JPH08327566A - 全反射蛍光x線分析の定量法および定量装置 - Google Patents

全反射蛍光x線分析の定量法および定量装置

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JPH08327566A
JPH08327566A JP13300695A JP13300695A JPH08327566A JP H08327566 A JPH08327566 A JP H08327566A JP 13300695 A JP13300695 A JP 13300695A JP 13300695 A JP13300695 A JP 13300695A JP H08327566 A JPH08327566 A JP H08327566A
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fluorescent
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JP13300695A
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Naoki Awaji
直樹 淡路
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 全反射蛍光X線分析の定量法および定量装置
に関し、被測定元素の形状(汚染形態)に対応し、X線
入射角設定誤差に影響されない定量法を採用することに
よって正確な分析値を得る手段を提供する。 【構成】 被測定試料からの被測定元素の蛍光X線強度
と、この被測定元素以外の、濃度および形状が知られて
いる元素の蛍光X線強度を用い、被測定元素と被測定元
素以外の元素の相対感度係数、X線侵入長またはX線反
射率を用いて被測定元素の濃度を定量する。この場合、
被測定元素以外の元素として、被測定試料の基板元素ま
たは標準試料を用いることができる。被測定試料からの
被測定元素の蛍光X線強度の入射角依存性から、被測定
元素の形状を、均一元素、パーティクル状汚染、表面汚
染、内部汚染のいずれかに分類し、各被測定元素の形状
に対応する濃度定量法を適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、全反射蛍光X線分析の
定量法および定量装置に関する。近年の半導体製造技術
分野においては、半導体装置の高集積化にともない、装
置の信頼性に影響がある金属汚染や製造過程での歩留り
に大きく関係するパーティクル汚染の低減が求められて
おり、これらの汚染を評価するための分析手法を開発す
ることが要望されている。
【0002】この要望に応えるために、非破壊で半導体
ウェハ等の表面の汚染元素の濃度を109 atoms/
cm2 程度の高感度で測定することができる全反射蛍光
分析法が、半導体ウェハを製造する場合や、半導体ウェ
ハを用いて半導体装置を製造する場合に、半導体ウェハ
の清浄度を評価する目的で導入されている。全反射蛍光
X線分析法による蛍光X線は、強度が強く、平行性がよ
く、入射X線波長の選択性もあることから微量元素の評
価に適している。
【0003】
【従来の技術】従来から用いられている全反射蛍光X線
分析法においては、試料上に微小な入射角でX線を照射
し、その試料から発生する蛍光X線を検出し、この蛍光
X線を解析することによって試料中の微量元素を検出す
るものであるが、X線を、X線が全反射する微小な入射
角ψ(0.05〜0.1°)で入射するため、X線の入
射角設定の誤差により試料上のX線定在波強度や試料中
のX線強度が変動し、汚染濃度定量における誤差となっ
ていた。
【0004】また、前記のように、試料上にX線の定在
波が生じるため、試料に含まれる汚染物の形状(パーテ
ィクル、表面汚染、内部汚染)によって励起される蛍光
X線強度が異なり、濃度定量の誤差となっていた。
【0005】現在一般に用いられている全反射蛍光X線
による定量法においては、被測定元素からの蛍光X線強
度を、表面を均一に汚染させた標準試料の蛍光X線強度
と直接比較することによって行っているが、前記の汚染
物の形状の違いや、測定時のX線の入射角設定の誤差が
定量精度を悪くすることや、そのような標準試料を作製
することが困難であり、また、この標準試料の汚染物質
の濃度を化学分析によって決定することが必要である
