JPH08294793A - 溶接施工性に優れた高強度、高耐食フェライト鋼用溶接材料 - Google Patents

溶接施工性に優れた高強度、高耐食フェライト鋼用溶接材料

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JPH08294793A
JPH08294793A JP7277611A JP27761195A JPH08294793A JP H08294793 A JPH08294793 A JP H08294793A JP 7277611 A JP7277611 A JP 7277611A JP 27761195 A JP27761195 A JP 27761195A JP H08294793 A JPH08294793 A JP H08294793A
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JP7277611A
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Hiromasa Hirata
弘征 平田
Masaaki Igarashi
正晃 五十嵐
Kazuhiro Ogawa
和博 小川
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶接施工性に優れたフェライト鋼用溶接材料を
提供する。 【解決手段】C:0.03〜0.13%、Si:0.10〜0.80%、C
r:8〜13%、Ni:0.01〜1.30%、Mo: 0.005〜0.30
%、Nb:0.01〜0.20%、V: 0.1〜0.5 %、W:1.5〜
4.0 %、Co: 0.5〜6.0 %、Cu: 0.005〜3.0 %、N:
0.003〜0.080 %、Al:0.01%以下、S: 0.001〜0.00
5 %、B:0〜0.020 %、La、CeおよびYの少なくとも
1種:0〜0.002 %並びにCaおよびMgのいずれか一方ま
たは両方:0〜0.002 %を含有し、不純物中のPがO.02
5 %以下、かつMnとSとの関係が下記式、AlとO(酸
素)との関係が下記式を満たす溶接施工性に優れた高
強度、高耐食フェライト鋼用溶接材料。 (0.0925−12.5〔%S〕)%≦Mn≦2.0 %・・・ (Al+O)≦0.02%・・・・・・・・・・・・・ 【効果】溶接時の施工性に優れ、かつ十分な耐食性と高
温強度を有する溶接継手を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温で使用される
高強度、高耐食フェライト鋼の溶接に際して用いるのに
好適な溶接材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ボイラ、化学装置などの耐熱、耐圧配管
に用いられる高温用材料としては、2・1/4Cr−1
Mo鋼、9Cr−1Moなどのフェライト鋼、18Cr
−8Ni鋼に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼
がよく知られている。なかでもフェライト鋼はオーステ
ナイト系ステンレス鋼に比べて安価であるばかりでな
く、耐応力腐食割れ性に優れ、しかも熱膨張係数が小さ
いため温度変化に対して歪みが小さいという高温用材料
としての利点を有する。
【0003】しかし、フェライト、ベイナイト、マルテ
ンサイト等のいわゆるフェライト系の組織からなる鋼
は、オーステナイト組織からなる鋼に比べ、高温強度が
低いことが欠点である。
【0004】近年、8〜13%のCrを含有するフェラ
イト鋼をベースにMo、W、V、Nb、Al等の含有量
を調整して、優れた高温強度を付与した新しいステンレ
ス鋼が数多く発明されてきた(例えば、特開昭62−2
97435、特開昭63−8256、特開平2−232
345、特開平3−97832の各号公報参照)。しか
し、最近では高温強度の更なる向上を図るため、W、C
oを多量に添加した鋼が提案されてきている(例えば、
特開平5−263196、特開平5−311344、特
開平5−311345、特開平6−293940の各号
公報参照)。
【0005】また、これらのW、Coを添加した新しい
フェライト鋼を溶接構造物として使用する場合に必要な
溶接材料についても、特開平5−177383、特開平
5−177384、特開平5−212582、特開平6
−142981、特開平7−80680の各号公報に開
示されているような共金系溶接材料が提案されている。
また、これら共金系溶接材料以外にも、市販のオーステ
ナイト系ステンレス鋼およびNi合金用の溶接材料が用
いられることもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の既存の溶接材料
を用いて、高強度、高耐食フェライト鋼(例えば、特開
平6−293940号公報に示される合金)を溶接する
場合には、以下のような問題が残っている。
【0007】特開平5−177383、特開平5−17
7384、特開平5−212582、特開平6−142
981、特開平7−80680の各号公報に開示されて
いるワイヤを用いた場合、母材と同等の高温強度(クリ
