JPH08252089A - 水素ガス生産菌およびその保持方法 - Google Patents

水素ガス生産菌およびその保持方法

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JPH08252089A
JPH08252089A JP7083471A JP8347195A JPH08252089A JP H08252089 A JPH08252089 A JP H08252089A JP 7083471 A JP7083471 A JP 7083471A JP 8347195 A JP8347195 A JP 8347195A JP H08252089 A JPH08252089 A JP H08252089A
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hydrogen gas
hydrogen
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bacterium
gas
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JP7083471A
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Naoaki Kataoka
直明 片岡
Koichi Kiriyama
光市 桐山
Taisuke Toya
泰典 遠矢
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Ebara Corp
Ebara Research Co Ltd
Original Assignee
Ebara Corp
Ebara Research Co Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 高い水素分圧環境下において優れた水素ガス
生産能を発現することができ、特に分離起源が穀物類で
あることを特徴とするクロストリジウム・ブチリカム
(Clostridium butyricum)、および該菌を芽胞形成状
態にて穀物類表面で水素ガス生産能力を低下させること
なく長期間安定に保持する該菌の保持方法。 【効果】 高い水素分圧環境下において優れた水素ガス
生産能を発現することができ工業的に有用な菌であり、
この菌を保持方法は培養装置の事故あるいは改善等によ
って当該微生物が空気接触や高温環境および乾操状態に
直面しても直ちに死滅することがなく、水素発酵工程で
微生物の取り扱いが容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素エネルギー回収型
廃棄物有効利用を目的とし、産業上有用な水素ガス生産
細菌を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】水素は、単位重量当りの発熱エネルギー
が石油の3倍も高く、熱エネルギーや電気エネルギーに
も効率よく変換できるなどのエネルギーの媒体としても
優れた性質を持つことから、21世紀の理想のクリーン
エネルギーと目されている。水素の生産には水の電気分
解や天然ガスの水蒸気改質等、種々の方法が提案されて
いる。中でも微生物を利用した方法は、バイオマスや有
機性廃棄物など再生産可能な資源を利用することがで
き、また、未利用の有機資源を有効に利用していくこと
も可能である。さらには、微生物反応は常温、常圧で行
えることから、簡便なプロセスで水素の生産に応用して
行けることが特長としてあげられる。
【0003】水素ガスを生産する微生物には、光合成微
生物と非光合成微生物とに大別される。水素ガスを生産
する光合成微生物としては、1つは水の分解能を持ち、
酸素発生型の光合成を行う微生物で、クラミドモナス
ラインハルディ (Chlamidomonas reinhardti) 、クロレ
ラ プロトテコイデス(Chlorella protothecoides)、ク
ロレラ バルガリス(Chlorella vulgaris)、セネデスム
ス オブリクアス(Scenedesmus obliquus)等の緑藻類
や、アネバエナ シリンドリカ(Anabaena cylindlic
a)、オシラトリア属(Oscillatoria sp.) BG-7 、マスチ
ゴクラドウス ラミノサス(Mastigocladus laminosus)
、シネココックス属(Synechococcus sp.) BG43511等の
