JPH08280790A - 医療用材料およびその製造方法 - Google Patents

医療用材料およびその製造方法

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JPH08280790A
JPH08280790A JP7091120A JP9112095A JPH08280790A JP H08280790 A JPH08280790 A JP H08280790A JP 7091120 A JP7091120 A JP 7091120A JP 9112095 A JP9112095 A JP 9112095A JP H08280790 A JPH08280790 A JP H08280790A
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JP
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antibacterial agent
medical material
polyether
block copolymer
ethylene
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JP7091120A
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English (en)
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Seiichiro Iguchi
誠一郎 井口
Masatoshi Inai
正敏 稲井
Minoru Yamato
稔 山戸
Shino Shinomiya
紫乃 四宮
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Otsuka Pharmaceutical Factory Inc
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Factory Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン−ビニルアルコール共重合体または
ポリエーテル系ブロック共重合体にピリドンカルボン酸
系抗菌剤を含有させた医療用材料、およびエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体またはポリエーテル系ブロック
共重合体とピリドンカルボン酸系抗菌剤とを溶融した状
態で混合する前記医療用材料の製造方法。 【効果】 製造が容易で、かつ抗菌剤を医療用材料中に
均一に含有させることができ、しかも医療用材料の使用
目的に応じた抗菌剤の溶出量や溶出パターンを得ること
ができる医療用材料およびその製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療分野において、生
体と接触する医療器具などを形成する医療用材料および
その製造方法に関し、より詳しくは、任意の抗菌活性を
長期間かつ安定して持続できる医療用材料およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、科学技術の進歩に伴って様々な医
療用材料が開発され、生体に使用する医療器具としても
利用されている。一方、かかる医療器具に起因する感染
症の問題も非常に大きなものとなりつつある。例えば、
血管カテーテルや尿道カテーテルなどの生体の内外を連
絡する器具は外部からの細菌の進入経路になりやすく、
創傷治療材は細菌の繁殖巣になりやすいなどの問題があ
る。また、人工血管、人工心臓、人工肺、血液回路など
の医療器具においても、これらの器具自身からの細菌感
染によって治療の明暗が左右されるという事例が報告さ
れている。特に、かかる医療器具を必要とする患者は疾
病により免疫力が低下しており、細菌の進入などには十
分注意する必要がある。
【0003】そこで、医療器具を構成する医療用材料自
体に抗菌活性を付与することが検討されており、その方
法として、例えば抗菌剤を医療用材料に固定化する方法
が用いられている。前記抗菌剤としては抗菌力に優れ、
かつ広範囲の抗菌スペクトルを有するものがよく、この
ような抗菌剤としては、例えばピリドンカルボン酸系抗
