JPH08336879A - 樹脂被覆補強繊維糸、成形材料及びその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆補強繊維糸、成形材料及びその製造方法

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JPH08336879A
JPH08336879A JP7169247A JP16924795A JPH08336879A JP H08336879 A JPH08336879 A JP H08336879A JP 7169247 A JP7169247 A JP 7169247A JP 16924795 A JP16924795 A JP 16924795A JP H08336879 A JPH08336879 A JP H08336879A
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一智 佐藤
Kazunori Sano
一教 佐野
Hiroichi Inokuchi
博一 井ノ口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 補強繊維と熱可塑性樹脂からなる糸で、簡単
に生産性良く製造でき、且つ製織性、製紐性の良好な補
強繊維糸とその製造法、及びその補強繊維糸を用いた、
成形時の賦形性が良く、且つ含浸不良の発生しにくい成
形材料の提供を目的とする。 【構成】 多数本の補強用連続繊維で形成された繊維束
の外周に、繊維束の内部に殆ど含浸しないように熱可塑
性樹脂が被覆されている補強繊維糸と、補強繊維束1の
周囲に溶融した熱可塑性樹脂14を円筒状に押し出し、
無圧状態で繊維束1の外周に接触被覆することによる補
強繊維糸5の製造法、及び前記補強繊維糸を用いた織物
又はブレード状の成形材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続繊維で補強した熱
可塑性樹脂成形体を成形するために用いる樹脂被覆補強
繊維糸、その樹脂被覆補強繊維糸を利用した成形材料、
及び、その樹脂被覆補強繊維糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、連続繊維で補強した熱可塑性
樹脂成形体が補強効果が大きい利点を有するため、多用
されている。このような連続繊維補強熱可塑性樹脂成形
体を成形するには、通常、熱可塑性樹脂を補強繊維に含
浸させて作ったシートを積層し、加熱加圧して成形する
方法、補強繊維糸で形成された織物と熱可塑性樹脂フィ
ルムとを交互に積層し、加熱加圧して成形する方法、或
いは、補強繊維糸と熱可塑性樹脂繊維糸との交織織物を
積層し、加熱加圧して成形する方法等が行われている。
しかしながら、積層材としてフィルムやシートを用いる
場合には、立体的な形状の成形をする時の賦形性に劣る
という問題があった。また、織物を用いる場合には、補
強繊維に対する樹脂含浸性が悪く、特に、織物内の補強
繊維同士の交点において樹脂含浸性が悪いという問題が
あった。更に、補強繊維糸を製織する際に、繊維がばら
けて損傷しやすいため、1本の補強繊維糸を構成する単
繊維数をあまり多くできず(例えば、単糸径が7μmの
ガラス繊維では6000本程度が限度)、単繊維数を多
くして生産性を上げることができなかった。
【0003】そこで樹脂含浸性を改善するためには、予
め補強用の連続繊維と熱可塑性樹脂とを含む糸(トウ、
ヤーン等)を作成し、その糸で織物を作製し、その織物
を成形材料として用いることが提案されており、その糸
として以下のようなものが提案されている。 (a)補強用連続繊維と熱可塑性樹脂繊維を、繊維の状
態で撚り合わせて作るプリプレグヤーン。 (b)補強用連続繊維と熱可塑性樹脂繊維を、繊維の状
態でコミングルして作るプリプレグヤーン。 (c)補強用連続繊維に熱可塑性樹脂粉末を、静電気等
を用いて吸着させるなどして作るプリプレグヤーン。 (d)補強用連続繊維を熱可塑性樹脂の溶融したバスに
通して作るプリプレグトウ。 (e)補強用連続繊維と熱可塑性樹脂繊維を含むコアの
外周に溶融した熱可塑性樹脂を高圧で供給し、コア内に
含浸させると共に被覆した合成糸(特表平6−5066
43号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(a)〜
(e)に示す従来の糸には、それぞれ以下に示すような
問題があった。(a)のプリプレグヤーンでは、熱可塑
性樹脂の紡糸工程、補強繊維との合撚工程が必要であ
り、コスト高となる。また、この合撚工程や、後工程で
ある製織、製紐などの工程で補強繊維が損傷する。プリ
プレグヤーンの交点で含浸不良が発生し易い。(b)の
プリプレグヤーンでは、熱可塑性樹脂の紡糸工程、補強
繊維とのコミングル工程が必要であり、コスト高とな
る。また、コミングル及び製織、製紐などの工程での補
強繊維損傷が大きい。(c)のプリプレグヤーンでは、
樹脂粉末の吸着が不均一で且つ樹脂量のコントロールが
困難、製織、製紐などの工程での補強繊維損傷が大き
い。(d)のプリプレグトウでは、プリプレグトウにフ
レキシブル性がなく、製織、製紐などができない。ま
た、生産性も低い。(e)の合成糸では、熱可塑性樹脂
の紡糸工程、補強繊維との合糸工程が必要であり、コス
ト高となる。被覆樹脂が内部にかなり含浸するため硬く
