JPH08319295A - 核酸化合物及びその合成方法 - Google Patents

核酸化合物及びその合成方法

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JPH08319295A
JPH08319295A JP5957496A JP5957496A JPH08319295A JP H08319295 A JPH08319295 A JP H08319295A JP 5957496 A JP5957496 A JP 5957496A JP 5957496 A JP5957496 A JP 5957496A JP H08319295 A JPH08319295 A JP H08319295A
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JP
Japan
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nucleic acid
compound
acid compound
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following structural
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Application number
JP5957496A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Sugiyama
弘 杉山
Takeshi Hatano
健 畑野
Retsu Saito
烈 齋藤
Takayoshi Uchida
貴義 内田
Yoko Matsuda
陽子 松田
Kiyoshi Uchida
潔 内多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 方向性が環状骨格で固定されかつ実質的
に同一方向に向く2つの官能基を有する非核酸環状骨格
と、前記各官能基を介して前記非核酸環状骨格に結合し
た2本の核酸鎖とからなる核酸化合物。 【効果】 細胞膜透過性に優れた核酸化合物、同一分子
内での相補塩基対構造の形成を促進する核酸化合物、及
び第3の核酸鎖と三重鎖を形成し得る2本の核酸鎖を同
一分子内にもつ核酸化合物が化学合成によって得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞膜透過性に優
れた核酸化合物、同一分子内での相補塩基対構造の形成
を促進する核酸化合物、第3の核酸鎖と三重鎖構造の形
成を促進する核酸化合物、及びそれら核酸化合物の合成
方法、並びにそれら核酸化合物を与える化合物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】核酸化合物としては、核酸の塩基、糖、
もしくはリン酸ジエステル部分を直接修飾して疎水性や
核酸分解酵素耐性などを高めたもの、又はリンカーを介
して疎水性基、蛍光性基、電荷中和基などの機能性基、
もしくはインターカレーションする基を有する化合物な
どを核酸の5'末端、3'末端、もしくはそれら以外の部
位に結合させたものが知られている(E. Uhlmann及び
A. Peyman、 Chemical Reviews 90巻 543-584、1990
年;F. Eckstein編、 Oligonucleotides and Analogues
−A Practical Approach、IRL Press、1991年; J. F.
Milliganら、Medicinal Chemistry 38巻 1923-1937、1
993年)。
【0003】しかし、これらのいずれにおいても、同一
分子内での相補塩基対構造の形成を促進するような機能
を持つものは、見当たらない。また、第3の核酸鎖と三
重鎖形成能を持つように機能性基を導入したものや、疎
水性の機能性基を2本の核酸鎖の間に有するものも知ら
れていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、同一
分子内での相補塩基対構造の形成を促進する核酸化合
物、第3の核酸鎖と三重鎖構造の形成を促進する核酸化
合物、細胞膜透過性を向上させた核酸化合物、該核酸化
合物の合成方法、及び該核酸化合物を与える化合物を提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、所定の構造を有する非核酸化合
物を用いることより、効率よく一対の核酸鎖が相補塩基
対を形成する核酸化合物が得られること、第3の核酸鎖
と三重鎖構造の形成を促進する核酸化合物が得られるこ
と、及び細胞膜透過性を向上させた核酸化合物が得られ
ることを見出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、方向性が環状骨格で
固定されかつ実質的に同一方向に向く2つの官能基を有
する非核酸環状骨格と、前記各官能基を介して前記非核
酸環状骨格に結合した2本の核酸鎖とからなる核酸化合
物である。また、本発明は、方向性が環状骨格で固定さ
れかつ実質的に同一方向を向く2つの官能基を有する非
核酸化合物の該官能基のそれぞれに、核酸鎖を付加する
ことを特徴とする核酸化合物の合成方法である。さら
に、本発明は、下記構造式(3) 又は(4)
【0007】
【化11】
【0008】(但し、R及びR'は水素原子又は保護基
である。)
【0009】
【化12】
【0010】(但し、R及びR'は水素原子又は保護基
である。)で表される新規なトリテルペノイド系化合物
である。さらに、本発明は、下記構造式(5) 又は(6)
【0011】
【化13】
【0012】(但し、Rは水素原子又は保護基であ
る。)
【0013】
【化14】
【0014】(但し、Rは水素原子又は保護基であ
