JPH08337946A - 横編機を用いた伏せ目方法とこの方法で伏せ目された編地 - Google Patents

横編機を用いた伏せ目方法とこの方法で伏せ目された編地

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JPH08337946A
JPH08337946A JP8632596A JP8632596A JPH08337946A JP H08337946 A JPH08337946 A JP H08337946A JP 8632596 A JP8632596 A JP 8632596A JP 8632596 A JP8632596 A JP 8632596A JP H08337946 A JPH08337946 A JP H08337946A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は伏せ目箇所の突出を抑え、2つの編地
を平坦に接続する伏せ目方法を提供する。 【解決手段】前身頃の編目(15)と後身頃の編目(1
4)を重ねる際に、一旦編目(14),(15)を対向
する針床上の針に目移しする。次にこれらの編目と伏せ
目用の編目(13)を重ねて、3重目を形成する。伏せ
目用の編目(13)は3重目の中で編目(14)と編目
(15)に挟まれるようにし、かつ編目(14),(1
5)はそれらの表側が重なるようにする。次に3重目上
に、次の伏せ目用の編目(16)を形成する。編目(1
5)は針から外す際に180度回転し、伏せ目箇所の突
き出しを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対の編地の最終
コース同士を接合するとともに、解れ止めを施す伏せ目
処理に関する。
【0002】
【従来の技術】編地の最終コースの編目の解れ止めを行
う従来法として、特開昭59−21758号に開示され
た方法がある。この公報では、編地の最終コースの編目
を、針床上の隣接した針に係止されている編目と重ね、
2つの編目を重ねて保持している針に編糸を供給して、
次コースの編目を新たに形成する。新たに形成した編目
を隣接する針に係止されている編目と重ねた後、これら
の編目を係止している針に編糸を供給して次コースの編
目を形成する。これらの工程を最終コースの編目に対し
順次行うと解れ止めが行われる。この方法は、一般に伏
せ目と呼ばれる。
【0003】上記伏せ目を利用し、前後の針床で重ねて
編成された一対の編地の最終コースの編目同士を重ねた
状態で、伏せ目することが考えられている。これにより
編地同士を接続するとともに、最終コースの編目の解れ
止めを行うことができる。この方法により、たとえば前
ベッドで前身頃部を、後ベッドで後身頃部を形成する。
この後、前身頃部の上部に形成された前肩部と、後身頃
部の上部に形成された後肩部の、最終コースの編目同士
を重ね、伏せ目を行う。すると前身頃部と後身頃部が、
肩部において接続される。
【0004】上記した方法により伏せ目処理された編地
では、図16に示すように、前肩部101の最終コース
の編目102と後肩部103の最終コースの編目104
は、編目の裏側と裏側とが接するように重ねられて、こ
こに伏せ目用の編目105が形成される。前肩部101
の最終コースの編目102と後肩部103の最終コース
の編目104が、上記の状態で重ね合わされているた
め、図16に示すように、編目の先端部が編地の接合箇
所で編地表面に突出する傾向があった。図16は前肩部
と後肩部の接合箇所の断面図である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題を解決する
ため、特開平4−209855号公報の方法が提案され
ている。この方法では、前身頃および後身頃を前後の針
床を使用して編成する。この後、それまで前身頃の編成
に使用されていた給糸口とそれまで後身頃の編成に使用
されていた給糸口とを移動させ、編地から各給糸口に渡
っている編糸を交差させる。この状態で、前身頃および
後身頃の最終コースとなる編目に、伏せ目を繰り返し、
前身頃と後身頃を前記の交差した編糸により接続する。
この方法により伏せ目された編地では、毎身頃部と後身
頃部の編目が重ねられることがないので、前身頃および
後身頃を重ね合わせて行う方法に比べ、伏せ目された部
分が硬くなったり、伏せ目した箇所が突出し美観を損ね
るという問題がない。しかしこの方法では、伏せ目を行
うために、前身頃部と後身頃部の編成に複数の給糸口を
使用することが必要である。
【0006】本発明の課題は、伏せ目箇所の突出を抑
え、2つの編地を平坦に接続する伏せ目方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の課題は、伏せ目に用い
た他とはウェール方向が異なる編目が、編地表面に現れ
ないようにすることにある。本発明のさらに他の課題
は、伏せ目箇所で編目が捻れないようにすることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明では、各々多数
の針を有する少なくとも第1の針床と第2の針床とを備
え、前記針床が相対的に摺動可能で、かつ針床間で編目
の目移しが可能な横編機を用い、第1の編地が第1の針
床に属し、第2の編地が第2の針床に属するように、こ
れらの編地を向かい合わせて編成した後、第1の編地と
第2の編地の編目を重ねて伏せ目する。このような横編
機は周知であり、また伏せ目という概念自体は周知であ
る。編地の編成は平編でもリブ編等でも良く、平編の場
合、文字通りに第1の編地は第1の針床で編成されて第
1の針床に属し、第2の編地は第2の針床で編成されて
この針床に属する。リブ編の場合も、各編地が何れの針
床に属するかを定めることができる。例えば2枚ベッド
の横編機の場合、リブ編成では針床間での目移しが頻繁
に行われ、1つの編地が第1の針床に係止され、同様に
他方の編地が第2の針床に係止される状態が現れる。こ
の状態に着目すると、何れの編地がいずれの針床に属す
るかを定めることができる。従って、編成時には第1の
編地が第1の針床で編成され、第2の編地が第2の針床
で編成されることには必ずしもならない。しかしなが
ら、伏せ目前に第1の編地の編目は第1の針床に揃えら
れ、第2の編地の編目は第2の針床に揃えられる。
【0008】この発明は、第1の編地の少なくとも1個