なっており、製織、製紐などが困難である。
【0005】本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、補強繊維と熱可塑性樹脂とからなる糸であ
って、簡便で生産性良く製造可能な、且つ製織、製紐が
容易なフレキシブル性を備え、しかも、製織、製紐など
の工程での補強繊維の損傷を防止可能な糸及びその製造
方法を提供することを目的とする。また、本発明はその
糸を用いることにより、成形時の賦形性がよく、且つ含
浸不良を生じにくい成形材料を提供することも目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
を解決するため鋭意検討の結果、多数本の補強用連続繊
維で形成した補強繊維束の外周に、外周に位置する繊維
のみに接着し内部にはほとんど含浸しないように、熱可
塑性樹脂をコーティングすることにより、適度な柔軟性
を有する樹脂被覆補強繊維糸を形成でき、且つこの樹脂
被覆補強繊維糸が織物やブレード等に容易に加工可能で
あると共に、その織物やブレードが成形材料として好ま
しい特性を備えていることを見出し、本発明を達成し
た。
【0007】すなわち、本発明は、繊維補強熱可塑性樹
脂成形体を製造するために使用する樹脂被覆補強繊維糸
であって、多数本の補強用連続繊維で形成された補強繊
維束と、その補強繊維束の外周にコーティングされた熱
可塑性樹脂とからなり、該熱可塑性樹脂は前記補強繊維
束の内部にはほとんど含浸せず、外周に位置する連続繊
維に接着しており、更に補強用連続繊維の体積含有率が
40〜60%であることを特徴とする樹脂被覆補強繊維
糸である。
【0008】本発明に用いる補強繊維としては、形態的
には連続繊維であれば、フィラメント糸の状態でもスト
ランドの状態でも可能である。種類としては、炭素繊維
やガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維や、アラミ
ド繊維などの有機繊維が使用されるが、これに限定され
るものではない。これらの補強繊維は多数を集束して形
成された補強繊維束の状態で使用される。その補強繊維
束の形態は、多数本の連続繊維を単に集束して形成した
トウであっても或いは適当に撚りを加えたヤーンであっ
てもよい。補強繊維束を構成する補強繊維の繊維径、繊
維数等は、この樹脂被覆補強繊維糸から製造する織物、
ブレード等の成形材料に要求される条件に応じて定めら
れるが、後述するように補強繊維束が樹脂被覆で保護さ
れているため、後工程でばらけたり、損傷したりするこ
とが少なく、このため、集束本数を多くすることが可能
である。具体的には、補強繊維がカーボン繊維やガラス
繊維の場合には、繊維径が3〜20μm、好ましくは5
〜10μm程度、繊維数が2000〜17000本、好
ましくは5000〜15000本程度が望ましく、ま
た、アラミド繊維の場合には、繊維径が10〜14μm
程度、繊維数が600〜5000本程度が好ましい。
【0009】本発明に用いられる熱可塑性樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン12などのポリアミド、ポリプロピレン、
ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアリルサルフォ
ン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等が使用されるが、こ
れに限定されるものではない。又、上記の熱可塑性樹脂
を複数種類混合して用いることも可能であり、更に、上
記熱可塑性樹脂に着色剤や充填剤、難燃剤等を適当量添
加して使用することも可能である。
【0010】本発明の樹脂被覆補強繊維糸において、補
強用連続繊維の体積含有率は40〜60%に、従って、
熱可塑性樹脂の体積含有率も40〜60%に選定され
る。ここで、熱可塑性樹脂の体積含有率を40%以上と
したのは、それ未満ではコーティングが困難であると共
に、形成された被膜が薄く、後工程で剥がれてトラブル
を生じる恐れがあるためである。また、逆に熱可塑性樹
脂を60%を越える体積含有率とすると、樹脂分が多く
なりすぎて樹脂被覆補強繊維糸が硬くなり、後工程での
加工が困難となるためである。更に、この補強繊維の含
有率の範囲は、成形体に望まれる補強繊維含有率の範囲
とも一致しており、従って、本発明の樹脂被覆補強繊維
糸のみで成形体を形成しうるという利点も有している。
【0011】本発明の樹脂被覆補強繊維糸において、被
覆した熱可塑性樹脂は補強繊維束の内部にはほとんど含
浸せず、外周に位置する連続繊維に接着されている。こ
のように熱可塑性樹脂が補強繊維束の内部に含浸しない
ことにより、補強繊維束の内部では繊維同士が固着され
ず、全体の柔軟性が保たれる。また、被覆した熱可塑性
樹脂が補強繊維束の外周に位置する連続繊維に接着して
いることにより、熱可塑性樹脂被膜が剥がれにくく、こ
の樹脂被覆補強繊維糸を用いた製織、製紐等の後工程に
おいて熱可塑性樹脂被膜が剥がれてトラブルを起こすと
いうことが防止される。
【0012】本発明は、上記構成の樹脂被覆補強繊維糸
を製造する方法も提供する。すなわち、本発明は、多数
本の補強用連続繊維で形成された補強繊維束を走行させ
た状態で、その補強繊維束を包囲するように且つその補
強繊維束に接触しない位置に配置した環状の吐出口から
溶融した熱可塑性樹脂を中空の円筒状に押し出し、熱可
