JPH08328664A - 位置制御装置及び方法 - Google Patents

位置制御装置及び方法

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JPH08328664A
JPH08328664A JP7135243A JP13524395A JPH08328664A JP H08328664 A JPH08328664 A JP H08328664A JP 7135243 A JP7135243 A JP 7135243A JP 13524395 A JP13524395 A JP 13524395A JP H08328664 A JPH08328664 A JP H08328664A
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    • G11B5/00—Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/48—Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed
    • G11B5/58—Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with provision for moving the head for the purpose of maintaining alignment of the head relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following
    • G11B5/596—Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with provision for moving the head for the purpose of maintaining alignment of the head relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following for track following on disks
    • G11B5/59605—Circuits
    • G11B5/59622—Gain control; Filters

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  • Moving Of The Head To Find And Align With The Track (AREA)
  • Control Of Position Or Direction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 繰り返し誤差の周波数が高い場合であって
も、制御系の安定性を損なうことなく制御対象物体の位
置を確実に制御する。 【構成】 磁気ヘッドの目標位置に対する現在位置の偏
差の大きさ及び方向をデジタル値で表すヘッド位置信号
y(n) がサンプリング周期Ts毎に入力され、モータ電流
制御量をデジタル値で表したモータ電流制御信号u(n)
を生成し出力する主制御部68に、所定の角周波数ω0 を
含む狭帯域内の周波数の成分に対しては利得がピークと
なり、前記狭帯域外の周波数成分に対しては利得が殆ど
0となるデジタルフィルタ86を、ヘッド位置信号y(n)
が入力されるように設けると共に、フィルタ86から出力
された信号の位相を5Ts遅らせて出力する位相変更部88
を、前記位相を遅らせた信号が加え合わせ点74を介して
モータ電流制御信号u(n) に加わるように設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は位置制御装置及び位置制
御方法に係り、特に、アクチュエータにより回転体の直
径方向に沿った各位置に対応する位置に移動される制御
対象物体の位置を制御する位置制御方法、及び該位置制
御方法を適用可能な位置制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク装置等の磁気ディスクに
は、同心円状に複数のデータトラックが形成されている
と共に、ディスクの直径方向に沿って識別情報及びバー
ストパターンが予め記録されている。識別情報は各デー
タトラックのトラックアドレスを表す情報であり、磁気
ヘッドによって読み取られた識別情報に基づいて、磁気
ヘッドのおおよその位置、すなわち磁気ヘッドがどのデ
ータトラックに対応する位置に位置しているかを判断で
きる。またバーストパータンは、各々信号が記録された
領域がディスクの直径方向に沿って一定間隔で配列され
互いに信号記録領域の位相が異なる複数のバーストパタ
ーン列で構成されており、磁気ヘッドからバーストパタ
ーンに応じて出力される信号に基づいて、磁気ヘッドの
細かな位置、すなわち磁気ヘッドが対応しているデータ
トラックに対し、磁気ヘッドの位置がどの程度ずれてい
るかを検出できる。
【0003】磁気ディスクに対する情報の読取り又は書
込みは、磁気ディスクが回転している状態で、磁気ヘッ
ドで読み取られた識別情報に基づいて磁気ヘッドのおお
よその位置を判断しながら磁気ヘッドを移動させて磁気
ヘッドを特定のデータトラックに対応させ、次に磁気ヘ
ッドからバーストパターンに応じて出力される信号に基
づいて磁気ヘッドを前記特定のデータトラックに正確に
位置決めした後に行われる(所謂シーク動作)。また、
情報の読取り又は書込みを行っている間も、磁気ヘッド
からバーストパターンに応じて出力される信号に基づい
て、前記特定のデータトラックに対し、磁気ヘッドが一
定の位置に位置するようにフィードバック制御される
(所謂トラックフォロー動作)。
【0004】ところで、ハードディスク装置の磁気ディ
スクは、モータによって回転駆動されるスピンドルの外
周に取付けられているが、製造誤差等の原因により、磁
気ディスクの中心はスピンドルの回転中心に対して若干
偏心していることが殆どである。この偏心は、磁気ヘッ
ドが特定のデータトラックに対して一定の位置に位置す
るようにフィードバック制御する制御系に対し外乱とし
て作用する。
【0005】すなわち、上記のフィードバック制御系で
は磁気ヘッドからバーストパターンに応じて出力される
信号をフィードバック要素とし、前記信号から求まるデ
ータトラックに対する磁気ヘッドの位置と、磁気ヘッド
の目標位置と、の偏差を表す制御動作信号に基づいて、
磁気ヘッドの位置を目標位置に一致させる操作量信号を
生成、出力することにより磁気ヘッドの位置を制御して
いる。しかし、磁気ヘッドの位置を目標位置に一致させ