藍藻類において古くから知られている。他の1つは、有
機物を資化する過程で余剰の水素をガスとして放出する
光合成細菌であり、ロドスピリルム ルブラム(Rhodosp
irillum rubrum)、ロドシュードモナス カプシュラー
タ(Rhodopseudomonas capsulata)、ロドシュードモナス
スフェロイデス(Rhodopseudomonas sphaeroides)、ク
ロマチウム属(Chromatium sp.)、チオカプサ属(Thiocap
sasp.)等が知られている。しかしながら、それらを用い
た水素生産法では光エネルギーの利用効率の問題や培養
装置の価格、維持管理の難しさ等、水素エネルギーの生
産法としては解決しなければならない問題点も多く、実
用的なレベルではない。特に、緑藻類や藍藻類の水素生
産性は光合成細菌に比べて一桁も低く、現状では実用化
に到る水素生産レベルではない。
【0004】一方、水素ガスを生産する非光合成微生物
は、エシェリキア コリ(Escherichia coli)やクレブシ
エラ ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エンテ
ロバクター(Enterobacter)属等の通性嫌気性細菌や、嫌
気性細菌であるクロストリジウム(Clostridium)属、さ
らには、窒素固定細菌であるアゾトバクター クロオコ
ッカム(Azotobacter chroococcum)において知られてい
る。この内、嫌気性細菌や通性嫌気性細菌は糖類、有機
酸、アミノ酸、タンパク質等の有機物を嫌気発酵して多
量の水素を生産できることが一般的に知られており、有
機性廃棄物から良く水素を生産することが可能である。
このような細菌としては、例えば、エンテロバクター
エロゲネス(Enterobacter aerogenes)(Tanisho S. et
al. 、 J. Chem. Engng. Japan.、第16巻、第529〜530
頁、1983年 ; Tanisho S. et al.、Int. J. Hydrogen E
nergy、第12巻、第623〜627頁、1987年)、クロストリ
ジウム ブチリカム(Clostridium butyricum) (Zeikus
I.G. , Ann. Rev. Microbiol.、第34巻、第423〜464
頁、1980年)、クロストリジウム バイファーメンタス
(Clostridium bifermentans)(特開平2-307599号公
報)、クロストリジウムベイエリンキイ(Clostridium b
eijerinckii)(Taguchi F. et al., J. Ferment.Bioen
g.、第73巻、第244〜245頁、1992年;Taguchi F. et a
l., Can. J. Microbiol., 第39巻、第726〜730頁、1993
年)、等が水素ガスを多く生産する細菌として知られて
いる。
【0005】これらの細菌群は有機物の嫌気分解過程に
おいて生ずる余剰電子のはけ口としてヒドロゲナーゼに
より水素を生産し、エネルギーの生産に伴う還元力の調
整を水素の発生により行っている。下式は、嫌気分解に
よりグルコースから各種の代謝産物を生成する際に発生
する水素の理論収量を示す(蓑田泰治、「バイオマス−
生物資源の高度利用−」、日本農芸化学会編集、朝倉書
店、第147〜164頁、1985年)。
【0006】 C6H12O6 →2CH3COCOOH(ピルビン酸)+2H2 C6H12O6+2H2O→2CH3COOH(酢酸)+2CO2+4H2 C6H12O6+H2O →CH3COCH3(アセトン)+3CO2+4H2 C6H12O6+H2O →CH3CHOHCH3(イソプロパノール)+3CO
2+3H2 C6H12O6 →CH3CHOHCOCH3(アセトイン)+2CO2+2H2 C6H12O6 →CH3CH2CH2COOH(酪酸)+2CO2+2H2 理論的には、最高の水素の生成は酢酸またはアセトン発
酵において得られ、一方、エタノール、乳酸、n−ブタ
ノールが生成される時は余剰電子が生じないため、水素
ガスの発生はないものとされている。
【0007】さらには、嫌気性細菌ではプロトン還元酵
素であるヒドロゲナーゼの作用によって水素ガスが発生
するが、水素分圧が高くなると水素生産を行う酵素系で
あるヒドロゲナーゼに活性阻害をもたらすために水素ガ
スの発生が続かなくなるということが知られている。水
素生成と発酵調節に関して、例えば、上木勝司と上木厚
子は「嫌気微生物学」(上木勝司・永井史郎編著、養賢
