JPH0848638A - 難溶性化合物の分子化合物および難溶性化合物の溶解性改善方法 - Google Patents

難溶性化合物の分子化合物および難溶性化合物の溶解性改善方法

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JPH0848638A
JPH0848638A JP6184903A JP18490394A JPH0848638A JP H0848638 A JPH0848638 A JP H0848638A JP 6184903 A JP6184903 A JP 6184903A JP 18490394 A JP18490394 A JP 18490394A JP H0848638 A JPH0848638 A JP H0848638A
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soluble compound
sparingly soluble
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molecular
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JP6184903A
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Makoto Otsuka
誠 大塚
Yoshihisa Matsuda
芳久 松田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 難溶性化合物と胆汁酸およびその塩から選ば
れる少なくとも一種の胆汁酸類が結合してなる難溶性化
合物の分子化合物。難溶性化合物を胆汁酸およびその塩
から選ばれる少なくとも一種の胆汁酸類と分子化合物を
形成させることを特徴とする難溶性化合物の溶解性改善
方法。 【効果】 難溶性化合物の水に対する溶解性が飛躍的に
改良され、従来難溶性であるためにその有用な薬理生理
活性特性を生かせなかった医薬品を、消化管内での溶解
速度が極めて速い医薬品として有効に利用できるように
なり、製剤の開発において極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難溶性化合物、例えば
難溶性医薬品の分子化合物および難溶性化合物の溶解性
改善方法に関し、特に薬理生理活性に有用な特性を有す
るにもかかわらず、難溶性であるために難吸収性で、実
際の製剤化が困難とされる難溶性医薬品の水に対する溶
解性を飛躍的に向上させることができる難溶性化合物の
分子化合物および難溶性化合物の溶解性改善方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】医薬品の
投与方法として、錠剤やカプセル等の固形製剤は、最も
汎用される有用な剤形である。これら固形製剤がその薬
理活性を発現するためには、その医薬品が、消化管内で
消化液に溶解することが必須条件である。特に、難溶性
医薬品の場合、その生物学的利用率と薬効は、消化管内
の医薬品の溶解速度に律速されることから、難溶性医薬
品の溶解性を改善することは、製剤の開発研究において
極めて重要である。また、溶解性に優れた化合物は、そ
の製剤化が容易である。
【0003】本発明の目的は、水に対する溶解性が改良
される難溶性化合物の分子化合物を提供することであ
る。本発明の他の目的は、難溶性化合物の水溶解性改善
方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者等
は、上記課題を解決するために、難溶性化合物と胆汁酸
およびその塩とが結合してなる分子化合物を創製すると
ともに、当該分子化合物は、分子化合物形成前の難溶性
化合物に比べて水に対する溶解性が飛躍的に向上すると
いう知見を得た。本発明はこれらの知見に基づき完成し
たものである。
【0005】上記目的は、下記要旨を有する難溶性化合
物の分子化合物によって達成される。即ち、本発明の難
溶性化合物の分子化合物は、 (1)難溶性化合物と胆汁酸およびその塩から選ばれる
少なくとも一種の胆汁酸類が結合してなるものである。 (2)上記(1)の難溶性化合物の分子化合物におい
て、該分子化合物は、難溶性化合物と胆汁酸類の混合物
を粉砕してなるものである。 (3)上記(1)の難溶性化合物の分子化合物におい
て、該分子化合物は、難溶性化合物の粉砕物と胆汁酸類
の粉砕物との混合物を、さらに粉砕してなるものであ
る。 (4)上記(1)の難溶性化合物の分子化合物におい
て、該分子化合物は、難溶性化合物と胆汁酸類の混合物
を溶融してなるものである。 (5)上記(1)の難溶性化合物の分子化合物におい
て、該分子化合物は、難溶性化合物の溶融物と胆汁酸類
の溶融物との混合物を粉砕してなるものである。
【0006】また、上記目的は、下記要旨を有する難溶
性化合物の溶解性改善方法によって達成される。即ち、
本発明の難溶性化合物の溶解性改善方法は、 (6)難溶性化合物を胆汁酸およびその塩から選ばれる
少なくとも一種の胆汁酸類と分子化合物を形成させるこ
とを特徴とするものである。 (7)難溶性化合物と胆汁酸類との混合物を粉砕するこ
とを特徴とするものである。 (8)難溶性化合物の粉砕物と胆汁酸類の粉砕物との混
合物をさらに粉砕することを特徴とするものである。 (9)難溶性化合物と胆汁酸類とを混合し、その混合物
を溶融することを特徴とするものである。 (10)難溶性化合物の溶融物と胆汁酸類の溶融物との
混合物を粉砕することを特徴とするものである。
【0007】本発明の難溶性化合物の分子化合物は、難
溶性化合物と胆汁酸類とがイオン結合、水素結合、ファ
ンデルワールス力による結合等によって直接に結合して
なるものである。