ープ強度、引張強度)が得られるものの、 クリープ強度向上を目的としてMoを0.3〜1.6
%添加しているため、靱性の低下を招き、溶接部の十分
な衝撃特性が得られない。
【0008】十分な溶接施工性を有していない。すな
わち、溶接欠陥が生じにくい、ビード幅が均一な溶接ビ
ートが得られず、広範な溶接条件で十分な裏ビートが得
られない。
【0009】また、市販のオーステナイト系ステンレス
鋼およびNi合金用の溶接材料を用いると、 溶接高温割れが発生しやすい。
【0010】高温使用中に母材中のCが溶接金属(オ
ーステナイト系ステンレス鋼や高Ni合金)側に移行
し、脱炭層が生じて割れやクリープ強度の低下を招く。
【0011】本発明の課題は、高強度、高耐食フェライ
ト鋼の溶接に際し、溶接部に母材に匹敵する高温強度と
耐高温腐食性を付与し、しかも優れた溶接施工性を有す
る溶接材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の高
強度、高耐食フェライト鋼用溶接材料にある。
【0013】質量%で、C:0.03〜0.13%、S
i:0.10〜0.80%、Cr:8〜13%、Ni:
0.01〜1.30%、Mo:0.005〜0.30
%、Nb:0.01〜0.20%、V:0.1〜0.5
%、W:1.5〜4.0%、Co:0.5〜6.0%、
Cu:0.005〜3.0%、N:0.003〜0.0
80%、Al:0.01%以下、S:0.001〜0.
005%、B:0〜0.020%、La、CeおよびY
の少なくとも1種:0〜0.002%ならびにCaおよ
びMgのいずれか一方または両方:0〜0.002%を
含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不純
物中のPが0.025%以下、かつ、MnとSとの含有
量の関係が下記式、AlとO(酸素)との含有量の関
係が下記式をそれぞれ満たすことを特徴とする溶接施
工性に優れた高強度、高耐食フェライト鋼用溶接材料。
【0014】 (0.0925−12.5〔%S〕)%≦Mn≦2.0%・・・ (Al+O)≦0.02%・・・・・・・・・・・・・・・・・ 上記の溶接材料において「0%」は無添加を意味する。
さらに、望ましい条件は次の (1)〜(4) のとおりであ
る。
【0015】(1)Al含有量の望ましい上限は0.00
9%、さらに望ましい上限は0.008%である。
【0016】(2)Bを含有させる場合の望ましい範囲は
0.001〜0.020%、さらに望ましい範囲は0.
0015〜0.018%、最も望ましい範囲は、0.0
02〜0.015%である。
【0017】(3)La、CeおよびYの少なくとも1種
を含有させる場合の望ましい範囲は、0.0005〜
0.0020%、さらに望ましい範囲は0.0006〜
0.0018%、最も望ましい範囲は0.0008〜
0.0015%である。ただし、La、CeおよびY
(以下、希土類3元素という)の少なくとも1種とCa
またはMgとの複合添加は行わないのが望ましい。
【0018】(4)CaおよびMgのいずれか一方または
両方を含有させる場合の望ましい範囲は0.0005〜
0.002%、さらに望ましい範囲は0.0006〜
0.0018%、最も望ましい範囲は0.0008〜
0.0015%である。
【0019】本発明者らは、前記の課題を解決するため
に以下の(イ)、(ロ)を知見し、本発明に至った。
【0020】(イ)高温強度(クリープ強度)の確保に
はMoの添加が不可欠であるが、Mo量が靱性およびク
リープ強度に与える効果について検討した結果、多量の
添加は高温での使用中に脆弱な金属間化合物の成長を促
進させ、靱性の低下だけでなく、クリープ強度の低下も
招くこと。すなわち、良好なクリープ強度と靱性との維
持を両立させるための適正なMo含有量範囲が存在する
こと。
【0021】(ロ)鋼中のSは裏波形成能(裏波溶接の
し易さ)を向上させるが、過剰の添加は溶融池の不安定
を招き、溶接ビートの均一性(ビード幅の変動がない、
均一な溶接ビードの得られ易さ)を劣化させる。そのた
め、S含有量が過剰になると裏波形成能と溶接ビードと
の均一性を両立させることは不可能である。
【0022】SとMnとの含有量の関係について検討し
た結果、Mn含有量をS含有量によって適正に調整する
ことにより、過剰にSを添加しなくてもアーク電流の集
中の度合いを高め、溶け込み深さを増大させることがで
きること。その結果、溶接ビード幅の均一性を劣化させ
ることなく、容易に裏波溶接を施すのが可能となるこ
と。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の溶接材料中の各成分を前
記のように限定した理由について、作用効果とともに説
明する。%は質量%を意味する。
【0024】C:0.03〜0.13% Cは炭化物を形成し、高温強度の向上に寄与する。さら
に、オーステナイト形成元素としてδフェライトの生成
抑制に寄与する。この効果を得るには、最低でも0.0
3%のC含有量が必要である。一方、C含有量が0.1
3%を超えると溶接金属においてCr、Nb、Vと低融
点の共晶を形成し溶接高温割れを招く。
【0025】よって、C含有量の範囲は0.03〜0.
