JPH082300B2 - 第ix因子タンパク質の製造方法 - Google Patents

第ix因子タンパク質の製造方法

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JPH082300B2
JPH082300B2 JP61056745A JP5674586A JPH082300B2 JP H082300 B2 JPH082300 B2 JP H082300B2 JP 61056745 A JP61056745 A JP 61056745A JP 5674586 A JP5674586 A JP 5674586A JP H082300 B2 JPH082300 B2 JP H082300B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、温血動物の血液凝固機構に含まれるタンパ
ク質である第IX因子を組換えDNA技術により製造する方
法に係る。
血友病B(Haemophilia B)又はクリスマス病は凝固
第IX因子の欠損に起因するX連関の遺伝性出血性疾患で
ある。血液提供者からの第IX因子濃縮物(concentrat
e)を注射することによって、ほとんどの患者に対して
どうにかうまく処置を施すことはできる。しかしなが
ら、現在用いられている第IX因子濃縮物中に含まれてい
る不純物の為に、この処置には非A非B肝炎ウィルスの
ような血液伝染性ウィルス(blood-borne viruses)及
びAIDSの原因となるウィルスの感染という危険が伴な
う。AIDSの原因となるウィルスの熱処理による不活性化
という最近の明らかな成功にも拘わらず、この処置に対
して非A非B肝炎ウィルスは依然抵抗性がある(ピー・
エム・マヌチ(P.M.Mammucci)等,ランセット(Lance
t)(ii),1013頁,1985年11月2日)。血友病患者に於
けるウィルス感染の危険は大変大きいものであるので、
血液以外の供給源から得られた第IX因子調製物が望まれ
ている。
第IX因子DNAは1982年にクローニングされた。ケー・
エイチ・コー(K.H.Choo)等,ネーチャー299,178-180
頁(1982年),ケー・クラチ(K.Kurachi)等,プロス
・ナト・アカド・サイ(Proc.Nat.Acad.Sci.)、米国,
79,6461-6464頁(1982年)及び欧州特許出願公開第1072
78A号(NRDC)参照。この仕事は上記特許出願と同様
に、ディー・エス・アンソン(D.S.Anson)等によってE
MBOジャーナル3巻、1053-1060頁(1984年)に配列デー
タとゲノム地図によって要約されている。
第IX因子は内因系の血液凝固経路の中間段階に於いて
重要な役割を果す血漿糖タンパク質であり、活性型IXa
として、第VIII因子(C)、リン脂質及びカルシムイオ
ンと反応して、第X因子を活性型(Xa)に変換させる複
合体を形成する。第IX因子は肝実質細胞(liver hepato
cytes)で合成され、血液中に415個のアミノ酸より成る
成熟した生物活性を持つ糖タンパク質として分泌される
前に、461個のアミノ酸より成る翻訳一次産物(前駆
体)は3つの異なる型の翻訳後修飾と伴にペプチド開裂
を含む少なくとも二段階のタンパク質プロセッシングを
経る。
この翻訳後修飾は12個のグルタミン酸残基のビタミン
K依存性カルボキシル化、幾つかの炭水化物残基の付加
及び一つのアスパラギン酸残基のβ−ヒドロキシル化で
ある。最初の二つの修飾が活性に必要なものであること
が知られている。更に、46個のアミノ酸残基から成る
“プレペプチド”及び“プロペプチド”配列が前駆体の
プロセッシングの一部として除去され、成熟した活性タ
ンパク質を与える。前駆体は血液凝固経路に於いて活性
はない。前述のプロセッシング及び修飾は複雑で特殊な
性質のものであるので、第IX因子DNAクローンからの活
性な第IX因子の発現に関しては重大な問題があるように
思われる。
完全な生物学的活性を持った第IX因子タンパク質を得
ることの難しさについては本発明の優先権日と出願日と
の間に発表された先行文献によって詳細に解説されてい
る。
エル・ウェスレイ(L.Wasley)等は1985年11月発行の
血液(Blood),補訂版1256頁にチャイニーズハムスタ
ー卵巣細胞に於ける第IX因子の発現について記載してい
る。この細胞は第IX因子の抗原性を持つ物質を100μg/m
lより多く分泌したが、そのうちの僅か1.5μg/mlだけが
天然の第IX因子、即ち生物学的活性を持つものであっ
た。この著者は「現在、γ−カルボキシル化の効率を改
善すること、そして生物学的に活性な第IX因子の割合を
高めることの努力がなされている。」と述べていた。
トランスジェネ・エス・エー(Transgene.S.A.)は19
84年5月9日にフランス特許出願をし、これは1985年11
月15日に公開番号2,564,106号で公開された。W085/0512
5(日本、米国)及び欧州特許出願公開第167420A号を含
む外国の対応(counterparts)も公開された。これらの
明細書には大腸菌(E.Coll)に於ける第IX因子遺伝子の
クローニング及びリン酸カルシウム沈澱法による哺乳動
物細胞のトランフェクション(transfection)について
記載されている。このようにしてトランスフェクション
させたマウス胚繊維芽細胞は分子量62,000及び72,000ダ
ルトンのタンパク質を発現した。このタンパク質はとも
に抗第IX因子抗体と反応し、分子量62,000ダルトンのタ
ンパク質はグリコシル化されていることが示され、予備
的な研究によって、その抗原はカルボキシル化グルタミ
ン酸基であることが知見された。この明細書ではこうし
て得られたタンパク質は第IX因子前駆体である推測され
ている分子量62,000ダルトンのものは翻訳一次産物であ
ると考えられる。なぜならば、それの余分な分子量約5,
000ダルトンは前述の付加的な46個のアミノ酸であると
容易に説明され得るからである(平均アミノ酸分子量を
112と仮定、46×112=5,152)。トランスジェネ・エス
・エーが凝固アッセイ、又は上記のタンパク質前駆体が
生物学的に活性であるかどうかを示す他の試験を実施し
なかったことは注目に値する。これら全ての事情による
と、トランスジェネ・エス・エーによる明細書には、成
熟した、完全に又は殆んど完全であるような生物学的活
性を持った第IX因子タンパク質は記載されていないとす
るのが合理的な結論である。
トランスジェネ・エス・エーが牛腎臓(bovine kidne
y,MDBK)及びモンキー腎臓(monhey kidney,VEPO)細胞
系へのトランスフェクションの可能性に言及しているこ
と(1984年5月9日のフランス明細書49頁参照)は興味
深いことである。この文脈に於いて「結果はNIH-3T3及
びLMTK(マウス胚繊維芽細胞)から得られ、MDBK及びVE
RO系については現在実験中である。」と述べている。し
かしながら、優先権主張可能期間の終了期である1985年
5月に出願された明細書にも一字一句全く同一の文章が
載っていた。従って合理的な結論としては、進行中であ
った研究には重大な困難が伴っていたのか、又はこの様
な他の細胞系を使う可能性についてこれ以上検討する価
値はないと考えられたかである。
トランスジェネ・エス・エーは更に1984年5月22日及
び10月5日にフランス特許出願をしており、それの優先
権を主張した欧州特許出願の公開が1985年11月27日に第
162782A号で公開されている。この明細書には第IX因子
をワクシニアウィルス及び牛痘ウィルス(cowpox viru
s)中で発現させたことが記載されている。同じく、エ
イチ・デ・ラ・サーレ(H.de la Salle)等,ネーチャ
316,268〜270頁(1985年7月18日)を参照のこと。こ
の操作は感染細胞中でポックスウィルスを増殖させて最
終的にはそのウィルスによって細胞を殺してしまうもの
である。この操作ではウィルスが増殖している間は高収
率を挙げられるが、急速に0まで減少してしまう(通常
24時間以内)。この為に操作を調節することは非常に難
しい問題であり、細胞とウィルスストック(virus stoc
k)という注意深い質の調節を必要とする2つの“生物
反応体(biolgical reactants)”がある為にも上記操
作は大変困難なものである。生成物のうちの実質的にか
なりの量が硫酸バリウムに吸着されず、このことは正常
の血漿第IX因子のたった約50%の生物学的活性しか持っ
ていないことを示している。更にもっと深刻な問題は、
第IX因子タンパク質を人間の患者に投与する前に、この
ようにして得られた第IX因子タンパク質から、生きてい
るポックスウィルス粒子及び死んだポックスウィルス抗
原を除去する為に厳密に精製しなければならないという
ことである。ワクシニアウィルスはクラス2に属するヒ
トの病原体であり、重い免疫抑制状態に陥っている人間
を殺すだけの能力を持っている。
