JPH0825311A - 木材の防腐処理方法 - Google Patents

木材の防腐処理方法

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JPH0825311A
JPH0825311A JP16238694A JP16238694A JPH0825311A JP H0825311 A JPH0825311 A JP H0825311A JP 16238694 A JP16238694 A JP 16238694A JP 16238694 A JP16238694 A JP 16238694A JP H0825311 A JPH0825311 A JP H0825311A
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JP
Japan
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wood
preservative
creosote oil
oil
antiseptic
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JP16238694A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Suda
康裕 須田
Yoshikatsu Matsumoto
義勝 松本
Seisaku Kashiwazaki
清作 柏崎
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Koshii and Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Koshii and Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 集成材が膨潤せずしかも防腐効果を優れたも
のにする。 【構成】 木材を防腐剤が充填された注薬缶20内に装
入し、上記注薬缶20内を加圧することによって防腐剤
を強制的に木材に含浸させる木材の防腐処理方法におい
て、上記木材として複数枚のひき板が接着剤を介して積
層された集成材を適用し、上記防腐剤としてコールター
ルを分留して得られるクレオソート油をさらに再蒸留し
て得られた改質クレオソート油を用いる。上記改質クレ
オソート油は、クレオソート油を再蒸留して得られる2
00℃〜300℃の留分である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材に防腐性および防
虫性を付与する木材の防腐処理方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】建造物に構造材として木材を適用する場
合、古くは製材品が主流であったが、近年集成材が注目
されている。集成材は、所定厚さのひき板(ラミナ)を
乾燥した後、場合によっては節などの欠点を除去し、繊
維方向を互いに平行にして接着剤によって貼り合わせた
木質系の材料であり、欠点の分散や除去によって通常の
製材に比べてバラツキが小さく品質が安定している。
【0003】また、大径木がますます不足する今日、比
較的薄くそれ程長くないラミナを用いて積層するととも
に種々のジョイント方式でラミナを縦継ぎすることによ
り、自然材では到底得ることのできないような長大な集
成材をつくることも可能である。従って、価格面および
自然環境保全面から大断面で長大な製材品の入手がます
ます困難になりつつある昨今、集成材の需要は増大する
傾向にある。
【0004】ところで、集成材には上記のように多くの
利点が存在するが、本来的に木質系であるため、長期に
亘って屋外や水に接する用途に使用すると腐朽するとい
う欠点を有している。我が国において集成材の普及は比
較的新しく、また用途も屋内に適用される構造材や化粧
材に限られていたことから、集成材の腐朽についてはそ
れ程問題視はされていなかったが、近年雨曝しになる建
造物の外部構造材や橋梁等しばしば水に接触するような
環境で集成材が使用される例が増加している。
【0005】通常上記のような腐朽し易い環境に置かれ
る集成材の表面には防腐・防虫用の薬剤(以下防腐剤と
のみいう)が塗布されるが、表面に塗布した程度では、
風雨に曝されると防腐剤が溶脱したり、木材が干割れを
起こし、無処理の内部が露出する等防腐、防虫効果(以
下防腐効果とのみいう)はほとんど期待することができ
ないようになる。そのようなことから、内部にまで防腐
剤を強制的に浸透させる、いわゆる加圧注入によって集
成材に防腐剤を含浸させることが望ましい。