の編目を第2の針床に係止し、第2の編地の少なくとも
1個の編目を第1の針床に係止すると共に、少なくとも
1個の伏せ目用の編目を第1または第2の針床に係止
し、次いで、針床間での目移しにより、第2の針床に係
止した第1の編地の編目と、第1の針床に係止した第2
の編地の編目と、前記伏せ目用の編目を、各1目ずつ針
床上で重ねて3重目とし、次いで、前記3重目上に新た
な伏せ目用の編目を形成した後、前記3重目を針床から
外して、前記3重目での編目を相対的に回転させる、こ
とを特徴とする。
【0009】また、好ましくは、第1の編地の一端の編
目を第2の針床に係止し、かつ第2の編地の同じ側の端
部の編目を第1の針床に係止し、次いで針床間での目移
しにより前記2つの編目を重ねて、その後、重ね目上に
最初の伏せ目用の編目を形成し、次いで、前記最初の伏
せ目用の編目と、第1の編地上で前記一端の編目に隣接
する編目と、前記第2の編地上で前記同じ側の端部の編
目に隣接する編目とを重ねて前記3重目とする。さらに
好ましくは、前記新たな伏せ目用の編目と、第1の編地
上で前記3重目に隣接する編目と、第2の編地上で前記
3重目に隣接する編目、とを重ねて新たな3重目を形成
することと、新たな3重目上に新たな伏せ目用の編目を
形成すること、とを繰り返す。
【0010】また、好ましくは、第1の編地の1つの編
目を第2の針床へ目移しして第2の針床に係止すること
と、この編目と、第1の針床に係止した第2の編地の1
つの編目と、伏せ目用の編目を重ねて、3重目を形成す
ると共に、該3重目上に前記新たな伏せ目用の編目を形
成すること、とを繰り返す。
【0011】また、好ましくは、第2の編地の編目を第
1の針床で形成して、第1の針床に係止する。
【0012】また、好ましくは、3重目は、第1の編地
と第2の編地の伏せ目の完了後に、最も外にある外,中
間にある中,最も内にある内の順序を有し、伏せ目用の
編目は、3重目の中または内に位置する。
【0013】また、好ましくは、第1の編地の少なくと
も1個の編目と、第2の編地の少なくとも1個の編目、
の少なくとも一方の編目を、3重目の形成前に、捻られ
た状態で形成する。
【0014】また、好ましくは、前記第1の編地の編目
を1個第2の針床に移動させ、前記第2の編地の編目を
1個第1の針床に移動させることと、次いでこれらの編
目を前記伏せ目用の編目と重ねて、前記3重目を形成す
ると共に新たな伏せ目用の編目を形成すること、とを繰
り返す。
【0015】また、好ましくは、第2の編地の一端の編
目を含む複数の編目を第1の針床に目移しした後、第1
の編地の同じ側の端部の編目を第2の針床に目移しし、
次いで第1の編地の前記端部の編目と、第2の編地の前
記端部の編目とを重ねて2重目とし、次いでこの2重目
上に編目を形成して前記伏せ目用の編目とし、かつ第2
の編地の目移しされた編目で該2重目に隣接する編目上
に新たな編目を形成した後、前記伏せ目用の編目と、前
記新たな編目とを重ねて新たな2重目とし、前記新たな
編目に対向する第1の編地の編目を第2の針床に新たに
目移しし、該新たに目移しした編目と前記新たな2重目
とを重ねて新たな3重目とし、前記新たな3重目上に新
たな伏せ目用の編目を形成すると共に、第2の編地の目
移しされた編目で、前記新たな3重目に隣接する編目上
に新たな編目を形成することを繰り返す。
【0016】また、好ましくは、第2の編地の一端の編
目を含む複数の編目を第1の針床に目移しした後、第1
の編地の同じ側の端部の編目を第2の針床に目移しし、
次いで第1の編地の前記端部の編目と、第2の編地の前
記端部の編目とを重ねて2重目とし、次いで、第2の編
地の目移しされた編目で、該2重目に隣接する編目上に
新たな編目を形成すると共に、該2重目上に編目を形成
して前記伏せ目用の編目とし、かつ前記新たな編目上に
さらなる新たな編目を形成した後、前記伏せ目用の編目
と、前記さらなる新たな編目とを重ねて新たな2重目と
し、前記さらなる新たな編目に対向する第1の編地の編
目を第2の針床に新たに目移しし、該新たに目移しした
編目と前記新たな2重目とを重ねて新たな3重目とし、
第2の編地の目移しされた編目で、該新たな3重目に隣
接する編目上に新たな編目を形成すると共に、前記新た
な3重目上に新たな伏せ目用の編目を形成し、かつ前記
新たな編目上にさらなる新たな編目を形成することを繰
り返す。
【0017】この発明は、各々多数の針を有する少なく
とも第1の針床と第2の針床とを備え、前記針床が相対
的に摺動可能で、かつ針床間で編目の目移しが可能な横
編機を用いて編成しかつ伏せ目した編地において、前記
編地は前側編地と後側編地とからなり、該前側編地と後
側編地はいずれも多数の編目からなる最終コースを有
し、前記最終コースの編目はシンカーループとニードル
ループを有すると共に、シンカーループからニードルル
ープへ向かう向きを有し、前側編地の最終コースの編目
は、該編目を前側編地に関して後側編地の反対側から見
た側を表、後側編地側から見た側を裏とする、表と裏の
関係を有し、後側編地の最終コースの編目は、該編目を
後側編地に関して前側編地の反対側から見た側を表、前
側編地側から見た側を裏とする、表と裏の関係を有し、
前側編地の最終コースの各編目は後側編地の最終コース
の編目と、前側編地の最終コースの編目の表側と後側編
地の最終コースの編目の表側が向き合い、かつ前側編地
の最終コースの編目と後側編地の最終コースの編目とで
シンカーループからニードルループへの向きが逆になる
ように、重ねられて、多数の隣接した重ね目を形成し、
かつ各重ね目に形成した伏せ目用の編目は隣接した重ね
目に重ねられていることを特徴とする。
【0018】
【発明の作用と効果】この明細書において編目の表/裏
は、編目を重ねる前の状態で定義し、編地を正面から見
て、例えば前身頃で有れば前身頃に関して後身頃の反対
側から見て、見える側が表、隠れる側が裏とする。また
後身頃で有れば、後身頃に関して前身頃の反対側から見
て見える側が表,隠れる側が裏である。この明細書での
表,裏は、表目,裏目とは必ずしも対応しない。
【0019】実施例では第1の針床が前ベッドに、第2
の針床が後ベッドに対応するが、これに限るものではな
い。また実施例では第1の編地が前身頃に、第2の編地
が後身頃に対応するが、これに限るものではない。さら
に編目の向きは、その基部のシンカーループからニード