塑性樹脂を圧力フリーの状況下で前記補強繊維束の外周
に接触させ、コーティングすることを特徴とする樹脂被
覆補強繊維糸の製造方法である。
【0013】以下、本発明の製造方法を詳細に説明す
る。図2は本発明方法の実施に用いるコーティング装置
の1例を示す概略側面図、図1はそのコーティング装置
のクロスヘッドダイの概略断面図、図3はそのクロスヘ
ッドダイの樹脂吐出部分の概略断面図、図4は図3のA
−A矢視図である。1は多数本の補強用連続繊維で形成
された補強繊維束、2はその補強繊維束1を供給する給
糸装置、3は樹脂を溶融して押し出すためのスクリュー
式押出機、4は補強繊維束1の外周に樹脂をコーティン
グするためのクロスヘッドダイ、5は樹脂被覆補強繊維
糸、6は熱可塑性樹脂冷却槽、7は巻取装置である。
【0014】クロスヘッドダイ4は、中央に補強繊維束
1を通過させる繊維用穴10を、その周囲に溶融樹脂を
通す円筒状通路11を有しており、その下端に環状の吐
出口12が形成されている。繊維用穴10は補強繊維束
1をゆるく通過させることができるような寸法に作られ
ている。例えば、補強繊維束1を円形断面とした時の直
径が1mm程度の場合、繊維用穴10の内径は2〜4m
m程度に定められる。吐出口12は補強繊維束1を通過
させる繊維用穴10から間隔を開けて配置されており、
従って吐出口12から吐出された後の溶融樹脂14が圧
力フリーの状況下で補強繊維束1の外周に接触可能とな
っている。繊維用穴10の吐出口12との間隔はあまり
大きくなると、吐出口12から円形断面で吐出された樹
脂14が補強繊維束1に接触するまでに時間がかかり、
必要な接着力を得られない場合が生じるので、通常は2
mm以下に選定され、好ましくは1mm程度に選定され
る。
【0015】次に、上記装置を用いた樹脂被覆補強繊維
糸の製造方法を説明する。まず、熱可塑性樹脂ペレット
をスクリュー式押出機3のホッパー3aに投入し、シリ
ンダ部3bで加熱溶融させ、スクリューによりクロスヘ
ッドダイ4に導入させる。クロスヘッドダイ4に導入さ
れた溶融樹脂14は円筒状通路11を通り、下端の環状
の吐出口12から筒状に吐出される。一方、補強繊維束
1は給糸装置2から引き出され、クロスヘッドダイ4の
中央の繊維用穴10内を下方に走行しており、従って、
吐出口12から吐出された樹脂14は走行中の補強繊維
束1を取り囲んだ状態となっている。吐出口12から吐
出された樹脂14は、表面張力や冷却による収縮、更に
は下方に引っ張られることによって縮径し、補強繊維束
1の外周に接触すると共にその部分の連続繊維に接着す
る。かくして、補強繊維束1の周りに樹脂14が被覆コ
ーティングされる。このコーティングによって形成され
た樹脂被覆補強繊維糸5は、その後、熱可塑性樹脂冷却
槽6を通ることで冷却され、巻取装置7で巻き取られ
る。
【0016】以上のコーティング動作において、熱可塑
性樹脂は吐出口12から吐出され、圧力が解放された状
態で即ち圧力フリーの状態で補強繊維束1の外周に接触
する。このため、補強繊維束1に接触した樹脂14が内
部の連続繊維間に含浸することはほとんどない。かくし
て、熱可塑性樹脂被膜が補強繊維束1の外周に位置する
連続繊維のみに接着した構造の樹脂被覆補強繊維糸が製
造される。ここで、補強繊維束1の外周に位置する連続
繊維とそれを取り囲んだ熱可塑性樹脂被膜との良好な接
着を確保するには、吐出口12から吐出された溶融樹脂
14があまり冷却固化しない状態で補強繊維束1に接触
することが望ましく、このため、吐出された溶融樹脂1
4を吐出口12の直下5〜30mmの間で補強繊維束1
に接触させることが良い。また、熱可塑性樹脂の吐出温
度条件としては、熱可塑性樹脂の融点より30〜60°
C程度高い温度とするのが良い。また、その時の溶融樹
脂の粘度は10000ポイズ以下が望ましい。
【0017】本発明は、上記した本発明の樹脂被覆補強
繊維糸を用いた、繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造す
るための成形材料も提供する。以下、本発明の成形材料
を説明する。本発明の成形材料の一つの形態は、上記し
た樹脂被覆補強繊維糸を用いて製織した織物である。こ
の織物は、経糸、緯糸の全てに上記した樹脂被覆補強繊
維糸を用いたものであってもよいし、経糸、緯糸の一部
に上記した樹脂被覆補強繊維糸を用い、残部にその樹脂
被覆補強繊維糸に用いている熱可塑性樹脂と同質の熱可
塑性樹脂繊維糸を用いたものであってもよい。後者の場
合、織物内に入れる熱可塑性樹脂繊維糸の割合を調整す
ることにより、この織物を用いて得た成形体の補強繊維
含有率を調整できる。
【0018】樹脂被覆補強繊維糸と熱可塑性樹脂繊維糸
とを用いて織物を製織する場合、両者の配列は任意であ
り、例えば、次の組み合わせを用いることができる。 経糸、緯糸の双方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑
性樹脂繊維糸を用いる。 経糸、緯糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑
性樹脂繊維糸を用い、他方に樹脂被覆補強繊維糸のみを
用いる。 経糸、緯糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸、熱可塑
性樹脂繊維糸を用い、他方に熱可塑性樹脂繊維糸のみを
