JPH08232016A - 高張力鋼板の製造方法 - Google Patents
高張力鋼板の製造方法Info
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- JPH08232016A JPH08232016A JP4391395A JP4391395A JPH08232016A JP H08232016 A JPH08232016 A JP H08232016A JP 4391395 A JP4391395 A JP 4391395A JP 4391395 A JP4391395 A JP 4391395A JP H08232016 A JPH08232016 A JP H08232016A
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- steel
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- tempering
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Abstract
(57)【要約】
【目的】材質特性を一定に保つことができる高張力鋼板
の製造方法を提供する。 【構成】0.12wt%C、0.25wt%Si、1.
35wt%Mn、0.012wt%P、0.002wt
%S、0.02wt%Cu、0.02wt%Ni、0.
02wt%Cr、0.049wt%Mo、0.040w
t%V、0.001wt%Nb、0.0001wt%
B、0.021wt%Alの鋼を、800℃の仕上温度
で熱間圧延し、ベイナイト組織に変態させて、620℃
で焼き戻した。
の製造方法を提供する。 【構成】0.12wt%C、0.25wt%Si、1.
35wt%Mn、0.012wt%P、0.002wt
%S、0.02wt%Cu、0.02wt%Ni、0.
02wt%Cr、0.049wt%Mo、0.040w
t%V、0.001wt%Nb、0.0001wt%
B、0.021wt%Alの鋼を、800℃の仕上温度
で熱間圧延し、ベイナイト組織に変態させて、620℃
で焼き戻した。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、橋梁、建築、造船、圧
力容器、タンク等に用いられる600Mpa級以上の引
張強度を有する板厚テーパ高張力鋼板や板厚の異なる高
張力鋼板の製造に好適な高張力鋼板の製造方法に関す
る。
力容器、タンク等に用いられる600Mpa級以上の引
張強度を有する板厚テーパ高張力鋼板や板厚の異なる高
張力鋼板の製造に好適な高張力鋼板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から高張力を有する調質鋼を製造す
る技術が多数提案されている。これらの技術の例を挙げ
ると、特開昭57−89424号公報には、オーステナ
イト状態からの冷却条件を制限することにより、優れた
強度と靭性を有する調質鋼を製造する技術が開示されて
いる。また、特開昭58−120720号公報には、鋼
中に炭化物を分散析出させてこの炭化物を有効利用する
ことにより、高強度で一定品質の調質鋼を製造する技術
が開示されている。また、特開平2−141528号公
報には、細粒のオーステナイトをマルテンサイトに変態
させることにより、板厚が100mm以上の極厚材に板
厚方向にわたって優れた強度と靭性を与える技術が開示
されている。
る技術が多数提案されている。これらの技術の例を挙げ
ると、特開昭57−89424号公報には、オーステナ
イト状態からの冷却条件を制限することにより、優れた
強度と靭性を有する調質鋼を製造する技術が開示されて
いる。また、特開昭58−120720号公報には、鋼
中に炭化物を分散析出させてこの炭化物を有効利用する
ことにより、高強度で一定品質の調質鋼を製造する技術
が開示されている。また、特開平2−141528号公
報には、細粒のオーステナイトをマルテンサイトに変態
させることにより、板厚が100mm以上の極厚材に板
厚方向にわたって優れた強度と靭性を与える技術が開示
されている。
【0003】ところで、近年、鋼板の長手方向に板厚が
変化する板厚テーパ高張力鋼板が造船業界等で広く使用
されている。一般に、板厚テーパ調質高張力鋼板を製造
