JPH08319433A - リンゴ赤色色素とその製造方法、酸化防止剤、血圧降下剤、アレルギー抑制剤、抗う蝕剤及び消臭剤 - Google Patents

リンゴ赤色色素とその製造方法、酸化防止剤、血圧降下剤、アレルギー抑制剤、抗う蝕剤及び消臭剤

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JPH08319433A
JPH08319433A JP7130327A JP13032795A JPH08319433A JP H08319433 A JPH08319433 A JP H08319433A JP 7130327 A JP7130327 A JP 7130327A JP 13032795 A JP13032795 A JP 13032795A JP H08319433 A JPH08319433 A JP H08319433A
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red
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正行 田辺
Tomomasa Kanda
智正 神田
Akirou Yanagida
顕郎 柳田
Shunji Shimoda
俊二 下田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 果肉および/または果皮に赤色色素を有する
リンゴ果実より搾汁および/または抽出され、且つその
画分が精製されてなるリンゴ赤色色素。この赤色色素画
分を有効成分とする酸化防止剤、血圧降下剤、アレルギ
ー抑制剤、抗う蝕剤、消臭剤。 【効果】 各種の生理作用、特に抗酸化性、ACE阻害活
性、ヒスタミン遊離抑制作用、GTase阻害活性、悪臭物
質に対する消臭及び悪臭物質産生抑制作用を備えたリン
ゴ赤色色素を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリンゴ赤色色素とその製
造方法、さらには赤色色素画分(他のポリフェノールを
含む)を有効成分とする酸化防止剤、血圧降下剤、アレ
ルギー抑制剤、抗う蝕剤および消臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】食用色素は最も重要な食品添加物の一つ
である。合成色素と天然色素に大別されるが、近年の食
品安全性に対する関心の高まり及び食品添加物法の改正
による合成色素使用量の減少に伴い、天然色素の需要が
増大している。中でも赤色色素は食品分野に用途が広
く、赤キャベツ、ブドウ、紫コーン、エルダベリー、紅
麹、コチニール、ラック等の色素が使用されているが、
未だリンゴの赤色色素は市販されていない。
【0003】リンゴは成熟すると果皮が赤くなる品種が
多いが、果肉にその色素はほとんど存在せず、果汁は通
常白色ないしは淡黄色を呈している。しかし、栽培リン
ゴの一部および野生リンゴの一部の品種には果肉にも赤
色色素が存在したり、果皮の赤色色素が非常に濃いもの
もある。
【0004】リンゴの赤色色素はアントシアン系、即ち
ポリフェノール化合物である。ポリフェノール類は近年
広く研究されており、非常に広範な生理作用を有するこ
とが認められている。本発明者は既にリンゴのポリフェ
ノールに関しては酸化防止、抗変異原、血圧降下、アレ
ルギー抑制、抗う蝕および消臭等の各効果を確認し、出
願した。(特願平6-300578参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、天然食用色
素として、広範な生理機能性を有するリンゴ赤色色素を
提供することを目的とするものであり、そのため本発明
者はリンゴについて種々の角度から開発を進め、効率的
且つ経済的にリンゴ赤色色素を製造するための原料リン
ゴの検索および製造方法、さらには当該リンゴ赤色色素
の生理機能性を検討した。その結果、果肉および/また
は果皮に赤色色素を有する栽培品種及び/又は野生品種
のリンゴ果実を原料とし、且つその原料に特定の処理を
施すことにより、各種の生理作用を備えたリンゴ赤色色
