JPH08254594A - 金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法 - Google Patents
金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法Info
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- JPH08254594A JPH08254594A JP7058522A JP5852295A JPH08254594A JP H08254594 A JPH08254594 A JP H08254594A JP 7058522 A JP7058522 A JP 7058522A JP 5852295 A JP5852295 A JP 5852295A JP H08254594 A JPH08254594 A JP H08254594A
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
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- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
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- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明の目的は、BWRプラントの炉内構造物
の応力腐食割れ及び水素割れを防止する方法を提供する
ことにある。 【構成】本発明の構成は、腐食環境を有し耐食合金から
なる金属部材の液体と接する50〜150℃における腐
食電位を、前記金属部材に応力腐食割れが発生しなくな
る電位より卑な電位に保ち、かつ、水素割れが発生しな
くなる電位よりも貴な電位に保持する金属部材の応力腐
食割れ及び水素割れ防止方法。 【効果】金属部材の腐食電位範囲を特定値とし、応力腐
食割れ破断寿命及び水素割れ破断寿命が延命し、本発明
による応力腐食割れ防止効果及び水素割れ防止効果は極
めて有効であることがわかる。したがって、本発明によ
り応力腐食割れ対策を立てた場合のプラント寿命が延び
る。
の応力腐食割れ及び水素割れを防止する方法を提供する
ことにある。 【構成】本発明の構成は、腐食環境を有し耐食合金から
なる金属部材の液体と接する50〜150℃における腐
食電位を、前記金属部材に応力腐食割れが発生しなくな
る電位より卑な電位に保ち、かつ、水素割れが発生しな
くなる電位よりも貴な電位に保持する金属部材の応力腐
食割れ及び水素割れ防止方法。 【効果】金属部材の腐食電位範囲を特定値とし、応力腐
食割れ破断寿命及び水素割れ破断寿命が延命し、本発明
による応力腐食割れ防止効果及び水素割れ防止効果は極
めて有効であることがわかる。したがって、本発明によ
り応力腐食割れ対策を立てた場合のプラント寿命が延び
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はBWRプラントの炉内構
造物の応力腐食割れ防止方法に関し、特に炉水中に水素
を注入して炉水の溶存酸素濃度及び過酸化水素濃度を低
減するときに完全に酸化剤を除去せずに酸化性雰囲気下
で応力腐食割れの抑制効果を著しく高める方法に関す
る。
造物の応力腐食割れ防止方法に関し、特に炉水中に水素
を注入して炉水の溶存酸素濃度及び過酸化水素濃度を低
減するときに完全に酸化剤を除去せずに酸化性雰囲気下
で応力腐食割れの抑制効果を著しく高める方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】BWRプラントの炉内構造材には、オー
ステナイト系ステンレス綱及びニッケル基合金が多く使
用されている。該プラントには、溶接部が多数存在する
ことから、溶接熱影響部での材料の鋭敏化による応力腐
食割れの発生が懸念されている。
ステナイト系ステンレス綱及びニッケル基合金が多く使
用されている。該プラントには、溶接部が多数存在する
ことから、溶接熱影響部での材料の鋭敏化による応力腐
食割れの発生が懸念されている。
【0003】応力腐食割れは、冶金的,力学的諸因子
に、環境の腐食作用が重畳して発生するため、これら各
方面からその対策が提案されてきた。その結果、炉水中
に水素を注入して酸化剤の濃度を低減することにより応
力腐食割れを防止する水素注入法が提案され、既に国外
のプラントでは実用化されている。一方、我が国のBWR
プラントでは水素注入は実施されてないが、交換が困難
な既設プラントの健全性向上及び長寿命化等を考慮する
と、国内プラントに対しても水素注入運転の必要性が高
まっている。このような応力腐食割れ対策として、特開
昭63−179085号公報では、炉内構造物を水素基準電極に
対して−310〜100mVに保持する方法が開示され
ている。この方法は、定常運転時の炉内構造物の腐食防
止には有効な方法であり、溶体化処理材について記載さ
れており、溶接部について、材料の鋭敏化後における応
力腐食割れについて考慮されていない。
に、環境の腐食作用が重畳して発生するため、これら各
方面からその対策が提案されてきた。その結果、炉水中
に水素を注入して酸化剤の濃度を低減することにより応
力腐食割れを防止する水素注入法が提案され、既に国外
のプラントでは実用化されている。一方、我が国のBWR
プラントでは水素注入は実施されてないが、交換が困難
な既設プラントの健全性向上及び長寿命化等を考慮する
と、国内プラントに対しても水素注入運転の必要性が高
まっている。このような応力腐食割れ対策として、特開
昭63−179085号公報では、炉内構造物を水素基準電極に
対して−310〜100mVに保持する方法が開示され
ている。この方法は、定常運転時の炉内構造物の腐食防
止には有効な方法であり、溶体化処理材について記載さ
れており、溶接部について、材料の鋭敏化後における応
力腐食割れについて考慮されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】プラントの定常運転
時、炉内構造物は288℃の腐食環境に曝されるが、プ
ラントの補修時,起動時などには150℃以下(約50
〜150℃付近)の腐食環境に曝される。
時、炉内構造物は288℃の腐食環境に曝されるが、プ
ラントの補修時,起動時などには150℃以下(約50
〜150℃付近)の腐食環境に曝される。
【0005】このような温度領域の場合、炉内構造物を
水素基準電極に対して−310〜100mVに保持する
