JPH08252692A - 高耐食高Moステンレス鋼用被覆アーク溶接棒 - Google Patents

高耐食高Moステンレス鋼用被覆アーク溶接棒

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JPH08252692A
JPH08252692A JP8200895A JP8200895A JPH08252692A JP H08252692 A JPH08252692 A JP H08252692A JP 8200895 A JP8200895 A JP 8200895A JP 8200895 A JP8200895 A JP 8200895A JP H08252692 A JPH08252692 A JP H08252692A
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JP
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stainless steel
corrosion resistance
welding
arc welding
welding rod
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JP8200895A
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English (en)
Inventor
Hiroshige Inoue
裕滋 井上
Toshihiko Koseki
敏彦 小関
Shigeru Okita
茂 大北
Satoyuki Miyake
聰之 三宅
Masahito Ogata
雅人 緒方
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐海水、耐海塩粒子性を目的とする構造物に
使用する高Moステンレス鋼を溶接するのに適した、溶
接金属の耐食性、機械的特性および溶接作業性に優れた
被覆アーク溶接棒を提供する。 【構成】 C:0.001〜0.01%、Si:0.0
1〜0.2%、Mn:0.01〜2%、Cr:18〜2
5%、Ni:55〜75%、Cu:0.1〜3%、N:
0.1〜0.3%、Mo、Wのうち1種または2種:6
〜12%、Al:0.001〜0.05%を含有し、必
要に応じてさらにCo:0.1〜5%を含有する心線
に、金属炭酸塩:30〜60%、金属ふっ化物:15〜
30%、金属酸化物:15〜20%を含有する被覆剤を
塗布した高Moオーステナイト系ステンレス鋼用の被覆
アーク溶接棒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海洋構造物、橋梁など
耐海水、耐海塩粒子性を目的とする構造物等に用いる高
耐食高Moステンレス鋼用の被覆アーク溶接棒に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、種々の化学プラントや石油・天然
ガスの輸送の分野あるいは海水利用技術等において、苛
酷化する使用環境に耐える耐食材料が要求されてきてお
り、これに伴い各種のオーステナイト系ステンレス鋼、
高合金が開発・適用されつつある。その中でも、耐海水
性を目的にMoを4〜7%程度含有した高耐食高Moス
テンレス鋼の適用が増加している。
【0003】一方、これらの材料を構造材料として適用
する場合、その多くは施工上溶接が必要となるが、一般
に凝固組織のままで使用に供される溶接部は同組成の母
材と比較して耐食性が低い。したがって、耐食構造物に
おいては、全体の耐食性を確保する上で少なくとも母材
と同程度以上の耐食性を有する溶接部の作製が必要とな
る。この観点から、最近これら高耐食ステンレス鋼を母
材とした溶接や、これら耐食構造物の補修溶接において
は、しばしば共金系の溶接材料を用いずに、インコネル
625(60Ni−22Cr−9Mo−3.5Nb、A
WS−ERNiCrMo−3)のような高Cr−高Mo
含有の高Ni合金の溶接材料が用いられている。
【0004】しかしながら、イコンネル625は、本
来、高強度、耐熱用を目的とした同組成の高Ni合金の
溶接用に発達してきた経緯から、耐食用として有害元素
のCを固定するためにはNbの含有量が必要以上に多
く、このため、溶接時に高温割れが発生しやすい。さら
に、室温での機械的特性に関しては強度は高いものの延
性・靱性が低い等の欠点があり、耐食構造用溶接材料と
しては問題が多い。一方、Nb無添加の高Ni合金であ
るハステロイ276(60Ni−15Cr−15Mo−
3.5W)では、Cが0.01wt%以下であり、耐食
性は良好であるが、Mo含有量が多いために、溶接金属
中にσ相などの金属間化合物が生成し、靱性が低い欠点
がある。
【0005】また、近年、オーステナイト系ステンレス
鋼あるいは二相系ステンレス鋼において、耐食性向上の
観点からNが添加されている。しかしながら、高Ni合
金においては、高温強度確保の観点からTiが添加され
ている場合が多く、このような合金にNを添加すると、
TiNを生成し、高温強度および耐食性の両方が低下す
る。したがって、従来の高Ni合金にはN添加はほとん
どなされていなかった。
【0006】また、Cu添加による耐食性改善は、特開
昭58−93593号等の公報に開示されているが、い
ずれもステンレス鋼を目的としたものである。Coの添
加は強度向上に有効であり、特にマトリックスがオース
テナイト組織の場合には、室温におけると同様、高温強
度および高温クリープ強さを改善するが、いずれも耐熱
用鋼を目的としている。さらに、高Ni合金溶接材料と
しては、従来、特開昭56−128696号、特開昭5
8−66994号、特開昭58−82190号等の公報
に開示があるが、これらは主に耐熱用溶接金属の強度や
高温特性の改善を目的としたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来耐
食構造に用いられてきた高Ni溶接材料は、溶接高温割
れや機械的特性の面で必ずしも十分であるとは言えな
い。本発明はこうした現状に鑑みて、高耐食高Moステ
ンレス鋼を溶接するに際して、耐食性に優れ、かつ、耐
溶接高温割れ性および機械的特性に関しても優れた被覆
アーク溶接棒を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、重量%で、Mo:3.5〜8.0
%、Cr:18.0〜25.0%を含有し、ミクロ組織
がオーステナイト単相からなる高Moステンレス鋼用の
被覆アーク溶接棒において、重量%で、C:0.001
〜0.01%、Si:0.01〜0.2%、Mn:0.