用いる。 経糸、緯糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸のみを用
い、他方に熱可塑性樹脂繊維糸のみを用いる。
【0019】これらの組み合わせは成形体に望まれる特
性に応じて適当なものを選択すればよい。例えば、、
の組み合わせでは経糸、緯糸の双方に補強繊維が配列
されるため、方向性無く補強した成形体を得ることがで
きる。一方、、の組み合わせでは、経糸、緯糸の一
方のみに補強繊維が配列されるため、一方向のみを補強
した成形体を得ることができる。なお、、の組み合
わせでも、この織物を積層する場合に補強繊維の方向を
交差させるように積層することにより、方向性無く補強
した成形体を得ることができる。
【0020】本発明で用いる織物の織り組織としては、
特に限定されるものでなく、平織、綾織等任意である。
また、製織も、従来と同様に、通常の織機により行うこ
とができる。この製織工程において、経糸、緯糸は屈曲
させられたり、擦られたりする。しかし、本発明の樹脂
被覆補強繊維糸では、適度な柔軟性を有するので、屈曲
させられても損傷することがなく、また、擦られて損傷
しやすい補強繊維束を熱可塑性樹脂被膜が覆っているの
で、補強繊維の損傷、毛羽立ち等が生じない。また、こ
の熱可塑性樹脂被膜は補強繊維束の外周の連続繊維に接
着されているため、剥がれることもない。かくして、得
られた織物は、それを構成する補強繊維に損傷がなく、
且つ柔軟な特性を備えたものとなっている。
【0021】次に、この織物を用いた成形方法を説明す
る。この織物を型内に、成形体に要求される肉厚に対応
した枚数だけ重ねてセットする。この織物は柔軟である
ので、賦形性が良く、単に平坦な形状のもののみなら
ず、屈曲した面にも適合させることができる。型内に織
物をセットする際、成形体内の補強繊維含有率の調整の
ために、織物間に樹脂フィルムを配置してもよく、ま
た、必要な強度、剛性を確保するため、補強繊維糸のみ
からなる織物や、補強繊維を引き揃えて樹脂含浸したプ
リプレグ等を配置してもよい。ただし、これらの樹脂フ
ィルムやプリプレグは賦形性を悪くするので、使用数は
少ない方がよく、また、補強繊維糸のみからなる織物は
含浸性が悪いので、これも使用数は少ない方がよい。型
内にセットした後は、従来と同様に加圧、加熱する。加
圧は、5〜20kg/cm2 程度、温度は使用する樹脂
の融点より30〜50°C程度高い温度が適当である。
これにより、熱可塑性樹脂が溶融して補強繊維間に含浸
され、マトリクスとなる。その後、冷却、固化させるこ
とにより、繊維補強熱可塑性樹脂成形体が得られる。
【0022】ここで、樹脂被覆補強繊維糸では熱可塑性
樹脂が補強繊維束を取り囲んで存在しているため、加圧
加熱による含浸の際、溶融した樹脂の流れる距離が短く
てよく、このため、確実な含浸が得られる。また、含浸
の困難な補強繊維同士の交点においても、樹脂被覆が補
強繊維間に存在しているため、この部分での含浸不良を
生じることがない。かくして、得られた成形体は、含浸
性が良く、ボイドがほとんどなく、非常に優れた曲げ強
度を備えている。
【0023】本発明の成形材料の他の形態は、上記した
樹脂被覆補強繊維糸を用いて製紐したブレードである。
ブレードは、S方向にらせん状に配列した複数本の糸
(以下S方向糸という)と、それに交差する方向である
Z方向にらせん状に配列した複数本の糸(以下Z方向糸
という)とで構成されるが、本発明のブレードにおいて
は、このS方向糸、Z方向糸の全てに上記した樹脂被覆
補強繊維糸を用いたものであってもよいし、S方向糸、
Z方向糸の一部に上記した樹脂被覆補強繊維糸を用い、
残部にその樹脂被覆補強繊維糸に用いている熱可塑性樹
脂と同質の熱可塑性樹脂繊維糸を用いたものであっても
よい。後者の場合、ブレード内に入れる熱可塑性樹脂繊
維糸の割合を調整することにより、このブレードを用い
て得た成形体の補強繊維含有率を調整できる。
【0024】樹脂被覆補強繊維糸と熱可塑性樹脂繊維糸
とを用いてブレードを製紐する場合、両者の配列は任意
であり、例えば、次の組み合わせを用いることができ
る。 S方向糸、Z方向糸の双方に、樹脂被覆補強繊維
糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用いる。 S方向糸、Z方向糸の一方に、樹脂被覆補強繊維
糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用い、他方に樹脂被覆補強繊
維糸のみを用いる。 S方向糸、Z方向糸の一方に、樹脂被覆補強繊維
糸、熱可塑性樹脂繊維糸を用い、他方に熱可塑性樹脂繊
維のみを用いる。 S方向糸、Z方向糸の一方に、樹脂被覆補強繊維糸
のみを用い、他方に熱可塑性樹脂繊維糸のみを用いる。
【0025】これらの組み合わせは成形体に望まれる特
性に応じて適当なものを選択すればよい。例えば、、
の組み合わせではS方向糸、Z方向糸の双方に補強繊
維が配列されるため、方向性無く補強した成形体を得る
ことができる。一方、、の組み合わせでは、S方向
糸、Z方向糸の一方のみに補強繊維が配列されるため、
一方向のみを補強した成形体を得ることができる。な
お、、の組み合わせでも、このブレードを積層する
場合に補強繊維の方向を交差させるように積層すること
により、方向性無く補強した成形体を得ることができ
る。