するに当たっては、板厚の異なる部分では焼入れ時の冷
却速度が異なるため、同じ化学成分で同じ強度を得るた
めには、例えば、 パラメータP=(T+273)(20+logt) (T:焼戻し温度(℃)、t:焼戻し保持時間(H
r)) を板厚に応じて変化させる必要がある。このため、上記
従来の高張力を有する調質鋼を製造する技術を、板厚テ
ーパ高張力鋼板の製造に適用すると、板厚の厚い部分と
薄い部分とでは強度差が発生する。この問題を解決する
技術として、特開昭62−166013号公報には、加
速冷却装置内で鋼板の先端及び尾端の冷却時間を変える
ことにより冷却停止温度を制御し、鋼板の長手方向の材
質変化を少なくする技術が開示されている。この技術で
は、冷却停止温度を所定の温度に制御することにより、
鋼板の厚みの差による材質の特性の差を少なくしようと
するものであるが、変化する板厚に起因する冷却速度の
差は依然として生じる。このため、材質の冷却速度依存
性が大きい材料においては、材質特性を一定に保つこと
が困難であるという問題がある。
変化する板厚テーパ高張力鋼板が造船業界等で広く使用
されている。一般に、板厚テーパ調質高張力鋼板を製造
するに当たっては、板厚の異なる部分では焼入れ時の冷
却速度が異なるため、同じ化学成分で同じ強度を得るた
めには、例えば、 パラメータP=(T+273)(20+logt) (T:焼戻し温度(℃)、t:焼戻し保持時間(H
r)) を板厚に応じて変化させる必要がある。このため、上記
従来の高張力を有する調質鋼を製造する技術を、板厚テ
ーパ高張力鋼板の製造に適用すると、板厚の厚い部分と
薄い部分とでは強度差が発生する。この問題を解決する
技術として、特開昭62−166013号公報には、加
速冷却装置内で鋼板の先端及び尾端の冷却時間を変える
ことにより冷却停止温度を制御し、鋼板の長手方向の材
質変化を少なくする技術が開示されている。この技術で
は、冷却停止温度を所定の温度に制御することにより、
鋼板の厚みの差による材質の特性の差を少なくしようと
するものであるが、変化する板厚に起因する冷却速度の
差は依然として生じる。このため、材質の冷却速度依存
性が大きい材料においては、材質特性を一定に保つこと
が困難であるという問題がある。
【0004】また、上述したように、板厚が異なると、
焼き戻しのパラメータPを板厚に応じて変化させる必要
がある。このため、異なる板厚の複数の鋼板を熱処理す
るに当っては、板厚に応じて熱処理条件を変えて熱処理
しなければならず、熱処理能率が低下することとなる。
焼き戻しのパラメータPを板厚に応じて変化させる必要
がある。このため、異なる板厚の複数の鋼板を熱処理す
るに当っては、板厚に応じて熱処理条件を変えて熱処理
しなければならず、熱処理能率が低下することとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、板厚テーパ高張力鋼板の材質特性や同じロットで
熱処理された板厚の異なる複数の高張力鋼板の材質特性
を一定に保つことができる高張力鋼板の製造方法を提供
することを目的とする。
鑑み、板厚テーパ高張力鋼板の材質特性や同じロットで
熱処理された板厚の異なる複数の高張力鋼板の材質特性
を一定に保つことができる高張力鋼板の製造方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の高張力鋼板の製造方法は、 C:0.03〜0.20wt% Si:0.05〜0.50wt% Mn:0.30〜2.50wt% Al:0.01〜0.10wt% N:0.007wt%以下 を含有し、さらに、 Cu:0.05〜1.30wt% Ni:0.10〜10.0wt% Cr:0.05〜1.50wt% Mo:0.03〜0.50wt% V:0.01〜0.15wt% Nb:0.005〜0.06wt% B:0.0003〜0.0020wt% Ca:0.0005〜0.0040wt% 希土類元素:0.001〜0.020wt% からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、Ar3
点以上の仕上温度で熱間圧延し、Ar3 点以上の温度か
らマルテンサイト変態開始温度直上まで急冷して室温ま
で徐冷することによりベイナイト組織に変態させ、Ac
