JPH08253852A - アルミニウム合金基体への耐摩耗性皮膜の形成方法 - Google Patents

アルミニウム合金基体への耐摩耗性皮膜の形成方法

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JPH08253852A
JPH08253852A JP7057198A JP5719895A JPH08253852A JP H08253852 A JPH08253852 A JP H08253852A JP 7057198 A JP7057198 A JP 7057198A JP 5719895 A JP5719895 A JP 5719895A JP H08253852 A JPH08253852 A JP H08253852A
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aluminum alloy
coating
alloy substrate
film
spray coating
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JP7057198A
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Shinji Kato
慎治 加藤
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】溶射皮膜形成時のアルミニウム合金基体の熱歪
みを抑え、しかもアルミニウム合金基体の表面に十分な
耐摩耗性を備えた耐摩耗性皮膜を形成する。 【構成】アルミニウム合金基体1の表面に、アルミニウ
ム合金基体1よりも硬質の溶射皮膜2を溶射により形成
する。その後、アルミニウム合金基体1よりも硬質で、
かつ、溶射皮膜2よりも軟質のショット粒を用いて溶射
皮膜2をブラスト処理することにより、溶射皮膜2上に
該ショット粒成分よりなるブラスト皮膜3を形成する。
溶射皮膜2及びブラスト皮膜3よりなる耐摩耗性皮膜4
により耐摩耗性等の性能上の必要膜厚を得るので、従来
のように溶射皮膜単独で耐摩耗性の性能上の必要膜厚を
得る場合と比較して、溶射皮膜2の膜厚を薄くすること
ができ、したがって溶射皮膜2形成時の溶射時間を短く
してアルミニウム合金基体1の熱歪みを抑えることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム合金基体へ
の耐摩耗性皮膜の形成方法に関する。本発明方法は、例
えば車両エンジン用の鋳物製アルミシリンダブロックに
おいて、ボア面の耐摩耗性を向上させるための表面処理
に好適に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金は鉄
鋼材料に比較して、軽量で熱伝導性、耐食性が優れてい
ることから、自動車部品をはじめ広い分野で使用されて
いる。しかし、アルミニウム合金は一般に鉄鋼材料に比
べ強度、耐摩耗性、耐熱性の面で劣っており、アルミニ
ウム合金素材そのままでは鉄鋼材料の代替材料として適
用できる部位、部品は限られている。また、既にアルミ
ニウム合金が使用さている場合でも、近年、使用環境が
過酷になるにつれ、更に耐久性の向上が求められてい
る。
【0003】そこで、アルミニウム合金基体の表面に耐
摩耗性等の特性を備えた皮膜を形成する技術が開発され
ており、例えば特開平6−240436号公報には、車
両エンジン用のアルミニウム合金製シリンダブロックの
ボア面に高い耐摩耗性を有する溶射皮膜を形成する技術
が開示されている。これは、シリンダブロックのボア面
に、アルミニウム及び鉄ベース金属等の複合粉末を溶射
粉末として用い、プラズマ溶射により溶射皮膜を形成す
るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
のように溶射皮膜だけでボア面として必要な耐摩耗性等
の特性を確保すべく、溶射皮膜の膜厚を厚くしようとす
ると、以下に示すような問題がある。すなわち、溶射皮