【0026】上記したブレードの製紐は、特別な装置等
を用いない極一般的な製紐機により行うことができる。
すなわち、予め製紐管に巻き取った樹脂被覆補強繊維糸
(及び必要に応じ予め製紐管に巻き取った熱可塑性樹脂
繊維)を、製紐機の右周り、左周りの管差しにセット
し、これを製紐機によりブレードにする。この際、樹脂
被覆補強繊維糸は屈曲させられたり、擦られたりする
が、上記した製織の場合と同様に、本発明の樹脂被覆補
強繊維糸では、適度な柔軟性を有するので、屈曲させら
れても損傷することがなく、また、補強繊維の損傷、毛
羽立ち等も生じない。更に、この熱可塑性樹脂被膜は補
強繊維束の外周の連続繊維に接着されているため、剥が
れることもない。かくして、得られたブレードは、それ
を構成する補強繊維に損傷がなく、且つ柔軟な特性を備
えたものとなっている。
【0027】本発明のブレードは筒状をなしているので
繊維補強熱可塑性樹脂管状成形体を成形するのに好適で
ある。以下、このブレードを用いて繊維補強熱可塑性樹
脂成形管(FRTP管)を形成する方法を説明する。ま
ず、芯棒に上記ブレードを、成形体に要求される肉厚に
対応した枚数だけ被せる。この際、このブレードは柔軟
であるので取り扱い性が良く、被せ作業が容易である。
芯棒にブレードをセットする際、成形体内の補強繊維含
有率の調整のために、ブレード層間に樹脂のチューブを
配置してもよく、また、必要な強度、剛性を確保するた
め、ブレード層間に、0、90°等の補強繊維を引き揃
えて樹脂含浸したプリプレグや、補強繊維の織物等を配
置してもよい。ただし、これらの樹脂フィルムやプリプ
レグは賦形性を悪くするので、使用数は少ない方がよ
く、また、補強繊維のみからなる織物は含浸性が悪いの
で、これも使用数は少ない方がよい。
【0028】次に、芯棒を抜き、その代わりにシリコン
等の内圧用チューブをセットする。このセットした物を
所定の金型に入れ、加熱しながら内圧用チューブに窒素
若しくは空気、ガス等を注入し加圧する。加圧は、5〜
20kg/cm2 程度、温度は使用する樹脂の融点より
30〜50°C程度高い温度が適当である。この加熱加
圧により、熱可塑性樹脂が溶融して補強繊維間に含浸さ
れ、マトリクスとなる。その後、金型を冷却し、溶融状
態の熱可塑性樹脂マトリクスを固化させ、金型より成形
体を取り出す。以上の工程を経て、連続繊維で補強され
た熱可塑性樹脂の中空成形体が得られる。得られた成形
体はボイドがほとんどなく、補強繊維の効果により非常
に優れた曲げ強度、ねじれ強度を示す。
【0029】
【作用】本発明の樹脂被覆補強繊維糸は、多数本の連続
繊維からなる補強繊維束を熱可塑性樹脂被覆が覆った構
成であるが、その熱可塑性樹脂は補強繊維束の内部には
ほとんど含浸しないため、樹脂含有率が40〜60%と
高いにも係わらず柔軟性を有しており、且つ外周の熱可
塑性樹脂被覆が内部の補強繊維束を保護するために、製
織、製紐等の工程での補強繊維の損傷を防止できる。ま
た、熱可塑性樹脂被覆が補強繊維束の外周の連続繊維に
接着されており、且つ適度な厚さを有するため、製織、
製紐等の工程で剥がれることもない。このため、繊維補
強熱可塑性樹脂成形体を製造するための成形材料として
使用する織物やブレードの材料として好適に使用可能で
ある。
【0030】本発明方法は、多数本の補強用連続繊維で
形成された補強繊維束を走行させた状態で、その補強繊
維束を包囲するように熱可塑性樹脂を中空の円筒状に押
し出し、圧力フリーの状況下で前記補強繊維束の外周に
接触させる構成であるので、樹脂を補強繊維束の内部に
含浸させることなく外周の連続繊維に接着させて本発明
の樹脂被覆補強繊維糸を製造できる。この際、熱可塑性
樹脂を溶融状態で押し出した後、圧力フリーの状況下で
補強繊維束の外周に接触させればよいので、処理速度
(補強繊維束の走行速度)を大きくすることが可能であ
り、例えば、200m/min程度とすることが可能で
ある。このため、生産効率を上げることができる。
【0031】上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製織
してなる織物からなる成形材料は、柔軟な樹脂被覆補強
繊維糸を用いたため、フレキシブルであり、このため賦
形性が良く、曲面を有する成形体の成形に適すると共
に、積層、賦形時の作業性に優れている。また、熱可塑
性樹脂が補強繊維束の外周に均一にコーティングされて
いる為、成形時の含浸性が良く、織物内の補強繊維同士
の交点でも含浸性が良く、しかも、補強繊維の分散性が
よい。このため、より短時間、低圧力による成形が可能
である。
【0032】上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製紐
してなるブレードからなる成形材料も、織物の場合と同
様に、柔軟な樹脂被覆補強繊維糸を用いたため、フレキ
シブルであり、このため賦形性が良く、積層、賦形時の
作業性に優れている。また、熱可塑性樹脂が補強繊維束
の外周に均一にコーティングされている為、成形時の含
浸性が良く、織物内の補強繊維同士の交点でも含浸性が
良く、しかも、補強繊維の分散性がよい。このため、よ
り短時間、低圧力による成形が可能である。このブレー
ドは筒状であるので、繊維補強熱可塑性樹脂管状成形体
を成形するのに好適である。
【0033】
【実施例】
実施例1 次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を