1 点以下の温度に焼き戻すことを特徴とするものであ
る。
の本発明の高張力鋼板の製造方法は、 C:0.03〜0.20wt% Si:0.05〜0.50wt% Mn:0.30〜2.50wt% Al:0.01〜0.10wt% N:0.007wt%以下 を含有し、さらに、 Cu:0.05〜1.30wt% Ni:0.10〜10.0wt% Cr:0.05〜1.50wt% Mo:0.03〜0.50wt% V:0.01〜0.15wt% Nb:0.005〜0.06wt% B:0.0003〜0.0020wt% Ca:0.0005〜0.0040wt% 希土類元素:0.001〜0.020wt% からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、Ar3
点以上の仕上温度で熱間圧延し、Ar3 点以上の温度か
らマルテンサイト変態開始温度直上まで急冷して室温ま
で徐冷することによりベイナイト組織に変態させ、Ac
1 点以下の温度に焼き戻すことを特徴とするものであ
る。
【0007】ここで、 C:0.05〜0.15wt% Si:0.10〜0.40wt% Mn:1.0〜2.0wt% Al:0.020〜0.050wt% にすることが好ましい。
【0008】
【作用】先ず、化学成分の限定理由について説明する。
Cは、焼入れ性と強度を確保するために必要な元素であ
って、このためには0.03wt%以上を添加すること
が必要である。一方、添加量が0.20wt%を超える
と、母材靭性およびHAZ(溶接熱影響部)の靭性が劣
化するので、添加量は0.20wt%を上限とする。こ
こで、Cを0.05〜0.15wt%の範囲内にする
と、焼入れ性と強度がさらに向上し又、母材・HAZ靭
性がさらに向上する。
Cは、焼入れ性と強度を確保するために必要な元素であ
って、このためには0.03wt%以上を添加すること
が必要である。一方、添加量が0.20wt%を超える
と、母材靭性およびHAZ(溶接熱影響部)の靭性が劣
化するので、添加量は0.20wt%を上限とする。こ
こで、Cを0.05〜0.15wt%の範囲内にする
と、焼入れ性と強度がさらに向上し又、母材・HAZ靭
性がさらに向上する。
【0009】Siは、脱酸を促進しかつ強度向上に有効
な元素であるため、0.05wt%以上添加するが、過
度の添加は母材靭性およびHAZ靭性の劣化を招くの
で、添加量は0.50wt%を上限とする。ここで、S
iを0.10〜0.40wt%の範囲内にすると、いっ
そう脱酸が促進され強度が向上し、また、母材・HAZ
靭性がさらに向上する。
な元素であるため、0.05wt%以上添加するが、過
度の添加は母材靭性およびHAZ靭性の劣化を招くの
で、添加量は0.50wt%を上限とする。ここで、S
iを0.10〜0.40wt%の範囲内にすると、いっ
そう脱酸が促進され強度が向上し、また、母材・HAZ
靭性がさらに向上する。
【0010】Mnは、靭性を損なわせることなく強度を
向上させるために有効であり、このためには少なくとも
0.30wt%以上の添加が必要である。しかし過度の
添加は加工性を劣化させるため、2.50wt%以下に
限定した。ここで、Mnを1.00〜2.00wt%の
範囲内にすると、靭性の低下がいっそう防止され、強度
はいっそう向上する。
向上させるために有効であり、このためには少なくとも
0.30wt%以上の添加が必要である。しかし過度の
添加は加工性を劣化させるため、2.50wt%以下に
限定した。ここで、Mnを1.00〜2.00wt%の
範囲内にすると、靭性の低下がいっそう防止され、強度
はいっそう向上する。
【0011】Alは、鋼の脱酸と組織の微細化のため
に、少なくとも0.01wt%の添加を必要とするが、
必要以上に添加すると、鋼中に酸化物系介在物が多量に
生成して鋼の靭性を大幅に劣化させるので、その上限を
0.10wt%とした。ここで、Alを0.020〜
0.050wt%の範囲内にすると、鋼の脱酸がいっそ
う促進され、組織の微細化もいっそう促進される。
に、少なくとも0.01wt%の添加を必要とするが、
必要以上に添加すると、鋼中に酸化物系介在物が多量に
生成して鋼の靭性を大幅に劣化させるので、その上限を
0.10wt%とした。ここで、Alを0.020〜
0.050wt%の範囲内にすると、鋼の脱酸がいっそ
う促進され、組織の微細化もいっそう促進される。
