある。
【0015】本発明に係る有機塩素化合物の分解法にお
いては、特異性の高い光化学反応と微生物反応を組み合
わせて、まず目的とする有機塩素化合物を、光化学処理
によって微生物が分解可能な置換塩素数まで脱塩素反応
させ、ついで有機塩素化合物の分解活性の高い微生物に
よって完全に分解する。ここで光化学処理では有機塩素
化合物から塩素が遊離するだけで、有害な物質の生成が
ない。上記塩素は塩酸として回収される。
【0016】微生物による有機塩素化合物分解は酵素反
応による特異的なものであり、その中間産物、最終産物
とともに明らかにされており、その安全性については問
題がない。ここで、上記微生物としては、置換塩素数3
以下の有機塩素化合物を分解できる能力を有するものを
用いることが好ましく、例えば母核となる有機化合物、
すなわち置換塩素数0の有機化合物を効率よく資化でき
る微生物の中から、置換塩素数の少ない有機塩素化合物
を分解できる微生物を選択して、用いることができる。
【0017】
【実施例】以下、ポリ塩化ビフェニール(以下、PCB
という)を例に、本発明の好適な実施例を詳しく説明す
る。
【0018】一般に、溶媒に溶解したPCBに紫外線、
X線、γ線などの光を照射すると、溶媒からラジカルが
生成し、これによって塩素原子と水素原子との置換が生
じ、PCBの置換塩素数を減少させることができる。こ
のときに生じる塩素の遊離には特徴があり、オルソ位に
置換している塩素がもっとも効率的に遊離し、他の位置
の塩素は遊離しにくい。
【0019】一方微生物によるビフェニールまたはPC
Bの分解経路は、図1に示すように、一方の芳香環の
2、3の位置の炭素が酸化され(図1B、C)、ついで
1と2の位置の炭素結合が切れて開裂する(図1D)。
微生物はオルソ位以外の位置に塩素置換のあるPCBコ
ンジェナーはよく分解するが、オルソ位に塩素が置換し
ているPCBはたとえ置換数が少なくても微生物の分解
を受けにくい。
【0020】そこでPCBを光化学的に前処理すること
によって、微生物によるPCB分解を補助することが可
能であると考え、光化学処理と微生物処理を組み合わせ
たところ、塩素数の多いPCBを完全に分解することを
見いだし、本発明を完成させた。
【0021】ここで、分解されるPCBとしては、塩素
の付加位置、付加数などの制限はなく、したがって、通
常の存在形態である混合体のまま分解に供する事ができ
る。
【0022】まずPCBを光化学処理するために、被分
解PCBを溶媒に溶解し、PCB溶液を作製する。この
ときの溶媒としては、メタノール、エタノール、アセト
ン、オクタン等が好適に使用される。また、60〜10
0%のメタノールまたはエタノールに、0.01〜2%
のNaOHまたはKOHを添加したものも好適に使用さ
れ、70%程度のメタノールまたはエタノールに、2%
程度のNaOHまたはKOHを添加したものが特に好適
に使用される。ここで、PCB溶液の濃度は10〜1
0,000ppm、好ましくは500〜1000ppm
とする。
【0023】次に、このPCB溶液を光化学処理に供す
る。光化学処理のためのエネルギー線としては、波長2
50nm以下のエネルギー線であればよく、紫外線、X
線、γ線などのエネルギー線を用いることができるが、
紫外線が実用性の点で最も好ましく用いられる。つぎに
上記PCB溶液を、好ましくは密閉可能で、使用する放
射線やエネルギー線を透過する容器に入れる。上記エネ
ルギー線として紫外線を用いた場合には、好ましくは石
英ガラスなどの透過容器内で1〜10mW/cm2、好
ましくは3〜6mW/cm2の照射量の紫外線を1〜1
00時間、好ましくは10〜24時間照射する。この光
化学処理によって、PCBは3塩素置換以下になり、か
つ全てのオルソ位の塩素が水素に置換される。
【0024】次に紫外線処理後のPCB溶液を取りだ
し、以下の微生物処理工程に供する。微生物処理工程に
用いられる微生物としては、ビフェニールおよびPCB
の分解能の高いシュードモナス属、ロドコッカス属、ア
ルカリジェネス属、バチラス属等の細菌、またはホワイ
トロットファンガス(White-rot fungus)に属するファ
ネロカエテ・クリソスポラム(Phanerochaete chrysosp
orlum)等のカビ、などの微生物を用いることができる
が、特にビフェニールおよびPCB分解活性の高いシュ
ードモナス属細菌が好ましく用いられ、例えば、シュー
ドモナス・アルカリゲネスTK102、シュードモナス
・スピーシィズKKS102が好ましく用いられる。
【0025】TK102およびKKS102の菌学的性