得た。 (1)使用材料 補強繊維束:カーボンファイバー HTA−6KCF(東邦レーヨン株式会社製) フィラメント数 6000本 フィラメント径 7μm 熱可塑性樹脂:ポリアミド PA6(宇部興産株式会社製)
【0034】(2)コーティング条件 使用装置:図1〜4に示す構成 繊維用穴10の内径:3.5mm 吐出口12の外径:7mm、内径:5.5mm クロスヘッドダイ温度:270°C 押出機3のシリンダ温度:250°C 熱可塑性樹脂吐出量:46g/min 巻取速度:200m/min
【0035】(3)結果 補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆
補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強
繊維体積含有率は54%であった。その樹脂被覆補強繊
維糸を切断し、断面を電子顕微鏡で観察したところ、補
強繊維束を取り囲んだ熱可塑性樹脂被覆が形成されてお
り、その被覆は補強繊維束の外周の連続繊維に接着され
ていた。また、補強繊維束の内部への樹脂含浸は見られ
なかった。更に、熱可塑性樹脂被覆を剥がして内部の補
強繊維束を観察したところ、内部の補強繊維に損傷は見
られず、従って、コーティング工程で補強繊維に損傷は
生じていなかった。得られた樹脂被覆補強繊維糸は柔軟
であり、製織テストを行ったところ、損傷を生じること
なく製織可能であった。
【0036】実施例2 次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を
得た。 (1)使用材料 補強繊維束:カーボンファイバー HTA−6KCF(東邦レーヨン株式会社製) フィラメント数 6000本 フィラメント径 7μm 熱可塑性樹脂:ポリフェニレンサルファイド PPS(大日本インキ株式会社製)
【0037】(2)コーティング条件 使用装置:図1〜4に示す構成 繊維用穴10の内径:3.5mm 吐出口12の外径:7mm、内径:5.5mm クロスヘッドダイ温度:320°C 押出機3のシリンダ温度:290°C 熱可塑性樹脂吐出量:46g/min 巻取速度:200m/min
【0038】(3)結果 補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆
補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強
繊維体積含有率は54%であった。この樹脂被覆補強繊
維糸も実施例1のものと同様な特性を備えていた。
【0039】実施例3 次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を
得た。 (1)使用材料 補強繊維束:カーボンファイバー HTA−6KCF(東邦レーヨン株式会社製) フィラメント数 6000本 フィラメント径 7μm 熱可塑性樹脂:ポリアミド PA6(宇部興産株式会社製)
【0040】(2)コーティング条件 使用装置:図1〜4に示す構成 繊維用穴10の内径:3.5mm 吐出口12の外径:7mm、内径:5.5mm クロスヘッドダイ温度:280°C 押出機3のシリンダ温度:250°C 熱可塑性樹脂吐出量:30g/min 巻取速度:130m/min
【0041】(3)結果 補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆
補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強
繊維体積含有率は54%であった。この樹脂被覆補強繊
維糸も実施例1のものと同様な特性を備えていた。
【0042】実施例4 次の条件で、樹脂被覆補強繊維糸を作製し、次の結果を
得た。 (1)使用材料 補強繊維束:カーボンファイバー HTA−12KCF(東邦レーヨン株式会社製) フィラメント数 12000本 フィラメント径 7μm 熱可塑性樹脂:ポリアミド PA6(宇部興産株式会社製)
【0043】(2)コーティング条件 使用装置:図1〜4に示す構成 繊維用穴10の内径:5mm 吐出口12の外径:9mm、内径:7mm クロスヘッドダイ温度:270°C 押出機3のシリンダ温度:250°C 熱可塑性樹脂吐出量:30g/min 巻取速度:65m/min
【0044】(3)結果 補強繊維束の外周に熱可塑性樹脂被覆を有する樹脂被覆
補強繊維糸を得た。得られた樹脂被覆補強繊維糸の補強
繊維体積含有率は54%であった。この樹脂被覆補強繊
維糸も実施例1のものと同様な特性を備えていた。
【0045】実施例5 実施例3の樹脂被覆補強繊維糸を用いて次の条件で織物
を製織した。 織組織:平織 織り密度:経10本/25mm、緯10本/25mm 得られた織物は柔軟であり、且つ経糸、緯糸ともに損傷
は見られなかった。この織物を用いて、次の条件で平板
を成形した。 積層構成:8ply 成形条件:270°C、10kgf/cm2 、10mi
n この成形により厚さ2.1mmの成形体を得た。この成
形体について機械特性を測定した結果を表1に示す。
【0046】比較例1 次の仕様の補強繊維束のみからなる織物と熱可塑性樹脂