幼児ハムスター腎細胞に第IX因子cDNAをトランスフェ
クションさせて50〜60%の生物学的活性を持つヒト第IX
因子を生産することがエス・バスディ(S.Busdy)等に
よってネーチャー316,271〜273頁(1985年7月18日)に
報告されている。
本発明の要旨はディー・エス・アンソン(D.S.Anso
n)等によってネーチャー315,683〜685頁(1985年6月2
0日)に公表された。
ポックスウィルスのベクターを用いずに哺乳動物細胞
に於ける組換え体DNAによって完全に又は殆んど完全に
生物学的に活性な第IX因子タンパク質を人工的に作成す
ることが可能であることが判明した。
本発明の完全に又は殆んど完全(full or nearfull
y)に生物学的に活性である第IX因子タンパク質は様々
な方法で定義することができる。好適な定義はその分子
の凝固活性及び抗原性である(両者とともに正常血漿の
第IX因子に関連する)。このように、本発明の一目的は
組換えDNA由来の生物学的に活性である第IX因子タンパ
ク質であり、(凝固活性/ELISAで測定した抗原濃度)で
定義した比活性については血液から得られた第IX因子の
それの少なくとも90%をもち、ポックスウィルスタンパ
ク質による汚染のないものを提供することである。別の
やり方又は補促的なものとして、約57キロダルトンの分
子量であって第IX因子前駆体による汚染が10重量%未満
でありポックスウィルスタンパク質による汚染がないも
のとして定義し得る。
好ましくは、本発明の第IX因子タンパク質はヒトの第
IX因子タンパク質であるか、又は第IX因子欠損症で苦し
む人間の患者に注入可能であるように充分それに類似し
たものである。
本発明の重要な目的によると、第IX因子タンパク質は
以下のプロセスによって人工的に調製される。即ち、第
IX因子DNA配列を真核細胞内で該DNAを発現させ得るプロ
モーター配列に連結し、このDNA配列をベクターに導入
して組換え体発現ベクターを調製し、この発現ベクター
を真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞にイン・ヴィトロ
で導入することで調製される。またこの真核細胞はDNA
の発現による生物学的に不活性な生産物を生物学的に活
性な第IX因子タンパク質に修飾することのできる翻訳後
修飾手段を具備しているか又は与えられているものであ
る。
好適な細胞としてはヒトを含む哺乳動物の腎臓及び肝
臓の細胞がある。
本発明は、更に上記で定義したような哺乳動物の細
胞、特に好適には市販の犬腎細胞系からのものを含み、
これは微生物ホスト、特にプラスミドpIJ5/9又は上記に
定義したようなものを含有する形質転換に対してコンピ
テントな大腸菌(E.coli)によってトランスフェクショ
ンされている。
本発明はまず第一にヒト第IX因子に適用し得るが、原
理的には動物の第IX因子に対しても適用することができ
る。例えば、牛第IX因子の相補的DNAがクローン化され
た配列は上記のNRDCによる欧州特許出願に記載されてお
り、それらは、本明細書でヒト第IX因子遺伝子について
記載の方法に類似の方法で発現させることのできる完全
鎖長の牛相補的DNAクローンを単離することに使用し得
る。
本明細書で“第IX因子DNA"は第IX因子mRNAと相補的な
DNA、又はイントロン配列を人工的に取り除いた後の第I
X因子遺伝子のエクソン領域由来のDNAであり、イン・ヴ
ィボな翻訳によって第一次タンパク質を産生し、これは
上記のように、そのグルタミン酸残基のカルボキシル
化、炭水化物残基の付加、及び、もし必要であるなら
ば、アスパラギン酸残基のヒドロキシル化という修飾に
よって生物学的に活性な第IX因子タンパク質を与える。
用いた第IX因子DNAは修飾後に第IX因子を与えること
のできるものならばどのようなものでも良いのであり、
従って、通常は翻訳一次産物をコードするmPNA部分に相
補的なcDNAを含むものである。これは“プレ”及び“プ
ロ”と命名されている(アンソン等による,上記文献10
58頁第6図参照)−1から−46番目までのアミノ酸をコ
ードしている配列を含む。“プレ”アミノ酸は疎水性の
シグナル領域(−46〜−21)を形成し、“プロ”は親水
性の前駆体領域(−20〜−1)を形成する。“プレ”又
は“プロ”をコードしているmRNAセクションは外来性配
列と入れ換えることができる。
従って、このDNAは成熟(生物学的に活性な)タンパ
ク質を生成し得るmPNAの部分の5′末端まで伸びる翻訳
一次産物の前駆体領域をコードしている配列を含むのが
便利である。更には、前駆体領域を越えて5′方向に伸
長しているグノム第IX因子DNA配列の部分を含むことが
できる。このDNAは、コードされているアミノ酸に影響
を及ぼさない点変異や、コードされているアミノ酸を変
化させはするが、その成熟タンパク質には重大な影響を
及ぼさないようなヌクレオチド又はその短い配列の変
異、欠失(deletions)及び付加(additions)も同様に
含むことが出来る。DNAの5%又は10%までもこうした
変化をしても良いと考えることができる。
発現には真核細胞又はウィルスプロモーターが必要で
ある。モロネー白血病ウィルス(Moloney Leukemia Vir
us)LTRプロモーター及びSV40初期遺伝子プロモーター
の両方とも使用可能なことが分かった。選択したプロモ
ーターを第IX因子DNAの5′末端に連結した。通常各々
は最初はそれ自身のベクターに存在している。それらベ
クターのうちの1つを制限酵素で切断して問題のDNAを
切り出し、その他のベクターも制限酵素で切断されてこ
れにその切り出し断片を供給し、この2つは連結され
る。単純疱疹ウィルス(Herpes simplex virus)のチミ
ジンキナーゼ遺伝子プロモーターやアデノウィルスの主
要後期プロモーター(major late promptor)のような
他のウィルスプロモーターも使用可能であると予想され
る。同じように第IX因子のプロモーターも使用すること
ができるが、ウィルスプロモーターに較べて効率が悪
い。AAUAAAポリアデール化シグナル[エヌ・ジェイ・プ
ロウドフット(N.J.Proudfoot)及びジー・ジー・ブラ
ウンリー(G.G.Brownlee)、ネーチャー263,211〜214頁
(1976年)]がSV40初期遺伝子ポリアデニル化領域配列
によって与えられるが、天然の第IX因子シグナルを含む
他のものも充分に機能すると予想され得る。
本明細書中に挙げられているベクターは簡便には大腸
菌内でそれ自体公知の方法で大量に生産にクローニング
される。
更に発現ベクターには、第IX因子遺伝子が導入された
哺乳動物細胞の選択を可能にする為の選択マーカーを含
むのが好ましい。このマーカーは真核細胞DNAプロモー
ター配列に連結された原核細胞DNAトランスポゾン配列
を、例えばTK/NEO遺伝子中に含むことができる。
原理的には、本発明に最も適している哺乳動物細胞の
種類は肝細胞(hepatic cell)又は肝実質細胞(hepato
cyte)由来の形質転換細胞系であろう。残念ながら、内
因性の活性な第IX因子を分泌する標準哺乳動物細胞系は
知られていない。しかしながら、ラット肝細胞H4-11-E-
C3(ATCC1600)はγ−カルボキシル化プロトロンビンを
分泌することが知られており、これはγ−カルボキシラ
ーゼ酵素の存在を示しており、これは第IX因子の生産に
於いて中間タンパク質をカルボキシル化することにも機
能するかも知れない。この細胞で成功することが証明さ
れたが、このような修飾“装置”を持っていないと考え
られていた市販の犬腎細胞系が更にもっと本発明に適し
ていることが知見された。細胞は、実質的な第IX因子活
性を示すタンパク質を生産する為に翻訳一次産物又は不
活性タンパク質を修飾し得るに必要な手段を遺伝的に備
えているか又はそれを付与されなくてはならない。γ−
カルボキシラーゼ酵素を持っている可能性が高い細胞は
肝臓及び腎臓の細胞である。この酵素を欠いている細胞
にはその酵素の遺伝子をクローニングしたものを供給す
ることができる。即ち、ラット肝臓細胞のライブラリー
を作製し、精製カルボキシラーゼ酵素部分のアミノ酸配
列を決定し、オリゴヌクレオチドプロープを構成し、こ
のライブラリーをプローブで検査し、カルボキシラーゼ
活性に関してクローンを検査し、その後このクローンニ
ングした遺伝子でγ−カルボキシラーゼ欠損細胞をトラ
ンスフェクションさせる。
哺乳動物細胞に第IX因子遺伝子をリン酸カルシウム沈
澱法によって導入した。この方法では、トランスフェク
ションされるべきDNA溶液がリン酸二ナトリウムで作製
される。塩化カルシウムをリン酸カルシウムの細かな沈
澱が形成され、その中にDNAがトラップされる。この沈
澱物を細胞の上にかけると、ある細胞はトラップされて
いるDNAと伴にリン酸カルシウムの沈澱を取り込む。細
胞内でリン酸カルシウムの結晶が溶解し、DNAを遊離
し、ある場合にはゲノムの中に組込ませる。
プロトプラスト融合[ダヴリュー・シャフナー・(W.