素を製造できることを見い出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、果肉および/または果皮に赤色色素を有する栽培品
種及び/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁および/ま
たは抽出され、且つその画分が精製されて成ることを特
徴とするリンゴ赤色色素が提供される。
【0007】また本発明によれば、果肉および/または
果皮に赤色色素を有する栽培品種及び/又は野生品種の
リンゴ果実を、搾汁および/または抽出して搾汁果汁お
よび/または抽出液を得、次いでこの搾汁果汁および/
または抽出液より赤色色素画分を精製することを特徴と
するリンゴ赤色色素の製造方法が提供される。
【0008】さらに本発明によれば、果肉および/また
は果皮に赤色色素を有する栽培品種及び/又は野生品種
のリンゴ果実より搾汁および/または抽出され、且つ精
製されて成る抗酸化作用を有する赤色色素画分を有効成
分とすることを特徴とする酸化防止剤が提供される。さ
らにまた本発明によれば、果肉および/または果皮に赤
色色素を有する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果
実より搾汁および/または抽出され、且つ精製されて成
る、アンジオテンシンI変換酵素阻害作用を有する赤色
色素画分を有効成分とすることを特徴とする血圧降下剤
が提供される。
【0009】さらにまた本発明によれば、果肉および/
または果皮に赤色色素を有する栽培品種及び/又は野生
品種のリンゴ果実より搾汁および/または抽出され、且
つ精製されて成る、ヒスタミン遊離抑制作用を有する赤
色色素画分を有効成分とすることを特徴とするアレルギ
ー抑制剤が提供される。さらにまた本発明によれば、果
肉および/または果皮に赤色色素を有する栽培品種及び
/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁および/または抽
出され、且つ精製されて成る、グルコシルトランスフェ
ラーゼ阻害作用を有する赤色色素画分を有効成分とする
ことを特徴とする抗う蝕剤が提供される。
【0010】さらにまた本発明によれば、果肉および/
または果皮に赤色色素を有する栽培品種及び/又は野生
品種のリンゴ果実より搾汁および/または抽出され、且
つ精製されて成る、悪臭物質に対する消臭作用および悪
臭物質産生抑制作用を有する赤色色素画分を有効成分と
することを特徴とする消臭剤が提供される。
【0011】以下、本発明を詳しく説明する。本発明に
おけるリンゴ赤色色素は、上記のように果肉および/ま
たは果皮に赤色色素を有する栽培品種及び/又は野生品
種のリンゴ果実の搾汁果汁、抽出液より精製された色素
画分から成るものであるが、この色素画分の精製は、搾
汁果汁、抽出液を吸着樹脂で処理することにより行なわ
れ、吸着する画分(以下、吸着画分という)に色素は含
有されている。そして吸着画分を含水アルコール(エタ
ノール等)などで溶出させることにより、色素画分が精
製される。
【0012】この色素画分は、次いで濃縮処理すること
により液体色素を得ることができる。さらに、色素画分
の濃縮液を噴霧乾燥もしくは凍結乾燥処理することによ
り、粉末色素を得ることもできる。
【0013】本発明で用いる原料としては、リンゴ果実
であるが、特に、果肉および/または果皮に赤色色素を
所定以上に多く含有する栽培品種及び/又は野生品種の
リンゴ果実が好ましい。また、果実としては成熟果実を
用いることが好ましく、より多くの色素ならびに他のポ
リフェノール化合物を含有すること、及び広範な生理作
用を有する各種活性成分を多量に含む栽培品種や野生品
種が特に好ましい。例えば、クラブリンゴ、カイドウリ
ンゴ、ズミ等を挙げることができ、より具体的には、栽
培品種としては、スターキングデリシャス、五所河原、
Redflesh、Redhook等、野生品種として
は、Geneva、Hopa crab、Jay Da
rling、Makamic crab、和リンゴ(
alusasiantica)、Malus robu
sta、ミツバカイドウ(Malus siebold
ii)、Purple Lemoine、Pink P
earl、Red Field、エゾノコリンゴ(M.
