JPH08325626A - 溶鋼成分適中精度を向上させたスラグ中の有価金属の還元回収方法 - Google Patents

溶鋼成分適中精度を向上させたスラグ中の有価金属の還元回収方法

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JPH08325626A
JPH08325626A JP3434996A JP3434996A JPH08325626A JP H08325626 A JPH08325626 A JP H08325626A JP 3434996 A JP3434996 A JP 3434996A JP 3434996 A JP3434996 A JP 3434996A JP H08325626 A JPH08325626 A JP H08325626A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 最適添加量の還元剤を添加して溶鋼を脱酸
し、成分適中精度の高い溶鋼を溶製する。 【構成】 溶鋼の表面に浮遊するスラグから易還元性酸
化物中の有価金属を溶鋼に還元回収する際、酸素濃淡電
池又は発光分光分析法で測定した溶鋼中の酸素濃度又は
脱炭精錬前後におけるSi濃度及びCr濃度の減少量か
らスラグ中易還元酸化物の酸素量を求めると共に、スラ
グ及び溶鋼の表面位置を検出し、検出された表面位置の
差からスラグの厚みを算出し、スラグ厚みに基づいてス
ラグの重量を求め、易還元性酸化物の酸素量とスラグ重
量から還元剤の必要添加量を演算し、演算結果の添加量
で還元剤をスラグに投入する。 【効果】 少ない還元剤消費量でスラグからFe,M
n,Cr等の有価金属が溶鋼に回収され、目標組成に高
精度で一致した溶鋼に溶製される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製錬後の溶鋼表面を覆
うスラグ層に懸濁している易還元性酸化物中の有価金属
を溶鋼に還元回収する際、溶鋼の成分適中精度を高めた
スラグ中有価金属の還元回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】転炉,真空脱ガス装置等でステンレス鋼
等の合金鋼を脱炭精錬するとき、溶鋼中の炭素が吹錬酸
素と反応しCOガスとなって溶鋼から除去されると同時
に、有用成分であるCr,Fe,Mn等も一部が次の反
応に従って酸化される。 4[Cr]+3O2 →2(Cr23 ) 2[Fe]+O2 →2(FeO) 2[Mn]+O2 →2(MnO) 酸化物となったCr,Fe,Mn等の金属元素は、溶鋼
表面に浮遊しているスラグに移行する。スラグ中の金属
元素は、製鋼の最終段階で酸化物から金属状態に還元さ
れ、メタルとして溶鋼に回収される。回収は、Cr,F
e,Mn等の金属元素がSiによって容易に金属状態に
還元されることを利用し、たとえば真空精錬時に所定量
のSiを取鍋内溶鋼に添加することにより行われてい
る。Siによる還元反応は、次の通りである。 2(Cr23 )+3Si→4[Cr]+3(SiO
2 ) 2(FeO)+Si→2[Fe]+(SiO2 ) 2(MnO)+Si→2[Mn]+(SiO2
【0003】金属状態になったCr,Fe,Mn等は溶
鋼に移行し、その結果、溶鋼成分濃度が変化する。成分
調整を高精度で行うためには、最終段階でスラグから溶
鋼に移行する金属元素を定量的に把握しておく必要があ
る。また、最近では、Si含有量に関する規格が極めて
厳しい鋼種が使用され始めている。このような高精度の
成分調整やSi含有量が厳格に管理された鋼種に対応す
るためには、Siによって還元される易還元性酸化物が
スラグ中に含まれている量を正確に把握することが必要
である。スラグに含まれている易還元性酸化物の酸素量
は、Siで還元されるCr23 ,FeO,MnO等の
金属酸化物中の酸素濃度及びスラグ量に対する割合で示
される。算出された酸素量は、還元剤として必要なSi
の添加量を定めるときの基準になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属酸化物中の酸素濃