方法によっては必ずしも、防食効果が得られない。
水素基準電極に対して−310〜100mVに保持する
方法によっては必ずしも、防食効果が得られない。
【0006】特に、過渡運転時の水質は3000ppbの
過酸化水素や8000ppbの溶存酸素など高濃度の酸化
剤の存在や導電率の上昇があり、極めて高い腐食性環境
に曝されている。
過酸化水素や8000ppbの溶存酸素など高濃度の酸化
剤の存在や導電率の上昇があり、極めて高い腐食性環境
に曝されている。
【0007】また、炉内構造物等が腐食環境に曝される
と、鋭敏化された溶接部が他の部位に比べて応力腐食割
れを起こす危険性が高いが、従来、溶体化処理後の材料
については検討されていなかった。さらに、プラントの
補修時,起動時などの150℃以下での腐食環境のよう
なもとでの鋭敏化処理後の材料についての応力腐食割れ
は、考慮されておらず、このような環境のもとで応力腐
食割れの危険性があった。
と、鋭敏化された溶接部が他の部位に比べて応力腐食割
れを起こす危険性が高いが、従来、溶体化処理後の材料
については検討されていなかった。さらに、プラントの
補修時,起動時などの150℃以下での腐食環境のよう
なもとでの鋭敏化処理後の材料についての応力腐食割れ
は、考慮されておらず、このような環境のもとで応力腐
食割れの危険性があった。
【0008】本発明は、このような状況を鑑みて水素注
入効果を検討した結果、酸化性環境から還元性環境に改
善することは、逆に割れを促進することが明らかとなっ
たものであり、この結果を踏まえて、酸化性環境下で腐
食を抑制する効果の現れる電位領域を提供するものであ
る。これにより、本発明はより少ない水素注入量でも応
力腐食割れの発生を抑制し、かつ水素割れを防止する方
法を提供するものである。
入効果を検討した結果、酸化性環境から還元性環境に改
善することは、逆に割れを促進することが明らかとなっ
たものであり、この結果を踏まえて、酸化性環境下で腐
食を抑制する効果の現れる電位領域を提供するものであ
る。これにより、本発明はより少ない水素注入量でも応
力腐食割れの発生を抑制し、かつ水素割れを防止する方
法を提供するものである。
【0009】また、特に、溶接部について、水素割れ防
止効果を保ちつつ、材料の鋭敏化による応力腐食割れ防
止効果を向上させた水素割れ及び応力腐食割れ防止方法
を提供するものである。
止効果を保ちつつ、材料の鋭敏化による応力腐食割れ防
止効果を向上させた水素割れ及び応力腐食割れ防止方法
を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸素,水素,
過酸化水素,硝酸等を含む水溶液のラジカル(放射線分
解生成物)を主成分とする原子炉炉水等の腐食環境に金
属部材が接している場合、その金属部材の腐食電位をそ
の金属の活性領域となる電位より卑な電位、すなわち応
力腐食割れが発生しなくなる電位より卑な電位で、かつ
水素割れが発生しなくなる限界水素濃度となる電位より
も貴な電位に保持する方法である。
過酸化水素,硝酸等を含む水溶液のラジカル(放射線分
解生成物)を主成分とする原子炉炉水等の腐食環境に金
属部材が接している場合、その金属部材の腐食電位をそ
の金属の活性領域となる電位より卑な電位、すなわち応
力腐食割れが発生しなくなる電位より卑な電位で、かつ
水素割れが発生しなくなる限界水素濃度となる電位より
も貴な電位に保持する方法である。
【0011】本発明の金属部材の応力腐食割れ及び水素
割れ防止方法は、BWRプラントの起動停止時に、一次
系配管物または炉内構造物の少なくとも一方が曝される
炉水環境を酸化性雰囲気に保持することを特徴とする。
割れ防止方法は、BWRプラントの起動停止時に、一次
系配管物または炉内構造物の少なくとも一方が曝される
炉水環境を酸化性雰囲気に保持することを特徴とする。
【0012】また、前記一次系配管物または前記炉内構
造物の少なくとも一方がステンレス鋼からなることが適
切である。
造物の少なくとも一方がステンレス鋼からなることが適
切である。
【0013】さらに、前記ステンレス鋼が、SUS304また
はSUS316の群の中から選ばれた少なくとも1種のステン
レス鋼からなることが適切である。
はSUS316の群の中から選ばれた少なくとも1種のステン
レス鋼からなることが適切である。
【0014】次に、前記部材が、インコネル600から
なることが適切であり、前記部材の腐食電位を水素基準
電位に対し100〜400mV範囲に保持することが適
切である。
なることが適切であり、前記部材の腐食電位を水素基準
電位に対し100〜400mV範囲に保持することが適
切である。
【0015】本発明の金属部材の応力腐食割れ及び水素
割れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または
炉内構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止
方法において、前記一次系配管物または前記炉内構造物
の少なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定
値として、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持すること
を特徴とする。
割れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または
炉内構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止
方法において、前記一次系配管物または前記炉内構造物
の少なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定
値として、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持すること
を特徴とする。
【0016】本発明の金属部材の応力腐食割れ及び水素
割れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または
炉内構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止
方法において、前記一次系配管物または前記炉内構造物
の少なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定
値として、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、かつ