baccata)、マルバカイドウ(M.Prunif
olia)、ヒメカイドウ等を挙げることができる。
尚、野生品種といえども栽培されており、ここでいう野
生とは、両親が知られていないか、もしくはもともとが
自生していたものを指す。
【0014】搾汁方法としては原料を洗浄し、そのま
ま、または好ましくはリンゴ果実に含まれる赤色色素の
酸化酵素であるポリフェノールオキシダーゼの作用を抑
えるため、亜硫酸を添加しながら破砕、圧搾により搾汁
果汁を得、好ましくはペクチン分解酵素を添加する。次
いで遠心分離、濾過等の手段により清澄果汁を得る方法
を挙げることができる。また抽出方法としては、洗浄し
た原料をアルコール(エタノール、メタノール等)(こ
のアルコールは抽出溶媒として作用すると同時に、リン
ゴ果実に含まれる赤色色素の酸化酵素であるポリフェノ
ールオキシダーゼの作用を抑える作用を有する。)と混
合して破砕し、そのまま浸漬及び圧搾、または加熱還流
しながら抽出し、次いで減圧濃縮によりアルコールを留
去した後、遠心分離及び濾過、または有機溶媒(ヘキサ
ン、クロロホルム等)による分配及び濾過を行い、清澄
果汁(抽出液)を得る方法を挙げることができる。
【0015】画分の精製方法としては、ポリフェノール
類を選択的に吸着且つ溶離出来る吸着剤、例えばスチレ
ン - ジビニルベンゼン系の合成吸着樹脂、陰イオン交
換樹脂、オクタデシル基化学結合型シリカゲル(OD
S)等を充填したカラムに上記の清澄果汁又は清澄抽出
液を通すことにより、色素及び他のポリフェノール画分
を吸着させる。次いで、水を通すことにより洗浄した
後、20〜100%アルコール(例えばエタノール)溶液、
好ましくは約60%アルコール溶液を上記カラムに通す
ことにより、色素及び他のポリフェノール画分が溶出、
回収できる。得られた色素溶液を減圧濃縮することによ
りアルコールを留去し、液体色素(好ましくはリンゴ酸
等の有機酸を添加)を得ることができる。さらに、液体
色素をそのままもしくはデキストリン等の粉末助剤を添
加して、噴霧乾燥又は凍結乾燥を行い、粉末色素を得る
ことができる。
【0016】本発明で得られる赤色色素はアントシアン
系色素であるシアニジン配糖体を中心としており、他の
ポリフェノール組成としては、単純ポリフェノール化合
物としてカフェー酸誘導体、p−クマル酸誘導体、フラ
バン−3−オール類(カテキン類)、フラボノール類
(ケルセチン配糖体類)、ジヒドロカルコン類(フロレ
チン配糖体類)など、また高分子ポリフェノール化合物
として縮合型タンニン類など、により大部分が占められ
ていることを確認している。また、本発明で得られるリ
ンゴ赤色色素は、その赤色色度が0.5以上であること
が好ましく、1.0以上であることがより好ましく、
5.0以上が更に好ましい。ここで、赤色色度は、原料
の果汁100リットルに対し、色素画分を半分の50リ
ットル得た場合の赤色色度で規定した。
【0017】従って、本発明で得られる赤色色素は種々
の生理機能を有する可能性が有ると考えられるが、本発
明者が鋭意検討した結果、このポリフェノールには、植
物油脂であるリノール酸の酸化を防止する作用を有する
成分が多量に含まれていることを見い出した。即ち、本
発明で得られる赤色色素は酸化防止剤として極めて有効
なものである。
【0018】また、この色素には、血圧上昇に関与する
酵素であるアンジオテンシンI変換酵素(以下、ACE
という)の働きを阻害する作用を有する成分が多量に含
まれていることをも見い出した。従って、本発明で得ら
れる赤色色素は血圧降下剤としても極めて有効なもので
ある。
【0019】さらに近年、アレルギー(特に即時型と言
われる I 型)は肥満細胞や好塩基球からの脱顆粒で放
出されるヒスタミン等の生体内ケミカルメディエーター
によって引き起こされることが知られている。そこで、
本発明で得られる色素のヒスタミン遊離抑制能を検討し
たところ、その作用効果があることが判明した。従っ
て、本発明で得られる赤色色素はアレルギー抑制剤とし
ても極めて有効なものである。
【0020】さらにまた、う蝕(虫歯)は Streptococc
us mutans を中心とする口腔連鎖球菌による細菌感染性
であり、菌の産生するグルコシルトランスフェラーゼ
(以下GTase という`)によって形成される歯垢が重要
な原因である。そこで、本発明で得られる色素の歯垢形
成酵素阻害能を検討したところ、その作用効果があるこ
とが判明した。従って、本発明で得られる赤色色素は抗
