JPH08333401A - 固形腸溶製剤のコーティング用基剤の製造方法 - Google Patents

固形腸溶製剤のコーティング用基剤の製造方法

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JPH08333401A
JPH08333401A JP14047195A JP14047195A JPH08333401A JP H08333401 A JPH08333401 A JP H08333401A JP 14047195 A JP14047195 A JP 14047195A JP 14047195 A JP14047195 A JP 14047195A JP H08333401 A JPH08333401 A JP H08333401A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コーティング用基剤となるセルロース系ポリ
マーを溶液中に多量に析出させ、効率よく回収できる固
形腸溶製剤のコーティング用基剤の製造方法を提供す
る。 【構成】 アルカリ金属塩を触媒として、酸無水物とセ
ルロース誘導体とを溶液中で反応させる。反応の後、ア
ルカリ金属塩100モルに対して無機酸80〜110モ
ルを反応液に加え、反応液と過剰の水とを混合し、溶解
pH3.0〜4.0のセルロース系ポリマーを混合液中
に析出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固形腸溶製剤のコーテ
ィング用基剤を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固形腸溶製剤は、膜状の腸溶性高分子に
よって薬剤が覆われたものである。腸溶性高分子は酸に
弱い薬剤を胃酸から保護するとともに、胃粘膜を薬剤か
ら保護し、小腸内部で溶解する。腸溶性高分子の溶解に
よって内部の薬剤が小腸内部に放出される。
【0003】固形腸溶製剤のコーティング用基剤となる
腸溶性高分子のひとつとして、セルロース系ポリマーが
ある。具体的には、セルロースアセテートフタレート、
セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシ
メチルエチルセルロースが挙げられる。
【0004】前記セルロース系ポリマーを有機溶剤に溶
解したり、水性ラテックスあるいは水分散液にしてコー
ティング液とする。このコーティング液を薬剤に塗布し
乾燥して皮膜を造ることにより、固形腸溶製剤が得られ
る。
【0005】これらのセルロース系ポリマーは溶解pH
が5〜7であり、溶解性が高いものではない。この程度
の溶解性では、固形腸溶製剤は薬剤を完全に放出しきら
ないうちに小腸上部を通過してしまう。固形腸溶製剤が
薬剤を完全に放出しきるようにするには、溶解pHを低
下させてセルロース系ポリマーの溶解性を高める必要が
ある。
【0006】溶解性が高められたセルロース系ポリマー
には、溶解pH3〜4のセルローストリメリテート類や
セルロースアセテートマレート類が挙げられる。セルロ
ーストリメリテート類は、酢酸ナトリウムを触媒とし
て、セルロース誘導体と無水トリメリット酸とを溶液中
で反応させ、得られた反応液を数時間加熱してから冷却
し、過剰の水と混合することで析出する。
【0007】セルロースアセテートマレート類は、酢酸
ナトリウムを触媒として、セルロース誘導体と無水酢酸
および無水マレイン酸とを溶液中で反応させ、得られた
反応液を数時間加熱してから冷却し、過剰の水と混合す
ることで析出する。
【0008】特願平4−151939号公報には、反応液と過
剰の水との混合液を、2枚の撹拌翼が設置されている撹
拌混合槽に投入して、撹拌翼および撹拌翼に固定したス
テーターで混合液を撹拌して、セルロース系ポリマーを
析出させる方法が記載されている。撹拌によって反応液
と水とを均一に混合することができ、セルロース系ポリ
マーを析出させることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】セルロース系ポリマー
は、副生成物である塩類が多量に存在している混合液に
は溶けやすい。このため混合液中に、セルロース系ポリ
マーを多量に析出させることができなかった。
【0010】本発明は前記の課題を解決するためなされ
たもので、コーティング用基剤となるセルロース系ポリ
マーを溶液中に多量に析出させ、効率よく回収できる固
形腸溶製剤のコーティング用基剤の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討し
た結果、溶解pH3〜4のコーティング用基剤を析出さ