膜の膜厚は溶射時間に比例するので、溶射皮膜の膜厚を
厚くしようとすると、それに応じて溶射時間が長くな
り、ひいてはアルミニウム合金基体への入熱量が大きく
なる。特にアルミニウム合金は伝熱性が高いので、シリ
ンダブロック全体が温度上昇し易く、溶射時に最高30
0℃程度に達する。このため、シリンダブロック全体に
熱歪みが発生する。この歪みを許容するには、溶射皮膜
の膜厚を、耐摩耗性等の性能上の必要膜厚に上記歪み分
をプラスした膜厚とする必要がある。しかし、このよう
に厚膜化するには上記したように溶射時間も長くする必
要があるので、結果的にさらに歪みが大きくなるという
悪循環となる。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、溶射皮膜形成時のアルミニウム合金基体の熱歪み
を抑えることができ、しかもアルミニウム合金基体の表
面に十分な耐摩耗性を備えた耐摩耗性皮膜を形成するこ
とのできるアルミニウム合金基体への耐摩耗性皮膜の形
成方法を提供することを解決すべき技術課題とするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のアルミニウム合金基体への耐摩耗性皮膜の形成方法
は、アルミニウム合金基体の表面に溶射皮膜及びブラス
ト皮膜よりなる耐摩耗性皮膜を形成する方法であって、
上記アルミニウム合金基体上に、該アルミニウム合金基
体よりも硬質の上記溶射皮膜を溶射により形成する工程
と、上記アルミニウム合金基体よりも硬質で、かつ、上
記溶射皮膜よりも軟質のショット粒を用いて溶射皮膜を
ブラスト処理することにより、溶射皮膜上に該ショット
粒成分よりなる上記ブラスト皮膜を形成する工程とから
なることを特徴とするものである。
【0007】好適な態様において、前記溶射皮膜は、鉄
合金、ニッケル合金及び銅合金よりなる群から選ばれる
1種又は2種以上の合金からなる。好適な態様におい
て、前記ショット粒は、C:0.4〜2.0wt%を含
み、又はさらにP:0.1〜1.0wt%及び/又はC
r:2.0〜8.0wt%を含み、残部Feよりなる。
【0008】好適な態様において、前記アルミニウム合
金基体が鋳物よりなるアルミニウム合金製シリンダブロ
ックであり、該シリンダブロックのボア面に前記耐摩耗
性皮膜を形成する。
【0009】
【作用】本発明のアルミニウム合金基体への耐摩耗性皮
膜の形成方法は、アルミニウム合金基体の表面に溶射皮
膜及びブラスト皮膜よりなる耐摩耗性皮膜を形成する。
このように溶射皮膜及びブラスト皮膜よりなる複合皮膜
により耐摩耗性等の性能上の必要膜厚を得ることができ
るので、従来のように溶射皮膜単独で耐摩耗性の性能上
の必要膜厚を得る場合と比較して、溶射皮膜の膜厚を薄
くすることができる。したがって、溶射皮膜単独で耐摩
耗性皮膜を形成する従来方法と比較して、溶射皮膜形成
時の溶射時間を短くすることができ、これによりアルミ
ニウム合金基体の熱歪みを抑えることができる。なお、
溶射時におけるアルミニウム合金基体の温度は溶射時間
にほぼ比例する。
【0010】またアルミニウム合金基体の表面の耐摩耗
性を向上させる目的で、アルミニウム合金基体の表面
に、アルミニウム合金基体よりも硬質のショット粒を用
いて直接ブラスト処理する場合、ショット粒の投射によ
りアルミニウム合金基体の表面が研削されるたけで、該
ショット粒成分よりなるブラスト皮膜をアルミニウム合
金基体の表面に形成することができない。これに対し、
本発明方法では、まずアルミニウム合金基体上に、アル
ミニウム合金基体よりも硬質の溶射皮膜を溶射により形
成し、その後、アルミニウム合金基体よりも硬質で、か
つ、溶射皮膜よりも軟質のショット粒を用いて溶射皮膜
をブラスト処理するので、ショット粒成分よりなるブラ
スト皮膜を溶射皮膜の上に容易に形成することが可能と
なる。したがって、アルミニウム合金基体の表面に、シ
ョット粒成分に応じた耐摩耗性等の特性を付与せしめる
ことができる。
【0011】さらに、本発明方法により得られた耐摩耗
性皮膜においては、溶射皮膜とブラスト皮膜との境界部