菌剤があげられる。
【0004】上記したような抗菌剤を固定化した医療用
材料としては、例えば、(1) 医療用材料の表面を改質し
て抗菌剤を化学的に結合させたもの(WO92/007
47号等)、(2) 抗菌剤の有機溶媒溶液を医療用材料に
浸透させたもの(特開昭62−11457号公報、特開
昭63−43668号公報等)、(3) 抗菌剤と高分子と
の有機溶媒溶液を医療用材料の表面に被覆したもの(特
開平2−17071号公報)、(4) ゴムまたは一般的な
合成樹脂に抗菌剤を分散して材料としたもの(特開昭6
2−161377号公報)などがあげられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記(1) 〜
(3) の医療用材料は、製造工程が複雑であったり、人体
に有害な有機溶媒を用いる必要があるなどの欠点に加
え、抗菌活性の持続性に欠けるという致命的な欠点を有
している。(4) の医療用材料は上記した欠点の一部を解
消しているものの、単なる一般的な合成樹脂を用いてい
るため抗菌活性の持続性が不十分である。また、ゴムを
用いた場合は、ゴムの加硫時に抗菌剤が分解して人体に
有害な分解物が生成するおそれがある。
【0006】さらに、抗菌剤の溶出量や溶出量の経時的
変化(溶出パターン)は医療用材料の使用目的によって
異なっているものの、上記(1) 〜(4) の医療用材料では
これらを調節することが困難であるという欠点もある。
例えば、ピリドンカルボン酸系抗菌剤は、その溶出量が
細菌の最小発育阻止濃度以下になっても細菌の再増殖阻
止効果を有することから、ピリドンカルボン酸系抗菌剤
を使用した医療用材料をカテーテルなどに用いる場合
は、抗菌剤の溶出濃度が低くても長期間持続して溶出す
るように調節できることが耐性菌の発生を抑制するうえ
で好ましい。一方、創傷治療材などに用いる場合は、抗
菌剤が比較的高濃度で一定期間持続して溶出するように
調節できることが好ましい。
【0007】しかしながら、前述のように、上記(1) 〜
(4) の医療用材料は、種々の用途に対応して溶出量や溶
出パターンを変えることができず、特定の用途に対して
これらを最適化することも困難である。本発明の目的
は、上記した技術的課題を解決し、製造が容易であり、
かつ抗菌剤を医療用材料中に均一に含有させることがで
き、しかも医療用材料の使用目的に応じた抗菌剤の溶出
量や溶出パターンを得ることができる医療用材料および
その製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記課題を解決すべく検討を行った結果、エチレン
−ビニルアルコール共重合体またはポリエーテル系ブロ
ック共重合体がピリドンカルボン酸系抗菌剤を均一に含
有させることが可能であり、かつこれらの共重合体の種
類、抗菌剤の含有量、含有方法などに依存して抗菌剤の
溶出速度を任意に制御できるという新たな事実を見出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の医療用材料は、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体またはポリエーテル系ブ
ロック共重合体にピリドンカルボン酸系抗菌剤を含有さ
せたものである。上記共重合体を用いることにより、抗
菌剤を医療用材料中に均一に含有させることができる。
さらに、抗菌剤の種類、形態(遊離体か塩か)、含有量
および含有方法、共重合体の種類、添加剤処方などによ
り抗菌剤の溶出量や溶出パターンを制御することが可能
である。また、後述するように、成形する形状、特に表
面積を変えることによって溶出速度を制御することもで
きる。
【0010】また、本発明の医療用材料の製造方法は、
エチレン−ビニルアルコール共重合体またはポリエーテ
ル系ブロック共重合体とピリドンカルボン酸系抗菌剤と
を溶融した状態で混合することを特徴とする。上記製造
方法を用いることにより、本発明の医療用材料を容易に
製造することができる。
【0011】以下、本発明の医療用材料について詳細に
説明する。本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体は、エチレン含有率が10〜80モル%、
好ましくは27〜47モル%の範囲であり、数平均重合