度を定量する方法として、スラグ試料を蛍光X線分析す
る方法が知られている。蛍光X線分析は、ガラスビード
法又はプレス成形法の何れにおいても試料の秤量から分
析値の算出までに20〜25分を必要とする。しかも、
試料に含まれている金属酸化物が化学量論的な形態を採
っているものと仮定し、金属と酸化物との化学量論的な
関係から定まる係数を金属元素の定量値に乗じることに
よって酸素分析値を算出している。そのため、金属状態
のCr,Fe,Mn等が含まれている試料や、酸素価が
異なる金属酸化物等が含まれている試料では、必然的に
測定誤差が生じる。本発明者等は、このような測定誤差
を解消し、分析時間の短縮を図るため、製鋼スラグから
採取された試料と炭素源との反応により系外に排出され
る酸素濃度に基づき、製鋼スラグに含まれている易還元
性酸化物の酸素濃度を定量する方法を開発し、特願平4
−319364号として出願した。この方法によると、
分析誤差を最小限に抑え、約10分間でスラグを酸素定
量することが可能になる。
【0005】ところで、ステンレス鋼の需要が増加して
きている近年、既存設備で需要量に応答するためには単
位時間当りの生産量を増やす必要があり、タップ時間の
短縮が課題とされる。そのため、スラグ中の易還元性酸
素量を更に短時間で把握するための技術開発が急務とさ
れる。本発明は、このような要望に応えるべく案出され
たものであり、溶鋼酸素濃度又は脱炭精錬前後における
溶鋼中のCr濃度及びSi濃度の減少量からスラグ中で
有価金属と結合している酸素の濃度を容易且つ迅速に把
握し、この値と別途求めたスラグ量に基づき最適添加量
を決定して還元剤を投入することにより、有価金属を効
率よく溶鋼に回収すると共に、高い適中精度で成分調整
された溶鋼を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の有価金属還元回
収方法は、その目的を達成するため、溶鋼の表面に浮遊
するスラグから易還元性酸化物中の有価金属を前記溶鋼
に還元回収する際、酸素濃淡電池を用いて溶鋼酸素値を
測定し、溶鋼酸素値からスラグ中易還元性酸化物の酸素
濃度を推定すると共に、前記スラグ及び前記溶鋼の表面
位置を検出し、検出された表面位置の差からスラグの厚
みを算出し、該スラグの厚みに基づいて前記スラグの重
量を求め、前記スラグ中易還元酸化物の酸素濃度及び前
記スラグ重量から還元剤の必要添加量を演算し、演算結
果の添加量で前記還元剤を前記スラグに投入することを
特徴とする。溶鋼酸素値としては、スラグ中易還元酸化
物の酸素濃度を求める際に発光分光分析法で測定した溶
鋼酸素値が使用される。Si及びCrを含む合金鋼を転
炉又は真空脱ガス装置で脱炭精錬する際には、脱炭精錬
前後の溶鋼中のCr濃度及びSi濃度の減少量を用いて
スラグ中易還元酸化物の酸素濃度を推定する。
【0007】
【作用】製鋼スラグに含まれている易還元性酸化物は、
脱炭精錬時の吹錬酸素によって生成したものであり、そ
の酸素値は溶鋼中の酸素濃度と高い相関関係をもってい
る。また、本発明者等の調査・研究によるとき、脱炭精
錬前後の溶鋼中にCr濃度及びSi濃度の減少量から算
出した易還元酸化物の酸素値とも高い相関関係にあるこ
とが判明した。以上のことは、溶鋼中の酸素濃度又は脱
炭精錬前後における溶鋼中のCr濃度及びSi濃度の減
少量を測定することにより、製鋼スラグに含まれている
易還元性酸化物の酸素濃度が求められることを示唆す
る。溶鋼の酸素濃度は、酸素濃淡電池又は発光分光分析
装置によってわずか2分程度で容易に測定できる。ま
た、脱炭精錬前後の溶鋼中のCr濃度及びSi濃度の減
少量は、それぞれ脱炭精錬前後の溶鋼中のSi濃度及び
Cr濃度の差である。これらの濃度差は、発光分光分析
装置によってわずか2分程度で容易に測定できる。した
がって、溶鋼中の酸素濃度又はSi濃度及びCr濃度か
ら製鋼スラグの酸素濃度を推定するとき、スラグの採取
作業時間,粉砕から分析値を得るための一連の作業時間
が省略され、結果としてタップ時間の大幅な短縮が図ら
れる。
【0008】他方、スラグ重量を計量する方法として
は、基準点からのスラグ面の位置X1と溶鋼面の位置X2