等、多くの問題を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来の全
反射蛍光X線分析法を半導体装置の製造工程における汚
染度のライン管理等に導入する場合、標準試料が使用中
に汚染されて定量誤差を生じたり、異なる製造現場での
不純物の濃度比較が困難であった。本発明は、一度各元
素からの蛍光X線の相対感度係数を求めた後は、比較の
ための標準試料を用いることなく、照射X線の強度変化
にも影響されない、安定な定量法を確立することによ
り、全反射蛍光X線分析法を普及させることができる手
段を提供することを目的とする。
【0007】また、本発明は、試料からの被測定元素の
蛍光X線強度の入射角依存性から、被測定元素の形状
を、均一元素、パーティクル、表面元素、内部拡散元素
の何れかに分類し、その不純物の形状に対応した濃度定
量法を適用することによってより正確な測定値が得られ
る全反射蛍光X線分析の定量法および定量装置を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる全反射蛍
光X線分析の定量法においては、前記全反射蛍光X線分
析法を実現するために、被測定試料からの被測定元素の
蛍光X線強度と、該被測定元素以外の、濃度および形状
が知られている元素の蛍光X線強度を用い、該被測定元
素と該被測定元素以外の元素の相対感度係数、X線侵入
長またはX線反射率を用いて被測定元素の濃度を定量す
る手順を採用した。
【0009】この場合、被測定元素以外の、濃度および
形状が知られている元素の蛍光X線強度を、被測定試料
基体の蛍光X線強度とすることができる。
【0010】また,この場合、被測定元素以外の、濃度
および形状が知られている元素の蛍光X線強度を、標準
試料の蛍光X線強度とすることができる。
【0011】また、本発明にかかる他の全反射蛍光X線
分析の定量法においては、被測定試料からの被測定元素
の蛍光X線強度の入射角依存性から、被測定元素の形状
を、均一元素、パーティクル状汚染、表面汚染、内部汚
染の何れかに分類し、各被測定元素の形状に適する濃度
定量法を適用する手順を採用した。
【0012】また、本発明にかかる全反射蛍光X線分析
装置においては、被測定試料からの蛍光X線強度を検出
する手段と、該被測定試料に対するX線の侵入長、X線
反射率またはX線強度分布を計算しあるいは蓄積データ
から求める手段と、被測定元素の蛍光X線強度と、該被
測定試料に対するX線の侵入長、X線反射率またはX線
強度分布と該被測定元素の相対感度係数から、該被測定
元素の濃度を定量する手段を有する構成を採用した。
【0013】
【作用】前記従来の全反射蛍光X線検出方法が有する問
題は、次記の方法によって解決することができる。 照射X線の入射角を変えた場合の蛍光X線強度の変
化から試料の汚染形状を評価し、その形状に適合する定
量法を用いる。 照射X線の入射角が変わってもその影響を受けにく
いように、試料の基板元素等の基準元素によって、蛍光
X線強度で規格化して評価する。
【0014】具体的には、解決策では、試料からの被
測定元素の蛍光X線強度の入射角依存性から、汚染物質
の分布形状を(a)均一元素、(b)パーティクル、
(c)表面元素、(d)内部拡散元素の何れかに分類す
ることができる。また、解決策では、基板元素あるい
は基板に均一に分布する元素からの蛍光X線強度と、被
測定元素からの蛍光X線強度の比をとり、その値に基づ
いて定量を行う。このとき基板元素等の、濃度がわかっ
ている元素を用いて被測定元素の濃度定量を行うことが
できる。
【0015】以下、本発明にかかる全反射蛍光X線分析
の定量法の測定原理を説明する。試料の表面に入射した
X線の反射や透過は、試料の複素数屈折率nを用いたフ
レネルの法則により記述することができる。X線領域に
対する物質の屈折率は1よりわずかに小さく、n=1−
δ+iβと表記することができる。ここでδおよびβは
原子散乱因子Z+f′,f″を用いて以下のように表記
することができる。 δ=cλ2 ρ(Z+f′)/A,β=cλ2 ρ(f″/A),c=re 0 / 2π・・・(1)
【0016】ここで、re は電子の古典半径、N0 はア
ボガドロ数、λはX線波長、ρは密度、Aは原子量、Z
は原子番号、f′は分散補正項、f″は吸収項である。
これらの原子散乱因子はHenkeによる表(B.L.
