JPH08319519A - 高強度複相組織ステンレス鋼帯又は鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度複相組織ステンレス鋼帯又は鋼板の製造方法

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JPH08319519A
JPH08319519A JP14966595A JP14966595A JPH08319519A JP H08319519 A JPH08319519 A JP H08319519A JP 14966595 A JP14966595 A JP 14966595A JP 14966595 A JP14966595 A JP 14966595A JP H08319519 A JPH08319519 A JP H08319519A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 硬さがHV≧300で高位に安定し、面内異
方性が小さいバネ特性を呈する複相組織ステンレス鋼
板。 【構成】 重量%で、C:0.01〜0.15,Cr:
10.0〜20を含み、Ni,Mn,Cuの1種以上を
合計で、0.3〜5.0を含み、マルテンサイトが30
〜90体積%で残部がフェライトからなる二相混合組織
をもつ複合組織鋼帯又は鋼板を冷間圧延する際、鋼成分
から定まる冷間圧延前の硬さHV1 及び冷間圧延後の目
標硬さHV2 から求められ且つ15〜50%の範囲にあ
る圧延率Redで冷間圧延する、高強度複相組織ステンレ
ス鋼帯又は鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械部品,バネ等の各
種高強度部品に使用される材料として好適な高強度複相
組織ステンレス鋼帯又は鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度ステンレス鋼として、マルテンサ
イト系ステンレス鋼が広く知られている。また、SUS
301,SUS304等のオーステナイト系ステンレス
鋼を冷間圧延し、加工硬化によって強度を高めたステン
レス鋼も、高強度ステンレス鋼として使用されている。
他方、バネ用ステンレス鋼としては、SUS301−C
SP,SUS304−CSP等のオーステナイト系,S
US420J2−CSP等のマルテンサイト系,SUS
631−CSP等の析出硬化系ステンレス鋼が知られて
いる。マルテンサイト系ステンレス鋼は、焼入れ処理又
は焼入れ焼戻し処理によって高強度化される。しかし、
たとえば代表的なマルテンサイト系ステンレス鋼である
SUS420J2は、Cr含有量が12.00〜14.
00重量%と低く耐食性が不十分であることに加え、
0.26〜0.40重量%ものCを含有するため靭性が
劣り製造性に問題がある。また、ユーザ側での焼入れ焼
戻し熱処理が必要とされ、最終製品でのコストアップが
避けられない。
【0003】他方、オーステナイト系ステンレス鋼は、
固溶化熱処理状態では軟質である。このオーステナイト
系ステンレス鋼を高強度化するためには、固溶化熱処理
後に更に調質圧延又は冷間圧延を行い、加工硬化によっ
て強度を高める方法が採用される。しかし、強度向上の
ためには冷間圧延率を大きくする必要があり、圧延負荷
の大きさや形状性等で製造上の問題がある。また、SU
S301ステンレス鋼は、加工硬化が大きく、冷間圧延
率に応じて硬さが大きく変動する。その結果、圧延によ
って得られた材質が不安定になり易い。更に、オーステ
ナイト系ステンレス鋼は、高価なNiを多量に含むこと
から、鋼材コストが高い欠点もある。
【0004】この点、フェライト+マルテンサイトの混
合組織にした複相組織ステンレス鋼帯(板)は、延性及
び強度に優れており、機械部品,バネ材等の各種高強度
部品に適した材料である。本発明者等は、この複相組織
ステンレス鋼帯(板)の製造方法を特開昭63−733
8号公報,特開昭63−169330号公報,特開昭6
3−169331号公報,特開平1−172524号公
報等で紹介した。提案した方法では、高温でフェライト
+オーステナイト組織を呈するように成分調整された鋼
スラブを熱延及び冷延を経て鋼帯とし、仕上げ熱処理と
してフェライト+オーステナイト二相組織を呈するAc
1 点以上の適正温度域に加熱保持し、適正冷却速度で冷
却する連続熱処理を施すことにより、複相組織ステンレ
ス鋼帯(板)を製造する。また、このようにして得られ
た複相組織ステンレス鋼帯(板)に時効処理を施すと
き、優れたバネ性が得られることを特開平3−5662
1号公報で紹介した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】フェライト+マルテン
サイトの複相組織ステンレス鋼は、適度の高強度と良好
な延性及び靭性をもっている。その強度は、基本的には