を検出し、その位置の差からスラグの厚み(X1 −X2
)を求めると共に、真空脱ガス容器,取鍋等の容器内
径Rからスラグ体積VS を求め、前記スラグの比重ρを
乗じることによってスラグ重量WS を演算する方法が採
用される。スラグの表面位置は、渦電流,レーザ,マイ
クロ波,放射線等を用いた距離計や、スラグ表面に直接
接触させるタッチ式センサー,スラグの輝度を測定する
方法等によって検出される。渦電流センサーとしては、
周波数が500kHz以上で1MHz以下の高周波交流
電流が供給される渦電流式センサーを使用することが好
ましい。周波数が500kHz以上で1MHz以下の高
周波交流電流は、スラグの表面にのみ渦電流を発生させ
るため、スラグの表面位置を検出できる。
【0009】スラグ下にある湯面の位置は、渦電流式セ
ンサーを使用して検出する方法,一対の電極をスラグか
らメタルにわたって浸漬させ、スラグ,メタルそれぞれ
の導電性の差を電気的にとらえる方法,常に一定量のガ
スが流れているガスプローブをスラグからメタルにわた
って浸漬させ、スラグとメタルの比重差から生じるガス
プローブ中の背圧変化を用いる方法等で検出される。た
とえば、渦電流センサーを使用するとき、周波数0.5
〜500kHzの高周波交流電流を供給して溶鋼の表面
位置を検出する。周波数0.5〜500kHzの高周波
交流電流を供給することにより、スラグ層に懸濁してい
る金属液滴に起因する渦電流による誤差要因が渦電流セ
ンサーの受信コイルに取り込まれることなく、スラグ下
にある溶鋼の表面位置が高精度で検出される。
【0010】以上のようにして測定された溶鋼の酸素濃
度又は脱炭精錬前後の溶鋼中のCr濃度及びSi濃度の
減少量とスラグの重量から、図1に示すフローに従って
還元剤の必要添加量が演算される。この添加量で還元剤
を投入するとき、スラグ中の易還元性酸化物が還元さ
れ、金属状態で溶鋼に回収される。この方法によると
き、過剰の還元剤を添加することがないので、溶鋼に持
ち込まれる余分な還元剤を少なくすることができる。す
なわち、スラグの組成及び重量を基準にして定められた
量の還元剤を添加することにより、還元剤Siが溶鋼に
規格成分以上に余分に持ち込まれることなく、しかもM
n,Cr等の合金成分の含有量適中精度を向上させた溶
鋼が得られる。溶鋼に還元回収される有価金属は、使用
する還元剤の還元能に応じて選択できる。たとえば、S
i又はフェロシリコンを還元剤として使用すると、F
e,Mn及びCrが溶鋼に還元回収される。Al,T
i,Ca,Mg又はそれらの合金を還元剤として使用す
ると、Fe,Mn,Cr及びSiが還元回収される。A
l,Ca,Mg又はそれらの合金を還元剤として添加す
ると、Fe,Mn,Cr,Si及びTiが溶鋼に還元回
収される。何れの場合にも、スラグ中の易還元性酸化物
の酸素量及びスラグ重量から還元剤の必要添加量が定ま
っているので、規格成分以上に余分な還元剤を添加する
ことなく、目標組成に高精度で一致した溶鋼が得られ
る。
【0011】−スラグ重量の計測− スラグ及び溶鋼の表面位置が基準点からの距離X1 ,X
2 として検出される。溶鋼の表面位置はスラグ層との界
面にあるので、スラグ層の厚みは(X1 −X2)と算出
される。他方、真空脱ガス容器,取鍋等の容器の内側半
径Rは予め判っているので、スラグの体積VS はVS
πR2 ×(X1 −X2 )となる。スラグの重量WS は、
体積VS にスラグの比重ρを乗じることにより、WS
ρ×VS=ρ×πR2 ×(X1 −X2 )として算出され
る。得られたスラグ重量WS は、溶鋼重量WM を介在さ
せることなく、スラグ層の厚みから直接的に算出された
値である。図1は、この間のフローを示す。このように
して、誤差要因が取り込まれることが少なく、スラグ重
量WS が高精度で求められる。
【0012】−還元剤の必要添加量の算出− 還元剤の必要添加量は、スラグ中に含まれている易還元
酸化物濃度を求めて、スラグ重量を掛け合せることによ
り定まる。スラグ中に含まれている易還元性酸化物濃度
は、酸素濃淡電池又は発光分光分析法を用いて求めた溶
鋼の酸素濃度又は脱炭精錬前後の溶鋼中のCr濃度及び