る。)で表される新規なフォスフォロアミダイト体であ
る。さらに、本発明は、下記構造式(7) 又は(8)
【0015】
【化15】
【0016】(但し、Rは水素原子又は保護基であ
る。)
【0017】
【化16】
【0018】(但し、Rは水素原子又は保護基であ
る。)で表される新規なチオフォスファイト体である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の核酸化合物は、特定の2つの官能基を有する非
核酸の骨格と、その2つの官能基を介して非核酸の骨格
に結合した2本の核酸鎖とからなるものである。2本の
核酸鎖はいかなる塩基配列を有するものであってもよい
が、互いに相補的であるものや、1本の核酸鎖は第3の
核酸鎖に対して相補的であり、それらが形成する相補塩
基対と残りの1本の核酸鎖とが三重鎖を形成し得るもの
が好ましいものである。ここでいう第3の核酸鎖とは、
2つの官能基を介して非核酸の骨格に結合した上記2本
の核酸鎖以外の核酸鎖であって、上記非核酸の骨格に結
合していない核酸鎖を意味し、一般的には末端フリーと
なっているものをいう。
【0020】非核酸の骨格は環状の構造を有しており
(従って、この非核酸の骨格を非核酸環状骨格とい
う。)、2つの官能基は実質的に同一方向に向き得る状
態でこの非核酸環状骨格に固定されて、その方向性が定
められている。通常、相補塩基対や三重鎖を形成してい
る核酸の鎖間の距離は、0.8 〜1.2 nmであるため、上記
非核酸環状骨格の2つの官能基間の距離は0.6 〜1.4 nm
であるのが好ましく、特に0.8 〜1.2 nmであるのが好ま
しい。
【0021】このような非核酸環状骨格としては、トリ
テルペノイド骨格、ステロイド骨格、縮合多環芳香族を
有する骨格、アダマンタン骨格、多環系脂環族炭化水素
を有する骨格、ヘテロ環を有する骨格、金属錯体を有す
る骨格、天然物由来の骨格等が挙げられる。トリテルペ
ノイド骨格としては、例えば下記の構造式(1')又は(2')
【0022】
【化17】
【0023】
【化18】
【0024】で表されるものや、下記の構造式(9)
((1')におけるHの立体構造が逆のもの)又は(10)
((2')におけるHの立体構造が逆のもの)
【0025】
【化19】
【0026】
【化20】
【0027】で表されるものが挙げられる。上記構造式
(1')で表されるトリテルペノイド骨格に2本の核酸鎖、
特に互いに相補的な2本の核酸鎖、又は第3の核酸鎖と
三重鎖を形成し得る2本の核酸鎖を結合してなる核酸化
合物は、例えば以下のようにして合成することができ
る。 a)まず、一般に市販されている、下記の構造式(11)
【0028】
【化21】
【0029】で表されるグリシルレチン酸を、メタノー
ルを用いてエステル化する。エステル化するには、グリ
シルレチン酸を十分な量のメタノールに溶かすととも
に、濃硫酸を適量加えて還流する。好ましくは、これを
2回以上繰り返す。次いで、メタノールをエバポレート
し、その後、例えばシリカゲルショートカラムにかけ
て、下記の構造式(12)
【0030】
【化22】
【0031】で表される化合物(これを化合物(12)とい
う。)を得る。
【0032】b)化合物(12)を、水素化ジイソブチルア
ルミニウム(DIBAL)と反応させる。それには、例
えば、窒素雰囲気下、化合物(12)を十分な量の溶媒、例
えば塩化メチレンに溶かし、−60〜−78℃に冷却してDI
BAL(1.5M程度のトルエン溶液として)を加えた後、室
温に戻し、約一晩撹拌する。反応を停止させるには、塩
化メチレンの約1/3 程度の量の水を加えればよい。反応
停止後、溶媒をエバポレートする。好ましくは、残渣に
再度塩化メチレン等の溶媒を加え、固体を十分に砕いて
撹拌した後、固体を濾過し、溶媒をエバポレートする。
【0033】次いで、このようにして得られた粗アルコ
ールを酸化する。酸化するには、粗アルコールを溶媒、
例えば塩化メチレンに溶かすとともに、適量のMnO2を加
え、室温下で約一晩撹拌する。得られる固体を濾過した
後、溶媒をエバポレートし、残渣を分離精製する。分離
精製は、例えばプレパラティブTLCを用いて行うこと
ができる。このようにして得られる化合物は、下記の構
造式(13)
【0034】
【化23】
【0035】で表される(これを化合物(13)とい
う)。この化合物(13)のA環上にある2級(3位)のO
H基とE環上にある1級(30位)のOH基は、実質的に
同方向を向くことが可能であり、それらの距離は約 1.2
5nm であるため、構造的に無理なく同一分子内での相補
塩基対構造を形成すること、又は第3の核酸鎖とで三重
鎖を形成し得る2本の核酸鎖を同一分子内に取り込むこ
とができる。他の方法として、工程a)及びb)を次の
ようにして行うこともできる。 a')一般に市販されている、下記の構造式(11)
【0036】
【化24】
【0037】で表されるグリシルレチン酸を、水素化リ
チウムアルミニウムで還元する。還元するには、無水テ
トラヒドロフラン中で、好ましくは室温下で一晩撹拌す
る。過剰の水素化リチウムアルミニウムを水と水酸化ナ
トリウム水溶液とで分解した後、その溶液を濃縮乾固し
て白色の結晶を得る。これをメタノールで再結晶させ、
下記の構造式(14)
【0038】
【化25】
【0039】で表される化合物(これを化合物(14)とい
う。)を得る。 b')化合物(14)を酸化する。酸化するには、化合物(1
4)を溶媒、例えば塩化メチレンに溶かすとともに、適量
のMnO2を加え、室温下で約一晩撹拌する。生成した固体
を濾過した後、溶媒を濃縮乾固し、得られた白色の結晶
を例えばメタノールなどから再結晶させると、化合物(1
3)が得られる。
【0040】このb')の工程において、化合物(14)を
脱水することもできる(工程b''))。即ち、化合物(1
4)を例えばメタノール及び塩酸の混合物に溶かし、室温
で好ましくは1時間程度撹拌した後、濃縮乾固して白色