マルテンサイト量及びマルテンサイト相の強度に依存し
ている。したがって、強度をより向上させるためには、
オーステナイト生成元素であるNi,Mn,Cu,C,
N等を増量してマルテンサイト量を増加させたり、同じ
マルテンサイト量であっても相対的にC,Nの含有量を
上昇させて高強度のマルテンサイト相にする必要があ
る。しかし、マルテンサイト量を多くすると、熱間加工
性が劣化し、熱間圧延の際に耳切れが発生する場合もあ
る。
【0006】他方、複相組織ステンレス鋼板の硬さは、
C含有量を増加させることにより上昇する。しかし、C
含有量を増加させると、材質上で靭性が低下し、製品及
び製造性に悪影響を及ぼすことになる。そのため、複相
組織ステンレス鋼板の強度レベルは、複相化処理ままの
ビッカース硬さでHV=420程度に止まっている。本
発明は、このような問題を解消すべく案出されたもので
あり、目標硬さに応じて冷間圧延の圧延率を設定するこ
とにより、ビッカース硬さがHV300以上で変動幅が
小さく且つ面内異方性が小さなバネ特性を呈する複相組
織ステンレス鋼帯又は鋼板を安定して製造することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、C:0.01〜0.15重量
%,Cr:10.0〜20.0重量%及びNi,Mn,
Cuの少なくとも1種又は2種以上を合計で0.3〜
5.0重量%含み、マルテンサイトが30〜90体積%
で残部がフェライトからなる二相混合組織をもつ複合組
織鋼帯又は鋼板を冷間圧延する際、鋼成分から定まる冷
間圧延前の硬さHV1 及び冷間圧延後の目標硬さHV2
から求められ且つ15〜50%の範囲にある圧延率Red
で冷間圧延することを特徴とする。冷間圧延前の硬さH
V1 は、たとえば次式(1)に従って求められる。この
冷間圧延前の硬さHV1 と冷間圧延後の目標硬さHV2
から、次式(2)に従って圧延率Red(%)を定める。
得られた複相組織鋼板は、実質的にフェライト+マルテ
ンサイトの加工組織になり、ビッカース硬さがHV30
0以上になる。
【0008】 HV1 = 2011×%C−25.8×%Si+28.3×%Mn +72.4×%P+101×%Ni−31.7×%Cr +1230×%N−93.5×%Al+43.0×%Cu −38.3×%Mo+570 ・・・・(1) Red = 1.35×HV2 −1.05HV1 −144 ・・・・(2) 所定の圧延率Redで冷間圧延した後、300〜650℃
の温度範囲で時効処理するとき、ビッカース硬さがHV
350以上でバネ特性の面内異方性が小さくなる。
【0009】
【作用】本発明者等は、先に提案したマルテンサイト相
とフェライト相との混合複相組織をもつ高延性・高強度
ステンレス鋼帯(板)を素材とするとき、耐摩耗性,耐
疵付き性,バネ特性等が著しく優れた材料が得られるこ
とを見い出した。本発明は、このような優れた特性を呈
する複相組織ステンレス鋼帯(板)に更に高強度を付与
したものであり、ステンレスフレーム,電子部品,機械
部品等の各種用途において従来にない特性が発揮され
る。本発明が対象とする複相組織ステンレス鋼は、高温
でフェライト+オーステナイト組織を呈するように成分
調整された鋼帯又は鋼板に、Ac1 点以上の適正温度域
に加熱保持する仕上げ熱処理を施すことにより製造され
る。このとき、Ac 1 点〜(Ac1 +100℃)の温度
域では硬さ変動が実質的に生じないので、複相化処理の
加熱温度を(Ac1 +100℃)以上に設定することが
好ましい。しかし、過度に高い加熱温度では、却って硬
さが低下する傾向がみられ、多量の熱源を必要とするこ
とから製造コストが上昇する。そのため、加熱温度の上
限を1200℃に設定することが好ましい。
【0010】複相化熱処理時の冷却速度は、高温でのオ
ーステナイトがマルテンサイトに変態するのに十分な速
度に設定される。実操業的には、1〜1000℃/秒の
範囲で冷却速度が設定される。オーステナイトがマルテ
ンサイトに変態した後の冷却速度は、任意に選定され
る。複相化処理後の硬さHV1 は、ステンレス鋼の合金
設計と密接な相関関係を持っている。この相関関係は、
本発明者等による多数の実験結果から見い出されたもの
である。すなわち、前掲した式(1)によるとき、複相
化処理後、換言すれば冷間圧延前の硬さHV1 を精度良
く推定できる。複相組織ステンレス鋼は、30〜95体
積%のマルテンサイトを含むフェライト+オーステナイ
ト二相組織をもち、最終的に15%を超える冷間圧延を
施すことにより高強度を発現する。圧延率15%以上の
冷間圧延は、加工硬化率を低下させる作用を呈する。逆
に、複相化熱処理後の冷間圧延において、圧延率が15
%に達しない領域では加工硬化能が大きく、圧延率の変
動に応じて硬さの変動幅が大きくなる傾向になる。した
がって、複相化熱処理後の冷間圧延は、硬さの変動幅を
