JPH0839259A - ガスパルスプラズマ溶接方法 - Google Patents

ガスパルスプラズマ溶接方法

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JPH0839259A
JPH0839259A JP17842894A JP17842894A JPH0839259A JP H0839259 A JPH0839259 A JP H0839259A JP 17842894 A JP17842894 A JP 17842894A JP 17842894 A JP17842894 A JP 17842894A JP H0839259 A JPH0839259 A JP H0839259A
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JP
Japan
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welding
flow rate
plasma
peak
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JP17842894A
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English (en)
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Fumito Yoshino
文人 芳野
Noriaki Okubo
典昭 大久保
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SHINKO PLANT KENSETSU KK
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
SHINKO PLANT KENSETSU KK
Kobe Steel Ltd
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    • B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K10/00—Welding or cutting by means of a plasma
    • B23K10/02—Plasma welding

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラズマ溶接の本来的な利点を生かし、キー
ホール形成及び深い溶け込みの溶接を溶融プールの溶け
落ち等の不都合を生じることなく安定して行うことがで
きるガスパルスプラズマ溶接方法を提供する。 【構成】 プラズマガス流のガス流量を周期的にパルス
状に変動させるガスプラズマ溶接方法である。前記プラ
ズマガス流はピークガス流量の期間とベースガス流量の
期間とが交互に連続するパルス状に変動し、ベースガス
流量の期間はピークガス流量の期間の0.3乃至1倍で
あり、ベースガス流量はピークガス流量の0.3乃至
0.7倍である。また、前記ピークガス流量期間と、前
記ベースガス流量期間との間に、前記ピークガス流量と
前記ベースガス流量との間の流量の1又は2以上の期間
を有する。更に、プラズマアーク柱により溶接進行方向
の後方に形成される溶融プールに溶加材ワイヤを供給す
ることにより、水平固定管を全姿勢溶接するのに適して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマ溶接におい
て、ガス流量をパルス状に変動させることにより、プラ
ズマガスに強弱を付け、安定した溶接を可能にしたガス
パルスプラズマ溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマ溶接は、溶接トーチノズルの中
心部からプラズマガス流を吐出し、溶接トーチのノズル
中心に設けられた非消耗電極と被溶接材との間に、プラ
ズマガス流の存在下でアーク電圧を印加してプラズマア
ーク柱を生起させ、更にプラズマガス流の周囲に同心状
にシールドガス流を流し、プラズマアーク注を外気から
保護する。そして、このプラズマアークの熱を利用し
て、被溶接材を溶融し、接合する。
【0003】このプラズマ溶接方法としては、次の2通
りに大別した溶接法がある。 (1)プラズマキーホール溶接法 プラズマアーク柱により、被溶接材を貫通してキーホー
ルを形成し、被溶接材の板厚全域を溶接していき、基本
的には溶接盛りの1層のみで接合を終了することが可能
となる高能率溶接方法の一種である。 (2)プラズマ非キーホール溶接法(ソフトプラズマ溶
接法) キーホールを形成しないで多層盛りする溶接方法であ
る。プラズマアークは高温・高熱であるので、被溶接材
を溶かす作用は非常に高効率である。このプラズマアー
クの特性を利用することで、被溶接材表面に巨大な溶融
プールを形成させ、その溶融プールに溶加材(溶加ワイ
ヤ)を供給することにより、多層盛り溶接を行う。
【0004】従来のプラズマ溶接方法は、溶接電流に強
弱を付けてパルス状に溶接電流を変化させるプラズマ電
気パルス溶接が実用化されている。
【0005】プラズマ溶接方法で溶接を行うとき、溶接
電流に強弱を付けた電気パルス溶接法だけでは、溶接可
能範囲領域(溶接速度域、溶接可能な溶着金属の深さ、
キーホール溶接可能な板厚、溶着金属量)が狭く、必ず
しもTIG溶接及びMIG溶接等より安定した溶接方法
とはいえない。
【0006】特に、プラズマアーク溶接はTIG溶接及
びMIG溶接に比して溶け込み深さが大きくなる結果、
溶融プールが大きくなるため、電流の強弱(電気パルス
溶接方法)だけでは、その巨大な溶融プールを保持する
ことが難しい。
【0007】図1はプラズマアークが生起された状態を
示す模式図である。ノズル1から被溶接材2に向けて生
起されたプラズマアーク3はコア4と、コア4の周囲の
プラズマフレア5とから構成される。即ち、プラズマア
ークが生起すると、中心部にコア4という高温のアーク
柱が形成される。このコア4は主として被溶接材2を貫
通したり、深溶け込み溶接を可能にする働きを持つプラ
ズマアークである。一方、このコア4の周囲には、同心
状に、傘を広げたように形成された比較的低い温度のプ
ラズマフレア5なるアークが生起されている。このプラ
ズマフレア5は、プラズマコア4のように、直接被溶接
材を貫通したり、深溶け込みを得る効果は少ない。この
ため、この傘上に形成したプラズマフレア5の照射範囲
全域の被溶接材表面で、溶融プールが形成される。
【0008】図2に示すように、実験観察から、プラズ
マガス量が等しい場合に、プラズマフレア5は、溶接電
流が高い方が広がり、照射範囲が広くなり易い傾向にあ
ることが分かった。
【0009】即ち、溶接電流を高くすれば、プラズマフ
レア5の照射範囲が広角になり易く、溶融プール6の幅
も広くなり、これに比例して溶融プール量も増加するこ