度が10000〜50000程度のものである。エチレ
ン含有率が10モル%よりも少ないときは共重合体の強
度や加工性が低下し、80モル%を超えるときは抗菌剤
の溶出性が低下するためにいずれも好ましくない。
【0012】上記エチレン−ビニルアルコール共重合体
としては、具体的には、(株)クラレ製のエバールEP
−E105、ES−G110、EP−F101、ES−
H101;日本合成化学社製のソアノールD2958、
DT2903、DC3203、E3803、ET380
3、A4412、AT4403などがあげられる。この
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、目的、用途に
応じて種々の物性のものが採用できる。すなわち、所望
の物性に応じて、共重合体の重合度やエチレン含有率な
どを適宜設定できる。さらに、必要に応じて酸化防止
剤、紫外線吸収剤およびその他の安定剤、滑剤などを添
加配合することができる。なお、エチレン−ビニルアル
コール共重合体は医療用具として必要な安全性および安
定性を有することがすでに確認されている。
【0013】本発明に用いられるポリエーテル系ブロッ
ク共重合体は、ポリエーテル部を有するソフトセグメン
トと、ハードセグメントとからなるブロック共重合体で
ある。ソフトセグメントに含まれるポリエーテル部とし
ては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ルおよびテトラメチレングリコールからなる群より選ば
れるグリコールの単独重合体または共重合体などが好適
に用いられる。ハードセグメントとしては、例えばポリ
ウレタン、ポリアミド、ポリエステルなどが好適に用い
られる。すなわち、前記ポリエーテル系ブロック共重合
体としては、例えばポリエーテル−ポリウレタンブロッ
ク共重合体、ポリエーテル−ポリアミドブロック共重合
体、ポリエーテル−ポリエステルブロック共重合体など
があげられる。
【0014】ポリエーテル−ポリウレタンブロック共重
合体としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ナートおよび/または4,4’−ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアナートとポリエーテルグリコールとの付加
によって形成されるプレポリマーが、さらにエチレング
リコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリ
コールなどの鎖延長剤によって鎖延長されたものがあげ
られる。より具体的には、例えばテコフレックス(サー
メディックス社)、ペレセン(ダウケミカル社)、アン
ジオフレックス(アビオメド社)などの商品名のものが
あげられる。
【0015】ポリエーテル−ポリアミドブロック共重合
体としては、ポリアミド部がナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、
ナイロン12等からなるものがあげられる。より具体的
には、例えばペバックス(東レ(株))、UBE−PA
E(宇部興産(株))、ダイアミド−PAE(ダイセル
ヒュルス)、ポリエーテルナイロン610(テルモ
(株))などがあげられる。
【0016】ポリエーテル−ポリエステルブロック共重
合体としては、ポリエステル部がエチレングリコール、
プロピレングリコールおよびテトラメチレングリコール
からなる群より選ばれる少なくとも1種のグリコール
と、テレフタル酸および/またはイソフタル酸との重縮
合物であるものがあげられる。より具体的には、例えば
ハイトレル(東レ−デュポン社)、ペルプレンP(東洋
紡績(株))、ペルプレンS(同)、ローモッド(日本
GEプラスチックス社)、ピビフレックス(エニモント
−日本合成ゴム社)、グリラックスE(大日本インキ
(株))などの商品名のものがあげられる。
【0017】上記ポリエーテル系ブロック共重合体は、
目的、用途に応じて種々の物性のものが採用できる。す
なわち、ソフトセグメントやハードセグメントの各重合
度、共重合体全体の重合度、ソフトセグメントとハード
セグメントの含有比率などを所望の物性に応じて広範囲
に設定できる。さらに、必要に応じて酸化防止剤、紫外
線吸収剤およびその他の安定剤、滑剤などを添加配合す