【0006】そして、上記のような加圧注入法によって
防腐処理を行うに際し、土台のような建築用の基礎材を
対象としては水溶性の防腐剤が適用されるのが一般的で
あり、直接人と接触する機会が少ない鉄道の枕木等には
油性のクレオソート油が適用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、集成材を対象
として、上記水溶性の防腐剤の加圧注入が考えられる
が、集成材は、前記のように、乾燥したラミナを接着剤
を介在させて積層したものであるため、このような集成
材に水溶性防腐剤を含浸させると、集成材を構成してい
る各ラミナが膨潤して脹らみ、割れや接着面における剥
離等が発生する。特に、木材の膨潤率については年輪の
接線方向と中心からの半径方向とで約2倍もの差が存在
するなど、木材の方向によって著しく相違するため、集
成材を構成するラミナの方向によって膨潤率が極めて不
均一になり、このことが上記割れや剥離を助長してい
る。従って、集成材の防腐処理においては、水溶性の防
腐剤の使用は好ましいものではない。
【0008】そこで、集成材に防腐剤の加圧注入法を適
用するために、防腐剤として油性防腐剤あるいは油溶性
防腐剤を用いることが考えられる。油性防腐剤は、クレ
オソート油のようにそれ自身が防腐剤であるのに対し、
油溶性防腐剤は、防腐効果の存在する薬剤をケロシンや
キシレンのような有機溶媒に溶解させたものである。
【0009】これらの油性および油溶性の防腐剤を集成
材に含浸させても、集成材を構成している各ラミナが膨
潤することはないため、集成材を対象とした加圧注入法
の防腐剤として適している。
【0010】しかしながら、上記クレオソート油は、色
が黒く、汚く、触るとべとつき、また異臭が強く、さら
に夏場の暑い時節には木材の表面からしみ出てくるいわ
ゆる発汗作用を備えているため、人に不快感を与えるこ
とになり、人と接触することが多い大部分の用途には不
向きである。
【0011】また、上記油溶性の防腐剤にあっては、一
般的に仕上がり状態は美麗であるが、防腐剤中の防腐成
分は0.5〜5重量%と微量で、残部はすべて溶剤であ
り、この溶剤は防腐成分を浸透させるためのキャリアで
あるため、油溶性防腐剤が加圧注入された木材を長期間
外気に曝すと溶剤は揮散してしまい、微量の防腐成分の
みが残留した状態になる。そしてこの残留した防腐成分
も、屋外の日照、降雨、気温に曝され、揮散、溶脱、分
解等の作用を受け、効力が低下、消失してしまうものが
多い。
【0012】さらに、上記防腐成分およびキャリアとし
ての有機溶剤は我が国においてはいずれも高価であり、
従って、集成材を対象とし、油溶性防腐剤を適用した加
圧注入法はほとんど実用化されていないというのが実情
である。
【0013】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、木材として集成材を適用し
た場合であっても、それが膨潤せずしかも防腐効果の優
れた木材の防腐処理方法を提供することを目的としてい
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
木材の防腐処理方法は、木材を防腐剤が充填された圧力
容器内に装入し、上記圧力容器内を加圧することによっ
て防腐剤を強制的に木材に含浸させる木材の防腐処理方
法において、上記木材として複数枚のひき板が接着剤を
介して積層された集成材を用い、上記防腐剤としてコー
ルタールを分留して得られるクレオソート油をさらに再
蒸留して得られた改質クレオソート油を用いることを特
徴とするものである。
【0015】本発明の請求項2記載の木材の防腐処理方
法は、請求項1記載の木材の防腐処理方法において、上
記改質クレオソート油は、上記クレオソート油の200
℃〜300℃の留分であることを特徴とするものであ
る。
【0016】
【作用】上記請求項1記載の木材の防腐処理方法によれ
ば、防腐剤として、クレオソート油を再蒸留して得られ
た改質クレオソート油が用いられている。そしてこのよ
うな改質クレオソート油はいわゆる油性防腐剤であるた
め、上記防腐剤加圧注入工程においてひき板のような比
較的薄い木材に上記改質クレオソート油が含浸されたと
しても、木材は膨潤することがなく、従って、木材とし
て集成材を適用しても、集成材に割れや剥離が発生せ
ず、寸法狂いのない状態で加圧注入法による防腐処理を
施すことが可能になる。
【0017】上記請求項2記載の木材の防腐処理方法に
よれば、上記改質クレオソート油としては、クレオソー
ト油を再蒸留して得られる200℃〜300℃の留分の
ものが適用されているため、このような留分の改質クレ