ることができていたとしても、前述の偏心により所定周
期毎に前記偏差が大きな値となる外乱(繰り返し誤差と
称する)が加わるので、前記制御系による制御が繰り返
し誤差に追従しきれず、目標位置に対する磁気ヘッドの
位置のずれが許容値を越えることがあった。これによ
り、データトラックから読み取った情報が一部欠落した
り、データトラックに書き込むべき情報の一部を正常に
書き込めない等のエラーが繰り返し発生していた。
【0006】上記に関連して、本願出願人は、前記制御
動作信号に含まれる各周波数の成分のうち比較的低い特
定周波数(例えば60HZ )の成分にのみ高い利得を有す
るデジタルフィルタを用い、入力された制御動作信号を
前記デジタルフィルタに入力し、デジタルフィルタから
出力された信号を加えて操作量信号を生成、出力するよ
うにした回転記憶システム(磁気ディスク装置)を既に
提案している。この磁気ディスク装置では、前記特定周
波数を繰り返し誤差の発生周期に対応する周波数(以
下、単に繰り返し誤差の周波数と称する)と一致させる
ことにより、制御系の他の部分の構成を変更することな
く、トラックフォロー動作においてヘッドが常にデータ
トラックに追従するように制御することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁気デ
ィスク装置ではスピンドルの回転中心に対する磁気ディ
スクの中心の偏心以外にも、スピンドルを回転させるモ
ータのベアリングが真円でない等の理由により、高い周
波数の繰り返し誤差が発生する。この高い周波数の繰り
返し誤差は、特に磁気ディスクへの情報の記録密度を高
くするために、磁気ディスク上に形成されるデータトラ
ックのピッチを小さく(データトラックの幅を狭く)し
た場合に特に問題となる。これに対し、前述の磁気ディ
スク装置において、デジタルフィルタの利得が高くなる
周波数を単に高くしたとすると、制御系の安定性が損な
われるという問題がある。
【0008】すなわち、図15には前述の磁気ディスク
装置の制御系の閉ループ伝達関数より求めたナイキスト
線図(z変換の演算子zが複素平面(z平面)上の単位
円上を回ったときの複素平面上における複素ベクトルの
軌跡、但しナイキスト線図の軌跡は実軸に関して対称な
ので一方のみ図示する、以下同様)の一例を示す。
【0009】このナイキスト線図の軌跡における鋭い変
化(ピーク120)はデジタルフィルタの影響によるも
のであり、複素平面上の(-1,j0)の点から離間した位置
に前記鋭い変化が生じているので、制御系の安定性は高
いと判定できる。しかし、ナイキスト線図上で前記ピー
ク120が生じている箇所の位置は、デジタルフィルタ
の利得が高くなる周波数の値に応じて変化し、該周波数
が高くなるに従って前記ピーク120が生じている箇所
の位置は複素平面上の(-1,j0)の点に近づくので、制御
系の安定性は低下すると判定できる。
【0010】このように、従来の磁気ディスク装置で
は、制御系の安定性を考慮すると、デジタルフィルタの
利得が高くなる周波数を、ナイキスト線図の軌跡が複素
平面上の(-1,j0)の点に近づくことになる高い周波数と
することはできず、制御系の安定性が損なわれることの
ないように余裕を見込んで、デジタルフィルタの利得が
高くなる周波数を、ナイキスト線図の軌跡が複素平面上
の(-1,j0)の点に近づくことのない、比較的低い周波数
に設定せざるを得なかった。
【0011】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、繰り返し誤差の周波数が高い場合であっても、制御
系の安定性を損なうことなく制御対象物体の位置を確実
に制御することができる位置制御装置及び位置制御方法
を得ることが目的である。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る位置制御装置は、制御対象物体の現在位置
として前記制御対象物体が対応している回転体の直径方
向に沿った位置を検出する検出手段と、前記回転体の直
径方向に沿った位置で表した制御対象物体の目標位置が
入力され、前記検出手段によって検出された現在位置と
前記入力された目標位置との偏差を表す制御動作信号を
出力する信号出力手段と、前記信号出力手段から出力さ
れた制御動作信号に基づいて、制御対象物体を前記目標
位置に対応する位置に移動させるための操作量信号を生
成し出力することにより、アクチュエータによる制御対
象物体の移動を制御する制御手段と、を含む位置制御装
置であって、前記制御手段に、入力された制御動作信号
に含まれる所定周波数の成分又は前記所定周波数を含む
所定帯域内の周波数の成分に対してのみ利得が所定値以
上となり、前記所定周波数以外の周波数の成分又は前記
所定帯域外の周波数の成分に対しては利得が0又は0に
近い値となるフィルタ手段と、前記フィルタ手段から出
力された信号又は前記フィルタ手段に入力される制御動
作信号の位相を変更する位相変更手段と、を設け、前記
フィルタ手段及び位相変更手段から成る伝達要素から出
力された信号が前記操作量信号に加わるように前記制御
手段を構成したことを特徴としている。
【0013】また本発明は、前記回転体として、円盤状
で同心円状に複数のトラックが形成され各トラックに情
報を記録可能な情報記録媒体を、前記制御対象物体とし
て、前記回転体のトラックに記録された情報を読み取る
機能を少なくとも備えたヘッドを適用することができ
る。
【0014】また本発明は、前記情報記録媒体として、
ハードディスク装置の磁気ディスクを、前記ヘッドとし
て、前記磁気ディスクのトラックに記録された情報を読
み取る機能を少なくとも備えたハードディスク装置の磁
気ヘッドを適用することができる。
【0015】また本発明は、前記フィルタ手段として、
前記検出手段による制御対象物体の位置の検出周期をT
s、前記所定周波数に対応する角周波数をω0 としたと
きのz変換により表した伝達関数H(z)が、
【0016】
【数5】
【0017】であるデジタルフィルタ(但し、r、Kは
定数)を、前記位相変更手段として、元の系からの遅れ
時間をdとしたときのラプラス変換により表した伝達関
数D(s)が
【0018】
【数6】
【0019】であるフィルタを用いることができる。本
発明に係る位置制御方法は、制御対象物体の現在位置と
して前記制御対象物体が対応している回転体の直径方向
に沿った位置を検出し、検出した現在位置と、前記回転
体の直径方向に沿った位置で表した制御対象物体の目標
位置と、の偏差を表す制御動作信号に基づいて、制御対
象物体を前記目標位置に対応する位置に移動させるため
の操作量信号を生成すると共に、前記制御動作信号を、
入力された信号に含まれる所定周波数の成分又は前記所