【0012】Nは、Alと結合してAlNとなり、鋳片
加熱時の結晶粒の粗大化を防止する効果を有する。しか
し、Nを多量に含有するとHAZ靭性を劣化させるの
で、N含有量を0.007wt%以下とした。Cuは、
固溶強化及び析出強化に有効である。前者の効果を得る
ためには、0.05wt%以上の添加が必要であり、一
方、後者の効果を得るためには、0.5wt%以上の添
加が必要である。しかし、1.30wt%を超える場合
は、いずれの強化においても更なる効果が小さく、経済
的でない。
加熱時の結晶粒の粗大化を防止する効果を有する。しか
し、Nを多量に含有するとHAZ靭性を劣化させるの
で、N含有量を0.007wt%以下とした。Cuは、
固溶強化及び析出強化に有効である。前者の効果を得る
ためには、0.05wt%以上の添加が必要であり、一
方、後者の効果を得るためには、0.5wt%以上の添
加が必要である。しかし、1.30wt%を超える場合
は、いずれの強化においても更なる効果が小さく、経済
的でない。
【0013】Niは、靭性を大幅に改善する効果を有
し、延性・脆性遷移温度を低温側へ移行させるので低温
用鋼の製造に有効である。それらの効果を得るために
は、0.10wt%以上の添加が必要である。しかし1
0.0wt%を超える量を添加しても有用な低温用鋼は
得られない。Crは、焼入性向上に有用な元素であり、
このため0.05wt%以上の添加を必要とする。しか
し、1.50wt%を超える添加は溶接性の劣化を招
く。
し、延性・脆性遷移温度を低温側へ移行させるので低温
用鋼の製造に有効である。それらの効果を得るために
は、0.10wt%以上の添加が必要である。しかし1
0.0wt%を超える量を添加しても有用な低温用鋼は
得られない。Crは、焼入性向上に有用な元素であり、
このため0.05wt%以上の添加を必要とする。しか
し、1.50wt%を超える添加は溶接性の劣化を招
く。
【0014】Moは、焼入性向上、焼戻し軟化抵抗を高
めるために有効な元素である。これらの効果を発揮させ
るためには0.03wt%以上の添加を必要とする。し
かし0.50wt%を超えて添加してもコスト増加が大
きく経済的でない。Vは、析出強化による強度上昇に有
効な元素である。この効果を発揮させるためには、0.
01wt%以上の添加を必要とする。しかし、0.15
wt%を超える添加は、溶接性及びHAZ靭性を劣化さ
せる。
めるために有効な元素である。これらの効果を発揮させ
るためには0.03wt%以上の添加を必要とする。し
かし0.50wt%を超えて添加してもコスト増加が大
きく経済的でない。Vは、析出強化による強度上昇に有
効な元素である。この効果を発揮させるためには、0.
01wt%以上の添加を必要とする。しかし、0.15
wt%を超える添加は、溶接性及びHAZ靭性を劣化さ
せる。
【0015】Nbは、鋳片加熱時のオーステナイト粒の
粗大化を防止し、また圧延時の細粒化、焼戻し処理時の
析出強化等に有効な元素である。これらの効果を発揮す
るためには、0.005wt%以上の添加を必要とす
る。しかし、0.06wt%を超える添加はHAZ靭性
を劣化させる。Bは、微量の添加により焼入性を向上さ
せる効果を有する。この効果を発揮させるためには、
0.0003wt%以上の添加が必要であるが、0.0
020wt%を超える場合は、B化合物による靭性の劣
化を招く。
粗大化を防止し、また圧延時の細粒化、焼戻し処理時の
析出強化等に有効な元素である。これらの効果を発揮す
るためには、0.005wt%以上の添加を必要とす
る。しかし、0.06wt%を超える添加はHAZ靭性
を劣化させる。Bは、微量の添加により焼入性を向上さ
せる効果を有する。この効果を発揮させるためには、
0.0003wt%以上の添加が必要であるが、0.0
020wt%を超える場合は、B化合物による靭性の劣
化を招く。
【0016】Caは、MnSを球状化することにより、
靭性を向上させる。この効果を発揮させるためには、
0.0005wt%以上の添加が必要であるが、0.0
040wt%を超える場合は、酸化系介在物の増大を招
き、靭性の劣化を来す。REM(希土類元素)は、Ca
と同様の機構により靭性を向上させる。この効果を発揮
させるためには、0.001wt%以上の添加が必要で
あるが、0.020wt%を超える場合は酸化系介在物