オソート油は、見た目に汚い印象を与えるような黒色で
はなくほとんど透明色になっており、異臭も少なく、ま
たベンゾピレンのような発癌性物質を含んでおらず、こ
のような改質クレオソート油が含浸された集成材に対
し、不快感を催すことはない。
【0018】さらに、上記留分の改質クレオソート油
は、クレオソート油から着色成分および異臭発生成分が
取り除かれているにも拘らず、防腐効果はクレオソート
油と同等であり、しかも集成材中に加圧注入操作によっ
て一様に含浸されているため防腐効果は長期間持続す
る。
【0019】加えて、上記のような改質クレオソート油
は、他の種類の油溶性防腐剤に比べて格段に安価である
ため、防腐処理の材料費を大幅に削減することが可能で
あり、安価に防腐処理が施された集成材を上市すること
ができる。
【0020】
【実施例】本発明は、木材を防腐剤が充填された圧力容
器内に装入し、上記圧力容器内を加圧することによって
防腐剤を強制的に木材に含浸させる木材の防腐処理方法
に関するものである。本発明においては、上記木材とし
て複数枚のラミナが接着剤を介して積層された集成材が
適用される。集成材の種類については特に限定はない
が、本実施例においては、厚さ約20mmに製材された
数枚のラミナを接着剤を介して貼り合わせたものが適用
されている。
【0021】上記接着剤としては、レゾルシノール樹脂
系のもの、ユリア樹脂系のもの、メラミン樹脂系のも
の、フェノール樹脂系のもの、α−オレフィン樹脂系の
もの、イソシアネート系のもの等が好適に適用可能であ
る。
【0022】つぎに、上記防腐剤としてクレオソート油
をさらに再蒸留して得られた改質クレオソート油が適用
されている。さらに詳しくは、沸点範囲が沸点が200
℃から300℃のものが適用されている。上記クレオソ
ート油は、工業的規模では、石炭の乾留によるコークス
製造時に副生するコールタールを常圧または減圧で蒸留
して得られるナフタリン油および洗滌油と呼ばれる沸点
範囲が200℃から300℃の留分より、アルカリ抽出
によりフェノール、クレゾールなどの酸成分を除去し、
さらに蒸留によりナフタリンを除去することにより得ら
れる。このようにして得られるクレオソート油のコール
タールに対する収率は約10%である。
【0023】フェノール等の酸性成分およびナフタリン
は、有効成分として工業的に利用するために分離回収さ
れるが、これらの成分の除去によりクレオソート油の防
腐性能に悪影響を及ぼすものではない。むしろ、ナフタ
リンの除去は、結晶の析出を防ぐ効果があり、また酸成
分は水溶性のためクレオソート油の耐候性を低下させる
ので、酸成分の除去はクレオソート油の性能上好まし
い。
【0024】そして、上記クレオソート油をさらに再蒸
留し、200℃〜300℃の留分を取り出すことによっ
て本発明に係る改質クレオソート油が得られる。再蒸留
を行うことによって、着色成分や発臭成分が取り除か
れ、概ね無色透明でかつ特異臭のないものになるととも
に、ベンゾピレンのような有害成分も除去される。
【0025】クレオソート油の成分は、ナフタリン、ク
レゾール、高級フェノール類、ナフトール類等である
が、上記クレオソートの再蒸留を行うことによって、上
記成分中の着色成分や発臭成分が取り除かれ、略無色透
明でかつ特異臭のないものになるとともに、ベンゾピレ
ンのような有害成分も除去される。
【0026】そして、本発明は、このような改質クレオ
ソート油を防腐剤として使用し、この改質クレオソート
油を集成材が装填された圧力容器に充填し、その後密閉
状態の圧力容器内を加圧して集成材に改質クレオソート
を含浸させ、集成材に防腐処理するものである。
【0027】このような防腐剤の加圧注入については、
例えばJIS規格のA9002−1992に詳細に規定
されており、この規格に記載されている装置は本発明に
適用可能である。以下この装置を用いた集成材の防腐処
理について説明する。
【0028】図1は、上記JIS規格に記載されている
加圧式防腐処理装置の説明図である。なお、上記JIS
規格には、防腐剤として水溶性のものが規定されている
が、本発明においては、水溶性の防腐剤の代わりに上記
改質クレオソート油が用いられる。この図に示すよう
に、防腐処理装置10は、防腐処理を施す木材(本発明
においては集成材)を装入する注薬缶20と、集成材に
注入する防腐剤(改質クレオソート)を貯溜する貯蔵槽
(作業層)30と、防腐剤を所定の濃度に調節する溶解
槽40と、加圧工程時および終了時に消費される防腐剤
の量を計測する計量槽50とから構成されている。
【0029】そして、図1に示すように、注薬缶20、
貯蔵槽30、溶解槽40、および計量槽50間に所定の
