JPH08252681A - 高エネルギ密度ビーム溶接による靱性に優れた炭素鋼鋼管の製造方法 - Google Patents

高エネルギ密度ビーム溶接による靱性に優れた炭素鋼鋼管の製造方法

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JPH08252681A JP7302019A JP30201995A JPH08252681A JP H08252681 A JPH08252681 A JP H08252681A JP 7302019 A JP7302019 A JP 7302019A JP 30201995 A JP30201995 A JP 30201995A JP H08252681 A JPH08252681 A JP H08252681A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接部の靱性が優れた炭素鋼鋼管を製造す
る。 【構成】 炭素鋼鋼板1aを円筒状に成形しながら鋼板
1aの両側の端部を突き合わせ、この突き合わせ部を給
電装置2による誘導加熱により300〜900℃の範囲
内に予熱し、次いで、突き合わせ部に高エネルギ密度の
ビーム5を照射して突き合わせ部を溶融溶接して炭素鋼
鋼管1を製造する。突き合わせ部の溶接金属中の酸素含
有量を300ppm以下に限定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高エネルギ密度ビー
ム溶接による靱性に優れた炭素鋼鋼管の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】炭素鋼鋼管の製造方法の従来技術とし
て、以下に示す電縫溶接法(ERW)、および、高エネ
ルギ密度ビーム複合溶接による鋼管の製造方法が知られ
ている。
【0003】電縫溶接法(ERW):電縫溶接法(ER
W)は、炭素鋼鋼板を円筒状に成形しながら、前記炭素
鋼鋼板の両側の端部を突き合わせ、この突き合わせ部に
誘導電流を流すことにより加熱し、前記突き合わせ部を
溶接して炭素鋼鋼管(電縫管)を製造する方法であり、
従来から広く実施されている。この方法において溶接部
およびその周辺は、高周波誘導加熱等の手段で加熱冷却
といった熱処理(シーム熱処理という)を施される場合
がある。
【0004】この電縫管の製造方法においては、電縫溶
接部の酸素含有量は数百ppmにも達する。これらの酸
素は溶接部の酸化物介在物という形で存在し、シャルピ
遷移温度に代表される靱性を劣化させている。また、溶
接部の酸化物介在物の形状は10〜30ミクロンまたは
それ以上と大きく、この介在物が大きいことも靱性を劣
化させる原因となっている。このようなことから、酸素
含有量を低減する手段として、電縫溶接時に、その電縫
溶接部を窒素ガスなどの非酸化性ガスによってシールド
する方法が、特開平3−264171号公報に開示され
ている(以下、従来技術1という)。
【0005】高エネルギ密度ビーム複合溶接による鋼管
の製造方法:炭素鋼鋼管を、高エネルギ密度ビーム複合
溶接により製造する方法は、金属板(鋼板等)を円筒状
に成形しながら前記鋼板の両側の端部を突き合わせ、こ
の突き合わせ部に誘導電流を流し、次いで、前記突き合
わせ部に高エネルギ密度のビームを照射して前記突き合
わせ部を溶融溶接して金属(鋼管)パイプを製造する方
法である。特公平4−18954号公報には、板状の金
属部材を長手方向に搬送しながら順次両側端部が対向す
るように円筒状に成形させて行くと共に、円筒形に成形
されつつある金属部材の両側端部が最初に接するV収束
点より上流側に所定距離隔てて前記金属部材の周囲に巻
回した誘導加熱コイルに前記金属部材に対する加熱浸透
深さが該金属部材の肉厚程度となる周波数で、かつ前記
金属部材の溶融がほとんど起こらない程度の高周波電流
を供給して前記金属部材を予熱し、さらに、前記V収束
点より下流側の前記金属部材の接合部を、前記金属部材
に対する熱影響深さが該金属部材の肉厚になるように出
力設定したレーザ溶接手段によって溶接する金属パイプ
の製造方法において、前記収束点とレーザ溶接における
溶融部との間では前記金属部材の両側端部が単に接触す
る程度となる締付量で該金属部材を両側から締め付け、
さらに、前記溶融部より下流側では前記金属部材の両側
端部が単に接触する程度となる締付量で該金属部材を両
側から締め付けることを特徴とする金属パイプの製造方
法が開示されている。また、誘導加熱コイルに流す高周
波電流として10〜100kHz程度を使用することが
開示されている(以下、従来技術2という)
【0006】従来技術2に類似した技術として、オープ
ンパイプの相対向するエッジ部を高周波誘導または高周
波抵抗方式による第1の加熱源により予熱し、スクイズ
ロール近傍で第2の加熱源により溶融させて接合する複
合熱源製管溶接方法において、第1の加熱源による予熱
温度を200〜600℃とする方法が、特開平3−29
1176号公報に開示されている(以下、従来技術3と
いう)。
【0007】また、特公昭61−29830号公報に
は、高エネルギ密度ビーム溶接で鋼管を製造する際、溶
接条件によっては溶接部に酸化物が残留して機械的性質