せる際、溶液のpHを2以下に調製すると、コーティン
グ用基剤が溶液に析出しやすくなることを見いだし、本
発明を完成させた。
【0012】すなわち、本発明の固形腸溶製剤のコーテ
ィング用基剤の製造方法は、アルカリ金属塩を触媒とし
て、酸無水物とセルロース誘導体とを溶液中で反応さ
せ、得られた反応液と過剰の水とを混合し、溶解pH
3.0〜4.0のセルロース系ポリマーを析出させる固
形腸溶製剤のコーティング用基剤の製造方法において、
セルロース誘導体と酸無水物との反応の後、アルカリ金
属塩100モルに対して無機酸80〜110モルを反応
液または過剰の水に加えて混合する方法である。
【0013】無機酸の添加量が80モル未満の場合、反
応液と過剰の水との混合液のpHが2以下にならず、溶
けているセルロース系ポリマーが混合液中に析出しな
い。110モルを超える場合、多く加えただけの効果が
発揮されない。
【0014】酸無水物は無水マレイン酸および無水酢酸
との混合物または無水トリメリット酸であることが好ま
しい。
【0015】セルロース誘導体には、例えばヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
が挙げられる。
【0016】前記酸無水物と前記セルロース誘導体から
合成されるセルロース系ポリマーはセルロースアセテー
トマレート類、セルローストリメリテート類である。セ
ルロースアセテートマレート類にはヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテートマレート、メチルセルロー
スアセテートマレート、ヒドロキシプロピルセルロース
アセテートマレート、ヒドロキシエチルセルロースアセ
テートマレートが挙げられ、セルローストリメリテート
類にはヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテ
ート、メチルセルローストリメリテート、ヒドロキシプ
ロピルセルローストリメリテート、ヒドロキシエチルセ
ルローストリメリテートが挙げられる。
【0017】触媒として添加されるアルカリ金属塩に
は、例えば酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0018】pHを低下させるために添加される無機酸
には、例えば塩酸、硫酸が挙げられる。
【0019】コーティング用基剤となるヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースアセテートマレートを製造する方
法の一例を以下に説明する。先ず、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースを酢酸等の溶媒に溶解し、アルカリ金
属塩の存在下、所定量の無水酢酸および無水マレイン酸
を添加する。得られた反応液に精製水を加えて冷却し、
無水マレイン酸および無水酢酸とヒドロキシプロピルメ
チルセルロースとの反応を停止させる。反応液に無機
酸、例えば塩酸、硫酸を加えてから過剰の水と混合し、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートマレー
トを混合液中に析出させる。精製水によって洗液が酸性
を示さなくなるまでヒドロキシプロピルメチルセルロー
スアセテートマレートを洗浄した後、流動層乾燥機等で
乾燥し、溶解pH3.0〜4.0のコーティング用基剤
を得る。
【0020】セルロース系ポリマーの溶解pHは以下に
述べる方法で測定する。セルロース系ポリマーを有機溶
剤等に溶かしてガラス板上にキャストし、厚さ100μ
mのフィルムを造って1cmx1cmに切断する。日本
薬局方崩壊試験方法に準じた補助筒を用いてフィルムを
溶解用溶媒に入れ、フィルムが溶ける溶媒のpHを調査
する。溶解用溶媒には、pHの異なるマクヴァリン緩衝
液数種類を使用する。
【0021】コーティング処理は、コーティング液をコ
ーティング装置によって薬剤に噴射すると同時に液を乾
燥させ膜を造ることで完了する。コーティング液は、セ
ルロース系ポリマーをアセトン、塩化メチレン/アルコ
ール、アルコール/水等の溶剤に溶解するか、10μm
以下に微粉砕して水に分散するかしたものである。製剤
学的に認められる添加剤、例えば可塑剤、着色剤、顔
料、粘着防止剤をコーティング液に加えたり、既存のコ
ーティング用基剤と組み合わせて溶出性や溶解性を変え
ても差し支えない。
【0022】コーティング装置には、例えば流動層コー
ティング装置、パンコーティング装置、通気式回転ドラ
ム型コーティング装置が挙げられる。
【0023】
【発明の効果】無機酸を添加することによって、反応液