質を、細菌の一般的同定法(BERGEY'S MANUAL OF Syste
matic Bacteriology vol.1 (1984))における試験項目
に従って示せば以下の通りである。ここで、鞭毛の染色
は、Mayfieldら, Can. J. Microbiol 23, 1311 (1977)
に従って行い、またGC含量分析とキノンの分子種の同
定は、Katayama-Fujimuraら, J. Gen. Microbiol., 12
8, 1599 (1982)およびKatayama-Fujimuraら, Agric. Bi
ol. Chem., 48, 3169 (1984)に従って行った。
【0026】 TK102 KKS102 グラム染色 −(KOHテスト +) − 形態 桿菌 桿菌 胞子 − 運動性 観察されず + 鞭毛 極 コロニーの形態 薄いレモンイエロー やや半透明 円形、規則的、全縁、 光沢あり、平滑、 低い凸型(low convex) 48時間後 直径約0.5mm 37℃での生育 (+)(弱い) 41℃での生育 − 45℃での生育 − カタラーゼ + + オキシダーゼ + + グルコースOFテスト での発酵性(fermentative) − −
【0027】 TK102 KKS102 30℃、48時間 硝酸塩の還元 − + 色素生成 − G+C含量モル% 67.02 キノンの分子種 Q8 インドールの生成 − グルコースからの酸 − アルギニンジヒドロラーゼ − ウレアーゼ − エスクリンの分解 + ゼラチンの分解 − βガラクトシダーゼ + グルコース同化 + アラビノース同化 (+)(弱い) マンノース同化 − マンニトール同化 − N-アセチルグルコサミン同化 (+)(弱い) マルトース同化 + グルコン酸同化 − カプロン酸同化 − アジピン酸同化 − マレイン酸同化 + クエン酸同化 + フェニル酢酸同化 − チトクロームオキシダーゼ +
【0028】 TK102 30℃、7日間 カゼイン分解 − Tween80分解 − スターチ分解 − DNaseの生産 +(分解の限定域) チロシン分解 (+) ラクトースOF培地からの酸 − マルトースOF培地からの酸 − ラクトースPWS(peptone water sugar)からの酸 − マルトースPWS(peptone water sugar)からの酸 − 低ペプトンマルトース培地からの酸 +
【0029】
【0030】以上の性質により、TK102をシュード
モナス・アルカリゲネス、KKS102をシュードモナ
ス・スピーシィズと同定した。
【0031】上記微生物を、例えば、1〜10000p
pm、好ましくは1000〜3000ppmのビフェニ
ールを単一炭素源とする最小培地で、20〜37℃、好
ましくは25〜30℃、1〜14日間、好ましくは4〜
7日間種培養する。ついで、例えば、1〜10000p
pm、好ましくは1000〜3000ppmのビフェニ
ールを単一炭素源とする最小培地に、上記光化学処理済
みのPCBを10〜1000ppm、好ましくは100
〜500ppmの濃度になるように添加したものに、上
記培養後の培養液を接種した後、20〜37℃、好まし
くは25〜30℃、1〜14日間、好ましくは4〜7日
間振盪または攪拌培養する。
【0032】上記シュードモナス属細菌を培養するため
には、例えば、1.7g/lのKH2PO4、9.8g/
lのNa2HPO4、1.0g/lの(NH4)2SO4
0.1g/lのMgSO4/7H2O、0.95mg/l
のFeSO4・7H2O、10.75mg/lのMgO、
2.0mg/lのCaCO3、1.44mg/lのZn
SO4・7H2O、0.25mg/lのCuSO4・5H2
O、0.28mg/lのCoSO4/7H2O、0.06
mg/lのH3BO3、51.3ml/lの濃HCl、お
よび単一炭素源としてビフェニールが添加された組成の
培地を最小培地として好適に使用することができる。
【0033】上記微生物処理により、PCBの全てのコ
ンジェナーがほとんど分解されるが、PCB分解度を確
認するためモニターを行うことが好ましい。
【0034】PCB分解度をモニターする方法として
は、例えば上記微生物処理済みの培養液を酢酸エチルな
どの溶媒により残存PCBの抽出を行い、ガスクロマト
グラフィ質量分析法(GCMS)によって分析を行うこ
とができる。
【0035】(実施例1−光化学処理の条件検討)トラ
ンスの絶縁油として実際に工業的に使用されていたPC
Bである、カネクロール500をメタノールに溶解して
