JPH0824779A - 加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法

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JPH0824779A
JPH0824779A JP15873494A JP15873494A JPH0824779A JP H0824779 A JPH0824779 A JP H0824779A JP 15873494 A JP15873494 A JP 15873494A JP 15873494 A JP15873494 A JP 15873494A JP H0824779 A JPH0824779 A JP H0824779A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】短時間の積層接着時間で耐ブロッキング性が良
く、加熱時に接着性が高く、しかも接着後は高温環境下
でも十分な接着強度を発現する加熱接着用表面被覆電磁
鋼板が得られることを知見し本発明に至った。 【構成】電磁鋼板の少なくとも一方の表面に、(A)ガ
ラス転移温度が80℃以上の熱可塑性樹脂からなるエマ
ルジョンと、(B)エポキシ樹脂エマルジョン樹脂と、
(C)水性のフェノール樹脂と、必要によりさらに
(D)水性のアクリルシリコーン樹脂とを、含有する水
系塗料を乾燥膜厚み1〜10μmになるよう塗工機にて
塗布し、乾燥後、到達板温度が150℃〜300℃の範
囲内で加熱処理することを特徴とする加熱接着用表面被
覆電磁鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面被覆鋼板を打ち抜
き、剪断、プレス加工後に加圧および加熱により、複数
枚積層し接着して鉄芯等に用いられる表面被覆電磁鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、無方向性電磁鋼板を電気機器等の
鉄芯に積層して使用する場合は、まず電磁鋼板の表面に
渦電流を減少させるための絶縁被膜を施し、次いでそれ
を打抜きまたは切断加工後、積層しさらに溶接、かし
め、もしくは接着剤により固着して製造していた。しか
しながら、複数枚の表面被覆鋼板を溶接やかしめにより
固着させる方法は鉄芯のエッジ部が短絡して絶縁性が低
下したり、かしめ時の加工歪みにより鉄芯としての磁気
特性を満足しないといった問題がある。また、接着剤に
より固着させる方法も、単位鉄芯としての表面被覆鋼板
1枚毎に接着剤を塗布する必要があり、それゆえ作業性
が非常に悪く、さらに絶縁塗膜を施しているため、接着
力が十分ではないというような各種問題があった。
【0003】そこで、近年、加熱圧着により接着力を発
現する絶縁塗膜を施した表面被覆電磁鋼板の製造方法が
提案されている。この表面被覆電磁鋼板に要求される特
性としては、加圧・加熱接着性、耐ブロッキング性、打
ち抜き性、剪断性、プレス加工性および耐食性など数多
く挙げられる。これらの諸要求を満たすために数多くの
研究がなされ、加熱接着用表面被覆電磁鋼板の被膜組成
に関して多くの提案がなされている。
【0004】例えば、特公昭49−13318号公報に
は、熱可塑性エポキシ樹脂とベンゾグアナミン樹脂から
なる被膜を有する接着用電磁鋼板が、特公昭52−89
98号公報には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合樹脂
(フェノキシ樹脂とメタノール変性メラミン樹脂の混合
樹脂、フェノキシ樹脂とベンゾグアナミン樹脂の混合樹
脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂およびメラミン樹
脂からなる混合樹脂)からなる被膜を有する接着用表面
被覆電磁鋼板が、さらに、特開平2−38042号公報
には、熱可塑性アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびエポ
キシ樹脂硬化剤からなる混合樹脂を被覆した鋼板が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た方法で得られる接着用表面被覆電磁鋼板は、加圧加熱
接着後の常温における接着強度は良好なものの、高温下
の接着強度は必ずしも十分とはいえないものであった。
あるいは、十分な高温接着強度を得るために、接着時間
を長時間必要とする、もしくは接着後に熱処理する必要