フィルムを用意した。 補強繊維織物 使用繊維:カーボンファイバー T−300 6KCF 織物 (東レ株式会社製) フィラメント数 6000本 フィラメント径 7μm 織組織:平織 織り密度:経10本/25mm、緯10本/25mm 熱可塑性樹脂:ポリアミド PA6フィルム 厚み60μm(ユニチカ株式会社製) この補強繊維織物及び熱可塑性樹脂フィルムを用いて、
次の条件で平板を成形した。 積層構成:表面にPA6フィルムとなるように、PA6
フィルムと補強繊維織物を交互に積層し、補強繊維織物
を8枚積層した。 成形条件:270°C、10kgf/cm2 、10mi
n この成形により厚さ2.2mmの成形体を得た。この成
形体について機械特性を測定した結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1から良く分かるように、実施例5で得
た成形体は、従来の補強繊維織物から得た比較例1のも
のに比べてきわめて優れた特性を有していた。
【0049】実施例6 実施例4の樹脂被覆補強繊維糸を用いて次の条件でブレ
ードを製紐した。 打ち数:24打 角度: 30° ブレード径:18mm 得られたブレードは柔軟であり、樹脂被覆補強繊維糸に
損傷は見られなかった。このブレードを用いて、次の条
件でFRTP管を成形した。 積層構成:3ply 成形条件:260°C、内圧10kgf/cm2 、20
min、冷却15°C/min、80°C以下で脱型 得られたFRTP管は外径20mm、肉厚1.2mmで
あり、補強繊維の体積含有率は55%であった。その機
械特性を測定した結果を表2に示す。
【0050】比較例2 次の条件で、12KCF/PA6の交織タイプのブレー
ドを作製し、それを用いて内圧成形でFRTP管を成形
した。 (1)使用材料 補強繊維束:カーボンファイバー HTA−12KCF(東邦レーヨン株式会社製) フィラメント数 12000本 フィラメント径 7μm 熱可塑性樹脂繊維:ポリアミド PA6(宇部興産株式会社製) フィラメント数 72本 フィラメント径 82μm 糸番手 460TEX
【0051】(2)ブレーディング条件 打ち数:48打 角度: 30° ブレード径:18mm 左周り、右周り共にカーボンファイバー、ナイロンファ
イバーの製紐管をそれぞれ1本おきにしかけ、補強繊維
が互いに交差する方向に等量配列された交織タイプのブ
レードを作製した。
【0052】(3)内圧成形 得られたブレードを用いて、次の条件でFRTP管を成
形した。 積層構成:3ply 成形条件:260°C、内圧8kgf/cm2 、10m
in、冷却15°C/min、80°C以下で脱型 得られたFRTP管は外径20mm、肉厚1.2mmで
あり、補強繊維の体積含有率は55%であった。その機
械特性を測定した結果を表2に示す。
【0053】比較例3 次の条件で、12KCF/PA6の1方向タイプのブレ
ードを作製し、それを用いて内圧成形でFRTP管を成
形した。 (1)使用材料 補強繊維束:カーボンファイバー HTA−12KCF(東邦レーヨン株式会社製) フィラメント数 12000本 フィラメント径 7μm 熱可塑性樹脂繊維:ナイロンファイバー PA6(宇部興産株式会社製) フィラメント数 72本 フィラメント径 82μm 糸番手 460TEX
【0054】(2)ブレーディング条件 打ち数:32打 角度: 30° ブレード径:18mm 左周りの管差しにカーボンファイバー、右周りの管差し
にナイロンファイバーの製紐管をしかけた、所謂Z方向
補強ブレードと、右周りの管差しにカーボンファイバ
ー、左周りの管差しにナイロンファイバーの製紐管をし
かけた、所謂S方向補強ブレードを作製した。
【0055】(3)内圧成形 得られたブレードを用いて、次の条件でFRTP管を成
形した。 積層構成:4ply 成形条件:260°C、内圧8kgf/cm2 、10m
in、冷却15°C/min、80°C以下で脱型 得られたFRTP管は外径20mm、肉厚1.1mmで
あり、補強繊維の体積含有率は55%であった。その機
械特性を測定した結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2から良く分かるように、実施例6で得
た成形体は、従来の補強繊維ブレードから得た比較例
2、3のものに比べてきわめて優れた特性を有してい
た。
【0058】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の樹脂被
覆補強繊維糸は、多数本の連続繊維からなる補強繊維束
を熱可塑性樹脂被覆が覆って保護しており、且つ適度な
柔軟性を有しているため、製織、製紐等の工程において
損傷を生じることがなく、繊維補強熱可塑性樹脂成形体
を製造するための成形材料として使用する織物やブレー
ドの材料として好適に使用可能であり、しかも、成形時
には、補強繊維に対する樹脂の含浸性が良く、高品質の
成形体を成形できるという効果を有している。また、こ
の樹脂被覆補強繊維糸は、補強繊維に対して熱可塑性樹
脂を被覆した形態で一体化しているので、繊維化した後
補強繊維と合撚或いはコミングルして形成したプリプレ
グヤーンに比べて、製造工程が簡単で、安価に製造可能
であり、更に、補強繊維を熱可塑性樹脂被覆で保護して
いるため、後工程でばらけることがなく、このため補強
繊維束を構成する単繊維数を多くすることが可能であ
り、生産性が良い等の効果も有している。
【0059】上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製織
してなる織物からなる本発明の成形材料は、柔軟な樹脂