堂、1993年)にて、クロストリジウム ファラクス(Clo
stridium fallax)の例をとり、グルコース濃度を0.5
%以上にして培養した場合、グルコース消費量が増加す
るにも関わらず酢酸、酪酸、水素ガスの生成は生成量が
一定レベルに達すると停止し、グルコース消費量の増加
分は基本的に乳酸発酵にまわされることを述べている。
そして、このような発酵様式の変換の現象は、クロスト
リジウム アセトブチリカム(Clostridium acetobutyri
cum)やクロストリジウム ベイエリンキイ(Clostridium
beijerinckii)等の他のクロストリジウム(Clostridiu
m)属の細菌でも多く知られている。このような細菌での
水素ガスの発生を多くさせる方法として、上記のクロス
トリジウム ファラクス(Clostridium fallax)の培養槽
中にCO2を絶えず通気して生成した水素ガスを除去し
て培養すると乳酸発酵が行われないことを述べている
(上木勝司、「嫌気微生物学」、上木勝司・永井史郎編
著、養賢堂、第17〜50頁、1993年)。すなわ
ち、このような方法をとれば水素ガスの生産は顕著に増
大すると推察されるが、ガスを通気し続けなければなら
ないことから、培養装置の運転コストが相当高くなって
しまうという問題点があった。
【0008】さらには、微生物を用いた水素エネルギー
回収型廃棄物有効利用技術の構築のためには、嫌気性細
菌が水素ガスを生産する際に生成した有機酸類やアルコ
ール類をも有効利用して行く必要がある。従来の生物学
的技術において、その培養生産物からの水素ガスを生産
していく方法として、光合成細菌を利用する方法が広く
知られている。光合成細菌は、有機酸、糖質などの有機
物や硫化水素などの硫黄化合物を利用して生育すること
ができる。光合成細菌による有機酸からの水素生産で
は、基質特異性が強く、多くの菌株において酪酸、酢酸
を基質とするよりも、リンゴ酸や乳酸、コハク酸を基質
とした場合に最も高い水素生産性を示すことが報告され
ている(資源調査会微生物機能応用部会、「微生物機能
の高度利用及び新機能開発の将来展望、新変換機能小委
員会報告(資源調査会報告第114号別冊−1)」、科
学技術庁資源調査会、第201〜207頁、平成4年1
月31日)。例えば、リンゴ酸や乳酸を基質とした場
合、ロドシュードモナス カプシュラータ(Rhodopseudo
monas capsulata)では130〜168μl/h・mg dry
cell wt、ロドシュードモナス スファロイデス(Rhodo
pseudomonas sphaeroides)では138〜262μl/h
・mgdry cell wtの水素ガスを生産することができる
(川村杉生、「微生物工学技術ハンドブック」、鈴木智
雄監修、朝倉書店、第320−332頁、1990
年)。
【0009】したがって、先に述べた様な高い水素ガス
分圧環境下においても優れた水素生産能を発現すること
の出来る微生物とそれによる水素ガス生産方法を提供す
る際には、嫌気性細菌の培養生産物をも水素ガスへ転換
する場合のことを考え合わせて、リンゴ酸あるいは乳酸
がその代謝産物に含まれることが望ましい。ただし、前
項でも述べたが、乳酸が生成される時は水素は発生しな
いことを認識しておく必要はある。このため、谷生(谷
生重晴、化学装置、1991年6月号、第104〜10
9頁)が述べているように、従来より知られている水素
生産性の高い嫌気性細菌の中では発酵生産物の1つに乳
酸を生成することのできる菌株の報告は少ない。クロス
トリジウム パーフリンジェス(Clostridium perfingen
s)の場合、2.14mol−水素ガス/1mol−グルコース
を生成することができ、かつ、発酵生産物の1つに乳酸
を生成するとの報告がある(0.33mol−乳酸/1mol
−グルコースを生成)。また、通性嫌気性細菌であるエ
シェリキア コリ(Escherichia coli)やエンテロバクタ
ー エロゲネス(Enterobacter aerogenes)等の場合、水
素ガスの生成と共に相当量のエタノールを生成してしま
う。例えば、エンテロバクター エロゲネス(Enterobac
ter aerogenes) E.82005で廃糖蜜を原料に回分培養した
場合、水素ガスを1.24mol/1mol−グルコース生成
すると共に乳酸も0.26mol/1mol−グルコース生成
したが、同時に0.74mol/1mol−グルコースものエ
タノールを生成していた(Tanisho S. et al., Hydrog.