Schaffner),プロス・ナト・アカド・サイ(Proc.Nat.
Acad.Sci.)米国,77,2163〜2167頁(1980年)],エレ
クトロポレーション(electroporation)[エイチ・ポ
ッター(H.Potler)等,同上,米国80,7161-7165頁(19
84年)]及びレトロウィルスを用いた感染[例えば、エ
ー・ディー・ミラー(A.D.Miller)等,同上,米国80,4
709-4713頁(1983年)]のような、細胞へDNAを導入す
る他の公知の方法も使用可能である。
トランスフェクションした細胞の増殖培地中から第IX
因子タンパク質は細胞を溶解する必要なく直ちに回収さ
れ得る。このタンパク質はアフィニティクロマトグラフ
ィで精製するのが好ましい。この目的の為に、第IX因子
に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体、最も好
ましくは第IX因子抗原の金属イオン依存性エピトープに
対するモノクローナル抗体を慣用手段でカラムの支持物
質に付着させ、第IX因子含有生成物をそのカラム上に吸
着させる。溶出には、実施例3のような場合には適当な
金属キレート剤、又実施例1及び2の場合にはカオトロ
ープ(chaotrope)又は破壊試薬(disrupting agent)
も使用することができる。尿素を例えば約6〜8Mという
高モル濃度で無機塩例えば約0.8〜1.2Mのアルカリ金属
塩化物と予混合させたものは特にこの目的に適している
ことが判明した。
以下に本発明の実施例を示す。
実施例1 第IX因子タンパク質の調製及び分析に関する一般的概
要は次の通りである。
1.第IX因子DNA配列の作製。完全な長さの第IX因子cDNA
配列(第IX因子mRNAに対して相補的なもの)を調製し
た。
2.真核細胞中で第IX因子タンパク質を発現するように設
計された発現ベクターの作製。本明細書に於いてpMLV/N
EOと命名されたベクターを以下の成分要素から作製し
た。
a)モロニー白血病ウィル(MLV)LTR(long terminal
repeat)の発現プロモーター。
b)サルウイルス40(similan virus 40,SV 40)ベクタ
ーのスモール(small)T抗原イントロン。
c)SV40からの初期ポリアデニル化シグナル。
d)所望の外来性遺伝子を含む真核細胞を選択すること
ができるようなマーカーを提供するTK/NEO遺伝子。
3.第IX因子DNA配列を発現ベクターpMLV/NEOに挿入し組
換え体DNAプラスミドpMLVLX/NEOの作製。
4.哺乳動物細胞系に組換え体DNAプラスミドpMLVIX/NEO
をトランスフェクションさせることによる外来性DNAの
該細胞への染色体への組み込み。
5.一段階(one-Stage)凝固アッセイ及び第IX因子に対
するモノクローナル抗体を加えることによる凝固活性の
阻害による生物学的に完全に活性な第IX因子分泌の確
認。
6.実施例3に於けるゲル電気泳動によるタンパク質移動
度の比較実験によって本発明の組換え体DNA由来の第IX
因子タンパク質は第IX因子タンパク質前駆体による汚染
が10重量%未満であることが判明した。凝固データ及び
他の結果によると実施例1及び2に於いて生産された第
IX因子タンパク質についても上記の通りであった。
第IX因子タンパク質の調製及び分析について以下によ
り詳細に述べる。
1.第IX因子DNA配列の作製 この段階を詳しく知る為には、ディー・エス・アンソ
ン(D.S.Anson)等のEMBO ジャーナル,1053-1060頁
(1984年)を参照することをすすめる。この論文には、
第IX因子mRNA(cDNA)及びヒトのゲノム(ゲノムDNA)
の両方から得られたヒト第IX因子DNAに関する詳細なヌ
クレオチド配列情報が載っている。このゲノムDNAは約3
4キロベース(kb)の長さであり、mRNAの12倍以上の長
さである。なぜならばこのゲノムにはRNAをコードして
いる短いエキソンが散在しているところの、RNAをコー
ドしていない長いイントロンが含まれているからであ
る。ゲノム構造はアンソン等の論文に書かれている。
mRNAは2802残基の長さを持ち、29ヌクレオチドの長さ
の短い5′ノンコーディング配列と長い1390ヌクレオチ
ドの長さの3′ノンコーティング配列を含んでいる。
出発第IX因子DNAはアンソン等の論文の第1図に描か
れているcDNAクローンcVIであり、これはmRNAの25〜157
2までのヌクレオチドに対応するDNAを含んでいるが、最
初の15個のヌクレオチドは5′→3′に代って3′→
5′に解読されるように逆にされている。cVI中に存在
する第IX因子DNAインサートを、Bam HIおよびHindIIIに
よる制限処理により取り出し、アガロースゲル電気泳動
によって単離した。これとは別に、完全に正しい第IX因
子cDNAクローンを得るために、ヌクレオチド1〜25を付
加し、逆にされているヌクレオチド鎖を正しいヌクレオ
チド鎖と置き換えることが必要であった。
cVI(プラスミドベクターpAT153/Pvu II/8内に保持さ
れている)をBam HIで消化して第IX因子cDNA cVIからヌ
クレオチド25〜93を取出し、次に大腸菌(E.Coli)のDN
AポリメラーゼIのクレノウフラグメント(Klenow frag
ment)を用いてデオキシヌクレオシド三リン酸によって
張り出し(over hanging)末端を“修復(fill in)”
した。
子ウシの腸ホスファターゼで脱リン酸化した後、Eco
RVによる部分分解を行った。Eco RVによる部分分解を行
った。Eco RVはヌクレオチド91〜96のGATATC配列を認識
する。ヌクチオチド508の位置にもう一つのEco RV部位
があるので部分分解が必要とされた。得られた約4.9kb
の直鎖状フラグメントをアガロースゲル電気泳動によっ
て精製した。
第IX因子ゲノムDNA XI(同様にプラスミドベクターpA
T153/PvuII/8内に保持されている)をTaq Iで消化し、
前記のように張り出し末端を微小量のα−32p dGTPの存
在下でデオキシヌクレオシド三リン酸を用いて修復し、
Eco RVで再び切断して、前記XIから小さい(0.1kb)Taq
I/Eco RVフラグメントを作製した。この標識フラグメ
ントはゲノムDNAのヌクレオチド288-386に対応している
もので(アンソン等の論文の第4図参照)、これをプラ
スミドベクター由来の他のTaq I及びEco RVフラグメン
トからから6%アクリルアミドゲル電気泳動を用いて分
離した。
この4.9kbと0.1kbの大きいフラグメントをT4DNAリガ
ーゼで連結した。この組換え体を大腸菌内でクローニン
グして単離し標準的な方法でキャラクタライゼーション
を行ないp5′G/3′cVIと命名した。従ってこの再構成さ
れた第IX因子遺伝子は、ヌクレオチド1〜25を効率良く
加えてクローンcV Iの最初の15残基の配列を正しいもの
に直して、mRNAのヌクレオチド1-1572に対応する配列を
含有する。更に、第IX因子プロモーターと考えられる領
域から取り出されたゲノムDNAの288〜295番目の残基で
ある。8個の追加ヌクレオチドを含んでいる。しかしな
がら、これらの残基だけではプロモーションを規定する
のに充分とは言えない。
2.発現ベクターpMLV/NEOの作製 この作製はプラスミドpTKMoI TKIから出発した。この
プラスミドはモノニーネズミ白血病ウィルス(MLV)のL
TR配列及びチミジンキナーゼ(TK)遺伝子をマーカーと
して含有するpAT153プラスミドである。このプラスミド
をHindIII及びBam HIで制限酵素処理しTKをコードして
いる配列を除去した。その残り(pAT153及びMIV ITR)
をアガロースゲル電気泳動で精製した。これをpSV1由来