結晶を得る。これを例えばメタノールなどから再結晶さ
せると、下記の構造式(15)
【0041】
【化26】
【0042】で表される化合物(これを化合物(15)
という。)が得られる。 c)得られた化合物(13)又は(15)の30位の炭素(C)に
結合した水酸基の反応性を低下させるために、保護基を
導入する。そのような保護基としては、公知のものが種
々利用でき、具体的に例示すれば、トリチル基、メトキ
シトリチル基、ジメトキシトリチル基、アセチル基、ベ
ンゾイル基、p-アニソイル基、トリブチリル基等が挙げ
られる。ここでは、保護基としてジメトキシトリチル基
を導入する例を挙げて説明する。
【0043】化合物(13)又は(15)を、塩化4,4'-ジメト
キシトリチル(DMTrCl)と反応させる。それに
は、例えば、まず化合物(13)又は(15)を乾燥ピリジンに
溶かしてエバポレートし、乾燥させる。好ましくは、こ
の工程を3〜4回繰り返す。乾燥した化合物(13)又は(1
5)をもう一度乾燥ピリジンに溶かし、塩化4,4'-ジメト
キシトリチル、ジメチルアミノピリジン及びトリエチル
アミンを溶かし、窒素雰囲気下、室温で約一晩撹拌す
る。もしくは、塩化4,4'-ジメトキシトリチルを加え、
窒素雰囲気下、室温で約6時間撹拌する。いずれの場合
も、塩化4,4'-ジメトキシトリチルの添加量は、化合物
(13)又は(15)に対して2当量程度であるのが好ましく、
ジメチルアミノピリジンの添加量は、化合物(13)又は(1
5)に対して0.01当量程度であるのが好ましい。また、ト
リエチルアミンの添加量は、化合物(13)又は(15)に対し
て1.5 当量程度であるのが好ましい。これを、例えば酢
酸エチル−水に分配し、有機層を例えば無水Na2SO4で乾
燥させる。その後、溶媒をエバポレートし、精製する。
精製は、例えばシリカゲルカラムを用いて行うことがで
きる。このようにして得られる化合物は、下記の構造式
(3')又は(4')
【0044】
【化27】
【0045】(ここでは、RはDMTr、R'はHを表
す。)
【0046】
【化28】
【0047】(ここでは、RはDMTr、R'はHを表
す。)で表される(それぞれ化合物(3'),化合物(4')と
いう)。 d)化合物(3')又は(4')を、フォスフォロアミダイト、
例えば2-シアノエチル-N,N,N',N'-テトライソプロピル
フォスフォロアミダイトと反応させる。2-シアノエチル
-N,N,N',N'-テトライソプロピルフォスフォロアミダイ
トは、下記の構造式(16)
【0048】
【化29】
【0049】で表される。上記反応を行うには、例え
ば、まず化合物(3')又は(4')を乾燥アセトニトリルに溶
かしてエバポレートし、乾燥させる。好ましくは、この
工程を2〜3回繰り返す。これを、例えばアルゴン雰囲
気下で、アセトニトリルに溶かし、2-シアノエチル-N,
N,N',N'-テトライソプロピルフォスフォロアミダイトを
加えるとともに、テトラゾールを加えて、一晩程度反応
させる。2-シアノエチル-N,N,N',N'-テトライソプロピ
ルフォスフォロアミダイトの添加量は化合物(3')又は
(4')に対して1.1 当量程度であるのが好ましく、テトラ
ゾールの添加量は化合物(3')又は(4')に対して1.1 当量
程度であるのが好ましい。
【0050】得られた反応物を、例えば酢酸エチル−飽
和炭酸水素ナトリウム水に分配し、酢酸エチル層を無水
Na2SO4で乾燥後、エバポレートして濃縮する。このよう
にして得られる化合物は、下記の構造式(5')又は
(6’)
【0051】
【化30】
【0052】(ここでは、RはDMTrを表す。)
【0053】
【化31】
【0054】(ここでは、RはDMTrを表す。)で表
される(それぞれ化合物(5’)、化合物(6')とい
う)。 e)最後に、化合物(5')又は(6')を溶媒、例えばアセト
ニトリル−塩化メチレンに溶かし、通常のDNA合成機
またはRNA合成機などを用いて核酸塩基を結合させ
る。この核酸塩基の結合は、所望の段階で行うことがで
きる。例えば、2本の核酸鎖のうちの1本の合成が終わ
った段階で、それを化合物(5')又は(6')に結合させ、続
いて他方の核酸塩基を合成し、結合させることができ
る。また別の方法として、工程c)の前まで上のいずれ
かの方法と同様にして合成を行い、化合物(13)又は(15)
を得た後、これを例えばクロロフォルムに溶かし、これ
と例えば下記の構造式(17)
【0055】
【化32】
【0056】で表される2-クロロフェノキシ-2,5-ジメ
チルチオクロロフォスフィンとを反応させて、下記の構
造式(7')又は(8')
【0057】
【化33】
【0058】(ここでは、RはDMTrを表す。)
【0059】
【化34】
【0060】(ここでは、RはDMTrを表す。)で表
される化合物(それぞれ化合物(7')、化合物(8')とい
う。)を得ることができる。化合物(7')又は(8')が得ら
れたら、上記と同様にして核酸塩基を結合させればよ
い。
【0061】合成で得られたDNA鎖、RNA鎖又は核
酸化合物は、通常のプロトコールで脱保護し、逆相型の
充填剤を用いるHPLCや、セップパックなどの簡易型
カラム、又はイオン交換型の充填剤を用いるHPLCや
その他の分析手段を用いて精製することができる。逆相
HPLCによる精製は、例えばC18カラム(和光社製)
を0.05M トリエチルアンモニウムアセテート緩衝液(pH
7.0 )又は0.05M ギ酸アンモニウムに対してアセトニト
リルを増加させる溶媒条件で行うことができる。
【0062】本実施例では、フォスフォロアミダイトを
使用しているため、フォスフォロアミダイト法を用いる
ことができる。フォスフォロアミダイト法とは、修飾デ
オキシリボヌクレオチド又は修飾リボヌクレオチドの
3'末端にシアノエチル基などで保護したフォスフォロ
アミダイトを結合した試薬を用いて、別の修飾デオキシ
リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、オリゴ修飾
デオキシリボヌクレオチド、オリゴ修飾リボヌクレオチ
ド等の5'末端に縮合させることを基本とするオリゴデ
オキシリボヌクレオチドやオリゴリボヌクレオチドなど
の核酸関連化合物の合成法である。
【0063】フォスフォロアミダイト法は、例えばアプ
ライドバイオシステム社製の381A DNA合成機又は394 DN
A/RNA 合成機などを用いて、同社の手順書又はF.Eckste
in編、Oligonucleotides and Analogues: A Practical
Approach、IRL Press 、1991年を参照して行うことがで
きる。また、チオフォスファイトを用いるチオフォスフ
ァイト法によっても、同一の構造を持つ核酸化合物を得
ることができる。このようにして得られる核酸化合物
は、下記の構造式(18a) 又は(18b)
【0064】
【化35】
【0065】(式中、X及びYは互いに相補的な、もし
くは第3の核酸鎖と三重鎖を形成し得るDNA鎖、RN
A鎖又は核酸鎖を表す。)
【0066】
【化36】
【0067】(式中、X及びYは互いに相補的な、もし
くは第3の核酸鎖と三重鎖を形成し得るDNA鎖、RN
A鎖又は核酸鎖を表す。)を有する。ここで、互いに相
補的なDNA鎖、RNA鎖又は核酸鎖(X、Y)は、実
質的に相補的であればいかなる配列であってもよい。ま
た、第3の核酸鎖と三重鎖を形成し得るDNA鎖、RN
A鎖又は核酸鎖(X、Y)は、第3の核酸鎖と実質的に
三重鎖を形成することができるものであれば、いかなる
配列であってもよい。
【0068】この核酸化合物では、XとYとが互いに相
補的な、もしくは第3の核酸鎖と三重鎖を形成し得るD
NA鎖、RNA鎖、DNAとRNAをともに含有する核
酸鎖、又はフォスフォロチオエート型などの修飾された
DNA鎖、RNA鎖もしくはそれらをともに含有する核
酸鎖として一定の空間的位置関係にあり、それを規定す
るものとして、X及びYの端部に構造式(1) 又は(2) を
有する化合物が結合している。即ち、本核酸化合物で
は、構造式(1) 又は(2) で表される骨格が、いわゆるヘ
アピン構造におけるループ部分に相当することとなる。
この構造式(1) 又は(2) で表される骨格を有する核酸化
合物は、細胞膜透過性に優れている。
【0069】以上、構造式(1) 又は(2) で表される骨格
を含有する核酸化合物の合成方法について一例を挙げて
説明したが、本発明ではこれに限定されることなく、種
々の化合物を用いて同一分子内での相補塩基対構造の形
成又は第3の核酸鎖と三重鎖構造の形成を促進する核酸
化合物、及び細胞膜透過性に優れた核酸化合物を合成す
ることができる。
【0070】本発明の核酸化合物は、細胞膜透過性に優
れ、細胞内取り込みが大きいため、優れたアンチセンス
核酸効果が得られ、医薬や診断薬として有用である。特
に、同一分子内での相補塩基対構造の形成を促進する核
酸化合物は核酸分解酵素耐性に優れているため、医薬や
診断薬として有用であり、また、第3の核酸鎖と三重鎖
を形成し得る核酸化合物は蛋白質発現阻害効率が高いた
め、いわゆるアンチセンス核酸法の応用などとして病因
遺伝子の発現阻害の目的などに用いることができる。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0072】(実施例1) a)グリシルレチン酸(18β-Glycyrrhetinic acid、Al
drich 社製、G1,010-5)5g(10.6mmol)をメタノール
200 mlに溶かし、濃硫酸4mlを加え、3時間還流した。
さらに濃硫酸4mlを加え、3時間還流した。メタノール
をエバポレートし、シリカゲルショートカラム(シリカ
ゲル100 g、ヘキサン−酢酸エチル=1:4、Wako-gel
C200 )にかけ、下記の構造式(12)
【0073】
【化37】
【0074】で表される粗メチルエステルを得た。その
収量は4.0 g、収率は77.7%であった。グリシルレ
チン酸についての 1H NMR(CDCl3,200MHz)の測定
結果を図1に、得られた化合物についての 1H NMR
(CDCl3,200MHz)の測定結果を図2に示す。
【0075】b)構造式(12)で表される化合物1.89g
(3.9 mmol)を窒素雰囲気下、塩化メチレン30mlに溶か
し、−78℃に冷却後、DIBAL(1.5Mトルエン溶液、7.9 m
l、11.8mmol)を加え、室温に戻し、一晩撹拌した。10m
lの水を加えて反応を停止し、溶媒をエバポレートし
た。残渣に塩化メチレンを加え、固体を良く砕き、撹拌
した後、固体を濾過し除いた。次いで塩化メチレンをエ
バポレートし、粗アルコールを得た。これを40mlの塩化
メチレンに溶かし、MnO22gを加え、室温下で一晩撹拌
し、酸化した。固体を濾過した後、塩化メチレンをエバ
ポレートし、残渣をプレパラティブTLC(分離条件:
ヘキサン−酢酸エチル=1:4、Rf=0.7 、メルク社
製)で分離精製し、下記の構造式(13)
【0076】
【化38】
【0077】で表される新規化合物(化合物(13))
を得た。その収量は806 mg、収率は45%であった。得ら
れた化合物(13)についての 1H NMR(CDCl3,200MH
z)の測定結果を図3に、FAB(positive)の測定結
果を図4に示す。図4より、M+1=458であることが分か
った。
【0078】c)化合物(13) 806mg(1.77mmol)を乾燥
ピリジンに溶かしてエバポレートし、乾燥させた(20ml
×3回)。次いで、乾燥させた化合物(13)をもう一度乾
燥ピリジン(30ml)に溶かし、さらに塩化4,4'−ジメト
キシトリチル960 mg(2.83mmol)、ジメチルアミノピリ
ジン20mg(0.16mmol)及びトリエチルアミン380 ml(2.