う蝕剤としても極めて有効なものである。
【0021】さらにまた、口臭は口腔内で産生される硫
黄化合物が主体であるとされている。また、魚介類の生
臭さはアミン化合物が中心である。そこで、本発明で得
られる色素の口臭産生抑制効果及び消臭効果を検討した
ところ、その作用効果があることが判明した。従って、
本発明で得られる赤色色素は消臭剤としても極めて有効
なものである。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1) [赤色リンゴ果汁のポリフェノール成分分析]以下の試
料についてポリフェノールの成分分析を行った。 ―試料 つがる:市販品(平均 339 g/個) 野生種:北海道自生(平均 7.7 g/個) Red field :クラブリンゴ(平均 151.1 g/個) Makamic :クラブリンゴ(平均 10.4 g/個) Malus robusta :クラブリンゴ(平均 33.4 g/個) ―試料処理法 果実試料に対し適量のメタ重亜硫酸カリウムを添加しな
がらミキサーで破砕、搾汁した。搾汁液は遠心分離、濾
過により清澄果汁として以下の測定に供した。
【0023】―測定項目 ―赤色色度:520nm の吸光度 ―総フェノール:クロロゲン酸換算 ―カテキン:高速液体クロマトグラフ ―クロロゲン酸:高速液体クロマトグラフ ―エピカテキン:高速液体クロマトグラフ ―フロリジン:高速液体クロマトグラフ ―縮合型タンニン(以下 ACT という):クロロゲン酸
換算フェノール比 測定結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】表1からわかるように、赤色色度及びポリ
フェノール類は品種によって異なり、特に通常食用にし
ていない野生品種に多量に含有されていた。中でも野生
種、Red field、Makamic は総フェノール量に対して色
度が高く赤色色素として利用できることがわかる。
【0026】(実施例2) [リンゴ赤色色素の製造例]北海道余市郡で採取した野
生種のリンゴに亜硫酸塩を適量添加しながら破砕後、圧
搾した。得られた果汁にペクチン分解酵素を適量添加
し、遠心分離又はケイソウ土濾過を施し、さらに精密濾
過を施すことにより清澄果汁を得た。次いでこの清澄果
汁を、スチレン−ジビニルベンゼン系の工業用合成吸着
樹脂を充填したカラムに通液した。さらに軟水をカラム
に通液することで洗浄した後、65%エタノールで溶出
させ、果汁100gに対し半分量(50g)のポリフェ
ノールを含む赤色色素画分を得た。得られた画分をエバ
ポレーターで減圧濃縮し、液体リンゴ色素が得られた。
次いで、この液体色素を噴霧乾燥機にて乾燥させ、粉末
リンゴ色素が得られた。
【0027】(実施例3) [リンゴ赤色色素の特性]得られたリンゴ色素に関して
以下の特性を調べた。 ―色価 ―色調 ―耐光性 ―耐熱性 ―金属イオンに対する影響 1、色価 色価は色素量に対する赤色吸収波長での吸光度で求め
た。すなわち 色価 = OD520nm × 10/色素量 (g) で表される。この場合、pH 3 のクエン酸-リン酸二ナト
リウム緩衝液 100mlに粉末リンゴ色素 99.6 mg を溶解
し、分光光度計にて波長スキャンを行い最大吸収波長
(λmax = 510〜520 nm)を得、その吸光度 0.534 を得
た。従って色価は 53.6 となった。
【0028】2、色調 色調は pH = 2.2, 3.0, 4.0, 5.0, 6.0, 7.0 の同緩衝
液にて色価 = 100となるようにリンゴ色素を溶解し、各
pH における波長吸収曲線を測定し、市販のブドウ果皮
色素及び赤キャベツ色素と比較した(図1)。さらに色
彩計(ミノルタ製色彩計)で(L*, a*, b*)を測定し、
ハンター・ダイアグラムとしてプロットした(JIS Z 87
29に準拠した)(図2)。その結果、ブドウ果皮色素や
赤キャベツ色素に比べてやや黄みがかった赤色を呈して
いることがわかった。また、これらの色素は pH が低く
なるほど、即ち酸性が強くなるほど赤色が強くなった。
【0029】3、耐光性 pH 3 の同緩衝液にて色価 = 100 となるようにリンゴ色
素を溶解し、100 mlの透明バイアルに詰め、6,000 ルク
ス(Lx)の照度及び 30 ℃で保存した。分光光度計にて
赤色色度(OD520nm)を、色彩計にて色調(L*, a*,
b*)を経時的に測定しプロットした(図3)。その結
果、赤色色度は経時的に減少し、色調は経時的に橙色系