とになる。その結果、溶融プール6を保持することがで
きなくなってしまう場合が生じ、溶融プール6が溶け落
ちてしまうという難点がある。
【0010】そこで、溶融プール量の増加を抑制しつ
つ、溶接電流値を高くし、深溶け込みの溶接を可能とす
る方法の一つとして、溶接電流に強弱(パルス)を付け
たプラズマ電気パルス溶接方法が一般的に広く利用され
てきた。
【0011】この電気パルス溶接法は、図3に示すよう
な電流波形でプラズマを生起する。即ち、この電流波形
に示すように、高い溶接電流値のピーク電流と、低い溶
接電流値のベース電流とが、所定の時間サイクル(周波
数)で繰り返し現れる溶接電流で溶接する方法を電気パ
ルス溶接方法という。
【0012】プラズマ電気パルス溶接方法においては、
ピーク電流時に、主にキーホール形成と深溶け込み溶接
を行い、ベース電流時には、主にピーク電流時で増大化
した溶融プールを冷却し、更に凝固作用を行う。このキ
ーホール形成及び深い溶け込みの工程と、溶融プールの
冷却及び凝固の工程とを交互に繰り返すことで、貫通力
(キーホール形成)及び深溶け込み力(キーホール非形
成)を維持しながら、溶融プール量の増加を抑制した溶
接が可能となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この電
気パルス溶接方法では、ピーク電流時にプラズマアーク
の幅が必要以上に大きくなり、その分、溶け込みが深い
ビードを得にくいという欠点があった。その結果、例え
ば、全姿勢溶接を行う場合、特に上向き姿勢において、
溶融プールが垂れやすく、また深い溶け込みを得にくい
ので、裏波ビードの形成も困難であった。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、プラズマ溶接の本質的な利点を生かし、溶
融プールの溶け落ち等の不都合を生じることなく、キー
ホール形成及び深い溶け込みの溶接を安定して行うこと
ができるガスパルスプラズマ溶接方法を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るガスパルス
プラズマ溶接方法は、プラズマ流の流量を周期的にパル
ス状に変動させるガスプラズマ溶接方法であって、前記
プラズマ流はピークガス流量の期間とベースガス流量の
期間とが交互に連続するパルス状に変動し、ベースガス
流量の期間はピークガス流量の期間の0.3乃至1倍で
あり、ベースガス流量はピークガス流量の0.3乃至
0.7倍であることを特徴とする。
【0016】なお、ベースガス流量とは最小限のガス流
量であり、ピークガス流量とはそれ以外のガス流量であ
る。従って、ガス流量を1回ではなく、複数回に亘って
変更する場合には、ピークガス流量期間とはその全ての
期間をいい、ピークガス流量とはその全てのガス流量を
いう。
【0017】
【作用】図5は電流を一定にし、プラズマガス流量が異
なる場合の溶融プールの大きさと、溶け込み深さとを示
す模式図である。この図5に示すように、プラズマガス
流量が増加しても、プラズマフレアの大きさの変化が少
ない。このため、プラズマガス量を増加させることによ
り、溶融プール幅を増加させずに溶け込み量のみ深くす
ることができる。
【0018】そこで、本発明においては、プラズマガス
流量をパルス状に変化させる。図6は、溶接電流値を一
定にしてプラズマガス流の流量をパルス状に変化させた
場合の溶融プールとプラズマアークの排出状態を示した
図である。
【0019】図6に示すように、プラズマガス流が強い
時(ピークガス流量時)は、被溶接板を板厚方向に貫通
させる工程であり、プラズマガス流が弱い時(ベースガ
ス流量)は、溶融プールを安定させる工程である。この
プラズマガス流の強い期間(ピークガス流期間)と、プ
ラズマガス流が弱い期間(ベースガス流期間)とを、所
定の期間毎に繰り返えすことによって、プラズマガス流
一定の場合より、強いキーホールを形成することができ
るようになる。
【0020】図7は電気パルス溶接方法と、本発明のプ
ラズマガス流強弱脈動による溶接方法とを併用した場合
の溶融プールとプラズマアークの排出状態を示す模式図
である。
【0021】この図7に示すように、プラズマガス流量
が多い期間と溶接電流が高い期間とを同期させ、プラズ
マガス流量が少ない期間と溶接電流が低い期間とを同期
させるか、又はプラズマガス流量が多い期間と溶接電流
が低い期間とを同期させ、プラズマガス流量が少ない期
間と溶接電流が高い期間とを同期させることによって、
図7に示す場合よりも一層、溶接自体を安定させ、貫通
力を増加させることができる。
【0022】このようにして、本発明においては、従来
のプラズマアーク溶接方法で存在していた矛盾点を解消
し、プラズマガス流量のパルス状変動により溶接を安定
化することができ、深い溶け込みと貫通力の増大を得る
ことができる。
【0023】これにより、ピーク電流時とベース電流時
に夫々対応した適切なプラズマガス流量を設定でき、必
要以上の溶融プールの増大化を抑制し、同時にプラズマ
ガスの効率的な排出を得ることができる。その結果、従
来の電気パルス溶接では到底達成不可能であった溶接領
域(厚肉領域・溶着金属の増大・全姿勢)における溶接
を容易に達成でき、その他の溶接方法(TIG・MIG
等)と同等の溶接分野で、より高能率な溶接が可能とな
る。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例について添付の図面を
参照して具体的に説明する。図4は本実施例のガスパル
ス溶接方法の実施に使用できる溶接装置を示す図であ
る。プラズマガスボンベ10は、配管11aを介して、
配管14、15が並列に接続されたガスパルス発生配管
系に連結されており、配管14、15は配管11bに合
流してプラズマトーチ1に接続されている。配管14は
ベースガス流経路であり、ベースガス流量調整弁16が
設けられている。一方、配管15はピークガス流経路で
あり、ピークガス流量調整弁18とパルス発生用電磁弁
17とが直列に設けられている。この電磁弁17の開閉
は制御器13に設定されたガスパルスのパルス周期に基
づいてオンオフ駆動される。配管11bには流量計20
(例えば、高速応答質量式)が設けられている。この高
速応答質量式流量計20は、ガス流量の値を正確に高速
で計測する装置である。
【0025】溶接電源12は溶接トーチ1に対する溶接
電圧の供給を行うが、この溶接電源12の内部で発生す
る溶接電流のパルス状の変化をパルス信号として制御器
13に出力し、制御器13はこのパルス信号に基づい
て、電磁弁17の開閉タイミングを同期させる。
【0026】次に、ガスパルスの設定要領について説明
する。べースガス流量の設定方法は、パルス発生用電磁
弁17を閉状態にし、図4の配管15にガスが流れない
ようにした後、ベースガス流量調整弁16の開度を調整
して、ベースガス流量を設定する。そして、ピークガス
流量の設定に際しては、パルス発生用電磁弁17を開状