ルループへ向かう向きで定義する。簡単のため、筒状の
編地を編成し、第1の針床で前身頃を、第2の針床で後
身頃を編成するものとして、この発明の作用を説明す
る。
【0020】簡単のため、筒状の編地を編成し第1の針
床で前身頃を、第2の針床で後身頃を編成するものとし
てこの発明の作用を説明する。この発明では、前身頃の
編目と後身頃の編目を 表/表 の関係で、即ち2つの
編目の表側と表側とが向き合うように重ねて伏せ目す
る。2つの編目を 表/表 の関係で重ねるには、後身
頃の編目を第1の針床で係止し、前身頃の編目を第2の
針床で係止してから、両者を重ねれば良い。
【0021】後身頃の編目を第1の針床で係止し、前身
頃の編目を第2の針床で係止するには、例えば針床間で
の編目の目移しを用いる。編目は最初、針床間のトリッ
クギャップの反対側に表が、トリックギャップ側に裏が
現れる。ここで編目を目移しすると、トリックギャップ
側に編目の表が現れ、編目の表裏が反転する。この後、
一方の編目を再度目移しして他方の編目に重ねると、2
つの編目は 表/表の関係で重なる。目移しは、2枚ベ
ッドの横編機の場合、文字通りに第1の針床と第2の針
床間で行う。しかし例えば前後に各2枚の針床を配置し
た4枚ベッドの横編機では、前のいずれかの針床と、後
のいずれかの針床間で有れば良い。
【0022】編目の表裏反転は、例えば後身頃の編目を
第1の針床で形成することでも実現できる。例えば伏せ
目以前のコースで、後身頃の編目を第1の針床に目移し
する。次にこれらの編目上に、新たに編目を編成する。
新たな編目は後身頃に属し、かつ第1の針床で形成さ
れ、編成時からトリックギャップ側に編目の表が現れて
いる。そこでこのような編目を用いても、2つの編目を
表/表 の関係で重ねることができる。
【0023】例えば、2つの編目を 表/表 の関係で
重ね、この箇所に伏せ目用の編目を形成する。次に隣接
ウェールの2つの編目を、伏せ目用の編目と重ねて3重
目とし、以下例えばこれを繰り返して伏せ目する。伏せ
目用の編目は、編目の方向が2つの編地の接続ラインを
向き、編目の方向が他の編目とは異なっている。伏せ目
用の編目は他の編目とウェール方向がほぼ直角なので、
編地の表面に現れないことが好ましい。そこで好ましく
は、針から外した状態を基準にして、伏せ目用の編目を
3重目の中か内(底)に配置する。
【0024】3重目において、前身頃の編目と後身頃の
編目は、最初編目の向きが等しい。しかし3重目を針か
ら外すと、2つの編目を 表/表 の関係で重ねたた
め、一方の編目がほぼ半回転する。この半回転は3重目
自体の性質に基づくもので自然に生じるが、半回転の原
因は 表/表 の関係で前後の身頃を重ねたことにあ
る。これに伴って伏せ目箇所は平坦になり、前身頃と後
身頃は平坦に接続される。そして回転が生じるのは、伏
せ目用の編目を形成しなかった側の編地である。例えば
伏せ目用の編目を後身頃に編成するならば、前身頃側の
編目が回転する。回転に伴って編目に捻れが生じ、これ
は原則として回転した側の編目に生じる。そこで好まし
くは重ね目を形成する前に編目を予め捻って編成し、事
前の捻りで3重目の形成後の回転による捻れを打ち消さ
せる。このようにすれば、完成した編地での編目の捻れ
を解消できる。
【0025】好ましくは3重目を形成する都度、第2の
編地で3重目に隣接する編目に少なくとも1個の編目を
新たに形成する。するとこの編目の渡り糸が第2の編地
を3重目側に引き付け、新たな編目は第1の編地の編目
の下等に隠れる。このため伏せ目箇所が目立つのをさら
に防止できる。
【0026】第1の編地の編目を第2の編地の編目と重
ね、ここに伏せ目用の編目を形成して3重目とする。そ
してここで、第1の編地の編目を予め捻らずに編成する
と、3重目を針から外した際に第1の編地の編目が回転
するため、その渡り糸が互いにクロスする。渡り糸の一
方には伏せ目用の編目からの力が加わり、編地から浮き
上がろうとする。この渡り糸は、クロス部で下側にあ
り、他の渡り糸に抑えられて編地から浮き上がらない。
このため渡り糸が編地から浮き上がるのを防止できる。
【0027】
【実施例】本発明の伏せ目方法の実施例を、図面を参照
して詳細に説明する。用いる横編機は、少なくとも前後
一対の針床を有し、一対の針床が相対的に長手方向に摺
動可能で、針床間での編目の目移しが可能なものを用い
る。横編機は実施例でも用いた2枚ベッド機に限らず、
4枚ベッドの横編機でも良く、その場合に編目の表裏反
転に寄与するのは前後のベッド間での目移しである。従
って、実施例での前後のベッド間での目移しは、4枚ベ
ッド機の場合も、前後のベッド間での目移しを意味する
ものとする。
【0028】図1は本発明を利用して編成されるセータ
ー1の完成時の状態を示す。セーター1は前身頃部2
a,後身頃部2b、および右袖部3,左袖部4からな
り、身頃部2a,2bは全体で1つの筒状に、両袖部
3,4はそれぞれ異なる筒状に編成され、これらの各部
には針床の異なる領域の針が割り当てられる。身頃部2
a,2bと袖部3,4は脇下部分まで別個に編成された
後、特開平4−41752号公報の方法により接続さ
れ、図2の状態となる。ここまでの編成では、1つの給
糸口を使用し前ベッドと後ろベッドの両針床の針に同じ
編糸を供給しても良いし、またベスト等を編成する場
合、前身頃部2aと後身頃部2bとで異なる給糸口を使
用しても良い。図2の状態から、右両肩部5と左肩部6
で最終コースの編目同士を重ねて伏せ目を行い、図1に
示す完成状態とする。以下に左肩部6での伏せ目を例
に、第1実施例から第3実施例を説明する。右肩部5で
の伏せ目は、左肩部6での伏せ目と全く同様である。実
施例では、前後一対の針床を備えた2枚ベッド機を使用
するものとし、編成コース図でアルファベットの大文字
は前ベッドの針を、小文字は後ベッドの針を示す。なお
説明の便宜上、実際の編成に使用するよりも少数の針を
示して、説明する。
【0029】<第1実施例>本発明の第1実施例を、図
3から図5の編成コース図と、伏せ目が完了した時点で
の伏せ目箇所の編組織を示す図6、を参照して説明す
る。図3のコース1は、前ベッドの針Gから図3の左側
に給糸口を移動させて前ベッドの針G,E,C,Aに編
糸を供給して編目を形成し、続いて給糸口を右側に移動
させて後ベッドの針b,d,・・・,r,tに編糸を供
給して編目の形成が完了した状態を示す。このコース1
