JPH083138B2 - 耐食性アルミニウム基合金 - Google Patents

耐食性アルミニウム基合金

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JPH083138B2
JPH083138B2 JP2069663A JP6966390A JPH083138B2 JP H083138 B2 JPH083138 B2 JP H083138B2 JP 2069663 A JP2069663 A JP 2069663A JP 6966390 A JP6966390 A JP 6966390A JP H083138 B2 JPH083138 B2 JP H083138B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は硬度及び高耐熱性、高耐摩耗性を備え、かつ
耐食性に優れた特性を有し、産業上の種々の分野に利用
可能なアルミニニウム基合金に関するものである。
[従来の技術] 従来のアルミニウム基合金としては、純Al系、Al−Mg
系、Al−Cu系、Al−Mn系等の成分系の合金が知られてお
り、その材料特性に応じて、例えば航空機、車輌、船舶
等の部材として、又、建築用外装材、サッシ、屋根材等
として、あるいは海水機器用部材、原子炉用部材等とし
て広範囲の用途に供されている。
しかし、これらの合金材料は腐食性環境下での長期間
の使用には問題がある。
そこで、本出願人らは先にアルミニウム系の非晶質合
金よりなる耐食性材料として、少なくとも50%以上の非
晶質を含むAl−M−Mo−Hf−Cr(ただしMはNi、Fe、Co
から選ばれる一種もしくは二種以上の金属元素)系合金
を開発した(特願平2−51823参照) [発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記非晶質合金において、該合金を非
晶質とする場合、特に非晶質形成能を向上させる効果を
もつHf元素の添加量により耐食性を向上させる効果をも
つCr元素の添加量が左右され易く、Cr元素量がHf元素量
より多い場合では、一部結晶化し易くなり、非晶質のみ
のものより耐食性が劣るものになり勝である。又、Hfは
上記元素の中では最も高価なものであり、Hf元素を多量
に添加するということは得られる合金が高価なものとな
る問題も有している。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記の問題点を解決するため、Hf元素の全部
あるいは一部をZrに置き換えることにより、より一層の
耐食性の向上を達成し得る耐食性アルミニウム基合金を
比較的安価に提供するものである。
すなわち、本発明は、 一般式:AlaMbMocXdCre ただし、MはNi、Fe、Co、Ti、V、Mn、Cu、Taから選
ばれる一種もしくは二種以上の金属元素、XはZr又はZr
とHfからなり、a、b、c、d、eは原子パーセントで 50%≦a≦89% 1%≦b≦25% 2%≦c≦15% 4%≦d≦20% 4%≦e≦20% で示される組成を有し、非晶質もしくは少なくとも50パ
ーセント(体積率)の非晶質と結晶質との複合体からな
る耐食性アルミニウム基合金である。
通常、合金は固体状態で結晶化しているが、合金組成
を限定して溶融状態から超急冷凝固させるなど、固体形
成の過程で原子配列に長周期的規則性を形成させない方
法を適用すると、結晶構造を持たず、液体に類似したア
モルファス構造が得られ、このような構造の合金をアモ
ルファス合金という。アモルファス合金は多くは過飽和
固溶体の均一な単相合金であって、従来の実用金属に比
べて著しく高い強度を保有し、かつ組成に応じて非常に
高い耐食性をはじめ種々の優れた特性を示す。
本発明のアルミニウム基合金は、上記組成を有する合
金の溶湯を液体急冷法で急冷凝固することにより得るこ
とができる。この液体急冷法とは、溶融した合金を急速
に冷却させる方法をいい、例えば単ロール法、双ロール
法、回転液中紡糸法などが特に有効であり、これらの方