態にして、配管14、15の双方にガスを流れるように
した後、ピークガス流量調整弁18の開度を調整してピ
ークガス流量を設定する。
【0027】このようにして、ピークガスとベースガス
の各流量を設定した後、パルス発生用電磁弁の全開時間
(ピークガス流量時間P1)と、全閉時間(ベースガス
流量時間P2)とを、下記に示す(a)又は(b)のい
ずれかの方法で設定する。この設定時間で電磁弁17が
弁開閉を繰り返さすことにより、ピークガス流量とベー
スガス流量が交互に流れることになり、プラズマガス流
に強弱(ガスパルス)を発生することができる。
【0028】(a)図8は、図3に示したように溶接電
源12の内部にて設定することが可能なピーク電流時間
T1と、ベース電流時間T2に、パルス発生用電磁弁17
の開閉タイミング及び開閉時間を同期する方法である。
【0029】この方法においては、正位相の場合、ピー
ク電流値T1(高い電流域)にはピークガス流量Q1を、
またベース電流値T2(低い電流域)にはベースガス流
量Q2、を同期させる。逆位相においては、ピーク電流
値T1(高い電流域)にはベースガス流量Q2を、またベ
ース電流値T2(低い電流域)にはピークガス流量Q1を
同期させる。このように、各電流値毎に各ガス流量を設
定する。
【0030】(b)図9は、制御器13の内部に持つタ
イマー設定時間通りに、パルス発生用電磁弁17の開閉
タイミング及び開閉時間を決定する方法である。
【0031】この溶接で行うと、溶接電流と同期してい
ないため、単独でピークガス流量時間T3とベースガス
流量時間T4とを設定できる。従って、溶接電流一定に
てプラズマガス流のみパルス制御する場合などは、この
方法で行う。
【0032】次に、実際に本実施例方法にてガスパルス
プラズマアーク溶接を行い、その特性を比較例と比較し
た結果について説明する。
【0033】下記表1は、「溶接電流一定及びプラズマ
ガス一定」、「溶接電流パルス化及びプラズマガス一
定」並びに「溶接電流一定及びプラズマガスパルス化」
の3方法について、プラズマ溶接を行い、溶接可能板厚
と最大可能ガス流量の関係を示す。なお、溶接トーチ及
び溶接電源は同一仕様であるが、プラズマガス流量に対
し、最適と考えられる溶接電流値と溶接速度の組み合わ
せで実施しているので、必ずしも同条件ではない。
【0034】
【表1】
【0035】但し、○は溶接可能の場合、△は溶接不可
の場合、×は溶接部切断の場合である。また、プラズマ
ガス流パルス化の場合は、プラズマガス流量はピークガ
ス流量の値であり、ベースガス流量はその都度最適値に
設定した。
【0036】表1より溶接可能領域を最も広範囲に有し
ているのは、「溶接電流一定及びプラズマガスパルス
化」の組み合わせによる溶接方法であり、最も狭いのは
「溶接電流一定及びプラズマガス一定」の組み合わせに
よる溶接方法である。
【0037】表1の結果より、プラズマガス流量を最も
多く流すことができ、その結果厚い板厚溶接が可能とな
る溶接法は、プラズマガスパルス溶接方法といえる。
【0038】下記表2は、ピークガス流量期間とベース
ガス流量期間との各時間の比を変更してその溶接特性を
比較したものである。この表4より、ピークガス流量時
間を1とすると、ベースガス流時間比が1.0以下の場
合に溶け込み効果があり、ベースガス流時間比が0.3
以上の場合に溶融プールの冷却効果がある。従って、溶
け込み効果及び溶融プールの冷却効果の双方を得るため
に、ベースガス流時間比は0.3乃至1.0に設定す
る。
【0039】
【表2】
【0040】下記表3は、ピークガス流量値とベースガ
ス流量値との比を変更してその溶接特性を比較したもの
である。この表3から、ピークガス流量を1とすると、
ベースガス流量比が0.3乃至0.7の場合に溶け込み
効果があり、ベースガス流量比が0.7以下の場合に溶
融プールの冷却効果がある。従って、ベースガス流量比
は0.3乃至0.7に設定する。
【0041】
【表3】
【0042】下記表4は、板厚が12mmの水平固定管
(被溶接材)に、円周に沿ってI型開先形状の溶接線を
設け、その円周状溶接線に沿ってプラズマトーチを時計
周りに旋回させながら、プラズマキーホール溶接(貫通
深さ12mm)を実施したときの溶接特性を評価した結
果を示す。この溶接特性は、特に裏面ビード形状に着目
し、その評価を各姿勢毎に(時間毎)に表したものであ
る。
【0043】
【表4】
【0044】但し、姿勢については、固定管の上端部を
時計の12時に見立て、下端部を時計の6時に見立てて
その溶接位置を時計表示で示すものである。
【0045】溶接施工方法の組み合わせは、表4の左列
から順に「溶接電流一定及びプラズマガス流量一定」、
「溶接電流パルス化及びプラズマガス流量一定」、「溶
接電流一定及びプラズマガス流量パルス化」並びに「溶
接電流パルス化及びプラズマガスパルス化」の4条件に
ついて実施した。なお、評価基準として以下の通りであ
る。「良好」→図10に示すように、溶接部の裏面に形
成された裏波が母材より凸形状か、又は面一になってい
るビード形状が得られた場合である。また、表面には有
害なアンダーカットが生じていない。「裏面凹み」→図
11に示すように、溶接部の裏面に形成された裏波が母
材より凹形状になっているビード形状が得られた場合で
ある。一般的に溶接ビードとしては、不適切と評価され
る。「溶け落ち」→図12に示すように、プラズマ溶接
時に形成されるはずの溶融プールが、重力の影響を受け
てしまい、母材から流れ落ちてしまう現象である。この
評価試験において、上向き姿勢時にしばしば溶け落ち現
象が見られた。
【0046】この表4から明らかなように、「溶接電流
一定及びプラズマガス流量一定」の場合、溶接姿勢のう
ち、良好な溶接が得られたのは、12時〜1時の範囲の
みである。これは溶接電流とガス流量のどちらも一定に
した溶接方法では、ほぼ下向き溶接姿勢しか成り立たな
く、姿勢変化に追従できるフレキシビリティがほとんど
ないといえる。
【0047】「溶接電流パルス化及びプラズマ流量一
定」の場合、良好な溶接が得られたのは、10時〜5時
の範囲である。これは上向き姿勢(5時半〜6時)及び
上向き上進姿勢(6時〜9時の範囲)以外では、概ね良
好な溶接ビードが得られるが、上向き姿勢及び上向き上
進姿勢(6時〜9時の範囲)の姿勢範囲では、重力の影
響より溶融プールに急激な溶け落ちが起こり、溶接ビー
ドとして成り立たなくなることを示している。
【0048】「溶接電流一定及びプラズマガス流量パル
ス化」と「溶接電流パルス化及びプラズマガスパルス
化」の場合は、一部を除きほぼ全周に亘って良好な溶接
ビードが得られ、僅かに上向き姿勢及び上向き上進姿勢
(6時〜9時の範囲)の場合に、溶接ビードの内面凹み
が現れる。
【0049】以上の結果より、固定管全姿勢溶接のよう
に、刻々と変化する姿勢に追従できるようなフレキシビ
リティのあるプラズマキーホール溶接としては、プラズ