Energy Progress 9th、第1巻、第583〜590頁、
1992年)。このため、その培養生産物を通常の光合
成細菌を用いて利用して行くにはエタノールによる生育
阻害が生じてしまうために問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、微生物
を用いて水素ガスを生産する場合においては、培養槽内
に生成・蓄積された水素ガスによって水素ガス生産微生
物が生育阻害を受けると共に、水素ガスが水素生産を司
る酵素系であるヒドロゲナーゼに活性阻害をもたらすた
めに水素生産活性が低下してしまうという問題点があっ
た。
【0011】そこで本発明の課題は、上述のような問題
を解決するために、高い水素ガス分圧環境下においても
優れた水素ガス生産能を発現することの出来る水素ガス
生産微生物を提供することにある。
【0012】また、優れた水素生産能をもつ従来公知の
水素ガス生産菌には、光合成細菌が水素ガスを生産する
ための基質となる乳酸等の有機物を生産する菌が少な
く、また乳酸等を生産したとしてもエタノールも同様に
生産するため、光合成細菌の生育阻害を生じさせるとい
う問題点もあった。したがって本発明のさらなる課題
は、光合成細菌が水素ガスを生産するための基質となる
乳酸等の有機物を多く生産し、かつエタノールの生産が
極めて少ない水素ガス生産菌をも提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題は高い水素分圧
環境下において優れた水素ガス生産能を発現することの
できるクロストリジウム・ブチリカム(Clostridium but
yricum)によって達成された。以下にその経緯を説明す
る。
【0014】まず、本発明者等は、微生物による水素ガ
スの工業生産を可能にするために、水素ガス生産能に優
れた嫌気性細菌に焦点をあて、病原性を持たない、安全
で取り扱いが容易であり、かつ増殖速度の速い効率的な
水素生産性嫌気性細菌を求めて、各種土壌、活性汚泥、
コンポスト、酸発酵汚泥、メタン発酵汚泥、嫌気消化汚
泥、湖沼・海洋の底泥等より鋭意検討を行った。その結
果、水素生産性嫌気性細菌はクロストリジウム属を中心
に多数得ることが出来たが、目的とする所の、高い水素
分圧環境下において優れた水素ガス生産能を発揮するこ
とのできる嫌気性細菌の取得には到らなかった。例え
ば、酸発酵汚泥、メタン発酵汚泥においては、嫌気性処
理の運転が良好に行われている場合には、水素は水素資
化性メタン生成菌によって速やかにメタンに転換された
り、あるいは硫酸還元菌によって消費されてしまうため
に水素の蓄積はほとんど起こらない。よって、高い水素
分圧環境下においても優れた水素ガス生産能を発揮する
ことのできる微生物の存在の可能性は非常に低いのでは
ないかと考えた。また、土壌などの自然環境中では通常
では、微生物の栄養条件が貧栄養状態にあること等に影
響を受け、そこでの水素分圧も高くなり得ないために高
い水素分圧環境下において水素ガス生産能に優れた微生
物の存在の可能性は非常に低いのではないかと考えられ
た。
【0015】そこで、本発明者らは上述のような理論に
立った上で、目的とする微生物の起源を栄養源の豊富な
微生物汚染にさらされた穀物類、生ゴミ類、高濃度有機
性廃水等に求め、鋭意研究を重ねた。その結果、これら
を微生物起源とするものからは、水素分圧が高い環境下
にあっても水素ガスを強力に生産する能力を有する嫌気
性細菌を多数得ることに成功した。すなわち、この研究
によって初めて、水素分圧が高い環境下にあっても水素
ガスを強力に生産することのできる嫌気性細菌が存在す
ることを見いだすことが出来たのである。そこで、これ
らの菌株の中から、特に優れた水素生産能を有し(2.