定周波数を含む所定帯域内の周波数の成分に対してのみ
利得が所定値以上となり、前記所定周波数以外の周波数
の成分又は前記所定帯域外の周波数の成分に対しては利
得が0又は0に近い値となるフィルタ手段に入力し、前
記フィルタ手段から出力された信号の位相を変更して前
記操作量信号に加えるか、又は前記制御動作信号の位相
を変更して前記フィルタ手段に入力し、フィルタ手段に
出力された信号を前記操作量信号に加え、前記操作量信
号によりアクチュエータによる制御対象物体の移動を制
御する。
【0020】また上記発明において、前記フィルタ手段
としては、前記検出手段による制御対象物体の位置の検
出周期をTs、前記所定周波数に対応する角周波数をω
0 としたときのz変換により表した伝達関数H(z)
が、
【0021】
【数7】
【0022】であるデジタルフィルタ(但し、r、Kは
定数)を用いることができ、前記フィルタ手段から出力
された信号又は前記制御動作信号の位相の変更は、元の
信号に対する遅れ時間をdとしたときのラプラス変換に
より表した伝達関数D(s)が
【0023】
【数8】
【0024】であるフィルタにより行うことができる。
【0025】
【作用】所定の角周波数ω0 (=2πf0 )では利得が
非常に大きな値、他の周波数では利得が殆ど0となり、
かつ狭帯域のデジタルフィルタの伝達関数H(z)の一
例を次の(1)式に示す。
【0026】
【数9】
【0027】但し、Ts :サンプリング時間 r,K:定数 上記(1)式で定義される狭帯域のデジタルフィルタ
は、所定周波数f0 において分母が0となることにより
H(z)の値が無限大となる。また定数Kの値を変化さ
せると、図2に示すように所定周波数f0 以外の周波数
におけるディジタルフィルタの利得が変化し、定数rの
値を変化させると、図3に示すように利得が大きくなる
帯域幅が変化する。このため、定数Kの値を小さくし、
かつ定数rの値を1に近い値とすることで、H(z)の
零点を極に近づけさせ、所定周波数f0 以外の周波数に
おけるH(z)の値を殆ど0とすることができる。
【0028】一方、例として図4には、磁気ディスク装
置の閉ループ制御系のうち、入力された制御動作信号Y
(z)に基づいて操作量信号U(z)を生成、出力する
制御要素の構成の一例を概念的に示し、この制御要素及
び制御対象物体としてのヘッドの位置を移動させるアク
チュエータ(ボイスコイルモータ)を含む閉ループ伝達
関数より求めたナイキスト線図を図6(A)に示す。な
お図4において、制御動作信号Y(z)を、所定時間毎
に検出されるヘッドの現在位置とヘッドの目標位置との
偏差をデジタル値で表すヘッド位置信号y(n)(但し
nは離散時間値系において或る時点での信号であること
を表す)に置き換え、操作量信号U(z)をヘッドを移
動させるアクチュエータに対する制御量をデジタル値で
表す制御信号u(n)に置き換えたとすると、図4に示
す制御要素は、次の(2)式で表される。
【0029】 u(n) = 0.259y(n) +(-0.190)y(n-1) + 0.00779I(n) + 1.595u(n-1) +0.336 u(n-2) I(n+1) =I(n) +y(n) …(2) ここで、ボイスコイルモータの伝達関数V(z)が、
【0030】
【数10】
【0031】であり、かつ図4に示す制御要素を含む制
御系の動作周波数(サンプリング周波数fs)が4KH
zであったときに、この制御要素に対し、伝達関数が、
前述の(1)式におけるr=0.95、K=−0.01、ω0 を
比較的高い値(例えばω0 =2πf0 、f0 = 200H
z)とした伝達関数H(z)に等しい伝達要素(すなわ
ち狭帯域のデジタルフィルタ)110を追加した場合
(図5参照)を考える。
【0032】図5に示す制御要素を含む閉ループ制御系
における伝達関数の特性根を調べると、この閉ループ制
御系は不安定であることが判明した。すなわち、図5に
示す制御要素を含む閉ループ制御系の伝達関数より求め
たナイキスト線図は、図6(B)に「位相を変更しない
場合(d=0)」と記した破線のようになる。なお、図
6(B)は図6(A)のうち二点鎖線で囲んだ範囲を拡
大表示したものであり、前記範囲外における軌跡は図6
(a)と同じである。
【0033】この破線の軌跡は、zの変化に伴って第2
象限から実軸に接近し、実軸と交差して第3象限に一旦
入った後に、再び実軸と交差し第2象限に戻って無限遠
点に向かい、次に第3象限の無限遠点から実軸に接近
し、一旦実軸と交差して第2象限に入った後に(-1,j0)
の点を囲むようにして実軸上で終了している。また、第
2象限の無限遠点から第3象限の無限遠点へ向かう軌跡
(図示せず)は、図6(B)に矢印Cで示すように反時
計回りに回る。
【0034】このように、ナイキスト線図の軌跡が、無
限遠点へ向かった後に無限遠点から戻ってくる軌跡とな
るのは、デジタルフィルタ110を追加したことで伝達
関数の極(不安定極)の数が増加したことによるもので
ある。伝達関数の極の数が増加した場合、閉ループ制御
系の動作が安定であるためには、ナイキスト線図の軌跡
が複素平面上の(-1,j0)の点の周囲を回る周回数を増や
す必要がある。これに対し、図6(B)に破線で示す軌
跡では、複素平面上の(-1,j0)の点が、前述した無限遠
点から無限遠点へ向かう軌跡を含んで構成される無限円
によって囲まれておらず、ナイキスト線図の軌跡が複素
平面上の(-1,j0)の点の周囲を回る周回数が増えていな
い。従って、図5に示す制御要素を含む閉ループ制御系
の動作は不安定であると判定できる。
【0035】なお、(1)式における定数Kの符号を負
にしたとすると、図6(B)において第2象限の無限遠
点から第3象限の無限遠点への軌跡が逆回り(時計回
り)となるので、複素平面上の(-1,j0)の点が無限円に
よって囲まれ、前述の周回数は増加するが、無限遠点へ
向かうときの軌跡が複素平面上の(-1,j0)の点に比較的
近い位置を通っているので、ボイスコイルモータの特性
が変化したとすると、前記軌跡が複素平面上の(-1,j0)
の点を横切ることになり易く、閉ループ制御系の動作が
不安定となり易い。
【0036】ここで、本願発明者は、狭帯域のフィルタ
は 利得が最大となる所定の角周波数ω0 以外の周波数
では利得が殆ど0であるので閉ループ制御系全体に殆ど
影響を及ぼさない点に着目し、フィルタを通過した信号
の位相を変更すれば系の動作が安定する可能性があるこ
とに想到し、本発明を成すに至った。
【0037】このため本発明に係る位置制御装置は、制
御動作信号出力部から出力された制御動作信号に基づい
て、制御対象物体を目標位置に対応する位置に移動させ
るための操作量信号を出力し、アクチュエータによる制