マガス流に強弱を付ける方法が最も優れていることがわ
かる。溶接電流のパルス化(電気パルス溶接法)のみで
も、ある程度の姿勢変化には追従できるものの、姿勢に
よっては、全く溶接が成り立たない場所も存在する。ま
た、プラズマガス流に強弱を付ける方法(ガスパルス
化)と同期させることで、「溶接電流一定及びプラズマ
ガス流量パルス化」に比して、より一層溶接適正範囲の
拡大を得ることができる。
【0050】このように、表4から、プラズマガス流に
強弱の脈動を付ける方法(ガスパルスプラズマアーク溶
接方法)が、従来のガス量一定のプラズマ溶接に比して
十分に優れていることが認められる。しかし、このよう
に、プラズマガス流に強弱脈動を付ける方法にしても、
まだ、上向き上進姿勢(6時〜9時の範囲)が困難であ
るという欠点が解決されていない。
【0051】そこで、この部分については、以下のよう
にして改善する。図13は、上向き上進姿勢(6時〜9
時の範囲)の溶接において、プラズマアーク柱と、溶融
プールと、その溶融プールに係る重力の影響する方向
(図中矢印)を示したものである。
【0052】図14は、上向き下進姿勢(3時〜6時の
範囲)の溶接において、プラズマアーク柱と、溶融プー
ルと、その溶融プールに係る重力の影響する方向(図中
矢印)を示したものである。
【0053】この図13と図14は、溶接進行方向が逆
であるだけであり、溶接姿勢は同じである。しかし、図
13の溶接姿勢では溶接ができないのに対し、図14の
溶接姿勢では溶接が可能である点に着目すると、以下の
ようなことが推察される。
【0054】プラズマ溶接は、他の溶接方法(TIG、
MIG)と比較すると、アークを発生している溶接トー
チと形成される溶融プールの位置関係が大きく異なって
いる。プラズマ溶接の場合、プラズマアーク柱から見
て、必ず進行方向とは逆方向に溶融プールが形成され
る。他の溶接方法(TIG、MIG)では、アーク柱直
下に溶融プールが位置する。
【0055】このプラズマアーク柱と溶融プールとの位
置関係に、姿勢の違いを加味すると、上進進行(図1
3)と下進進行(図14)では、プラズマアーク柱に対
する溶融プールの位置と重力の及ぼす影響が全く逆とな
り、溶接可能な下進進行の場合は、重力が影響する方向
の先方にプラズマアーク柱が存在し、そのアーク柱が支
えとなって溶融プールを維持することができる。一方、
上進進行では、重力が影響する方向の先方に溶融プール
を支えるものが存在しないため、重力の影響のまま、溶
融プールが溶け落ちてしまう。
【0056】また、溶融プールを保持する力の一つに表
面張力があるが、他の溶接方法(TIG、MIG)より
も大きな溶融プールを、表面張力のみで保持することは
困難である。
【0057】以上より、溶融プールを全周に亘って保持
可能にするために、図15に示すように、溶加材ワイヤ
を溶接進行方向とは逆の方向から溶接進行方向に向かっ
て直接溶融プール中に供給する。これにより、溶融プー
ルの粘性の調整、溶融プールの凝固現象のコントロー
ル、並びにギャップ及び目違いに対する許容範囲拡大等
の効果が得られ、より実用に供し易くなる。
【0058】下記表5は溶加材ワイヤを溶融プールに供
給したときの溶接特性を示す。表5は、溶加材ワイヤを
供給すること以外は、表4と同じ条件下で溶接したもの
である。プラズマキーホール溶接(貫通深さ12mm)
を実施したとき、特にその裏面ビード形状に着目し、そ
の評価を各姿勢毎(時間毎)に表したものである。評価
基準は表4の場合と同様である。
【0059】この表5から明らかなように、図15に示
すように、溶加材ワイヤを供給するだけで、4種類の溶
接方法のいずれの条件においても溶け落ち現象が見られ
なくなり、特に「溶接電流一定及びプラズマガス流量パ
ルス化」と「溶接電流パルス化及びプラズマガスパルス
化」の場合、全姿勢に亘り安定した裏波ビードを得るこ
とができた。
【0060】この表5の結果からみてプラズマキーホー
ル溶接時において、プラズマガス流の強弱脈動(ガスパ
ルスプラズマ溶接法)と溶加材の後方供給(フィラー溶
接法)の併用で水平固定管を全姿勢溶接することが可能
になる。
【0061】また、アーク長を一定に保つように自動的
にコントロールできる機能を付加することで全姿勢で更
に安定した裏波ビードを得ることができる。
【0062】
【表5】
【0063】図16は本発明の第2の実施例を示す模式
図である。図16において、図4と同一物には同一符号
を付してその詳細な説明は省略する。図16は、図4に
対し、第3の配管21を配管14、15に並列に設け、
この配管21に、第2のピークガス流量調整弁22と、
第2のパルス発生用電磁弁23とを直列に設けた点が異
なる。電磁弁23の開閉タイミングは制御器13により
設定され、流量調整弁22の開度も制御器13により設
定される。
【0064】このように構成された装置により、トーチ
1にプラズマガスを供給すると、そのガス流量のパルス
状変化は、図17に示すようになる。即ち、ガス流量Q
2はベースガス流量であり、電磁弁17、23はいずれ
も閉であるときに、配管14に設けた調整弁16の開度
に応じて決まるガス流量である。ガス流量Q1は第1の
ピークガス流量であり、電磁弁23が閉、電磁弁17が
開のときに、流量調整弁18の開度と流量調整弁16の
開度とに基づいて決まるガス流量である。ガス流量Q3
は電磁弁17、23が開のときに、流量調整弁16、1
7、22の開度の基づいて決まるガス流量である。パル
ス期間T1は電磁弁17のみが開の期間、パルス期間T5
は電磁弁23が開の期間である。また、パルス期間T2
は電磁弁17、23がいずれも閉の期間、更に期間D1
は電磁弁17が開になった後、電磁弁23が開になるま
での遅れ時間である。
【0065】このように、図16に示す装置により、図
17に示す3段階のパルス状にガス流量を変化させるこ
とができる。これにより、図18乃至20に示すよう
に、ベースガス流量の外に、2つのピークガス流量を有
する種々のパルス状のガス量の変化を与えることができ
る。
【0066】図18は期間D1が0、パルス期間T1>T
2の場合、図19は期間D1が0<D1≦T1−T2で、パ
ルス期間T1>T2の場合である。また、図20は期間D
1がD1=T1−T2、パルス期間T1>T2の場合である。
【0067】図4に示す2系統のガス供給配管を有する
装置により、ガス流量に、図8、9に示す2段階のパル
ス状波形の変動を設けた場合、実際上、図21に示すよ
うなプラズマガス流量の変化は正確なパルス波形ではな
く、立ち上がり及び立ち下がりが鈍いものとなりやす
い。これは、プラズマガスが圧縮性流体であるため、パ
ルス発生用電磁弁の開閉動作に応答性良く追従できない
こと、配管経路に流量及び圧力により断面積が変化する
テフロンホース等の樹脂ホースを使用している場合、急
激な流量増加に対し、断面積が先に膨らみ、正確なガス
流量を瞬時に供給できないこと、トーチ先端と、ガス供
給源とが離れた位置関係にある場合、ケーブル内プラズ