の増大を招き、靭性の劣化を来す。
靭性を向上させる。この効果を発揮させるためには、
0.0005wt%以上の添加が必要であるが、0.0
040wt%を超える場合は、酸化系介在物の増大を招
き、靭性の劣化を来す。REM(希土類元素)は、Ca
と同様の機構により靭性を向上させる。この効果を発揮
させるためには、0.001wt%以上の添加が必要で
あるが、0.020wt%を超える場合は酸化系介在物
の増大を招き、靭性の劣化を来す。
【0017】次に、熱処理条件等の限定理由について述
べる。スラブ加熱温度は、1000〜1300℃の温度
範囲にすることが好ましい。この理由は、添加成分を十
分に固溶するには1000℃以上の温度が必要であり、
一方、1300℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化
し、その後の圧延によっても粗粒化が促進されずに靭性
が劣化するからである。このため、1000〜1300
℃の温度範囲内に加熱することが好ましい。
べる。スラブ加熱温度は、1000〜1300℃の温度
範囲にすることが好ましい。この理由は、添加成分を十
分に固溶するには1000℃以上の温度が必要であり、
一方、1300℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化
し、その後の圧延によっても粗粒化が促進されずに靭性
が劣化するからである。このため、1000〜1300
℃の温度範囲内に加熱することが好ましい。
【0018】また、熱間圧延においては、高強度かつ高
靭性を得るために、加工歪を導入することが好ましい。
そこで、加工歪みを効果的に導入するために、好ましく
は、900℃以下Ar3 点以上での圧下率を40%以
上、かつ圧延仕上温度の上限を900℃とする。上記の
圧延工程を経た鋼板は、マルテンサイト変態開始温度
(Ms点)直上まで急冷して室温まで徐冷することによ
りベイナイト組織に変態される。この処理は、例えばM
s点直上まで水冷し、その後室温まで空冷することによ
り行う。
靭性を得るために、加工歪を導入することが好ましい。
そこで、加工歪みを効果的に導入するために、好ましく
は、900℃以下Ar3 点以上での圧下率を40%以
上、かつ圧延仕上温度の上限を900℃とする。上記の
圧延工程を経た鋼板は、マルテンサイト変態開始温度
(Ms点)直上まで急冷して室温まで徐冷することによ
りベイナイト組織に変態される。この処理は、例えばM
s点直上まで水冷し、その後室温まで空冷することによ
り行う。
【0019】本発明者らは、表1の化学成分を有する鋼
を用いて上記の条件で熱間圧延し、その後水冷を開始し
Ms点直上で水冷を停止した鋼板の焼戻し特性を調べ、
従来のMs点以下で水冷を停止したものに比べ、焼戻し
条件に対する強度の感受性が鈍いことを見いだした。そ
の例を図1,図2に示す。図1は、Ms点以下で水冷を
停止した鋼の焼戻し特性を示すグラフ、図2は、Ms点
直上で水冷を停止した鋼の焼戻し特性を示すグラフであ
る。図1,図2からわかるように、板厚テーパー鋼板に
おいては、Ms点直上で水冷を停止することにより、冷
却速度が速い、板厚の薄い部分の焼戻し特性を、板厚の
厚い部分の焼戻し特性に近づけることができ、板厚テー
パー鋼板の各部分の焼戻し後の引張強度をほぼ均一にす
ることが可能となる。また、板厚の異なる鋼板において
は、冷却速度が速い、薄い板厚の鋼板の焼戻し特性を、
厚い板厚の鋼板の焼戻し特性に近づけることができ、薄
い板厚の鋼板と厚い板厚の鋼板を同一熱処理条件で焼戻
ししても、焼戻し後の引張強度をほぼ等しくすることが
できる。ここで、冷却停止温度はマルテンサイト変態が
開始しない、Ms点の直上とすることが強度保証の面か
らも好ましいが、実操業での板温度の制御技術などを考
慮してMs点〜Ms点+(50〜100℃)の範囲内と
するのが望ましい。
を用いて上記の条件で熱間圧延し、その後水冷を開始し
Ms点直上で水冷を停止した鋼板の焼戻し特性を調べ、
従来のMs点以下で水冷を停止したものに比べ、焼戻し
条件に対する強度の感受性が鈍いことを見いだした。そ
の例を図1,図2に示す。図1は、Ms点以下で水冷を
停止した鋼の焼戻し特性を示すグラフ、図2は、Ms点
直上で水冷を停止した鋼の焼戻し特性を示すグラフであ