と過剰の水との混合液のpHがセルロース系ポリマーの
溶解pHよりも低くなり、セルロース系ポリマーの溶解
が防止される。混合液中に析出するポリマーの量が多く
なるので、セルロース系ポリマーを効率よく回収するこ
とができる。セルロース系ポリマーは固形腸溶製剤のコ
ーティング用基剤として利用される。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0025】実施例1 20℃における2重量%水溶液の粘度が5.5cPであ
るヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:メ
トキシル基23.3重量%、ヒドロキシプロポキシル基
6.4重量% 信越化学工業製)700gと、酢酸21
00gとを5リットル双軸ニーダーに投入し70℃で溶
解した。溶解終了後、エステル化剤として無水トリメリ
ット酸910gを加え、さらに触媒として酢酸ナトリウ
ム275gを加えて85〜90℃で反応させた。5時間
後、溶液を冷却し、精製水1180gを加えて反応を停
止させた。この溶液と濃塩酸(36重量%)280gと
の混合液を過剰の精製水に投入し、生成物を析出させ
た。生成物を精製水で洗浄して、洗液が酸性を示さなく
なってから、流動層乾燥機で生成物を乾燥してヒドロキ
シプロピルメチルセルローストリメリテート927gを
得た。この収量は理論値の81%に相当する量であっ
た。
【0026】このヒドロキシプロピルメチルセルロース
トリメリテートを塩化メチレン/エタノールの1:1溶
液に溶かし、その溶液をガラス板上にキャストして厚さ
100μmのフィルムを調製した。
【0027】溶解pHを日本薬局方崩壊試験方法に準じ
て測定した。pHが異なるマクルヴァイン緩衝液数種類
に、1cm角に切断した前記フィルムを添加した結果、
pH3.9の緩衝液にフィルムが溶解することが確認さ
れた。
【0028】溶解pHの測定結果から、得られたヒドロ
キシプロピルメチルセルローストリメリテートは、固形
腸溶製剤のコーティング用基剤として満足できるもので
あることが確認された。
【0029】実施例2 20℃における2重量%水溶液の粘度が5.2cPであ
るヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:メ
トキシル基29.1重量%、ヒドロキシプロポキシル基
8.9重量% 信越化学工業製)700gと、酢酸21
00gとを5リットル双軸ニーダーに投入し70℃で溶
解した。溶解終了後、エステル化剤として無水酢酸17
6g、無水マレイン酸193gを加え、さらに触媒とし
て酢酸ナトリウム278gを加えて85〜90℃で反応
させた。5時間後、溶液を冷却し、精製水1180gを
加えて反応を停止させた。この溶液と濃塩酸(36重量
%)310gとの混合液を過剰の精製水中に投入し、生
成物を析出させた。生成物を精製水で洗浄して、洗液が
酸性を示さなくなってから、流動層乾燥機で生成物を乾
燥してヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート
マレート780gを得た。この収量は理論値の87%に
相当する量であった。
【0030】実施例1と同様の方法でこのヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースアセテートマレートからフィル
ムを調製し、このフィルムの溶解pHを調査した。溶解
pHは3.5であった。溶解pHの測定結果から、得ら
れたヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートマ
レートは、固形腸溶製剤のコーティング用基剤として満
足できるものであることが確認された。
【0031】実施例3 塩酸(36重量%)の添加量を370gとし、その他の
条件を実施例1と同様にしてヒドロキシプロピルメチル
セルローストリメリテートを合成した。得られたヒドロ
キシプロピルメチルセルローストリメリテートの収量は
1020gであり、理論値の89%に相当する量であっ
た。
【0032】実施例1と同様の方法でこのヒドロキシプ
ロピルメチルセルローストリメリテートからフィルムを
調製し、このフィルムの溶解pHを調査した。溶解pH
は3.9であった。溶解pHの測定結果から、得られた
ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート
は、固形腸溶製剤のコーティング用基剤として満足でき
るものであることが確認された。
【0033】実施例4 実施例1と同様の方法で、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースと無水トリメリット酸とを反応させ、ヒドロキ