があるなど、作業性に劣るものであった。具体的には、
特公昭49−13318号公報では、実施例から明らか
なように、130℃での接着強度が18kg/cm2
あり、しかも接着するために130℃で24時間の加圧
積層時間を要していた。また、特公昭52−8998号
公報では、十分な耐熱接着強度を得るために200℃で
3時間の加圧積層時間を要していた。特開平2−380
42号公報には、高温下での接着強度の記載がないが、
本発明者らの試験によると150℃においては接着性が
発現しなかった。
【0006】本発明の目的は、トランスやモーターなど
の鉄芯として用いられ、表面被膜を絶縁被膜として使用
する電磁鋼板を製造するにあたり、複数枚の表面処理鋼
板を積層して接着した後に150℃程度の高温環境下に
晒された場合においても十分な接着強度を発現し、か
つ、この接着特性を短時間(1分程度)の積層接着時間
で達成し、さらに、耐ブロッキング性などを接着用表面
被覆電磁鋼板に要求される他の特性をも同時に満足する
加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行なった結果、特定の水系
塗料を用いて特定の工程により絶縁被膜を形成すると短
時間の積層接着時間で耐ブロッキング性が良く、加熱時
に接着性が高く、しかも接着後は高温環境下でも十分な
接着強度を発現する加熱接着用表面被覆電磁鋼板が得ら
れることを知見し本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、電磁鋼板の少なくと
も一方の表面に、(A)ガラス転移温度が80℃以上の
熱可塑性樹脂からなるエマルジョンと、(B)エポキシ
樹脂エマルジョン樹脂と、(C)水性のフェノール樹脂
とを、含有する水系塗料を乾燥膜厚み1μm〜10μm
になるよう塗工機にて塗布し、乾燥後、到達板温度が1
50℃〜300℃の範囲内で加熱処理することを特徴と
する加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製造方法である。
【0009】また、電磁鋼板の少なくとも一方の面に、
(A)ガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性樹脂から
なるエマルジョンと、(B)エポキシ樹脂エマルジョン
樹脂と、(C)水性のフェノール樹脂と、(D)水性の
アクリルシリコーン樹脂とを、含有する水系塗料を乾燥
膜厚み1μm〜10μmになるよう塗工機にて塗布し、
乾燥後、到達板温度が150℃〜300℃の範囲内で加
熱処理することを特徴とする加熱接着用表面被覆電磁鋼
板の製造方法である。ここで、前記塗工機としてロール
コーターを用いる際の、前記水系塗料の粘度を4号フォ
ードカップ値で60秒〜200秒の範囲内に調整する製
造方法が好ましい。
【0010】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。まず、
本発明の被膜を形成する組成物である水系塗料(以下、
単に被覆組成物と略称する)につき説明する。
【0011】(A)成分である熱可塑性アクリルエマル
ジョン樹脂は、アクリル酸の炭素数1〜8のアルキルエ
ステルモノマー、メタクリル酸の炭素数1〜8のアルキ
ルエステルモノマー、スチレンモノマーもしくはこれら
モノマーの混合物からなり、さらに必要に応じアクリル
酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート等
の官能基含有モノマーを約10モル%以下含有せしめた
モノマー混合物を、得られるアクリル樹脂のガラス転移
温度(以下Tgという)が80℃以上好ましくは、80
℃〜150℃になるように適宜組み合わせて、通常の乳
化重合法により得られるものである。
【0012】なお、Tgが前記特定範囲より低いと、得
られる塗膜に粘着性が残り、例えば被覆鋼板をコイルと
して巻取る場合や積み重ねた時などにブロッキング現象
が起きやすくなり、かつそれが原因で塗膜が損傷するこ
とがあるので好ましくない。一方、Tgが200℃超の
場合には必然的に溶融、軟化する温度が高くなることか
ら、焼付温度を高く設定する必要を生じ、積層接着温度
の高温化をも必要とするため、作業性を低下させるので
好ましくない。
【0013】次に(B)成分であるエポキシエマルジョ
ン樹脂は、塗膜の鋼材に対する密着力、防錆力等を向上
させ、かつ積層鉄芯を加熱圧着した際、単位鉄芯間を強
力に接着させるために配合される。ここでいうエポキシ
樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する、
常温で液状もしくは固形のものである。具体的には、多
価アルコールや多価フェノールとハロヒドリンとを反応
させて得られるもので、ビスフェノールA型、ハロゲン
化ビスフェノールA型、ノボラック型、ポリグリコール
型、ビスフェノールF型、エポキシ化油等が挙げられ
る。
【0014】当該エポキシ樹脂は、エポキシ当量が約2
00〜1000のものが適当である。また、耐ブロッキ
ング性等を考慮して常温で固形のものの使用が望まし
い。具体的な市販品としては、エピコート#828、#
1001、#1004、#1007(以上、油化シェル
エポキシ社製商品名);D.E.R.511−A80、
732(以上ダウケミカル社製商品名);YD−01
1、001、001Z、012、014、ST−508
0、5100、YDCN−701、702、703、7
04、YDPN−638(以上、東都化成社製商品名)
等が代表的なものとして挙げられる。
【0015】エポキシエマルジョン樹脂は、これらエポ
キシ樹脂を乳化剤の存在下で通常の強制乳化方式により
製造される。なお使用する乳化剤は、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェノールエーテル系ノニオン界面活性剤、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリ
エーテル類、あるいはこれらとジイソシアネート化合物
との付加物を単独、もしくはブレンドして使用するのが
望ましい。
【0016】本発明において使用される(C)成分であ
る水性フェノール樹脂は、焼付け時および加熱圧着時に
(A)成分および(B)成分と反応し、3次元の架橋を
することにより塗膜のTgを向上させるために配合され
る。
【0017】フェノール樹脂は、p−クレゾール、o−
クレゾール、p−tertブチルフェノール、p−エチ
ルフェノール、ビスフェノールA、p−フェニルフェノ
ール、2,3−キシレノールのようなフェノール類とホ
ルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドのようなア
ルデヒド類とを塩基性触媒または酸性触媒下で公知の方
法で反応させて得られる樹脂である。フェノール樹脂
は、ノボラック型とレゾール型等が挙げられるが、
(A)成分および(B)成分との反応性を考慮してレゾ
ール型を使用するのが望ましい。
【0018】市販品としては、ヒタノール7007H
(日立化成工業社製商品名);ユカレジンKE−91
0、911、912(以上、吉村油化学社製商品名);
タマノール722、771(以上、荒川化学工業社製商
品名);PL−2761、2975(以上、群栄化学工
業社製商品名);BRE−174、CKE−2370
(以上、昭和高分子社製商品名);プライオーフェン4
302(以上、大日本インキ化学工業社製商品名)等が
代表的なものとして挙げられる。水性フェノール樹脂
は、これらフェノール樹脂を乳化剤の存在下で通常の強
制乳化方法により製造される。
【0019】(C)成分以外で(A)成分および(B)
成分と反応し、3次元の架橋をするものとして、アミノ
樹脂やベンゾグアナミン樹脂等が挙げられるが、これら
の樹脂は塗膜表面に配向して架橋を起こすため、接着性
の低下を起こし不適当である。
【0020】本発明において使用される(D)成分であ
る水性アクリルシリコーン樹脂は、焼付け時にアルコキ
シシリル基の縮合反応により、分子間に安定なシロキサ
ン結合を形成するため高温時の接着性を向上させるため
に配合される。
【0021】アクリルシリコーン樹脂は、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、それらの誘導体と架橋成分である
アルコキシシリル基を含有するモノマーとの共重合によ
り得られるアクリル系共重合体である。
【0022】前記アクリル酸またはメタクリル酸の誘導
体としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルな
どが挙げられる。
【0023】前記アルコキシシリル基を含有するモノマ
ーとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチル
エトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、メ
チルジエトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシランなどが挙げられる。
【0024】アルコキシシリル基含有アクリル系共重合
体は、たとえば、遷移金属等の触媒下で公知の方法によ
り反応させて得られる樹脂である。市販品としては、カ
ネビノールKD−3、4、5、20、30(以上カネボ
ウNSC社製商品名);LX−854A1(ヘキスト合
成社製商品名)等が代表的なものとして挙げられる。水
性アクリルシリコール樹脂は、これらアクリルシリコー
ン樹脂を乳化剤の存在下で通常の強性乳化方法または通
常の溶媒置換方法等により製造される。
【0025】本発明で使用する被覆組成物は以上の
(A)〜(C)成分または(A)〜(D)成分を結合剤
とし、さらに必要に応じ、着色顔料、体質顔料、防錆顔
料あるいは消泡剤、表面調整剤、増粘剤、顔料分散剤、
防錆剤等の各種添加剤を配合したものからなるものであ
る。
【0026】なお被覆組成物において、(A)成分、
(B)成分及び(C)成分の樹脂固形分重量割合は、
(A)成分100重量部に対して(B)成分3〜80好
ましくは5〜60重量部、(C)成分は3〜100好ま
しくは5〜60重量部配合するのが適当である。(B)
成分が前記範囲より少ないと、塗膜の基材に対する密着
力が弱いため接着力が弱い。逆に(B)成分が多過ぎる
と、加熱圧着する前の塗膜の物性が悪くなり、また加熱
圧着時に(A)成分の熱融着を阻害するため接着力が弱
い。
【0027】また(C)成分が前記範囲より少ないと、
架橋による3次元構造が少ないため、高温時(150
℃)での接着力が弱い。逆に(C)成分が多過ぎると、
架橋の進み過ぎにより、塗膜のTgが高くなり、加熱圧
着時の熱融着が阻害されるため接着力が弱い。
【0028】本発明の別の態様の被覆組成物において、
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の
樹脂固形分重量割合は、(A)成分100重量部に対し
て、(B)成分3〜80好ましくは5〜60重量部、
(C)成分は3〜100好ましくは5〜60重量部、
(D)成分は3〜80好ましくは5〜60重量部配合す
るのが適当である。
【0029】(B)成分が前記範囲より少ないと、塗膜
の基材に対する密着力が弱いため、接着力が低下する。
逆に(B)成分が多過ぎると、加熱圧着する前の塗膜の
物性が悪くなり、また加熱圧着時に(A)成分の熱融着
を阻害するため接着力が弱い。
【0030】また、(C)成分が前記範囲より少ない
と、架橋による3次元構造が少ないため、高温時(15
0℃)での接着力が弱い。逆に(C)成分が多過ぎる
と、架橋の進み過ぎにより塗膜のTgが高くなり、加熱
圧着時の熱融着が阻害されるため、接着力が弱い。
【0031】また、(D)成分が前記範囲より少ない
と、アルコキシシリル基の縮合反応により形成される安
定なシロキサン結合が少ないため、高温時(150℃)
での接着力が弱い。逆に(D)成分が多過ぎると、アル
コキシシリル基の縮合反応が進み過ぎ、加熱圧着する前
の塗膜の物性が悪くなるとともに、加熱圧着時に(A)
成分の熱融着を阻害するため接着力が弱い。
【0032】本発明に用いる基板は鋼板、特に電磁鋼板
である。この電磁鋼板には予め絶縁被覆が施されていて
もよい。なお、本発明に用いる基板として電磁鋼板以外
にも軟鋼板、ステンレス鋼板ならびに、特殊鋼板の熱間
圧延板および冷間圧延板のいずれを使用しても、すなわ
ち基地鋼板を特に限定しなくても、本発明の効果を得る
ことができる。この電磁鋼板は所望の板厚に冷間圧延し
た後、優れた磁気特性を得るために、所定の温度で連続
焼鈍を施し、引続き鋼板表面に上記の被覆組成物を塗布
する方法が工業的に採用される製造方法である。
【0033】冷間圧延後の表面粗度は通常約0.2μm
前後で平滑な表面であるが、安定して高い接着強度を得
るには酸洗や砥粒入り回転ブラシ等で鋼板表面に微細な
凹凸を加えることが望ましい。
【0034】本発明においては、この電磁鋼板の少なく
とも一方の表面に前記組成物を均一に塗布し、これを所
定の温度での熱処理で焼付けして鋼板表面に被膜を形成
する方法である。塗布方法としてはロールコーター、カ
ーテンフローコーター、スプレー塗布、スクイズコータ
ーなどの方法が利用でき、特に限定するものではない。
鋼板表面に均一に塗布するには適正な粘度調整が必要で
ある。
【0035】粘度は温度依存性が大きいので、高粘度の