マホースの圧損が増加し、それに伴い、プラズマガスの
供給に遅れを生じること等が原因として考えられる。
【0068】これに対し、電流パルスは高速応答が十分
に可能であるので、瞬時にピーク電流とベース電流とが
切り替わることができる。このため、ガス流量は溶接電
流の変化に対し、遅れを生じることになる。この遅れ
は、板厚が厚い被溶接材を溶接する場合等に悪影響があ
る。
【0069】プラズマ溶接の場合には、ピーク電流期
間、又はピーク電流期間とピークガス流量期間とが同期
した期間において、プラズマアーク柱は被溶接材の板厚
方向の全域を貫通し、キーホールを形成しながら溶接す
る。この場合に、図22に示すように、プラズマガス流
量のパルス波形に遅れがあると、溶接電流及びプラズマ
ガスがピーク期間に入った時点で、被溶接材に形成され
るべきキーホールが瞬時に形成されず、また溶融プール
も瞬時に成長せず、時間的に遅れてしまう。このため、
溶接電流及びプラズマガスのピーク期間の開始時に、プ
ラズマアークが乱れたり、溶融プールが乱れたりする場
合がある。また、採りうる溶接条件が狭くなったり、プ
ラズマアークの乱れから極端な場合には溶融プールを破
壊したりすることも考えられる。
【0070】これに対し、図16に示す装置により、図
17乃至20に示すように、パルス波形が3段階で変化
するように設定すると、図23に示すように、2段階で
変化させる場合よりも、より一層プログラム上の設定値
に近いものとなる。即ち、図23に示すように、今まで
ガス流量を2段階でパルス変化させた場合には、ガスパ
ルスの立ち上がりの遅れが0.3秒程生じているのに対
し、図24に示すように、3段階で変化させた場合で
は、ガスパルスの立ち上がりの遅れは0.1秒であっ
た。
【0071】図25はガス流量を2段階で変化させた場
合、図26及び27はガス流量を3段階に変化させた場
合であって、図26はパルスの立ち下がり時にも2段階
で変化させたとき、図27は立ち下がり時の途中でピー
クガス流量期間を設けなかったときのプラズマガス流量
の実際の変化及びキーホイール深さを示すグラフ図であ
る。これらの図に示すように、3段階でガス流量を変化
させることにより、実際のプラズマガス流量の変化はよ
り設定値に近いものとなる。
【0072】このことから、キーホール深さが最深部に
到達する時間と、溶融プールが最も大きく成長するまで
の時間に対し、プラズマガス流の最大流速も併せて遅ら
すことができ、プラズマガス及び溶融プールの乱れを抑
制することができる。
【0073】このように、プラズマガス流量を3段階に
変化させるガスパルスプラズマアーク溶接方法の具体的
な用途としては、板厚が厚い被溶接材(例えば、板厚が
12mm以上)のキーホール溶接と、意図的にキーホー
ルを形成しない深い溶け込みの溶接(非キーホール溶
接)等がある。この強めのプラズマガス流時及びガス流
排出が悪い条件時等に、この3段階パルス変化の態様で
ガスパルス溶接を行うと、そのプラズマガス流の乱れを
抑制することができる。板厚が薄い場合等は、このよう
なプラズマガス流の乱れが問題となることは少ない。
【0074】特に、図20に示す態様でガス流量をパル
ス状に変化させると、ピークガスの上昇過程は2段階上
昇、降下は最大流量Q3からベースガス流量Q2へ一気に
低下するため、2段階パルスの場合に比して、ピークガ
ス流量とベースガス流量との比を極端に大きくすること
ができる。これにより、電流パルス及び2段階ガスパル
スでは困難であった非連続キーホール溶接、即ち、ピー
ク時のみキーホールを形成し、ベース時はキーホールを
消失するというような非キーホール溶接を容易に実行す
ることができる。
【0075】この非連続キーホール溶接により、ピーク
時とベース時の差が大きいことから、図19の態様より
もパルス効果が顕著となり、全入熱量を低く抑制しつ
つ、板厚が厚い被溶接材(16mm以上)のキーホール
溶接及びキーホールを形成しない深い溶け込みの溶接
(非キーホール溶接)等の限界条件に近い溶接条件で溶
接することができる。
【0076】次に、実際に図18乃至20に示すガスパ
ルス態様で溶接実験を行った結果について説明する。下
記表6は図18乃至20に示す3種のガスパルス態様で
キーホール溶接を行った場合の板厚と溶接結果との関係
を示すものである。
【0077】
【表6】
【0078】板厚が16mm以下の場合には、図18に
示すガスパルス態様の場合に溶接品質が良好であり、板
厚が6mm以上の場合には、図19、20に示すガスパ
ルス態様が良好であった。板厚が6乃至16mmの場合
には、いずれのガスパルス態様の場合でも良好である
が、表6から、キーホール形成にそれほどエネルギを必
要としない中肉厚以下の場合には、図18のように、最
大ピークガス流量を一気に上昇させ、2段階で降下させ
る場合の方が、溶融プール形状及びキーホール形成に影
響を及ぼさないといえる。一方、キーホール形成に大き
なエネルギと長時間を必要とする厚肉の場合には、最大
ピークガス流量までを2段階上昇とした図19、20に
示すガスパルス態様の方が、キーホール形成の初期段階
で発生するプラズマガスガスの乱れが少なくなり、裏面
に排出されていたスパッタ及びドロースの量が極めて少
なくなり、全体をとおして安定した溶接が可能であっ
た。
【0079】図23、24は2段階ガスパルス溶接と、
3段階ガスパルス溶接とにおいて、実際に得られたプラ
ズマガス流量を比較した結果を示す。2段階ガスパルス
の場合には、ピークガス流量設定値(4.0リットル/分)
に到達するのに、電磁弁が開になった後、0.3秒経過
しているため、このピークガス流量設定値が必要な溶接
条件の場合には、ピークガス流量期間を0.3秒以上に
設定する必要があり、パルス周期を短くすることができ
ない。また、ピークガス流量を例えば5.5リットル/分と
多くしてピークの立ち上がりを速くすると、ピークガス
流量期間の後半でガス流量が過剰となり、プラズマアー
ク及び溶融プール等に余分な力を与えてしまうため、溶
接自体がかなり不安定になってしまう。
【0080】これに対し、3段階ガスパルス溶接の場合
には、第2ピークガス流量を5.5リットル/分とし、第1
ピークガス流量を溶接品質上目標とする4.0リットル/分
とすることにより、立ち上がり時間は0.1秒の遅延時
間で済む。これは2段階ガスパルス法に比して約1/3
の時間短縮になり、極めて応答性が優れたガスパルスが
得られる。
【0081】次に、図19及び図20に示すガスパルス
態様で溶接した結果について、2段階ガスパルスの場合
と比較して説明する。図25は2段階ガスパルス溶接法
でのプラズマガスのパルス化を示し、図26が図19に
示す3系統ガスパルス溶接法でのプラズマガスのパルス
化について示す。
【0082】この溶接条件は、被溶接材の板厚が19m
mと厚いため、ピークガス流量の設定値は7.0リットル/
分と多いものになっている。図19の2段階ガスパルス
溶接法で溶接した場合は、ピークガス流設定値(=7.