濃度0.2体積%の溶液を2mlつくり、石英ガラス製
のスクリューキャップ付きのセルに入れ、水銀ランプか
らの紫外線を26時間照射し、紫外線処理を行なった
(エネルギー密度3mW/cm2)。紫外線を照射し
て、3、5、15、26時間後の試料をサンプリングし
て、ガスクロマトグラフィで分解の様子を調べた。ガス
クロマトグラフィのチャートを図2に示す。
【0036】図2Aは未処理PCBの分析結果を示す。
35分から55分の間に多くのピークが見られるが、こ
れは種々の位置に付加された4から6塩素置換数のコン
ジェナーの存在を示している。紫外線照射3時間後(図
2B)、5時間後(図2C)、15時間後(図2D)と
経るにしたがって、徐々にピークが左にシフトしてお
り、PCBの脱塩素反応が進行していることが確認でき
た。そして紫外線照射26時間後(図2E)において
は、ほぼ3カ所にピークが集中していた。この3カ所は
左方より塩素分子置換数=0、1、2を示している。し
たがって、紫外線照射26時間後には、PCBは塩素置
換数2以下のコンジェナーのみを含み、十分な光化学反
応が進行したことが確認できた。
【0037】(実施例2−光化学処理における溶媒の検
討)PCBを溶解するための溶媒として、メタノールに
代えて、オクタン、エタノール、アセトンを用いて、実
施例1と同様に26時間の紫外線処理を行った。その結
果を図3に示す。オクタン(図3A)、エタノール(図
3B)、アセトン(図3C)のいずれの溶媒でも、26
時間の紫外線処理において、4置換塩素数のコンジェナ
ーのピークが消失しており、十分な光化学反応が進行し
ていることがわかる。
【0038】(実施例3−光化学処理における溶媒の検
討)PCBを溶解するための溶媒として、メタノールに
代えて、70%メタノール+2%NaOH、70%メタ
ノール+2%KOHを用いた。70%メタノール+2%
NaOHにカネロール500を500ppmの濃度とな
るように溶解して、6時間の紫外線処理をした結果を図
4(A)、70%メタノール+2%KOHにカネロール
500を2000ppmの濃度となるように溶解して、
8時間の紫外線処理をした結果を図4(B)に示す。い
ずれの場合も、4置換塩素数のコンジェナーのピークが
消失しており、十分な光化学反応が進行していることが
わかる。
【0039】(実施例4−TK102による処理)上記
分解培地に、KC400を20ppmとビフェニールを
3000ppmを含む上記分解培地5mlの入った試験
管3本にTK102菌体を接種し、30℃、7日間振盪
培養した。培養液から残存PCBを2mlの酢酸エチル
で抽出し、そのうちの1mlをガスクロマトグラフィに
かけた。その結果を図5および図6に示す。
【0040】図5Aは、菌体を加えないコントロールの
ガスクロマトグラフィのチャートを示し、図5B、図6
A、図6Bは3連の実験結果を示す。各々のチャート
で、17分付近までは3塩素置換PCBコンジェナー、
18分付近から20分付近までは4塩素置換コンジェナ
ー、20分付近から22分付近までは5塩素置換コンジ
ェナー、22分付近以上は6塩素置換のPCBコンジェ
ナーを示していると考えることができる。
【0041】より具体的には、符号1のピークは下記化
学式(I)、符号2のピークは下記化学式(II)、符号
3のピークは下記化学式(III)、符号4のピークは下
記化学式(IV)、符号5のピークは下記化学式(v)、
符号6のピークは下記化学式(VI)、符号7のピークは
下記化学式(VII)で表されるコンジェナーの存在を示
していると考えられる。
【0042】
【化1】
【0043】コントロール(図4A)と菌体添加サンプ
ル(図5B、図6A、および図6B)を比較すると、図
5B、図6A、および図6Bではいくつかのピークが消
失していることがわかる。例えば、上記7つのピークの
うちピーク1とピーク2は、図5B、図6A、図6Bで
完全に消失しており、化学式(I)(II)のコンジェナ
ーはTK102単独で分解されることがわかる。図5
B、図6A、および図6Bにおいて17分付近で残存し
ているのはピーク5、ピーク6、およびピーク7であ
り、これらはいずれも4塩基置換コンジェナーであるか
ら、この付近に出現する3塩素置換コンジェナーのピー
クはなく、3塩素置換コンジェナーはTK102が分解
できることを示している。
【0044】さらに4塩素置換コンジェナーについて
も、分解できるものがあることがわかる。例えばピーク
3、4が消失しているので、上記化学式(III)と(I
V)で表されるコンジェナーが分解されていることがわ
かる。しかしながら4塩素置換コンジェナーの中にはT
