JPH08311552A - 磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH08311552A
JPH08311552A JP7114731A JP11473195A JPH08311552A JP H08311552 A JPH08311552 A JP H08311552A JP 7114731 A JP7114731 A JP 7114731A JP 11473195 A JP11473195 A JP 11473195A JP H08311552 A JPH08311552 A JP H08311552A
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annealing
steel sheet
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Yasunari Yoshitomi
康成 吉冨
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は電気機器の鉄心に用いられる一方向
性電磁鋼板の磁気特性、被膜性状の向上を図ることを目
的とする。 【構成】 C,Si,酸可溶性Al,Nを含有し、残余
Fe及び不可避的不純物からなるスラブを1280℃未
満の温度で加熱し、熱延を行い、圧下率80%以上の最
終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以上
の冷延を施し、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して
一方向性電磁鋼板を製造する方法において、スラブ加熱
時の固溶N量を基に、スラブのC,Si,酸可溶性A
l,Nの各量を決定し、脱炭焼鈍後の鋼板の酸化膜中の
全SiO2 量を制御し、脱炭焼鈍完了後最終仕上焼鈍開
始までの一次再結晶粒の平均粒径を制御し、熱延後最終
仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に窒化処理を施すこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス等の鉄心とし
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表わす数値としては通常磁場の強さ80
0A/mにおける磁束密度B8が使用される。また、鉄
損特性を表わす数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50
を使用している。
【0003】磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子であ
り、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が良好
になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次再結
晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合がある。
これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の粒径
に拘らず、鉄損特性の改善をすることができる。
【0004】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に〈001〉軸を持ったいわゆるゴス組織を発達さ
せることにより製造されている。良好な磁気特性を得る
ためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向に高
度に揃えることが必要である。
【0005】このような高磁束密度一方向性電磁鋼板の
製造技術として代表的なものに、特公昭40−1564
4号公報、及び特公昭51−13469号公報記載の方
法がある。前者においては主なインヒビターとしてMn
S及びAlNを、後者ではMnS,MnSe,Sb等を
用いている。従って現在の技術においてはこれらのイン
ヒビターとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散
状態を適正に制御することが不可欠である。MnSに関
していえば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にM
nSを一旦完全固溶させた後、熱延時に析出する方法が
とられている。
【0006】二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶
するためには1400℃程度の温度が必要である。これ
は普通鋼のスラブ加熱温度に比べて200℃以上も高
く、この高温スラブ加熱処理には以下に述べるような不
利な点がある。1)方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱
炉が必要。2)加熱炉のエネルギー原単位が高い。3)
溶融スケール量が増大し、いわゆるノロかき出し等に見
られるように操業上の悪影響が大きい。
【0007】このような問題点を回避するためにはスラ
ブ加熱温度を普通鋼並み下げれば良いわけであるが、こ
のことは同時にインヒビターとして有効なMnSの量を
少なくするか、あるいは全く用いないことを意味し、必
然的に二次再結晶の不安定化をもたらす。
【0008】このため低温スラブ加熱化を実現するため
には、何らかの形でMnS以外の析出物等によりインヒ
ビターを強化し、仕上焼鈍時の正常粒成長の抑制を十分
にする必要がある。このようなインヒビターとしては硫
化物の他、窒化物、酸化物及び粒界析出元素等が考えら
れ、公知の技術として例えば次のようなものがあげられ
る。
【0009】特公昭54−24685号公報ではAs,