る。図1,図2からわかるように、板厚テーパー鋼板に
おいては、Ms点直上で水冷を停止することにより、冷
却速度が速い、板厚の薄い部分の焼戻し特性を、板厚の
厚い部分の焼戻し特性に近づけることができ、板厚テー
パー鋼板の各部分の焼戻し後の引張強度をほぼ均一にす
ることが可能となる。また、板厚の異なる鋼板において
は、冷却速度が速い、薄い板厚の鋼板の焼戻し特性を、
厚い板厚の鋼板の焼戻し特性に近づけることができ、薄
い板厚の鋼板と厚い板厚の鋼板を同一熱処理条件で焼戻
ししても、焼戻し後の引張強度をほぼ等しくすることが
できる。ここで、冷却停止温度はマルテンサイト変態が
開始しない、Ms点の直上とすることが強度保証の面か
らも好ましいが、実操業での板温度の制御技術などを考
慮してMs点〜Ms点+(50〜100℃)の範囲内と
するのが望ましい。
【0020】
【表1】
【0021】上述したように、本発明では、熱間圧延後
に高温に保持された鋼板を直接焼入れするにあたり、M
s点直上で急冷を停止することにより、ベイナイト変態
組織の状態で焼入れ処理を終了することになる。したが
って焼入れ処理後に行う焼戻し処理における条件(温度
や保持時間)を種々に変化させても焼戻し後の引張強度
の変化が小さくなり、板厚の厚い部分と薄い部分の焼戻
し特性をほぼ均一化することができる。そのため板厚テ
ーパー鋼板の焼戻し後の引張強度をほぼ均一にすること
が可能となる。また、上述したように、冷却速度が速
い、薄い板厚の鋼板の焼戻し特性を、厚い板厚の鋼板の
焼戻し特性に近づけることができるので、両者を同一熱
処理条件で焼戻しすることが可能となる。このため、板
厚の異なる同一化学成分の鋼板を同一ロットで焼戻し処
理することが可能となり、焼戻しの操業におけるチャン
スフリーが達成され熱処理能率が向上する。なお、通常
の焼戻し処理無し材(TMCP鋼)で適用している制御
技術、すなわち低温加熱や末再結晶域圧延+二層域圧延
の技術を利用することにより従来方法と同等以上の優れ
た靭性を得ることができる。
に高温に保持された鋼板を直接焼入れするにあたり、M
s点直上で急冷を停止することにより、ベイナイト変態
組織の状態で焼入れ処理を終了することになる。したが
って焼入れ処理後に行う焼戻し処理における条件(温度
や保持時間)を種々に変化させても焼戻し後の引張強度
の変化が小さくなり、板厚の厚い部分と薄い部分の焼戻
し特性をほぼ均一化することができる。そのため板厚テ
ーパー鋼板の焼戻し後の引張強度をほぼ均一にすること
が可能となる。また、上述したように、冷却速度が速
い、薄い板厚の鋼板の焼戻し特性を、厚い板厚の鋼板の
焼戻し特性に近づけることができるので、両者を同一熱
処理条件で焼戻しすることが可能となる。このため、板
厚の異なる同一化学成分の鋼板を同一ロットで焼戻し処
理することが可能となり、焼戻しの操業におけるチャン
スフリーが達成され熱処理能率が向上する。なお、通常
の焼戻し処理無し材(TMCP鋼)で適用している制御
技術、すなわち低温加熱や末再結晶域圧延+二層域圧延
の技術を利用することにより従来方法と同等以上の優れ
た靭性を得ることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の高張力鋼板の製造方法の一実
施例を説明する。 [第1実施例]上記の表1に示す各成分組成の板厚テー
パ鋼板を、表2に示す各条件に従ってスラブ加熱、熱間
圧延および焼入れを行った。このようにして得られた各
板厚テーパ鋼板からそれぞれ試験片を採取して引張試験
に供した。その結果を表2に併記する。
施例を説明する。 [第1実施例]上記の表1に示す各成分組成の板厚テー
パ鋼板を、表2に示す各条件に従ってスラブ加熱、熱間
圧延および焼入れを行った。このようにして得られた各
板厚テーパ鋼板からそれぞれ試験片を採取して引張試験
に供した。その結果を表2に併記する。
【0023】
【表2】
【0024】表2に示すように板厚が15mmの部分と
30mmの部分における引張強度は、比較例ではその偏
差が50〜80Mpaであるのに対し、本発明による鋼
板ではその偏差が30Mpaとなり極めて均一な特性が
得られた。このように、上記実施例では、化学成分が限
定された板厚テーパ鋼板に所定の熱処理を施したので、
焼入れ後に行う焼戻しの条件(温度や保持時間)を種々