14mol−水素ガス/1mol−消費グルコース)、かつ、
高い水素分圧環境下において最も優れた水素ガス生産能
を発揮することのできる菌株SC−E1について、通産
省工業技術院生命工学工業技術研究所に〔FERM P
−14790〕として寄託するに到ったものである。
【0016】SC−E1については、サイロに収納され
た中国産大豆粕から分離されたものである。その分離方
法は、GAMブイヨン(pH7.3)(日水製薬製)を
用いて、35℃で嫌気的に集積培養を繰り返した後、ロ
ールチューブにてコロニーを形成させる方法により行わ
れた。なお、培地pHは7.3、培養気相部は窒素置換
し、培養を行った。この分離操作により、10種類のコ
ロニーを釣菌して培養後、それぞれの水素発生量を測定
した。水素発生量の測定結果を第1表に示す。なお、水
素水素発生量は後述の実施例と同様にガスクロマトグラ
マトグラフにて測定した。
【0017】
【表1】
【0018】第1表から、分離された10株のコロニー
のうちSC−E1の水素ガス発生量が最も多かった。
【0019】この単離され、通産省工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託された菌株SC−E1の菌学的性
質は、以下のとおりである。 1.形態的特性 細胞の形 桿菌 細胞の大きさ 0.5〜1.0×3〜7μm グラム染色 陽性 胞子 中心芽胞、亜先端芽胞
【0020】2.生化学的性質 生育温度 15〜40℃ 至適生育温度 30〜37℃ 生育pH pH5〜8 ゼラチン液化 陰性 カゼイン分解 陰性 エスクリン加水分解 陽性 ウレアーゼ産生 陰性 カタラーゼ反応 陰性 オキシダーゼ反応 陰性 リパーゼ反応 陰性 レシチナーゼ反応 陰性 インドール産生 陰性 硝酸塩還元 陰性 硫化水素産生 陰性 アセチルメチルカルビノール産生 陰性 牛乳反応 凝固 血液の溶血 陰性
【0021】3.炭水化物の発酵 〔陽性〕アミグダリン、アラビノース、セロビオース、
フラクトース、ガラクトース、グルコース、グリコーゲ
ン、ラクトース、マルトース、マンノース、メリビオー
ス、ラフィノース、リボース、サッカロース、サリシ
ン、スターチ、トレハロース、キシロース 〔陰性〕アドニトール、ズルシトール、エリスリトー
ル、イノシトール、イヌリン、マンニトール、ラムノー
ス、ソルビトール、ソルボース
【0022】この菌株の菌学的性質の検討には、「微生
物の分類と同定」(長谷川武治編著、東京大学出版会)
および「細菌学技術叢書3 嫌気性菌の分離と同定法」
(日本細菌学会教育委員会編、菜根出版)に記載されて
いる方法、培地組成を用い、“Bergey's Manual of Det
erminative Bacteriology,第8版”(Buchanan R. E.an
d Gibsons N. E., 1974年)および“Bergey's Manual o
f Systematic Bacteriology, 第2巻”(Peter H. A. S
neath他編、1986年)に基づいて検索しその結果、
この菌株は、クロストリジウム・ブチリカム(Clostrid
ium butyricum)と同定された。
【0023】そして、このクロストリジウム・ブチリカ
ムSC−E1(以下、本明細書中では、単にSC−E1
ともいう)は通産省工業技術院生命工学工業技術研究所
に〔FERM P−14790〕として寄託されてい
る。
【0024】このクロストリジウム・ブチリカムSC−
E1をグルコースまたは澱粉を基質に培養した場合、代
謝生産物として乳酸、蟻酸、酢酸、n−酪酸が生成さ
れ、わずかながらエタノールも生成された。さらには、
分離されたSC−E1の存在した大豆粕は、大豆粕(中
国産)水分14〜15%、穀温28℃で10カ月もの間
サイロ内で放置されたものであることから、SC−E1
を芽胞形成状態にて大豆粕表面で水素ガス生産能力を低
下させることなく長期間安定に保持できることを認め
た。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。ただし、これら実施例により本発明が限定されるも
のではない。なお、菌株の培養により発生した水素、炭
酸ガス量の測定には、日立ガスクロマトグラフ163
(TCD検出器)にてカラム充填剤Activated carbon 6
0/80 (SUS I.D.3φ×2m)とMolecular sieve 5A (SU
S I.D.3φ×3m)を用いて窒素−炭酸ガス−水素の組
成比率を分析することにより、炭酸ガス、水素の発生量
を求めた。菌懸濁液の濁度は、島津分光光度計UV−1
20−02を用いて660nmの波長で測定した。培養
ろ液は、培養懸濁液を親水性メンブランフィルター付き
ろ過ユニット(ザルトリウス(株)製、ポアサイズ0.