Si濃度の減少量から定まる。本発明者等が種々実験を
重ねた結果、スラグ中易還元酸化物の酸素濃度(O)
は、それぞれ次式で精度良く推定できることが判明し
た。 (O)=a・[O]+b (O)=c・ΔCr+d・ΔSi+e 式中、a,b,c,d,eは、係数又は定数を示す。ま
た、[O]は酸素濃淡電池又は発光分光分析法で求めた
溶鋼の酸素濃度を示し、ΔCr,ΔSiはそれぞれ脱炭
精錬前後の溶鋼中のCr濃度及びSi濃度の減少量を示
す。得られたスラグ中易還元酸化物の酸素濃度(O)に
スラグ重量WS を乗じることによって、取鍋内にあるス
ラグの易還元酸化物の酸素量が求められる。算出された
酸素量に応じて、還元に必要は還元剤の投入量が定めら
れる。このようにして調整された量の還元剤を投入する
とき、スラグから溶鋼に所定の量で易還元性酸化物中の
Cr,Fe,Mn等が回収され、また投入された還元剤
が過剰に持ち込まれることがなくなる。その結果、還元
剤を効率よく消費できることは勿論、溶製後の溶鋼成分
適中度が向上する。特に還元剤に由来するSiの含有量
に関して厳格な管理が要求される鋼種を精度良く溶製す
ることが可能になる。
【0013】
【実施例】
実施例1:転炉吹錬が終了したCr含有量が11〜20
重量%の範囲にあるフェライト系ステンレス鋼及びオー
ステナイト系ステンレス鋼の合計100チャージ(77
〜81トン/チャージ)について、酸素濃淡電池を浸漬
して酸素濃度を測定した。このとき、全チャージとも酸
素濃度が得られるまでの時間は、僅か10秒であった。
溶鋼を取鍋に出鋼した後、直ちにセンサーを用いてスラ
グ面及び湯面位置を検出した。このときの測定時間は、
約1分であった。なお、スラグ面の位置は直接接触させ
るタッチ式センサーを用いて測定し、湯面の位置は渦電
流式センサーで測定した。スラグ厚みを計測した後、ス
ラグ体積を算出し、一定値のスラグ比重を乗じてスラグ
重量を求めた。得られた酸素濃度とスラグ重量からスラ
グ中の易還元性酸化物の全重量を算出し、還元に必要な
還元剤の投入量を求めた。
【0014】100チャージ中の一例を具体的に説明す
る。転炉脱炭精錬後の酸素濃淡電池で求めた溶鋼酸素濃
度は、0.11重量%であった。この溶鋼酸素濃度に対
応するスラグ中の易還元性酸化物の酸素濃度は、図2の
相関線図から12.4重量%であることが判る。なお、
図2は、Cr含有量が11〜20重量%の範囲にあるフ
ェライト系ステンレス鋼及びオーステナイト系ステンレ
ス鋼の合計100チャージ(77〜81トン/チャー
ジ)の溶鋼について、スラグ中易還元性酸化物の酸素濃
度を炭素還元法で求め、酸素濃淡電池で測定した溶鋼中
の酸素濃度との関係から予め求めた検量線である。
【0015】一方、スラグ重量は、測定したスラグ厚み
22.3cmに予め求められているスラグの比重3.5
を乗じて4.1トンと算出された。したがって、スラグ
中の易還元性酸化物の酸素濃度は、12.4重量%×
4.4トン=508kgとなり、Cr,Fe,Mnを溶
鋼に回収するために必要なSi量は445kgと算出さ
れた。このSi純分445kgに相当するフェロシリコ
ンを投入した後、真空脱ガス,脱酸処理を施し、スラグ
を再度サンプリングし、スラグに含まれている易還元性
酸化物の酸素濃度を測定した。その結果、易還元性酸化
物の酸素濃度は、0.03重量%であった。このことか
ら、Cr,Fe及びMnは、十分に溶鋼に回収されてい
ることが確認された。
【0016】実施例2:転炉脱炭精錬が終了したCr含
有量が11〜20重量%の範囲にあるフェライト系ステ
ンレス鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の計100
チャージ(77〜81トン/チャージ)の溶鋼につい
て、発光分光分析法で酸素濃度を測定した。このとき、
全チャージとも酸素濃度の測定値が得られるまでの時間
はわずか2分程度であった。溶鋼を取鍋に出鋼した後、
直ちにタッチ式センサーでスラグ面位置を測定し、渦電
流式センサーで湯面位置を測定した。スラグ厚みを計測
した後、スラグ体積を算出し、一定値のスラグ比重を乗
じてスラグ重量を求めた。得られたスラグ中の易還元酸