ることができる。これらのポリエーテル系ブロック共重
合体は単独で用いてもよく、2種以上を混合あるいは積
層して用いてもよい。これらの共重合体はいずれも医療
用具として必要な安全性および安定性を有することがす
でに確認されている。
【0018】上記例示のポリエーテル系ブロック共重合
体のうち、本発明においてはポリエーテル−ポリウレタ
ンブロック共重合体を用いるのが好ましい。さらに、硬
度がショア硬度80A〜75Dのものが特に好適に用い
られる。本発明において用いられる抗菌剤としては、ピ
リドンカルボン酸系の化合物であればいずれも上記共重
合体に均一に分散させることができ、かつ所望の薬剤溶
出能を実現することができる。前記ピリドンカルボン酸
系の抗菌剤としては、例えば一般名としてグレパフロキ
サシン、ナリジクス酸、ピペミド酸、ピロミド酸、シノ
キサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、オフロキ
サシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、フレ
ロキサシン、スパルフロキサシン、ナジフロキサシン、
ロメフロキサシン、トスフロキサシン、ダノフロキサシ
ン、ルフロキサシン、ペフロキサシン等があげられ、さ
らに1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒ
ドロ−8−メトキシ−7−(3−メチルアミノピペリジ
ン−1−イル)−4−オキソキノリン−3−カルボン
酸、1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒ
ドロ−8−メトキシ−7−(3−メチル−1−ピペラジ
ニル)−4−オキソキノリン−3−カルボン酸、(−)
−7−[(7S)−アミノ−5−アザスピロ[2,4]
ヘプタン−5−イル]−8−クロロ−6−フルオロ−1
−[(1R,2S)−シス−2−フルオロ−1−シクロ
プロピル]1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3
−カルボン酸、(S)−(−)−10−(1−アミノシ
クロプロピル)−9−フルオロ−3−メチル−7−オキ
ソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−
デ][1,4]ベンゾキサジン−6−カルボン酸、1−
シクロプロピル−6−フルオロ−8−ジフルオロメトキ
シ−1,4−ジヒドロ−7−[(3S)−メチル−1−
ピペラジニル]−4−オキソ−3−キノリンカルボン
酸、7−[2−(アミノメチル)−4−モルホリニル]
−1−シクロプロピル−6,8−ジフルオロ−4−オキ
ソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸などが
あげられる。これらは単独で、あるいは2種以上を混合
して用いることができる。上記例示の抗菌剤のうち、グ
レパフロキサシン、オフロキサシン、フレロキサシン、
レボフロキサシン、スパルフロキサシン、シプロフロキ
サシンが好適に用いられる。
【0019】本発明において特に好ましい抗菌剤はグレ
パフロキサシンである。グレパフロキサシンは、上記し
た共重合体への相溶性に優れているため、均一に混合さ
せることができる。特にエチレン−ビニルアルコール共
重合体およびポリエーテル−ポリウレタンブロック共重
合体への相溶性に優れており、これらの共重合体と組み
合わせて用いるのに好適である。
【0020】上記抗菌剤は、遊離体としての形態で共重
合体中に含有させてもよく、薬学的に許容される酸性塩
の形態で含有させてもよい。抗菌剤の形態によって、後
述するように、溶出パターンが異なるため、使用する目
的、用途に応じてどちらかを選択すればよい。また、遊
離体と酸性塩の混合物で使用することもできる。上記酸
性塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸
塩、リン酸塩などの無機酸塩、メタンスルホン酸塩、p
−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸
塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩な
どの有機酸塩があげられる。