13%とした。望ましいのは0.035〜0.125
%、さらに望ましいのは0.04〜0.120%であ
る。
【0026】Si:0.10〜0.80% Siは耐酸化性、耐高温腐食性の向上に有効である。こ
の効果を得るには、0.10%以上のSi含有量が必要
である。一方、Si含有量が0.80%を超える過剰の
添加は靱性の低下を招く。
【0027】よって、Si含有量の範囲は0.10〜
0.80%とした。望ましいのは0.13〜0.70
%、さらに望ましいのは0.15〜0.60%である。
【0028】Cr:8〜13% Crはステンレス鋼を構成する主要な元素であり、高温
での耐酸化性、耐高温腐食性の確保のために必須の元素
である。この効果を得るには、8%以上のCr含有量が
必要である。一方、Cr含有量が13%を超えると靱性
の低下を招く。
【0029】よって、Cr含有量の範囲は8〜13%と
した。望ましいのは8.2〜12.8%、さらに望まし
いのは8.5〜12.5%である。
【0030】Ni:0.01〜1.30% Niはδフェライト相の生成を抑え、マルテンサイト単
相組織として靱性を確保する観点から必要な元素であ
る。この効果を得るには0.01%以上のNi含有量が
必要である。一方、Ni含有量が1.30%を超えると
オーステナイト変態温度(Ac1点)を低下させ、その結
果、溶接後熱処理時にオーステナイト変態を生じさせ、
クリープ強度の低下を招く。
【0031】よって、Ni含有量の範囲は0.01〜
1.30%とした。望ましいのは0.02〜1.28
%、さらに望ましいのは0.03〜1.25%である。
【0032】Mo:0.005〜0.30% Moはマトリックスを固溶強化するとともに微細炭化物
として析出し、クリープ強度の向上に寄与する元素であ
る。この効果を得るには、Mo含有量は0.005%以
上とする必要がある。一方、Mo含有量が0.30%を
超えると、高温での使用中に脆弱な金属間化合物の生成
を促進し、靱性の低下とともにクリープ強度の低下を招
くこともある。
【0033】よって、Mo含有量の範囲は0.005〜
0.30%とした。望ましいのは、0.008〜0.2
9%、さらに望ましいのは0.01〜0.28%であ
る。
【0034】Nb:0.01〜0.20% NbはNb(C、N)を形成し、クリープ強度の向上に
寄与する元素である。
【0035】この効果を得るには0.01%以上のNb
含有量が必要である。一方、Nb含有量が0.20%を
超えると靱性の低下とともに溶接高温割れを招く。
【0036】よって、Nb含有量の範囲は、0.01〜
0.20%とした。望ましいのは、0.02〜0.19
%、さらに望ましいのは0.03〜0.18%である。
【0037】V:0.1〜0.5% VはV(C、N)を形成し、クリープ強度の向上に寄与
する元素である。この効果を得るには0.1%以上のV
含有量が必要である。一方、V含有量が0.5%を超え
ると靱性の低下とともに溶接高温割れを招く。
【0038】よって、V含有量の範囲は0.1〜0.5
%とした。望ましいのは0.12〜0.48%、さらに
望ましいのは0.15〜0.45%である。
【0039】W:1.5〜4.0% Wはマトリックスを固溶強化するとともに、微細炭化物
として析出し、クリープ強度の向上に寄与する元素であ
る。この効果を得るには1.5%以上のW含有量が必要
である。一方、W含有量が4.0%を超えると靱性の低
下を招く。
【0040】よって、W含有量の範囲は1.5〜4.0
%とした。望ましいのは、1.6〜3.9%、さらに望
ましいのは1.8〜3.8%である。
【0041】Co:0.5〜6.0% Coはδフェライトの生成を抑え、マルテンサイト単相
組織として靱性を確保する観点から添加が必要な元素で
ある。この効果を得るには0.5%以上のCo含有量が
必要である。一方、Co含有量が6.0%を超えるとオ
ーステナイト変態温度(Ac1)を低下させ、その結果、
溶接後熱処理時にオーステナイト変態を生じさせるた
め、クリープ強度の低下を招く。
【0042】よって、Co含有量の範囲は0.5〜6.