分では、溶射皮膜内にブラスト皮膜が食い込んで両者が
混合した層となっており、溶射皮膜とブラスト皮膜との
密着強度が高い。そして、溶射皮膜を高耐摩耗性の合金
で形成した場合は、この溶射皮膜による耐摩耗性向上の
効果を付加することができ、ブラスト皮膜単独の場合と
比較して、耐摩耗性を効果的に向上させることが可能と
なる。
【0012】さらに、上記ブラスト処理により、アルミ
ニウム合金基体と溶射皮膜との界面における密着力が増
大する。これは、溶射皮膜にショット粒が衝突すること
による衝撃力が、アルミニウム合金基体と溶射皮膜との
界面に作用し、溶射皮膜がアルミニウム合金基体内に食
い込みながら界面にあった酸化層を破壊するので、物理
的結合及びアンカー効果が高まるためである。したがっ
て、本発明方法によれば、アルミニウム合金基体と耐摩
耗性皮膜との密着強度を高めることができ、皮膜形成後
の機械加工による表面仕上げ加工時等の皮膜剥離を効果
的に防止することが可能となる。
【0013】さらに、本発明方法により得られた耐摩耗
性皮膜の最表面はブラスト処理により形成されたブラス
ト皮膜で構成されているので、その表面粗さが溶射皮膜
の表面粗さよりも小さくなる。このため、皮膜形成後の
表面仕上げ加工時に発生する剪断応力が低下し、これに
よっても該加工時等の皮膜剥離を効果的に防止すること
が可能となる。
【0014】次に、上記溶射皮膜が鉄合金、ニッケル合
金及び銅合金よりなる群から選ばれる1種又は2種以上
の合金からなる場合は、これらの合金はアルミニウム合
金基体に容易に溶射することが可能であり、しかもこれ
らの硬質合金は高耐摩耗性を有するので溶射皮膜による
耐摩耗性向上の付加効果を高めることができる。また、
上記ショット粒が、C:0.4〜2.0wt%を含み、
又はさらにP:0.1〜1.0wt%及び/又はCr:
2.0〜8.0wt%を含み、残部Feよりなる場合
は、ブラスト処理により溶射皮膜上に容易にブラスト皮
膜を形成することが可能であり、しかも耐摩耗性を効果
的に向上させることができる。すなわち、C、P、Cr
は耐摩耗性向上に寄与し、これらの成分の含有量が多い
ほど耐摩耗性が向上する。C、P、Crの含有量が多過
ぎると、ブラスト処理による皮膜形成速度が低下すると
ともに、ブラスト処理時にシュット粒に割れが発生しや
すくなるため、それぞれの含有量の上限が規定される。
一方、C、P、Crの含有量の下限は、シリンダボアと
して要求される耐摩耗性を満足させるのに必要な値とし
て規定される。なお、C、P、Crの含有量のより好ま
しい範囲は、C:0.6〜1.0wt%、P:0.6〜
0.8wt%、Cr:3〜6wt%である。
【0015】さらに、アルミニウム合金基体が鋳物より
なるアルミニウム合金製シリンダブロックであり、該シ
リンダブロックのボア面に前記耐摩耗性皮膜を形成する
場合は、シリンダブロックの熱歪みを効果的に抑えるこ
とができ、しかもシリンダブロックのボア面に十分な耐
摩耗性を備えた耐摩耗性皮膜を形成することができる。
また、従来、鋳物製のアルミシリンダブロックにおいて
は、表面に現れた鋳巣等の欠陥に起因してオイル上がり
量が増加するという問題点があったが、ボア面に耐摩耗
性皮膜を形成することにより、表面欠陥をなくすことが
できるので上記問題点を解消することが可能となる。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1)図1は、アルミニウム合金製シリンダブロ
ック1のボア面1aに溶射皮膜2及びブラスト皮膜3よ
りなる耐摩耗性皮膜4を形成したものを模式的に示す部
分拡大断面図である。以下、その製造工程を説明する。
【0017】まず、通常の低圧鋳造により、アルミニウ
ム合金(JIS AC2B、硬さHv95)製シリンダ
ブロック1を鋳造し、ボア部を下記の条件でボーリング
加工して、φ87.5×140mmのボアを加工した。 工具 :超硬チップ、もしくは高速度工具鋼 切り込み :0.15mm 周速 :540m/min 送り :0.2mm/rev 取代 :φ0.3mm(直径) ドライ加工(クーラントなし) そして、このシリンダブロック1を170℃近くまで1