に変化した。一週間後(1,000,000 Lx*hr)の赤色残存
率は、OD520nm 及び色調の赤(a)でそれぞれ 57.6 %
及び 54.6 % であった。
【0030】4、耐熱性 pH 3 の同緩衝液にて色価 = 100 となるようにリンゴ色
素を溶解し、50 mlの透明バイアルに詰め、70℃の水浴
中にて30分後と60分後の赤色色度及び色調を測定し、そ
の残存率を時間に対してプロットした(図4)。その結
果、赤色色度は最初の30分で約 8 % 減少したが次の30
分では約 2 % の減少に留まった。また色調の赤(a)で
は最初の30分で約 12 % 減少したが次の30分では色度と
同様に約 2 % の減少に留まった。
【0031】5、金属イオンに対する影響 pH 3 の同緩衝液にて色価 = 100 となるようにリンゴ色
素と金属イオンを溶解し、10 ml を試験管にいれた後 8
℃で3日間保存後の色調を測定した。金属イオンは Sn
2+ / Al3+ / Fe2+ / Cu2+ / Pb2+ / Mg2+ / Ca2+ / Zn2
+ とし、それぞれ塩化第一錫、塩化アルミニウム、硫酸
第一鉄、硫酸銅、酢酸鉛、硫酸マグネシウム、第一リン
酸カルシウム、硫酸亜鉛を用いて金属イオン当たり 1,
5, 25, 125 ppm となるようにした。図5に 125 ppm で
の各金属イオンの色調への影響を示したが、Fe2+と Sn2
+ 以外はほとんど変化が見られなかった。色調に変化の
生じた Fe2+と Sn2+ に関して各濃度での色調もプロッ
トしたところ、濃度依存的に Fe2+ では黄みが強まりオ
レンジ系に、Sn2+ では青みが強まり紫系に変色した。
以上の結果より、本発明で得られるリンゴ赤色色素は、
酸性領域の食用色素として利用できることがわかる。
【0032】(実施例4) [リンゴ赤色色素の抗酸化作用] ―原料及び試料調製 原料及び試料は、実施例2で得られた粉末リンゴ赤色色
素を使用した。
【0033】―抗酸化試験 抗酸化試験法は以下の通りとした。すなわち、4 % リノ
ール酸含有エタノール5 ml にpH 7 のリン酸緩衝液 4 m
l と色素の水溶液 1 ml を密栓試験管中で混和した後、
60℃の恒温槽中に遮光保存した。4日後、反応液をとり
生成した過酸化物をイソチオシアネート法(ロダン鉄
法)を用いて測定した。
【0034】その結果をリンゴ色素濃度に対する生成過
酸化脂質量(OD500nm)で図6に示した。グラフからリ
ンゴ赤色色素に抗酸化作用のあることが認められた。こ
の条件では約 25 ppm で過酸化物価が 50 % になった。
従って本発明で得られるリンゴ赤色色素は、抗酸化剤と
しても有効である。
【0035】(実施例5) [リンゴ赤色色素のアンジオテンシン I 変換酵素(AC
E)阻害作用] ―原料及び試料調製 実施例4と同様
【0036】―ACE 阻害試験 ACE 阻害活性は常法に従って行った。すなわち市販 ACE
溶液に試料溶液を加え、プレインキュベーション後、
基質として Bz-Gly-His-Leu を添加し反応させた。反応
により生じたヒスチジン断片をオルトフタルアルデヒド
で蛍光ラベル化した後、蛍光強度を蛍光分光光度計で測
定した。この時、被検液の蛍光強度を S、試料の代わり
に水を加えたときの値を C、S の酵素ブランク(酵素の
代わりに水)の値を SB、C の酵素ブランクの値を CB
とし、{1 - ( S - SB ) / ( C -CB )}× 100 ( % )
として阻害活性度を表した。色素濃度に対して ACE 阻
害活性度をプロットした結果、リンゴ色素は ACE 阻害
活性を有することが判明した(図7)。従って本発明で
得られるリンゴ赤色色素は、ACE 阻害剤としても有効で
あると判断できる。
【0037】(実施例6) [リンゴ赤色色素のヒスタミン遊離抑制作用] ―原料及び試料調製 実施例4と同様
【0038】―ヒスタミン遊離抑制試験 ヒスタミン遊離抑制活性は培養細胞系及び動物組織細胞
を用いる方法で行った。すなわち、ラット好塩基球白血
病細胞 RBL-2H3 を 10 % FBS, α-MEM 培地で培養し、
抗体 DNP - IgE を感作させHEPES緩衝液で洗浄後、抗原
DNP - BSA と試料を作用させ、細胞外液に遊離される
ヒスタミン量を蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ
で測定した。また、7週令のウイスター系雄性ラットよ
り腹腔肥満細胞を採取し、密度勾配遠心法で精製後、ヒ