8 mmol)を上記乾燥ピリジン30mlに加え、窒素雰囲気
下、室温で一晩撹拌した。得られたものを酢酸エチル−
水に分配し、有機層を無水Na2SO4で乾燥後、エバポレー
トした。これをシリカゲルカラム(条件;メタノール:
塩化メチレン=5:95)により精製し、下記の構造式
(19)
【0079】
【化39】
【0080】で表される化合物を得た。その収量は73
0 mg、収率は54%であった。得られた化合物につい
ての 1H NMR(CDCl3,200MHz)の測定結果を図5に
示す。
【0081】d)構造式(19)で表される化合物730 mg
(0.96mmol)を乾燥アセトニトリルに溶かしてエバポレ
ートし、乾燥させた(5ml×3回)。これをアルゴン雰
囲気下、アセトニトリル2mlに溶かし、2-シアノエチル
-N,N,N',N'-テトライソプロピルフォスフォロアミダイ
ト(Aldrich 社製、30,599-5)285 mg(1.06mmol)を加
え、1Hテトラゾール2ml(0.5M)を加えて、室温下で一
晩反応させた。その後、酢酸エチル−飽和炭酸水素ナト
リウム水に分配し、酢酸エチル層を無水Na2SO4で乾燥
後、エバポレートして濃縮し、下記の構造式(20)
【0082】
【化40】
【0083】で表される新規化合物を得た。その収量は
746 mg、収率は81%であった。
【0084】e)構造式(20)で表される化合物をアセト
ニトリル−塩化メチレン(1:1)に溶かし、0.1M溶液
とした。これをDNA合成機(ABI 381A)に装着し、通
常の合成サイクル(カップリング30秒、ヨウ素酸化20
秒、キャッピング15秒、脱DMTr基100 秒)でDNA合成
した。合成するDNA鎖としては、5'-d(CTAGGC)- とそ
れに相補的な3'-d(GATCCG)- を使用した。合成DNAは
通常のプロトコールで脱保護し、逆相HPLCにより精
製した。得られた新規な核酸化合物は、下記の構造式
(21)
【0085】
【化41】
【0086】を有すると考えられる(これを核酸化合物
(21)という)。
【0087】上記の構造を有することを確認するため
に、核酸化合物に対して蛇毒フォスファターゼ及びアル
カリフォスファターゼを作用させて酵素分解した。具体
的には、0.1 mM(塩基濃度)の核酸化合物(21)、50mMの
カコジル酸ナトリウム(pH7)、蛇毒フォスファターゼ
0.03unit及びアルカリフォスファターゼ10unitを含む溶
液を一晩37℃でインキュベートした。
【0088】HPLC(カラム:C18、溶媒:ギ酸アン
モニウム50mM,アセトニトリル0→50%/30分、流速:
1.5 ml/min、検出:254 nm(UV))による分析の結果、ヌ
クレオチドCTAGGC(GATCCG)と、下記の構造式(22)
【0089】
【化42】
【0090】で表される化合物(これを化合物(22)
という。)が得られた。分析結果は図6に示す。なお、
標品としては、デオキシシチジン(dC)、デオキシグ
アノシン(dG)、デオキシチミジン(dT)及びデオ
キシアデノシン(dA)(全てヤマサ醤油(株)製)を用
いた。
【0091】また、得られた化合物(22)についての 1H
NMR(D2O,500MHz)の測定結果を図7に、FAB(p
ositive)の測定結果を図8に示す。図8の結果より、M
+1=787 、M+Na=807であった。これらの結果から、得ら
れた核酸化合物(21)は、構造式(21)を有することが分か
る。
【0092】さらに、核酸化合物(21)の融解点を測定し
た。即ち、緩衝液として10mMリン酸ナトリウム(pH7.
0)を用い、核酸濃度は塩基濃度をもとに0.05mMとし、
2℃/分で昇温して測定した。その結果、核酸化合物(2
1)の核酸塩基部分に相当する2種類の6量体の等モル混
合物では、その融解点は20.6℃であったが、核酸化合物
(21)の融解点は71.3℃であった。この結果より、核酸化
合物(21)は、同一分子内での相補塩基対の形成を促進し
ていることがわかる。
【0093】(実施例2)化合物(13)を得るために、実
施例1における工程a)及びb)に代えて、工程a')
及びb')を行った。 a')3.0 gの水素化リチウムアルミニウムを100 mlの
無水テトラヒドロフランに懸濁し、これに2.0 gのグリ
シルレチン酸(18β-Glycyrrhetinic acid、Aldrich 社
製、G1,010-5)を含む無水テトラヒドロフラン溶液を加
え、室温で一晩攪拌した。過剰の水素化リチウムアルミ
ニウム及び金属錯体を分解させるために、3mlの水、次
いで3mlの15%水酸化ナトリウム水溶液、さらに9mlの
水を順次加え、この溶液を濃縮乾固した。これをメタノ
ールから再結晶することにより、下記の構造式(14)
【0094】
【化43】
【0095】で表される化合物(14) 1.1gが白色結晶と
して得られた(収率57%)。この化合物(14)の分析結果
を以下に示す。
【0096】1H NMR(CDCl3,200MHz)δ 0.81(s,3
H),0.84(s,3H),0.88(s,3H),0.98(s,3H),1.09(s,3H),1.2
1(s,3H),1.37(s,3H),0.80-2.05(m,21H),3.22(dd,1H,J=
9.6,5.7Hz),3.47(d,1H,J=10.8Hz),3.54(d,1H,J=10.8H
z),4.28(brs 1H),5.29(d,1H,J=4.2Hz).13 C NMR(CDCl3,100MHz)δ15.71,18.10,18.70,19.