配管が配設されるとともに、配管の各所にバルブが設け
られ、バルブ操作によって防腐処理装置10の運転が行
われるようになっている。具体的には、液送ポンプ30
1の稼働により貯蔵槽30の防腐剤が溶解槽40に導入
され、ここで濃度調整が行われた後調整済みの防腐剤は
液送ポンプ401の稼働によって計量槽50に導入され
る。
【0030】そして、この計量槽50において所定の計
量が行われた後、加圧ポンプ501の稼働によって所定
量の防腐剤が、予め集成材が装入されている注薬缶20
に導入される。なお、注薬缶20への集成材の装入は注
薬缶20の右端部に設けられた密閉可能構造の蓋体20
4を開放することによって行われる。
【0031】その後、注薬缶20は蓋体204が閉止さ
れて密閉状態とされ、真空ポンプ203の稼働によって
まず前排気が行われ、その後空気圧縮機202の稼働に
よって所定圧力(10〜15kg/cm2G)で加圧され、
一定時間その状態が継続されて集成材への防腐剤の注入
処理が施される。最後に後排気がおこなわれてから蓋体
204が開放される。なお、注薬缶20内の圧力は圧力
計201によって監視することができるようになってい
る。
【0032】注薬缶20の蓋体204を開放すれば、内
部の防腐剤は注薬缶20の開口部から外部に漏出する
が、この漏出する防腐剤はピット60で受けられ、液送
ポンプ601の稼働によって計量槽50に返送されるよ
うになっている。
【0033】そして、注薬缶20が開放状態のまま、あ
るいは再度蓋体204が装着されて内部が密閉状態にさ
れ、真空ポンプ203の運転によって減圧状態にされた
状態が一定時間継続され、集成材に余分に付与されてい
る防腐剤の液切り操作が行われる。その後防腐処理済み
の集成材が注薬缶20から取り出される。
【0034】以上の加圧注入においては、集成材の装入
された注薬缶20でまず前排気が行われ、集成材中の空
気の一部が取り除かれてから加圧処理が行われ、この加
圧処理によって防腐剤の注入が行われるが、上記加圧処
理を施さずに大気圧に戻すことのみによっても、排気に
よる減圧状態に対して加圧された加圧処理が施される。
すなわち、本発明の、圧力容器内に集成材を装入して同
容器内を加圧するという要件は、大気圧よりも高い圧力
にすることの他に、一旦大気圧よりも低い圧力にし、そ
の圧力を元の大気圧に戻すことも含まれるのである。
【0035】そして、本発明においては、上記防腐剤B
として、クレオソート油を再蒸留して得られる230℃
〜245℃の留分の改質クレオソート油が用いられてい
る。
【0036】クレオソート油は、石炭の乾留によって得
られるコールタールを、蒸留することによって得られる
沸点が200℃以上360℃くらいまでの留分の油(J
ISK2439)である。主な成分であるメチルナフタ
リンやジメチルナフタリンの他に高分子量のアントラセ
ン等も含まれており、総じて多数の種類の芳香族成分か
ら構成されている。このようにクレオソート油は、上記
のような各種成分の混合物であり、厳密に組成が設定さ
れているというようなものではない。
【0037】ところで、このようなクレオソート油は、
古くから木材を対象とした防腐効果が存在することは知
られており、コークス製造や都市ガス製造によって代表
される石炭工業において非常に安価に副産されることと
も相俟って、防腐剤として多用されてきたという経緯が
存在する。
【0038】しかしながら、このようなクレオソート油
は、上記のように種々の芳香属成分の混合物であり、非
常に激しい芳香族臭を発するとともに、色調は茶色みを
帯びた黒色であり、このようなクレオソート油を木材の
防腐処理に適用すれば、木材の外観が美麗ではなくなる
とともに異臭によって人に不快感を与えるという問題点
が存在したのである。そのようなことから、防腐効果は
優れたものであるにも拘らず、従来は鉄道の枕木等人と
あまり接触しない場所に用いられる木材のみを対象とし
てクレオソート油が適用されていたのである。
【0039】しかし、このようなクレオソート油の優れ
た防腐効果は捨て難く、さらに油性であることから、処
理されるべき木材が、複数のラミナが接着剤を介して積
層された集成材である場合、それをクレオソート油の中
に浸漬したとしても、割れや剥離が起こらないという優
れた性質を有している。
【0040】そこで、本発明者は、このクレオソート油
の防腐剤としての優れた性質を失わせることなく、集成
材への適用に関し鋭意調査・研究を行った結果、クレオ
ソート油を改質すれば、異臭は少なくなるとともに、防
腐効果の優秀さが失われないことを見出し、本発明に到
達したのである。