スタミン遊離剤の compound48/80と試料を添加し、細胞
外液に遊離されるヒスタミン量を同方法で測定した。そ
の結果、リンゴ色素は好塩基球細胞及び腹腔肥満細胞か
らのヒスタミン遊離を抑制することが判明した(図
8)。従って本発明で得られるリンゴ赤色色素は、ヒス
タミン遊離抑制剤としても有効であると判断できる。
【0039】(実施例7) [リンゴ赤色色素のグルコシルトランスフェラーゼ(GT
ase)阻害作用] ―原料及び試料調製 実施例4と同様
【0040】―GTase 阻害試験 GTase 阻害活性はヒト歯垢より単離された Streptococc
us sobrinus 6715 の菌体外 GTase を用いて測定した。
すなわち、S. sobrinus 6715 を TTY 培地で培養後、菌
体を除去し硫酸アンモニウム沈殿法及びヒドロキシアパ
タイトカラム法により精製した。ショ糖、アジ価ナトリ
ウム、デキストラン T10 を含む基質溶液に、精製 GTas
e と試料を添加し、全量を 2 ml にした後 37℃で 18
時間反応させた。次いで生じた不溶性グルカン量を分光
光度計で濁度として測定した。この時被検液の濁度を
S、試料の代わりに水を加えたときの値を C、S と C の
酵素ブランクの値をそれぞれ SB と CB とし、不溶性グ
ルカン生成率を(S - SB)/(C - CB)×100 (%) で表
した。色素濃度に対して不溶性グルカン生成率をプロッ
トした結果、リンゴ色素は GTase 阻害活性を有するこ
とが判明した(図9)。従って、本発明で得られるリン
ゴ赤色色素は、GTase 阻害剤としても有効であると判断
できる。
【0041】(実施例8) [リンゴ赤色色素の消臭効果] ―原料及び試料調製 実施例4と同様
【0042】―メチルメルカプタン(口臭主物質)産生
抑制試験 メチルメルカプタン産生抑制活性は、唾液中に存在する
口腔内細菌によるL-メチオニンの変換を用いて行った。
すなわちバイアル瓶にL-メチオニンを含むリン酸緩衝液
と試料とヒト唾液(採取2時間前から飲食及び刷掃は行
わない)を加え密封した後、37度で24時間反応させた。
次いで生成したメチルメルカプタンを含むヘッドスペー
スガスをガスクロマトグラフ法で測定した。色素濃度に
対してメチルメルカプタン生成量をプロットした結果、
リンゴ色素は口腔内細菌によるメチルメルカプタン産生
を抑制することが判明した(図10)。
【0043】―トリメチルアミン(生臭み主物質)消臭
試験 トリメチルアミン消臭活性は、バイアル瓶にトリメチル
アミンのエタノール溶液と試料を加え密封した後、ヘッ
ドスペースガスをガスクロマトグラフ法で測定した。色
素濃度に対して残存トリメチルアミン量をプロットした
結果、リンゴ色素はトリメチルアミンの生臭さを抑制す
ることが判明した(図11)。従って、本発明で得られ
るリンゴ赤色色素は、消臭剤としても有効であると判断
できる。
【0044】(実施例9)実施例1の試料のうち、野生
種(北海道余市郡自生、平均 7.7 g/個)、Red field
(平均 151.1 g/個)、Makamic (平均 10.4 g/個)、
およびMalus robusta (平均 33.4 g/個)について、実
施例2と同様にして赤色色素画分を得た。得られた赤色
色素画分の赤色色度を測定したところ、次のようであっ
た。なお、赤色色度は、520nmの吸光度で表した。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
赤色の栽培品種及び野生品種のリンゴ果実を原料とし、
且つ特定の処理を施すことにより、各種の生理作用、特
に抗酸化作用、ACE 阻害作用、ヒスタミン遊離抑制作
用、GTase 阻害作用、悪臭物質に対する消臭及び悪臭物
質産生抑制作用を備えたリンゴ赤色色素を提供すること
ができる。
【0047】また、本発明によれば、抗酸化作用を有す
るリンゴ色素画分を有効成分とする酸化防止剤を提供す
ることができる。さらに、本発明によれば、アンジオテ
ンシン I 変換酵素阻害作用を有するリンゴ色素画分を
有効成分とする血圧降下剤を提供することができる。さ
らに、本発明によれば、ヒスタミン遊離抑制作用を有す
るリンゴ色素画分を有効成分とする抗アレルギー剤を提
供することができる。さらに、本発明によれば、グルコ
シルトランスフェラーゼ阻害作用を有するリンゴ色素画
分を有効成分とする抗う蝕剤を提供することができる。
さらに、本発明によれば、悪臭物質に対する消臭及び悪