の初期遺伝子ポリアデリル化シグナル(ディビー(Dave
y)博士よりの寄贈、ワーワイック(Warwick)及びSV40
スモールTイントロンを含むアガロースゲル精製の0.9k
bのBam HI/HindIIIフラグメントをクローニングする為
のベクターとして用いた。第5図にこの3つの部分から
成る約0.9kbのフラメントの直線図(line diagram)を
示してある。第1の部分は21残基から成る合成デオキシ
オリゴヌクレオチド配列であり3つの読み取り可能フレ
ームの各々にTGA鎖終結ストップコドンを供給するもの
である。第2の部分はSV40ウィルスの4710〜4100番目の
残基からのMbo I切断の610ヌクレオチドフラグメント由
来のものである。[DNA腫瘍ウィルス、腫瘍ウィルスの
分子生物学[DNA tumour viruses,Molecular Biology o
f Tumour Viruses),2版、第2部(改訂版)、ジェイ・
トーゼ(J.Toooze)著、コールド・スプリング・ハーバ
ーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)198
1年、799-841頁参照]。このフラグメントはスモール
(small)T及びラージ(large)T抗原をコードしてい
る領域の部分にはさまれたスモールT抗原イントロンを
与えるものである。第3の部分は、元来2770番目のヌク
レオチド位置のBclI部位由来で、再構成に於いてSV40ウ
ィルスの2553残基の部位で切断されてAAUAAAのSV40ポリ
アデニル化配列を2638残基の位置に含み、更にラージT
抗原及びVP1コード領域の部分も含むものである。スモ
ールT抗原イントロンはタンパク質の発現に必要とされ
る場合にはこの発現ベクターに含まれた。しかしなが
ら、これを欠いている第2ばんめの発現ベクター(実施
例2参照)に於いてこの要素は必要でないことが判明し
た。この0.9kbのフラグメントを含む組換え体は制限地
図によって同定され、そのうちの1つを選びpMLVと命名
した。pMLVはPvu I及びEcoRIで切断され、EcoRI末端はD
NAポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いる“修
復”によって平滑末端にされる。MLVのLTR,SV40配列及
びpAT153配列の殆んどの部分を含む4.4kbのPvu I/EcoRI
フラグメントをアガロースゲル電気泳動によって精製し
た。
チミジンキナーゼ/ネオマイシン−カナマイシン(TK
/NEO)遺伝子を次に精製した。このような遺伝子はエフ
・コルベル(F.Colbere)、ガラピン(Garapin)等によ
ってジェイ・モル・バイオロ(J.Mol.biol)、150,1〜
4頁(1981年)に記載されている。これは単純痘疹ウィ
ルスI型のTK遺伝子の転写の真核細胞プロモーター領域
(EPR)をカナマイシン耐性を授けているところのアミ
ノグリコシド−3′−ホスホトランスフェラーゼII型
(APH(3′)‐II)酵素をコードする公知のトランス
ポゾンTn5に連結することで作製した。哺乳動物細胞系
がTK/NEO遺伝子でトランスフェクションされると、抗生
物質であるアミノグリコシドG418に対して耐性になり、
こうしてAPH(3′)‐II遺伝子が哺乳動物細胞の真核
細胞DNAに取り込まれてAPH(3′)‐II酵素が発現して
いることを示す。このようにTK/NEO遺伝子は真核細胞に
於ける重要で有力な選択可能マーカーである。
TK/NEO遺伝子及びamp-r遺伝子の一部分はコスミドベ
クター(cosmid vector)pTMからのPvu I/Bam HIフラグ
メントとして精製した[エフ・ジー・グロスベルト(F.
G.Grosveld)等、核酸研究(Nuclic Acids Researc
h),10,6715-6732頁,1982年)。Bam HI末端は“修復
(filling in)”によって平滑末端にされた。このフラ
グメントをT4DNAリガーゼによってpMLV由来Pvu I/Eco R
Iフラグメントに連結しこの組換え体をアンピシリンで
選択した。Pvu I部位はこの連結によってamprが両方の
フラグメントから再構成されるようにamp-r遺伝子を切
断することに注意しなければならない。この組換え体の
構造を制限地図により検討し、pMLV/NEOと命名された1
つのクローンを次の段階で用いた。
3.第IX因子DNA配列をプラスミドpMLV/NEOに挿入しての
組換え体プラスミドpMLVIX/NEOの作製 第1段階で単離された第IX因子DNAを第2段階で得ら
れた発現ベクターpMLV/NEOのHindIII部位にT4DNAリガー
ゼ及びDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用
いて連結した。第IX因子DNA挿入部を正しい方向(orien
tation)で含んでいるクローンを制限地図(restrictio
n mapping)によって同定し、このようなクローンの1
つであるpMILVIX/NEOを次の段階で用いた。第1図にpML
VIX/NEOが示してある。第IX因子及びTK/NFOの転写ユニ
ットはこれらの遺伝子から転写されるmRNAの5′→3′
方向を示す矢印によって示されている(素人向けの注
意、プラスミド中のcDNAは2本鎖であるので、DNAそれ
自身方向を特定することは無意味である。2本鎖のうち
の1本だけがRNAに転写され、この矢印は転写される鎖
の3′→5′方向を示している)。pAT153配列は狭い横
断線1で示され、TK/NEO遺伝子はジグザグ線2で示され
ている。第IX因子転写ユニットは5′→3′の方向にML
V LTR(黒い三角形、3)、第IX因子5′の遺伝情報を
もたない(コードしていない、non-coding)配列(無地
部分、4)、第IX因子の遺伝情報をもつ(コードしてい
る、coding)、配列(点を充填させた広い線、5)、第
IX因子3′の遺伝情報をもたない配列部分(無地部分
6)及びSV40配列(斜線部分、7)から成る。このDNA
は全長約9.0kbである。
4.ヒト第IX因子遺伝子を持つ組換え体プラスミドpMLVIX
/NEOによる哺乳動物細胞系のトランスフェクション ラット肝細胞系、H4-11-E-C3(アメリカンタイプカル
チュアコレクションに公開寄託(open deposit)ATCC 1
600として寄託済)に以下のようなリン酸カルシウム沈
澱法により第IX因子発現プラスミドをトランスフェクシ
ョンさせた。問題のDNAはHBSバッファ中で10-50μg/ml
の濃度にした。HBSバッファは137mMNaCl、5mMKCl、0.7m
MNa2PO4、5mMグルコース及び20mMHepesを含むpH7.05で
あった。CaCl2を濃厚保存液(2.5M)から添加して最終
濃度が0.125Mとなるようにした。混合物を室温にして30
分間放置すると、その間に細かい沈澱が形成された。こ
の沈澱物を組織培養細胞の洗浄した単層上に注ぎ、37℃
で30分間放置した。この単層上に完全増殖培地(Compla
te growth medium)を加え37℃で一晩インキュベーショ
ンした。翌朝、培地と沈澱物を除去し15%グリセロール
に加えた。室温で2〜3時間のインキュベーション後
に、このグリセロールを除去し新しい培地に代えた。機
能性(functional)TK/NEO遺伝子を含む細胞に対して、
トランスフェクション及びグリセロールショック処理の
48時間後に、400μg/mlでG418をを添加しG418耐性を基
にこれを選択し、その結果得られたコロニー24個を96-
ウェルマルチタイターディシュの0.7cm直径ウェルの中
で増殖させて増やした。標準トリプシン処理によってこ
のウェルから細胞を除去し、ヘモサイトメーター(haem