【0041】このような改質クレオソート油は、従来の
クレオソート油の優れた防腐効果を保持したままで、色
は薄く略透明色であり、異臭は非常に少ないものになっ
ており、さらに速乾性を有し、木材に対する浸透性にも
優れているのである。加えて1・2−ベンゾピレンのよ
うな発癌性を有する多環芳香族化合物を含有していない
ため健康上も問題はない。
【0042】そして、本発明の木材の防腐処理方法は、
水溶性の防腐剤では加圧注入法によって到底防腐処理を
施すことができない集成材を対象とし、この集成材に上
記油性の改質クレオソートを適用し、加圧注入法によっ
て集成材の内部にまで改質クレオソート油を含浸させる
ようにしたものであるため、集成材に割れや剥離を起こ
させることなく良好に改質クレオソート油の注入処理を
行うことができる。
【0043】また、得られた防腐処理済の集成材には、
その内部にまで一様に改質クレオソート油が含浸され、
優れた防腐効果が得られるとともに、寸法安定性は優れ
たものになっており、改質クレオソート油が他の油溶性
の防腐剤に比較して非常に安価であることとも相俟って
今後ますます需要の増大が見込まれる集成材の耐用期間
の増加に大いに寄与することができる。
【0044】(試 験 例)本発明の防腐処理方法の効
果を確認するために、本発明に係る防腐剤(改質クレオ
ソート油)および比較例として用いた従来の防腐剤につ
いて、集成材等の変形状態等比較試験(第一試験)、防
腐処理した木材の臭気等の官能比較試験(第二試験)、
防腐処理木材の寸法安定性に関する比較試験(第三試
験)、および防腐効力の比較試験(第四試験)を実施し
た。
【0045】そして、本発明に係る防腐剤としては、ク
レオソートを蒸留して得られる200℃〜250℃留分
の第1改質クレオソートおよび同250℃〜300℃留
分の第2改質クレオソートを用い、比較例の防腐剤とし
ては、従来の通常のクレオソート油と、クロム、銅およ
びヒ素を有効成分とする水溶性の防腐剤(CCA)と、
アンモニア、銅および第4級アンモニウム塩を有効成分
とする防腐剤(ACQ)とを用いている。以下比較試験
の内容および試験結果について説明する。
【0046】(第一試験)集成材等の変形状態等比較試
験 (1)テストピースとしてベイマツの集成材を用いた試
験 1枚当りが10cm×3.1cm×30cmの寸法を有
するベイマツ製のラミナの6枚を積層して、図2に示す
ような10cm×19cm×30cmの寸法を有する集
成材のテストピースを多数調製した。
【0047】これらのテストピースに対して、先に図1
を基に説明した加圧注入方法によって本発明に係る防腐
剤(改質クレオソート油)の加圧注入処理を施すととも
に、比較例として従来の防腐剤の加圧注入処理を施し
た。そして、処理後のそれぞれのテストピースの変形状
態について調べた。試験結果は表1に示す通りである。
【0048】
【表1】
【0049】表1から判るように、油性の防腐剤の場合
は、水溶性の防腐剤の寸法増加率が1.12〜2.42
%と非常に大きいのに比べて極めて小さく、かつ、変形
が起こらないことが確認された。また、油性の防腐剤の
内では、本発明に係る改質クレオソート油の注入量は1
57〜168kg/m3と、従来の通常のクレオソート
油の97kg/m3よりも50%も多いにも拘らず、寸
法増加率は0〜0.03%と、従来のものの0.08%
の半分以下になっており、本発明に係る防腐剤が優れた
ものであることが判る。
【0050】(2)テストピースとしてサザンパインの
板材を用いた試験 テストピースとして、上記ベイマツの集成材に代えて、
8.9cm×3.8cm×25cmの寸法を有するサザ
ンパインの板材を用い、上記(1)と同様の試験を実施
した。試験結果は表2に示す通りである。
【0051】
【表2】
【0052】表2から判るように、水溶性の防腐剤で
は、幅方向の寸法増加率は3.15〜3.79%、厚さ
方向の寸法増加率は4.12〜4.78%と非常に大き
いのに対して、油性の防腐剤は比較例を含めて極めて小
さいことが確認された。
【0053】そして、油性の内でも、従来のクレオソー
ト油の場合は、幅方向および厚さ方向の寸法増加率がそ
れぞれ0.03%および0.17%であるのに対して、
本発明の改質クレオソート油の場合は、幅方向および厚
さ方向の双方で全く寸法の増加は認められず、本発明に
係る防腐剤が優れたものであるのが判る。
【0054】(第二試験)防腐処理した木材の臭気等の
官能比較試験 クレオソート油は、優れた防腐剤として久しく用いられ
てきたが、色が黒く、臭気が激しく、また木材に注入さ
れた後は木材表面ににじみ出てべとつき、取り扱いが難
しいため、従来は鉄道軌条の枕木にしか適用されなかっ