に悪影響を及ぼすことが開示されている(以下、従来技
術4という)。なお、従来技術2〜4においても、シー
ム溶接後、従来技術1に記したシーム熱処理が施される
場合があることは言う迄もない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術1〜4には、以下に示す問題がある。
【0009】従来技術1では、酸素量の低減による靱性
の向上効果は若干あるものの、非金属介在物が小さくな
るわけではないため、靱性向上には限度があった。
【0010】従来技術2には、溶接速度を増すための手
段として予熱が有効であることが述べられているが、予
熱が金属パイプの機械的性質にどう影響するかについて
は全く触れられていない。
【0011】従来技術3は、高強度鋼管またはステンレ
ス鋼管の溶接速度を早める手段として提案されたもの
で、この方法により溶接速度を従来技術1の方法よりも
早めても、溶接部に割れなどの欠陥が発生せず健全な溶
接部が得られることが述べられているものの、溶接部の
靱性についてはなんら配慮されていない。
【0012】また、従来技術4の内容は一般的な記述に
過ぎず、溶接部の靱性に悪影響を及ぼさない程度の酸化
物の量、形状については何ら言及されていない。
【0013】以上述べた如く、従来技術1〜4では溶接
部の靱性に問題があることから、溶接部の靱性に優れた
炭素鋼鋼管の製造方法の開発が望まれているが、このよ
うな方法は未だ提案されていない。
【0014】従って、この発明の目的は、上述の問題を
解決し、高エネルギ密度ビーム溶接による靱性に優れた
炭素鋼鋼管の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
炭素鋼鋼板を管状に成形しながら前記炭素鋼鋼板の両側
の端部を突き合わせその突き合わせ部を予熱し、次い
で、前記突き合わせ部に高エネルギ密度のビームを照射
して前記突き合わせ部を溶融溶接する炭素鋼鋼管の製造
方法において、前記突き合わせ部を予熱するときの予熱
温度を300〜900℃の範囲内に限定することに特徴
を有するものである。請求項2記載の発明は、請求項1
記載の発明において、溶融溶接する前記突き合わせ部の
溶接金属中の酸素含有量を300ppm以下とすること
に特徴を有するものである。
【0016】
【作用】本発明においては、炭素鋼板の溶接法として、
予熱を伴う高エネルギ密度ビーム溶接を採用したので、
溶接部の酸化物の大きさを微細にすることができ、靱性
が向上する。
【0017】予熱温度の限定理由は、以下の通りであ
る。予熱は、高エネルギ密度のビームで突き合わせ部を
溶接する際の溶接入熱不足を補う目的で行う。しかしな
がら、炭素鋼鋼管の高エネルギ密度ビーム溶接におい
て、予熱温度が300℃未満では、溶接入熱不足を補う
に十分な予熱の効果が得られない。そのため、溶接速度
が著しく低い能率の溶接となり、あるいは、ビームのエ
ネルギ密度を著しく大きくするために大容量の電源を用
意する等設備コストの増大を招く。一方、予熱温度が9
00℃を超えると、突き合わせ部の予熱から溶接への過
程で、突き合わせ部の酸化が激しくなり溶接金属の酸素
含有量が激増し、溶接部の靱性を劣化させる。従って、
予熱温度は、300〜900℃の範囲内に限定すべきで
ある。
【0018】溶融溶接する突き合わせ部の溶接金属中の
酸素含有量の限定理由は、以下の通りである。高エネル
ギ密度ビーム溶接された炭素鋼鋼管においては、溶接金
属中の酸素含有量が300ppmを超えると靱性が急激
に劣化する。従って、酸素含有量は300ppm以下に
限定した。
【0019】
【実施例】次に、この発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。
【0020】図1は、この発明の実施例に係る溶接方法
を示す斜視図である。図1において、1は炭素鋼鋼管
(1aは炭素鋼鋼板)、2は突き合わせ部を予熱する誘
導電流を供給する給電装置、5は高エネルギ密度のビー
ム、6は溶接が終了した部分(溶接点)、3a、3bは
スクイズスタンド、4a、4bはトップロール、7は溶
接線である。
【0021】図1に示すように炭素鋼鋼板1aを管状
(本実施例では円筒状)に成形しながら鋼板1aの両側
の端部を突き合わせ、この突き合わせ部に誘導電流を流
して誘導加熱により予熱し、次いで、突き合わせ部に高
エネルギ密度のビーム5を照射して突き合わせ部を溶融
溶接して表1に示す化学成分組成を有する炭素鋼鋼管の
試験鋼管No. 1〜6を、以下に示す溶接条件によって製
造した。なお、表1においては、残部Feおよび不純物
元素として含有されるS、P等は記載されていない。 溶接条件: 鋼管寸法 ;72.0mm(外径)×9.7
mm(管厚) 溶接速度 ;2m/分 ビームのエネルギ密度;25kW/mm2 ガスシールド ;無し また、これら試験鋼管は、溶接後直ちに溶接線後面に配
置されているシーム熱処理装置(図示せず)によりシー
ム熱処理を施した。その方法は、溶接線外面温度が10
50℃に達する迄加熱後空気中で冷却した。ここで、シ
ーム熱処理を行うことは、本発明に必須ではないが、適
切なシーム熱処理を行うことにより熱処理しない場合に