【0021】抗菌剤の配合量は、所望の溶出量や溶出パ
ターンに応じて設定すればよい。配合量の範囲として
は、共重合体100重量部に対して0.001〜60重
量部、好ましくは0.01〜50重量部、より好ましく
は0.05〜30重量部、とりわけ0.1〜20重量部
とするのがよい。抗菌剤の含有量が60重量部を超える
ときは成形性が悪く、得られる成形体の物理的性質が低
下するために実用的でない。一方、抗菌剤の含有量が
0.001重量部を下回るときは、抗菌剤の溶出制御が
困難となり、細菌の進入防止効果が低下するために抗菌
剤を添加する効果がなくなる。なお、後述するように、
上記した範囲内で抗菌剤の含有量を変化させることによ
り、抗菌剤の溶出速度を制御することができる。
【0022】抗菌剤を遊離体として用いる場合、一般
に、含有量が多いほど抗菌剤の溶出速度は速くなる。し
かし、抗菌剤を重合体中に均一に分散させる量には上限
があり、この上限量を超えて抗菌剤を含有させた場合は
溶出速度が低下する。ただし、溶出の持続時間は延びる
と考えられる。また、抗菌剤を酸性塩として用いる場
合、溶出速度は抗菌剤の含有量が高いほど増大する。従
って、形成する医療用材料の種類、目的、用途などに合
わせて抗菌剤の含有量および形態を決定するのが好まし
く、遊離体と酸性塩とを適当な比率で混合して用いても
よい。なお、ピリドンカルボン酸系抗菌剤の酸性塩はエ
チレンオキサイドガスに対して極めて安定であることか
ら、かかるガスによって滅菌する場合であっても、抗菌
剤の含有量が低下することがないという利点がある。
【0023】本発明の医療用材料は、例えば医療器具用
材料として好適に使用できる。かかる医療器具として
は、例えば尿道カテーテル、血管カテーテル、創傷治療
材、縫合糸、カニューラ、モニタリングチューブ、人工
腎臓、人工心臓、人工肺、体外循環用血液回路、人工腎
臓用A−Vシャント、人工血管、人工心臓弁、血液の一
時的バイパスチューブ、人工透析用血液回路、血管ステ
ント、尿道ステント、気管内チューブ、眼内レンズ、血
液バッグ、血液成分分離装置のディスポーザブル回路、
ドレーン、動脈瘤クリップ、神経カフ、脳脊髄液シャン
ト、ドレッシング、腹膜透析用カテーテル、フィルム状
もしくは中空状の透析膜、角膜保護材などがあげられ
る。
【0024】次いで、本発明の医療用材料の製造方法を
詳細に説明する。本発明の医療用材料は、上記したエチ
レン−ビニルアルコール共重合体またはポリエーテル系
ブロック共重合体とピリドンカルボン酸系抗菌剤とを溶
融状態で混合することにより製造することができる。本
発明の医療用材料の製造においては、抗菌剤が分解しな
い状態で重合体と均一に分散させることができればよ
く、抗菌剤の分解温度以下で溶融成形できるように、適
切な共重合体と抗菌剤との組合せを選択すればよい。通
常、溶融成形は、150〜240℃で行われる。
【0025】なお、必要に応じて、溶融、成形などの作
業を無酸素雰囲気中で行えば、抗菌剤や共重合体の酸化
を防止できる。また、用いる重合体中の水分を可能な限
り除去しておくことが薬剤や共重合体の安定性、成形品
の精度の点から好ましい。溶融成形には各種の成形方法
を用いることができ、たとえば押し出し成形により繊維
状、チューブ状またはシート状の成形物を、また射出成
形により複雑な構造の成形物をそれぞれ成形することが
できる。また、クロスヘッドなどを用いることにより、
金属線へのコーティングも可能である。
【0026】溶融成形における成形品からの抗菌剤の溶
出制御については、共重合体中の抗菌剤の種類、形態
(遊離体か塩か)および含有量、さらには使用する共重
合体の種類などを変化させることによって行うことがで
きる。また、安定剤、滑剤などの添加剤を配合すること
によっても抗菌剤の溶出制御が可能である。さらに、多
層(多色)成形を行い、各層(部分)での抗菌剤の種
類、形態(遊離体か塩か)および含有量を変化させるこ
とにより、医療用材料として必要な物性を得るととも
に、必要な部分のみで抗感染性の発現や、さらに細かい
溶出の制御が可能である。
【0027】本発明の医療用材料のうち、チューブ状に
成形したもの、とりわけポリエーテル−ポリウレタンブ
ロック共重合体を用いたものは、たとえば尿道カテーテ
ル、血管カテーテル等のカテーテル類、体外循環用血液
回路、カニューラ、バイパスチューブ等として好適に使