以降で伏せ目が行われ、コース1で示されている編目が
本実施例における最終コースの編目となる。図3の下方
が前側、上方が後側となる状態でセーター1を編成して
いるため、コース1で前ベッドの1本おきの針A,C,
E,Gに係止されているのが右前肩部5a、後ベッドの
針b,d,f,hに係止されているのが右後肩部5bの
編目である。後ベッドの針j,lに係止される後襟首部
7を介して、後ベッドの針n,p,r,tに左後肩部6
bが、前ベッドの針U,S,Q,Oに左前肩部6aの編
目が係止されている。
【0030】本実施例では、前後一対の針床を備えた横
編機を使用しているため、前ベッドと後ベッドで針1本
分位相が異なる針に編目が係止された状態とし、編目を
係止していない空針を編目間に配置して目移しに使用す
る。このため、編地が前後に重ねられた状態でも、目移
しが可能である。以下図2に示す状態から、左右両方の
肩部で前肩部と後肩部をそれぞれ接続し、図1に示す状
態とする。右肩部5と左肩部6では対称に同じ編成が行
われるため、左前肩部6aと左後肩部6bを接続して伏
せ目する場合を説明する。
【0031】まず図3のコース1では、図示しないコー
ス1以前の編成で最後に編目が形成された後ベッドの針
tの右側に給糸口が位置している。前ベッドの針Uに左
前肩部6aの端に位置する編目が係止され、後ベッドの
針tに左後肩部6bの端の編目が係止されている。本実
施例では左肩部6の外側から内側に向かって、(前ベッ
ドでは針Uから針Oへ、後ベッドでは針tから針n
へ)、伏せ目する。コース1に示す状態から、コース2
では給糸口を左方向に移動させる。そしてコース3で
は、後ベッドの針tに係止されている左後肩部6bの編
目を前ベッドの針Tに目移しする。次のコース4で、前
ベッドの針Uに係止されている左前肩部6aの編目12
を、後ベッドの針tに目移しする。次にコース5では、
コース3で前ベッドの針Tに目移しした左後肩部6bの
編目11を、後ベッドの針tに目移しし、左前肩部6a
の編目12と左後肩部6bの編目11を重ねる。次にコ
ース6で給糸口を右方向に移動させた後、コース7で、
給糸口を左方向に移動させる間に、後ベッドの針tに編
糸を供給して、次コースの編目13を形成する。これに
より、コース1で前ベッドの針Uに係止されていた左前
肩部6aの編目12と、後ベッドの針tに係止されてい
た左後肩部6bの編目11が重ねられ、これらはコース
7で後ベッドの針tに形成された編目13により保持さ
れる。
【0032】次にコース8で、後ベッドの針tに係止さ
れている編目13を前ベッドの針Rに移しした後、コー
ス9で、後ベッドの針rに係止されている左後肩部6b
の編目14を、前ベッドの針Rに目移しし、コース7で
後ベッドの針tに新たに形成された編目13と左後肩部
6bの編目14を重ねる。次のコース10で、前ベッド
の針Sに係止されている左前肩部6aの編目15を、後
ベッドの針rに目移しする。そして図4のコース11
で、前ベッドの針Rに係止されている2つの編目を後ベ
ッドの針rに目移しし、針rに左前肩部6aの編目1
5、左後肩部6bの編目14、コース7で後ベッドの針
tで形成された編目の3つの編目を係止する。そしてコ
ース12で給糸口を右方向に移動させた後、コース13
で、給糸口を左方向に移動させる間に、後ベッドの針r
に編糸を供給して編目を形成する。これにより重ねられ
た3つの編目は、後ベッドの針rに新たに形成された編
目16により保持される。
【0033】以下、コース14からコース24で、コー
ス8からコース13と同様の編成が、左肩部6の内側
(図面の左側)に向かって、セーター1の肩部の編目数
に応じ、所定の回数繰り返される。そしてコース25
で、3つの編目が重ねられた状態にある後ベッドの針n
に編糸を供給して新たな編目を形成するとともに、後ベ
ッドの針l,j,・・・,d,bにも編糸を供給して後
襟首部7および右後肩部5aを1コース分編成する。こ
のようにして、セーター1の左肩部6の伏せ目が完了す
る。以降、右肩部5に対し左肩部6と同様の伏せ目を行
い、ついで後襟首部7に対し、公知の方法で伏せ目を行
えば、セーター1の編成が完了する。
【0034】第1実施例のコース25までの編成が完了
した時点での、伏せ目箇所の編組織を図6に示す。図6
で、針番号を示すアルファベットは、編目の編成に用い
た針を示す。括弧付きのアルファベットは編目が既に針
から外されていることを、括弧付きのアルファベットは
コース25の編成が完了した時点で編目が針に係止され
ていることを示す。コース25で後ベッドの針nに新た
に形成した編目21は、コース25で後ベッドの針l,
j・・・に形成された他の編目22,23と同様に、後
ベッドの針に係止されている。しかし、編目間の関係を
分かりやすくするため、編目21のみ変則的に示す。
【0035】従来の伏せ目方法では、左前肩部6aの編
目を前側に、左後肩部6bの編目を後側に配置して、こ
れらの編目を重ねるため、編目は互いに裏側が接する。
即ち/を編目間の重なり面とすると、裏/裏となる。こ
れに対し本発明では、左前肩部6aの編目12,15,
24,25が後側、左後肩部6bの編目11,14,2
6,27が前側となるように編目を重ねているため、重
ね目での編目の接触は表/表となる。なお実施例では、
重ね目とする以前の状態で編地を正面から見て編地の外
に現れる側を編目の表、筒状編地の中に隠れる側を編目
の裏とする。次に左前肩部6aの編目12,15,2
4,25と左後肩部6bの編目11,14,26,27
を重ねた状態で保持している針に、次コースの編目1
3,16,21,28が形成される。これらの編目1
3,16,21,28は伏せ目に用いる独特の編目であ
り、実施例では隣接ウェールへ渡る編目として参照する
ことが有る。これらの編目が後身頃6bの編目であると
して、3重目での編目の接触関係を示すと、 裏(編目
26)表/裏(編目16)表/表(編目24)裏 とな
る。
【0036】左前肩部6aの編目12,15,24,2
5は、針から外す際に時計回り方向に半回転する。これ
は編目14等と編目15等が 表/表 の関係で重ねら
れているからで、針から外すと回転し易い前身頃側の編
目15等が半回転する。この回転の軸は、3重目の編目
が存在する面に垂直で、編目15等の表裏を反転させる
ものではない。またこの回転に伴い、左後肩部6bの編
目11,14,26,27と左前肩部6aの編目12,