0%とした。望ましいのは0.7〜5.8%、さらに望
ましいのは1.0〜5.5%である。
【0043】Cu:0.005〜3.0% Cuはδフェライトの生成を抑制し、靱性を確保する効
果を有する。この効果を得るには0.005%以上のC
u含有量が必要である。一方、Cu含有量が3.0%を
超えると長時間使用後の靱性の低下を招く。
【0044】よって、Cu含有量の範囲は0.005〜
3.0%とした。望ましいのは0.007〜2.9%、
さらに望ましいのは0.01〜2.8%である。
【0045】N:0.003〜0.080% NはNb、Vと結合して窒化物を形成し、クリープ強度
の向上に寄与する元素である。この効果を得るには0.
003%以上のN含有量が必要である。一方、N含有量
が0.080%を超えて過剰になると、析出物の粗大化
を招き、かえってクリープ強度を損なう。
【0046】よって、N含有量の範囲は0.003〜
0.080%とした。望ましいのは、0.004〜0.
078%、さらに望ましいのは0.005〜0.075
%である。
【0047】Al:0.01%以下 Alは脱酸剤として添加される元素である。Al含有量
の極度の低減は鋼の清浄度を低下させて製造コストの増
大を招くため、特に下限は定めない。一方、Al含有量
が0.01%を超えると溶融池内でのスラグの生成を促
進し、溶接金属の湯流れ性を劣化させる。そのため、A
l含有量は0.01%以下とした。望ましい上限は0.
009%、さらに望ましい上限は0.008%である。
【0048】S:0.001〜0.005% Sは溶融池内の対流に影響を与え、溶け込み深さを増大
させ、裏波形成能を向上させるのに有効な元素である。
しかし、Sの含有量が0.005%を超えるとアークの
安定性を劣化させ、逆に溶接施工性劣化の原因となる。
一方、Sの含有量を0.001%未満にすると、製造コ
ストの増大を招く。
【0049】よって、S含有量の範囲は0.001〜
0.005%とした。望ましいのは、0.0012〜
0.0049%、更に望ましいのは0.0015〜0.
0048%である。
【0050】P:0.025%以下 Pは不可避不純物であり、低い程望ましいが、極度の低
P化は多大なコスト増を招くため、特に下限は定めな
い。一方、P含有量が0.025%を超えると、溶接金
属の加熱脆化を招く。そのため、P含有量は0.025
%以下とした。望ましい上限は0.023%、さらに望
ましい上限は0.020%である。
【0051】本発明の溶接材料では、さらに特にMnお
よび(Al+O)を次のような範囲に限定する必要があ
る。
【0052】 Mn:(0.0925−12.5〔%S〕)%≦Mn≦2.0%・・式 Mnは、その含有量をS含有量によって調整することに
より、溶接ビートの均一性を劣化させることなく、アー
ク電流の集中度合いを高めて裏波形成能を向上させる。
この効果を得るには、Mn含有量の下限は[0.092
5−12.5(%S)]%とする必要がある。しかし、
Mn含有量が2.0%を超える過剰の添加は溶接金属部
の脆化を招くため、上限は2.0%とした。望ましい上
限は、1.9%、さらに望ましい上限は1.8%であ
る。
【0053】 Al+O(酸素):0.02%以下(式) Oは溶接中にAlと結合し、(Al+O)で0.02%
を超えると多量のスラグを生成して溶接金属の湯流れ性
を劣化させる。そのため、(Al+O)が0.02%以
下となるようにOの含有量を限定する。
【0054】本発明の溶接材料では、加えてさらに次の
B、希土類3元素(Y、La、Ce)の少なくとも1
種、もしくはCaまたはMgを選んで含有させることが
でき、これらの複合添加も許容される。
【0055】B:上限は0.020% Bは、微量含有により炭化物を分散、安定化させ、クリ
ープ強度の向上に寄与する。このため、この効果を積極
的に得たい場合に含有させる。しかし、B含有量が0.