37,25.26,26.38,27.04,27.12,27.37,28.35,28.45,29.5
5,32.27,33.21,35.55,36.34,38.29,38.68,38.75,39.50,
41.86,42.52,46.49,52.48,55.75,66.63,66.74,79.06,12
6.04,147.97 HR FABMS(positive ion)m/z 459.3838(M+H,45
9.3838 calcd for C30H51O3). b')工程a')で得られた化合物(14)1.1gを、200 mlの
塩化メチレンに溶かした。この溶液に7.0gのMnO2を加
え、室温で一晩攪拌した。その後MnO2を濾取し、濾液を
濃縮乾固した。これをメタノールから再結晶することに
より、下記の構造式(13)
【0097】
【化44】
【0098】で表される化合物(13) 553mgが白色結晶と
して得られた(収率51%)。この化合物(13)の分析結果
を以下に示す。
【0099】1H NMR(CDCl3,200MHz)δ0.78(s,3
H),0.83(s,3H),0.89(s,3H),0.97(s,3H),1.09(s,3H),1.1
0(s,3H),1.35(s,3H),0.62-2.10(m,19H),2.30(s,1H),2.7
5(m,1H),3.20(dd,1H,J=9.8,5.7Hz),3.44(d,1H,J=11.2H
z),3.59(d,1H,J=11.2Hz),5.56(s,1H).13 C NMR(CDCl3,100MHz)δ15.56,16.35,17.46,18.
69,23.39,26.37,26.70,27.27,27.32,28.07,28.56,29.3
8,32.28,32.74,35.41,35.92,37.07,39.11,40.29,43.39,
45.37,46.98,50.80,54.92,61.76,66.21,79.04,128.31,1
69.87,200.25 HR FABMS(positive ion)m/z 457.3681(M+H,45
7.3681 calcd for C30H49O3).
【0100】(実施例3)化合物(15)を得るために、実
施例2における工程b')に代えて、工程b'')を行っ
た。 b'')1.1 gの化合物(14)を、20mlのメタノールと1ml
の1N塩酸との混合物に溶かし、室温で1時間攪拌し
た。得られた溶液を濃縮乾固し、メタノールから再結晶
することにより、下記の構造式(15)
【0101】
【化45】
【0102】で表される化合物(15) 237 mg が白色結晶
として得られた(収率22%)。この化合物(15)の分析結
果を以下に示す。
【0103】1H NMR(CDCl3,200MHz)δ0.81(s,3
H),0.87(s,3H),0.98(s,3H),1.03(s,3H),1.13(s,3H),1.1
6(s,3H),1.55(s,3H),0.6-2.1(m,19H),3.17-3.27(m,2H),
3.44-3.53(m,2H),5.49(d,1H,J=5.5Hz),5.56(d,1H,J=5.5
Hz) FABMS(positive ion)m/z 441(M+H,
C30H49O2).
【0104】(実施例4)使用するDNA鎖を変更する
以外、実施例1と同様にして下記の構造式(23)
【0105】
【化46】
【0106】で表される核酸化合物(核酸化合物(23))
を合成・精製し、その三重鎖形成能を調べた。即ち、核
酸化合物(23)と塩基配列(24) 5'−d(AAAGAAAGA) …(24) を有する核酸鎖(核酸鎖(24))との相互作用を、塩基配
列(25) 5'−d(TCTTTCTTT) …(25) を有する核酸鎖(核酸鎖(25))と核酸鎖(24)との相互作
用、及び塩基配列(26) 5'−d(TTTCTTTCT) …(26) を有する核酸鎖(核酸鎖(26))の存在下における核酸鎖
(25)と核酸鎖(24)との相互作用と比較した。
【0107】ここで、塩基配列(24)は核酸化合物(23)の
3'末端側の塩基配列の半分と相補的な配列であり、塩
基配列(25)は核酸化合物(23)の3'末端側の塩基配列の
半分と同一の配列である。また、塩基配列(26)は核酸化
合物(23)の5'末端側の塩基配列の半分と同一の配列で
ある。核酸鎖(26)は、核酸化合物(23)の3'末端側の核
酸鎖と核酸鎖(24)とが形成する二重鎖、又は核酸鎖(25)
と核酸鎖(24)とが形成する二重鎖にさらに結合し、三重
鎖を形成し得る。
【0108】これら核酸化合物−核酸鎖間及び核酸鎖−
核酸鎖間の相互作用を、紫外吸収分光法及び円二色性分
光法を用いて調べた。具体的には、緩衝液として 100mM
塩化ナトリウムを加えた10mMリン酸ナトリウム(pH7.
0)を用い、核酸濃度は各化合物濃度をもとに4μMと
し、紫外吸収スペクトル及び円二色性スペクトルを温度
制御下で測定した。また、紫外吸収スペクトルを測定す
る際に、温度を0.5 ℃/分で昇温及び降温させ、二重鎖
構造もしくは三重鎖構造などを形成して相互作用してい
る核酸鎖の融解温度を求めた。
【0109】その結果、核酸化合物(23)と核酸鎖(24)と
を混合した場合(a) の融解温度は27.4℃であり、核酸鎖
(24)と核酸鎖(25)とを混合した場合(b) の融解温度(1
8.0℃)や、核酸鎖(24)、核酸鎖(25)及び核酸鎖(26)の
三者を混合した場合(c) の融解温度(16.8℃)に比べ、
明らかに高かった。この結果は、(b) や(c) の場合に比
べ、(a) 場合には化合物間の相互作用が強まっているこ
とを示す。
【0110】融解温度における吸光度の変化、即ち融解
温度における高温側の吸光度(換言すれば一重鎖ランダ
ムコイル状態における吸光度の値A:図9で融解温度以
上の温度において吸光度変化が温度変化に対し直線とな
った部分(U線)を融解温度まで外挿した点における吸
光度)と融解温度における低温側の吸光度(換言すれば
核酸鎖同士が二重鎖もしくは三重鎖などを形成して相互
作用している状態における吸光度の値B:図9で融解温
度以下の温度で吸光度変化が温度変化に対し直線となっ
た部分(L線)を融解温度まで外挿した点における吸光
度)との差(ΔA=A−B)を融解温度における高温側
の吸光度の値Aで除した値(ΔA/A)は、その物理学
的意味より、二重鎖状態から一重鎖ランダムコイル状態
への転移と三重鎖状態から一重鎖ランダムコイル状態へ
の転移とでは異なることが予想される。
【0111】算出した結果、(a) におけるΔA/Aは0.