ocytemeter)で計数し、培地1ml当り約3個の細胞数に
希釈し、その0.2mlを新しい96ウェルデッシュの各ウェ
ルに分配した。約10日間でコロニーが成長し、各セット
のうちの1つを以後の永久細胞系(permanent cell lin
e)として選択した。これをその後増殖し、増殖培地をE
LISA(enzyme-limked immunosorbent assay)を用いて
分泌ヒト第IX因子が存在するかどうかについてアッセイ
した(下記第5段階に記載)。
4つの細胞系が検出可能レベルの第IX因子を分泌して
いた。最も多く分泌した4A系を以降の分析用に選んだ。
サザンブロット分析によって染色体DNAの中には細胞当
りたった1個のプラスミドコピーしか組み込まれていな
いことが判明した。4A系から得られた全細胞RNAのノー
ザンブロト分析によて約1.6kbの第IX因子mRNA種が存在
することが知見された。これは第IX因子転写ユニットの
大きさとして期待されていた通りのものである。上記サ
ザン法及びノーザン法の両者に於いて、対照肝細胞系H4
-11-E-C3中にクロスハイブリッド(cross-hybridisin
g)するものは検出されなかった。
5.ヒト第IX因子分泌の確認 細胞を10mlの培地(MEM,10%FCS,ペニシリン,ストレ
プトマイシン、カナマイシン及び100ng/mlビタミンK含
有)を含む80cm2フラスコ内で単層にて10%の集密度(c
onfluency)に播種した。培地を24時間毎に交換し、そ
の調整培地(conditioned medium)をELISAでヒト第IX
因子に関してアッセイした。ELISAはまず最初に、マウ
ス抗第IX因子モノクローナル抗体3A6を200mM炭酸ナトリ
ウムpH9.0で5000倍に希釈したもの0.2mlを室温にて2時
間マイクロタイターウェルに結合させた。次に調整培地
試料150μlを4℃で一晩結合させた。第2抗体として
ラビット抗ヒト第IX因子(カルビオケム−ベーリング
(Calbiochem-Behring)を1%NP40、10%馬血清を含む
PBSで500倍に希釈したもの150μlを次に室温で2時間
結合させた。第3抗体としてペルオキシダーゼ結合ブタ
抗ラビットIgG(ダコ(Dako)を同じ方法で結合させ
た。最後に40mMABTS(アジノジ−(3−エチルベンズチ
アゾール−スルホン酸)−ジアンモニウム塩)を含む50
mMクエン酸塩バッファpH4.0(0.008%H2O2含有)で30〜
45分間反応させた。溶液の色変化を405nmに於いて分光
光度計を用いて測定した。2倍希釈の正常血漿を用いて
10-3〜10-5倍希釈の範囲で標準曲線を作成した。この
際、血漿第IX因子の濃度を5μg/mlと仮定して行った。
ケー・フジカワ(K.Fujikawa)等の方法[“メソド・
イン・エンザイモロジー(Method in Enzymology)",45
巻,77頁,アカデミックプレス(Academic Press 1976
年)]に従って分泌第IX因子の硫酸バリウム上への吸着
について試験した。この試験は第IX因子前駆体のγ−カ
ルボキシル化に依存するものであり、従って陽性はγ−
カルボキシル化を意味するものである。
第2図は細胞系4Aによるヒト第IX因子分泌の経時変化
及び硫酸バリウム吸着試験の経時変化の結果を示したも
のである。黒四角は第IX因子レベル、黒丸はBaSO4吸着
第IX因子のレベル及び白四角は細胞の集密度をそれぞれ
表わしている。第IX因子分泌の速度は約6ng/107細胞/24
時間である。操作段階に於いて考えられる損失に対し
て、第IX因子の回収量を補正していないので、この実験
だけからは約70%の第IX因子がγ−カルボキシグルタミ
ン酸残基をもっているのか、又は、そうではなくて、全
ての試料がγ−カルボキシル化されているが約30%の収
率損失があるのかが明確ではない。活性と抗原レベルと
の間の良い相関(以下参照)は後者の説明が正しいこと
を示している。4A細胞溶解物(lysate)には何ら第IX因
子は検出されず、このことは細胞内には微々たる量しか
蓄積されなかったということを示している。交叉反応を
起こす物質は対照H4-11-E-C3調整培地中にも又細胞溶解
物中にも検出されなかった。
4A細胞系の調整培地からアフィニティ精製したヒト第
IX因子試料、及び同様に精製したH4-11-E-C3細胞の対照
試料につき凝固及び抗原分析を実施した。
4A細胞系の調整培地1.5lからのヒト第IX因子試料、及
び同じ容量のH4-11-E-C3細胞からの対照試料をクエン酸
バリウム吸着及び免疫アフィニティクロマトグラフィで
精製した。抗ヒト第IX因子抗体アフィニティカラムは、
腹水を硫酸ナトリウム沈澱させて精製した3A6モノクロ
ーナル抗体を支持アフィゲル(Affigel)10(バイオラ
ッド(Biorad)に製造元の推薦する条件で結合させて調
製した。結合すべきヒト第IX因子試料をカラムに2度流
して(カラム容量=0.3ml)、次に100倍容量以上のPB
S、1%NP40で洗滌し、そして同等量のPBS、1MNaCl、1
%NP40で洗滌した。最後にカラムを5倍容量のPBS、1MN
aClで洗滌し、7M尿素、1MNaCl溶出液で溶出し0.4ml分画
に収集した。最初の3分画(fraction)を集め、直ちに
2%PBSに対して、4℃で一晩透析し凍結乾燥した。こ
の試料を最終的に200μlの水に溶解させ、これをELISA
によって前述のようにアッセイし、そして凝固アッセイ
にかけた。
第IX因子の凝固活性は、第IX因子欠損血漿を基質とし
て用いる一段階凝固アッセイを使って測定した(ディ−
・イ−・ジ−・オーステン(D.E.G.Austen)等、血液凝
固の実験マニュアル(A Laboratory Manual of Blood C
oagulation),ブラックウェル・サイエンティフィック
・パブリケーション(Blackwell Scientific Publicati
on),1975年を参照のこと)。ヒト第IX因子抗原をELISA
を用いて測定した。両者伴に平均正常血漿レベルに対す
るパーセンテージで表示した。試験試料を最終濃度2.5
%の3A6腹水と室温で15分間プレインキュベーションさ
せて、抗ヒト第IX因子モノクローナル抗体3A6による阻
害効果を測定した。
牛第IX因子抗原を任意のユニットで測定し、以下のよ
うに定量的なELISAによってアッセイした。純粋な牛第I
X因子を200mM炭酸水素ナトリウpH9.0バッファで希釈
し、マイクロタイタープレート上で乾燥させた。この牛
第IX因子をポリクローナルなラビット抗牛第IX因子抗体
及びペルオキシダーゼ結合ブタ抗ラビットIgG抗体を用
いて、前述のヒト第IX因子に対するELISAと同様に検出
した。
以上の分析結果を表1に示す。
4A細胞からの本発明の精製ヒト第IX因子タンパク質は一
段階凝固アッセイに於いて活性であり、正常血漿レベル
の7%活性を与えた。H4-11-E-C3細胞からの対照中には
たった1%の活性しか検出されず、これは恐らく、4A系
及び対照試料の両者に見つかった微小量の牛第IX因子に
依るものと思われた。牛第IX因子に対するELISAによっ
て微小量が4A系と対照細胞の両方に存在することが示さ
れた。凝固アッセイに於ける特異的抗ヒト第IX因子モノ
クローナル抗体3A6による阻害効果の測定から、4A細胞
系が生物学的に活性なヒト第IX因子を分泌していること
の証拠が得られた。使用した濃度ではこの抗体は牛又は
ラットの第IX因子活性は顕著に阻害しないことが対照実
験によって判った。
4A系試料に於いて、7%(正常血漿に対して)の活性
レベルが6%(正常血漿に対して)のヒト第IX因子抗原
レベルと良く相関しているという事実はタンパク質が完
全に活性であるということを示唆している。これらの結
果から4A細胞系は完全に生物学的に活性なヒト第IX因子