0秒程度かけて予熱した後、図2に示すように溶射ガン
5を用いて、下記の条件で、Fe−Cr合金(組成:F
e−7%C−62.5%Cr−2%以下Si)よりなる
溶射粉末を用いるプラズマ溶射して、シリンダブロック
1のボア面1aに溶射皮膜2を形成した。なお、この溶
射皮膜2は、硬さがHV850で、膜厚が30μmで、
表面粗さがRz20μmである。また、この溶射時のシ
リンダブロック1の温度は最高で190℃程度である。
【0018】溶射距離 :50mm 溶射時間 :7秒 溶射ガン移動速度 :2400mm/min 粉末供給量 :25g/min 粉末粒度 :−325メッシュ(−45μm) 次に、図3に示すように、鉄球の62、あるいは核61
の外周に造粒法により形成された被覆層62とから構成
されたショット粒(成分、C:0.45wt%、Fe:
残部)6を準備した。そして、このショット粒6を用い
て、下記の条件で、上記溶射皮膜2の表面をブラスト処
理し、溶射皮膜2の表面にショット粒6成分のブラスト
皮膜3を形成した。なお、ブラスト皮膜3は、硬さがH
V300で、膜厚が60μmで、表面粗さがRz30μ
mである。
【0019】最後に、ボア部を下記の条件で仕上げホー
ニング加工した。 砥石 :GC180G16CGK、及びGC
240D7YED 回転速度 :39rpm 往復ストローク速度 :16m/min 砥石拡張圧 :7〜10kg/cm2 クロスハッチ角度 :45度 以上のように本実施例方法によれば、プラズマ溶射時間
が7秒と短く、従って溶射時におけるシリンダブロック
1の温度は最高で190℃程度であるため、シリンダブ
ロック1の熱歪みはほとんどなく、しかも形成される耐
摩耗性皮膜4(ブラスト皮膜3)の表面粗さや形状精度
が良好であるため、仕上げホーニング加工するだけで完
成品とすることができた。
【0020】(実施例2〜8)ショット粒6として、表
1に示す成分のものを用いること以外は、上記実施例1
と同様である。 (比較例1〜3)ショット粒6として、表1に示す成分
のものを用いること以外は、上記実施例1と同様であ
る。
【0021】(耐摩耗性の評価)上記実施例1〜8及び
比較例1〜3に係るシリンダブロック1のボア部におけ
る耐摩耗性を評価した。なお、この評価は、図4に示す
ように実施例1と同様のアルミニウム合金製のテストリ
ング(外径35mm)7の外周面に実施例1〜8及び比
較例1〜3のそれぞれの方法に準じて耐摩耗性皮膜4を
形成したものと、ピストンリングに相当する材料(片状
黒鉛鋳鉄に、Crめっき)よりなるテストブロック(幅
6.5mm)8とを準備し、LFW−1摩耗試験機を用
いて下記の条件で摩耗試験をすることにより行った。そ
の結果を表1に併せて示す。
【0022】回転速度 :160rpm 荷重 :180kg 時間 :60分 エンジンオイル(5W−30)の油浴
【0023】
【表1】 表1から明らかなように、本実施例1〜8の耐摩耗性皮
膜4は摩耗深さが最高で1.6μmと、比較例1〜3の
ものと比べて耐摩耗性が格段と向上した。
【0024】(耐摩耗性皮膜の密着強度の評価)上記実
施例1に係る耐摩耗性皮膜4が形成されたシリンダブロ
ック1のボア部をボーリング仕上げ加工(上記実施例1
に示すボーリング加工と同様の条件)して、耐摩耗性皮
膜4の密着性を評価した。またこのボア部をホーニング
仕上げ加工(上記実施例1に示すホーニング仕上げ加工
と同様の条件)して、耐摩耗性皮膜4の密着性を評価し
た。これらの結果を表2に示す 比較のため、上記実施例1と同様のシリンダブロック1
のボア面1aに、Fe合金(成分:1wt%C−Fe)
よりなる溶射粉末を用いること以外は上記実施例1と同
様のプラズマ溶射法により溶射皮膜(膜厚300μm、
表面粗さRz200μm程度)を形成し、このボア部を
上記と同様にそれぞれボーリング仕上げ加工、ホーニン
グ仕上げ加工し、従来例に係る溶射皮膜の密着性を評価
した。その結果を表2に併せて示す。
【0025】
【表2】 また、上記実施例1に係るシリンダブロック1の耐摩耗