01〜2%、Cr:18〜25%、Ni:55〜75
%、Cu:0.1〜3%、N:0.1〜0.3%、M
o、Wのうち1種または2種:6〜12%、Al:0.
001〜0.05%を含有し、必要に応じてさらにC
o:0.1〜5%を含有し、Sを0.01%以下、Pを
0.01%以下に制限し、残りがFeおよび不可避不純
物よりなる高Ni合金心線に、被覆剤全量に対する重量
%で、金属炭酸塩:30〜60%、金属ふっ化物:15
〜30%、金属酸化物:15〜20%を含有する被覆剤
を塗布したことを特徴とする高Moステンレス鋼用被覆
アーク溶接棒である。
【0009】
【作用】本発明者らは、種々の高Ni合金心線と被覆剤
を組み合わせて溶着金属を作製し、それらの諸特性を調
べた結果、以下の知見を得た。すなわち従来のインコネ
ル625相当の高Ni合金溶接材料に対して、Nbを含
有させず、C量を0.01wt%以下に低減し、さらに
Nを添加することによって、溶接時の高温割れ感受性が
著しく改善されるとともに、機械的特性面で問題のあっ
た低延性・低靱性も大幅に改善される。そして、Nに関
しては0.1wt%以上添加することにより、耐溶接高
温割れ性、靱性、延性に悪影響を及ぼすことなく強度を
改善し、かつ、耐孔食性、耐隙間腐食性等の耐食性も改
善できる。また、Cuの添加は、硫酸環境等、特に非酸
化性環境での耐食性改善に有効であり、一方、さらに強
度を向上させるためには、Coの添加が有効である。
【0010】以下に、本発明において各成分等の範囲を
限定した理由を述べる。なお、本発明において%は、特
に明記しない限り、重量%を意味する。第一に高Ni合
金心線の成分限定理由を述べる。
【0011】C:Cは強化元素として0.001%以上
添加する。一方、Cは高Ni溶接金属においては特にC
rと結合しやすく、粒界等に炭化物として析出し、耐食
性や延性・靱性を阻害するとともに、Mo、Wとも結合
して耐溶接高温割れ性も低下させる。したがってCはで
きるだけ低減する必要があり、0.01%を上限とし
た。
【0012】Si:Siは、溶製時に脱酸元素として
0.01%以上含有されるが、多量に含有すると溶接熱
サイクル中に高Cr−高Mo系の金属間化合物であるσ
相の析出を著しく助長し、その結果、耐食性や延性・靱
性が低下する。したがって、Siについてもできるだけ
低減するために、0.2%を上限とした。
【0013】Mn:Mnは脱酸元素であり、同時にNの
固溶も促進するため0.01%以上の含有が必要である
が、一方、多量に含有すると耐食性等に有害な金属間化
合物の析出も助長するため、2%を上限とした。
【0014】Cr:Crは耐食性を付与する主要元素で
あり、その効果を十分ならしめるためには18%以上が
必要である。一方、多量に含有すると心線の製造性が著
しく低下するとともに、耐食性に有害な金属間化合物の
析出を助長する。それらを考慮して上限を25%とし
た。
【0015】Ni:Niはマトリックスを構成する主要
元素である。耐食性の確保、凝固のまま組織中でのM
o、Wの偏析の低減の観点から、少なくとも55%以上
の含有が必要であるが、Cr等合金元素を表記の量含有
するためには75%が上限である。
【0016】Cu:Cuは、硫黄環境等の非酸化環境や
中性環境での耐食性を改善する元素であり、0.1%以
上の添加が必要であるが、多量に含有すると熱間加工性
を低下させるため溶接材料の製造性を害する上、塩化物
含有酸化性環境での耐食性も害することから、これらを
考慮して上限を3%とした。
【0017】N:Nはマトリックスに固溶して、耐食
性、強度を向上させる。その効果を十分ならしめるには
0.1%以上必要であるが、一方、0.3%を超えて含
有させるとワイヤの製造性が著しく低下し、また、窒化
物等の析出により溶接金属の耐食性も低下するため、こ
れを上限とした。
【0018】Mo,Wのうち1種または2種:Mo,W
はいずれもマトリックスに固溶して、耐食性、強度を向
上させる。その効果を十分ならしめるためには1種また
は2種の合計として6%以上必要であるが、一方、12
%を超えて含有すると、耐食性、延性・靱性に有害な金
属間化合物の生成を著しく助長するため、上限を12%
とした。
【0019】Al:Alは脱酸元素として0.001%
以上添加されるが、0.05%を超えて含有させると耐
食性、熱間加工性を低下させるため、0.001〜0.