0リットル/分)までの到達時間が0.4秒である。しか
し、下段のキーホール深さと時間の関係の図を見ると、
電磁弁が開になってからキーホール形成までが0.5秒
であり、ピークガス流量設定値への到達時間より遅い。
この遅れのため、0.6秒間という長時間ピークガス流
量期間を設定していても、現実にキーホールを形成して
いる期間は僅か0.1秒であり、設定値の1/6しか期
待できない。また、中段の実際のガス流量の図を見て
も、電磁弁が閉になってからベースガス流量設定値であ
る3.0リットル/分まで下がりきるのに、約0.4秒程度
かかってしまい、殆どベース保持時間が存在しない。そ
の結果、下段のキーホール深さと時間の関係の図から、
ベース時間では、キーホール深さ=7mmまで戻る予定
のところ、実際にはキーホール深さ=9mmまでしか戻
りきっていない。これを繰り返していくと、キーホール
深さ及び溶融プールが過剰に成長してしまい、最後には
溶接部を破壊してしまうことになる。
【0083】一方、図26に示す3段階ガスパルス溶接
法で行った場合、ピークガス流量=8.5リットル/分到達
までの中間に、キーホール形成の遅延時間を緩和するた
めのピークガス流量(5.0リットル/分)を設けているの
で、キーホール形成状態に合わせたピークガス流量が選
択できる。
【0084】キーホール形成している時間についても、
3段階ガスパルス溶接法ではキーホール形成時間=0.
3秒の設定に対し、実際は0.2秒位で形成したため、
設定値の2/3程度は期待できる。更に、ピークガス流
量からベースガス流量に降下するときも、2段階で降下
させるため、保持時間ができ、ベース期間中に元のキー
ホール深さまで戻すことが可能となり、ベース期間にお
いてキーホール深さ及び溶融プールの成長を抑制するこ
とができた。従って、この図22に示すガスパルス制御
は厚肉の板厚に効果がある制御方法であるといえる。
【0085】図20の制御方法は、図19の場合の特殊
な一例として、図19の制御方法よりピークガス流量期
間とベースガス流量期間における溶接態様の差を大きく
したい場合に効果がある。この図20のガスパルス態様
では、図27に示すように、最大ピークガス流量に到達
する時間を前述の図19の制御方法より長く設定するこ
とができる。この効果により、キーホール径と溶融プー
ルの量を、図19の制御方法より大きくすることが可能
で、キーホール形成時間もより一層長くできる。
【0086】そして、この状態で第1及び第2のパルス
制御用電磁弁を同時に閉にするため、溶融プールが一気
にキーホール部へ流れ込み、完全に塞いでしまう。そし
て、再度この完全に塞がった被溶接材の表面を時間をか
けてキーホール形成を行い、溶融プールを成長させると
いったサイクルを繰り返す。これにより、連続キーホー
ル溶接ではなく、被連続的なキーホール溶接でも溶接す
ることができることが可能となる。従って、溶接速度は
速くはないが、安定したキーホール溶接が可能になると
共に、キーホールを形成させずに溶接する多層盛り溶接
などの深溶け込み溶接にも活用することができる。
【0087】次に、フィラーワイヤを供給するガスパル
スプラズマアーク溶接法の実施例について説明する。本
実施例は、プラズマアークによって形成される溶融プー
ルに、溶加材ワイヤを2カ所以上から供給するものであ
り、溶融プールの冷却凝固の調整、溶接金属量と溶接速
度の増大、各溶接姿勢(下向き、立ち向き及び上向き)
の悪影響の改善並びに溶接金属性能の調整等に有効な溶
接方法である。
【0088】プラズマ溶接等の非消耗電極式溶接法で高
品質と高能率とを両立させようとすると、入熱量をあげ
る必要があり、このため、溶融プールを大きくし、溶接
エリアを広くする必要がある。しかし、溶融プールを大
きくすると、非消耗電極式溶接法では、新たに以下に示
す問題点が生じる。 (1)図28に示すように、プラズマ溶接法において、
溶融プールに影響を及ぼす主たる力として、溶融プール
にかかる重力(FG)と溶融プールにかかる表面張力
(FR)とが存在し、この2つの力の関係により、溶融
プールは以下の通りとなる。 (FG)≦(FR)の場合、溶融プールの維持可能。 (FG)>(FR)の場合、溶融プールの維持不可能。
【0089】溶融プールが大きくなるに比例して、溶融
プールにかかる重力(FG)が増加し、溶融プールにか
かる表面張力(FR)より大きくなると、溶融プールの
維持が不可能となる。 (2)図29に示すように、プラズマ溶接の場合、プラ
ズマアークの照射直下の領域のみ、溶融プールの深さが
極めて深いが、このプラズマアークの照射直下領域を離
れると、溶融プール自体が浅くなる。この浅い溶融プー
ルに溶加材ワイヤを供給しても、効率的にこれを溶かす
ことができず、溶加材ワイヤの供給速度を速くすると、
溶融せずに母材に突き当たることになり、溶加材ワイヤ
の供給速度には制約がある。 (3)図30に示すように、溶接速度が低速の場合に
は、溶融プールは、プラズマガス流の周囲のシールドガ
ス流に囲まれた領域内に収まるが、溶接速度を高速にす
ると、溶融プールが溶接方向の後方に大きく延び、その
全長が長くなり、シールドガスによる保護領域から外
れ、この部分で溶接表面が酸化してしまうという難点が
ある。
【0090】そこで、溶融プール1カ所に対し、溶加材
ワイヤを2本以上同時に又は交互に供給する。これによ
り、高電流時に形成する大きな溶融プール量に対応した
量の溶加材ワイヤの供給が可能となる。このため、高速
溶接速度域での溶接が可能となり、MIG溶接及びサブ
マージド溶接等の消耗電極式溶接方法の場合と同等以上
の溶接速度が可能となる。
【0091】図31はこの溶加材ワイヤを2本同時に供
給する装置の構成を示す模式図である。被溶接材28に
対し溶接トーチ30からプラズマアークを生起させて溶
接を行い、溶接ビード29を形成する。そして、1個の
非消耗電極式溶接トーチ30に対し、2本以上(図示例