2μm)でろ過して得た。残存全糖量はフェノール−硫
酸法(吸光度488nm)で定量し、有機酸濃度は簡易高
速液体クロマトグラフERC−8710(エルマ光学
(株)製)を用いてカラムShodex Ionpack KC-811にて
分析した。また、アルコール濃度はガクロマトグラフG-
5000((株)日立製作所製)にてガラスカラムGasukuro
pack55 60/80を用いて分析した。
【0026】〔実施例1〕SC−E1をグルコースを基
質としてpH7.0に制御して培養し、水素ガス発生量
と代謝生産物を調べた。培養には1,040ml容の広口
ビンを用い、第2表に示す0.4%グルコース培地60
0mlを調整し、培養気相部をガス置換装置でN2:CO2
=1:1の混合比に置換し、35℃で往復振盪培養して
SC−E1を培養した。培養結果を図1に示す。
【0027】
【表2】
【0028】培養29時間後には、グルコースは98%
消費され、2.1mol/mol−消費グルコースもの水素ガ
スを生産した。また、培養液中には乳酸10.1mM、蟻
酸4.2mM、酢酸6.0mM、n−酪酸14.7mMが生産
され、エタノールはほとんど検出されなかった。グルコ
ースから有機酸への転換率は炭素量換算で64.5%で
あった。
【0029】〔実施例2〕水素ガスがSC−E1の増殖
や水素生産性に及ばす影響を調べるため、バイアルビン
にて培養気相部に各種濃度の水素ガスを添加してSC−
E1を培養し、水素発生量や生成有機酸組成を調べた。
培養実験には、120ml容量のバイアルビンに0.4%
グルコース培地(第2表)を20ml調整し、バイアル気
相部を種々の混合比のN2/CO2/H2に置換してSC
−E1を培養し、22時間、35℃で往復振盪培養して
得られた水素発生量や生成有機酸組成を調べた。培養結
果を図2に示す。
【0030】図2の結果から明らかなように、添加した
水素ガス量が増加するにしたがって水素ガス発生量は僅
かに減少したものの、水素無添加にて培養した時の水素
ガス発生量を1.0とすると、40%および100%水
素ガス添加時での水素ガス発生率はそれぞれ0.95お
よび0.87であった。したがって、培養気相内の水素
分圧が0.4atm程度であてもSC−E1を用いれば水
素ガスの生産性には大きく影響しないことが示された。
【0031】〔実施例3〕ガス混合装置にてN2:C
O2:H2=25:25:50に調整した混合ガスをl0
00ml/minで培養槽に連続通気、pH7.0に制御して
SC−E1を培養し、代謝生産物を調べると共に水素ガ
ス発生量を推定した。培養条件は上記実施例1と全く同
一とした。すなわち、1040ml容の広口ビンを用い、
第2表に示す0.4%グルコース培地600mlを調整
し、35℃で往復振盪培養してSC−E1を培養した。
培養結果を図3に示す。
【0032】図3より、供拾ガス中に50%の水素ガス
を含んだ培養条件下(すなわち、水素ガス分圧は0.5
atm)においてSC−E1を培養しても、グルコースの
96%は資化され、その代謝生産物は実施例1での培養
結果とほとんど同じ代謝パターンを示した。また、生成
した有機酸から理論的に水素発生量を算出した結果、推
定水素発生量は2.0mol/1mol−グルコースであり、
水素ガスを通気せずに培養した実施例1の場合とほとん
と変わらなかった。すなわち、SC−E1は0.5atm
の水素ガス分圧下においても、水素ガスによる水素ガス
生成阻害をほとんど受けることなく通常の水素発生能を
発現できることがわかる。
【0033】〔実施例4〕SC−E1を用いて大豆粕表
面でのSC−E1の生残性、保存性、安定性を調べた。
120ml容量のバイアルビンに50mlのGAMブイヨン
(pH7.3)(日水製薬製)を調整、培養気相部をN
2 100%に置換して、SC−E1を35℃で往復振盪
培養して得られた培養菌液を試験に用いた。空気下でバ
イアルビンを開封してこの培養菌液を100mlビーカー
に移し、その中に予め紫外線照射殺菌した日本産大豆粕
および中国産大豆粕を別々に5.0gずつ45分間浸し
た。その後、各大豆粕を取り出して3日間ドラフトチャ
ンバー内で自然乾操させた。こうして得られたSC−E
1汚染大豆粕をガラスシャーレに取って30℃の培養器