05%と限定した。
【0020】S、Pはいずれも不可避的不純物元素であ
り、両者とも溶接高温割れ感受性を著しく阻害する元素
である。また、多層溶接や補修溶接等の多重熱サイクル
中に粒界脆化も助長する。また、Sは熱間加工性に著し
く影響をおよぼす。したがって、両元素ともできるだけ
低減する必要があり、いずれも上限を0.01%とし
た。
【0021】また、本発明は必要に応じて、1.0〜5
%のCoを添加する。Coは通常Ni合金では不可避的
に0.1%未満含有されるが、0.1%以上添加するこ
とにより、強度の改善が図られる。他方、5%を超えて
含有すると心線の製造性が低下する。したがって、上限
を5%とした。上記成分の残部はFe等の不可避的不純
物である。
【0022】第二に、本発明で使用する被覆アーク溶接
棒における被覆剤の成分限定理由を述べる。 金属炭酸塩:金属炭酸塩は、立向姿勢でのスラグの流動
性を若干良くし、棒焼けに防止にも効果がある。しか
し、過剰になるとスパッタが増加するので、30〜60
%に制限する。なお、ここでいう金属炭酸塩とは、Ca
CO3 、MgCO3 、BaCO3 、Li2 CO3 などを
いう。
【0023】金属ふっ化物:金属ふっ化物は、アークの
集中性を損なわずに適度にアークの吹付けを強くするた
め、融合不良などの溶接欠陥防止に効果的である。この
ような効果は、添加量が15%以上で顕著に現れるが、
30%を超えるとアークの吹付けが強くなり過ぎるの
で、15〜30%に制限する。なお、ここでいう金属ふ
っ化物とは、CaF2 やBaF2 などをいう。
【0024】金属酸化物:金属酸化物は、スラグの被包
性を良くし、特に下向や水平すみ肉姿勢におけるビード
形状が良好になる。また、生産性確保のために添加され
る。しかし、15%未満では効果が不十分であり、ま
た、20%を超えるとスパッタが増加し、立向姿勢での
スラグの流動性も悪くなるので、15〜20%に制限す
る。なお、ここでいう金属酸化物とは、SiO2 、Ca
O、TiO2 などをいう。
【0025】また、本発明方法で使用する被覆アーク溶
接棒の被覆剤においては、上記の成分の他に、溶接時の
金属蒸発に伴う成分調整を行うために、Mn,Cr,M
oなどの金属粉を添加することができるが、金属粉の合
計が20%を超えると靱性・延性が低下するため、上限
は20%が好ましい。さらに、被覆剤は心線に均一に塗
布し、かつ、溶融金属および溶融スラグからの熱影響を
少なくする必要から、均等性および耐熱性の観点から被
覆率は25〜45%が好ましい。
【0026】本発明では、耐海水性・耐海塩粒子性を目
的とする構造物等の溶接に一般的に良く使用される被覆
アーク溶接を対象とする。溶接は、自動、半自動、手動
のいずれでも良く、特に限定されるものではない。さら
に、それら構造物の補修溶接あるいは肉盛等にも適用で
きる。
【0027】本発明が対象とする高Moステンレス鋼
は、Mo量が3.5〜8.0%、Cr量が18.0〜2
5.0%であって、適量のNiを含有することによりミ
クロ組織がオーステナイト単相のもので、高耐食性が要
求されるステンレス鋼である。ここで、Mo量が3.5
%未満、Cr量が18%未満では、十分な耐食性が確保
できない。また、Mo量が8%超、Cr量が25%超で
は金属間化合物が析出し、延性・靱性が十分ではなくな
る。
【0028】高Mo鋼ではあっても、該ステンレス鋼の
組織がフェライト単相、あるいはフェライト+オーステ
ナイト二相からなる場合には、ステンレス鋼自体の耐食
性および延性・靱性が必ずしも高くなく、さらに、溶接
金属中でもNi量が低下して脆弱な金属間化合物が析出
しやすくなるので好ましくない。なお、ミクロ組織は、
エッチングの後に直接組織観察する方法もしくはフェラ
イトメーターのような磁気的測定により判定するのが好
ましい。
【0029】本発明が対象とする高Moステンレス鋼に
おいては、Mo量およびCr量が前述の範囲であり、適
量のNiを含有することによりミクロ組織がオーステナ
イト単相であれば、他の成分は特に限定されるものでは
なく、いずれも適用可能であるが、C:0.005〜
0.02%、Si:0.3〜0.7%、Mn:0.3〜