少なくする上で圧延率15%以上で行うことが必要とさ
れる。
【0011】他方、50%を超える圧延率では、加工硬
化は飽和する傾向にあり、圧延率の増加に見合う硬さの
上昇は得られない。また、延性の低下や異方性の増大を
招く原因になる。そこで、目標とする硬さに応じて圧延
率を15〜50%の範囲に設定する。圧延率が低い領域
で加工硬化能が大きくなるのは、本発明が対象とする複
相組織ステンレス鋼においては、低圧延領域では軟質な
フェライトの加工硬化が優先的に生じるためと推察され
る。
【0012】本発明では、この現象を利用して圧延率の
調整により目標硬さHV2 を得る。前掲した式(2)
は、本発明者等による多数の実験から求められた関係式
である。式(2)に従って冷間圧延前の硬さHV1 及び
目標硬さHV2 から圧延率Red(%)を定め、この圧延
率Redで冷間圧延するとき、必要とする高強度特性をも
つ鋼帯又は鋼板が精度良く製造される。また、圧延率R
edが15%以上であるため、得られた高強度特性にバラ
ツキが少なく、品質安定性に優れた製品が得られる。冷
間圧延された複相組織ステンレス鋼板を時効処理すると
き、更に高位に安定した硬さが得られる。時効処理の加
熱温度は、特に本発明を制約するものではないが、30
0〜650℃の範囲に設定することが好ましい。300
℃に達しない加熱温度では、時効処理による強度向上が
十分でない。しかし、650℃を超える加熱温度では、
たとえ短時間加熱であっても複相化熱処理後に過飽和状
態で固溶していたCがクロム炭化物として粒界及び粒内
に析出する量が多くなり、強度低下の原因となる。ま
た、特に粒界に析出したクロム炭化物に起因して鋼材が
鋭敏化し、耐食性の低下が顕在化する。
【0013】以下、本発明で規定した合金成分,含有量
等を説明する。 C:0.01〜0.15重量% 強力なオーステナイト生成元素であると共に、マルテン
サイト強化能が大きいことから、Ac1 点以上の温度に
加熱熱処理を行った後のマルテンサイト量を調整でき、
強度の制御及び高強度化に有効に作用する。これらの作
用は、0.01重量%以上のC含有量で顕著になる。し
かし、0.15重量%を超える多量のCが含まれると、
熱間圧延中にマルテンサイトが過剰に生成し、熱間加工
性を低下させる。また、C含有量の増加に伴って、熱処
理後に多量の炭化物が生成するようになり、耐食性や靭
性が低下する。
【0014】Cr:10.0〜20.0重量% ステンレス鋼としての耐食性を維持する上で、少なくと
も10.0重量%のCrを含ませる必要がある。しか
し、20.0重量%を超える過剰のCr量は、靭性を低
下させる。また、マルテンサイト相を生成させて高強度
を得るために必要なC,Ni,Mn,Cu,N等のオー
ステナイト生成元素の添加量がCr量に応じて多くなる
ので、鋼材コストの上昇を招く。 Ni,Mn,Cuの少なくとも1種又は2種以上:合計
で0.3〜5.0重量% Ni,Mn及びCuは、何れもオーステナイト生成元素
として作用し、高温でフェライト+オーステナイトの組
織(常温でフェライト+マルテンサイトの組織)を得る
ために必要な合金元素である。Ni,Mn及び/又はC
uの含有量が増加するに従ってマルテンサイト量が増加
し、硬さ(強度)を上昇させることができる。このよう
な作用は、Ni,Mn,Cuの少なくとも1種又は2種
以上を合計で0.3重量%以上含ませたとき顕著にな
る。しかし、過剰にNi,Mn,Cu等を含ませると、
高温でのオーステナイト量が多くなりすぎ、熱間加工性
が劣化する。したがって、Ni,Mn及びCuの含有量
は、合計で5.0重量%以下に規制する。
【0015】本発明が対象とする複相組織ステンレス鋼
では、各合金成分の個々の含有量を以上のように規制す
ると共に、常温でフェライト+マルテンサイトの複相組
織が得られるように各合金成分を相互に調整する。な
お、必要とする強度を低下させない限り、耐食性を一層
向上させるためMoを添加したり、耐酸化性を向上させ
るためにYやREM(希土類金属)を添加したり、更に
各種の特性向上を目的としてB,V,Al等の合金元素
を添加することができる。これらの合金元素は、後述す
る実施例にも示されているが、好ましくはMo≦2.5
0重量%,Y≦0.20重量%,REM≦0.10重量
%,V≦0.20重量%,B≦0.030重量%,Al
≦0.10重量%にそれぞれの含有量が規制される。 マルテンサイト:30〜90体積% マルテンサイト量が30体積%未満では、強度的に十分
ではない。逆に90体積%を超えるマルテンサイト量で
は、延性の低下が著しく、強度−延性バランスに優れる
というフェライト+マルテンサイト複合組織ステンレス
鋼の特徴が損なわれる。
【0016】
【実施例】
実施例1:表1に示した2種の鋼A,Bを溶製し、熱間
圧延によって板厚4.5mmの熱延鋼帯にした後、78
0℃×均熱6時間・炉冷の熱延板焼鈍を施し、板厚1.