内で58日間放置した。なお、SC−E1培養菌液を浸
していない紫外線照射殺菌済みの日本産大豆粕をコント
ロールとした。28日後および58日後に各々の大豆粕
を取り出して、GAMブイヨンでその大豆粕を培養し、
水素ガスの発生量を調べた。GAMブイヨン10ml、気
相部を窒素置換したネジ口加圧培養試験管(31.5ml
容)にその大豆粕試料約0.7gを粉砕せずにそのまま
加えて35℃、4日間、静置培養して水素ガス発生量を
調べた。試験結果を第3表に示す。
【0034】
【表3】
【0035】第3表より、嫌気性水素ガス生産菌である
SC−E1は、大豆粕表面において水素ガス生産能力を
低下させることなく芽胞形成状態にて長期間安定に保
持、保存できることがわかる。
【0036】
【発明の効果】上述したように本発明の微生物は、水素
ガス生産能に優れ、かつ、高い水素分圧環境下において
優れた水素ガス生産能を発現することのできる工業的に
有用な嫌気性水素ガス生産菌である。本発明に係わる微
生物を利用することにより、従来よりも簡略化した水素
ガス回収プロセスを用いての効率的な水素ガス生産が可
能となり、本発明は産業上極めて価値がある。また、本
発明の微生物は、代謝生産物の1つとして乳酸を生成す
るので、その代謝生産物を光合成細菌類を用いて非常に
効率良く水素ガスへと転換することが可能である。さら
には、本発明に係わる水素ガス生産菌は芽胞形成状態に
て穀物類表面で水素生産能力を低下することなく長期間
安定的に確実に保持することが可能である。そのため、
培養装置の事故あるいは改善等によって当該微生物が空
気接触や高温環境、乾操状態に直面しても直ちに死滅す
ることはなく、水素発酵工程での微生物の取り扱いは容
易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素ガス生産菌の生育挙動、水素生産
量および代謝生産物の経時変化を示すグラフである。
【図2】本発明の水素ガス生産菌の生育挙動、水素生産
量および代謝生産物の水素ガス培養気相による影響を示
すグラフである。
【図3】本発明の水素ガス生産菌の生育挙動、代謝生産
物および推定水素生産量の経時変化を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 7/56 C12P 7/56 //(C12N 1/20 C12R 1:145) (C12P 3/00 C12R 1:145) (C12P 7/56 C12R 1:145) (72)発明者 遠矢 泰典 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高い水素分圧環境下において優れた水素
    ガス生産能を発現することのできるクロストリジウム・
    ブチリカム(Clostridium butyricum)。
  2. 【請求項2】 微生物分離起源が穀物類であることを特
    徴とする請求項1記載のクロストリジウム・ブチリカ
    ム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のクロストリジウム・ブチ
    リカムを、芽胞形成状態にて穀物類表面で水素ガス生産
    能力を低下させることなく長期間安定に保持する水素ガ
    ス生産菌クロストリジウム・ブチリカムの保持方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109423456A (zh) * 2017-08-30 2019-03-05 中国石油化工股份有限公司 一种圆褐固氮菌及其鉴定方法和应用
CN117025691A (zh) * 2023-08-29 2023-11-10 中国科学院上海高等研究院 热丁酸梭菌在制备氢气中的用途和方法

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CN109423456B (zh) * 2017-08-30 2022-08-19 中国石油化工股份有限公司 一种圆褐固氮菌及其鉴定方法和应用
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