を分泌しているということが結論された。
実施例2 この実施例では別の哺乳動物細胞系、すなわち犬腎臓
由来細胞と別のプロモーターを使用した。実施例1に比
べて非常に増加した量の第IX因子が生産され得た。
第3図には、以下の第1〜3段階に記載の如き第IX因
子遺伝子を含む組換え体DNAの調製が図式的に説明され
ている。第1図のように、矢印はRNAの転写方向を示し
ている。
1.第IX因子DNA配列の作製 実施例1と同様 2.発現ベクターpKG5の作製 SV40初期遺伝子プロモーター及びpSV2由来のターミネ
ーターを結合させたプラスミド発現ベクターpSVTKneo
(アール・シー・マリガン(R.C.Mulligan)等、サイエ
ンス209,1422-1427頁,1980年参照)とベクターpTM由来
のTK/NEO遺伝子からpKG5が誘導される。pSVTKneoの構造
は第6図に説明されている。プラスミドpSV2をBam HI及
びPvu Iで消化し2つのフラグメントを得た。小さい方
のフラグメントは捨てた。大きい方のフラグメントはHi
ndIII部位を持ち、PvuI部位で開裂されているアンピシ
リン耐性遺伝子の一部分及びSV40初期遺伝子プロモータ
ーの全部及びポリアデニル化配列を含んでいた。Bam HI
開裂はSV40遺伝子配列の末端でpSV2を切断していた。こ
れとは別に、pTMを同じ酵素で消化し大きい方のフラグ
メントを捨てた。小さい方のフラグメントはこれもPvuI
部位で開裂されたアンピシリン耐性遺伝子の一部を含ん
でおり、更にG418耐性を与えるTKneo配列をも含んでい
た(実施例1、第2段階参照)。Bam HI部位はTKneo配
列の先に位置している。T4 DNAリガーゼを用いたこれら
2つのフラグメントの連結によりamp-r遺伝子が再構成
されTKneo配列及びSV40配列が同じプラスミド中に一緒
になった。
pSVTKneo中の一つのHindIII部位はオリゴヌクレオチ
ドの付加によってBamHI及びXhol酵素に対する2つの特
異的制限部位を与えられた。これを以下に記す。プラス
ミドpKG5はプラスミドpSVTKneoから作製された。この作
製は特異的制限部位をpSVTKneoに追加することによって
その発現ベクターとしての汎用性を高めようとするもの
である。詳しくは次のように作製された。
(1)pSVTKneoをBamHIで完全消化し、DNAポリメラーゼ
Iのクレノウフラグメントを用いて平滑末端にした。こ
の平滑末端分子は再結合(self-ligated)し、得られた
環状分子をE.coli.中に形質転換した。得られたプラス
ミドはpKG3と命名され、これは4塩基対を追加獲得しそ
の結果BamHI部位を失っている点でpSVTKneoと較べて異
っているものである。
(2)pKG3をHindIIIで完全消化しDNAポリメラーゼIの
クレノウフラグメントで平滑末端にした。得られたフラ
グメントをBamHI(GATCC)及びXhoI(CTCGAG)に対する
制限部位をコードしている合成二重鎖デオキシオリゴヌ
クレオチド (5′)CTCGAGGATCCA(3′) (3′)GAGCTCCTAGGT(5′) と連結し、この連結生成物を大腸菌内に形質転換させ
た。この形質転換体から、HindIIIに対する特異的制限
部位(サクセスフル連結(successful ligation)によ
り再編成)更にBamHI及びXhoIに対する特異的制限部位
を第3図で示されたような方向に持っているpKG5と命名
されたプラスミドを単離した。
3.第IX因子DNA配列のプラスミドpKG5への挿入による組
換え体プラスミドpIJ5/9の作製 p5′G/3′cVIDNA1μgをBamHI及びHindIII酵素で完全
消化し、第IX因子配列をもつバンドをアガロースゲルの
電気泳動により溶出した。約100ngの溶出物質を100ngの
プラスミドpKG5(BamHI及びHindIIIで完全消化済)と連
結した。この連結混合物で大腸菌MC1061を形質転換させ
た。一つの形質転換体pIJ5/9は所望の遺伝子型を持って
いることが制限酵素による詳しい分析から判明した。
大腸菌MC1061内の組換え体プラスミドpIJ5/9は特許手
続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条
約に基づいて、ナショナル・コレクション・オブ・イン
ダストリアル・バクテリア(National Collection of I
ndustrial Bacteria).トリーリサーチステーション
(Torry Research Station),PO Box 32,135アビーロー
ド(Abbey Roud),アバディーン(Aberdeen),スコッ
トランド,AB98DGに1985年6月13日に第NCIB 12103号と
して寄託されている。
4.ヒト第IX因子遺伝子を有する組換え体プラスミドpIJ5
/9による哺乳動物細胞系のトランスフェクション pIJ5/9をフロー・ラボラトリー社(Flow Laboratosri
es Inc.)より入手した犬腎臓細胞MDCKにリン酸カルシ
ウム形質転換法によって導入した(実施例1参照)。pI
J5/9はTK/NEO遺伝子を持っているのでG418耐性に対して
選択を行った。細胞はペニシリン,ストレプトマイシ
ン,カナマイシン及び“ファンギゾン(Fungizone)”
更には800μg/mlの抗生物質G418(ゲネチシン“Genetic
h",ジブコ(GIBCO)を含むDMEM,10%FCS中で増殖させ
た。直径9cmのペトリディッシュ1つの処理から得られ
た3つのクローンを次にマルチウェルプレートの独立ウ
ェル(Separate wells)(ウェル容量2ml)に移し、そ
こで集密的になるまで培養した。集密的になった時に、
各クローンを覆っている培地を除去しこれをヒト第IX因
子抗原の存在に関して分析にかけた。
5.ヒト第IX因子分泌の確認 組換えDNAプラスミドによって形質転換された犬腎臓
細胞(MDCK)のクローンからの培地をサンドウィッチEL
ISAによって分析した(実施例1参照)。2つのクロー
ンは陰性であったが、一方三番目のクローン(クローン
593と命名)の培地はヒト第IX因子抗原を10ng/ml以上の
レベルで含んでいた(10ng/mlはこの実験での測定可能
上限である)。更に、クローン593からの培地試料は硫
酸バリウムに30分間で吸着した(実施例1参照)。この
処置後に培地上澄みを再び第IX因子抗原のアッセイにか
けた。存在していた抗原の100%がこの前処置によって
除去されており、第IX因子のγ−カルボキシル化がMDCK
細胞によって達成され得たことが判明した。
クローン593の第IX因子生産物を更に試験する為に、5
0mlの調整増殖培地を以下のように調製した。80cm2のフ
ラスコ5つのそれぞれG418培地10ml中に593個の細胞を
播種した。これらのフラスコを集密的になるまで4日間
放置し、その後培地を回収し、集めてヒト第IX因子抗原
に対するELISAで定量的にアッセイした。この試料は60n
g/mlの第IX因子を含んでおり、これは正常ヒト血漿中に
見出される濃度の約1.2%である。
この物質50mlを第IX因子モノクローナル抗体免疫アフ
ィニティカラムに一度通して精製した(実施例1の記載
参照)。結合第IX因子抗原は1.5ml溶出液中に回収され
た。この調製物を実施例1のようにELISA及び凝固アッ
セイにかけた。これらのアッセイの結果は表2に示す
(この中でも正常ヒト血漿に対する%で表示する)。
以下の結論が上記分析から引き出せる。
(a)ヒト第IX因子が593(クローン)細胞系により生
産され分 泌されている。
(b)集密的になるまで増殖した後、593細胞系は少な
くとも第IX因子抗原60ng/mlを培地中に分泌する。これ
はγ−カルボキシル化されており第IX因子モノクローナ