Henke,J.C.Davis,E.M.Gulli
kson and R.C.C.Perera,Law
rence Berkeley Lab.Rep.LB
L−26259(1988),M.N.Thomas,
J.C.Davis,C.J.Jacobsen an
d R.C.C.Perera,Lawrence B
erkeley Lab.Rep.LBL−27668
(1989)参照)や、佐々木による表(S.Sasa
ki:KEK Report 88−14,Febru
ary(1089)参照)から得られる。上式から、屈
折率は試料の密度に比例し、化学結合状態には影響され
ない。
【0017】平坦な基板にX線が入射すると、基板上で
は入射X線と反射X線が干渉し、定在波を生じる。ま
た、屈折率は1より小さいため、全反射臨界角ψc(=
√(2δ))以下ではX線は全反射を起こすため、基板
中には表面から指数関数的に減衰するエバネッセント波
のみが存在する。そのためX線は基板をあまり励起せ
ず、表面付近に存在する元素が高感度に検出される。
【0018】いま単位入射X線フラックスが入射角(照
射平面と入射X線フラックスのなす角)ψで基板に入射
した場合、面内方向のX線の位相変化を省略し、入射X
線と反射X線の電場をE0 ,Er 反射計数r、表面での
位相差φ、表面からの位置zを用いて、E0 =exp
(−ikz z),Er =rexp(iφ)ezp(ik
z z)と書くと、基板より上のX線強度F(ψ,z)
は、 F(ψ,z)=(E0 +Er 2 =1+R+2√(R)cos(φ−4πz/ λ) (z≧0)・・・(2) となる。ここでkz は波数ベクトルのz成分、R=r2
は反射率である。
【0019】また、基板中のX線強度は、 F(ψ,z)=T(ψ)exp(z/zx ) (z<0)・・・(3) と表すことができる。ここで、T(ψ)≡F(ψ,0)
は基板表面のX線強度、zx (cm)はX線の侵入長で
ある。
【0020】また、R,φ,T,zx 等はフレネルの式
から求められるが(L.G.Parrat,Phys.
Rev.95,359(1954)参照)、試料表面に
ガウス型の分布をもつラフネスσがある場合、反射率は
R′=Rexp(−qz q′ z σ2 )に変わる。ここで
z ,q′z は基板上および基板中の運動量転移ベクト
ルqz =(4π/λ)√(n2 −cos2 ψ)である
(L.Nevot and P.Croce,Rev.
Phys.Appl.15,761(1980),S.
K.Shinha,E.B.Sirota and
S.Garoff,Phys.Rev.B.38,22
97(1988)参照)。また、多層膜状の試料でもX
線強度は同様に計算することができる(B.Vidal
and P.Vincent,Appl.Optic
s,23,1794(1984)参照)。
【0021】図1は、異なる角度で入射した単位X線フ
ラックスによる試料上方および内部のX線強度分布の説
明図である。この図において、横軸は試料の垂直方向の
距離を示し、縦軸はX線強度を示している。この図は、
試料の表面に異なる角度(0.05度、0.17度、
0.3度)で入射した単位X線フラックスによる、試料
上方および内部のX線強度(相対値)F(ψ,z)のz
分布を示している。ここでは表面ラフネスが3ÅのSi
基板について計算している。
【0022】表面近傍を評価する場合、蛍光強度の再吸
収は無視できるため、蛍光X線収量I(ψ)は、元素分
布Φ(z)(1/cm3 )とX線強度I0 Fの積分で表
すことができる。すなわち、 I(ψ)=ωεI0 ∫(−∞〜∞)F(ψ,z)Φ(z)ds・・・(4) ここでωは蛍光収率、εは検出効率、I0 は入射X線フ
ラックスである。放射光では入射X線の発散角は小さ
く、その影響は無視できる。図1のX線強度の入射角依
存性から、元素の分布形状が蛍光収量の入射角依存性に
反映されることがわかかる。
【0023】測定は放射光施設(高エネルギー物理学研
究所放射光施設(KEK.PF)ビームライン17)で
行われた。具体的には、放射光を、Siウェハ(11
1)二結晶モノクロメータで波長1.2Åに単色化し、
真空チェンバ内に立てて置かれた試料に入射した。放射
光の直線偏光を利用し、散乱X線が少ない水平方向に半
導体検出器(SSD)を配置し、検出下限の向上を図っ
た。スリットで入射X線サイズを0.1mmW×4mm
Hに絞った場合のX線発散角は0.1mrad程度であ