用される。また、多層ダイを用いて成形することによ
り、組成の異なる多層チューブを容易に成形することが
できる。その具体例として、外層より順に、グレパフロ
キサシン塩酸塩を1%含有するポリエーテル−ポリウレ
タンブロック共重合体からなる層、ポリエーテルポリウ
レタンブロック共重合体のみからなる層およびグレパフ
ロキサシン塩酸塩を1%含有するポリエーテルポリウレ
タンブロック共重合体からなる層の3層構造からなるチ
ューブが例示される。
【0028】また、クロスヘッドダイを用いて本発明の
材料を表面にコーティングした金属製のワイヤからは、
血管ステント、尿道ステント等のステント類が作製可能
である。さらに、フィルム状に成形した本発明の材料
は、血液バッグ、ドレッシングなどの素材として好適に
使用可能である。
【0029】本発明の医療用材料のうち、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体を用いたものは、特に押出成形
および射出成形に適しており、繊維状、チューブ状また
はシート状の成形物に加え、複雑な構造の成形物の製造
に有利である。たとえば繊維状に成形したものからは縫
合糸が製造でき、さらに紡績して創傷治療材や人工血管
に加工したり、あるいはスパンポンド法、メルトブロー
法、フラッシュ紡糸法などにより直接不織布に加工する
こともできる。また、複雑な構造の成形物の例として
は、各種コック、各種アダプターなどがあげられる。
【0030】本発明の医療用材料の他の使用例として
は、例えば任意の形状に成形した本発明の材料を、抗感
染作用を発揮させるための部材として医療器具内に設置
するといった使用方法も可能である。例えば、既存の血
液成分保存バッグ中にフィルム状、粒状などの本発明の
材料の小片を封入する方法、体外循環回路内の上流に本
発明の材料の小片を固定する方法などがあげられる。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではな
い。 実施例1 エチレン−ビニルアルコール共重合体((株)クラレ
製、「エバールEP−E105A、エチレン含量44モ
ル%)を分析粉砕機で粉砕し、粒径が50〜125μm
のものを採取した。粉砕した前記共重合体45.0g
と、グレパフロキサシン(大塚製薬(株)製)5.0g
を混合し、超小型混練押出機(CSI社製、MAXMIXING
EXTRUDER、CS−194A型)にて、ストランドダイを
用いて180℃で混練押出した。次いでこれをペレタイ
ズし、試験用卓上プレス(東洋精機製)にて180℃で
熱プレスし、厚さ100μmのわずかに黄色を帯びた透
明のフィルムを得た。このフィルムのグレパフロキサシ
ン含有量は10重量%である。 実施例2 エチレン−ビニルアルコール共重合体(前出)を分析粉
砕機で粉砕し、粒径が50〜125μmのものを採取し
た。この共重合体49.5gとグレパフロキサシン(前
出)0.5gを混合し、超小型混練押出機(前出)に
て、ストランドダイを用いて180℃で混練押出し、わ
ずかに黄色を帯びた透明のストランドを得た。次いでこ
れをペレタイズし、試験用卓上プレス(前出)にて18
0℃で熱プレスし、厚さ100μmの無色透明のフィル
ムを得た。このフィルムのグレパフロキサシン含有量は
1重量%である。 実施例3 エチレン−ビニルアルコール共重合体(前出)を分析粉
砕機で粉砕し、粒径が50〜125μmのものを採取し
た。この共重合体45.0gとグレパフロキサシン塩酸
塩(大塚製薬(株))5.0gを混合し、超小型混練押
出機(前出)にて、ストランドタイを用いて180℃で
混練押出し、白色のストランドを得た。次いでこれをペ
レタイズし、試験用卓上プレス(前出)にて180℃で
熱プレスし、厚さ100μmの白色のフィルムを得た。
このフィルムのグレパフロキサシン塩酸塩含有量は10
重量%である。 実施例4(溶出試験) 実施例1〜3で得られたフィルム各100mgを、あら
かじめ37℃に加温しておいたpH7.4の生理食塩水
10ml中にそれぞれ投入し、恒温振盪機にて37℃で
1時間振盪した。振盪後、生理食塩水からフィルムを取
り出し、別の生理食塩水(37℃、pH7.4)10m
l中で、前記の操作と同様にして1時間振盪した。以
下、この操作を合計8時間繰り返し、生理食塩水中に溶
出したグレパフロキサシンの濃度を各時間毎に測定し