188 であり、(b) におけるΔA/Aは0.101 であり、
(c) におけるΔA/Aは0.097 であった。この結果よ
り、(a)の場合の値は(b) の場合の値に比べて有意に大
きく、さらに(b) と(c) とでは有意な差はほとんどな
く、実質的に一致していると考えられる。このことは、
(b)の場合には融解温度以下での二重鎖状態の可能性が
専ら考えられるのに対し、(a) の場合には融解温度以下
で二重鎖状態以外の状態をとっていること、そしてその
状態は、二重鎖状態よりもスタッキングが進行した状態
であることを示す。
【0112】さらに、10℃における(a) 、(b) 及び(c)
の場合の円二色性スペクトルを図10に示す。図10から分
かるように、(a) の場合には211nm に負のバンドが認め
られるが、そのようなバンドは(b) や(c) の場合には認
められない。三重鎖構造が形成されている場合には、21
0nm 付近に負のバンドが認められることが知られている
(D. M. Grayら、Methods in Enzymology 246巻 19-3
4、1995年)。上述した2つの実験結果をも踏まえて円
二色性スペクトルの結果を解析すると、(a) の場合に見
られる211nm 付近の負のバンドは、三重鎖構造に起因す
ると結論付けることができる。
【0113】以上の実験結果より、トリテルペノイド骨
格を含有する核酸化合物(23)は、それが有する一方のオ
リゴ核酸塩基配列(本実施例では3'末端側であるが、
設計の仕方により5'末端側とすることもできる。)に
相補的なオリゴ核酸鎖とワトソン−クリック型水素結合
を介して二重鎖を形成し、さらに核酸化合物(23)が有す
るもう一方のオリゴ核酸鎖とフーグスティン型水素結合
を介して相互作用をし、全体として三重鎖を形成し得る
ことが分かった。
【0114】(実施例5)使用するDNA鎖を変更する
以外、実施例1と同様にして下記の構造式(27)
【0115】
【化47】
【0116】で表される核酸化合物(核酸化合物(2
7))を合成・精製した。ただし、トリテルペノイド体
から5'方向にかけてのリン酸ジエステル結合をフォス
フォロチオエート型結合とするために、Beaucage試薬
([3H]1,2-benzodithiol-3-one-1,1-dioxide)を用いて
合成を行った。
【0117】上記化合物を取り込ませた場合における取
り込み量の増加を、上記の核酸鎖のみを細胞に取り込ま
せた場合と対照として比較した。対照として、塩基配列
(28) 5'−d(T*G*G*T*G*A*G*G*T*T*T*G*A*T*C*C*G*C*A*T) …(28) (*はフォスフォロチオエート型結合を示す)を有する
核酸鎖(核酸鎖(28))(すべてのリン酸ジエステル結合
は、フォスフォロチオエート型結合である。)を合成・
精製した。
【0118】得られた核酸化合物(27)及び核酸鎖(28)の
5'末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼと[γ−
32P]ATP (10mCi/ml) で標識し、ヒト肺癌由来のA
549細胞への取り込みを検討した。この細胞内取り込
みを核酸化合物の膜透過性の評価の指標とした。標識
は、[γ−32P]ATPと上記化合物とを37℃で一晩イ
ンキュベートすることにより行った。
【0119】A549細胞への核酸化合物(27)及び核酸
鎖(28)の取り込みは、次のようにして調べた。即ち、A
549細胞を37℃、5%CO2 存在下、3日間96穴プレ
ートで培養し(培地10%FCS/DMEM)、コンフル
エントの状態(約1×105 cell/well )にした後、無血
清培地(OPTI−MEM)で洗浄した。このA549
細胞に、5'末端を32Pで標識した核酸化合物(27)及び
核酸鎖(28)をそれぞれの非標識化合物とともに加え、そ
れぞれの最終の総濃度が1μM (各ウェル当たり5.5 ×
104 cpm )となるように(標識核酸化合物(27)と非標識
核酸化合物(27)との合計が1μM 、標識核酸鎖(28)と非
標識核酸鎖(28)との合計が1μM となるように)OPT
I−MEM培地に添加し、37℃、5%CO2 存在下で4
時間保持した。
【0120】その後、上記プレートの培地を除去してP
BS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、0.05%トリプ
シン/0.53 mM EDTAで細胞を処理した。この処理に
より、細胞はウェル底から剥がれるとともに、細胞膜表
面に付着している標識された核酸化合物または核酸鎖が
除去される。
【0121】トリプシン処理の後、上記プレートを1,50
0 rpmで10分間遠心し上清を除いた。ウェル底に残った
細胞を1%SDS溶液に溶解し、200 μlをバイアルに
移してシンチレーターを用いて細胞内に取り込まれた上
記核酸化合物及び核酸鎖の量を測定した。その結果、核
酸鎖(28)の取り込み量を1とした場合、核酸化合物(27)
の細胞内取り込み量は2.1 ±0.6 であり、有意に増大し
ていることが分かった。以上のことから、トリテルペノ
イド体を含有する核酸化合物(27)は、細胞内への取り込
み量が大きいことが示された。
【0122】
【発明の効果】本発明によれば、細胞膜透過性に優れた
核酸化合物、同一分子内での相補塩基対構造の形成を促
進する核酸化合物、及び第3の核酸鎖と三重鎖を形成し
得る2本の核酸鎖を同一分子内にもつ核酸化合物が化学
合成によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】グリシルレチン酸についての 1H NMR(CDC
l3,200MHz)の測定結果を示すグラフである。
【図2】構造式(12)で表される化合物についての 1H
NMR(CDCl3,200MHz)の測定結果を示すグラフであ
る。
【図3】構造式(13)で表される化合物についての 1H
NMR(CDCl3,200MHz)の測定結果を示すグラフであ
る。
【図4】構造式(13)で表される化合物についてのFAB
(positive)の測定結果を示すグラフである。
【図5】構造式(19)で表される化合物についての 1H