001%未満であると上記の効果は得られない。一方、
B含有量が0.020%を超えると熱間加工性を損な
う。
【0056】よって、Bを含有させる場合の含有量範囲
は0.001〜0.020%である。望ましいのは、
0.0015〜0.018%、更に望ましいのは0.0
02〜0.015%である。
【0057】希土類3元素の少なくとも1種:上限は
0.0020% 希土類3元素(Y、La、Ce)は、いずれの元素も溶
接金属の溶接高温割れ感受性を低減させる。このため、
この効果を積極的に得たい場合に、少なくとも1種を選
んで含有させる。しかし、その含有量が0.0005%
未満であると上記の効果は得られない。一方、その含有
量が0.0020%を超えると溶接性を損なう。
【0058】よって、希土類3元素の少なくとも1種を
含有させる場合の含有量範囲は0.0005〜0.00
20%である。望ましい範囲は0.0006〜0.00
18%、更に望ましい範囲は0.0008〜0.001
5%である。
【0059】CaおよびMgのいずれか一方または両
方:上限は0.002% CaとMgは、いずれも溶接材料(ワイヤ)である線材
に加工する際の熱間加工性の改善に寄与する。このた
め、この効果を積極的に得たい場合に、どちらか一方ま
たは両方を含有させる。しかし、その含有量が0.00
05%未満であると上記の効果は得られない。一方、そ
の含有量が0.002%を超えると溶接金属の清浄度を
低下させる。
【0060】よって、CaとMgのいずれか一方または
両方を含有させる場合の含有量範囲は0.0005〜
0.002%である。望ましい範囲は0.0006〜
0.0018%、更に望ましい範囲は0.0008〜
0.0015%である。
【0061】以上のべたように、本発明の溶接材料は、
フェライト系ステンレス鋼製の溶接材料において、Mo
の含有量を所定の範囲に規定する一方、所定量のCuを
添加含有させ、かつMn、Al、SおよびOの含有量を
特定の範囲に規定したことに特徴がある。本発明の溶接
材料は、通常の工業的なステンレス鋼の製造方法によっ
て製造することができる。精錬については、アーク式電
気炉による溶解法、AOD(アルゴン−酸素脱酸)法、
VOD(真空酸素脱炭)法などが適している。
【0062】例えば、Sの低減(脱硫)については、脱
炭の前工程で脱硫処理を行うのが効果的である。また、
AlおよびO含有量を本発明の範囲内に収めるために
は、所定の化学組成に成分調整された溶鋼に対して真空
処理を施し、これらの元素の成分調整精度を向上させる
方法が有効である。成分調整された溶鋼は、連続鋳造法
または造塊法によって、スラブ(ビッレト)またはイン
ゴットに鋳造する。このスラブまたはインゴットから、
熱間圧延によって線材とし、これをそのままあるいは冷
間引き抜き加工した後、溶接材料(ワイヤ)とする。
【0063】
【実施例】表1に示す化学組成の供試鋼管に、図1に示
す形状寸法の開先を設ける一方、ルート間隔2mmで突
き合わせ、表2および表3に示す化学組成の各種溶接材