組成物は加温することにより調整が可能である。工業的
には塗布設備に組込まれた温調設備のタンク内で被覆組
成物を加温又は冷却して適正な粘度を維持しながら塗布
する。
【0036】粘度の好適範囲は塗布方法によるが、例え
ばロールコーターを用いた場合の粘度は4号フォードカ
ップ値で60秒〜200秒好ましくは80秒〜150秒
が望ましい。60秒未満ではかすれ模様が発生しやす
く、200秒超では高粘度に起因する塗布方向の帯模様
が発生しやすい。焼付方法としては、熱風乾燥炉、誘導
加熱炉、抵抗加熱炉などの公知の焼付炉が利用でき特に
限定されない。焼付後の被膜の乾燥膜厚は、1μm〜1
0μm好ましくは3μm〜8μmが望ましい。膜厚が1
μm未満では接着強度が未達となることがあり、また、
膜厚が10μm超の場合は接着強度が飽和することによ
り非経済的となるほか、ブロッキングしやすくなるなど
の問題を生じることがある。
【0037】焼付温度は到達板温で150℃〜300℃
好ましくは200℃〜280℃が望ましい。150℃未
満では水性媒体の乾燥が不十分となって、接着時にふく
れが生じたり、架橋反応の進行(ゲル化率)が不足する
ことによって、ブロッキングを生じたり、最終的な架橋
反応率が不十分となることに起因して接着強度の未達を
招くことがある。一方、300℃超の場合には、焼付時
に架橋反応がほぼ完結してしまい、積層接着時にはもは
や溶融せず接着しなくなるので、焼付後の被膜のゲル化
率の好適な範囲は30%〜85%好ましくは50%〜8
0%である。なおこのゲル化率は焼付後の被覆鋼板をソ
ックスレー抽出器に、メチルエチルケトンを用いて2時
間抽出を行った後の残量から算出した。
【0038】本発明方法により得られる加熱接着用表面
被覆電磁鋼板で積層鉄芯を製造する際の接着条件は鉄芯
の大きさ等にもよるが、複数枚の電磁鋼板を積層し通常
圧力5〜100kg/cm2 、温度200℃〜300℃
の条件下で10秒〜200秒間加熱圧着するのが適当で
ある。このようにして表面被覆電磁鋼板を加熱圧着する
ことにより、被覆組成物の構成成分である(A)成分は
溶融状態になり、鉄板同志を強固に接着させ、接着強度
の高い積層鉄芯が得られる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、実施例における「部」、「%」は重量を基準
とする。
【0040】A成分:[熱可塑性アクリル樹脂エマルジ
ョン] 下記に示す組成の各モノマーの混合物を水中において、
通常の乳化重合方法によってエマルジョンを合成した。
なお、エマルジョン中の固形分は40%とした。 メチルメタクリレート:70部、 スチレン:22
部、アクリル酸 : 1部、 エチルアクリ
レート:7部 B成分:[エポキシ樹脂エマルジョン] ビスフェノールA型エポキシ樹脂/商品名:エポルジョ
ンEA55(メーカー名:カネボウNSC)、エマルジ
ョン中の固形分は55%である。 C成分:[水性フェノール樹脂] レゾール型フェノール樹脂/商品名:プライオーフェン
4302(メーカー名:大日本インキ化学工業)、エマ
ルジョン中の固形分は40%である。 D成分:[水性アクリルシリコーン樹脂] 商品名:カネビノールKD−5(メーカー名:カネボウ
NSC)、エマルジョン中の固形分は35%である。
【0041】なお、得られた電磁鋼板の性能評価は以下
の条件で行った。 (1)塗装作業性 塗装後焼付けた後、常温で被覆表面を目視により観測
し、表面が平滑均一の状態であれば塗装作業性良好と
し、塗布むら不均一の状態であれば不良とした。
【0042】(2)耐ブロッキング性 40×40mmに切断した塗装板の塗面同志を重ね合
せ、その外側に、クッション材とアルミニウム板を取付
け、万力で圧力(20kg/cm2 )をかけ、80℃、
24時間放置後のブロッキングの有無を調べた。 ○:ブロッキング無 ×:ブロッキング有
【0043】(3)耐食性 JISK5400に基づき塩水噴霧試験を行った。 ○:塗膜に異常がない場合 ×:点錆、フクレが発
生した場合
【0044】(4)接着強度(20℃) 20×50mmに切断した塗装板の塗面同志の重ね合わ
せ部が20×10mmになる様重ね、圧力20kg/c
2 で220℃、70秒間加熱圧着した。得られた接着
体について島津製作所社製「オートグラフS−2000
C」にて、接着体温度を20℃にして引張速度3mm/
分での剪断接着力の測定を行った。
【0045】(5)接着強度(150℃) 上記の接着強度の測定と同様にして、ただし、被着体温