御対象物体の移動を制御する制御手段に、入力された制
御動作信号に含まれる所定周波数の成分又は前記所定周
波数を含む所定帯域内の周波数の成分に対してのみ利得
が所定値以上となり、前記所定周波数以外の周波数の成
分又は前記所定帯域外の周波数の成分に対しては利得が
0又は0に近い値となるフィルタ手段と、フィルタ手段
から出力された信号又は前記フィルタ手段に入力される
制御動作信号の位相を変更する位相変更手段と、を設
け、フィルタ手段及び位相変更手段から成る伝達要素か
ら出力された信号が前記操作量信号に加わるように制御
手段を構成している。
【0038】フィルタ手段としては(1)式で表される
伝達関数のデジタルフィルタ等を用いることができる。
また、位相変更手段は利得に影響せず位相のみ変更する
特性を有していることが好ましく、このような特性を有
する代表的なフィルタの伝達関数(ラプラス変換により
表した伝達関数D(s))は、
【0039】
【数11】
【0040】但し、d:元の系からの遅れ時間 となる。例として、図4に示す制御要素に対し、(1)
式で表される伝達関数のフィルタ手段、及び(4)式で
表される伝達関数の位相変更手段(フィルタ)を、フィ
ルタ手段に制御動作信号が入力され、かつ位相変更手段
にフィルタ手段から出力された信号が入力されるように
設けたとすると、制御要素は概念的に図1に示す構成と
なる。
【0041】そして、位相変更手段における遅れ時間d
を、一例として3Ts,4Ts,5Ts(サンプリング
時間Tsの整数倍)としたときの、前記制御要素を含む
閉ループ制御系のナイキスト線図を各々求めると、ナイ
キスト線図は遅れ時間dの変化に伴って図6(B)に示
すように変化する。なお、図6(B)では遅れ時間dを
3Tsとした場合を一点鎖線で、遅れ時間dを4Tsと
した場合を二点鎖線で、遅れ時間dを5Tsとした場合
を実線で各々示している。
【0042】図6(B)より明らかなように、遅れ時間
dを3Ts,4Ts,5Tsとしたときの軌跡は、位相
変更手段を設けていない図5の制御要素の場合と同様
に、何れもzの変化に伴って第2象限から実軸から接近
し、一旦無限遠点へ向かった後に無限遠点から戻ってく
る軌跡となっているが、無限遠点の位置は位相変更手段
を設けていない場合と各々異なっており、複素平面上の
(-1,j0)の点は何れも無限円によって囲まれている。従
って、本発明に係る位置制御装置のナイキスト線図の軌
跡についても複素平面上の(-1,j0)の点の周囲を回る周
回数が増えるので、本発明に係る位置制御装置の動作は
安定性が高いと判定できる。
【0043】このように、本発明では位相変更手段によ
る位相の変更量を変化させることにより、フィルタ手段
の利得が所定値以上となる周波数の高低に拘わらず、よ
り詳しくは、フィルタ手段の利得が所定値以上となる周
波数を、ナイキスト線図の軌跡が複素平面上の(-1,j0)
の点に近づくことになる高い周波数とした場合であって
も、制御系の安定性が損なわれることのないように、ナ
イキスト線図の軌跡を変更することができる。従って、
本発明は繰り返し誤差の周波数が高く、フィルタ手段の
利得が所定値以上となる周波数を前記繰り返し誤差の周
波数に一致させた場合にも、制御系の安定性を損なうこ
となく制御対象物体の位置を確実に制御することができ
る。また、本発明は既存の制御部にフィルタ手段及び位
相変更手段を設けるのみで実現でき、制御部の構成を大
幅に変更する必要もない。
【0044】なお、本発明では、回転体として、円盤状
で同心円状に複数のトラックが形成され各トラックに情
報を記録可能な情報記録媒体を適用すると共に、制御対
象物体として、回転体に記録された情報を読み取る機能
を少なくとも備えたヘッドを適用することができる。ま
た、前記情報記録媒体としては、一例としてハードディ
スク装置の磁気ディスクを適用することができ、前記ヘ
ッドとしては、前記磁気ディスクのトラックに記録され
た情報を読み取る機能を少なくとも備えたハードディス
ク装置の磁気ヘッドを適用することができる。
【0045】本発明に係る位置制御方法は、制御動作信
号に基づいて、制御対象物体を目標位置に対応する位置
に移動させるための操作量信号を生成すると共に、制御
動作信号を、入力された信号に含まれる所定周波数の成
分又は前記所定周波数を含む所定帯域内の周波数の成分
に対してのみ利得が所定値以上となり、前記所定周波数
以外の周波数の成分又は前記所定帯域外の周波数の成分
に対しては利得が0又は0に近い値となるフィルタ手段
に入力し、フィルタ手段から出力された信号の位相を変
更して操作量信号に加えるか、又は制御動作信号の位相
を変更して前記フィルタ手段に入力し、フィルタ手段に
出力された信号を操作量信号に加え、前記操作量信号に
よりアクチュエータによる制御対象物体の移動を制御す
るようにしたので、上記と同様に、繰り返し誤差の周波
数が高い場合であっても、制御系の安定性を損なうこと
なく制御対象物体の位置を確実に制御することができ
る。
【0046】なお、上記発明においても、フィルタ手段
としては(1)式で表される伝達関数のデジタルフィル
タ等を用いることができ、フィルタ手段から出力された
信号又は制御動作信号の位相の変更は、(4)式(但し
(4)式におけるdは元の信号に対する遅れ時間)で表
される伝達関数のフィルタにより行うことができる。
【0047】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。なお、以下では本発明に支障のない数値を
用いて説明するが、本発明は以下に記載した数値に限定
されるものではない。
【0048】図7には本実施例に係るハードディスク装
置10が示されている。ハードディスク装置10は、電
源が投入されるとシャフト12を一定速度で高速に回転
させる駆動装置14を備えている。シャフト12には、
互いの軸線が一致するように円筒状のスピンドル16が
取付けられており、スピンドル16の外周面にはディス
ク18が取付けられている。
【0049】ディスク18は所定の厚み寸法を有する円
盤状とされており、硬質の材料で形成されかつ両面に磁
性材料が塗布されており、両面が記録面とされている。
ディスク18の中心部にはスピンドル16の外径寸法と
ほぼ同径の孔が穿設されている。孔にはスピンドル16
が挿入されており、ディスク18はスピンドル16の外
周面に固定されている。従って、ハードディスク装置1
0の電源が投入され駆動装置14によってシャフト12
が回転されると、ディスク18はスピンドル16と一体
的に回転される。
【0050】ディスク18の各記録面には、図8に示す
ようにディスク18の直径方向に沿って複数の位置検出
情報記録領域50が放射状に形成されており、残りの領