に変化させても焼戻し後の強度変化が小さくなり、板厚
の厚い部分と薄い部分の焼戻し特性をほぼ均一化でき、
板厚が異なる部分の引張強度の差が少ない板厚テーパ高
張力鋼板を製造することができる。 [第2実施例]表1に示す各成分組成の鋼板を表3に示
す各条件に従ってスラブ加熱、熱間圧延および直接焼入
れを行い、その後、各鋼種各条件毎に同一熱処理条件に
て焼戻しを実施した。このようにして得られた各鋼板か
らそれぞれ試験片を採取し引張試験に供した。その結果
を表3に併記する。表3では、試験No.1と試験N
o.2の組み合わせ、試験No.3と試験No.4の組
み合わせのように、番号の若い順の組み合わせ毎に、冷
却速度と板厚が異なる組み合わせになっている。
30mmの部分における引張強度は、比較例ではその偏
差が50〜80Mpaであるのに対し、本発明による鋼
板ではその偏差が30Mpaとなり極めて均一な特性が
得られた。このように、上記実施例では、化学成分が限
定された板厚テーパ鋼板に所定の熱処理を施したので、
焼入れ後に行う焼戻しの条件(温度や保持時間)を種々
に変化させても焼戻し後の強度変化が小さくなり、板厚
の厚い部分と薄い部分の焼戻し特性をほぼ均一化でき、
板厚が異なる部分の引張強度の差が少ない板厚テーパ高
張力鋼板を製造することができる。 [第2実施例]表1に示す各成分組成の鋼板を表3に示
す各条件に従ってスラブ加熱、熱間圧延および直接焼入
れを行い、その後、各鋼種各条件毎に同一熱処理条件に
て焼戻しを実施した。このようにして得られた各鋼板か
らそれぞれ試験片を採取し引張試験に供した。その結果
を表3に併記する。表3では、試験No.1と試験N
o.2の組み合わせ、試験No.3と試験No.4の組
み合わせのように、番号の若い順の組み合わせ毎に、冷
却速度と板厚が異なる組み合わせになっている。
【0025】
【表3】
【0026】表3に示すように、比較例の板厚15mm
の鋼板と板厚30mmの鋼板の引張強度の差は50〜8
0Mpaであるのに対し、実施例の同じ条件の鋼板では
その差が30Mpaとなり、同一熱処理条件でも引張強
度の差が少ないことが判明した。このように、化学成分
が限定された板厚の異なる鋼板に所定の熱処理を施した
ので、焼戻し条件に対する各鋼板の引張強度の感受性を
鈍くすることができる。このため、薄い板厚の鋼板の焼
戻し特性を、厚い板厚の鋼板の焼戻し特性に近づけるこ
とができ、両者を同一熱処理条件で焼戻しすることが可
能となる。この結果、板厚の異なる同一成分の鋼板を、
同一ロットで焼戻し処理することが可能となり、焼戻し
の操業におけるチャンスフリーが達成され、熱処理能率
が向上する。
の鋼板と板厚30mmの鋼板の引張強度の差は50〜8
0Mpaであるのに対し、実施例の同じ条件の鋼板では
その差が30Mpaとなり、同一熱処理条件でも引張強
度の差が少ないことが判明した。このように、化学成分
が限定された板厚の異なる鋼板に所定の熱処理を施した
ので、焼戻し条件に対する各鋼板の引張強度の感受性を
鈍くすることができる。このため、薄い板厚の鋼板の焼
戻し特性を、厚い板厚の鋼板の焼戻し特性に近づけるこ
とができ、両者を同一熱処理条件で焼戻しすることが可
能となる。この結果、板厚の異なる同一成分の鋼板を、
同一ロットで焼戻し処理することが可能となり、焼戻し
の操業におけるチャンスフリーが達成され、熱処理能率
が向上する。
【0027】なお、上記実施例においては600Mpa
鋼の場合について説明したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、700Mpa鋼や800Mpa鋼にも
適用できることは勿論である。
鋼の場合について説明したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、700Mpa鋼や800Mpa鋼にも
適用できることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明の高張力鋼板
の製造方法によれば、化学成分が限定された鋼に所定の
熱処理を施したので、焼入れ後に行う焼戻しの条件(温
度や保持時間)を種々に変化させても焼戻し後の引張強
度の変化が小さくなり、板厚が異なっても焼戻し特性を
ほぼ均一化でき、引張強度の差が小さい高張力鋼板を製
造できる。
の製造方法によれば、化学成分が限定された鋼に所定の