Bi,Sn,Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有するこ
とにより、スラブ加熱温度を1050〜1350℃の範
囲にする方法が開示され、特開昭52−24116号公
報ではAlの他、Zr,Ti,B,Nb,Ta,V,C
r,Mo等の窒化物生成元素を含有することによりスラ
ブ加熱温度を1100〜1260℃の範囲にする方法を
開示している。
【0010】また、特開昭57−158332号公報で
はMn含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にす
ることにより低温スラブ加熱化を行い、更にCuの添加
により二次再結晶を安定化する技術を開示している。
【0011】これらインヒビターの補強と組み合わせて
金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。すな
わち特開昭57−89433号公報ではMnに加えS,
Se,Sb,Bi,Pb,Sn,B等の元素を加え、こ
れにスラブの柱状晶率と二次冷却圧下率を組み合わせる
ことにより1100〜1250℃の低温スラブ加熱化を
実現している。
【0012】更に特開昭59−190324号公報では
SあるいはSeに加え、Al及びBと窒素を主体として
インヒビターを構成し、これに冷却後の一次再結晶焼鈍
時にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定化す
る技術を公開している。
【0013】このように方向性電磁鋼板製造における低
温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大な努力
が続けられてきている。更に、特開昭59−56522
号公報においてはMnを0.08〜0.45%、Sを
0.007%以下にすることにより低温スラブ加熱化を
可能にする技術が開示された。この方法により高温スラ
ブ加熱時のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二
次再結晶不良発生の問題が解消された。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】低温スラブ加熱による
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化できない。本発明者らは、低温ス
ラブ加熱の工業化のため、最終仕上焼鈍前の一次再結
晶粒の平均粒径制御と、熱延後、最終仕上焼鈍の二次
再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを柱と
する技術を構築してきた。
【0015】この技術体系において、製品の鉄損の作り
込み、コストダウン、冷延の通板性改善等のためには、
Si,C等の成分を変更する必要が生じる。この場合、
の一次再結晶粒の平均粒径制御による磁気特性制御と
被膜性状の制御の両立が困難となってきた。
【0016】本発明の目的は、成分変更が必要となる場
合に、一次再結晶粒の平均粒径制御による磁気特性制御
と被膜性状の制御を両立させる方策を提供することにあ
る。そして、その手段として、スラブ加熱時の固溶N
量に基づく成分設計と脱炭焼鈍後の鋼板の酸化膜中の
全SiO2 量の制御が有効であるとの知見を得て、本発
明を完成させたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記の通りである。 (1)重量%でC:0.025〜0.075%、Si:
2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.0
60%、N:0.0010〜0.0130%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを128
0℃未満の温度で加熱し、熱延し、圧下率80%以上の
最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以
上の冷延を施し、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施し
て一方向性電磁鋼板を製造する方法において、スラブ加
熱時の固溶N量を基に、スラブのC,Si,酸可溶性A
l,Nの各量を決定し、脱炭焼鈍後の鋼板の酸化膜中の
全SiO2 量を0.7〜1.6g/m2 とし、脱炭焼鈍
完了後最終仕上焼鈍開始までの一次再結晶粒の平均粒径
を、18〜35μmとし、熱延後最終仕上焼鈍の二次再
結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを特徴と
する磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製
造方法。
【0018】(2)上記スラブ加熱時の固溶N量を計算
で求め、かつ、その計算の際、スラブの酸可溶性Al
量、N量を各々Al(%),N(%)とし、α相とγ相
におけるAl−(27/14)Nの量(重量%)を同じ
値とすることを特徴とする(1)記載の磁気特性と被膜
性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0019】(3)熱延後、850〜1250℃の範囲
で熱延板焼鈍を施すことを特徴とする(1)又は(2)
記載の磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の
製造方法。 (4)(1)〜(3)記載のいずれかにおいて、更に、
重量%で、Mn:0.06〜0.8%、S+0.405
Se:0.005〜0.020%を含有するスラブを用
いることを特徴とする磁気特性と被膜性状の優れた一方
向性電磁鋼板の製造方法。
【0020】(5)(1)〜(3)記載のいずれかにお
いて、更に、重量%で、Mn:0.01%未満、Cu:
0.05〜0.50%、S+0.405Se:0.00
5〜0.020%を含有するスラブを用いることを特徴
とする磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の
製造方法。
【0021】(6)(1)〜(3)記載のいずれかにお
いて、更に、重量%で、Mn:0.06〜0.8%、C
u:0.05〜0.50%、S+0.405Se:0.
005〜0.020%を含有するスラブを用いることを
特徴とする磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼
板の製造方法。
【0022】(7)(1)〜(6)記載のいずれかにお
いて、更に、重量%で、Sn:0.01〜0.15%を
含有するスラブを用いることを特徴とする磁気特性と被
膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0023】
【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製造法で得られた溶鋼を連続鋳造法
あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程をはさ
んでスラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、必
要に応じて熱延板を焼鈍し、次いで圧下率が80%以上
となる最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ
1回以上の冷延を施し、次いで、脱炭焼鈍、最終仕上焼
鈍を順次行うことによって製造される。
【0024】本発明者は、低温スラブ加熱を前提とする
製造プロセスにおいて、Si,C等の成分変更の必要が
生じた場合に、磁気特性と被膜性状を両立させるための
方策について、種々検討した結果、スラブ加熱時の固
溶N量に基づく成分設計と脱炭焼鈍後の鋼板の酸化膜
中の全SiO2 量の制御が有効であるという新知見を得
た。以下実験結果を基に詳細に説明する。
【0025】図1に、スラブ加熱完了時の固溶N量及び
脱炭焼鈍温度が磁気特性、被膜性状に与える影響を示
す。この場合、重量比で、C;0.028〜0.070
%、Si;2.5〜3.4%、酸可溶性Al;0.02
0〜0.054%、N:0.0048〜0.0088%
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる250
mm厚のスラブを作成した。そして1000〜1260℃
の温度に60分均熱後熱延し、2.3mm厚とした。
【0026】かかる熱延板に熱延板焼鈍を施すことなく
約85%の強圧下圧延を行って最終板厚0.335mmの
冷延板とし、820℃,830℃,840℃,
850℃の150秒保持する4条件の脱炭焼鈍(焼鈍雰
囲気:N2 :25%、H2 :75%、露点:40〜70
℃)を施し、次いで、750℃に30秒保持する焼鈍
時、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素
を吸収せしめた。
【0027】この窒化処理後のN量は、0.0210〜
0.0224重量%であり、一次再結晶粒の平均粒径は
19〜27μmであった。かかる窒化処理後の鋼板にM
gOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍
を行った。更に、上記スラブと同じ成分のものを用意
し、各スラブに対して、上記と同一のスラブ加熱条件で
加熱後即水冷し、N量と窒化物の量(N as Nit
ride)を測定し、その差をスラブ加熱完了時の固溶
N量とした。
【0028】図1から明らかなように、スラブ加熱完了
時の固溶N量と脱炭焼鈍温度の組み合わせで、良好な磁
気特性、被膜性状が得られることがわかった。図1で示
された知見を、本発明者は更に詳細に検討した。図2
は、図1において、B8 ≧1.90Tなる良好な磁気特
性が得られた場合の被膜性状と、窒化後の鋼板の酸化膜
中の全SiO2 量との関係を示したものである。図2か
ら明らかなように、窒化後の鋼板の酸化膜中の全SiO
2 量が0.7〜1.6g/m2 の時、良好な被膜性状が
得られた。
【0029】図1,図2に示した現像のメカニズムにつ
いて、必ずしも明らかではないが、本発明者は、以下の
ように推定している。本発明は、本発明者らが特願平1
−1778号で開示した脱炭焼鈍後の結晶組織を適切な
ものにすることを基本とする技術体系に属する。一方、
スラブ加熱完了時に固溶していたNは、熱延中、又は脱
炭焼鈍時(特に昇温時)微細な窒化物(主にAlN)と
なると考えられる。
【0030】脱炭焼鈍時の粒成長挙動は、析出物の粒界
移動抑制力(Zener因子)の影響を強く受ける。こ
のZener因子は、析出物の体積分率に比例し、サイ
ズに反比例する。
【0031】本発明の如く、低温スラブ加熱を施し、か
つ、熱延板焼鈍を省略した場合、スラブ加熱時固溶して
いたNが、熱延時及び脱炭焼鈍時にAlNとして微細析
出してくる。
【0032】そして、この微細なAlNが脱炭焼鈍時の
Zener因子の7〜8割の強度割合を持っていた。つ
まり、スラブ加熱時の固溶N量が脱炭焼鈍時の粒成長挙
動を支配していた。
【0033】従って、図1におけるスラブ加熱時の固溶
N量と脱炭焼鈍温度の組み合わせにおいて、良好な磁気
特性を得る範囲があるということは、固溶N量が多いほ
ど(Zener因子が高いほど)、適正な脱炭焼鈍温度
が高いことからして、適正な一次再結晶粒径分布を得ら
れれば、良好な磁気特性が得られることによると考えら
れる。
【0034】この適正な一次再結晶粒径分布を得るため
には、脱炭焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長が抑制される
程度の強いスラブ加熱時の固溶N量が多い条件において
は、脱炭焼鈍の温度を高めて、一次再結晶粒の粒成長を