法では104〜107K/sec程度の冷却速度が得られる。この
単ロール法、双ロール法等により薄帯材料を製造するに
は、ノズル孔を通して約300〜10000rpmの範囲の一定速
度で回転している直径30〜300mmの例えば銅あるいは鋼
製のロールに溶湯を噴出する。これにより幅が約1〜30
0mmで厚さが約5〜500μmの各種薄帯材料を容易に得る
ことができる。又、回転液中紡糸法により細線材料を製
造するにはノズル孔を通じ、アルゴンガス背圧にて、約
50〜500rpmで回転するドラム内に遠心力により保持され
た深さ約1〜10cmの溶液冷媒層中に溶湯を噴出して、細
線材料を容易に得ることができる。この際のノズルから
の噴出溶湯と冷媒面とのなす角度は、約60〜90度、噴出
溶湯と溶液冷媒面の相対速度比は約0.7〜0.9であること
が好ましい。
更に本発明のアルミニウム基合金は上記一般式で示さ
れる組成になるように配合した材料をスパッタ蒸着、真
空蒸着、イオンプレーティングの如き薄膜形成手段を用
いて基体表面に付着させ、上記組成の薄膜を形成するこ
とにより得ることができる。
スパッタ蒸着法には、2極スパッタ法、3極、4極ス
パッタ法、マグネトロンスパッタ法、対向ターゲット式
スパッタ法、イオンビームスパット法、デュアルイオン
ビームスパッタ法等があり、更に前者4方式には直流印
加式と高周波印加式がある。
スパッタ蒸着法について説明すると、スパッタ蒸着法
とは、形成させようとする薄膜物質と同一組成からなる
ターゲットにイオンガンまたはプラズマ等により発生さ
せたイオン源を衝突させ、その衝撃によりターゲットか
ら発生した原子状、分子状又はクラスタ状の中性粒子ま
たはイオン粒子を基板上に沈着させることにより製造す
るもので種々のものが知られている。
その中でもイオンビームスパッタ法、プラズマスパッ
タ法等が特に有効であり、これらの方法では105〜107k/
sec程度の冷却速度が得られる。かかる冷却速度によ
り、少なくとも50パーセント(体積比)のアモルファス
相からなる合金薄膜を製造することができる。また薄膜
の厚さは処理時間の長さにより制御することができ、通
常は1時間当り2〜7μmの形成速度で厚みが形成され
る。
更にマグネトロンプラズマスパッタ法を用いて本発明
を実施する場合について具体的に説明すると、スパッタ
ガスを1〜10×10-3mbarの低圧に保った容器内に電極
(+極)と上記組成からなるターゲット(−極)を電極
間距離40〜80mmで対向させ、電極間に200〜500Vを印加
し、電極間にプラズマを発生させる。このプラズマ領域
内又はプラズマ領域近傍に薄膜を沈着させようとする基
体を配置し薄膜を形成させる。
尚、上記方法によらず高圧ガス噴霧法などの各種アト
マイズ法やスプレー法により急冷粉末を得ることができ
る。
そして、得られた急冷アルミニウム基合金が非晶質で
あるかどうかは通常のX線回折法によって非晶質組織特
有のハローパターンが存在するか否かによって知ること
ができる。
上記一般式で示される本発明のアルミニウム基合金に
おいて、原子%でa、b、c、d、eをそれぞれ上記の
ように限定したのは、各々その範囲から外れるとアモル
ファス化しにくくなったり、脆弱化が激しくなり、スパ
ッタ蒸着等の工業的な手段では、少くとも50パーセント
(体積比)のアモルファス相からなる複合体を得ること
ができなくなるからである。
M元素はNi、Fe、Co、Ti、V、Mn、Cu、Taより選ばれ
る金属元素であり、このM元素、Mo元素はアモルファス
形成能を向上させる効果を持ち、併せて硬度と強度とを
向上させ、又、耐熱性を向上させる。
X元素はZr又はZrとHfからなり、このX元素は特に上
記合金におけるアモルファス形成能を向上させるのに有
効であり、X元素の中でもZr元素は腐食されにくにZrOX
からなる不働態皮膜を形成し、前記合金の耐食性を向上
させる効果を持つとともに、前記合金の系においては、
Hf元素よりもアモルファス形成能を向上させる効果を持