NMR(CDCl3,200MHz)の測定結果を示すグラフであ
る。
【図6】構造式(21)で表される化合物を酵素分解したも
のについてHPLCにより分析した結果を示すグラフで
ある。
【図7】構造式(22)で表される化合物についての 1H
NMR(D2O,500MHz)の測定結果を示すグラフである。
【図8】構造式(22)で表される化合物についてのFAB
(positive)の測定結果を示すグラフである。
【図9】紫外光領域での温度変化による吸収強度の変化
の割合(ΔA/A)を示すグラフである。
【図10】10℃における円二色性スペクトルを示すグラ
フである。上段は核酸化合物(23)と核酸鎖(24)との混合
物、中段は核酸鎖(25)と核酸鎖(24)との混合物、下段は
核酸鎖(26)、核酸鎖(25)及び核酸鎖(24)の三者混合物に
ついてのものである。ここで、縦軸の数値はモル楕円率
(θ)で表した場合の値であり、その単位はdeg・cm2/
decimoleである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 貴義 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 松田 陽子 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内 (72)発明者 内多 潔 茨城県つくば市大久保2番 東亞合成株式 会社つくば研究所内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 方向性が環状骨格で固定されかつ実質的
    に同一方向に向く2つの官能基を有する非核酸環状骨格
    と、前記各官能基を介して前記非核酸環状骨格に結合し
    た2本の核酸鎖とからなる核酸化合物。
  2. 【請求項2】 2本の核酸鎖が互いに相補的であること
    を特徴とする請求項1記載の核酸化合物。
  3. 【請求項3】 非核酸環状骨格の2つの官能基が0.6 〜
    1.4 nm離れていることを特徴とする請求項1記載の核酸
    化合物。
  4. 【請求項4】 2本の核酸鎖のうちの1本が、第3の核
    酸鎖に対して相補的であり、残りの1本が前記第3の核
    酸鎖を介して三重鎖を形成し得る塩基配列を有するもの
    であることを特徴とする請求項1記載の核酸化合物。
  5. 【請求項5】 非核酸環状骨格がトリテルペノイド骨格
    であることを特徴とする請求項1記載の核酸化合物。
  6. 【請求項6】 非核酸環状骨格が下記の構造式(1) 【化1】 で表される骨格であることを特徴とする請求項1記載の
    核酸化合物。
  7. 【請求項7】 非核酸環状骨格が下記の構造式(2) 【化2】 で表される骨格であることを特徴とする請求項1記載の
    核酸化合物。
  8. 【請求項8】 方向性が環状骨格で固定されかつ実質的
    に同一方向を向く2つの官能基を有する非核酸化合物の
    該官能基のそれぞれに、核酸鎖を付加することを特徴と
    する核酸化合物の合成方法。
  9. 【請求項9】 付加する核酸鎖が互いに相補的であるこ
    とを特徴とする請求項8記載の核酸化合物の合成方法。
  10. 【請求項10】 付加する2本の核酸鎖のうちの1本が
    第3の核酸鎖に対して相補的であり、残りの1本が前記
    第3の核酸鎖を介して三重鎖を形成し得る塩基配列を有
    する核酸鎖であることを特徴とする請求項8記載の核酸
    化合物の合成方法。
  11. 【請求項11】 非核酸化合物の2つの官能基が0.6 〜
    1.4 nm離れていることを特徴とする請求項8記載の核酸
    化合物の合成方法。
  12. 【請求項12】 非核酸化合物の2つの官能基にフォス
    フォロアミダイト又はチオフォスファイト体を経て核酸
    鎖が付加されることを特徴とする請求項8記載の核酸化
    合物の合成方法。
  13. 【請求項13】 非核酸化合物がトリテルペノイド系化
    合物であることを特徴とする請求項8記載の核酸化合物
    の合成方法。
  14. 【請求項14】 非核酸化合物が下記の構造式(1) 【化3】 で表される骨格を有する化合物であることを特徴とする
    請求項8記載の核酸化合物の合成方法。
  15. 【請求項15】 非核酸化合物が下記の構造式(2) 【化4】 で表される骨格を有する化合物であることを特徴とする
    請求項8記載の核酸化合物の合成方法。
  16. 【請求項16】 下記構造式(3) 【化5】 (但し、R及びR'は水素原子又は保護基である。)で
    表される新規なトリテルペノイド系化合物。
  17. 【請求項17】 下記構造式(4) 【化6】 (但し、R及びR'は水素原子又は保護基である。)で
    表される新規なトリテルペノイド系化合物。
  18. 【請求項18】 下記構造式(5) 【化7】 (但し、Rは水素原子又は保護基である。)で表される
    新規なフォスフォロアミダイト体。
  19. 【請求項19】 下記構造式(6) 【化8】 (但し、Rは水素原子又は保護基である。)で表される
    新規なフォスフォロアミダイト体。
  20. 【請求項20】 下記構造式(7) 【化9】 (但し、Rは水素原子又は保護基である。)で表される
    新規なチオフォスファイト体。
  21. 【請求項21】 下記構造式(8) 【化10】 (但し、Rは水素原子又は保護基である。)で表される
    新規なチオフォスファイト体。
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JP (1) JPH08319295A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005200405A (ja) * 2003-12-02 2005-07-28 F Hoffmann La Roche Ag 分子ロッドを含むオリゴヌクレオチド

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