促進させる必要があるものと考えられる。
【0035】一方、図2において、製品の被膜性状を良
好ならしめるための窒化後の鋼板の酸化膜中の全SiO
2 量の適正範囲が存在する理由については、次のように
推定している。本実験の場合、窒化処理後、MgOを主
成分とする焼鈍分離剤が鋼板に塗布され、最終仕上焼鈍
が施される。
【0036】この最終仕上焼鈍の昇温時、鋼板表面酸化
膜中のSiO2 と焼鈍分離剤中のMgOが反応して、M
2 SiO4 が形成される。このMg2 SiO4 の形成
量の差が製品の被膜性状として観察されるわけである。
【0037】本発明の如く、良好な磁気特性を得るため
に、スラブ加熱時の固溶N量に応じて、脱炭焼鈍温度を
変更させる必要が生じる場合には、この鋼板表面酸化膜
中のSiO2 量の適正量の確保が非常に重要となる。こ
のSiO2 量は、脱炭焼鈍の温度、時間、焼鈍雰囲気中
の酸素ポテンシャルに依存し、この制御には高度な技術
を必要とするので、細心の注意を払う必要がある。
【0038】本発明者は、図1に示した知見を更に発展
させ、成分設計法を開発した。スラブ加熱時の固溶N量
は、α相中の固溶N量、γ相中の固溶N量、γ
率、で決まるが、α,γ相の2相において、Si,A
l,Nの分配が生じるため、,,を独立に考えて
計算するだけでは不十分である。
【0039】そこで、本発明者は、成分設計のベース成
分系と設計成分系について、(1)α,γ相へのAl,
Si,Nの分配がない場合、(2)α,γ相へのAl,
Nの分配がないが、Siの分配がある場合、(3)α,
γ相へのSiの分配がないが、Al,Nの分配がある場
合、(4)α,γ相へのAl,Si,Nの分配がある場
合の4つのケースについてスラブ加熱時の固溶N量を計
算し、ベース成分系と設計成分系で各ケースで各々固溶
N量を同一とさせた時、Al−27/14Nの量が最大
となる場合のAl−27/14N量を設計成分系として
採用する方法を開発した。
【0040】この場合、結果として、設計成分系はベー
ス成分系に対して、スラブ加熱時の固溶N量が同じかも
しくは少なくなる。つまり、脱炭焼鈍時の粒成長挙動に
ついて、設計成分系はベース成分系より、粒成長が同じ
か、もしくは、幾分粒成長が容易となる。ベース成分系
は、磁気特性と被膜性状の両立が可能なものであるの
で、粒成長をベース成分系と同じか、幾分容易とすれ
ば、適正な一次再結晶粒組織も実現できる。
【0041】この設計法は、固溶N量、γ率、α,γ相
へのSi,Al,Nの成分分配に関するデータベースを
必要とし、本発明者はそれを完備しているが、1つだけ
大胆な仮定を行う必要が生じた。この点について説明す
る。α相,γ相の固溶N量(〔N〕(重量%))を求め
る式の一例を各々、(1),(2)で示す。
【0042】
【数1】
【0043】ここで〔Si〕は固溶Si量(重量%)、
Tは温度(°K)、AlR =Al−27/14N(重量
%)。但し、酸可溶性Al量をAl(%)として表示し
ている。上記式は一例ではあるが、いずれの式を用いて
も〔N〕の式の中に、AlRという量が入る。
【0044】そして、上記成分設計でα+γ相の〔N〕
量を計算する場合、α相のAlR とγ相のAlR が1つ
の式の中に入ってきて、1つの方程式の中に変数が2つ
となって解を求めることが不可能となる。そこで、「α
相とγ相のAlR が同じ」と仮定すると方程式が解け
る。
【0045】次に本発明の構成要件の限定理由について
述べる。先ず、スラブの成分と、スラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは0.025重量%
(以下単に%と略述)未満になると二次再結晶が不安定
になり、かつ二次再結晶した場合でもB8 >1.80
(T)が得がたいので0.025%以上とした。一方、
Cが多くなりすぎると脱炭焼鈍時間が長くなり経済的で
ないので0.075%以下とした。
【0046】Siは4.5%を超えると冷延時の割れが
著しくなるので4.5%以下とした。また、2.5%未
満では素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料とし
て必要な低鉄損が得られないので2.5%以上とした。
望ましくは3.2%以上である。
【0047】Alは二次再結晶の安定化に必要なAlN
もしくは(Al,Si)Nを確保するため、酸可溶性A
lとして0.010%以上が必要である。酸可溶性Al
が0.060%を超えると熱延板のAlNが不適切とな
り二次再結晶が不安定になるので0.060%以下とし
た。
【0048】Nについては、0.0130%を超えると
ブリスターと呼ばれる鋼板表面のふくれが発生するので
0.0130%以下とした。Nが0.0010%未満で
は、脱炭焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長挙動が不安定と
なり好ましくないので、0.0010%以上とした。
【0049】MnS,MnSeが鋼中に存在しても、製
造工程の条件を適正に選ぶことによって磁気特性を良好
にすることが可能である。しかしながらSやSeが高い
と線状細粒と呼ばれる二次再結晶不良部が発生する傾向
があり、この二次再結晶不良部の発生を予防するために
は(S+0.405Se)≦0.020%とすることが
更に好ましい。また、S+0.405Se≧0.005
%とすることで、脱炭焼鈍時の一次再結晶粒の粒成長制
御が容易となり、更に好ましい。
【0050】Mn量を0.06〜0.8%とすること
は、更に好ましい。0.06%未満では、熱間圧延によ
って得られる熱延板の形状(平坦さ)、つまりストリッ
プの側縁部が波形状となり製品歩留りを低下させる問題
が発生する確率が高まる。一方、Mn量を0.8%以下
とすることによって、製品の磁束密度を高位に保つのが
容易となる。
【0051】また、Mn量を0.01%未満として、C
u:0.05〜0.50%、S+0.405Se:0.