た。この結果を図1に示す。
【0032】図1から明らかなように、実施例1〜3の
いずれのフィルムからもグレパフロキサシンの持続的な
溶出が認められる。なお、実施例2のフィルムはグレパ
フロキサシンの含有量が少ないために溶出量も少ない
が、持続的な溶出がみとめられ、また用途によってはこ
の程度の溶出量が好ましい場合もあるため、医療用材料
として十分使用可能である。 実施例5 抗菌剤としてグレパフロキサシンに代えてスパルフロキ
サシン(大日本製薬製の商品名「スパラ」100mg錠
から抽出精製したもの)0.5gを使用した以外は実施
例2と同様の操作を行い、厚さ約100μmの黄色透明
のフィルムを得た。このフィルムのスパルフロキサシン
含有量は1重量%である。 実施例6(溶出試験) 実施例5で得られたフィルムについて、実施例4と同様
の方法にて溶出試験を行った。この結果を図2に示す。
【0033】図2から明らかなように、実施例5のフィ
ルムからは、スパルフロキサシンの持続的な溶出が認め
られる。 実施例7 ポリエーテル−ポリウレタンブロック共重合体〔サーメ
ディックス社製、テコフレックスEG−65D(テトラ
メチレングリコールの重合体と4,4’−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアナートとの付加物、鎖延長剤:テ
トラメチレングリコール)〕49.5gとグレパフロキ
サシン(前出)0.5gを混合し、超小型混練押出機
(前出)にて、ストランドダイを用いて180℃で混練
押出した。次いでこれをペレタイスし、試験用卓上プレ
ス、(前出)にて180℃で熱プレスし、厚さ約100
μmの無色透明のフィルムを得た。このフィルムのグレ
パフロキサシン含有量は1重量%である。 実施例8 ポリエーテル−ポリウレタンブロック共重合体(前出)
49.5gとグレパフロキサシン塩酸塩(前出)0.5
gを混合し、超小型混練押出機(前出)にて、ストラン
ドダイを用いて180℃で混練押出した。次いでこれを
ペレタイスし、試験用卓上プレス(前出)にて180℃
で熱プレスし、厚さ約100μmの白濁したフィルムを
得た。このフィルムのグレパフロキサシン塩酸塩含有量
は1重量%である。 実施例9(溶出試験) 実施例7および8で得られたフィルム各100mgを、
あらかじめ37℃に加温しておいたpH7.4の生理食
塩水10ml中にそれぞれ投入し、恒温振盪機にて37
℃で1日間振盪した。次いで、別の生理食塩水(37
℃、pH7.4)10ml中で、前記の操作と同様にし
て1日間振盪した。以下、この操作を合計30日間繰り
返し、生理食塩水中に溶出したグレパフロキサシンの濃
度を各日毎に測定した。この結果を図3に示す。
【0034】図3から明らかなように、実施例7および
8のいずれのフィルムからもグレパフロキサシンの持続
的な溶出が認められる。 実施例10 ポリエーテル−ポリウレタンブロック共重合体(サーメ
ディックス社製のテコフレックスEG−93A)49.
5gとグレパフロキサシン塩酸塩(前出)0.5gを混
合し、超小型混練押出機(前出)にて、チューブダイを
用いて170℃で混練押出し、内径0.8mm、外径
1.1mmのチューブを作製した。
【0035】得られたチューブは柔軟であることから、
静脈留置カテーテルとして好適に使用できる。 実施例11 エチレン−ビニルアルコール共重合体(前出)を分析粉
砕機で粉砕し、粒径が50〜125μmのものを採取し
た。この粉砕した共重合体49.5gとグレパフロキサ
シン塩酸塩(前出)0.5gを混合し、超小型混練押出
機(前出)にて、ストランドダイを用いて180℃で混
練押出し、延伸して、太さ25μmの糸を得た。
【0036】得られた糸は、十分な強度と柔軟性を有し
ていることから、縫合糸として好適に使用できる。 実施例12 ポリエーテル−ポリウレタンブロック共重合体(サーメ
ディックス社製のテコフレックスEG−80A)49g
とグレパフロキサシン塩酸塩(前出)1gを混合し、超
小型混練押出機(前出)にて、Tダイを用いて窒素雰囲
気下165℃で混練押出し、厚さ約30μmの白色のフ
ィルムを得た。
【0037】得られたフィルムは柔軟性を有しているこ
とから、創傷被覆材として好適に使用できる。 実施例13 ポリエーテル−ポリウレタンブロック共重合体(サーメ
ディックス社製のテコフレックスEG−68D)49.