料(ワイヤ)を用いて、TIG溶接法により10層の多
層円周溶接を施した。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】前記供試鋼管は外径200mm、厚さ20
mmであり、600℃で100000時間のクリープ強
度が15kgf/mm2 の高強度、高耐食フェライト鋼
からなるものである。用いた溶接材料はいずれも、溶
製、熱間加工、線引加工のプロセスにより製造した外径
2.4mmの綿材である。
【0068】溶接条件は、入熱量25000J/cmと
なるように設定した。また、溶接施工後、760℃で後
熱処理を行った。
【0069】溶接施工性の評価は、溶接施工後、最終層
のビード変動幅を測定し、溶接ビードの均一性で行い、
評価基準は、溶接ビードの変動幅が2mm以下を良、そ
れより大きい場合を否とした。
【0070】さらに、全溶接線長さに対し裏波が形成し
ている長さの割合を測定し、裏波形成能を評価した。評
価基準は、裏波形成率が100%を良、それより小さい
場合を否とした。
【0071】次に、溶接部を中央部に含むように、長さ
60mm、幅5mm、厚さ30mmの側曲げ試験片、長
さ55mm、幅10mm、厚さ10mm、2mmVノッ
チのシャルピー衝撃試験片、全長70mm、標点距離3
0mm、平行部直径6mmφのクリープ試験片および長
さ40mm、幅10mm、厚さ2mmの耐食性試験片を
採取し、各試験に供した。
【0072】側曲げ試験では、板厚の2倍の曲げ半径で
180゜曲げ、溶接金属部での溶接高温割れの有無を調
べた。
【0073】シャルピー衝撃試験およびクリープ試験で
は、それぞれ0℃シャルピー衝撃試験および650℃で
のクリープ試験を行った。
【0074】クリープ試験では、母材である高強度フェ
ライト鋼の破断寿命が約3000hrとなる12kgf
/mm2 の条件で試験を行い、溶接金属のクリープ破断
寿命を求めた。評価は、クリープ破断寿命が2400h
r以上を良、それより短い場合を否と判断した。
【0075】耐食性試験では、水蒸気中で700℃、1
000hrの加熱を行い、表面のスケール厚さを測定し
て、ボイラ用材料としての耐高温酸化性を評価した。
【0076】以上の試験結果を表4および表5に示す。
なお、供試母材単体の水蒸気酸化試験でのスケール厚さ
は、約90μmであった。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】表4および表5から明らかなように、本発
明で定める範囲内の化学組成の溶接材料(No. A1〜A
18)を用いてTIG溶接を行った溶接継手(No. AJ
1〜AJ18)では、溶接ビードの変動幅が2mm以下
で溶接ビード幅の均一性に優れ、また全溶接線にわたり
裏波が形成されている。この結果、本発明の溶接材料は
優れた溶接施工性を有し、かつ溶接継手部は母材に匹敵
するクリープ強度、耐水蒸気酸化性および高靱性を有す
ることが確認された。
【0080】一方、本発明で定める範囲外の化学組成の
溶接材料(No. B1〜B22)を用いた溶接継手(No.