15,24,25は、シンカーループからニードルルー
プへの向きを編目の方向として、編目の方向が逆にな
る。この明細書では、2つの編目の方向が逆なことを、
2つの編目が向かい合うと呼ぶことがある。前身頃の編
目15等が半回転すると、前身頃/後身頃間の伏せ目箇
所の突出を抑えることができる。
【0037】また、左後肩部6bの編目11,14,2
6,27と左前肩部6aの編目12,15,24,25
が重ねられた状態で形成された後に、隣接するウェール
の編目と重ねられる編目13,16,28は、左前肩部
6aの編目12,15,24,25および左後肩部6b
の編目11,14,26,27の下に隠れた状態とな
る。これは、編目13,16,28を編目14,15等
で挟むように重ねたからである。このため、隣接ウェー
ルへ渡る編目13,16,28が、編地表面に現れるこ
とがない。さて編目16に着目すると、図4のコース1
7では、後ベッドの針pに (編目15下)表/表(編
目16中)裏/表(編目14上) の関係で係止されて
いる。なお上,中,下は、針pでの重ね目の位置を示
す。この3重目を針pから外すと、前記のように編目1
5は180度回転し、同時に編目15が上,編目16が
中,編目14が下となる。これは後ベッドで3重目を編
成したからで、この場合には針pでの3重目の上下と針
から外した際の上下が逆転している。仮に図4のコース
17で、前身頃の編目15を後ベッドの針pから前ベッ
ドの針Pに目移しして3重目としても、針から外した際
の結果は変わらず、図6と同様に 編目14(下)/編
目16(中)/編目15(上) の順序となる。
【0038】編目が重ねられた状態で編地の最も表面側
に位置する左前肩部6aの編目12,15,24,25
は、隣接するウェールに渡る編目13,16,28によ
り抑えられる。このため、編目を形成する編糸の内の左
側に位置する部分17,18が下側に押さえ込まれ、逆
に右側に位置する部分19,20が浮き上がろうとす
る。伏せ目完了時には左前肩部6aの編目12,15,
24,25が捻られ、編目12,15,24,25の左
側の渡り糸17,18が上、右側の渡り糸19,20が
下となり、渡り糸19,20が浮き上がろうとするの
が、渡り糸17,18により押さえられる。そのため完
成した編地では編目が傾かず、浮き上がった編糸により
伏せ目箇所に凹凸が発生することがなく、平坦な伏せ目
を行うことができる。
【0039】<第2実施例>次に本発明の第2実施例
を、図7から図10の編成コース図、および伏せ目箇所
の編組織を示す図11を参照して説明する。図7のコー
ス1は、第1実施例の図3のコース1に示す状態から給
糸口を左方向に移動させ、前ベッドの針U,S,Q,O
に順次編糸を供給して編目の形成が完了した状態を示
す。この時、給糸口は最後に編目が形成された前ベッド
の針Oの左側に位置している。
【0040】第2実施例では、伏せ目を行うための準備
工程を、コース2からコース14で行う。図7のコース
2で給糸口を右方向に移動させた後、コース3で給糸口
を左方向に移動させる間に、前ベッドの針Oに編糸を供
給して編目を形成する。以下コース4からコース9の中
の、偶数コース4・6・8で給糸口を右方向に移動さ
せ、奇数コース5・7・9で給糸口を左方向に移動させ
ながら編目を形成する。このようにして左前肩部6の針
Q・S・Uに順次編目を形成する。コース9に続くコー
ス10で給糸口を右方向に移動させた後、図8のコース
11で、給糸口を左方向に移動させながら、後ベッドの
1本置きの針t,r・・・d,bに編糸を供給して、次
コースの編目を形成する。次にコース12およびコース
13では、前ベッドの針A,C,E,Gに編糸を供給し
て右前肩部5aの編目を形成する。次にコース14で
は、後ベッドの1本置きの針b,d・・・r,tに編糸
を供給して、右後肩部5b、後襟首部7、左後肩部6b
を編成する。
【0041】コース1からコース14に示される編成
で、後の編成により捻られる前ベッドの針O,Q,S,
Uの編目をあらかじめ反対側に捻られた状態で形成する
と、編成完了時に捻れを解消することができる。第2実
施例のコース14が完了した状態は第1実施例のコース
1に対応する。従って仮に編目が捻れても問題がなけれ
ば、第1実施例のコース1に示されるように、左後肩部
の最も外側となる後ベッドの針tに編目を形成した時点
から、伏せ目を開始しても良い。
【0042】次にコース15で、後ベッドの針n,p,
r,tに係止されている左後肩部6bの編目を、対向す
る前ベッドの針N,P,R,Tにそれぞれ目移しする。
本実施例では、編成効率の点から、後ベッドの針n,
p,r,tに係止されている後身頃の編目を、コース1
5で一括して前ベッドの針に目移ししている。しかし伏
せ目の進行に合わせ、順次前ベッドに目移しするように
しても良い。なお前身頃と後身頃の何れか一方の編目は
一括して目移しせず、例えば実施例の場合、前身頃の編
目を1目ずつ目移しする。次にコース16で給糸口を左
方向に移動させた後、コース17で前ベッドの針Uに係
止されている左前肩部6aの編目31を、後ベッドの針
uに目移しする。そしてコース18で編目31を前ベッ
ドの針Tに目移しして左後肩部6bの編目32と重ね、
前ベッドの針Tに2つの編目を重ねる。次にコース19
で給糸口を右方向に移動させた後、コース20で前ベッ
ドの針T・Rに編糸を供給して、次コースの編目33,
34を形成する。これにより、コース1で前ベッドの針
Uに係止されていた左前肩部6aの編目31と、後ベッ
ドの針tに係止されていた左後肩部6bの編目32は重
ねられ、それらはコース20で前ベッドの針Tに新たに
形成された編目33により保持される。編目33,34
等は後身頃の編目上に形成されたので後身頃の編目であ
り、後身頃の編目でありながら前ベッドで形成されたた
め、トリックギャップ側に編目の表が有る。
【0043】次に図9のコース21で前ベッドの針Tに
係止されている編目33を後ベッドの針tに目移しし、
コース22でさらに前ベッドの針Rに目移しし、針Rに
係止されている左後肩部の編目34と重ねる。次にコー
ス23で、前ベッドの針Sに係止されている左前肩部6
aの編目35を後ベッドの針sに目移しし、コース24
でさらに前ベッドの針Rに目移しする。これらにより、
前ベッドの針Rに、左後肩部6bの編目34(下)、コ
ース20で針tに新たに形成された編目33(中)、左