1.0%、P:0.03%以下、S:0.003%以
下、Cr:18〜22%、Mo:5.5〜6.5%含有
するものであることが好ましい。
【0030】
【実施例】以下、実施例にて本発明を説明する。表1に
母材として用いた高Moステンレス鋼板の化学成分およ
びミクロ組織を示す。はASTM−A240−S31
254相当の高耐食オーステナイト系ステンレス鋼であ
り、は高耐海水性を目的に実験室的に溶製したステ
ンレス鋼である。板厚はいずれも5mmであり、開先角
度:80°、ルートフェース:0.5mmのY開先を設
け、表2に成分を示す供試心線と、表3に示す被覆剤を
表4に示す組み合わせにより作製した被覆アーク溶接棒
を用いて溶接継手を作成した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】下向姿勢で溶接条件は溶接電流:140A
(AC)、アーク電圧:22〜26V、溶接速度:20
〜25cm/minとした。また、立向姿勢での溶接条
件は溶接電流:100A(AC)、アーク電圧:20〜
24V、溶接速度:5〜10cm/minとした。な
お、表1のステンレス鋼は、圧延の後に1150℃で溶
体化熱処理を施して、臨界孔食発生温度を70℃以上と
したステンレス鋼である。表4には各被覆アーク溶接棒
を適用したステンレス鋼板の記号を記した。
【0036】作製した溶接継手では、それぞれ耐食性、
機械的特性を調べた。耐食性については、耐孔食性、耐
粒界腐食性および全面腐食性を調べた。耐孔食性は、塩
化物環境での臨界孔食発生温度(CPT)を求め評価し
た。腐食環境としては、JIS−G0578−1981
に定める6%塩化第二鉄+0.05N塩酸水溶液を用い
た。臨界孔食発生温度は、5℃間隔で管理された腐食環
境に24時間浸漬し、孔食の発生しない最高温度を求
め、それと定めた。また、耐粒界腐食性および全面腐食
性については、それぞれ65%沸騰硝酸および10%沸
騰硫酸中に、前者は48時間、後者は6時間浸漬して、
腐食減量によって評価した。それぞれの耐食性評価試験
の試験片は、いずれも溶接部を中央に含むよう30×3
0mmの大きさを採取し、余盛を削除して元厚(5m
m)のまま用いた。
【0037】一方、機械的特性は、溶接継手引張試験、
溶接金属のシャルピー衝撃試験、および溶接継手の表・
裏曲げ試験から評価した。継手引張試験は、溶接継手か
ら余盛を削除した試験片(1号試験片、JIS−Z31
21−1961)を採取し、引張強度を求めた。シャル
ピー衝撃試験は、溶接方向に垂直方向からサブサイズシ
ャルピー試験片(5t×10w×55Lmm)を採取
し、0℃にて試験し、吸収エネルギーを求めた。曲げ試
験は、溶接継手から溶接方向に垂直方向から余盛を削除
した試験片(5t×30w×250Lmm)を採取し、
溶接部を表または裏からローラ曲げ(JIS−Z312
4−1960、曲げ半径:R=10mm)し、溶接継手
の曲げ延性を評価した。
【0038】また、それぞれの被覆アーク溶接棒の溶接
高温割れ感受性をC型ジグ拘束突合せ溶接割れ試験(J
IS−Z3155−1974)により調べた。試験片と
しては、上記溶接継手特性評価に用いたのと同じ3種の
耐食ステンレス鋼を用い、被覆アーク溶接により溶接部
の割れを調べた。
【0039】表5にそれぞれの溶接作業性および腐食試
験の結果を示し、表6に機械試験および高温割れ試験の
結果を示す。表5,表6から明らかなように、本発明例
であるNo.1〜5は、溶接作業性、耐食性、機械的特
性および耐高温割れ性に優れ、多数の要求特性を同時に
満足できることがわかる。
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】まず、耐孔食性に関してであるが、本発明
の溶接棒で溶接した溶接継手の臨界孔食発生温度はいず
れも70〜80℃の範囲で、比較例No.6,7より高
く、母材同等の優れた耐孔食性を有しているといえる。
次に、耐粒界腐食性については、65%沸騰硝酸試験の
結果では、本発明法による溶接部はいずれも母材の結果
と同等の1.46〜1.79g/m2 ・hrの腐食速度
を示し、良好な耐粒界腐食性を有しているといえる。さ