K102で分解されないものがあり、例えばピーク5、
ピーク6、およびピーク7で表される4塩素置換コンジ
ェナーは分解できない。
【0045】(実施例4−紫外線処理と微生物処理の組
み合わせ)カネクロール500をメタノールに溶解し、
濃度0.2体積%の溶液を2mlつくり、石英ガラス製
のスクリューキャップ付きのセルに入れ、26時間紫外
線処理を行なった(3mW/cm2)。紫外線処理後の
PCB溶液を取りだし、微生物を増殖させるためのビフ
ェニール(濃度1000ppm)を添加し、さらにTK
102を接種した培地5mlに加え、30℃で振盪培養
を7日間行った。培養液から、酢酸エチルで残存PCB
の抽出を行い、GCMSによって分析を行なった。
【0046】ガスクロマトグラフィの結果を図7に示
す。図7Aは未処理PCB、図7Bは紫外線処理26時
間後の結果を示したものである。紫外線処理済サンプル
に対して、微生物処理を行った図7Cは、塩素数1,2
のピークが消失しており、塩素置換数0(ビフェニー
ル)の単一ピークを示しており、紫外線処理とTK10
2によってPCBが分解されていることが確認された。
なお図7Cにおいてビフェニールのピークが高いのは、
TK102接種時にビフェニールを添加しているためで
ある。さらに詳細に調べた結果、PCBの構成成分であ
る全てのコンジェナーの濃度が0.5ppb以下になっ
ていることが確認できた。
【0047】このPCB分解が、TK102依存性であ
ることを確認するためのコントロールとして、オートク
レーブしたTK102およびビフェニール(濃度100
0ppm)とともに30℃、7日間振盪したサンプルに
ついてガスクロマトグラフィをした結果を図7Dに示
す。塩素数2のピークが残存しており、TK102依存
性であるとがわかる。以上の結果より、紫外線処理とT
K102による微生物処理により、PCBが完全に分解
可能であることが示された。
【0048】(実施例5−紫外線処理と微生物処理の組
み合わせ)カネクロール500をメタノールに溶解し、
濃度0.2体積%の溶液を2mlつくり、石英ガラス製
のスクリューキャップ付きのセルに入れ、26時間紫外
線処理を行なった(3mW/cm2)。紫外線処理後の
PCB溶液を取りだし、ビフェニール(濃度1000p
pm)と一緒にKKS102を接種した培地5mlに加
え、30℃で振盪培養を7日間行った。培養液から、酢
酸エチルで残存PCBの抽出を行い、GCMSによって
分析を行なった。
【0049】ガスクロマトグラフィの結果、塩素置換数
0の単一ピークを示しており、紫外線処理とKKS10
2によってPCBが分解されていることが確認された。
さらに詳細に調べた結果、PCBの構成成分である全て
のコンジェナーの濃度が0.5ppb以下になっている
ことが確認できた。
【0050】以上、PCBを例にとって説明したが、要
するに、光化学処理で置換塩素数を微生物が分解可能な
置換数まで脱塩素反応させた後、その有機塩素化合物を
分解できる微生物によって微生物処理を行えばよいので
あるから、上記構成の有機塩素化合物の分解法は、広く
難分解性有機塩素化合物一般に実施可能である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る難分解
性有機塩素化合物の分解法は、難分解性有機塩素化合物
に波長が250nm以下のエネルギー線を照射して脱塩
素反応させる光化学処理の後、上記有機塩素化合物を少
なくとも一部分解できる微生物により残存する上記有機
塩素化合物を分解する微生物処理を行う方法である。
【0052】したがって、有害な物質を生成することな
く、目的とする難分解性有機塩素化合物を完全に分解す
ることができる。また、常温、常圧下での反応であり、
燃焼処理のような大量のエネルギーを必要としない点で
も優れている。
【0053】また本発明に係る新規微生物であるシュー
ドモナス・アルカリゲネスTK102は、ポリ塩化ビフ
ェニールの高い分解能力を有し、上記構成の難分解性有
機塩素化合物の分解法に用いることにより、効果的にポ
リ塩化ビフェニールを分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微生物によるビフェニールまたはPCBの分解
経路を示すスキームである。
【図2】紫外線処理によるPCB分解の経時変化をガス
クロマトグラフィによって調べた結果を示す図であっ
て、Aは未処理PCB、Bは紫外線処理3時間後、Cは
紫外線処理5時間後、Dは紫外線処理15時間後、Eは
紫外線処理26時間後を示す。