は2本)の溶加材ワイヤ31をガイドチップ32によ
り、同方向から決められた位置に正確に供給するように
なっている。遠隔操作ボックス36を含むワイヤ制御器
35から2本の溶加材ワイヤ31が繰り出され、各溶加
材ワイヤ31について設けられたワイヤ送給装置34に
より溶加材ワイヤ31はガイドチップ32に供給され、
この溶加材ワイヤ31はガイドチップ32に案内されて
溶融プールに供給される。
【0092】また、オシレーション装置33はガイドチ
ップ32を溶接方向(図中、矢印にて示す)に直交する
方向に振幅させる。ワイヤ制御器35は溶接電源37か
らの信号により溶加材ワイヤ31の送給を制御すると共
に、オシレーション装置33によるガイドチップ32の
オシレーションも制御する。溶接電源37は溶接トーチ
30の非消耗電極と被溶接材28との間に溶接電圧を印
加する。
【0093】基本動作としては、図33に示すように溶
接トーチと被溶接材(母材)表面にシールドガスの存在
下でプラズマアークを生起し、そのアークのもつ熱量を
利用して被溶接材(母材)表面を溶融プールを形成しな
がら溶接していき、形成された溶融プールに対し、後方
からガイドチップ32を介して、所定の供給量にて2本
の溶加材ワイヤ31を溶融プールに供給しつつ、溶接金
属を形成していく。溶加材ワイヤ31の供給量及び供給
タイミングは、溶接条件に合わせて逐次変化させる。
【0094】次に、具体的な作用について説明する。非
消耗電極式溶接方法(TIG溶接、プラズマ溶接)で、
単純に高能率溶接を得ようとすると、当然溶加材(ワイ
ヤ)を、短い時間内により多く溶かすことが必要であ
り、必然的に溶接電流値が高く、溶接速度は速くなる。
このような条件下では、溶加材ワイヤを2本以上供給す
ることにより、下記の点で有効となる。
【0095】図33は供給ワイヤが1本の場合と2本の
場合とでその溶融プールの冷却の影響を比較して示す図
である。図33に示すように、被溶接材28間に溶接ト
ーチ1から供給されるシールドガス42により外気から
保護されたプラズマ41によりキーホール40が形成さ
れ、溶接トーチ1の進行方向の後方に溶融プール43が
形成される。図33(a)は溶加材ワイヤ31を1本の
み供給した場合、(b)は2本供給した場合である。図
中、溶加材ワイヤ31の供給により溶融プール43が影
響を受ける範囲、即ち、冷却領域44をハッチングにて
示すが、溶加材ワイヤ31が1本の場合には、冷却領域
44は小さく、その影響を受けない領域が広い。しか
し、溶加材ワイヤ31が2本の場合には、その冷却の影
響を受ける範囲が広く、被溶接材28の表面の溶融プー
ルの全域に及ぶ。これにより、溶加材ワイヤ31を2本
供給することにより、電流上昇に伴う溶融プール43の
増大を効率的に抑制できる。
【0096】図34は(a)が溶加材ワイヤ31の供給
速度を高速にしてそれによる溶融プール43の冷却効果
増大を図ったもの、(b)は溶加材ワイヤ31の径を太
くして冷却効果増大を図ったもの、(c)は溶加材ワイ
ヤ31を2本供給して冷却効果増大を図ったものを示
す。
【0097】この図34には、溶加材ワイヤ31の供給
量を2本以上とする方が、溶加材ワイヤ31の供給速度
を高速にしたり、1本の溶加材ワイヤ31の線径を太く
することより、効果的に溶加材を多量に供給できること
が示されている。特に、図34に示すような非キーホー
ル肉盛溶接等では、溶融プールは表面積は広いが、溶け
込み深さは表面積に比して極めて浅い。このため、溶加
材ワイヤを1本のみ供給すると、プール深さが浅いため
溶加材が完全に溶ける前に、溶融プールの底部に到達し
てしまい、母材に突き当たってしまう。このため、溶加
材の供給量を増やすことができない。また、線径を太く
しても、溶ける時間が余分に必要になるため、同様に母
材に突き当たってしまうため、溶加材供給量の増大効果
は殆ど期待できない。
【0098】一方、2本以上溶加材(ワイヤ)を供給す
ると、1本当たりの供給速度を速くしなくても本数で供
給量を確保できるのに加え、広く浅く形成している溶融
プールのもつ熱量を有効に溶加材の溶融に当てることが
できるようになる。
【0099】また、同じ溶融プール43でも溶融プール
の前方と後方では形状及び溶け込み深さが微妙に違う
が、複数本の溶加材ワイヤを供給する場合は、各位置に
合わせて溶かす溶加材の供給量を変更できるようにな
り、溶融プールに無理なく溶加材の供給量を増やすこと
が可能となる。
【0100】図35溶接トーチ1の進行方向に離隔した
2位置を狙って2本の溶加材ワイヤ31a、31bを供
給した場合の溶接態様を示す図であり、溶接速度が速い
場合の効果を示す。即ち、溶接トーチ1の進行方向の後
方に形成される溶融プール43は、溶接速度が速くなる
につれて、被溶接材表面側にてその全長が長くなる。こ
れにより、図30で説明したように、溶融プールのテー
ル部がシールドガス保護領域から外れたりする。このよ
うな溶融プールに対し、図35に示すように、溶接方向
の前方に溶加材のメインワイヤ31aを供給し、その後
方に冷却ワイヤ31bを供給する。このように、2本の
溶加材ワイヤ31a,31bを溶接方向に離れた位置に
供給することにより、溶接速度が速くても、溶融プール
42の全長が長くなることを抑制することができ、安定
した溶接が可能になる。
【0101】主として、溶接方向前方の溶加材ワイヤ3
1aが所定の溶加材供給量を得るためのメインワイヤで
あり、所定の間隔をおいて、後方に位置するワイヤが溶
融プールの尾部(最後部)を冷却する冷却ワイヤ31b
となる。このような位置関係であれば、高速のため長く
なりがちな溶融プールの尾部(最後部)を、速く冷却す
ることで凝固が促進され、必然的に溶融プールの全長を
短くすることができる。
【0102】このように、通常の1本のワイヤ供給では
不可能であった溶融プールの各位置の冷却速度の選択
が、2本目のワイヤに明確な役割をもたせることで、積
極的且つ細かな溶融プールの制御が容易に可能となる。