度を150℃として剪断接着力の測定を行った。
【0046】(実施例1)前記A、B、Cの各成分を表
1に示す配合割合にて混合し、水を加えて粘度を100
秒(4号フォードカップ値/室温)に調整した。次に、
板厚0.5mm、表面粗さRa0.18μmの電磁鋼板
(C:0.02%およびSi:0.8%を含有し、残部
実質的にFeの組成からなる)の表面に上記調整済みの
塗料を乾燥膜厚みが5μmになるようにロールコーター
を用いて塗布した。その後、乾燥してから、熱風乾燥炉
にて到達板温度が220℃になるように焼付けした。塗
布時の塗装作業性および得られた接着用電磁鋼板の性能
を表2に示す。
【0047】(実施例2)前記A、B、C、Dの各成分
を表1に示す配合割合にて混合し、水を加えて粘度を1
25秒(4号フォードカップ値/室温)に調整した。次
に、板厚0.5mm、表面粗さRa0.18μmの電磁
鋼板(C:0.02%およびSi:0.8%を含有し、
残部実質的にFeの組成からなる)の表面に上記調整済
みの塗料を乾燥膜厚みが7μmになるようにロールコー
ターを用いて塗布した。その後、乾燥してから、熱風乾
燥炉にて到達板温度が250℃になるように焼付けし
た。塗布時の塗装作業性および得られた接着用電磁鋼板
の性能を表2に示す。
【0048】(実施例3)前記A、B、Cの各成分を表
1に示す配合割合にて混合し、水を加えて粘度を130
秒(4号フォードカップ値/室温)に調整した。次に、
板厚0.5mm、表面粗さRa0.18μmの電磁鋼板
(C:0.02%およびSi:0.8%を含有し、残部
実質的にFeの組成からなる)の表面に上記調整済みの
塗料を乾燥膜厚みが6μmになるようにロールコーター
を用いて塗布した。その後、乾燥してから、熱風乾燥炉
にて到達板温度が200℃になるように焼付けした。塗
布時の塗装作業性および得られた接着用電磁鋼板の性能
を表2に示す。
【0049】(比較例1)電磁鋼板の塗布する塗料の粘
度を30秒に調整し、乾燥膜厚みが0.8μmになるよ
うにロールコーターを用いて塗布した以外は、実施例1
と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電
磁鋼板の性能を表2に示した。
【0050】(比較例2)電磁鋼板に塗布する塗料の粘
度を215秒に調整し、乾燥膜厚みが11μmになるよ
うにロールコーターを用いて塗布した以外は、実施例1
と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電
磁鋼板の性能を表2に示した。
【0051】(比較例3)熱風乾燥炉にて到達板温度が
315℃になるように焼付けした以外は、実施例1と同
様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼
板の性能を表2に示した。
【0052】(比較例4)熱風乾燥炉にて到達板温度が
140℃になるように焼付けした以外は、実施例1と同
様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼
板の性能を表2に示した。
【0053】(比較例5)電磁鋼板に塗布する塗料の粘
度を35秒に調整し、乾燥膜厚みが0.6μmになるよ
うにロールコーターを用いて塗布した以外は、実施例2
と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電
磁鋼板の性能を表2に示した。
【0054】(比較例6)電磁鋼板に塗布する塗料の粘
度を220秒に調整し、乾燥膜厚みが13μmになるよ
うにロールコーターを用いて塗布した以外は、実施例2
と同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電
磁鋼板の性能を表2に示した。
【0055】(比較例7)熱風乾燥炉にて到達板温度が
315℃になるように焼付けした。以外は、実施例2と
同様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁
鋼板の性能を表2に示した。
【0056】(比較例8)熱風乾燥炉にて到達板温度が
140℃になるように焼付けした以外は、実施例2と同
様に製造し、塗布時の塗装作業性および得られた電磁鋼
板の性能を表2に示した。
【0057】(比較例9) A成分:[熱可塑性アクリル樹脂エマルジョン] 下記に示す組成の各モノマーの混合物を水中において、
通常の乳化重合方法によってエマルジョンを合成した。