005〜0.020%をスラブに含有させる場合も、更
に、好ましい。Cu及びS+0.405Seの範囲を上
記値とすることによって、脱炭焼鈍時Cu−S,Cu−
Seによる一次再結晶粒成長抑制効果が適正範囲内に入
るので更に好ましい。更に加えて、最終仕上焼鈍の昇温
時にCu−S,Cu−Seを核としたAlN,(Al,
Si)Nの微細析出が生じ、高磁束密度を得やすい。
【0052】また、Mn量を0.06〜0.8%、Cu
量、S+0.405Se量を各々、0.05〜0.50
%、0.005〜0.020%とする場合も、更に好ま
しい。Mn,Cu,S+0.405Seの範囲を上記値
とすることによって、脱炭焼鈍時、MnS,MnSe,
Cu−S,Cu−Seによる一次再結晶粒の粒成長抑制
効果が適正範囲内に入るので更に好ましい。
【0053】更に加えて、最終仕上焼鈍の昇温時に(C
u,Mn)S,(Cu,Mn)Se,Cu−S,Cu−
Seを核としたAlN,(Al,Si)Nの微細析出が
生じ、高磁束密度を得やすい。
【0054】Snは、粒界偏出元素として知られてお
り、粒成長を抑制する元素である。一方スラブ加熱時S
nは完全固溶しており、通常考えられる数10℃の温度
差を有する加熱時のスラブ内でも、一様に固溶している
と考えられる。従って、温度差があるにもかかわらず加
熱時のスラブ内で均一に分布しているSnは、脱炭焼鈍
時の粒成長抑制効果についても、場所的に均一に作用す
ると考えられる。
【0055】このため、AlNの場所的不均一に起因す
る脱炭焼鈍時の粒成長の場所的不均一を、Snは希釈す
る効果があるものと考えられる。従って、Snを添加す
ることは更に製品の磁気特性の変動を低減させるのに有
効である。
【0056】このSnの適正範囲を0.01〜0.15
%とした。この下限値未満では、粒成長抑制効果が少な
すぎて好ましくない。一方、この上限値を超えると鋼板
の窒化が難しくなり、二次再結晶不良の原因となるため
好ましくない。
【0057】この他インヒビター構成元素として知られ
ているSb,Cr,Ni,B,Ti,Nb等を微量に含
有することはさしつかえない。特に、B,Ti,Nb等
窒化物構成元素は、スラブ加熱時の鋼中の固溶N量を低
減するために積極的に添加してもかまわない。また、上
記窒化物構成元素がある場合には、その窒化物があるこ
とによる固溶N量の低減量を以下に述べる成分設計時に
考慮することは、成分設計の精度向上に役立つ。
【0058】スラブ加熱温度は、普通鋼並みにしてコス
トダウンを行うという目的から1280℃未満と限定し
た。好ましくは1200℃以下である。スラブ加熱時の
固溶N量を基に、スラブのC,Si,酸可溶性Al,N
の各量を決定すると規定した。これは、図1に示した如
く、スラブ加熱時の固溶N量が磁気特性を制御する重要
因子であるためであり、C,Si,酸可溶性Al,Nの
各量及びスラブ加熱温度が固溶N量の影響因子であるた
めである。
【0059】この成分の設計は、固溶N量を実測するこ
とでも可能であるし、データベースを作成して、実験式
から計算で求めることもできる。計算で求める場合に
は、スラブの酸可溶性Al量,N量を各々、Al
(%),N(%)とした時、α相とγ相のAl−27/
14Nの量を同じ値とすることは更に好ましい。
【0060】Al−27/14Nの値をα,γ相で同一
とすることにより、方程式を数学的に解くことができ
る。この仮定を行わないとAl−27/14Nの値を
α,γ相、各温度でデータベース化する必要が生じ、成
分設計に多大な労力を要する。
【0061】加熱されたスラブは、引き続き熱延されて
熱延板となる。熱延工程は、通常100〜400mm厚の
スラブを加熱した後、いずれも複数回のパスで行う粗熱
延と仕上熱延よりなる。粗熱延の方法については特に限
定するものではなく、通常の方法で行われる。粗熱延後
仕上熱延開始までの時間については、特に限定するもの
ではないが、1秒以上かけて仕上熱延を開始すること
は、AlNの析出促進の点で好ましい。
【0062】仕上熱延は通常4〜10パスの高速連続圧
延で行われる。通常仕上熱延の圧下配分は前段が圧下率
が高く後段に行くほど圧下率を下げて形状を良好なもの
としている。圧延速度は通常100〜3000m/minと
なっており、パス間の時間は0.01〜100秒となっ
ている。
【0063】特に限定しないが、熱延最終3パスの累積
圧下率を高めにすることはAlNを加工誘起析出させる
のに有効である。粗熱延、仕上熱延の前段で強圧下を行
うことも、幾分なりとも加工誘起析出を生ぜしめること
になり好ましい。また、最終3パスでも特に最終パスで
の強圧下が効果的である。
【0064】通常、100〜300mm厚のスラブが1〜
5mm厚の熱延板となる熱延工程において、熱延中板厚が
薄くなるにつれて、板厚方向の熱伝導が容易となるた
め、スラブ内にあった温度差は徐々に少なくなってく
る。この段階で、AlNの析出を更に促進するために
は、歪を加えAlNの析出核としての転位を多くするこ