た。これに対して、本発明に係る改質クレオソート油
は、臭気、色、乾燥性等が格段に改善されたものになっ
ている。第二試験はこのことを確認するための試験であ
る。
【0055】所定の大きさの木材のテストピースに、本
発明に係る改質クレオソート油を用いて上記第一試験と
同様の加圧注入処理を施した。また、比較例として従来
のクレオソート油を用いてテストピースに加圧注入処理
を施した。そして、加圧注入後のテストピースの臭気、
外観色および乾燥性(テストピースの表面が濡れた状態
から乾いた状態になるまでの迅速性)の官能試験を行っ
た。試験結果は表3の通りである。
【0056】
【表3】
【0057】表3から判るように、従来のクレオソート
油を用いた場合は、テストピースからは刺激臭が発散
し、テストピースの外観の色は黒くて汚ならしく、テス
トピースの乾燥性は不良であり、表面のべとついた状態
は相当期間解消しない。
【0058】これに対して、本発明の改質クレオソート
油の場合は、刺激臭はほとんど発生せず、色は透明色で
あり、乾燥性も良好であった。このことからも、本発明
に係る防腐剤が優れたものであるのが判る。
【0059】(第三試験)防腐処理木材の寸法安定性に
関する比較試験 木材は、吸水すれば膨潤し、乾燥すれば収縮する。膨潤
および収縮の度合いが大きい木材程干割れを起したり変
形し易いが、このような木材の寸法変化を抑制する処理
の性能を示す尺度として、抗膨潤能(Anti Swelling Ef
ficiency)、または抗収縮能(Anti Shrink Efficienc
y)が用いられ、これらはいずれもASEと略称されて
いる。ASEは以下の式で計算される。
【0060】 ASE(%)={(Vc−Vt)/Vc}×100 ただし、Vc:無処理材の体積膨張率(または体積収縮
率) Vt:防腐処理材の体積膨張率(または体積収縮率) クレオソート油のような油性の防腐剤は水をはじくた
め、木材中への水の吸収が抑制されるが、水溶性の防腐
剤の場合はそのようなことはなく、屋外で雨曝しになる
と、木材中に水が多量に浸入し膨潤が著しくなる。この
ような防腐剤の種類によって異なる膨潤の度合いは、上
記ASEの値の大小で評価することができる。このAS
Eの値が高いほど防腐剤の膨潤抑止効果が大きいことを
示す。
【0061】そこで、無処理のテストピースのVcの値
を測定するとともに、本発明に係る改質クレオソート油
で防腐処理したテストピースのVtを測定し、上式によ
ってASEの値を算出した。また比較例として従来の通
常のクレオソート油、二種類の水溶性の防腐剤を用い、
上記同様の測定を行ってそれぞれのASEの値を算出し
た。試験結果を表4に示す。また、表4をグラフ化した
ものを図3に示す。なお、図3において、Aは本発明に
係る第1改質クレオソート、Bは同第2改質クレオソー
ト、Cは従来の通常のクレオソート、Dは水溶性の上記
CCA、Eは同上記ACQをそれぞれ示す。
【0062】
【表4】
【0063】表4および図3から判るように、油性の防
腐剤は、水溶性の防腐剤に比べて格段にASEの値が大
きく、水に濡れても水の吸収が抑制され、普通の木材よ
り寸法変化が起り難いことが判る。そして、油性の防腐
剤の中でも、本発明に係る改質クレオソート油の場合
は、ASE値は30乃至34%と、約30%の従来のク
レオソート油と同様のASE値を示し、本発明に係る防
腐剤が優れたものであるのが判る。
【0064】(第四試験)防腐効力の比較試験 (1)JIS規格に基づく防腐効力の比較試験 JISA9201(木材防腐剤の性能基準および試験方
法)に基づき、本発明に係る改質クレオソート油および
比較例の防腐剤について防腐効力の比較試験を行った。
試験結果を表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】防腐剤の防腐効力(表5中の重量減少率)
の性能基準は3%以下であるが、表5から判るように、
本発明に係る改質クレオソートはいずれも上記性能基準
に適合している。
【0067】(2)野外杭試験 本発明に係る改質クレオソート油および比較例の防腐剤
で防腐処理した細い杭(3cm×3cm×60cm)を
試験土壌中に下半分だけ埋設し、2年間放置した後、杭
の頂部、地際部および底部について目視観察を行い、腐
朽度を判定した。判定結果を表6に示す。
【0068】
【表6】
【0069】表6から判るように、無処理杭について
は、腐朽が甚だしく、ほとんどのものが破損してしまっ
ていたが、本発明に係る改質クレオソート油で処理した
ものは、他の防腐剤の処理品と比較して遜色はなく、充