なお、エマルジョン中の固形分は45%とした。 メチルメタクリレート:49部、 スチレン
:15部、アクリル酸 : 1部、 エチ
ルアクリレート:25部、ヒドロキシエチルメタクリレ
ート:10部 B成分:[エポキシ樹脂エマルジョン] ビスフェノールA型エポキシ樹脂/商品名:エポルジョ
ンEA55(メーカー名:カネボウNSC)、エマルジ
ョン中の固形分は55%である。 C成分:[水性フェノール樹脂] レゾール型フェノール樹脂/商品名:プライオーフェン
4302(メーカー名:大日本インキ化学工業)、エマ
ルジョン中の固形分は40%である。前記A、B、Cの
各成分を表1に示す実施例1と同様の配合割合にて混合
し、水を加えて粘度を110秒(4号フォードカップ値
/室温)に調整した。
【0058】次に、板厚0.5mm、表面粗さRa0.
18μmの電磁鋼板(C:0.02%およびSi:0.
8%を含有し、残部実質的にFeの組成からなる)の表
面に上記調整済みの塗料を乾燥膜厚みが5μmになるよ
うにロールコーターを用いて塗布した。その後、乾燥し
てから、熱風乾燥炉にて到達板温度が220℃になるよ
うに焼付けした。塗布時の塗装作業性および得られた接
着用電磁鋼板の性能を表2に示す。
【0059】
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】本発明の製造方法は、特定の水系熱接着
型絶縁性被覆組成物を特定の工程により使用している。
そのため鋼板に対し単に塗装することにより、平滑でハ
ジキ等のない塗膜が得られ、また得られた塗膜は耐食
性、耐水性等に優れ、かつブロッキング等が生じにくい
というような従来の塗料に具備されていた機能を充分有
している。さらに、任意の必要な時期に、被覆電磁鋼板
を加工して所望形状の単位鉄芯を作り、それを積重ね、
高温で加熱圧着することにより、強固な接着力を発現さ
せることが可能である。
【0062】従って、鉄芯製造に、従来法の如く溶接工
程あるいは接着剤塗布工程が不要となり、工程の省力
化、コストダウンなどが達成でき、さらに高温領域で接
着力の高い積層接着電磁鋼板の製造を可能とした本発明
の製造方法は、積層鉄芯用材料の製造方法として実用的
価値極めて大なるものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼ 野 茂 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社ハイテク研究所内 (72)発明者 小 林 秀 夫 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社東京本社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁鋼板の少なくとも一方の表面に、 (A)ガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性樹脂から
    なるエマルジョンと、 (B)エポキシ樹脂エマルジョン樹脂と、 (C)水性のフェノール樹脂とを、含有する水系塗料を
    乾燥膜厚み1μm〜10μmになるよう塗工機にて塗布
    し、乾燥後、到達板温度が150℃〜300℃の範囲内
    で加熱処理することを特徴とする加熱接着用表面被覆電
    磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】電磁鋼板の少なくとも一方の面に、 (A)ガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性樹脂から
    なるエマルジョンと、 (B)エポキシ樹脂エマルジョン樹脂と、 (C)水性のフェノール樹脂と、 (D)水性のアクリルシリコーン樹脂とを、含有する水
    系塗料を乾燥膜厚み1μm〜10μmになるよう塗工機
    にて塗布し、乾燥後、到達板温度が150℃〜300℃
    の範囲内で加熱処理することを特徴とする加熱接着用表
    面被覆電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記塗工機としてロールコーターを用いる
    際の、前記水系塗料の粘度を4号フォードカップ値で6
    0秒〜200秒の範囲内に調整することを特徴とする請
    求項1または2記載の加熱接着用表面被覆電磁鋼板の製
    造方法。
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