化物の酸素濃度とスラグ重量からスラグ中の易還元酸化
物の全酸素量を算出し、還元に必要な還元剤の投入量を
求めた。
【0017】100チャージ中の一例を具体的に説明す
る。転炉脱炭精錬後に発光分光分析法で測定した溶鋼酸
素濃度は、0.09重量%であった。分光法で求めたこ
の溶鋼酸素濃度に対応するスラグ中の易還元性酸化物の
酸素濃度は、図2に示した酸素濃淡電池を用いて求めた
溶鋼酸素濃度とスラグ中の易還元酸化物の酸素濃度との
関係に一致したことから、図2の相関線図において溶鋼
酸素濃度0.09重量%に対応する11.1重量%がス
ラグ中易還元性酸化物の酸素濃度であることが判る。一
方、スラグ重量は、測定したスラグ厚み29.3cmに
予め求められているスラグの比重3.5を乗じて5.4
トンと算出された。したがって、スラグ中の易還元性酸
化物の酸素濃度は、11.1重量%×5.4トン=60
0kgとなり、Cr,Fe,Mnを溶鋼に回収するため
に必要なSi量は525kgと算出された。このSi純
分525kgに相当するフェロシリコンを投入した後、
真空脱ガス,脱酸処理を施し、スラグを再度サンプリン
グし、スラグに含まれている易還元性酸化物の酸素濃度
を測定した。その結果、易還元性酸化物の酸素濃度は、
0.02重量%であった。このことから、Cr,Fe及
びMnは、十分に溶鋼に回収されていることが確認され
た。
【0018】実施例3:転炉脱炭精錬が終了したCr含
有量が11〜20重量%の範囲にあるフェライト系ステ
ンレス鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の計100
チャージ(77〜81トン/チャージ)の溶鋼につい
て、転炉脱炭精錬前後の溶鋼中のCr濃度及びSi濃度
の減少量、すなわち転炉脱炭精錬前後の溶鋼中のCr及
びSiの濃度差を発光分光分析法で測定した。このと
き、全チャージとも転炉脱炭精錬前後の溶鋼中のCr濃
度及びSi濃度の減少量を表した測定値が得られるまで
の時間はわずか2分程度であった。溶鋼を取鍋に出鋼し
た後、直ちにタッチ式センサーでスラグ面位置を測定
し、渦電流式センサーで湯面位置を測定した。スラグ厚
みを計測した後、スラグ体積を算出し、一定値のスラグ
比重を乗じてスラグ重量を求めた。得られたスラグ中の
易還元酸化物の酸素濃度とスラグ重量からスラグ中の易
還元酸化物の全酸素量を算出し、還元に必要な還元剤の
投入量を求めた。
【0019】100チャージ中の一例を具体的に説明す
る。転炉で脱炭精錬し、脱炭精錬前後のCr濃度及びS
i濃度を発光分光分析法で測定した。Cr濃度及びSi
濃度の減少量から推定したスラグ中の易還元酸化物の酸
素濃度は10.7重量%であり、この推定値から図3の
相関線図に基づいて求めたスラグ中の易還元酸化物の酸
素濃度は10.8重量%であった。なお、図3は、Cr
含有量が11〜20重量%の範囲にあるフェライト系ス
テンレス鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の合計1
00チャージ(77〜81トン/チャージ)の溶鋼につ
いて、脱炭精錬前後の溶鋼中にCr濃度及びSi濃度の
減少量を用いて推定したスラグ中易還元酸化物の酸素濃
度と炭素還元法で求めたスラグ中易還元性酸化物の酸素
濃度との関係から求めた検量線である。
【0020】一方、スラグ重量は、測定したスラグ厚み
31.2cmに予め求められているスラグの比重3.5
を乗じて5.8トンと算出された。したがって、スラグ
中の易還元性酸化物の酸素濃度は、10.8重量%×
5.8トン=626kgとなり、Cr,Fe,Mnを溶
鋼に回収するために必要なSi量は548kgと算出さ
れた。このSi純分548kgに相当するフェロシリコ
ンを投入した後、真空脱ガス,脱酸処理を施し、スラグ
を再度サンプリングし、スラグに含まれている易還元性
酸化物の酸素濃度を測定した。その結果、易還元性酸化
物の酸素濃度は、0.03重量%であった。このことか
ら、Cr,Fe及びMnは、十分に溶鋼に回収されてい
ることが確認された。
【0021】表1に100チャージの溶鋼酸素濃度又は
転炉脱炭精錬前後の溶鋼中のCr濃度及びSi濃度の減