熱処理を施したので、焼入れ後に行う焼戻しの条件(温
度や保持時間)を種々に変化させても焼戻し後の引張強
度の変化が小さくなり、板厚が異なっても焼戻し特性を
ほぼ均一化でき、引張強度の差が小さい高張力鋼板を製
造できる。
【図1】Ms点以下で水冷を停止した鋼の焼戻し特性を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図2】Ms点直上で水冷を停止した鋼の焼戻し特性を
示すグラフである。
示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.03〜0.20wt% Si:0.05〜0.50wt% Mn:0.30〜2.50wt% Al:0.01〜0.10wt% N:0.007wt%以下 を含有し、 さらに、 Cu:0.05〜1.30wt% Ni:0.10〜10.0wt% Cr:0.05〜1.50wt% Mo:0.03〜0.50wt% V:0.01〜0.15wt% Nb:0.005〜0.06wt% B:0.0003〜0.0020wt% Ca:0.0005〜0.0040wt% 希土類元素:0.001〜0.020wt% からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、 Ar3 点以上の仕上温度で熱間圧延し、 Ar3 点以上の温度からマルテンサイト変態開始温度直
上まで急冷して室温まで徐冷することによりベイナイト
組織に変態させ、 Ac1 点以下の温度に焼き戻すことを特徴とする高張力
鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4391395A JPH08232016A (ja) | 1994-12-28 | 1995-03-03 | 高張力鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6-326678 | 1994-12-28 | ||
| JP32667894 | 1994-12-28 | ||
| JP4391395A JPH08232016A (ja) | 1994-12-28 | 1995-03-03 | 高張力鋼板の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08232016A true JPH08232016A (ja) | 1996-09-10 |
Family
ID=26383747
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4391395A Pending JPH08232016A (ja) | 1994-12-28 | 1995-03-03 | 高張力鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08232016A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012162801A (ja) * | 2011-01-18 | 2012-08-30 | Jfe Steel Corp | テーパプレートの製造方法 |
| WO2013108419A1 (ja) * | 2012-01-18 | 2013-07-25 | Jfeスチール株式会社 | テーパプレートの製造方法 |
-
1995
- 1995-03-03 JP JP4391395A patent/JPH08232016A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012162801A (ja) * | 2011-01-18 | 2012-08-30 | Jfe Steel Corp | テーパプレートの製造方法 |
| WO2013108419A1 (ja) * | 2012-01-18 | 2013-07-25 | Jfeスチール株式会社 | テーパプレートの製造方法 |
| CN104066858A (zh) * | 2012-01-18 | 2014-09-24 | 杰富意钢铁株式会社 | 楔形板材的制造方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20021217 |