また、ウィービングとの併用でも2本以上のワイヤの供
給の場合は、1本の供給に比して効果的である。
【0103】また、非キーホール溶接・ソフトプラズマ
溶接の場合、予め、溶加材ワイヤを加熱し、所謂ホット
ワイヤとすることにより、溶接時のワイヤ供給量を大幅
に増大することができ、溶接能率を改善することができ
る。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、プラズマガス流量をパルス的に変化させ、そのピー
クガス流期間と、ベースガス流期間とで、その時間及び
ガス流量を適切な比に設定したから、溶融プールを安定
化することができ、深い溶け込みを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマアークを構成するコアとフレアとを示
す図である。
【図2】低電流で溶接した場合(a)と高電流で溶接し
た場合(b)とで、そのフレア及び溶融プールの広がり
を比較して示す図である。
【図3】電流波形を示す図である。
【図4】本発明の実施例にて使用する装置を示す図であ
る。
【図5】ガス流量が少ない場合(a)と多い場合(b)
とで、そのフレア及び溶融プールの大きさを比較する図
である。
【図6】ピークガス流量の場合(a)とベースガス流量
の場合(b)とで、そのキーホール形成の状態を示す図
である。
【図7】ピークガス流量及びピーク電流の場合(a)と
ベースガス流量及びベース電流の場合(b)とで、その
キーホール形成の状態を示す図である。
【図8】電流及びガス流量波形を示す図である。
【図9】電流及びガス流量波形を示す図である。
【図10】溶接ビードの形状を示す図である。
【図11】溶接ビードの形状を示す図である。
【図12】溶融プールの形状を示す図である。
【図13】上向き上進溶接の場合の溶融プールの落下を
示す模式図である。
【図14】上向き下進溶接の場合の溶融プールの状態を
示す模式図である。
【図15】溶加材ワイヤを供給する実施例を示す模式図
である。
【図16】本発明の他の実施例方法にて使用する装置を
示す図である。
【図17】この実施例のガス流量波形を示す図である。
【図18】同じくそのガス流量波形の種々の態様を示す
図である。
【図19】同じくそのガス流量波形の種々の態様を示す
図である。
【図20】同じくそのガス流量波形の種々の態様を示す
図である。
【図21】2段階でガス流量を変化させた場合の電流波
形とガス流量波形を比較して示す図である。
【図22】同じくそのキーホール深さ及び溶融プール量
の変化を示す図である。
【図23】2段階ガスパルス溶接法を示すガス流量の設
定値及び検出値の変化を示す図である。
【図24】3段階ガスパルス溶接法を示すガス流量の設
定値及び検出値の変化を示す図である。
【図25】2段階ガスパルス溶接法の場合のプラズマガ
ス流量及びキーホール深さを示す図である。
【図26】3段階ガスパルス溶接法の場合のプラズマガ
ス流量及びキーホール深さを示す図である。
【図27】3段階ガスパルス溶接法の場合のプラズマガ
ス流量及びキーホール深さを示す図である。
【図28】溶融プール深さを示す図である。
【図29】溶融プールの形状を示す断面図である。
【図30】溶融プールの形状を示す平面図である。
【図31】本発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図32】本実施例において、溶加材ワイヤ供給の場合
の溶融プールを示す断面図である。
【図33】同じくその溶加材ワイヤが1本の場合と2本
の場合との溶融プール冷却状態を比較して示す図であ
る。
【図34】同じく種々の溶加材ワイヤ及びその供給態様
について、その溶融プールの冷却状態を比較して示す図
である。
【図35】同じく2本の溶加材ワイヤを溶接方向に離隔
した位置に供給した場合の冷却状態を示す図である。
【符号の説明】
1:溶接チップ 2:被溶接材 3:プラズマアーク 4:コア 5:フレア 16、18、22:ガス流量調整弁 17、23:パルス発生用電磁弁 31,31a、31b:溶加材ワイヤ 41:プラズマアーク 42:シールドガス 43:溶融プール 44:冷却領域

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマガス流のガス流量を周期的にパ
    ルス状に変動させるガスプラズマ溶接方法であって、前
    記プラズマガス流はピークガス流量の期間とベースガス
    流量の期間とが交互に連続するパルス状に変動し、ベー
    スガス流量の期間はピークガス流量の期間の0.3乃至
    1倍であり、ベースガス流量はピークガス流量の0.3
    乃至0.7倍であることを特徴とするガスパルスプラズ
    マ溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記プラズマガス流量は、前記ピークガ
    ス流量期間と、前記ベースガス流量期間との間に、前記
    ピークガス流量と前記ベースガス流量との間の流量の1
    又は2以上の期間を有して変動することを特徴とする請
    求項1に記載のガスパルスプラズマ溶接方法。
  3. 【請求項3】 溶接電流値とプラズマガス流量とを組み
    合わせて同期させることにより、水平固定管を全姿勢溶
    接することを特徴とする請求項1又は2に記載のガスパ
    ルスプラズマ溶接方法。
  4. 【請求項4】 プラズマアーク柱により溶接進行方向の
    後方に形成される溶融プールに溶加材ワイヤを供給する
    ことにより、水平固定管を全姿勢溶接することを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスパルス
    プラズマ溶接方法。
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