性皮膜4の密着強度を評価した。なお、この評価は、図
5に示すように実施例1と同様のアルミニウム合金製の
試験片(厚さ5mm)9の表面に実施例1の方法に準じ
て耐摩耗性皮膜4を形成し、この耐摩耗性皮膜4の表面
に接着剤10を介して補助部材11を固定した後、試験
片9を治具12で固定した状態で耐摩耗性皮膜4、接着
剤10及び補助部材11のみに剪断荷重をかけることに
より行った。その結果、表3に示す。
【0026】比較のため、同様の試験片9の表面に、F
e合金(成分:1wt%C−Fe)よりなる溶射粉末を
用いること以外は上記実施例1と同様のプラズマ溶射法
により溶射皮膜(膜厚300μm)を形成し、この従来
例に係溶射皮膜の密着強度を上記と同様に調べた結果を
表3に併せて示す。
【0027】
【表3】 (オイル上がり量の評価)上記実施例1に係る耐摩耗性
皮膜4が形成されたシリンダブロック1のボア部につい
て、オイル上がり量の評価をした。これは、本実施例に
係るシリンダブロックを直列4気筒の1800ccガソ
リンエンジンに搭載し、台上評価にて各種運転条件下で
オイルパンのオイルレベルを一定に保持することによ
り、オイル上がり量を調べた。その結果、鋳鉄(FC2
3C)製のシリンダブロックと同程度の値を示した。こ
れにより、従来、鋳物製のアルミシリンダブロックにお
いては、鋳巣等の欠陥に起因してオイル上がり量が増加
するという問題点があったが、本実施例のようにボア面
1aに耐摩耗性皮膜4を形成することにより、この問題
を解消できることが確認された。
【0028】さらに、本実施例に係る耐摩耗性皮膜4に
はブラスト処理時に圧縮応力が作用しており、このよう
な圧縮応力が作用していない従来の溶射皮膜と比べて、
密着力および耐摩耗性が向上する。なお、溶射皮膜2と
しては、溶射によるアルミニウム合金基体への皮膜形成
が可能で、溶射皮膜単独における上記剪断法による密着
強度が3kg/mm2 以上で、硬さがHv400以上の
ものとすることが好ましく、ショット粒の硬さとの関係
からHv600以上とすることがより好ましい。例え
ば、表4に示す組成の鉄合金、ニッケル合金、銅合金の
1種又は2種以上から溶射皮膜2を構成することができ
る。なお、溶射性(密着強度、皮膜内の空孔率及び酸化
の程度)を考慮すれば、ニッケル系合金が最も好まし
く、次に好ましいのが鉄系合金であり、コスト面では鉄
系又は銅系合金が好ましい。また、溶射皮膜2の膜厚は
10〜50μmとすることが好ましい。溶射皮膜2の膜
厚が10μmより薄いと、溶射皮膜が形成されない部分
が一部残るためであり、50μmより厚いと溶射時間が
長く、アルミニウム合金基体の熱歪が大きくなるからで
ある。ショット粒としては、溶射層よりも硬さを低くす
ることが必要なので必要に応じてショット粒を200〜
400℃×1Hの焼もどし処理を行い適度な硬さに調整
してからブラスト処理することが必要である。
【0029】
【表4】 また、ブラスト皮膜3の硬さとしては、アルミニウム合
金基体より硬く、かつ溶射皮膜2より軟らかいという条
件を満たすことが必要だが、ブラスト処理による皮膜の
形成し易さや、皮膜形成後の機械加工のし易さ等を考慮
すれば、なるべく軟かい方が好ましく、したがってブラ
スト皮膜3の硬さはHv400以下とすることが好まし
く、より好ましくはHv300以下とすることである。
また、ブラスト皮膜3の膜厚は50〜100μmとする
ことが好ましい。ブラスト皮膜3の膜厚が50μmより
薄いと、仕上げホーニング加工後の膜厚が20μm以下
となり耐久寿命の確保が困難であり、100μmより厚
いとブラスト処理時間が長く経済的でないからである。
さらにブラスト皮膜3の好ましい主成分組成は前述のと
おりであるが、通常の材料として含まれる不純物は、S
i:0.35wt%以下、Mn:1.0wt%以下、M
o:0.2wt%以下、S:0.1wt%以下、Ca:
0.1wt%以下の範囲内であれば許容する。
【0030】また、上記実施例ではプラズマ溶射法によ
り溶射皮膜2を形成する例について説明したが、アーク
溶射法やHVOF溶射、プラズマ溶射、減圧溶射法等を