前記金属部材の腐食電位が水素基準電位に対し100〜
400mVの範囲に維持することを特徴する。
割れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または
炉内構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止
方法において、前記一次系配管物または前記炉内構造物
の少なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定
値として、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、かつ
前記金属部材の腐食電位が水素基準電位に対し100〜
400mVの範囲に維持することを特徴する。
【0017】本発明の金属部材の応力腐食割れ及び水素
割れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または
炉内構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止
方法において、前記一次系配管物または前記炉内構造物
の少なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定
値として、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、かつ
前記金属部材の腐食電位が水素基準電位に対し100〜
400mVの範囲に維持することによって、前記金属部
材の水素吸収量が0.001ppmより少なくすることを特
徴とする。
割れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または
炉内構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止
方法において、前記一次系配管物または前記炉内構造物
の少なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定
値として、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、かつ
前記金属部材の腐食電位が水素基準電位に対し100〜
400mVの範囲に維持することによって、前記金属部
材の水素吸収量が0.001ppmより少なくすることを特
徴とする。
【0018】本発明の溶接部の応力腐食割れ及び水素割
れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または炉
内構造物の鋭敏化された溶接部の応力腐食割れ及び水素
割れ防止方法において、前記BWRプラントの起動停止
時に、前記一次系配管物または前記炉内構造物の少なく
とも一方が曝される炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、
鋭敏化された前記溶接部を水素基準電位に対し特定の電
位に調節することを特徴とする。
れ防止方法は、BWRプラントの一次系配管物または炉
内構造物の鋭敏化された溶接部の応力腐食割れ及び水素
割れ防止方法において、前記BWRプラントの起動停止
時に、前記一次系配管物または前記炉内構造物の少なく
とも一方が曝される炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、
鋭敏化された前記溶接部を水素基準電位に対し特定の電
位に調節することを特徴とする。
【0019】本発明のBWRプラントの炉内構造物の溶
接部の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法は、50〜1
50℃の腐食環境下でのBWRプラントの炉内構造物の
溶接部が酸化性雰囲気中に保持し、かつ前記溶接部の腐
食電位が水素基準電位に対し100〜400mVの範囲
に維持されることによって、前記溶接部の水素吸収量が
0.001ppmより少なくすることを特徴とする。
接部の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法は、50〜1
50℃の腐食環境下でのBWRプラントの炉内構造物の
溶接部が酸化性雰囲気中に保持し、かつ前記溶接部の腐
食電位が水素基準電位に対し100〜400mVの範囲
に維持されることによって、前記溶接部の水素吸収量が
0.001ppmより少なくすることを特徴とする。
【0020】ここで、本発明は、金属部材はオーステナ
イト系ステンレス鋼,ニッケル基合金,ジルカロイ等の
合金からなる耐食合金であって、応力腐食割れまたは水
素割れの発生する可能性のある金属であることが適切で
ある。
イト系ステンレス鋼,ニッケル基合金,ジルカロイ等の
合金からなる耐食合金であって、応力腐食割れまたは水
素割れの発生する可能性のある金属であることが適切で
ある。
【0021】
【作用】本発明を詳述すると以下のようになる。
【0022】金属の腐食電位を高めてアノード分極する
と、金属表面は不働態領域となり、不働態皮膜が金属表
面に形成される。不働態領域では金属表面が溶液中に溶
けにくい状態となっており、一般には金属表面に酸化皮
膜が形成されている状態を言う。このような状態にある
皮膜を不働態皮膜と言い、一般には酸化皮膜を指す。し
かし、金属表面が不働態領域にある場合に、機械的に皮
膜の破損が生じ、応力腐食割れの発生へとつながれる恐
れがある。
と、金属表面は不働態領域となり、不働態皮膜が金属表
面に形成される。不働態領域では金属表面が溶液中に溶
けにくい状態となっており、一般には金属表面に酸化皮
膜が形成されている状態を言う。このような状態にある
皮膜を不働態皮膜と言い、一般には酸化皮膜を指す。し
かし、金属表面が不働態領域にある場合に、機械的に皮
膜の破損が生じ、応力腐食割れの発生へとつながれる恐
れがある。
【0023】一方、金属表面を自然電位からカソード側
に分極すると水素が発生し、その水素が金属部材中に侵
入して結晶粒界の結合力を低下させ、水素割れの原因と
なる。そこで本発明者らは、金属表面の電位と表面状態
について種々の検討を行った結果、不働態領域に着目し
たものである。
に分極すると水素が発生し、その水素が金属部材中に侵
入して結晶粒界の結合力を低下させ、水素割れの原因と
なる。そこで本発明者らは、金属表面の電位と表面状態
について種々の検討を行った結果、不働態領域に着目し
たものである。
【0024】ここで、カソード分極による活性領域と
は、金属表面が溶けやすい状態になっていることを言
い、金属の素地または酸化皮膜自体が溶ける場合を意味