ル抗体に対する結合能を保持している。
(c)モノクローナル抗体3A6への結合に基づいて、1.1
25μgのヒト第IX因子が免疫アフィニティカラムにかけ
た全長3μgに対して回収された(回収率37.5%) (d)アフィニティ精製された試料中の第IX因子はその
抗原及び凝固活性が示すように完全に生物学的に活性で
ある。
通常の増殖条件下で593細胞系によって生産される第I
X因子抗原の量は以下のように測定した。
593細胞系を25cm2組織培養フラスコ内に50%集密度で
播腫した。これに2mlの増殖培地を加えて37℃の加湿イ
ンキュベーター内でインキュベートした。1日間隔に調
整培地を除去し新しいものと交換した。
各試料中の第IX因子抗原を定量的にELISAアッセイで
アッセイしその結果を第4図にプロットした。50%の集
密度以上の細胞は1日当り100ng/mlオーダーの第IX因子
抗原を分泌していることが分る(正常血清中の値の約2
%に等しい値である)。
1日目の値が異常に高いのは接種試料中にすでに含ま
れているもの(carrty-over)によるものと思われ6日
間の200ng/mlという値は2日間の分泌によって蓄積した
第IX因子を示すものである。
実施例3 本実施例に於いては、もう1つの犬腎臓細胞クロー
ン,クローンC6を単離し、これは実施例2で報告したク
ローン593に較べて本発明の第IX因子タンパク質の収率
が改良されたものである。この改良された細胞系は撹拌
(Spinner)培養によって抗生物質G418の非存在下で3
週間増殖させて、第IX因子タンパク質を抗生物質G418を
必要とせずに連続的且つ大量に生産し得るような均一性
を確率しかなり経済的に節約可能となった。
クローンC6からの第IX因子タンパク質は実施例2に記
載の方法とは僅かに異なる免疫アフィニティによって精
製され、これも90%以上の生物学的に活性な物質を与え
た。そして、rDNA第IX因子タンパク質の90%以上が血液
由来の本物の第IX因子と本質的に等しいような正しい分
子量の生産物であることが判明した。
1.ヒト第IX因子遺伝子を有する組換え体pIJ5/9による犬
腎臓細胞系のトランスフェクション 実施例2の第4段階と全く同様に実施したが、今回は
90個のG418耐性クローンが10個の直径9cmペトリディッ
シュのトランスフェクションから得られた。これらクロ
ーンを次にマルチウェルプレートの独立ウェルに移し集
密的になるで増殖させた。細胞の増殖培地を取り出して
実施例1第5段階に記載のようにELISAによってヒト第I
X因子抗原の分析を行った。30個のクローンが陽性であ
り、第IX因子が10ng/ml以上であることが判明した。こ
れら30個のクローンを更にマルチウェルプレートに播腫
し再び集密度になるまで増殖させた。各培地の第IX因子
抗原を10倍に希釈した後再びELISAでアッセイした。5
つのクローンは100ng/mlより多い第IX因子を含有してい
た。これらのクローンを有効表面積25cm2のフラスコで
再び集密的になるまで増殖させその培地中の第IX因子抗
原をELISAでアッセイした。C6の命名された1つのクロ
ーンはこの実験で250ng/mlの第IX因子抗原を生産し、こ
れが最も生産能の高い細胞系であることが判明した。
2.C6細胞系のキャラクタライゼーション 第IX因子遺伝子が犬腎臓細胞の染色体内に恒常的に導
入させたかどうかを確認する為に、以下の試験を実施し
た。確立された方法によって、有効面積75cm2のフラス
コ内で増殖した集密的C6細胞の核からDNAを単離した
(マニアチス(Maniatis)他、分子クローニング(Mole
cuiar Cloning)、実験マニュアル、コールドスプリン
グ・ハーバー、NY,1982年)。単離DNAを制限エンドヌク
レアーゼHindIII及びBamHIで一度に消化してヒト第IX因
子組込みpIJ5/6プラスミドから1.6kbの制限フラグメン
トを作製した(第3図参照)。これを32Pニックトラン
スレーションしたヒト第IX因子cVIをプローブとして用
いたサザンブロッティングで分析した(アンソン地、EM
BOジャーナル,3,1053〜1060頁、1984年参照)。正しい
移動度を持つバンドがサザンブロットが得られ、4A細胞
系(前記実施例1第4段階参照)からの等量DNAを使っ
た対応分析のマーカートラックとの強度比較から3〜5
個の遺伝子コピーが存在することが示唆された。
3.ヒト第IX因子のキャラクタライゼーション 初めに、増殖C6細胞から得られた調整培地10ml中の第
IX因子の硫酸バリウムへの吸着能について分析した(実
施例1参照)。1つの実験では98%以上の物質が結合
し、第IX因子が実質的に完全にγ−カルボキシル化され
ていることが示された。
正しい分子量の第IX因子が合成されているかどうかを
試験する目的でなされたより小規模の実験に於いて、も
う1つ別の調整培地10mlから硫酸バリウムによって吸着
された第IX因子タンパク質をポリアクリルアミドゲル電
気泳動によってアッセイした。この物質は10%ラムリ
(Laemmli)ポリアクリルアミドゲル上で分画された。
ウェスタンプロッティング後に、ヒト第IX因子抗原をラ
ビット抗ヒト第IX因子ポリクローナル抗体(カルビオケ
ム)及びアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ラビットIg
G抗体(シグマ)を用いたELISAによって検出した。ELIS
Aの後で、バンドを染色してその移動度が正常のヒト血
漿プールから同じ操作で単離した本物の第IX因子と区別
出来ないことが観察された。本物のものに較べて早いか
又は遅いバンドは検出されず、本物の第IX因子に相当す
る染色バンドは対照MDCK細胞(第IX因子非産生)から得
られた調整培地から調製された対照試料中には欠けてい
た。
C6細胞系より生産された本発明の第IX因子タンパク質
の真正さ(autheticity)について試験する為の実験に
於いて、上記の増殖C6培地0.5mlをマウス抗第IX因子抗
体が臭化シアンで共有結合的に付着されているセファロ
ース4Bのビーズ上に吸着させることによって免疫沈降さ
せた。このビーズに結合した第IX因子を1%SDS及び3
%2−メルカプトエタールで沸騰させて溶出し、この溶
液を上記のように10%ポリアクリルアミドゲルの起点に
適用した。125I標識されたマウス抗第IX因子モノクロ
ーナル抗体A7(第5段階参照)使うか、又は抗第IX因子
ポリクローナル抗体によるELISAでウェスタンブロッテ
ィングが実施された。SDS-PAGEより得られる変性第IX因
子と反応する抗体ならばどれでも使用可能である。
C6細胞系より生産される本発明の第IX因子タンパク質
のウェスタンブロット2つを(a)正常ヒト血漿及び
(b)典型的なクリスマス病の珍しい変種で苦しむ患者
の血漿からのウェスタンブロットと夫々別々に比較し
た。対照(b)を簡単に説明すると、“0×3"とコード
された患者は免疫学的に検査したところでは正常レベル
(89%)の第IX因子様抗原を持っているにもかかわら
ず、クリスマス病型の血液凝固欠損で苦しんでいた。0
×3の第IX因子様抗原は正常の第IX因子に較べて僅かに
分子量が大きいタンパク質である。0×3について組換
え体DNAを用いて調査をしたら彼の遺伝子は−4位置の
アミノ酸であるアルギニン(R)コドンに点変異を受け
ていることが判明した(アンソン等の1984年の論文第2
図参照)。
その結果、肝臓で翻訳第1次産物として生産される前
駆体分子が第IX因子となる為の必要な全ての開裂操作を
受けることができなかったのである。この遺伝子欠陥に
よっけ正しい第IX因子のN末端の先にプレペプチド及び
プロペプチドである18個の余分なアミノ線を有する第IX
因子様タンパク質を作ってしまっていたのである。より
詳しい研究内容についてはエー・ケー・ベントレー(A.