【図3】溶媒を変えて紫外線処理を行った後、各々のP
CBの分解をガスクロマトグラフィにて調べた結果を示
した図であって、Aはオクタン、Bはエタノール、Cは
アセトンの結果を示している。
【図4】溶媒を変えて紫外線処理を行った後、各々のP
CBの分解をガスクロマトグラフィにて調べた結果を示
した図であって、Aは70%メタノール+2%NaO
H、Bは70%メタノール+2%KOHの結果を示して
いる。
【図5】PCBを微生物のみで処理した後のPCB分解
度を調べたガスクロマトグラフィの結果を示す図で、A
は菌体を加えないコントロール、Bは菌体を加えた結果
を示す。
【図6】PCBを微生物のみで処理した後のPCB分解
度を調べたガスクロマトグラフィの結果を示す図であ
る。
【図7】本発明に係る難分解性有機塩素化合物の分解法
に従い、各段階での残存PCBを調べたガスクトマトグ
ラフィの結果を示す図であって、Aは未処理PCB、B
は紫外線処理26時間後、Cは紫外線処理の後TK10
2で微生物処理した後、Dはコントロールとしてオート
クレーブしたTK102菌体と混合して処理した後の結
果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 1/20 C12R 1:38) (72)発明者 福田 雅夫 新潟県長岡市深沢町1769−1−1−505 (72)発明者 金原 和秀 新潟県長岡市大山町1丁目6−6 (72)発明者 矢野 圭司 東京都北区滝野川1−41−3

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難分解性有機塩素化合物に波長が250
    nm以下のエネルギー線を照射して脱塩素反応させる光
    化学処理の後、上記有機塩素化合物を少なくとも一部分
    解できる微生物により、残存する有機塩素化合物を分解
    する微生物処理を行うことを特徴とする難分解性有機塩
    素化合物の分解法。
  2. 【請求項2】 上記光化学処理において、上記難分解性
    有機塩素化合物が有機溶媒中に溶解され紫外線が照射さ
    れることを特徴とする請求項1記載の難分解性有機塩素
    化合物の分解法。
  3. 【請求項3】 上記有機塩素化合物がポリ塩化ビフェニ
    ールであることを特徴とする請求項1または2に記載の
    難分解性有機塩素化合物の分解法。
  4. 【請求項4】 上記微生物が少なくとも塩素置換数3以
    下の上記有機塩素化合物を分解できる性質を有すること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の難分
    解性有機塩素化合物の分解法。
  5. 【請求項5】 上記微生物がシュードモナス・アルカリ
    ゲネスTK102である請求項3または4記載の難分解
    性有機塩素化合物の分解法。
  6. 【請求項6】 上記微生物がシュードモナス・スピーシ
    ィズKKS102である請求項3または4記載の難分解
    性有機塩素化合物の分解法。
  7. 【請求項7】 ポリ塩化ビフェニールの分解能を有する
    シュードモナス・アルカリゲネスTK102。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001218866A (ja) * 1999-11-22 2001-08-14 Hiroshi Kashihara ハロゲン化物質分解方法および有害物質分解検出方法ならびにその有害物質分解検出用キット
US6716399B2 (en) 1998-11-30 2004-04-06 Canon Kabushiki Kaisha Apparatus for decomposing halogenated aliphatic hydrocarbon compounds or aromatic compounds
JP2007069174A (ja) * 2005-09-09 2007-03-22 Japan Nuclear Cycle Development Inst States Of Projects 微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置及び方法
JP2013179890A (ja) * 2012-03-02 2013-09-12 Yamagata Univ 新規微生物及びこれを用いるポリ塩化ビフェニルの分解方法

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