り、市販装置の発散角1mradに比べ1桁小さく、影
響はほとんど無視できる。
【0024】入射角の調整には基板の全反射臨界角を計
算し、測定値を補正することにより2/1000°程度
の精度で入射角を決定している。この測定において検出
感度がよいのは、基板からのバックグラウンドの低い入
射角0.1°以下の部分であり、現状での表面汚染元素
の濃度換算係数は、X線入射角0.05°においてNi
で36cps/1012atoms/cm2 、対応する検
出下限は2×109 atoms/cm2 が得られた。
【0025】各種の汚染元素を有するSi等の基板から
なる試料の表面にX線を照射したときに発生する蛍光X
線の強度分布について説明する。 (A)基板元素 Si等の基板の構成元素、あるいは、基板中に均一に存
在する元素の場合、Φ(z)=Φ0 (z≦0)(ato
ms/cm3 )であり、基板中のX線強度は(3)とな
るため、その蛍光収量は(3),(4)から、 IB (ψ)=(ωε)B 0 T(ψ)・Φ0 ・zx (ψ)・・・(5) となり、基板表面のX線強度とX線侵入長に比例する。
なお、zx (ψ)はX線侵入長、T(ψ)は試料表面の
X線強度であり、計算によって求めることができる。
【0026】図2は、Si基板からのSi蛍光収量とN
i蛍光収量の入射角度依存性説明図である。この図にお
いて、横軸はX線入射角を示し、縦軸はNi蛍光収量と
Si蛍光収量を示している。この図においては、Si基
板からのSi蛍光収量の入射角度依存性と、(5)によ
って計算した結果との一致性を示している。
【0027】(B)表面汚染 表面元素の分布関数はその濃度φs(atoms/cm
2 )としてΦ(z)=φs・δ(z)と表すことができ
るから、蛍光収量は(4)から、 IS (ψ)=(ωε)S 0 T(ψ)・φS ・・・(6) となり、基板表面のX線強度のみに比例する。標準的表
面汚染サンプルは、金属不純物を添加したアンモニア過
酸化水素水でSiウェハを処理して得られ、金属元素は
1nm程度の自然酸化膜中に存在している。図2に添加
金属としてNiを用いた標準試料からのNi蛍光収量の
入射角依存性および(6)式でのフィットの結果を示し
ている。
【0028】(C)パーティクル状汚染 パーティクルからの蛍光は、基板の上の定在波(2)に
より励起され、サイズに依存した角度依存性となる。高
さz0 の矩形のパーティクルの場合、Φ(z)=φP
0 (0<z<z0)で表すことができ、蛍光収量は、
(2),(4)から、 IP (ψ,z0 )=(ωε)P 0 ΦP {1+R−(√(R)λ/2πψz0 )〔sin(φ−4πψz0 /λ)−sin(φ)〕}・・・(7) となる。
【0029】ここで、前2項は入射X線により励起され
た蛍光X線であり、後の項は定在波による強度振動であ
る。後者はサイズz0 に比例して小さくなり、200n
m以上のパーティクルからの蛍光収量はほとんど前2項
だけで決まり、 IP (ψ)=(ωε)P 0 (1+R(ψ))ΦP ・・・(8) となる。この明細書では、この(1+R)に比例する部
分をパーティクルの漸近形と呼ぶことにする。なお、R
(ψ)は反射率であり、計算によって求めることができ
る。
【0030】図3は、矩形状のパーティクル状汚染の蛍
光収量のサイズ依存性および入射角依存性説明図であ
る。この図において、横軸はX線入射角を示し、縦軸は
パーティクル蛍光収量を示している。半球状のパーティ
クルの場合は、振動がこれより少し弱くなる。実際の汚
染ではサイズに分布があるため、適当なサイズ幅のパー
ティクルの和としてIP (ψ)=ΣIP (ψ,z0i)の
ようにデータにフィットする。
【0031】図4は、Niの蛍光収量とFeの蛍光収量
入射角依存性説明図である。この図において、横軸はX
線入射角を示し、縦軸はNi蛍光収量とSi蛍光収量を
示している。この図の白丸はNi標準原液を希釈した溶
液を、フッ酸処理したSi基板上に滴下し、乾燥させた
マイクロドロップ試料の測定結果であり、実線はフィッ
ト結果であるが、パーティクルの漸近形のみでデータを
再現できた。光学顕微鏡の観察によって、溶液の添加剤
である硝酸塩が析出し、厚いプレート状になっているこ
とが確認できた。
【0032】この図の黒丸はプロセス中で発生したFe
汚染の例である。実線は、パーティクルサイズを40n
m刻みに区分してデータにフィットさせた結果で、表面