する。
は、金属表面が溶けやすい状態になっていることを言
い、金属の素地または酸化皮膜自体が溶ける場合を意味
する。
【0025】上記不働態領域で金属表面に不働態皮膜が
形成されており、この不働態領域の低電位側では、応力
腐食割れを防止できる。また、不働態領域では水素は若
干発生しても水素割れには至らない。
形成されており、この不働態領域の低電位側では、応力
腐食割れを防止できる。また、不働態領域では水素は若
干発生しても水素割れには至らない。
【0026】したがって、このような不働態領域に金属
部材の腐食電位を保持することにより、応力腐食割れを
防止しつつ水素割れを防ぐことができる。また、この不
働態領域には、安定な不働態皮膜が存在する。すなわ
ち、一般には酸化皮膜が存在すると、金属中への水素の
侵入が阻止されるため水素割れ防止上有効である。ま
た、水溶液中の水素が金属中に侵入しようとしても、環
境が酸化状態(アノード)にあるため、ただちに無害な
水分子に酸化されるので、水素割れを防止することがで
きる。
部材の腐食電位を保持することにより、応力腐食割れを
防止しつつ水素割れを防ぐことができる。また、この不
働態領域には、安定な不働態皮膜が存在する。すなわ
ち、一般には酸化皮膜が存在すると、金属中への水素の
侵入が阻止されるため水素割れ防止上有効である。ま
た、水溶液中の水素が金属中に侵入しようとしても、環
境が酸化状態(アノード)にあるため、ただちに無害な
水分子に酸化されるので、水素割れを防止することがで
きる。
【0027】すなわち、本発明は、金属部材の表面状態
が不働態領域になるようにこの金属表面の電位を保持
し、かつこの腐食電位を、水素割れの起こる下限の水素
濃度、すなわち限界水素濃度となる電位よりアノード側
になるように保持することを特徴とする金属部材の水素
割れの防止である。
が不働態領域になるようにこの金属表面の電位を保持
し、かつこの腐食電位を、水素割れの起こる下限の水素
濃度、すなわち限界水素濃度となる電位よりアノード側
になるように保持することを特徴とする金属部材の水素
割れの防止である。
【0028】上記のように構成された割れ防止方法で
は、50〜150℃の腐食環境にあって、鋭敏化した耐
食合金からなる金属部材の腐食電位を、金属部材に粒界
型の応力腐食割れが発生しなくなる電位より卑な電位に
保つので、金属部材の表面が不完全な不働態皮膜を形成
し、また上記腐食電位を、金属部材に水素割れが発生し
なくなる電位よりも貴な電位に保持するので、不働態皮
膜の形成により水素の金属への侵入を防ぐことができ
る。
は、50〜150℃の腐食環境にあって、鋭敏化した耐
食合金からなる金属部材の腐食電位を、金属部材に粒界
型の応力腐食割れが発生しなくなる電位より卑な電位に
保つので、金属部材の表面が不完全な不働態皮膜を形成
し、また上記腐食電位を、金属部材に水素割れが発生し
なくなる電位よりも貴な電位に保持するので、不働態皮
膜の形成により水素の金属への侵入を防ぐことができ
る。
【0029】水素割れを抑制する機構としては、水素割
れの起こる下限の水素濃度(限界水素濃度)となる電位
よりアノード側になっているので、不働態皮膜の形成に
より水素の金属への侵入を防ぐとともに金属表面の環境
が酸化状態になっているため、腐食環境中の水素が金属
部材中に侵入しようとしても直ちに無害な水分子に酸化
されて水素割れの発生を妨げる。
れの起こる下限の水素濃度(限界水素濃度)となる電位
よりアノード側になっているので、不働態皮膜の形成に
より水素の金属への侵入を防ぐとともに金属表面の環境
が酸化状態になっているため、腐食環境中の水素が金属
部材中に侵入しようとしても直ちに無害な水分子に酸化
されて水素割れの発生を妨げる。
【0030】したがって、本発明によれば、環境水の溶
存酸素濃度を低減し、50〜150℃の腐食環境におい
て、特定の腐食電位範囲に保持することによって、金属
部材であるSUS304ステンレス鋼,SUS316ステンレス鋼及
びインコネル600のいずれの場合も水素吸収量を減少
させ、応力腐食割れ及び水素割れの発生を防止すること
ができた。
存酸素濃度を低減し、50〜150℃の腐食環境におい
て、特定の腐食電位範囲に保持することによって、金属
部材であるSUS304ステンレス鋼,SUS316ステンレス鋼及
びインコネル600のいずれの場合も水素吸収量を減少
させ、応力腐食割れ及び水素割れの発生を防止すること
ができた。
【0031】この際、溶存酸素濃度は、過酸化水素濃度
によって適切な範囲が異なるため、過酸化水素濃度に対
応して溶存酸素濃度の範囲を決定することが望ましい。
また、金属部材の水素吸収量を0.001ppm未満にする
ことが望ましい。
によって適切な範囲が異なるため、過酸化水素濃度に対
応して溶存酸素濃度の範囲を決定することが望ましい。
また、金属部材の水素吸収量を0.001ppm未満にする
ことが望ましい。
【0032】
(実施例1)本実施例では、まずBWRプラントの起動
停止時を想定して100℃におけるSUS304ステンレス鋼
の割れ挙動に及ぼす腐食電位の影響を定荷重応力腐食割
れ試験法により検討した。金属部材としては、最重要部
と考えられる鋭敏化された溶接部を想定して鋭敏化材料
で実施した。
停止時を想定して100℃におけるSUS304ステンレス鋼
の割れ挙動に及ぼす腐食電位の影響を定荷重応力腐食割
れ試験法により検討した。金属部材としては、最重要部
と考えられる鋭敏化された溶接部を想定して鋭敏化材料
で実施した。
【0033】予め、基準となる電極電位を測定した。基
準電位を測定する基準電極には、銀−塩化銀電極,水素
電極,貴金属電極等を用いた。
準電位を測定する基準電極には、銀−塩化銀電極,水素
電極,貴金属電極等を用いた。
【0034】図1に、鋭敏化処理を行ったSUS304ステン
レス鋼(JIS規格)を用いて溶存酸素濃度を0.01p
pm以下に脱気した100℃の完全脱気純水中に浸漬した
場合のSUS304鋼の割れ形態と電位との関係を示す。
レス鋼(JIS規格)を用いて溶存酸素濃度を0.01p
pm以下に脱気した100℃の完全脱気純水中に浸漬した
場合のSUS304鋼の割れ形態と電位との関係を示す。
【0035】図1の横軸は応力腐食割れ又は水素割れに
より試験片が破断する時間を、縦軸は金属表面の電位と
して、水素電極を基準とする標準電極電位:VSHEを
示した。
より試験片が破断する時間を、縦軸は金属表面の電位と
して、水素電極を基準とする標準電極電位:VSHEを
示した。
【0036】図1中の×印はその時間で破断したことを
示し、○印はその時間までで破断しなかったことを示
す。