域がデータトラック領域52とされている。図9には位
置検出情報記録領域50及びデータトラック領域52の
一部を示す。データトラック領域52には複数のデータ
トラックが同心円状にピッチPで形成されており、図9
にはその一部であるデータトラック54A、54B、5
4Cを示す。各データトラック54に対しては、後述す
る磁気ヘッドによってディスク18の円周方向(図9矢
印A方向)に沿って情報の読取り、書込みが行われる。
【0051】一方、位置検出情報記録領域50にはトラ
ック識別情報記録領域50A及びバーストパターン記録
領域50Bが設けられている。トラック識別情報記録領
域50Aには、各データトラック54に対応して、各デ
ータトラックのトラックアドレスをグレイコード(巡回
2進符号)で表したトラック識別情報が記録されてい
る。また、バーストパターン記録領域50Bにはバース
トパターンが形成されている。図9に示すように、バー
ストパターンは各々信号が記録された領域(図9にハッ
チングで示す部分)がデータトラック54の配列方向、
すなわちディスク18の直径方向に沿って配列された4
本のバーストパターン列(バーストパターン列A乃至
D)から成る。各バーストパターン列を構成する各信号
記録領域は、ディスク18の直径方向に沿った寸法及び
隣り合う領域との間隔が各々データトラック54のピッ
チPに等しい長さとされている。
【0052】バーストパターン列Aの信号記録領域50
a及びバーストパターン列Bの信号記録領域50bは、
ディスク18の直径方向に沿って千鳥状に配置され、か
つ各領域のディスクの直径方向に沿った両端部の辺がデ
ータトラック54の幅方向中心部に対応しており、各領
域に信号が記録されることによってバーストパターン列
A及びBが形成されている。また、バーストパターン列
Cの信号記録領域50c及びバーストパターン列Dの信
号記録領域50dは、ディスク18の直径方向に沿って
千鳥状に配置され、かつ各領域のディスクの直径方向に
沿った両端部の辺が隣接するデータトラック間の境界に
対応しており、各領域に信号が記録されることによって
バーストパターン列C及びDが形成されている。
【0053】また図7に示すように、ハードディスク装
置10はディスク18の各記録面に対応して設けられた
磁気ヘッド20A、20Bを備えている。磁気ヘッド2
0A、20Bは、MR素子を利用して情報の読取りを行
う図示しないリードエレメントと、コイルによって情報
の書込みを行う図示しないライトエレメントと、を含ん
で構成されている。磁気ヘッド20A、20Bは各々ア
クセスアーム22A、22Bの先端部に取付けられてお
り、ディスク18の対応する記録面から若干(例えば
0.1〜 0.2ミクロン程度)離れた位置に保持されてい
る。アクセスアーム22A〜22Dの磁気ヘッド20が
取付けられた側と反対側の端部は駆動装置24に取付け
られている。
【0054】駆動装置24は、アクセスアーム22A、
22Bに対応して設けられ各アクセスアームを移動させ
るボイスコイルモータ26(図10参照)を備えてお
り、後述するマイクロプロセッシングユニットによって
ボイスコイルモータ26が駆動されると、磁気ヘッド2
0A、20Bがディスク18の直径方向に略沿って移動
するようにアクセスアームを移動させる。これにより、
磁気ヘッド20A、20Bはディスク18の記録面上の
所定部位に対応される。
【0055】磁気ヘッド20A、20Bは図10に示す
ような回路に各々接続されている。すなわち磁気ヘッド
20の信号出力端は増幅器28の入力端に接続されてお
り、磁気ヘッド20のリードエレメントから出力された
信号は増幅器28で増幅される。増幅器28の出力端は
アナログデジタル変換器(A/D変換器)30の入力端
に接続されている。A/D変換器30の出力端はマイク
ロプロセッシングユニット(MPU)32の信号入力端
に接続されており、増幅器28から出力されたアナログ
の信号はA/D変換器30でデジタル信号に変換されて
MPU32へ出力される。
【0056】MPU32は、A/D変換器30から入力
された信号に基づいて磁気ヘッド20の位置を判断し、
判断した磁気ヘッド20の位置と磁気ヘッド20の目標
位置との偏差に応じて、後述するようにして磁気ヘッド
20の位置を制御するためのデジタル信号(具体的には
ボイスコイルモータ26のボイスコイルを流れる電流を
制御するためのモータ電流制御信号)を生成し、MPU
32に接続されたドライバ34へ出力する。ドライバ3
4は入力された信号に基づいてボイスコイルモータ26
のボイスコイルを流れる電流を制御する。これにより、
磁気ヘッド20の位置が目標位置に一致するように移動
される。
【0057】次に本実施例の作用を説明する。図11に
は、MPU32が備えている各種機能のうち、磁気ヘッ
ド20により情報の読取り又は書込みを行っている最中
に、磁気ヘッド20の位置が所定のデータトラック54
に対応する位置を追従(トラックフォロー動作)するよ
うに磁気ヘッド20の位置を制御する機能を実現するた
めの制御系を、機能毎にブロックに別けて示したもので
ある。
【0058】A/D変換器30から出力された信号はヘ
ッド現在位置演算部60及びバーストパターン検出部6
2に入力される。バーストパターン検出部62では入力
された信号に基づいて、磁気ヘッド20がバーストパタ
ーン記録領域50Bに対応しているか否かを判定し、判
定結果をヘッド現在位置演算部60に出力する。ヘッド
現在位置演算部60では、バーストパターン検出部62
により磁気ヘッド20がバーストパターン記録領域50
Bに対応していると判定されているときに、A/D変換
器30から出力された信号を取込み、該信号に基づいて
磁気ヘッド20が現在対応しているディスク18の直径
方向に沿った位置(磁気ヘッド20の現在位置)を演算
し、出力する。従って、ヘッド現在位置演算部60から
はヘッド現在位置が所定周期(サンプリング周期Ts)
毎に出力される。
【0059】またヘッド目標位置設定部64は、ディス
ク18の直径方向に沿った位置で表した磁気ヘッド20
の目標位置を設定、出力する。なお、磁気ヘッド20の
リードエレメントに対応するギャップと、ライトエレメ
ントに対応するギャップの各々の長手方向に沿った中心
位置(センタ)にずれ(オフセット)がある場合には、
ヘッド目標位置設定部64は、磁気ヘッド20の目標位
置としてデータトラック54からの情報の読取り時と書
込み時とで異なる値(例えば読取り時はリードエレメン
トのギャップのセンタがデータトラック54のセンタに
一致する値、書込み時はライトエレメントのギャップの
センタがデータトラック54のセンタに一致する値)を
設定、出力する。
【0060】ヘッド現在位置演算部60から出力された