汚染とパーティクルの漸近形でデータを再現できた。こ
の汚染は、FeのほかにNi,Crが同じ面内分布を示
すことからステンレススチール(SUS)パーティクル
であることがわかった。
【0033】蛍光収量の入射角依存性に振動が見られな
かったのはパーティクルが大きいか、あるいは小サイズ
のパーティクルは存在しても、蛍光収量はその体積に比
例するため、結果的に大きいサイズのパーティクルで角
度依存性が決まるものであることに起因すると思われ
る。多くの場合、測定データは表面汚染およびパーティ
クルの漸近形で再現できる(A.Prange and
H.Schwenke,Advances in X
−Ray Analysis,V.35,899(19
92)参照)。パーティクル汚染の場合、低い入射角で
は蛍光強度はほぼ一定で、表面汚染に比べ強度も大き
く、検出下限および濃度の定量精度がよい。
【0034】図5は、各種形態の汚染元素からの蛍光収
量を基板元素の蛍光収量で除したバルク比の入射角依存
性説明図である。この図において、横軸はX線入射角を
示し、縦軸は各種形態の汚染元素からの蛍光収量を基板
元素の蛍光収量で除したバルク比を示している。パーテ
ィクル汚染(Particulate)からの蛍光収量
は、表面汚染(Surface)に比べ入射角0.05
°付近で数倍になっている。最近の報告では、フッ酸蒸
気によりSi基板上の自然酸化膜を溶解後乾燥させたパ
ーティクル状残留物に対し、同様のデータが得られ、検
出感度の向上が図られている(宮崎邦浩,島崎綾子,信
学技報、Vol.94,No.39,7(1992)参
照)。
【0035】(D)内部汚染 以前から、蛍光収量のX線入射角依存性から深さ方向の
分布形状を評価する可能性が指摘されており、Si中に
イオン注入されたAsの放射光による深さ評価等の試み
が報告されている(A.Iida,K.Sakura
i,A.Yoshinaga and Y.Gohsh
i,Nucl.Instrum.&Methods,A
246,736(1986)参照)。
【0036】しかし、この方法の難点は、X線の侵入長
が臨界角付近で急激に非線形に変化するため、元素の深
さ分布をその積分である蛍光収量(4)から逆変換によ
り分離するには、精度の高い多量のデータが必要になる
ことである。汚染元素等の微量不純物では蛍光強度も弱
く、このようなデータを得ることは難しい。
【0037】一方、汚染評価では、その厳密な深さ形状
は必ずしも重要でなく、平均的な深さがわかればよい場
合が多い。本発明の発明者らは、深さ分布として指数関
数を仮定して汚染の平均深さ評価の可能性を調べた。
【0038】元素の深さ分布は、Φ(z)=φD /zD
・exp(z/zD ) (z<0)と表され、元素
の1/e深さzD で特徴づけられる。蛍光強度は
(3),(4)から次のようになる。 ID (ψ)=(ωε)D 0 T(ψ)ΦD ・ZX (ψ)/(ZD +(ZX (ψ )))・・・(9) 解析においては、蛍光収量を基板の蛍光収量で割ったバ
ルク比を用いることにより、種々の測定エラーを小さく
することができる。
【0039】先の図5に10nmおよび100nmの平
均深さをもつ内部汚染のバルク比の計算値を示す。蛍光
収量の角度依存性から評価可能な深さ範囲は〜1μm程
度で、精度のあるのは100nm以下である。また、深
さ分布としてガウス分布や均一厚さの場合の蛍光強度分
布の計算結果も、ほぼ同様な形状を示すため、蛍光収量
から元素の深さ形状の詳細を求めることは困難である。
【0040】本発明の発明者らは、実験では、砒素(A
s)注入時の燐(P)のクロスコンタミネーションにつ
いて実験した。この実験においては、Pを高濃度で注入
したイオン注入機を用いてAsを注入した。Pの蛍光エ
ネルギーはSiに近いため、Siの蛍光を抑える目的で
レジストを塗布した基板を用いて評価したところ、Pの
クロスコンタミネーションが見られた。
【0041】図6は、燐と砒素からの蛍光収量をレジス
ト中に均一に含まれる硫黄の蛍光収量で除したバルク比
のX線入射角依存性説明図である。この図において、横
軸はX線入射角を示し、縦軸は燐と砒素の蛍光収量をレ
ジスト中に均一に含まれる硫黄(S)の蛍光収量で除し
たバルク比を示している。
【0042】実線は、(9)/(5)式でフィットした
結果であり、平均深さとしてzP =14nm、zAs=4
10nmが得られ、燐が深さ分布をもっていることがわ