シプロピルメチルセルローストリメリテートを合成し
た。その後、溶液を冷却してから精製水を加え、反応を
停止させた。この溶液と過剰の水との混合液を、撹拌混
合槽に投入した。撹拌混合槽に設置されている撹拌翼に
は、ステーターが固定されている。撹拌翼およびステー
ターで混合液を撹拌しながら、濃塩酸(36重量%)を
加えて生成物を析出させた。濃塩酸を加える速度は1
8.5g/分である。
【0034】析出した生成物を精製水で洗浄して、洗液
が酸性を示さなくなってから、流動層乾燥機で生成物を
乾燥してヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリ
テート1005gを得た。この収量は理論値の88%に
相当する量であった。
【0035】実施例1と同様の方法でこのヒドロキシプ
ロピルメチルセルローストリメリテートからフィルムを
調製し、このフィルムの溶解pHを調査した。溶解pH
は3.9であった。
【0036】溶解pHの測定結果から、得られたヒドロ
キシプロピルメチルセルローストリメリテートは、固形
腸溶製剤のコーティング用基剤として満足できるもので
あることが確認された。
【0037】実施例5 実施例1と同様の方法で、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースと、無水トリメリット酸とを反応させ、ヒドロ
キシプロピルメチルセルローストリメリテートを合成し
た。その後、溶液を冷却してから精製水を加え、反応を
停止させた。この溶液を、濃塩酸(36重量%)370
gが加えられている精製水50リットルに投入して激し
く撹拌し、生成物を析出させた。生成物を精製水で洗浄
して、洗液が酸性を示さなくなってから、流動層乾燥機
で生成物を乾燥してヒドロキシプロピルメチルセルロー
ストリメリテート1000gを得た。この収量は理論値
の87%に相当する量であった。
【0038】実施例1と同様の方法でこのヒドロキシプ
ロピルメチルセルローストリメリテートからフィルムを
調製し、このフィルムの溶解pHを調査した。溶解pH
は3.9であった。
【0039】溶解pHの測定結果から、得られたヒドロ
キシプロピルメチルセルローストリメリテートは、固形
腸溶製剤のコーティング用基剤として満足できるもので
あることが確認された。
【0040】比較例1 実施例1と同様の方法で、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースと、無水トリメリット酸とを反応させ、ヒドロ
キシプロピルメチルセルローストリメリテートを合成し
た。その後、溶液を冷却してから精製水を加え、反応を
停止させた。この溶液を過剰の精製水中に投入したが、
析出する物質はほとんどなかった。
【0041】比較例2 実施例1と同様の方法で、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースと、無水トリメリット酸とを反応させ、ヒドロ
キシプロピルメチルセルローストリメリテートを合成し
た。その後、溶液を冷却してから精製水を加え、反応を
停止させた。この溶液に濃塩酸(36重量%)150g
を加えてから、過剰の精製水中に投入して生成物を析出
させた。生成物を精製水で洗浄して、洗液が酸性を示さ
なくなってから、流動層乾燥機で生成物を乾燥してヒド
ロキシプロピルメチルセルローストリメリテート100
gを得た。この収量は理論値の約9%に相当する量であ
った。
フロントページの続き (72)発明者 峰村 勝義 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属塩を触媒として、酸無水物
    とセルロース誘導体とを溶液中で反応させ、得られた反
    応液と過剰の水とを混合し、溶解pH3.0〜4.0の
    セルロース系ポリマーを析出させる固形腸溶製剤のコー
    ティング用基剤の製造方法において、セルロース誘導体
    と酸無水物との反応の後、該アルカリ金属塩100モル
    に対して無機酸80〜110モルを該反応液または過剰
    の水に加えて混合することを特徴とする固形腸溶製剤の
    コーティング用基剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸無水物が無水マレイン酸と無水酢
    酸との混合物または無水トリメリット酸であることを特
    徴とする請求項1に記載の固形腸溶製剤のコーティング
    用基剤の製造方法。
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