臭物質産生抑制作用を有するリンゴ色素画分を有効成分
とする消臭剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リンゴ色素、ブドウ色素および赤キャベツ色素
の各 pH における可視部吸収スペクトルの比較を示すグ
ラフ。
【図2】リンゴ色素、ブドウ色素および赤キャベツ色素
の各 pH における色調をハンター・ダイアグラムとして
示したグラフ。
【図3】光照射下(6000ルクス)リンゴ色素の赤色色度
(520nm)及び色調変化(ハンター・ダイアグラム)の
経時変化を示すグラフ。
【図4】リンゴ色素の70℃加熱による赤色色度(520n
m)残存率及び色調変化(ハンター・ダイアグラム)を
示すグラフ。
【図5】各種金属イオン(125ppm)によるリンゴ色素の
色調変化及び鉄イオンと錫イオンの濃度による色調変化
をハンター・ダイアグラムで示したグラフ。
【図6】リノール酸に対する抗酸化作用を示すグラフ。
【図7】ACE阻害作用を示すグラフ。
【図8】ヒスタミン遊離抑制作用を示すグラフ。
【図9】GTase阻害作用を示すグラフ。
【図10】メチルメルカプタン産生抑制効果を示すグラ
フ。
【図11】トリメチルアミン消臭効果を示すグラフ。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61L 9/01 A61L 9/01 H C07G 17/00 C07G 17/00 C09K 15/34 C09K 15/34

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 果肉および/または果皮に赤色色素を有
    する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁
    および/または抽出され、且つその画分が精製されて成
    ることを特徴とするリンゴ赤色色素。
  2. 【請求項2】 果肉および/または果皮に赤色色素を有
    する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果実を、搾汁
    および/または抽出して搾汁果汁および/または抽出液
    を得、次いでこの搾汁果汁および/または抽出液より赤
    色色素画分を精製することを特徴とするリンゴ赤色色素
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 果肉および/または果皮に赤色色素を有
    する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁
    および/または抽出され、且つ精製されて成る抗酸化作
    用を有する赤色色素画分を有効成分とすることを特徴と
    する酸化防止剤。
  4. 【請求項4】 果肉および/または果皮に赤色色素を有
    する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁
    および/または抽出され、且つ精製されて成る、アンジ
    オテンシンI変換酵素阻害作用を有する赤色色素画分を
    有効成分とすることを特徴とする血圧降下剤。
  5. 【請求項5】 果肉および/または果皮に赤色色素を有
    する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁
    および/または抽出され、且つ精製されて成る、ヒスタ
    ミン遊離抑制作用を有する赤色色素画分を有効成分とす
    ることを特徴とするアレルギー抑制剤。
  6. 【請求項6】 果肉および/または果皮に赤色色素を有
    する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁
    および/または抽出され、且つ精製されて成る、グルコ
    シルトランスフェラーゼ阻害作用を有する赤色色素画分
    を有効成分とすることを特徴とする抗う蝕剤。
  7. 【請求項7】 果肉および/または果皮に赤色色素を有
    する栽培品種及び/又は野生品種のリンゴ果実より搾汁
    および/または抽出され、且つ精製されて成る、悪臭物
    質に対する消臭作用および悪臭物質産生抑制作用を有す
    る赤色色素画分を有効成分とすることを特徴とする消臭
    剤。
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