かった。これは試料ホルダー等から再スパッタされたP
が基板表面に付着し、砒素イオンによりたたき込まれた
結果であると考えられる。高分解能SIMSにより同プ
ロセスによるシリコン(Si)基板の燐を分析した結果
では、燐濃度は表面からほぼ指数関数的に減少してお
り、その深さは上記の値と同程度であった。
【0043】
【実施例】以下、本発明の一実施例の全反射蛍光X線分
析の定量法を説明する。この実施例の全反射蛍光X線分
析の定量法は、図5に示された試料からの被測定元素の
蛍光X線強度の入射角依存性から、被測定元素の分布形
態が(a)均一元素、(b)パーティクル状汚染、
(c)表面汚染、(d)内部汚染(指数関数的拡散汚
染)の何れかであるかを決定し、その不純物の形状に適
した濃度定量法を適用することによって正確な分析結果
を得るものである。その濃度定量法は、被測定試料から
発生する被測定元素の蛍光X線強度と、この被測定試料
から発生する該被測定元素以外の、濃度および形状が知
られている元素の蛍光X線強度を用い、被測定元素と被
測定元素以外の元素の相対感度係数、X線浸入長、また
は、X線反射率を用いて被測定元素の濃度を定量するも
のである。
【0044】前記のように、内部汚染では指数関数的な
深さ分布を示すと仮定し、パーティクル汚染ではパーテ
ィクルの漸近形を用いることによって、各分布態様に応
じて次のように表すことができる。 (A)基板元素 IB (ψ)=(ωε)B 0 T(ψ)・Φ0 ・zx (ψ)・・・(5) (B)表面汚染 IS (ψ)=(ωε)S 0 T(ψ)・φS ・・・(6) (C)パーティクル状汚染 IP (ψ)=(ωε)P 0 (1+R(ψ))ΦP ・・・(8) (D)内部汚染 ID (ψ)=(ωε)D 0 T(ψ)ΦD ・ZX (ψ)/(ZD +(ZX (ψ )))・・・(9) 以下、各汚染の形状についての定量法を説明する。
【0045】(A)基板元素 IB (ψ)=(ωε)B 0 T(ψ)・Φ0 ・zx (ψ)・・・(5) をみると、IB (ψ)は基板の蛍光X線強度を測定する
ことによって求めることができ、ωB は元素によって定
まり、εB は用いるX線検出器によって定まるから(ω
ε)B を求めることができ、T(ψ)はフレネルの式か
ら求めることができ、Φ0 は基板または基準試料の元素
の濃度であるから(Siの場合は5×10 22cm3 )求
めることができ、zx (ψ)はX線の侵入長であるから
計算することができるから、 I0 =IB (ψ)/(ωε)B T(ψ)・Φ0 ・zx (ψ)・・・(9) として求めることができる。
【0046】(B)表面汚染 このI0 を式(6)に代入すると、 IS (ψ)=(ωε)S B (ψ)・φS /(ωε)B ・Φ0 ・zx (ψ)・ ・・(10) となる。よって、 φS =((ωε)B /(ωε)S )Φ0 (IS (ψ)/IB (ψ))・zx ( ψ)・・・(11) となる。
【0047】したがって、(ωε)B /(ωε)S =S
BS(基板元素または基準元素と被測定元素の相対感度係
数であり装置により定まる)、Φ0 =ΦBo(基板元素ま
たは基準元素の濃度)、IS (ψ)/IB (ψ)=(I
S /IB )(X線入射強度の比であり、容易に測定する
ことができる)とすると、 φS =SBSΦBo(IS /IB )・zX (ψ)・・・(12) と表すことができる。
【0048】(C)パーティクル状汚染 先のI0 を式(8)に代入すると、 IP (ψ)=(ωε)P (1+R(ψ))φP B (ψ)/(ωε)B T(ψ )・Φ0 ・zx (ψ)・・・(13) となる。よって、 φP =((ωε)B /(ωε)P )Φ0 (IP (ψ)/IB (ψ))・zx ( ψ)・T(ψ)・/(1+R(ψ))・・・(14) となる。
【0049】したがって、(ωε)B /(ωε)P =S
BP(基板元素または基準元素と被測定元素の相対感度係
数であり装置により定まる)、Φ0 =ΦBo(基板元素ま
たは基準元素の濃度)、IP (ψ)/IB (ψ)=(I
P /IB )(X線入射強度の比であり、容易に測定する
ことができる)とすると、 φP =SBPΦBo(IP /IB )・zX (ψ)T(ψ)/(1+R(ψ))・・ ・(15) と表すことができる。