0mmに冷間圧延した。次いで、冷延板を1020℃に
1分間加熱した後、急冷することにより複相化熱処理を
施し、フェライト+マルテンサイトの複相組織ステンレ
ス鋼帯を製造した。複相化熱処理後のマルテンサイト量
は、鋼Aで50%,鋼Bで70%であった。
【0017】
【表1】
【0018】各複相組織ステンレス鋼帯から試験片を切
り出し、冷間圧延時の圧延率と硬さとの関係を調査し
た。冷間圧延前の計算硬さHV1 は、表1に示した組成
から鋼Aで281.9,鋼Bで366.2とそれぞれ算
出される。冷間圧延後の目標硬さHV2 を表2に示すよ
うに設定したとき、その目標硬さHV2 に必要な圧延率
Redが式(2)から算出される。求められた圧延率Red
で冷間圧延した鋼帯の実測硬さHVは、表2に示すよう
に高い精度で目標硬さHV2 に一致していた。
【0019】
【表2】
【0020】表2の結果から、フェライト+マルテンサ
イトの複相組織ステンレス鋼では、予め実験によって求
められている式(1),(2)等の関係式を用い、合金
成分の含有量に応じて定まる計算硬さHV1 から目標硬
さHV2 を得るために必要な冷間圧延率Redを推定でき
ることが確認された。また、このようにして推定された
圧延率Redで冷間圧延するとき、得られる冷延板は、目
標硬さHV2 に高精度で一致した硬さをもつものとな
る。更に、冷延板に種々の条件下で時効処理を施し、硬
さに対する時効処理の影響を検討した。この場合には、
時効処理による硬さの上昇分δHVを見込んで、同様に
計算硬さHV1 から(目標硬さHV2 −δHV)を得る
ために必要な圧延率Redを算出し、この圧延率Redを目
標圧延率として冷間圧延する。このようにして得られた
複相組織ステンレス鋼帯の実測硬さHVも、目標硬さH
V2 との一致性が良好であった。
【0021】鋼A及びBについて複相化熱処理後の実績
圧延率と実測硬さとの関係を、通常のSUS304及び
SUS301ステンレス鋼帯と比較して図1に示す。な
お、SUS304及びSUS301ステンレス鋼帯とし
ては、冷延焼鈍版を使用した。また、鋼A,Bの時効処
理には、425℃×均熱1分のバッチ式短時間時効を採
用した。図1から明らかなように、鋼A,Bでは冷間圧
延率が15%を超える付近から硬さの上昇度合いが小さ
くなり、ビッカース硬さでHV=300以上の安定した
硬さが得られていた。硬さは、時効処理を施すことによ
りビッカース硬さでHV=30程度更に上昇した。これ
に対し、SUS304及びSUS301ステンレス鋼帯
では、冷間圧延率が高くなるに従って硬さの上昇がみら
れるものの、硬さが安定する領域がなかった。また、ビ
ッカース硬さでHV=300〜450を得るためには、
鋼A,Bに比較してより大きな圧延率を必要とした。
【0022】図1に示す結果から、フェライト+マルテ
ンサイトの複相組織ステンレス鋼板では、次の実用上の
利点が導き出される。 (1)ビッカース硬さHV=300〜450の強度範囲
で、目標とする高強度材料が工業的に且つ経済的に安定
して得られる。 (2)時効処理を施すことにより硬さが更に上昇し、高
強度材料が工業的に且つ経済的に安定して得られる。 (3)短時間時効処理によって強度が発現されるため、
素材メーカー側で鋼帯の連続時効処理が可能になり、加
工メーカー側での時効処理が不要になる。そのため、ユ
ーザー側の負担が軽減される。
【0023】実施例2:表3に示す組成をもつ鋼を溶製
し、スラブに鋳造した。鋼材番号1〜8の鋼は、本発明
が対象とするステンレス鋼であり、熱間圧延によって板
厚4.5mmの熱延鋼帯にした後、780℃×均熱6時
間・炉冷の熱延板焼鈍を施した。更に、酸洗した後、冷
間圧延によって板厚1.0mmの冷延鋼帯を製造した。
鋼材番号8はフェライト単相が生成されるように成分設
計された鋼材であり、鋼材番号10は焼きなまし状態で
使用される鋼材である。
【0024】
【表3】
【0025】鋼材番号1〜9の冷延鋼帯を温度1000
〜1050℃で連続熱処理し、更に連続式又はバッチ式
の時効処理を施した。鋼材番号10については、Ac1
点以下で連続熱処理した後、冷間圧延し、更に連続式又
はバッチ式の時効処理を施した。冷間圧延又は時効処理
後の特性に各種製造条件が及ぼす影響を表4に示す。な