ヘッド現在位置、及びヘッド目標位置設定部64から出
力されたヘッド目標位置はヘッド位置信号生成部66に
各々入力される。ヘッド位置信号生成部66は入力され
たヘッド現在位置とヘッド目標位置とを比較し、ヘッド
目標位置に対するヘッド現在位置の偏差の大きさ及び偏
差の方向(ヘッド目標位置に対しヘッド現在位置がディ
スク18の内周側にずれているか外周側にずれている
か)をデジタル値で表すヘッド位置信号y(n)をサン
プリング周期Ts毎に出力する。
【0061】なおヘッド位置信号y(n)は本発明の制
御動作信号に、バーストパターン検出部62及びヘッド
現在位置演算部60は本発明の検出手段に、ヘッド位置
信号生成部66は本発明の信号出力手段に各々対応して
いる。
【0062】ヘッド位置信号生成部66から出力された
ヘッド位置信号y(n)は、本発明の制御手段としての
主制御部68に入力される。主制御部68で行われる処
理を、該処理により実現される入力と出力との関係に着
目してブロック線図により概念的に示すと、図12のよ
うになる。
【0063】図12に示すように、ヘッド位置信号y
(n)は、引き出し点70を介して伝達関数(出力信号
と入力信号とのz変換の比)が「0.259 」の伝達要素7
2に入力され、伝達要素72から出力された信号は加え
合わせ点74に入力される。また、ヘッド位置信号y
(n)は、引き出し点70を介し、伝達関数が「1/
z」の1サンプル遅れ要素76に入力され、1サンプル
遅れ要素76から出力された信号は伝達関数が「-0.19
0」の伝達要素78に入力され、伝達要素78から出力
された信号は加え合わせ点74に入力される。
【0064】また、ヘッド位置信号y(n)は引き出し
点70を介して加え合わせ点80に入力され、加え合わ
せ点80から出力された信号は、伝達関数が「1/z」
の1サンプル遅れ要素82に入力される。1サンプル遅
れ要素82から出力された信号は加え合わせ点80に入
力されると共に、伝達関数が「0.00779 」の伝達要素8
4に入力され、伝達要素84から出力された信号は加え
合わせ点74に入力される。更に、ヘッド位置信号y
(n)は引き出し点70を介し、伝達関数が先の(1)
式(但し、本実施例では定数r=0.95、定数K=−0.01
としている)、に等しい伝達要素86(本発明のフィル
タ手段に対応、以下デジタルフィルタ86と称する)に
入力される。
【0065】なお、デジタルフィルタ86の伝達関数
は、(1)式の角周波数ω0 として繰り返し誤差の周波
数(f0 )に対応する値が設定されている。一般に、ス
ピンドル16の回転中心に対するディスク18の中心の
偏心、ディスク18の変形、スピンドル16を回転させ
るモータのベアリングが真円でない、等の理由で生ずる
繰り返し誤差の周波数は、ディスク18の回転速度に対
応する周波数の整数倍となる。このため、繰り返し誤差
の周波数はディスク18の回転速度に基づいて容易に予
測することができる。本実施例では、角周波数ω0 =2
πf0 、f0 = 200Hzとしている。
【0066】デジタルフィルタ86から出力された信号
は、伝達関数が先の(4)式(但し、本実施例では遅れ
時間d=5・Tsとしている)に等しい伝達要素88
(本発明の位相変更手段に対応、以下位相変更部88と
称する)に入力される。位相変更部88から出力された
信号は加え合わせ点74に入力される。また加え合わせ
点74には、伝達関数が「1.595 」の伝達要素90、及
び伝達関数が「0.336 」の伝達要素92から出力された
信号も各々入力される。
【0067】加え合わせ点74からは伝達要素72、7
8、84、位相変更部88、伝達要素90、92から各
々入力された信号の代数和に相当する信号が出力され、
この信号は、引き出し点94を介してモータ電流制御量
をデジタル値で表したモータ電流制御信号u(n)(本
発明の操作量信号に相当)として主制御部68から出力
されると共に、伝達関数が「1/z」の1サンプル遅れ
要素96に入力される。1サンプル遅れ要素96から出
力された信号は、前述の伝達要素90及び伝達関数が
「1/z」の1サンプル遅れ要素98に各々入力され
る。1サンプル遅れ要素98から出力された信号は前述
の伝達要素92に入力される。
【0068】なお、上記で説明したブロック線図は、主
制御部68で行われる処理を概念的に示したものであ
り、実際にはMPU32において、ヘッド位置信号生成
部66から入力されたヘッド位置信号y(n)に基づい
て所定の処理ルーチンが実行されることにより、前記加
え合わせ点74から出力される信号に等しい信号が生成
され、モータ電流制御信号u(n)としてドライバ34
へ出力される。
【0069】図12に示す主制御部68のブロック線図
を、図4に示す従来の主制御部のブロック線図と比較す
ると、デジタルフィルタ86及び位相変更部88が追加
されている以外は同一である。また図3にも示すよう
に、デジタルフィルタ86の利得は周波数f0 を中心と
する狭帯域外では殆ど0となっているので、ヘッド位置
信号y(n)に含まれる各周波数の成分のうち前記狭帯
域外の周波数の成分に応じた出力に対し、前記デジタル
フィルタ86は殆ど影響を及ぼさない。従って、主制御
部68に入力されるヘッド位置信号y(n)に含まれる
各周波数の成分のうち、前記狭帯域外の周波数成分に対
する出力は従来と同じであり、従来と同様に、磁気ヘッ
ド20の位置を高い精度で目標位置に制御することがで
きる。
【0070】また、従来の磁気ディスク装置では、磁気
ヘッド20の位置を高い精度で制御できていたとして
も、前記繰り返し誤差により、実際にはヘッド目標位置
とヘッド現在位置との偏差は周期的に高い値となり、主
制御部68に実際に入力されるヘッド位置信号y(n)
のうちの周波数f0 の成分には繰り返し誤差が含まれる
ことになる。
【0071】これに対し、本実施例ではヘッド位置信号
y(n)のうち周波数f0 を中心とする狭帯域内に対応
する周波数の成分、すなわち繰り返し誤差の周波数に対
応する周波数の成分に対しては、デジタルフィルタ86
の利得が非常に高い。このため、図13には主制御部6
8のエラー関数の特性線図(各周波数の成分の外乱をど
の程度抑制できるかを示す)を示しているが、この特性
線図において周波数f 0 (= 200Hz)に対応する箇所
におけるゲインが低く抑えられていることからも明らか
なように、周波数f0 に対応する周期で発生する外乱、
すなわち繰り返し誤差に対しても磁気ヘッド20の位置
がヘッド目標位置から大きく外れる等のエラーが発生す
ることはなく、磁気ヘッド20の位置がヘッド目標位置
に一致するように磁気ヘッド20の位置を確実に制御す
ることができる。
【0072】また、本実施例では位相変更部88の伝達