【0050】(D)内部汚染 先のI0 を式(9)に代入すると、 ID (ψ)=(ωε)D B (ψ)φD /(ωε)B Φ0 (ZD +ZX (ψ) )・・・(16) となる。よって、 φD =ID (ψ)(ωε)B Φ0 (ZD +ZX (ψ))/IB (ψ)(ωε) D ・・・(17) となる。
【0051】したがって、(ωε)B /(ωε)D =S
BD(基板元素または基準元素と被測定元素の相対感度係
数であり装置により定まる)、Φ0 Bo(基板元素また
は基準元素の濃度)、ID (ψ)/IB (ψ)=ID
B (X線入射強度の比であり、容易に測定することが
できる)とすると、 φD =SBDΦBo(ID /IB )・(zX (ψ)+ZD )・・・(18) と表すことができる。
【0052】以上の説明は、基板元素を基準に用いた
が、他の例えば濃度がわかっている表面汚染試料を基準
とすることも勿論可能であり、その場合は、式(6)か
らI0を算出して、式(5),(8),(9)に代入す
ればよい。
【0053】上記の説明から明らかなように、元素Iと
元素Jの相対検出感度比SIJは、検出器固有の値である
ため一度相対検出感度比SIJを求めると、標準サンプル
を用いないで定量することができる。
【0054】従来の全反射蛍光X線分析の定量法におい
ては、不純物濃度φを、φ=k・I として求めてい
た。ここで、Iは蛍光X線強度(cps)、kは濃度変
換係数で、濃度のわかった標準サンプルとの比較から出
したものである。この方法では、入射角設定エラーある
いはX線源の強度変動等の影響が直接Iの誤差になり、
φの誤差を与える。また、この方法ではX線の入射角ψ
が変わった場合、その入射角ψでの係数k(ψ)を求め
る必要があるのに対し、この実施例の定量法では、どの
角度においても相対感度係数のみから定量することがで
きる。
【0055】本発明の一実施例の全反射蛍光X線分析の
定量法によるCo濃度測定結果を下記の表1に示してい
る。
【0056】
【表1】
【0057】この測定においては、シリコン(Si)ウ
ェハの表面をコバルト(Co)元素で均一に汚染させた
標準試料からの蛍光強度を、Siウェハ上の異なる9点
で測定した結果を示すものである。
【0058】この測定点は、Siウェハの中心から
(0,0),(0,30),(−30,0),(30,
0),(0,−20),(−20,20),(20,2
0),(−20,−20),(20,−20)であり
(単位はmm)、X線の入射角を0.005°として測
定した場合の、SiおよびCoの蛍光強度、および従来
法と本発明により定量した濃度を示している。X線の入
射角を0.05°としたが、Siの蛍光強度がウェハ上
の位置によりかなり異なるのは、入射角や試料高さの調
整の誤差によると考えられる。測定されたCoの蛍光強
度とも明らかな相関がある。
【0059】濃度換算は従来法においては、 φCo(atoms/cm2 )=k・ICo(cps)、k
=1.312×1011(atoms/cm2 ) で計算し、本特許においては式(5)から、 φCo(atoms/cm2 )=SCo・ZX ・ΦSi・(I
Co/ISi) で、SCo=0.00067、ZX =3.4×10-7
m、ΦSi=5×1022(atoms/cm3 )より、 φCo(atoms/cm2 )=1.14×1013(ICo
/ISi) から求めたものであり、その結果、従来法においては、 平均φCo=142×1010(atoms/cm2 ) 誤差3σICo =6.0×1010(atoms/cm2 ) となり、本発明においては、 平均φCo=143×1010(atoms/cm2 ) 誤差3σICo =18.0×1010(atoms/c
2 ) となり、誤差3σが42%から13%に小さくなった。
【0060】この差である29%は本発明により測定誤
差が減った効果であり、残りの13%には実際の濃度分
布の寄与が含まれていると考えることができる。
【0061】図7は、本発明の一実施例の全反射蛍光X
線分析の定量法によるCo濃度測定結果説明図である。
この図は、前記の表1に示した測定結果をグラフ化した
ものであり、横軸はウェハ内位置を示し、縦軸はCo濃
度を示している。この図から、従来法による測定結果は
平均値から大きくばらついているが、本発明による測定
結果は平均値近傍に集まっており、本発明による測定精
度が、従来法による測定結果より正確であることがわか
る。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、半導体