K.Bentley),ディー・ジェイ・ジー・リース(D.J.G.R
ees),シー・リザ(C.Rizza)及びジー・ジー・ブラン
リー(G.G.Brownlee)による印刷中の論文(Cell)に記
載されている。
対照ウェスタンブロット用ゲルは以下の様にして得
た。正常人及び0×3患者の血漿をクエン酸バリウムに
よる吸着と溶出によって6倍に濃縮した。その10μlを
1%SDS,2.5%/2−メルカプトエタノール中で沸騰さ
せ、これを8%ラムリ(Laemmli)ポリアクリルアミド
ゲルの起点(origin)に適用した。
結果から明らかにC6細胞系から分泌された第IX因子は
正常血漿の対照第IX因子と区別できない等しい分子量を
持っていることが判った。しかし0×3の第IX因子様タ
ンパク質の分子量に較べると約2000ダルトン小さいもの
であった。このような分子量の違いは0×3の第IX因子
様タンパク質に18個のアミノ酸(平均分子量を例えば11
2として)が付加されていると考えると完全に説明され
る。本発明の第IX因子タンパク質のウェスタンブロット
に於いては、第IX因子よりも高分子量又は低分子量の異
常型が大量(2%より大)にあることの証拠になるもの
はなかった。
4.撹拌培養でのC6クローンの大量培養及び第IX因子の精
製 C6クローンを2gのマイクロキャリアビーズ上にビーズ
1個当り約10個の細胞数で播腫し(ビースとしてジブコ
60-085-12を使用。但し他の実験ではファーマシアのサ
イトデックス(Cytodex)3マイクロキャリアーも使用
した。)、ペニシリン,ストレプトマイシン,カナマイ
シン及び“ファンギゾーン”を含むDMEM、10% FCS 400
mlを入れた市販の撹拌容器(テクネ、Techne)中で培養
した。抗生物質を培地中に存在させてもさせなくても、
14日間(2回の継代培養段階を含む)に亘る培養を行っ
た際に実施例2に記載のようにクローン593から得られ
た第IX因子の収率に差異が見られないという予備実験の
結果から、培地に抗生物質G418は添加しなかった。
試料を撹拌培地から取り出し、ELISA法(上記参照)
により第IX因子抗原についてアッセイした。培地中の第
IX因子濃度は6〜8日目に375ng/mlのプラトー(platea
u)状態になった。使用培地を新しい培地と交換すると
マイクロキャリアに付着している細胞が更に第IX因子を
合成するようになり、12日目には培地中の濃度が280ng/
mlに達した。12日目に更に培地を交換すると細胞は更に
第IX因子を生産して続けて17日目には150ng/mlに達す
る。
クローンC6は抗生物質G418の添加の必要なくマイクロ
キャリア懸濁液で2〜3週間に亘って第IX因子を生産し
得ることが結論づけられた。この実験を繰り返すこと
で、撹拌培養中では静置培養フラスコに較べて150〜200
%高い第IX因子の収率が得られ、恐らくこれは培地の単
位容量当りの細胞密度が大きいことに依ると思われる。
5.撹拌培養の細胞系C6産生第IX因子の精製及びその活性 上記第4段階と類似の実験(2つ)からの調整培地2l
を集めプールし、硫酸バリウム上への吸着で第IX因子タ
ンパク質を濃縮した。溶出後、このタンパク質を免疫ア
フィニティクロマトグラフィにかけた(この際、ケー・
スミス(K.Smith)博士、ニューメキシコ大学(アルバ
カーキ、Albuquerque,米国)から寄贈された第IX因子の
短鎖(light chain,N末端領域)上の金属イオン依存エ
ピトープに特異的なマウスモノクローナル抗体A7を使っ
た。又、博士からはクロマトグラフィに関するプロトコ
ールもいただいた)。アフィゲル(Affigel)10(バイ
オラッド)樹脂を前記モノクローナル抗体を使い製造メ
ーカーの薦める方法で活性化してアフィニティカラムを
調製し、充填カラム1ml当り8mgの抗体が結合したカラム
物質になった(尚、精製能力は樹脂1ml当り第IX因子約4
mgである)。0.15MNaCl,0.02MTris/HCl,pH7.2,0,02MMgC
l2,0.001Mフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMS
F)を含む開始バッファ(initial buffer)中で第IX因
子試料をカラムにかけ(4℃),このカラムを100カラ
ム容量の開始バッファで洗滌した。次いでこのカラム
を、開始バッファ中のNaCl濃度を0.15Mから1Mにした高
塩バッファ50カラム容量で洗滌し、開始バッファ中の0.
02MMgCl2を0.02MEDTAに代えPMSFを除いた溶出バッファ
を使って第IX因子を溶出した。連続20ml分画中のヒト第
IX因子をELISAによってアッセイし、第IX因子含有分画
をプールして0.15MNaCl,0.02MTris/HCl,pH7.2に対して
透析した。定量的ELISAによるアッセイで12.0μg/mlの
ヒト第IX因子を含む透析物4mlが得られた。下の表3は
抗原のELISA及び実施例1に記載のように一段階凝固ア
ッセイの結果を示す。パーセンテージは正常ヒト血漿に
対するものである。
この結果からC6細胞は殆んど完全に生物学的に活性な
第IX因子タンパク質を分泌していると結論された。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ヒト第IX因子DNAを含み哺乳動物細胞のトラ
ンスフェクションに使用することのできる組換え体発現
ベクターを図解したものである。 第2図は、第1図の発現ベクターでトランスフェクショ
ンされた哺乳動物細胞の集密的な単層から産生された第
IX因子のレベルを示すグラフである。 第3図は、ヒト第IX因子を含み哺乳動物細胞のトランス
フェクションに使用することのできるもう1つの組換え
体発現ベクターの構造を図解したものである。 第4図は、第3図の発現ベクターでトランスフェクショ
ンされた哺乳動物細胞の集密的な単層から産生された第
IX因子のレベルを示すグラフである。 第5図は、第1図のベクター作製に用いられるDNAフラ
グメントの直線図である。 第6図は、本発明で使用する発現ベクター作製に於いて
出発物質として用いられるベクターpSVTKneoの作製方法
を図解したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヨージ・ゴウ・ブラウンリー イギリス国、オツクスフオード・オー・エ ツクス・1・7・エイ・テイー、ラスベリ ー・ロード・1 (72)発明者 イアン・マーテイン・ジヨーンズ イギリス国、オツクスフオード・オー・エ ツクス・2・8・ピー・テイー、ウルヴア ーコウト、ホーム・クロウズ・63 (56)参考文献 英国特許2125409(GB,A)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(凝固活性)/(ELISAで測定した抗原濃
    度)で定義される比活性が血液由来の第IX因子の少なく
    とも90%であり、ポックスウィルスタンパク質及び血漿
    構成成分による汚染がない、生物学的に活性な組換え体
    DNA由来第IX因子タンパク質の製造方法であって、第IX
    因子DNA配列を哺乳動物肝臓又は腎臓細胞内で該DNAを発
    現させ得るプロモーター配列に連結し、このDNA配列を
    ベクターに導入してポックスウィルス科に属さない組換
    え体発現ベクターを調製し、この発現ベクターをイン・
    ヴィトロで該DNA発現による生物学的に不活性な生産物
    を生物学的に活性な第IX因子タンパク質に修飾し得る翻
    訳後修飾手段を具備する該哺乳動物肝臓又は腎臓細胞中
    に導入することを含む前記方法。
  2. 【請求項2】第IX因子タンパク質が、分子量約57キロダ
    ルトンであり、ポックスウィルスタンパク質による汚染
    がなく、第IX因子前駆体による汚染が10重量%未満であ
    るようなタンパク質である、特許請求の範囲第1項に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】第IX因子DNA配列が少なくとも翻訳一次産
    物をコードする第IX因子mRNA部分に相補的である実質的
    に全てのcDNA配列を含んでいる特許請求の範囲第1項又
    は第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】DNA配列がコード配列の5′末端に更に、
    非コード配列を含む特許請求の範囲第3項に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】発現ベクターが該ベクターを導入した哺乳
    動物肝臓又は腎臓細胞に対する選択マーカーを与える遺
    伝子を含有し、該細胞を該マーカーにより選択する特許
    請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】ベクターがトランスフェクションによって
    導入される特許請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか
    一項に記載の方法。
  7. 【請求項7】第IX因子DNAがヒト第IX因子DNAである特許
    請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか一項に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】哺乳動物肝臓又は腎臓細胞から生物学的に
    活性な第IX因子タンパク質を回収し、アフィニティクロ
    マトグラフィによってそれを精製することを更に含む特
    許請求の範囲第1項乃至第7項のいずれか一項に記載の
    方法。
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