示し、○印はその時間までで破断しなかったことを示
す。
【0037】腐食電位が、約−300mVSHE以下の電位で
は、約10時間で水素割れを起こし、約90mVSHE以下の
電位では、約500時間で水素割れを起こしたが、約10
0mVSHE以上の電位では、10,000 時間でも水素割れ
を起こさなかった。
は、約10時間で水素割れを起こし、約90mVSHE以下の
電位では、約500時間で水素割れを起こしたが、約10
0mVSHE以上の電位では、10,000 時間でも水素割れ
を起こさなかった。
【0038】また、腐食電位が、約500mVSHEの電位で
は、約100時間で応力腐食割れが認められたが、約45
0mVSHE以下の電位では、応力腐食割れは認められなかっ
た。
は、約100時間で応力腐食割れが認められたが、約45
0mVSHE以下の電位では、応力腐食割れは認められなかっ
た。
【0039】このように、100℃において、腐食電位
が100〜400mVSHE の範囲で、鋭敏化されたSUS304ステン
レス鋼は、10,000 時間を経過しても水素割れ及び
応力腐食割れの双方とも生じず、水素割れ及び応力腐食
割れの防止効果が向上した。上記の試験後、水素割れに
起因すると考えられる全試験片中に含まれている水素量
を分析した。
が100〜400mVSHE の範囲で、鋭敏化されたSUS304ステン
レス鋼は、10,000 時間を経過しても水素割れ及び
応力腐食割れの双方とも生じず、水素割れ及び応力腐食
割れの防止効果が向上した。上記の試験後、水素割れに
起因すると考えられる全試験片中に含まれている水素量
を分析した。
【0040】その試験条件ごとの試験片の水素吸収量を
表1に示す。
表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示すように100mVSHE以上の電位に曝
された試験片には水素の存在が認められず、0.001
(ppm)未満であったが、90mVSHE 以下の電位に曝され
た試験片には多量の水素が検出された。90mVSHEと100mV
SHE との間で急激に水素吸収量が変化していることがわ
かる。
された試験片には水素の存在が認められず、0.001
(ppm)未満であったが、90mVSHE 以下の電位に曝され
た試験片には多量の水素が検出された。90mVSHEと100mV
SHE との間で急激に水素吸収量が変化していることがわ
かる。
【0043】このように、90mVSHE 以下であると、限界
水素濃度を越えて水素が発生するため、水素割れが生じ
ることがわかる。一方、SUS304の腐食電位が500mVSHEよ
り大きいと、SUS304の表面は過不働態領域にあるゆえ、
応力腐食割れが発生する。
水素濃度を越えて水素が発生するため、水素割れが生じ
ることがわかる。一方、SUS304の腐食電位が500mVSHEよ
り大きいと、SUS304の表面は過不働態領域にあるゆえ、
応力腐食割れが発生する。
【0044】したがって、本実施例によれば、環境水の
溶存酸素濃度を0.01ppm以下とし、100℃におい
て、腐食電位を100〜400mVSHE の範囲に保持することに
よって、金属部材であるSUS304ステンレス鋼の水素吸収
量が0.001(ppm)未満となり、応力腐食割れ及び水
素割れの発生を防止することができることがわかった。 (実施例2)次に、オーステナイト系ステンレス鋼の他
の例として、SUS316の応力腐食割れ及び水素割れの電位
依存性を検討した。
溶存酸素濃度を0.01ppm以下とし、100℃におい
て、腐食電位を100〜400mVSHE の範囲に保持することに
よって、金属部材であるSUS304ステンレス鋼の水素吸収
量が0.001(ppm)未満となり、応力腐食割れ及び水
素割れの発生を防止することができることがわかった。 (実施例2)次に、オーステナイト系ステンレス鋼の他
の例として、SUS316の応力腐食割れ及び水素割れの電位
依存性を検討した。
【0045】図2に、鋭敏化処理を行ったSUS316ステン
レス鋼(JIS規格)を用いて溶存酸素濃度を0.01p
pm以下に脱気した100℃の完全脱気純水中に浸漬した
場合のSUS316鋼の割れ形態と電位との関係を示す。
レス鋼(JIS規格)を用いて溶存酸素濃度を0.01p
pm以下に脱気した100℃の完全脱気純水中に浸漬した
場合のSUS316鋼の割れ形態と電位との関係を示す。
【0046】腐食電位が、約−200mVSHEの電位では、約
100時間で水素割れを起こし、約90mVSHEの電位で
は、約2000時間で水素割れを起こしたが、約100mVS
HE 以上の電位では、10,000 時間でも水素割れを
起こさなかった。
100時間で水素割れを起こし、約90mVSHEの電位で
は、約2000時間で水素割れを起こしたが、約100mVS
HE 以上の電位では、10,000 時間でも水素割れを
起こさなかった。
【0047】また、腐食電位が、約500mVSHEの電位で
は、約70時間で応力腐食割れが認められたが、約450m
VSHE以下の電位では、応力腐食割れは認められなかっ
た。
は、約70時間で応力腐食割れが認められたが、約450m
VSHE以下の電位では、応力腐食割れは認められなかっ
た。
【0048】このように、100℃において、腐食電位
が100〜400mVSHE の範囲で、鋭敏化されたSUS316ステン
レス鋼でも同様に、10,000 時間を経過しても水素
割れ及び応力腐食割れの双方とも生じず、水素割れ及び
応力腐食割れの防止効果が向上したことがわかる。
が100〜400mVSHE の範囲で、鋭敏化されたSUS316ステン
レス鋼でも同様に、10,000 時間を経過しても水素
割れ及び応力腐食割れの双方とも生じず、水素割れ及び
応力腐食割れの防止効果が向上したことがわかる。
【0049】したがって、本実施例によれば、SUS304ス
テンレス鋼と同様、環境水の溶存酸素濃度を0.01ppm
以下とし、100℃において、腐食電位を100〜400mVSH
E の範囲に保持することによって、SUS316ステンレス鋼
の水素吸収量が0.001(ppm)未満となり、応力腐食割れ
及び水素割れの発生を防止することができた。
テンレス鋼と同様、環境水の溶存酸素濃度を0.01ppm
以下とし、100℃において、腐食電位を100〜400mVSH
E の範囲に保持することによって、SUS316ステンレス鋼
の水素吸収量が0.001(ppm)未満となり、応力腐食割れ
及び水素割れの発生を防止することができた。
【0050】(実施例3)次に、ニッケル基合金の一例
として、インコネル600の応力腐食割れ及び水素割れ
の電位依存性を検討した。