前肩部6aの編目35(上)の順で、3つの編目が重ね
られる。
【0044】第1実施例では、図6に示すように、左前
肩部6aの編目と接続される左後肩部6bの編目11と
編目14は、同一コースで形成された編目である。しか
し第2実施例では、図11に示すように、コース20
で、左後肩部6bの編目を係止している前ベッドの針R
にも編糸を供給して、次コースの編目34を形成してい
る。このため、コース21で前ベッドの針Rに係止され
ているのは、コース14で後ベッドの針rに係止されて
いた編目ではなく、コース20で前ベッドの針Rに新た
に形成された編目34である。本実施例では、コース2
0で、左前肩部6aの編目31と左後肩部6bの編目3
2を重ねて保持している針Tとともに、隣接する針Rに
も編糸を供給して編目を形成する。このため、最初に左
前肩部6aの編目31と重ねた左後肩部6bの編目32
と、コース24で左前肩部6aの編目35と重ねた左後
肩部6bの編目34は、形成されたコースが異なる。編
目34は編目32の次のコースで形成された編目である
が、本実施例では、伏せ目の過程で形成された編目を含
め、左前肩部6aの編目と重ねられる編目を左後肩部6
bの最終コースの編目とする。
【0045】次にコース25で給糸口を右側に移動さ
せ、コース26で前ベッドの針R,Pに編糸を供給し
て、編目36,37を形成する。これにより、コース2
4で前ベッドの針Rに係止されていた3つの編目は、針
Rに新たに形成された編目36により係止された状態
で、針から外される。以下コース27からコース32
で、コース21からコース26に示される編成と同様の
編成が、左肩部6の内側に向かって(針U→針O、針t
→針n)行われる。コース21からコース26に示され
る編成を繰り返し行うと、左前肩部6aと左後肩部6b
が接続されてゆく。そして図10のコース32で、左前
肩部6aの編目38と左後肩部6bの編目36,37の
重ね目を係止している前ベッドの針Pと同じベッドの針
Nに、編糸が供給される。すると左前肩部6aの最も内
側の前ベッドの針Oにのみ、左前肩部6aの編目39が
係止された状態となる。
【0046】コース33で、コース32で前ベッドの針
Pに形成した編目40を、後ベッドの針pに目移しす
る。コース34で、これをさらに前ベッドの針Nに目移
しし、左後肩部6bの編目41と重ねる。次にコース3
5で、前ベッドの針Oに係止されている左前肩部6aの
最も内側の編目39を、後ベッドの針nに目移しする。
そしてコース36で、共に前ベッドの針Nに係止されて
いる左後肩部6bの編目41とコース32で形成された
編目40を、後ベッドの針nに目移しする。このため後
ベッドの針nに、3つの編目が係止される。そしてコー
ス37で給糸口を右側に移動させた後、コース38で、
後ベッドの針Nに編糸を供給して編目42を形成すると
ともに、後ベッドの針L,J・・・にも編糸を供給して
編目を形成する。このようにして左肩部6の伏せ目が完
了する。以下同様に、右肩部5に対し上記と同様の編成
を行い、ついで右肩部5と左肩部6の間の後襟首部7に
対し公知の伏せ目を施すと、セーター1の編成が完了す
る。
【0047】上記の工程によりコース38までの編成が
完了した時点における、伏せ目箇所の編組織を図11に
示す。右前肩部6aの編目31,35,38,39と左
後肩部6bの編目32,34,37,41は互いに接続
され、これらは伏せ目され既に針から外された状態にあ
る。第2実施例により編成されたセーター1は、第1実
施例と同様に、左前肩部6aの編目31,35,38,
39が後側、左後肩部6bの編目32,34,37,4
1が前側というように、2つ編目を表側と表側が重なる
ように重ねている。従って、左前肩部6aの編目31,
35,38,39と左後肩部6bの編目32,34,3
7,41を重ねて保持している針に、次コースの編目3
3,36,40,42を形成し針から外すと、左前肩部
6aの編目31,35,38,39が時計回り方向に半
回転する。このため図11に示すように、左後肩部6b
の編目32,34,37,41と左前肩部6aの編目3
1,35,38,39が、向かい合った状態で上下に重
ねられる。また3重目での編目間の関係は、裏(編目4
5)表/裏(編目34)表/裏(編目33)表/表(編
目35)裏となる。
【0048】左前肩部6aの編目と重ねられた左後肩部
6bから周囲の編目に渡る編糸43,44は、コース1
4で左後肩部6bに形成された編目45を左前肩部側に
引き寄せる。そのため左前肩部6aの編目と重ねられた
左後肩部6bの編目34,37,41が左前肩部6aの
編目35,38,39の下に隠れ、編地の表面にはコー
ス14で左後肩部6bに形成された編目45と左前肩部
6aの編目35,38,39が連続するかのような状態
となる。従って本実施例により編成された編地では、伏
せ目箇所の突出が抑えられた平坦な伏せ目が行われてい
る。また、隣接するウェールに渡る編目33,36,4
0は、左前肩部6aの編目35,38,39の下に隠
れ、隣接するウェールの編目に渡る編目33,36,4
0が編地表面に現れることがない。
【0049】<第3実施例>次に本発明の第3実施例を
説明する。第3実施例は第2実施例と伏せ目の方法が異
なるが、(編目を形成する針、および編目を形成する順
序の変更等の、容易に変更し得る範囲内の変更を伴
う)、左前肩部6aの編目と左後肩部6bの編目を、一
方の編目が他方の編目の表側に重なるように編目を重
ね、伏せ目を行う点は共通する。以下、図12〜14の
編成コース図および伏せ目箇所を示す図15を参照し
て、第3実施例を説明する。第3実施例でも、伏せ目を
開始する前に、第2実施例のコース1からコース14に
示される伏せ目の準備工程を行う。以下、第2実施例の
コース14までの編成が完了した時点と同じ、コース1
から説明を行う。
【0050】第3実施例の図12のコース2からコース
5で、第2実施例のコース15からコース18と同じ編
成を行う。そして第2実施例では、コース19で給糸口
を右方向に移動させた後、コース20で前ベッドの針
T,Rに編糸を供給したが、第3実施例では、コース6
で給糸口を右方向に移動させる際に、左前肩部6aの編
目51と重ねた左後肩部6bの編目52に隣接する左後
肩部6bの編目を、係止している前ベッドの針Rに編糸
を供給して編目55を形成する。そしてコース7では、
第2実施例と同様に、前ベッドの針T,Rに編糸を供給