とが有効である。従って、鋼板中の温度差が最も軽減さ
れる仕上熱延の後段で加工歪を加え、AlNの析出促進
をはかることは、AlN析出量の変動が後工程まで継承
されるのを極力抑制するのに有効と考えられる。
【0065】熱延の最終パス後、通常0.1〜100秒
程度空冷された後水冷され300〜700℃の温度で巻
取られ、徐冷される。この冷却プロセスについては特に
限定されるものではないが、熱延後1秒以上空冷等を行
い、鋼板をAlNの析出温度域にできるだけ長時間保持
することは、AlNの析出を進ませる上で好ましい。
【0066】この熱延板は次いで、圧下率80%以上の
最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以
上の冷延を施す。最終冷延の圧下率を80%以上とした
のは、圧下率を上記範囲とすることによって、脱炭板に
おいて尖鋭な{110}〈001〉方位粒と、これに蚕
食されやすい対応方位粒({111}〈112〉方位粒
等)を適正量得ることができ、磁束密度を高める上で好
ましいためである。
【0067】本発明は、熱延板焼鈍省略プロセスを基に
構成したものであるが、850〜1250℃の温度で熱
延板焼鈍を施すと、スラブ加熱時のAlNの場所的不均
一性を軽減する効果があり、更に好ましい。この場合
も、スラブ加熱時の固溶N量を基に、C,Si,酸可溶
性Al,Nの各量を決定することは、磁気特性を高位安
定化する上で有効である。
【0068】かかる冷延後の鋼板は、通常の方法で脱炭
焼鈍、焼鈍分離剤塗布、最終仕上焼鈍を施されて最終製
品となる。ここで脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始ま
での間の一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmに制
御することは、必要である。その理由はこの平均粒径の
範囲で良好な磁束密度が得られやすく、かつ粒径変動に
対する磁束密度の変化が少ないからである。更に、脱炭
焼鈍後の鋼板の酸化膜中の全SiO2 量を0.7〜1.
6g/m2 と規定した。これは、図2に示した如く、こ
の範囲にすることによって、良好な被膜性状を得ること
ができる。
【0069】上記条件を満たすための手段については特
に限定しない。脱炭焼鈍時の温度、露点を制御すること
によって上記関係を満足させることができる。酸化挙動
は、鋼への添加元素及びその量の影響を受ける。従っ
て、上記関係を満たすためには材料に応じた条件設定が
必要となる。Sn,Cuは酸化を抑制する元素なので、
特に注意する必要がある。
【0070】脱炭焼鈍に引き続いて連続的に窒化処理を
施したり、別途窒化処理を行う場合には、この脱炭焼鈍
後の鋼板のSiO2 量の規定は、最終仕上焼鈍直前の鋼
板に対する規定と解される。そして、熱延後最終仕上焼
鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと
規定したのは、本発明の如き低温スラブ加熱を前提とす
るプロセスでは、二次再結晶に必要なインヒビター強度
が不足がちになるからである。
【0071】窒化の方法としては特に限定するものでは
なく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガスを混
入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼鈍分離
剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒化物が
分離してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最終仕上
焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒化する方
法等いずれの方法でもよい。窒化量については特に限定
するものではないが、1ppm 以上は必要である。
【0072】
【実施例】
〔実施例1〕C:0.046重量%(以下%と略記)、
Si:3.0%、酸可溶性Al:0.0333%、N:
0.0061%のスラブを用いて、スラブ加熱温度を1
150℃とし、熱延板焼鈍を省略して、0.335mm厚
材を製造した場合、良好な磁気特性と良好な被膜性状の
製品が得られていた。脱炭焼鈍時間を短縮するため、ス
ラブのC量を0.042%とする必要が生じた。この
時、上記基準成分材のスラブ加熱完了時の固溶N量を測
定したところ、0.0034%であった。
【0073】そこでSi:3.0%、N:0.0061
%、1150℃で、この固溶N量と同じとなる材料の酸
可溶性Al量を実験で求めたところ、0.0296%で
あった。
【0074】そこで、(A)C:0.042%、Si:
3.0%、酸可溶性Al:0.0296%、N:0.0
061%、(B)C:0.042%、Si:3.0%、
酸可溶性Al:0.0333%、N:0.0061%な
る2種類の250mm厚スラブを作成し、次いで、かかる