用いることも可能である。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルミニ
ウム合金基体への耐摩耗性皮膜の形成方法は、アルミニ
ウム合金基体の表面に溶射皮膜及びブラスト皮膜よりな
る耐摩耗性皮膜を形成するものであるから、溶射皮膜単
独で耐摩耗性皮膜を形成する従来方法と比較して、溶射
皮膜形成時の溶射時間を短くすることができ、これによ
りアルミニウム合金基体の熱歪みを抑えることができる
とともに、溶射皮膜及びブラスト皮膜の成分組成に応じ
た耐摩耗性を付与せしめることができる。
【0032】また、溶射皮膜の上にブラスト処理により
ブラスト皮膜を形成するので、アルミニウム合金基体と
溶射皮膜との界面における密着力が増大させるととも
に、ブラスト皮膜の表面粗さを小さくすることができる
ので、皮膜形成後の機械加工による表面仕上げ加工時等
の皮膜剥離を効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係り、鋳物製アルミシリンダブロ
ックのボア面に溶射皮膜及びブラスト皮膜よりなる耐摩
耗性皮膜を形成した状態を示す部分拡大断面図である。
【図2】 本実施例に係り、ボア面に溶射皮膜を形成す
る様子を模式的に示す説明図である。
【図3】 本実施例に係り、ショット粒の断面図であ
る。
【図4】 摩耗試験法を概略的に示す斜視図である。
【図5】 剪断試験法を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1はアルミシリンダブロック、1aはボア面、2は溶射
皮膜、3はブラスト皮膜、4は耐摩耗性皮膜、6はショ
ット粒である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金基体の表面に溶射皮膜
    及びブラスト皮膜よりなる耐摩耗性皮膜を形成する方法
    であって、 上記アルミニウム合金基体上に、該アルミニウム合金基
    体よりも硬質の上記溶射皮膜を溶射により形成する工程
    と、 上記アルミニウム合金基体よりも硬質で、かつ、上記溶
    射皮膜よりも軟質のショット粒を用いて溶射皮膜をブラ
    スト処理することにより、溶射皮膜上に該ショット粒成
    分よりなる上記ブラスト皮膜を形成する工程とからなる
    ことを特徴とするアルミニウム合金基体への耐摩耗性皮
    膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記溶射皮膜が、鉄合金、ニッケル合金
    及び銅合金よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の
    合金からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニ
    ウム合金基体への耐摩耗性皮膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記ショット粒が、C:0.4〜2.0
    wt%を含み、又はさらにP:0.1〜1.0wt%及
    び/又はCr:2.0〜8.0wt%を含み、残部Fe
    よりなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム
    合金基体への耐摩耗性皮膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム合金基体が鋳物よりな
    るアルミニウム合金製シリンダブロックであり、該シリ
    ンダブロックのボア面に前記耐摩耗性皮膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金基体へ
    の耐摩耗性皮膜の形成方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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