して編目58,56を形成する。以下同様に、コース8
からコース23で、伏せ目を行う。第2実施例のコース
25、コース31、コース37では給糸口を単に右方向
に移動させたが、第3実施例のコース12、コース18
では、給糸口を右方向に移動させる際に、左前肩部6a
の編目51と重ねられた左後肩部6bの編目52に隣接
する、左後肩部6bの編目54を保持した針P,Nに編
糸を供給して編目55,55を形成する。そしてコース
24からコース25で、第2実施例のコース37からコ
ース38と、同じ編成が行われる。コース24では、コ
ース23までの編成により伏せ目すべき編目が既に重ね
られた状態にあるため、編目の形成は行わない。
【0051】上記の編成によりコース25までの編成が
完了した時点における、伏せ目箇所の編組織を図15に
示す。図15に示すように第3実施例では、左肩部6の
端に位置する左前肩部6aの編目51と左後肩部6bの
編目52は、第2実施例の左肩部6aの編目31および
左後肩部6bの編目32と同じ編目である。しかし外側
から2〜4番目のウェールでは、コース2で前ベッドの
針に移された左後肩部6bの編目54,54,54に続
き、コース6,12,18で形成された編目55,5
5,55が有り、さらにコース7で前ベッドの針R、コ
ース13で針P、コース19で針Nに形成された編目5
6,56,56が有る。このため左前肩部6aの編目5
7,57,57と重ねられるのは編目56,56,56
である。一方コース7で前ベッドの針T、コース13で
針R、コース19で針Pに形成された編目58,58,
58は、それぞれ隣接するウェールの編目57,56に
渡る状態となる。第3実施例でも、第2実施例と同様に
左前肩部6aの編目57と左後肩部6bの編目56を、
一方の編目が他方の編目の表側に重ねている。このた
め、左前肩部6aの編目57と左後肩部6bの編目56
の重ね目に、次コースの編目58が形成されると、それ
ぞれの編目が上下に重ねられた状態となるため、伏せ目
箇所が突出するのを抑えられる。また3重目での編目間
の関係は、裏(編目54)表/裏(編目55)表/裏
(編目56)表/裏(編目58)表/表(編目57)裏
となる。
【0052】隣接するウェールに渡る編目58は左前肩
部6aの編目57の下に隠れた状態となるため、編目5
8が編地の表面に現れることがない。左前肩部6aの編
目57と左後肩部6bの編目56が重ねられた状態で形
成された編目58から、左後肩部6bの編目55に渡る
編糸59、および編目56に渡る編糸60が存在する。
第2実施例と同様に、左後肩部6bの編目55,56
が、渡り糸59,60で左前肩部6aの編目57側に引
き寄せられる。従って、左前肩部6aの編目57と重ね
られた左後肩部6bの編目56が、左前肩部6aの編目
57および左後肩部6bの編目55の下に隠れる。この
ため、編地表面では、左前肩部6aの編目57と左後肩
部6bの編目55があたかも連続するような状態とな
る。従って本実施例により編成された編地では、伏せ目
箇所が突出が抑えられ、平坦な伏せ目箇所が形成され
る。
【0053】上記の各実施例では、いずれも前後一対の
針床のみを備えた横編機を使用する場合を例に説明した
が、本発明は、前後一対の下部針床上にそれぞれ上部針
床が設けられる、4枚ベッド横編機でも実施できる。第
1実施例から第3実施例では1本置きの針を目移しを行
うための空針として編成した。これに対して4枚ベッド
横編機では、目移しの際に上部針床の針を使用できるた
め、第1実施例から第3実施例のように各編目間に目移
しのための空針を配置する必要がない。またここでは好
ましい3つの実施例を説明したが、本発明は実施例に限
られず、編目を形成する針や、編目を形成する順序の変
更等の種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例での伏せ目が完了したセーター1を示す
【図2】実施例での伏せ目開始前のセーター1を示す図
【図3】第1実施例を示す編成コース図
【図4】第1実施例を示す編成コース図
【図5】第1実施例を示す編成コース図
【図6】第1実施例により伏せ目されたセーター1の伏
せ目箇所を示す編組織図
【図7】第2実施例を示す編成コース図
【図8】第2実施例を示す編成コース図
【図9】第2実施例を示す編成コース図
【図10】第2実施例を示す編成コース図
【図11】第2実施例により伏せ目されたセーター1の
伏せ目箇所を示す編組織図
【図12】第3実施例を示す編成コース図
【図13】第3実施例を示す編成コース図
【図14】第3実施例を示す編成コース図
【図15】第3実施例により伏せ目されたセーター1の
伏せ目箇所を示す編組織図
【図16】従来の伏せ目方法により伏せ目した場合の接
合箇所を示す断面図
【符号の説明】
1 セーター 2a 前身頃部 2b 後身頃部 3 右袖部 4 左袖部 5 右肩部 6 左肩部 6a 左前肩部 6b 左後肩部 7 後襟首部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々多数の針を有する少なくとも第1の
    針床と第2の針床とを備え、前記針床が相対的に摺動可
    能で、かつ針床間で編目の目移しが可能な横編機を用い
    て、 第1の編地が第1の針床に属し、第2の編地が第2の針
    床に属するように、これらの編地を向かい合わせて編成
    した後、第1の編地と第2の編地の編目を重ねて伏せ目
    する方法において、 第1の編地の少なくとも1個の編目を第2の針床に係止
    し、第2の編地の少なくとも1個の編目を第1の針床に
    係止すると共に、少なくとも1個の伏せ目用の編目を第
    1または第2の針床に係止し、 次いで、針床間での目移しにより、第2の針床に係止し
    た第1の編地の編目と、第1の針床に係止した第2の編
    地の編目と、前記伏せ目用の編目を、各1目ずつ針床上
    で重ねて3重目とし、 次いで、前記3重目上に新たな伏せ目用の編目を形成し
    た後、前記3重目を針床から外して、前記3重目での編
    目を相対的に回転させる、ことを特徴とする、横編機を
    用いた伏せ目方法。
  2. 【請求項2】 第1の編地の一端の編目を第2の針床に
    係止し、かつ第2の編地の同じ側の端部の編目を第1の
    針床に係止し、 次いで針床間での目移しにより前記2つの編目を重ね