お、同一鋼で製造条件が異なるものは、コイルを適宜分
割して製造したことを示す。また、時効処理が「なし」
と表示されているものについては、式(1)から求めら
れた冷間圧延前の計算硬さHV1 及び目標硬さHV2 を
式(2)に代入して得られた計算圧延率Redを目標値と
する冷間圧延を行った。他方、時効処理が「あり」と表
示されているものについては、時効処理による硬度の上
昇をHV=25と仮定し、式(1)で定まる計算硬さH
V1 及び(目標硬さHV2 −25)を式(2)に代入し
て得られた計算圧延率Redを目標値とする冷間圧延を行
った後、時効処理を施した。
【0026】
【表4】
【0027】表4から明らかなように、時効処理の有無
に拘らず、式(1)及び(2)を用いて求められた圧延
率Redで冷間圧延したとき、目標硬さHV2 と実測硬さ
HVとの差がΔHV≦10に収められていた。特に、硬
さがHV≧400の高強度材についてΔHV≦10に収
めることは、容易でなかったことを考慮するとき、本発
明の効果として注目されるものである。このようにし
て、本発明によるとき、高い硬さレベルを示す複相組織
ステンレス鋼板が得られ、時効処理を施すことにより硬
さが更に上昇し、高いバネ限界値Kbを示す鋼材が得ら
れることが確認された。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、合金成分の含有量に基づいて冷間圧延前の硬さHV
1 を算出し、この計算硬さHV1 と目標硬さHV2 から
求められる圧延率Redで冷間圧延している。冷間圧延さ
れた鋼帯又は鋼板は、硬さのバラツキが少なく、HV≧
300の安定した強度レベルを示す。このようにして得
られた複相組織ステンレス鋼帯又は鋼板は、各種ステン
レスフレーム,電子部品,機械部品等の高強度及びバネ
特性が要求される分野で高品質及び品質安定性に優れた
材料として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高強度複相組織ステンレス鋼板の冷間圧延率
と硬さとの関係を従来のオーステナイト系ステンレス鋼
と比較したグラフ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01〜0.15重量%,Cr:
    10.0〜20.0重量%及びNi,Mn,Cuの少な
    くとも1種又は2種以上を合計で0.3〜5.0重量%
    含み、マルテンサイトが30〜90体積%で残部がフェ
    ライトからなる二相混合組織をもつ複合組織鋼帯又は鋼
    板を冷間圧延する際、鋼成分から定まる冷間圧延前の硬
    さHV1 及び冷間圧延後の目標硬さHV2 から求められ
    且つ15〜50%の範囲にある圧延率Redで冷間圧延す
    ることを特徴とする高強度複相組織ステンレス鋼帯又は
    鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 次式(1)で求められた冷間圧延前の硬
    さHV1 と冷間圧延後の目標硬さHV2 から、次式
    (2)に従って圧延率Red(%)を定める請求項1記載
    の高強度複相組織ステンレス鋼帯又は鋼板の製造方法。 HV1 = 2011×%C−25.8×%Si+28.3×%Mn +72.4×%P+101×%Ni−31.7×%Cr +1230×%N−93.5×%Al+43.0×%Cu −38.3×%Mo+570 ・・・・(1) Red = 1.35×HV2 −1.05HV1 −144 ・・・・(2)
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載した圧延率Redで
    冷間圧延した後、300〜650℃の温度範囲で時効処
    理する高強度複相組織ステンレス鋼帯又は鋼板の製造方
    法。
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Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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