スラブを、1150℃の温度で60分均熱した後熱延を
開始して、2.3mm厚の熱延板とした。
【0075】この熱延板を酸洗して圧下率約85%で
0.335mm厚の冷延板とし、835℃の温度に150
秒保持する脱炭焼鈍を施し、この時の焼鈍雰囲気を、
2 :25%、H2 :75%、露点65℃、N2 :2
5%、H2 :75%、露点40℃なる2水準とした。
【0076】しかる後、750℃に30秒保持する焼鈍
を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に
窒素吸収を生ぜしめた。窒化後のこの鋼板のN量は、
0.0205〜0.0223%であった。そして、この
鋼板の一次再結晶粒の平均粒径は、24〜27μmであ
った。次いで、この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布し、公知の方法で、最終仕上焼鈍を施した。
実験条件と製品の磁気特性、被膜性状を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】〔実施例2〕C:0.030%、Si:
2.8%、酸可溶性Al:0.034%、N:0.00
61%のスラブを用いて、スラブ加熱温度を1100℃
とし、熱延板焼鈍を省略して、0.285mm厚材を製造
した場合、良好な磁気特性と良好な被膜性状の製品が得
られていた。
【0079】鉄損特性を向上させるため、スラブのSi
量を3.25%とする必要が生じた。この時、上記基準
成分材のスラブ加熱完了時の固溶N量が同一値となる成
分系を次のようにして設計した。前提条件として、C=
0.054%、N=0.0061%とし、上記基準成分
系と1100℃での平衡固溶N量が同じとなる酸可溶性
Al量を計算することとした。
【0080】〔条件1〕(Si,Al,Nのα,γ相へ
の分配なし) 基準成分系の1100℃での平衡固溶N量を本発明本文
中の(1)式、(2)式を用いて計算したところ、0.
0028%であった。なおこの時、γ率としては実験で
求めた値を用いた。
【0081】そして、(1)式、(2)式を用いて、上
記3.25%Si成分系におけるAlR (=Al− (2
7/14) N)に関する方程式を導き、γ率としては実
験値を用いて、その方程式を数値計算で解くと、AlR
=0.0158%であった。
【0082】〔条件2〕(Siのα,γ相への分配な
し、Al,Nのα,γ相への分配あり) 基準成分系の1100℃での平衡固溶N量を本発明本文
中の(1)式、(2)式を用いて計算したところ、0.
0031%であった。なお、この時、γ率としては実験
で求めた値を用いた。
【0083】そして、(1)式、(2)式を用いて、上
記3.25%Si成分系におけるAlR (=Al− (2
7/14) N)に関する方程式を導き、γ率としては実
験値を用いて、α,γ相でのAlR の値を同一と仮定し
て、その方程式を数値計算で解くと、AlR =0.01
84%であった。
【0084】〔条件3〕(Siのα,γ相への分配あ
り、Al,Nのα,γ相への分配なし) 基準成分系での1100℃での平衡固溶N量を本発明本
文中の(1)式、(2)式を用いて計算したところ、
0.0027%であった。なお、この時のγ率及びα
相,γ相でのSi量については、実験で求めた値を用い
た。
【0085】そして、(1)式、(2)式を用いて、上
記3.25%Si成分系におけるAlR (=Al− (2
7/14) N)に関する方程式を導き、γ率及びα相,
γ相でのSi量については実験で求めたものを用いて、
その方程式を数値計算で解くと、AlR =0.0160
%であった。
【0086】〔条件4〕(Si,Al,Nのα,γ相へ
の分配あり) 基準成分系での1100℃での平衡固溶N量を本発明本
文中の(1)式、(2)式を用いて計算したところ、
0.0033%であった。なお、この時のγ率及びα
相,γ相でのSi量については、実験で求めた値を用い
た。
【0087】そして、(1)式、(2)式を用いて、上
記3.25%Si成分系におけるAlR (=Al− (2
7/14) N)に関する方程式を導き、γ率及びα相,
γ相でのSi量については実験で求めたものを用い、α
相,γ相でのAlR の値は同一と仮定して、その方程式
を数値計算で解くと、AlR =0.0187%であっ
た。
【0088】〔まとめ〕条件1〜4の内、一次再結晶粒
の粒成長を安定化させるため、AlR が一番高いものを
選択した。従ってAlR =0.0187%となり、N=
0.0061%なので、酸可溶性Al:0.0305%
となった。そこで、(A)C:0.054%、Si:
3.25%、酸可溶性Al:0.034%、N:0.0
061%、(B)C:0.054%、Si:3.25
%、酸可溶性Al:0.0305%、N:0.0061
%、(C):(B)成分に、更に、Mn:0.14%、
S:0.007%を添加、(D):(B)成分に、更
に、Mn:0.005%、Cu:0.10%、S:0.