被覆補強繊維糸を用いたため、フレキシブルであり、こ
のため賦形性が良く、曲面を有する成形体の成形に適す
ると共に、積層、賦形時の作業性に優れ、また、熱可塑
性樹脂が補強繊維束の外周に均一にコーティングされて
いる為、成形時の含浸性が良く、織物内の補強繊維同士
の交点でも含浸性が良く、しかも、補強繊維の分散性が
よい。このため、より短時間、低圧力による成形が可能
であり、ボイドの少ない、補強効果の高い成形体を作る
ことができるという効果を有している。
【0060】上記した樹脂被覆補強繊維糸を用いて製紐
してなるブレードからなる本発明の成形材料も、織物の
場合と同様に、柔軟な樹脂被覆補強繊維糸を用いたた
め、フレキシブルであり、このため賦形性が良く、積
層、賦形時の作業性に優れており、また、熱可塑性樹脂
が補強繊維束の外周に均一にコーティングされている
為、成形時の含浸性が良く、織物内の補強繊維同士の交
点でも含浸性が良く、しかも、補強繊維の分散性がよ
い。このため、より短時間、低圧力による成形が可能で
あり、ボイドの少ない、補強効果の高い成形体を作るこ
とができ、繊維補強熱可塑性樹脂管状成形体を成形する
のにきわめて好適であるという効果を有している。
【0061】本発明方法は、多数本の補強用連続繊維で
形成された補強繊維束を走行させた状態で、その補強繊
維束を包囲するように熱可塑性樹脂を中空の円筒状に押
し出し、圧力フリーの状況下で前記補強繊維束の外周に
接触させる構成であるので、樹脂を補強繊維束の内部に
含浸させることなく外周の連続繊維に接着させて本発明
の樹脂被覆補強繊維糸を製造でき、この際、溶融した熱
可塑性樹脂を圧力フリーの状況下で補強繊維束の外周に
接触させればよいので、処理速度(補強繊維束の走行速
度)を大きくすることが可能で、生産効率を上げること
ができる等の効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の実施に用いるコーティング
装置の1例のクロスヘッドダイを示す概略断面図
【図2】そのコーティング装置の概略側面図
【図3】そのクロスヘッドダイの樹脂吐出部分の概略断
面図
【図4】図3のA−A矢視図
【符号の説明】
1 補強繊維束 2 給糸装置 3 スクリュー式押出機 4 クロスヘッドダイ 5 樹脂被覆補強繊維糸 6 熱可塑性樹脂冷却槽 7 巻取装置 10 繊維用穴 11 円筒状通路 12 吐出口 14 樹脂

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造する
    ために使用する樹脂被覆補強繊維糸であって、多数本の
    補強用連続繊維で形成された補強繊維束と、その補強繊
    維束の外周にコーティングされた熱可塑性樹脂とからな
    り、該熱可塑性樹脂は前記補強繊維束の内部にはほとん
    ど含浸せず、外周に位置する連続繊維に接着しており、
    更に補強用連続繊維の体積含有率が40〜60%である
    ことを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸。
  2. 【請求項2】 繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造する
    ための成形材料であって、請求項1に記載の樹脂被覆補
    強繊維糸を用いて製織した織物からなる成形材料。
  3. 【請求項3】 繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造する
    ための成形材料であって、請求項1に記載の樹脂被覆補
    強繊維糸と、その樹脂被覆補強繊維糸に用いている熱可
    塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂繊維糸とを用いて製織し
    た織物からなる成形材料。
  4. 【請求項4】 繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造する
    ための成形材料であって、請求項1に記載の樹脂被覆補
    強繊維糸を用いて製紐されたブレードからなる成形材
    料。
  5. 【請求項5】 繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造する
    ための成形材料であって、請求項1に記載の樹脂被覆補
    強繊維糸と、その樹脂被覆補強繊維糸に用いている熱可
    塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂繊維糸とを用いて製紐さ
    れたブレードからなる成形材料。
  6. 【請求項6】 多数本の補強用連続繊維で形成された補
    強繊維束を走行させた状態で、その補強繊維束を包囲す
    るように且つその補強繊維束に接触しない位置に配置し
    た環状の吐出口から溶融した熱可塑性樹脂を中空の円筒
    状に押し出し、その熱可塑性樹脂を圧力フリーの状況下
    で前記補強繊維束の外周に接触させ、コーティングする
    ことを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸の製造方法。
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