5gとグレパフロキサシン塩酸塩(前出)0.5gを混
合した。これを超小型混練押出機(前出)にて、クロス
ヘッドダイを用いて窒素雰囲気下180℃の温度で、径
0.12mmのステンレス製ワイヤーにコーティングを
行い、太さ0.17mmのコーティングステンレスワイ
ヤーを作製した。得られたワイヤー24本をよりあわ
せ、挿入前の外径が14mmである自己拡張型−ウォー
ル型尿道ステントを作製した。
【0038】
【発明の効果】本発明の医療用材料は、上記したよう
に、医療用材料中に抗菌剤が均一に分散されている。ま
た、抗菌剤を長期間にわたって持続的に溶出させること
ができ、かつ抗菌剤の溶出量や溶出パターンを医療用材
料の使用目的に応じて変化させることができる。
【0039】さらに、本発明の医療用材料の製造方法に
よれば、当該材料を容易に製造できるという効果があ
る。従って、本発明の医療用材料は、種々の医療器具を
形成するための材料として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3のフィルムを用いて得られたグレ
パフロキサシンの溶出濃度の経時的変化を示すグラフで
ある。
【図2】実施例5のフィルムを用いて得られたスパルフ
ロキサシンの溶出濃度の経時変化を示すグラフである。
【図3】実施例7および8のフィルムを用いて得られた
グレパフロキサシンの溶出濃度を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61L 31/00 A61L 31/00 P

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−ビニルアルコール共重合体また
    はポリエーテル系ブロック共重合体にピリドンカルボン
    酸系抗菌剤を含有させたことを特徴とする医療用材料。
  2. 【請求項2】前記エチレン−ビニルアルコール共重合体
    におけるエチレン含有率が10〜80モル%である請求
    項1記載の医療用材料。
  3. 【請求項3】前記ポリエーテル系ブロック共重合体がポ
    リエーテル−ポリウレタンブロック共重合体である請求
    項1記載の医療用材料。
  4. 【請求項4】前記ポリエーテル−ポリウレタンブロック
    共重合体が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナ
    ートおよび/または4,4’−ジシクロヘキシルメタン
    ジイソシアナートとポリエーテルグリコールとの付加に
    よって形成されるプレポリマーをエチレングリコール、
    プロピレングリコールおよびテトラメチレングリコール
    からなる群より選ばれる鎖延長剤によって鎖延長したも
    のである請求項3記載の医療用材料。
  5. 【請求項5】ピリドンカルボン酸系抗菌剤の含有量が、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体またはポリエーテ
    ル系ブロック共重合体100重量部に対して0.001
    〜60重量部である請求項1〜4のいずれかに記載の医
    療用材料。
  6. 【請求項6】ピリドンカルボン酸系抗菌剤がグレパフロ
    キサシンである請求項1〜5のいずれかに記載の医療用
    材料。
  7. 【請求項7】前記医療用材料が医療器具用材料である請
    求項1〜6のいずれかに記載の医療用材料。
  8. 【請求項8】エチレン−ビニルアルコール共重合体また
    はポリエーテル系ブロック共重合体とピリドンカルボン
    酸系抗菌剤とを溶融した状態で混合することを特徴とす
    る医療用材料の製造方法。
  9. 【請求項9】前記ポリエーテル系ブロック共重合体がポ
    リエーテル−ポリウレタンブロック共重合体である請求
    項8記載の医療用材料の製造方法。
  10. 【請求項10】ピリドンカルボン酸系抗菌剤がグレパフ
    ロキサシンである請求項8または9記載の医療用材料の
    製造方法。
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