装置の特性の信頼性に影響がある金属汚染や製造過程で
の歩留りに大きく関係するパーティクル汚染を高感度で
正確にかつ安定に評価するための全反射蛍光X線分析の
定量法および定量装置を確立することにより、高集積回
路装置等の歩留りの向上に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる角度で入射した単位X線フラックスによ
る試料上方および内部のX線強度分布の説明図である。
【図2】Si基板からのSi蛍光収量とNi蛍光収量の
入射角度依存性説明図である。
【図3】矩形状のパーティクル状汚染の蛍光収量のサイ
ズ依存性および入射角依存性説明図である。
【図4】Niの蛍光収量とFeの蛍光収量入射角依存性
説明図である。
【図5】各種形態の汚染元素からの蛍光収量を基板元素
の蛍光収量で除したバルク比の入射角依存性説明図であ
る。
【図6】燐と砒素からの蛍光収量をレジスト中に均一に
含まれる硫黄の蛍光収量で除したバルク比のX線入射角
依存性説明図である。
【図7】本発明の一実施例の全反射蛍光X線分析の定量
法によるCo濃度測定結果説明図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定試料からの被測定元素の蛍光X線
    強度と、該被測定元素以外の、濃度および形状が知られ
    ている元素の蛍光X線強度を用い、該被測定元素と該被
    測定元素以外の元素の相対感度係数、X線侵入長または
    X線反射率を用いて被測定元素の濃度を定量することを
    特徴とする全反射蛍光X線分析の定量法。
  2. 【請求項2】 被測定元素以外の、濃度および形状が知
    られている元素の蛍光X線強度が、被測定試料基体の蛍
    光X線強度であることを特徴とする請求項1に記載され
    た全反射蛍光X線分析の定量法。
  3. 【請求項3】 被測定元素以外の、濃度および形状が知
    られている元素の蛍光X線強度が、標準試料の蛍光X線
    強度であることを特徴とする請求項1に記載された全反
    射蛍光X線分析の定量法。
  4. 【請求項4】 被測定試料からの被測定元素の蛍光X線
    強度の入射角依存性から、被測定元素の形状を、均一元
    素、パーティクル状汚染、表面汚染、内部汚染の何れか
    に分類し、各被測定元素の形状に適する濃度定量法を適
    用することを特徴とする全反射蛍光X線分析の定量法。
  5. 【請求項5】 被測定試料からの蛍光X線強度を検出す
    る手段と、該被測定試料に対するX線の侵入長、X線反
    射率またはX線強度分布を計算しあるいは蓄積データか
    ら求める手段と、被測定元素の蛍光X線強度と、該被測
    定試料に対するX線の侵入長、X線反射率またはX線強
    度分布と該被測定元素の相対感度係数から、該被測定元
    素の濃度を定量する手段を有することを特徴とする全反
    射蛍光X線分析装置。
JP13300695A 1995-05-31 1995-05-31 全反射蛍光x線分析の定量法および定量装置 Withdrawn JPH08327566A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008191050A (ja) * 2007-02-06 2008-08-21 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 蛍光x線分析法及び装置
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JP2010071762A (ja) * 2008-09-17 2010-04-02 Tokyo Electron Ltd 粒子径測定装置、粒子径測定方法及びコンピュータプログラム
US9746433B2 (en) 2014-07-01 2017-08-29 Rigaku Corporation X-ray fluorescence spectrometer and X-ray fluorescence analyzing method
KR20190131363A (ko) * 2018-05-16 2019-11-26 한국원자력 통제기술원 X-선 분석 시스템 및 x-선 분석 방법

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