ち、どちらかというと耐食性は著しく向上させるが、ア
モルファス形成能を低下させるCr元素を多量に添加して
もこれを許容し、非晶質相からなる合金を形成でき、
又、Hf元素と比べ単価が安く、前記合金を比較的安価に
提供することができる。
なお、ZrとCrとの間には好ましい組成比があり、Zr元
素1に対してCr元素0.8〜1.8程度で結晶質を含まない非
晶質相単相とすることができ、アモルファスが形成され
やすい傾向がある。但し、上記の合金系において上記範
囲はM元素、Mo元素の添加量においても左右されるの
で、かならずしも厳密な範囲ではない。
Cr元素は重要な効果として、前記合金中でM元素、Mo
とZr又はZrとHfと共存させることにより不動態皮膜を形
成し、前記合金の耐食性を向上させる効果を奏す。ここ
で、Cr元素(e)の原子%を上記のように限定したもう
1つの理由は、Cr元素を4原子%未満とした場合、本発
明の目的である耐食性の向上が期待できず、又、Cr元素
を20原子%を越える値とした場合、前記合金が脆くなり
過ぎて工業的に使用しがたく、実用的ではなくなるから
である。
本発明のアルミニウム基合金を薄膜とした場合、組成
によっては高度の粘さを持ち、180゜の密着曲げを行な
っても亀裂の発生がなかったり、基体からの剥離を生じ
ないものもある。
[実施例] 以下本発明の実施例を説明する。
実施例1 高周波溶解炉により所定の成分組成を有する溶融合金
3をつくり、これを第1図に示す先端に小孔5(孔径:
0.5mm)を有する石英管1に装入し、加熱溶解した後、
その石英管1を銅製ロール2の直上に設置し、回転数50
00rpmの高速回転下、石英管1内の溶融合金3をアルゴ
ンガスの加圧(0.7kg/cm2)により、石英管1の小孔5
から噴射し、ロール2の表面と接触させることにより急
冷凝固させて合金薄帯4を得る。
上記製造条件により、合金薄帯を得て、X線回折の結
果、生じた合金はアモルファス性を有することが確認さ
れ、また薄帯組成は急冷凝固後、X線マイクロアナライ
ザーにより定量分析を行ったものである。
ここで本発明のアルミニウム基合金の薄帯を一定の長
さに切り取り、38℃1規定塩酸水溶液中に浸漬し、塩酸
に対する耐食性試験を行った。又、この一定長さに切り
取ったアルミニウム基合金薄膜を30℃1規定水酸化ナト
リウム水溶液中に浸漬し、水酸化ナトリウムに対する耐
食性試験を行った。これらの結果を表1に示す。表中、
耐食性の評価は腐食速度により表す。
表1によれば、本発明のアルミニウム基合金が塩酸水
溶液、水酸化ナトリウム水溶液に対し優れた耐食性を示
すことが判る。
又、本発明のアルミニウム基合金と先行例(特願平2
−51823号)のアルミニウム基合金とにおいて、上記合
金の薄帯を一定の長さに切り取り、30℃1規定塩酸水溶
液中に浸し、塩酸に対する耐食性試験の比較評価を行
い、又、この一定長さに切り取ったアルミニウム基合金
薄膜を30℃1規定水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、
水酸化ナトリウムに対する耐食性試験の比較評価を行っ
た。これらの結果を表2に示し、表中耐食性の評価は腐
食速度により表した。
表2によればいずれの組成の合金においてもHf元素を
Zr元素に置き換えた本発明の合金が塩酸水溶液及び水酸
化ナトリウム水溶液に対して優れた耐食性を示すことが
判る。
又、本発明の合金であるAl66Ni7Mo6Zr11Cr10薄帯と特
願平2−51823号の合金であるAl72Ni6Mo4Hf9Cr9薄帯と
について、30℃の1N−HCl水溶液24時間浸漬後と、30℃
の1N−NaOH水溶液72時間浸漬後との表面皮膜の状態をES
CAにより測定した結果を第2図に示す。第2図に示すよ
うにHCl水溶液浸漬後、NaOH水溶液浸漬後においても、
特願平2−51823号の合金によるHf又はHfOXは溶出して
いるにもかかわらず、本発明の合金によるZrOXは腐食さ
れず、表面にCr系又はNi系の酸化物とともに強固な不働
態膜を形成していることが判る。