として、インコネル600の応力腐食割れ及び水素割れ
の電位依存性を検討した。
【0051】図3に、鋭敏化処理を行ったインコネル6
00を用いて溶存酸素濃度を0.01ppm 以下に脱気した1
00℃の完全脱気純水中に浸漬した場合の割れ形態と電
位との関係を示す。
00を用いて溶存酸素濃度を0.01ppm 以下に脱気した1
00℃の完全脱気純水中に浸漬した場合の割れ形態と電
位との関係を示す。
【0052】腐食電位が、約−200mVSHEの電位では、約
800時間で水素割れを起こし、約90mVSHEの電位で
は、約1,000時間余りで水素割れを起こしたが、約1
00mVSHE以上の電位では、10,000 時間でも水素割
れを起こさなかった。
800時間で水素割れを起こし、約90mVSHEの電位で
は、約1,000時間余りで水素割れを起こしたが、約1
00mVSHE以上の電位では、10,000 時間でも水素割
れを起こさなかった。
【0053】また、腐食電位が、約500mVSHEの電位で
は、約30時間余りで応力腐食割れが認められたが、約
400mVSHE以下の電位では、応力腐食割れは認められなか
った。このように、100℃において、腐食電位が100
〜400mVSHE の範囲で、鋭敏化されたインコネル600
でも同様に、10,000 時間を経過しても水素割れ及
び応力腐食割れの双方とも生じず、水素割れ及び応力腐
食割れの防止効果が向上したことがわかる。
は、約30時間余りで応力腐食割れが認められたが、約
400mVSHE以下の電位では、応力腐食割れは認められなか
った。このように、100℃において、腐食電位が100
〜400mVSHE の範囲で、鋭敏化されたインコネル600
でも同様に、10,000 時間を経過しても水素割れ及
び応力腐食割れの双方とも生じず、水素割れ及び応力腐
食割れの防止効果が向上したことがわかる。
【0054】したがって、本実施例によれば、SUS304ス
テンレス鋼と同様、環境水の溶存酸素濃度を0.01ppm
以下とし、100℃において、腐食電位を100〜400mVSH
E の範囲に保持することによって、SUS316ステンレス鋼
の水素吸収量が0.001(ppm)未満となり、応力腐食割れ
及び水素割れの発生を防止することができた。
テンレス鋼と同様、環境水の溶存酸素濃度を0.01ppm
以下とし、100℃において、腐食電位を100〜400mVSH
E の範囲に保持することによって、SUS316ステンレス鋼
の水素吸収量が0.001(ppm)未満となり、応力腐食割れ
及び水素割れの発生を防止することができた。
【0055】このように、実施例1〜3によれば、オー
ステナイト系ステンレス鋼及びニッケル基合金では、応
力腐食割れ及び水素割れの状況、すなわち、腐食電位に
対する破断時間は、それぞれ異なるものの、応力腐食割
れ及び水素割れの発生を防止するための腐食電位を維持
する範囲は、同一であることがわかった。
ステナイト系ステンレス鋼及びニッケル基合金では、応
力腐食割れ及び水素割れの状況、すなわち、腐食電位に
対する破断時間は、それぞれ異なるものの、応力腐食割
れ及び水素割れの発生を防止するための腐食電位を維持
する範囲は、同一であることがわかった。
【0056】(実施例4)次に、SUS304鋼の割れ形態と
温度の関係について検討した。
温度の関係について検討した。
【0057】図4は、鋭敏化処理を行ったSUS304を用い
て溶存酸素濃度を0.01ppm以下に脱気した完全脱気純
水中に浸漬した場合の割れ形態と電位との関係を示す。
て溶存酸素濃度を0.01ppm以下に脱気した完全脱気純
水中に浸漬した場合の割れ形態と電位との関係を示す。
【0058】この際、環境温度を50,125及び15
0℃に変えて実験を行った。
0℃に変えて実験を行った。
【0059】環境温度を50℃の場合は、125℃及び
150℃の場合と比べて、腐食電位が約90mVSHE 以下の
電位範囲で、約10倍、水素割れ及び応力腐食割れの破
断時間が長い。125と150℃とでは、顕著な破断時
間の違いはなかった。
150℃の場合と比べて、腐食電位が約90mVSHE 以下の
電位範囲で、約10倍、水素割れ及び応力腐食割れの破
断時間が長い。125と150℃とでは、顕著な破断時
間の違いはなかった。
【0060】水素割れ及び応力腐食割れが、10,00
0 時間たっても破断しない腐食電位の範囲は、100
℃における範囲と同様に、100〜400mVSHE の範囲である
ことがわかる。
0 時間たっても破断しない腐食電位の範囲は、100
℃における範囲と同様に、100〜400mVSHE の範囲である
ことがわかる。
【0061】このように、温度変化に対して、破断時間
は異なるが、50〜150℃の範囲の環境下で、腐食電
位の範囲を100〜400mVSHE とすることが、水素割れ及び
応力腐食割れを顕著に抑制することがわかった。
は異なるが、50〜150℃の範囲の環境下で、腐食電
位の範囲を100〜400mVSHE とすることが、水素割れ及び
応力腐食割れを顕著に抑制することがわかった。
【0062】(実施例5)実施例1〜4では、鋭敏化さ
れた材料で試験を実施したが、沸騰水型原子炉等に本発
明を実施する上で、実際、鋭敏化されている部分とされ
ていない部分が、存在するため、本発明の方法で、鋭敏
化されていない溶体化処理材について確認試験を行っ
た。
れた材料で試験を実施したが、沸騰水型原子炉等に本発
明を実施する上で、実際、鋭敏化されている部分とされ
ていない部分が、存在するため、本発明の方法で、鋭敏
化されていない溶体化処理材について確認試験を行っ
た。
【0063】図5に、溶体化処理を行ったSUS304ステン
レス鋼(JIS規格)を用いて溶存酸素濃度を0.01p
pm以下に脱気した100℃の完全脱気純水中に浸漬した
場合のSUS304鋼の割れ形態と電位との関係を示す。
レス鋼(JIS規格)を用いて溶存酸素濃度を0.01p
pm以下に脱気した100℃の完全脱気純水中に浸漬した
場合のSUS304鋼の割れ形態と電位との関係を示す。
【0064】100℃において、腐食電位が−500〜500
mVSHEの範囲で全てにおいて、10,000 時間経過後
も割れは認められなかった。すなわち、本発明の腐食電
位範囲である100〜400mVSHE の範囲で水素割れ及び応力
腐食割れの防止効果が有効であることがわかった。
mVSHEの範囲で全てにおいて、10,000 時間経過後
も割れは認められなかった。すなわち、本発明の腐食電
位範囲である100〜400mVSHE の範囲で水素割れ及び応力
腐食割れの防止効果が有効であることがわかった。
【0065】このように、鋭敏化されていない溶体化処