少量からスラグ中易還元性酸化物の酸素濃度を求め、投
入フェロシリコン量を決定した場合と、直接スラグを分
析して易還元性酸化物の酸素濃度を求めて投入フェロシ
リコン量を決定した場合、それぞれの溶鋼中のSi含有
量の適中率の平均値と作業時間の平均値とを比較して示
す。表1の結果に示されているように、溶鋼の酸素濃度
からスラグ中易還元性酸化物の酸素濃度を算出し、投入
フェロシリコン量を決定した場合における溶鋼中のSi
含有量の適中率の平均値は、直接スラグを分析して易還
元性酸化物の酸素濃度を求めて投入フェロシリコン量を
決定した場合に比較して作業所要時間が約10分間短縮
された。この短縮時間は、1時間当り80トンの粗鋼を
生産するラインを想定すると、月産9,600トンの増
産に相当する値であり、大幅な生産量のアップにつなが
ることが判る。また、作業時間も、変動が±1分以内に
収まることが判った。
【0022】
【0023】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、最短時間で還元剤の最適添加量を知ることができ、
最適添加量で還元剤を添加することによりスラグに含ま
れているFe,Mn,Cr等の易還元性酸化物を金属状
態に還元して溶鋼に回収すると共に、還元剤の過剰添加
に起因して処理後の溶鋼におけるSi含有量,Al含有
量等が上昇することを抑制している。その結果、作業時
間が大幅に短縮され、目標組成に対する適中率が高い溶
鋼が溶製される。また、還元剤の消費量を必要最小限と
することができるので、製造コストも低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従って脱酸剤の必要投入量を決定す
るまでのフロー
【図2】 酸素濃淡電池により測定した溶鋼の酸素濃度
と炭素還元法で求めたスラグ中易還元性酸化物の酸素濃
度との間に密接な関係があることを示したグラフ
【図3】 脱炭精錬前後で酸化した溶鋼中のSi濃度及
びCr濃度の減少量から推定したスラグ中易還元酸化物
の酸素濃度と炭素還元法で求めたスラグ中易還元酸化物
の酸素濃度分析値との間に密接な関係があることを示し
たグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山内 隆 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼の表面に浮遊するスラグから易還元
    性酸化物中の有価金属を前記溶鋼に還元回収する際、酸
    素濃淡電池を用いて溶鋼酸素値を測定し、溶鋼酸素値か
    らスラグ中易還元性酸化物の酸素濃度を推定すると共
    に、前記スラグ及び前記溶鋼の表面位置を検出し、検出
    された表面位置の差からスラグの厚みを算出し、該スラ
    グの厚みに基づいて前記スラグの重量を求め、前記スラ
    グ中易還元酸化物の酸素濃度及び前記スラグ重量から還
    元剤の必要添加量を演算し、演算結果の添加量で前記還
    元剤を前記スラグに投入することを特徴とする溶鋼成分
    適中精度を向上させたスラグ中の有価金属の還元回収方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の溶鋼酸素値として、スラ
    グ中易還元酸化物の酸素濃度を求める際に発光分光分析
    法で測定した溶鋼酸素値を使用するスラグ中有価金属の
    還元回収方法。
  3. 【請求項3】 Si及びCrを含む合金鋼を転炉又は真
    空脱ガス装置で脱炭精錬する際、脱炭精錬前後の溶鋼中
    のCr濃度及びSi濃度の減少量を用いてスラグ中易還
    元酸化物の酸素濃度を推定するスラグ中有価金属の還元
    回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100925593B1 (ko) * 2002-12-23 2009-11-06 주식회사 포스코 고청정강 제조를 위한 용강중 슬래그 탈산방법

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