    て、その後、重ね目上に最初の伏せ目用の編目を形成
    し、 次いで、前記最初の伏せ目用の編目と、第1の編地上で
    前記一端の編目に隣接する編目と、前記第2の編地上で
    前記同じ側の端部の編目に隣接する編目とを重ねて前記
    3重目とする、ことを特徴とする、請求項1の横編機を
    用いた伏せ目方法。
  3. 【請求項3】 前記新たな伏せ目用の編目と、第1の編
    地上で前記3重目に隣接する編目と、第2の編地上で前
    記3重目に隣接する編目、とを重ねて新たな3重目を形
    成することと、 新たな3重目上に新たな伏せ目用の編目を形成するこ
    と、とを繰り返すことを特徴とする、請求項2の横編機
    を用いた伏せ目方法。
  4. 【請求項4】 第1の編地の1つの編目を第2の針床へ
    目移しして第2の針床に係止することと、 この編目と、第1の針床に係止した第2の編地の1つの
    編目と、伏せ目用の編目を重ねて、3重目を形成すると
    共に、該3重目上に前記新たな伏せ目用の編目を形成す
    ること、とを繰り返すことを特徴とする、請求項3の横
    編機を用いた伏せ目方法。
  5. 【請求項5】 第2の編地の編目(複数)を第1の針床
    で形成して、第1の針床に係止する、ことを特徴とす
    る、請求項4の横編機を用いた伏せ目方法。
  6. 【請求項6】 3重目は、第1の編地と第2の編地の伏
    せ目の完了後に、最も外にある外,中間にある中,最も
    内にある内の順序を有し、伏せ目用の編目は、3重目の
    中または内に位置する、ことを特徴とする、請求項1の
    横編機を用いた伏せ目方法。
  7. 【請求項7】 第1の編地の少なくとも1個の編目と、
    第2の編地の少なくとも1個の編目、の少なくとも一方
    の編目を、3重目の形成前に、捻られた状態で形成す
    る、ことを特徴とする、請求項1の横編機を用いた伏せ
    目方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の編地の編目を1個第2の針床
    に移動させ、前記第2の編地の編目を1個第1の針床に
    移動させることと、 次いでこれらの編目を前記伏せ目用の編目と重ねて、前
    記3重目を形成すると共に新たな伏せ目用の編目を形成
    すること、とを繰り返すことを特徴とする、請求項3の
    横編機を用いた伏せ目方法。
  9. 【請求項9】 第2の編地の一端の編目を含む複数の編
    目を第1の針床に目移しした後、第1の編地の同じ側の
    端部の編目を第2の針床に目移しし、次いで第1の編地
    の前記端部の編目と、第2の編地の前記端部の編目とを
    重ねて2重目とし、 次いでこの2重目上に編目を形成して前記伏せ目用の編
    目とし、かつ第2の編地の目移しされた編目で、該2重
    目に隣接する編目上に新たな編目を形成した後、 前記伏せ目用の編目と、前記新たな編目とを重ねて新た
    な2重目とし、前記新たな編目に対向する第1の編地の
    編目を第2の針床に新たに目移しし、該新たに目移しし
    た編目と前記新たな2重目とを重ねて新たな3重目と
    し、前記新たな3重目上に新たな伏せ目用の編目を形成
    すると共に、第2の編地の目移しされた編目で、前記新
    たな3重目に隣接する編目上に新たな編目を形成するこ
    とを繰り返す、ことを特徴とする、請求項3の横編機を
    用いた伏せ目方法。
  10. 【請求項10】 第2の編地の一端の編目を含む複数の
    編目を第1の針床に目移しした後、第1の編地の同じ側
    の端部の編目を第2の針床に目移しし、次いで第1の編
    地の前記端部の編目と、第2の編地の前記端部の編目と
    を重ねて2重目とし、 次いで、第2の編地の目移しされた編目で、該2重目に
    隣接する編目上に新たな編目を形成すると共に、該2重
    目上に編目を形成して前記伏せ目用の編目とし、かつ前
    記新たな編目上にさらなる新たな編目を形成した後、 前記伏せ目用の編目と、前記さらなる新たな編目とを重
    ねて新たな2重目とし、前記さらなる新たな編目に対向
    する第1の編地の編目を第2の針床に新たに目移しし、
    該新たに目移しした編目と前記新たな2重目とを重ねて
    新たな3重目とし、第2の編地の目移しされた編目で、
    該新たな3重目に隣接する編目上に新たな編目を形成す
    ると共に、前記新たな3重目上に新たな伏せ目用の編目
    を形成し、かつ前記新たな編目上にさらなる新たな編目
    を形成することを繰り返す、ことを特徴とする、請求項
    3の横編機を用いた伏せ目方法。
  11. 【請求項11】 各々多数の針を有する少なくとも第1
    の針床と第2の針床とを備え、前記針床が相対的に摺動
    可能で、かつ針床間で編目の目移しが可能な横編機を用
    いて編成しかつ伏せ目した編地において、 前記編地は前側編地と後側編地とからなり、該前側編地
    と後側編地はいずれも多数の編目からなる最終コースを
    有し、 前記最終コースの編目はシンカーループとニードルルー
    プを有すると共に、シンカーループからニードルループ
    へ向かう向きを有し、 前側編地の最終コースの編目は、該編目を前側編地に関
    して後側編地の反対側から見た側を表、後側編地側から
    見た側を裏とする、表と裏の関係を有し、 後側編地の最終コースの編目は、該編目を後側編地に関
    して前側編地の反対側から見た側を表、前側編地側から
    見た側を裏とする、表と裏の関係を有し、 前側編地の最終コースの各編目は後側編地の最終コース
    の編目と、前側編地の最終コースの編目の表側と後側編
    地の最終コースの編目の表側が向き合い、かつ前側編地
    の最終コースの編目と後側編地の最終コースの編目とで
    シンカーループからニードルループへの向きが逆になる
    ように、重ねられて、多数の隣接した重ね目を形成し、
    かつ各重ね目に形成した伏せ目用の編目は隣接した重ね
    目に重ねられていることを特徴とする、伏せ目された編
    地。
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