らに、全面腐食性については、本発明法による溶接継手
は、いずれも比較心線d,eを用いた溶接継手より耐食
性に優れており、母材と比較しても同等以上の耐全面腐
食性を示した。これは、高Ni,Mo,WおよびCu添
加の効果によるものである。
【0043】他方、機械的特性に関しては、まず、シャ
ルピー衝撃試験の結果では、比較心線dを用いた溶接金
属は非常に低い吸収エネルギーを示したのに対し、本発
明による溶接金属はいずれも十分高い吸収エネルギーが
得られた。また、強度に関しては、本発明心線a,bに
よる溶接部は比較心線dと同等であり、これはまた母材
ともほぼ同等である。さらに、心線cによる溶接部はこ
れより約3〜5kgf/mm2 程度高い引張強度を示
し、Co添加による強度改善が認められる。曲げ試験で
は、本発明による溶接部は、表曲げ、裏曲げのいずれの
面にも割れ、欠陥等は認められず、曲げ延性は良好であ
った。しかるに、比較例No.6,7による溶接部は、
曲げ表面に多数の微小な割れが見られる。
【0044】これらのことより本発明による溶接部は、
母材のタイプにかかわらず溶接作業性と腐食性のみなら
ず機械的特性にも優れていることが示され、耐食構造用
溶接材料として本発明が有効であることが明らかになっ
た。さらに、溶接高温割れ試験結果からもわかるよう
に、比較例No.6,7は割れ感受性が極めて高いのに
対し、本発明例では優れた耐高温割れ性を示した。特
に、比較例による試験溶接ビードでは、通常この試験に
おいて割れやすいとされるクレータのみならず、それ以
外の部分にもかなり長い割れが見られた。一方、本発明
例による溶接ビードでは、クレータに若干の割れが見ら
れたが他は全く割れが認められず、実用上の耐割れ性は
十分であるといえる。
【0045】
【発明の効果】上記の実施例からもわかるように、本発
明は溶接作業性、耐食性および機械的特性、耐溶接高温
割れ性に優れた高Moステンレス鋼用の被覆アーク溶接
棒を提供することを可能としたものであり、産業の発展
に貢献するところが極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 聰之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 緒方 雅人 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Mo:3.5〜8.0%、C
    r:18.0〜25.0%を含有し、ミクロ組織がオー
    ステナイト単相からなる高Moステンレス鋼用の被覆ア
    ーク溶接棒において、重量%で、 C :0.001〜0.01%、 Si:0.01〜0.2%、 Mn:0.01〜2%、 Cr:18〜25%、 Ni:55〜75%、 Cu:0.1〜3%、 N :0.1〜0.3%、 Mo、Wのうち1種または2種:6〜12%、 Al:0.001〜0.05%、を含有し、 Sを0.01%以下、 Pを0.01%以下、に制限し、残りがFeおよび不可
    避不純物よりなる高Ni合金心線に、被覆剤全量に対す
    る重量%で、 金属炭酸塩 :30〜60%、 金属ふっ化物:15〜30%、 金属酸化物 :15〜20%、を含有する被覆剤を塗布
    したことを特徴とする高Moステンレス鋼用被覆アーク
    溶接棒。
  2. 【請求項2】 高Ni合金心線はさらに、重量%で、 Co:0.1〜5%、を含有することを特徴とする請求
    項1に記載の高Moステンレス鋼用被覆アーク溶接棒。
JP8200895A 1995-03-15 1995-03-15 高耐食高Moステンレス鋼用被覆アーク溶接棒 Withdrawn JPH08252692A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000052089A (ja) * 1998-08-14 2000-02-22 Nippon Steel Corp 高温特性の優れたオーステナイト系ステンレス鋼溶接棒
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