分防腐剤として耐久効果が存在することが確認された。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の木材の防腐
処理方法は、集成材を防腐剤に浸漬して加圧する防腐剤
加圧注入工程において使用される防腐剤として、クレオ
ソート油を再蒸留して得られた改質クレオソート油が用
いられてなるものである。そしてこのような改質クレオ
ソート油はいわゆる油性防腐剤であるため、上記防腐剤
加圧注入工程において集成材が上記改質クレオソート油
の中に浸漬されたとしても、集成材を構成している各ラ
ミナは膨潤することがなく、従って、集成材に割れや剥
離が発生せず、寸法狂いのない状態で加圧注入法による
防腐処理を施すことが可能になる。
【0071】また、上記改質クレオソート油として、ク
レオソート油を再蒸留して得られる200℃〜300℃
の留分のものを適用すれば、このような留分の改質クレ
オソート油は、見た目に汚い印象を与えるような黒色で
はなくほとんど透明色になっており、異臭も少なく、ま
たベンゾピレンのような発癌性物質を含んでおらず、こ
のような改質クレオソート油が含浸された集成材に対し
ては不快感を催すことはなく、人との接触が多い建物等
の構造物に適用することが可能であり好都合である。
【0072】さらに、上記留分の改質クレオソート油
は、クレオソート油から着色成分および異臭発生成分が
取り除かれているにも拘らず、防腐効果はクレオソート
油と同等であり、しかも集成材中に加圧注入操作によっ
て一様に含浸されているため防腐効果を長期間持続させ
ることができ、構造物の耐用期間を延長させることが可
能になる。
【0073】加えて、上記のような改質クレオソート油
は、他の種類の油溶性防腐剤に比べて格段に安価である
ため、防腐処理の材料費を大幅に削減することが可能で
あり、安価に防腐処理が施された集成材を上市すること
ができ好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木材の防腐処理方法が適用される
防腐処理装置の一例を示す説明図である。
【図2】集成材のテストピースを示す斜視図である。
【図3】実施例および比較例のASE値を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10 防腐処理装置 20 注薬缶 201 圧力計 202 空気圧縮機 203 真空ポンプ 204 蓋体 30 貯蔵槽 301 液送ポンプ 40 溶解槽 401 液送ポンプ 50 計量槽 501 加圧ポンプ 60 ピット 601 液送ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 義勝 大阪市住之江区平林北1丁目2番158号 越井木材工業株式会社内 (72)発明者 柏崎 清作 大阪市住之江区平林北1丁目2番158号 越井木材工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材を防腐剤が充填された圧力容器内に
    装入し、上記圧力容器内を加圧することによって防腐剤
    を強制的に木材に含浸させる木材の防腐処理方法におい
    て、上記木材として複数枚のひき板が接着剤を介して積
    層された集成材を用い、上記防腐剤としてコールタール
    を分留して得られるクレオソート油をさらに再蒸留して
    得られた改質クレオソート油を用いることを特徴とする
    木材の防腐処理方法。
  2. 【請求項2】 上記改質クレオソート油は、上記クレオ
    ソート油の200℃〜300℃の留分であることを特徴
    とする請求項1記載の木材の防腐処理方法。
JP16238694A 1994-07-14 1994-07-14 木材の防腐処理方法 Pending JPH0825311A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11300707A (ja) * 1998-04-23 1999-11-02 My Wood Kk 木材中への液体注入方法及びこれに用いる装置
JP2007320200A (ja) * 2006-06-01 2007-12-13 Nisshin Yuatsu Kogyo Kk 薬液濃度調整装置
JP2007320199A (ja) * 2006-06-01 2007-12-13 Nisshin Yuatsu Kogyo Kk 薬液含浸装置
JP2018144485A (ja) * 2017-03-03 2018-09-20 株式会社ビシュウ 改質木材の製造方法

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