関数を表す(4)式における遅れ時間dをd=5・Ts
としているので、主制御部68を含む閉ループ制御系全
体の伝達関数から求まるナイキスト線図は、図6(B)
にd=5・Tsとして実線で示す軌跡に一致する。この
軌跡では複素平面上の(-1,j0)の点が無限円によって囲
まれており、かつ一点鎖線で示すd=3・Tsのときの
軌跡、二点鎖線で示すd=4・Tsのときの軌跡と比較
して、無限遠点へ向かっている部分及び無限遠点から戻
ってきている部分の軌跡が(-1,j0)の点から離れた位置
にある。従って、位相変更部88を設けない場合(図5
参照)のように閉ループ制御系の安定性が損なわれるこ
とはなく、かつ遅れ時間dをd=3・Ts又は4・Ts
とした場合と比較しても、閉ループ制御系の安定性が高
くなる。
【0073】なお、上記では位相変更部88における遅
れ時間dをサンプリング周期Tsの整数倍とした例を説
明したが、これに限定されるものではなく、遅れ時間d
をサンプリング周期Tsの実数倍(例えば4.5 倍や5.5
倍等)としてもよい。この場合に主制御部68で行われ
る処理を、該処理により実現される入力と出力との関係
に着目してブロック線図により概念的に示すと、図14
のようになる。
【0074】この図14について図12と異なる部分に
ついてのみ説明すると、加え合わせ点74から出力され
た信号は引き出し点94を介して加え合わせ点100に
入力される。加え合わせ点100には位相変更部88か
ら出力された信号も入力され、加え合わせ点100から
は加え合わせ点74から入力された信号と位相変更部8
8から入力された信号との代数和に相当する信号がモー
タ電流制御信号u(n)として出力される。主制御部6
8にはヘッド位置信号y(n)がサンプリング時間Ts
毎に入力されるため、加え合わせ点74からもサンプリ
ング時間Ts毎に信号が出力されるが、図14の構成で
は、位相変更部88からの信号の出力を、加え合わせ点
74からの信号の出力と同時刻に出力させる必要がない
ので、遅れ時間dをサンプリング周期Tsの実数倍とす
ることが可能となる。
【0075】また、上記ではヘッド位置信号y(n)を
デジタルフィルタ86に入力し、デジタルフィルタ86
から出力された信号の位相を位相変更部88で変更する
ようにしていたが、ヘッド位置信号y(n)を位相変更
部88に入力し、位相変更部88で位相が変更されたヘ
ッド位置信号y(n)をデジタルフィルタ86に入力す
るようにしてもよいことは言うまでもない。
【0076】更に、上記では、本発明のフィルタ手段と
して伝達関数が(1)式で表されるディジタルフィルタ
86、本発明の位相変更手段として伝達関数が(4)式
で表される位相変更部88を例に説明したが、フィルタ
手段及び位相変更手段は上記(1)、(4)式に限定さ
れるものではなく、ディジタルフィルタ86、位相変更
部88と等価なフィルタは、上記式と異なる伝達関数の
フィルタによっても実現できることは言うまでもない。
【0077】また、上記では本発明に係る回転体として
ハードディスクドライブの磁気ディスクを例に説明した
が、これに限定されるものではなく、フレキシブルディ
スク等の他の磁気ディスク、或いは光ディスク、光磁気
ディスク等のように、円盤状で同心円状に複数のトラッ
クが形成された情報記録媒体や、他の回転体に適用可能
であり、本発明は、回転体上の所定位置に対応する位置
に位置決めされる各種ヘッドの位置制御に適用できる。
【0078】以上、本発明の実施例を説明したが、上記
実施例は特許請求の範囲に記載した技術的事項の実施態
様以外に、以下に記載する技術的事項の実施態様を含ん
でいる。
【0079】(1)前記回転体には、前記制御対象物体
としてのヘッドの位置を識別するための識別情報が直径
方向に沿って予め記録されており、前記制御動作信号出
力部は、前記ヘッドによって読み取られた識別情報に基
づいてヘッドが対応している回転体の直径方向に沿った
位置を検出することを特徴とする請求項2記載の位置制
御装置。
【0080】(2)前記所定周波数は、回転体の回転周
期に対応する周波数の整数倍の周波数であることを特徴
とする請求項1記載の位置制御装置。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る位置制
御装置は、制御動作信号出力部から出力された制御動作
信号に基づいて、制御対象物体を目標位置に対応する位
置に移動させるための操作量信号を出力し、アクチュエ
ータによる制御対象物体の移動を制御する制御部に、入
力された制御動作信号に含まれる所定周波数の成分又は
前記所定周波数を含む所定帯域内の周波数の成分に対し
てのみ利得が所定値以上となり、前記所定周波数以外の
周波数の成分又は前記所定帯域外の周波数の成分に対し
ては利得が0又は0に近い値となるフィルタ手段と、フ
ィルタ手段から出力された信号又は前記フィルタ手段に
入力される制御動作信号の位相を変更する位相変更手段
と、を設け、フィルタ手段及び位相変更手段から成る伝
達要素から出力された信号が前記操作量信号に加わるよ
うに制御手段を構成したので、繰り返し誤差の周波数が
高い場合であっても、制御系の安定性を損なうことなく
制御対象物体の位置を確実に制御することができる、と
いう優れた効果を有する。
【0082】また本発明に係る位置制御方法は、制御動
作信号に基づいて、制御対象物体を目標位置に対応する
位置に移動させるための操作量信号を生成すると共に、
制御動作信号を、入力された信号に含まれる所定周波数
の成分又は前記所定周波数を含む所定帯域内の周波数の
成分に対してのみ利得が所定値以上となり、前記所定周
波数以外の周波数の成分又は前記所定帯域外の周波数の
成分に対しては利得が0又は0に近い値となるフィルタ
手段に入力し、フィルタ手段から出力された信号の位相
を変更して操作量信号に加えるか、又は制御動作信号の
位相を変更して前記フィルタ手段に入力し、フィルタ手
段に出力された信号を操作量信号に加え、前記操作量信
号によりアクチュエータによる制御対象物体の移動を制
御するようにしたので、繰り返し誤差の周波数が高い場
合であっても、制御系の安定性を損なうことなく制御対
象物体の位置を確実に制御することができる、という優
れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御要素の構成の一例を概念的に
示すブロック線図である。
【図2】定数Kの値を変化させたときのデジタルフィル
タの特性の変化を示す線図である。
【図3】定数rの値を変化させたときのデジタルフィル
タの特性の変化を示す線図である。
【図4】本発明の作用を説明するために、従来の磁気デ
ィスク装置の制御系のうち、入力された制御動作信号に