次に本発明の合金であるAl59Ni9Mo9Zr10Cr13薄帯とAl
59Ni9Mo9Zr9Cr14薄帯とについて、30℃の30g/−NaCl
水溶液中で孔食電位を測定した結果を表3に表し、又、
分極曲線を30℃の30g/−NaCl水溶液中で測定し耐食性
試験を行った。この結果を表3、第3図、第4図に示
す。
表3によれば、本発明のアルミニウム基合金が30℃の
30g/の塩化ナトリウムを含む水溶液中において自己不
働態化することで強固な不働態皮膜を形成し、塩酸水溶
液又は水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、より強固な
不働態皮膜を形成しなくとも孔食電位がAl59Ni9Mo9Zr10
Cr13において+300mV、Al59Ni9Mo9Zr9Cr14において+35
0mVと非常に高い値を示す。これらのことより本発明の
アルミニウム基合金が極めて高い耐食性を有するアルミ
ニウム基合金であることが判る。
本発明のAl69.5Ni6.1Mo7.0Zr8.7Cr8.7と該合金のZr元
素をHf元素に置き換えたAl69.5Ni6.1Mo7.0Hf8.7Cr8.7
についてX線回折により測定を行った。その結果を第5
図、第6図に示す。第5図より本発明のAl69.5Ni6.1Mo
7.0Zr8.7Cr8.7は非晶質特有のハローパターンが確認さ
れた非晶質相単相からなるものであることが判る。又、
第6図よりAl69.5Ni6.1Mo7.0Zr8.7Cr8.7はピークP1〜P4
が現れ、僅かな結晶質相の現出を示し、非晶質相に僅か
な結晶質相が含まれた混相からなるものであることが判
る。更に上記記載の二種類の合金について30℃1規定の
塩酸水溶液中に浸漬し、塩酸に対する耐食性試験と、30
℃1規定の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、水酸化
ナトリウムに対する耐食性試験とを行った。この結果を
表4に示す。
表4によればHf元素をZr元素に置き換え、非晶質相単
相からなる本発明合金が塩酸及び水酸化ナトリウム水溶
液に対して優れた耐食性を示すことが判る。
実施例2 上記実施例1の製造方法により得られた本発明の非晶
質合金を粉砕又は切断して粉末とすることにより、これ
をメタリック塗料を顔料として使用した場合、塗料中で
の腐食にも長期に亘って耐えうる耐久性に優れたメタリ
ック塗料が得られる。
[発明の効果] 以上のように本発明のアルミニウム基合金は少くとも
50%の非晶質を有する複合体であるから、アモルファス
合金の特性である高硬度、高耐熱性、高耐摩耗性のすぐ
れた特性を有する他、自己不働態化した安定な保護被膜
は塩酸などの水溶液中における塩素イオンや水酸化ナト
リウムなどの水溶液中における水酸イオンを含む激しい
腐食性環境においても長期に亘って耐えうるので、極め
て高い耐食性を発揮するものであるとともに比較的安価
に提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の製法に適した装置の説明図、第2図は
浸漬試験結果の状態を示す説明図、第3図、第4図は本
発明合金の耐食性試験結果を示すグラフ、第5図、第6
図は実施例のX線回折結果を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式:AlaMbMocXdCre ただし、MはNi、Fe、Co、Ti、V、Mn、Cu、Taから選ば
    れる一種もしくは二種以上の金属元素、XはZr又はZrと
    Hfからなり、a、b、c、d、eは原子パーセントで 50%≦a≦89% 1%≦b≦25% 2%≦c≦15% 4%≦d≦20% 4%≦e≦20% で示される組成を有し、非晶質もしくは少なくとも50パ
    ーセント(体積率)の非晶質と結晶質との複合体からな
    る耐食性アルミニウム基合金。
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