比べ溶接部靱性を更に向上させることができる。
【0022】
【表1】
【0023】図2は、試験鋼管No. 1を、本発明方法、
および、従来技術1で示した方法(ERW)によって、
溶接金属部の酸素含有量を種々変えて製造した場合につ
いて、溶接部の靱性と溶接金属部の酸素含有量との関係
を示した結果のグラフである。図2において、溶接部の
靱性は溶接金属について行ったシャルピー衝撃試験の破
面遷移温度vTs(℃)で定義した。
【0024】図2より、高エネルギ密度ビーム溶接によ
り製造した場合において、溶接金属部の酸素含有量が3
00ppmを超えると靱性が急激に劣化し始めるが、そ
れ以下では良好な靱性を保つことがわかる。
【0025】また、図2においては比較例として従来技
術1の場合を△印で示したが、ERWで製造した従来技
術1の場合、酸素含有量が300ppm以下であっても
溶接部の靱性が本発明に比較して著しく劣っていること
がわかる。この違いが生じる原因は、溶接部の酸化物の
大きさが違うためである。即ち、本発明における溶接部
の酸化物の大きさは、直径1ミクロン以下と小さいのに
対し、従来技術1では直径10ミクロン以上と大きい。
【0026】図3は、試験鋼管No. 1の予熱温度を種々
変えて製造した場合について、予熱温度と溶接部の酸素
含有量との関係を示すグラフである。図3に示す予熱温
度は、高エネルギ密度のビームが照射される点の50m
m手前の位置の温度を測定して得た値で示されている。
図3より、溶接金属中の酸素含有量を300ppm以下
に抑えるには、予熱温度を900℃以下にする必要があ
ることがわかる。
【0027】表2は、表1に示した試験鋼管No. 1〜6
を、高エネルギ密度のビームにより溶接して製造した結
果を、本発明範囲内の方法により実施した場合(本発明
例No. 1〜11)と、本発明範囲外の方法により製造し
た場合(比較例No. 1〜4)とについて示している。
【0028】
【表2】
【0029】表2に示すように、高エネルギ密度ビーム
で溶接した炭素鋼鋼管においては、予熱温度が本発明範
囲内であれば、溶接部靱性(vTs)が−20℃以下と
良好であることがわかる
【0030】なお、本実施例においては予熱部および溶
接部のガスシールドは特に実施しなかったが、ガスシー
ルドしないことが本発明の必須要件ではなく、ガスシー
ルドすれば溶接部の酸素含有量は更に低減され、溶接部
靱性も更に向上する。
【0031】また、溶接部の酸素含有量は、予熱温度、
ガスシールド条件のみによって決まるものではなく、溶
接速度、エネルギビームの密度等の条件によっても変化
し、本発明の範囲内である300ppm以下に抑える条
件は一意的でなく種々の組合せが可能である。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、炭素鋼鋼管の溶接方法として、第1に、高エネルギ
密度ビームによる方法を用いたので、溶接部の酸化物の
大きさを微細にし、第2に、溶接の予熱温度を300〜
900℃の範囲内に限定し、更に、溶接金属中の酸素含
有量を300ppm以下に抑えたので、溶接金属中の酸
化物の量を制限することができ、この2つの効果により
溶接部の靱性に優れた炭素鋼鋼管を提供することがで
き、かくして、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の炭素鋼鋼管の製造方法の一実施例に
係る溶接方法を示す斜視図である。
【図2】溶接金属部の酸素含有量と溶接部の靱性との関
係を示すグラフである。
【図3】溶接金属部の酸素含有量と予熱温度との関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 炭素鋼鋼管 1a 炭素鋼鋼板 2 予熱のための給電装置 3a、3b スクイズスタンド 4a、4b トップロール 5 高エネルギ密度のビーム 6 溶接点 7 溶接線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関根 幸夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 大村 雅紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素鋼鋼板を管状に成形しながら前記炭
    素鋼鋼板の両側の端部を突き合わせその突き合わせ部を
    予熱し、次いで、前記突き合わせ部に高エネルギ密度の
    ビームを照射して前記突き合わせ部を溶融溶接する炭素
    鋼鋼管の製造方法において、前記突き合わせ部を予熱す
    るときの予熱温度を300〜900℃の範囲内に限定す
    ることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接による靱
    性に優れた炭素鋼鋼管の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶融溶接する前記突き合わせ部の溶接金
    属中の酸素含有量を300ppm以下とする請求項1記
    載の方法。
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