理材において、本発明を実施しても問題はなく、100
℃において、鋭敏化されていない溶体化処理材では腐食
電位を−500〜500mVSHE の範囲で実施しても有効である
ことがわかった。
理材において、本発明を実施しても問題はなく、100
℃において、鋭敏化されていない溶体化処理材では腐食
電位を−500〜500mVSHE の範囲で実施しても有効である
ことがわかった。
【0066】(実施例6)本発明方法を沸騰水型原子力
プラントに応用した場合の実施例について説明する。
プラントに応用した場合の実施例について説明する。
【0067】沸騰水型原子炉(BWR)は、一般的に沸
騰する軽水を冷却材として使用する動力炉であり、本発
明が適用されるBWRの全体構成を図6に示す。再循環
ポンプ3の駆動により、原子炉1から吸引された冷却水
が再循環系配管4を経由して原子炉1内のジェットポン
プ2に導かれ、そのジェットポンプ2から噴出される冷
却水は、炉内上部の水を吸入して炉心下部に分配され
る。この冷却水は炉心5に収納されている燃料集合体内
で加熱されて気水混合物となり、上方の気水分離器6で
分離されて、蒸気分はさらに上方の蒸気乾燥器7を経て
主蒸気系配管8へ導かれ、タービンに送られる。なお、
ジェットポンプ2に吸入される炉内上部の水には、主給
水系配管9から給水された水が含まれ、その水には必要
によって水素注入装置10から水素が注入される。
騰する軽水を冷却材として使用する動力炉であり、本発
明が適用されるBWRの全体構成を図6に示す。再循環
ポンプ3の駆動により、原子炉1から吸引された冷却水
が再循環系配管4を経由して原子炉1内のジェットポン
プ2に導かれ、そのジェットポンプ2から噴出される冷
却水は、炉内上部の水を吸入して炉心下部に分配され
る。この冷却水は炉心5に収納されている燃料集合体内
で加熱されて気水混合物となり、上方の気水分離器6で
分離されて、蒸気分はさらに上方の蒸気乾燥器7を経て
主蒸気系配管8へ導かれ、タービンに送られる。なお、
ジェットポンプ2に吸入される炉内上部の水には、主給
水系配管9から給水された水が含まれ、その水には必要
によって水素注入装置10から水素が注入される。
【0068】本実施例では、予め制御棒12内に腐食電
位をモニタするためのSUS304製丸棒13を挿入し、炉内
各部位での腐食電位を測定することにより、水素注入装
置10から注入する水素量を高精度にコントロールする
ことができる。
位をモニタするためのSUS304製丸棒13を挿入し、炉内
各部位での腐食電位を測定することにより、水素注入装
置10から注入する水素量を高精度にコントロールする
ことができる。
【0069】すなわち、炉水はもともと酸化性環境にあ
るので、炉水の溶存酸素分析計をモニタしながら、水素
注入によって所定の溶存酸素濃度になるようにコントロ
ールするものである。設定すべき溶存酸素濃度は、共存
する過酸化水素濃度によっても異なるが、100ppb〜
5000ppbの範囲にある。
るので、炉水の溶存酸素分析計をモニタしながら、水素
注入によって所定の溶存酸素濃度になるようにコントロ
ールするものである。設定すべき溶存酸素濃度は、共存
する過酸化水素濃度によっても異なるが、100ppb〜
5000ppbの範囲にある。
【0070】したがって、応力腐食割れを生ずることな
く水素割れの発生伝播も防止することができる。
く水素割れの発生伝播も防止することができる。
【0071】上記実施例1〜実施例6で述べたように、
本発明方法は原子力発電プラントの炉内構造材の水素割
れ防止及び応力腐食割れ防止に有効である。特に、溶接
部の水素割れ防止及び応力腐食割れ防止に有効である。
本発明方法は原子力発電プラントの炉内構造材の水素割
れ防止及び応力腐食割れ防止に有効である。特に、溶接
部の水素割れ防止及び応力腐食割れ防止に有効である。
【0072】また、火力発電プラントにおいても同様で
ある。これらの発電プラントのうち、特に水素割れが発
生し易い部分を選んで本発明方法を適用することができ
る。火力発電プラントの場合は、ポイラ用主蒸気系配
管,給水系配管,ボイラ圧力容器などに有効である。
ある。これらの発電プラントのうち、特に水素割れが発
生し易い部分を選んで本発明方法を適用することができ
る。火力発電プラントの場合は、ポイラ用主蒸気系配
管,給水系配管,ボイラ圧力容器などに有効である。
【0073】
【発明の効果】炉水の腐食環境にあって、酸化性環境に
保持することにより、耐食合金からなる金属部材の腐食
電位を、金属部材に応力腐食割れが発生しなくなる電位
より卑な電位に保ち、かつ、水素割れが発生しなくなる
電位よりも貴な電位に保持するので、金属部材の腐食に
伴う水素の発生を抑制し、また腐食環境中の水素が金属
部材へ侵入するのを防止でき、その結果、応力腐食割れ
を防止しつつ水素割れを防ぐことができる。
保持することにより、耐食合金からなる金属部材の腐食
電位を、金属部材に応力腐食割れが発生しなくなる電位
より卑な電位に保ち、かつ、水素割れが発生しなくなる
電位よりも貴な電位に保持するので、金属部材の腐食に
伴う水素の発生を抑制し、また腐食環境中の水素が金属
部材へ侵入するのを防止でき、その結果、応力腐食割れ
を防止しつつ水素割れを防ぐことができる。
【0074】本発明方法を各種プラントに適用した場合
には、プラント内機器の安全性と寿命が向上し、かつ、
プラントにおける不慮の事故を防止できる。
には、プラント内機器の安全性と寿命が向上し、かつ、
プラントにおける不慮の事故を防止できる。
【図1】鋭敏化SUS304鋼の応力腐食割れ(SCC)及び
水素割れの腐食電位依存性を示す。
水素割れの腐食電位依存性を示す。
【図2】鋭敏化SUS316鋼の応力腐食割れ(SCC)及び
水素割れの腐食電位依存性を示す。
水素割れの腐食電位依存性を示す。
【図3】鋭敏化インコネル600の応力腐食割れ(SC
C)及び水素割れの腐食電位依存性を示す。
C)及び水素割れの腐食電位依存性を示す。
【図4】鋭敏化SUS304鋼の応力腐食割れ(SCC)及び
水素割れの腐食電位依存性と環境温度の関係を示す図。
水素割れの腐食電位依存性と環境温度の関係を示す図。
【図5】溶体化SUS304鋼の応力腐食割れ(SCC)及び
水素割れの腐食電位依存性を示す。
水素割れの腐食電位依存性を示す。
【図6】本発明の一実施例であるBWRプラントのBW
R型原子炉の全体構成図を示す。
R型原子炉の全体構成図を示す。
1…原子炉、2…ジェットポンプ、3…再循環ポンプ、
4…再循環系配管、5…炉心、6…気水分離器、7…蒸
気乾燥器、8…主蒸気系配管、9…主給水系配管、10