BJ1〜BJ22)では、十分な溶接施工性と継手性能
を兼ね備えたものは認められなかった。
【0081】すなわち、No. B1を用いた継手(No. B
J1)では、C、Nbがそれぞれ0.137%、0.2
2%と本発明で定める上限を超えて過剰に含まれている
ため溶接高温割れが発生した。Vが0.52%で本発明
で定める上限を超えるNo. B2を用いた継手(No. BJ
2)では溶接高温割れが発生した。
【0082】No. B3を用いた継手(No. BJ3)で
は、Crが7.8%と本発明で定める下限以下で過少で
あるため、水蒸気試験でのスケール厚が115μmとな
り、耐水蒸気酸化性に劣った。また、No. 4を用いた継
手(No. BJ4)では、Siが0.05%と本発明で定
める下限以下で過少であるため、水蒸気試験でのスケー
ル厚が113μmとなり、耐水蒸気酸化性に劣った。
【0083】No. B5およびB6を用いた継手(No. B
J5およびBJ6)では、Moがそれぞれ0.308
%、0.319%と過剰に含まれているため、0℃シャ
ルピー衝撃値がそれぞれ24J/cm2 、28J/cm
2 となり、いずれも十分な靱性が得られなかった。ま
た、No. B7およびB8を用いた継手(No. BJ7およ
びBJ8)では、Mnがそれぞれ2.10%、2.12
%と過剰に含まれているため、0℃シャルピー衝撃値が
それぞれ22J/cm2 、25J/cm2 となり、いず
れも十分な靱性が得られなかった。
【0084】No. B9を用いた継手(No. BJ9)で
は、Wが4.11%と過剰に含まれているため、0℃シ
ャルピー衝撃値が25J/cm2 となり、また、No. B
10を用いた継手(No. BJ10)では、Coが0.4
%と過少であるためδフェライトが析出し、0℃シャル
ピー衝撃値が27J/cm2 となり、いずれも十分な靱
性が得られなかった。
【0085】No. B11およびB12を用いた継手(N
o. BJ11およびBJ12)では、Moがそれぞれ
0.002%、0.003%と過少であるため、いずれ
も十分なクリープ強度が得られなかった。また、No. B
13を用いた継手(No. BJ13)では、Niが1.3
3%と過剰に含まれているため溶接後熱処理によりオー
ステナイト変態が生じ、十分なクリープ強度が得られな
かった。
【0086】No. B14を用いた継手(No. BJ14)
では、Wが1.48%と過少であるため、十分なクリー
プ強度が得られなかった。No. B15を用いた継手(N
o. BJ15)では、Coが6.2%と過剰であるため
溶接後熱処理によりオーステナイト変態が生じ、十分な
クリープ強度が得られなかった。
【0087】No. B16およびB17を用いた継手(N
o. BJ16およびBJ17)では、Sがそれぞれ0.
0052%、0.0058%と過剰であるため、溶接ビ
ードの変動幅がそれぞれ2.4mm、2.8mmとな
り、いずれも溶接施工性に劣った。また、No. B18を
用いた継手(No. BJ18)では、(Al+O)が0.
022%と過剰であるため溶融金属の湯流れが悪くな
り、溶接ビードの変動幅が2.2mmとなり、溶接施工
性に劣った。
【0088】No. B19およびB20を用いた継手(N
o. BJ119およびBJ20)では、(0.0092
5−〔%S〕)がそれぞれ0.0775、0.0325
であるのに対し、Mnが0.07%、0.02%と過少
であるため、裏波形成率がそれぞれ75%、90%とな
り、いれも溶接施工性に劣った。
【0089】No. B21を用いた継手(No. BJ21)
では、Cuが0.003%と過小であるため、0℃シャ
ルピー衝撃値が32J/cm2 と、十分な靱性が得られ
なかった。また、No. B22を用いた継手(No. BJ2
2)では、Cuが3.07%と過剰であるため、600
℃×300hr時効処理後の0℃シャルピー衝撃値が1
0J/cm2 で、長時間使用後の靱性が低かった。
【0090】
【発明の効果】本発明の溶接材料は、高強度、高耐食フ
ェライト鋼の溶接時の施工性に優れ、この材料を使用す
ることで、十分な耐食性および高温強度を有する溶接継
手を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた溶接開先の形状と寸法を示す図
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.03〜0.13%、S
    i:0.10〜0.80%、Cr:8〜13%、Ni:
    0.01〜1.30%、Mo:0.005〜0.30
    %、Nb:0.01〜0.20%、V:0.1〜0.5
    %、W:1.5〜4.0%、Co:0.5〜6.0%、
    Cu:0.005〜3.0%、N:0.003〜0.0
    80%、Al:0.01%以下、S:0.001〜0.
    005%、B:0〜0.020%、La、CeおよびY
    の少なくとも1種:0〜0.002%ならびにCaおよ
    びMgのいずれか一方または両方:0〜0.002%を
    含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなり、不純
    物中のPが0.025%以下、かつ、MnとSとの含有
    量の関係が下記式、AlとO(酸素)との含有量の関
    係が下記式をそれぞれ満たすことを特徴とする溶接施
    工性に優れた高強度、高耐食フェライト鋼用溶接材料。 (0.0925−12.5〔%S〕)%≦Mn≦2.0%・・・ (Al+O)≦0.02%・・・・・・・・・・・・・・・・・
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