009%を添加、(E):(B)成分に、更に、Mn:
0.10%、Cu:0.20%、S:0.010%を添
加、(F):(B)成分に、更に、Sn:0.06%を
添加、(G):(B)成分に、更に、Mn:0.14
%、Cu:0.09%、Se:0.0017%、Sn:
0.10%を添加する7種類の250mm厚スラブを作成
した。
【0089】次いで、かかるスラブを、1100℃の温
度で60分均熱した後、熱延を開始して、2.6mm厚の
熱延板とした。この熱延板の一部には、1000℃に2
分間均熱する熱延板焼鈍を施し、熱延板焼鈍を省略した
試料と合わせて、酸洗し、圧下率約89%で0.285
mm厚の冷延板とし、835℃の温度に120秒保持する
脱炭焼鈍を施した。
【0090】この時の焼鈍雰囲気を、N2 :25%、
2 :75%、露点:70℃、N2 :10%、H2
90%、露点:40℃なる2水準とした。しかる後、7
70℃に30秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にN
3 ガスを混入させ、鋼板に、窒素吸収を生ぜしめた。
窒化後のこの鋼板のN量は、0.0201〜0.024
1%であった。そして、この鋼板の一次再結晶粒の平均
粒径は21〜28μmであった。
【0091】次いで、この鋼板にMgOを主成分とする
焼鈍分離剤を塗布し、公知の方法で、最終仕上焼鈍を施
した。実験条件と製品の磁気特性、被膜性状を表2に示
す。
【0092】
【表2】
【0093】
【発明の効果】本発明においては、スラブ加熱時の固溶
N量を基に、スラブのC,Si,酸可溶性Al,Nの各
量を決定し、脱炭焼鈍後の鋼板の酸化膜中の全SiO2
量を制御し、脱炭焼鈍完了後最終仕上焼鈍開始までの一
次再結晶粒の平均粒径を制御し、熱延後最終仕上焼鈍の
二次再結晶開始までの間に窒化処理を施す。
【0094】更には、上記成分設計を酸可溶性Al量と
N量に関する仮定を基に計算し、Mn,S,Se,C
u,Snを所定量添加することにより、低温スラブ加熱
で、かつ、熱延板焼鈍を省略しても、良好な磁気特性と
良好な被膜性状を安定して得ることができるので、その
工業的効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラブ加熱完了時の固溶N量及び脱炭焼鈍温度
が磁気特性、被膜性状に与える影響を表わすグラフであ
る。
【図2】図1において、良好な磁気特性が得られた場合
の被膜性状と窒化後の鋼板の酸化膜中の全SiO2 量と
の関係を表わすグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.025〜0.075%、 Si:2.5〜4.5%、 酸可溶性Al:0.010〜0.060%、 N :0.0010〜0.0130%を含有し、残部が
    Fe及び不可避的不純物からなるスラブを1280℃未
    満の温度で加熱し、熱延し、圧下率80%以上の最終冷
    延を含み、必要に応じて中間焼鈍をはさむ1回以上の冷
    延を施し、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方
    向性電磁鋼板を製造する方法において、スラブ加熱時の
    固溶N量を基に、スラブのC,Si,酸可溶性Al,N
    の各量を決定し、脱炭焼鈍後の鋼板の酸化膜中の全Si
    2 量を0.7〜1.6g/m2 とし、脱炭焼鈍完了後
    最終仕上焼鈍開始までの一次再結晶粒の平均粒径を、1
    8〜35μmとし、熱延後最終仕上焼鈍の二次再結晶開
    始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを特徴とする磁
    気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記スラブ加熱時の固溶N量を計算で求
    め、かつ、その計算の際、スラブの酸可溶性Al量、N
    量を各々Al(%),N(%)とし、α相とγ相におけ
    るAl−(27/14)Nの量(重量%)を同じ値とす
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気特性と被膜性状
    の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱延後、850〜1250℃の範囲で熱
    延板焼鈍を施すことを特徴とする請求項1又は2記載の
    磁気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 更に、重量%で、Mn:0.06〜0.
    8%、S+0.404Se:0.005〜0.020%
    を含有するスラブを用いることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の磁気特性と被膜性状の優れた一方
    向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 更に、重量%で、Mn:0.01%未
    満、Cu:0.05〜0.50%、S+0.405S
    e:0.005〜0.020%を含有するスラブを用い
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁
    気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 更に、重量%で、Mn:0.06〜0.
    8%、Cu:0.05〜0.50%、S+0.405S
    e:0.005〜0.020%を含有するスラブを用い
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁
    気特性と被膜性状の優れた一方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 更に、重量%で、Sn:0.01〜0.
    15%を含有するスラブを用いることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載の磁気特性と被膜性状の優れ
    た一方向性電磁鋼板の製造方法。
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