…水素注入装置、11…電位測定装置、12…制御棒、
13…SUS304製丸棒。
4…再循環系配管、5…炉心、6…気水分離器、7…蒸
気乾燥器、8…主蒸気系配管、9…主給水系配管、10
…水素注入装置、11…電位測定装置、12…制御棒、
13…SUS304製丸棒。
Claims (10)
- 【請求項1】BWRプラントの起動停止時に、一次系配
管物または炉内構造物の少なくとも一方が曝される炉水
環境を酸化性雰囲気に保持することを特徴とする金属部
材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法。 - 【請求項2】請求項1に記載の一次系配管物または炉内
構造物の少なくとも一方がステンレス鋼からなることを
特徴とする金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方
法。 - 【請求項3】請求項2に記載の前記ステンレス鋼が、SU
S304またはSUS316の群の中から選ばれた少なくとも1種
のステンレス鋼からなることを特徴とする金属部材の応
力腐食割れ及び水素割れ防止方法。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の前記部材
が、インコネル600からなることを特徴とする金属部
材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の前記部材
の腐食電位を水素基準電位に対し100〜400mV範
囲に保持することを特徴とする金属部材の応力腐食割れ
及び水素割れ防止方法。 - 【請求項6】BWRプラントの一次系配管物または炉内
構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法
において、前記一次系配管物または前記炉内構造物の少
なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定値と
して、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持することを特
徴とする金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方
法。 - 【請求項7】BWRプラントの一次系配管物または炉内
構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法
において、前記一次系配管物または前記炉内構造物の少
なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定値と
して、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、かつ前記
金属部材の腐食電位が水素基準電位に対し100〜40
0mVの範囲に維持することを特徴とする金属部材の応
力腐食割れ及び水素割れ防止方法。 - 【請求項8】BWRプラントの一次系配管物または炉内
構造物の金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法
において、前記一次系配管物または前記炉内構造物の少
なくとも一方が曝される炉水の溶存酸素濃度を特定値と
して、かつ炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、かつ前記
金属部材の腐食電位が水素基準電位に対し100〜40
0mVの範囲に維持することによって、前記金属部材の
水素吸収量が0.001ppm より少なくすることを特徴とす
る金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法。 - 【請求項9】BWRプラントの一次系配管物または炉内
構造物の鋭敏化された溶接部の応力腐食割れ及び水素割
れ防止方法において、前記BWRプラントの起動停止時
に、前記一次系配管物または前記炉内構造物の少なくと
も一方が曝される炉水環境を酸化性雰囲気に保持し、鋭
敏化された前記溶接部を水素基準電位に対し特定の電位
に調節することを特徴とする溶接部の応力腐食割れ及び
水素割れ防止方法。 - 【請求項10】50〜150℃の腐食環境下でのBWR
プラントの炉内構造物の溶接部が酸化性雰囲気中に保持
し、かつ前記溶接部の腐食電位が水素基準電位に対し1
00〜400mVの範囲に維持されることによって、前
記溶接部の水素吸収量が0.001ppm より少なくすること
を特徴とするBWRプラントの炉内構造物の溶接部の応
力腐食割れ及び水素割れ防止方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7058522A JPH08254594A (ja) | 1995-03-17 | 1995-03-17 | 金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7058522A JPH08254594A (ja) | 1995-03-17 | 1995-03-17 | 金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08254594A true JPH08254594A (ja) | 1996-10-01 |
Family
ID=13086770
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7058522A Pending JPH08254594A (ja) | 1995-03-17 | 1995-03-17 | 金属部材の応力腐食割れ及び水素割れ防止方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08254594A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017129164A (ja) * | 2016-01-18 | 2017-07-27 | 三菱重工業株式会社 | 配管支持構造及びその形成方法 |
-
1995
- 1995-03-17 JP JP7058522A patent/JPH08254594A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017129164A (ja) * | 2016-01-18 | 2017-07-27 | 三菱重工業株式会社 | 配管支持構造及びその形成方法 |
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