基づいて操作量信号を生成、出力する制御要素の構成の
一例を概念的に示すブロック線図である。
【図5】図4に示した制御要素に対しディジタルフィル
タを追加した制御要素の構成を概念的に示すブロック線
図である。
【図6】(A)は図4の制御要素を含む閉ループ制御系
の伝達関数より求めたナイキスト線図、(B)は図5及
び図1の制御要素を含む閉ループ制御系の伝達関数より
求めたナイキスト線図のうち(A)に二点鎖線で囲んだ
範囲における軌跡を拡大して示したナイキスト線図であ
る。
【図7】本実施例に係るハードディスク装置の概略図で
ある。
【図8】バーストパターン記録領域を示すディスクの平
面図である。
【図9】データトラック及びバーストパターン記録領域
に記録されるバーストパターンを示す平面図である。
【図10】ハードディスク装置のMPU、磁気ヘッド及
びその周辺の接続関係を示す概略ブロック図である。
【図11】MPUにおいて、磁気ヘッドの位置をデータ
トラックに追従するように制御するための制御系を機能
毎にブロックに別けて示す機能ブロック図である。
【図12】主制御部の一例を、主制御部で行われる処理
により実現される入力と出力との関係に着目して概念的
に示したブロック線図である。
【図13】主制御部におけるエラー関数の特性を示す線
図である。
【図14】主制御部の他の例を、主制御部で行われる処
理により実現される入力と出力との関係に着目して概念
的に示したブロック線図である。
【図15】従来技術に係る磁気ディスク装置の制御系に
おいて、入力された制御動作信号に基づいて操作量信号
を生成、出力するデジタルフィルタを含む制御要素を含
む開ループ制御系の伝達関数より求めたナイキスト線図
である。
【符号の説明】
10 ハードディスク装置 18 ディスク 20 磁気ヘッド 26 ボイスコイルモータ 32 MPU 60 ヘッド現在位置演算部 62 バーストパターン検出部 66 ヘッド位置信号生成部 68 主制御部 86 ディジタルフィルタ 88 位相変更部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象物体の現在位置として前記制御
    対象物体が対応している回転体の直径方向に沿った位置
    を検出する検出手段と、 前記回転体の直径方向に沿った位置で表した制御対象物
    体の目標位置が入力され、前記検出手段によって検出さ
    れた現在位置と前記入力された目標位置との偏差を表す
    制御動作信号を出力する信号出力手段と、 前記信号出力手段から出力された制御動作信号に基づい
    て、制御対象物体を前記目標位置に対応する位置に移動
    させるための操作量信号を生成し出力することにより、
    アクチュエータによる制御対象物体の移動を制御する制
    御手段と、 を含む位置制御装置であって、 前記制御手段に、 入力された制御動作信号に含まれる所定周波数の成分又
    は前記所定周波数を含む所定帯域内の周波数の成分に対
    してのみ利得が所定値以上となり、前記所定周波数以外
    の周波数の成分又は前記所定帯域外の周波数の成分に対
    しては利得が0又は0に近い値となるフィルタ手段と、 前記フィルタ手段から出力された信号又は前記フィルタ
    手段に入力される制御動作信号の位相を変更する位相変
    更手段と、 を設け、 前記フィルタ手段及び位相変更手段から成る伝達要素か
    ら出力された信号が前記操作量信号に加わるように前記
    制御手段を構成したことを特徴とする位置制御装置。
  2. 【請求項2】 前記回転体は、円盤状で同心円状に複数
    のトラックが形成され各トラックに情報を記録可能な情
    報記録媒体であり、 前記制御対象物体は、前記回転体のトラックに記録され
    た情報を読み取る機能を少なくとも備えたヘッドである
    ことを特徴とする請求項1記載の位置制御装置。
  3. 【請求項3】 前記情報記録媒体は、ハードディスク装
    置の磁気ディスクであり、 前記ヘッドは、前記磁気ディスクのトラックに記録され
    た情報を読み取る機能を少なくとも備えたハードディス
    ク装置の磁気ヘッドであることを特徴とする請求項2記
    載の位置制御装置。
  4. 【請求項4】 前記フィルタ手段は、前記検出手段によ
    る制御対象物体の位置の検出周期をTs、前記所定周波
    数に対応する角周波数をω0 としたときのz変換により
    表した伝達関数H(z)が、 【数1】 であるデジタルフィルタであり(但し、r、Kは定
    数)、 前記位相変更手段は、元の系からの遅れ時間をdとした
    ときのラプラス変換により表した伝達関数D(s)が 【数2】 であるフィルタであることを特徴とする請求項1記載の
    位置制御装置。
  5. 【請求項5】 制御対象物体の現在位置として前記制御
    対象物体が対応している回転体の直径方向に沿った位置
    を検出し、 検出した現在位置と、前記回転体の直径方向に沿った位
    置で表した制御対象物体の目標位置と、の偏差を表す制
    御動作信号に基づいて、制御対象物体を前記目標位置に
    対応する位置に移動させるための操作量信号を生成する
    と共に、 前記制御動作信号を、入力された信号に含まれる所定周
    波数の成分又は前記所定周波数を含む所定帯域内の周波
    数の成分に対してのみ利得が所定値以上となり、前記所
    定周波数以外の周波数の成分又は前記所定帯域外の周波
    数の成分に対しては利得が0又は0に近い値となるフィ
    ルタ手段に入力し、前記フィルタ手段から出力された信
    号の位相を変更して前記操作量信号に加えるか、 又は前記制御動作信号の位相を変更して前記フィルタ手
    段に入力し、フィルタ手段に出力された信号を前記操作
    量信号に加え、 前記操作量信号によりアクチュエータによる制御対象物
    体の移動を制御する位置制御方法。
  6. 【請求項6】 前記フィルタ手段は、前記検出手段によ
    る制御対象物体の位置の検出周期をTs、前記所定周波
    数に対応する角周波数をω0 としたときのz変換により
    表した伝達関数H(z)が、 【数3】 であるデジタルフィルタであり(但し、r、Kは定
    数)、 前記フィルタ手段から出力された信号又は前記制御動作
    信号の位相の変更は、元の信号に対する遅れ時間をdと
    したときのラプラス変換により表した伝達関数D(s)
    が 【数4】 であるフィルタにより行うことを特徴とする請求項5記
    載の位置制御方法。
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