【0008】上記難溶性化合物とは、例えば日本薬局方
通則に示される医薬品(結晶)の性状を表すところの、
水に対する溶解性を示す用語における「やや解けにく
い」(溶質1gが30〜100mlの水に溶解する)、
「解けにくい」(溶質1gが100〜1000mlの水
に溶解する)、「極めて解けにくい」(溶質1gが10
00〜10000mlの水に溶解する)、「ほとんど解
けない」(溶質1gが10000ml以上の水に溶解す
る)程度の溶解性を有するものである。
【0009】このような難溶性化合物として、具体的に
は次に示すものが例示される。 A.「やや解けにくい」化合物:塩酸エプラジノン、塩
酸オキシフェンサイクリシン、塩酸クレミゾール、塩酸
クロカプラミン、塩酸クロルプロチキセン、塩酸ジフェ
ニルピペリジノブタノール、塩酸セトラキサート、塩酸
ドキサプラム、塩酸ノルトリプチリン、塩酸ピプラドロ
ール、塩酸ピペタナート、塩酸ピペリドレート等。
【0010】B.「解けにくい」化合物:L−アスパラ
ギン酸、アラントイン、イノシン、エチナメート、エト
トイン、塩化デカリニウム、塩酸エチフェルミン、塩酸
カルピプラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸ナイリドリ
ン、塩酸ビペリデン、塩酸ブプラノロール等。
【0011】C.「極めて解けにくい」化合物:アセチ
ルフェネトライド、アデニン、アネトールトリチオン、
イオカルム酸、塩酸オキシフェドリン、オロチン酸、カ
リソプロドール、カルバゾクロム、グリプゾール、クロ
フェナミド等。
【0012】D.「ほとんど解けない」化合物:アセグ
ラトン、アセチルスルファメトキサゾール、アセトメナ
フトン、アモガストリン、アリルエストレノール、アル
クロフェナク、アルジオキサ、安息香酸酢酸エストリオ
ール、イオベンザム酸、イノシトールヘキサニコチネー
ト、イブフェナック、エストラジオール、フェニトイ
ン、グリセオフルビン、フェニルブタゾン、インドメタ
シン、メフェナム酸等。
【0013】胆汁酸としては、ステロイド骨格の17位
の末端にカルボキシル基を有するものであればいずれも
使用でき、具体的には、コール酸、ケノデオキシコール
酸、デオキシコール酸、リトコール酸、グルココール
酸、タウロコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タ
ウロケノデオキシコール酸、グリコデオキシコール酸、
タウロデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ウルソデ
オキシコール酸等が挙げられる。また、胆汁酸塩として
は、上記胆汁酸のナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩
が挙げられる。本発明では上記胆汁酸およびその塩から
選ばれる胆汁酸類の少なくとも一種が使用される。
【0014】本発明の難溶性化合物の分子化合物として
は、例えばフェニトイン−デオキシコール酸(ナトリウ
ム)〔モル比1:1〕、フェニトイン−デオキシコール
酸(ナトリウム)〔モル比1:2〕、フェニトイン−コ
ール酸(ナトリウム)〔モル比1:0.4〕、フェニト
イン−デヒドロコール酸(ナトリウム)〔モル比1:
0.4〕、グリセオフルビン−デオキシコール酸(ナト
リウム)〔モル比1:1〕、インドメタシン−デオキシ
コール酸(ナトリウム)〔モル比1:1〕等が挙げられ
る。
【0015】上記難溶性化合物の分子化合物は、難溶性
化合物1モルに対して、1種または2種以上の胆汁酸類
が0.1〜100モル、好ましくは0.2〜10モル、
特に好ましくは0.5〜5モル程度結合してなるもので
ある。上記胆汁酸類の結合割合が0.1モル未満では、
水に対する溶解性が殆ど向上せず、一方、100モルを
越えると、薬物の含有量が低下する傾向がある。なお、
難溶性化合物に水に対する好適な溶解性を経済的に付与
する観点から、難溶性化合物1モルに対して、胆汁酸類
が1〜2モル程度結合させたものが特に好ましい。
【0016】難溶性化合物の分子化合物の製造には、分
子化合物の製造に用いる公知の方法が使用でき、特に限
定されるものではないが、例えば、以下に示す方法によ
って難溶性化合物の分子化合物を好適に製造することが
できる。 (1)所定量の難溶性化合物と胆汁酸類の少なくとも一
種とを混合し、その混合物を、公知の粉砕方法にて粉砕
する。 (2)所定量の難溶性化合物の粉砕物と胆汁酸類の少な
くとも一種の粉砕物とを混合し、その混合物をさらに粉
砕する。 (3)所定量の難溶性化合物と胆汁酸類の少なくとも一
種とを混合し、その混合物を加熱溶融する。 (4)所定量の難溶性化合物の溶融物と胆汁酸類の少な
くとも一種の溶融物とを混合し、その混合物をさらに粉
砕する。
【0017】また、難溶性化合物の溶解性改善方法は、
具体的には、例えば上記の分子化合物の製造方法(1)
〜(4)を実施することによって達成される。これらの
簡単な方法により、難溶性化合物の溶解性を飛躍的に改
善できる。
【0018】上記粉砕方法としては、難溶性化合物およ
び胆汁酸類を粉砕できる公知の方法が使用でき、例えば
ボールミル法、振動ミル法、ハンマーミル法、ロールミ
ル法、電動乳鉢法等の機械的粉砕方法が例示される。上
記粉砕方法のなかでも、ボールミル法,振動ミル法は短
時間に均一に強制粉砕できるので好ましい。粉砕は、通
常10分以上、好ましくは1時間以上行う。
【0019】難溶性化合物や胆汁酸類を粉砕または溶融
すると、それらの化合物はその結晶性が低下し、水に対
する溶解性が改善され、さらには非晶質(アモルファ
ス)化されてより一層水に対する溶解性が改善される。
【0020】結晶性の低下した難溶性化合物、特にアモ
ルファス状の難溶性化合物は、一般に不安定であり、そ
の近傍に結晶性の低下した化合物、特にアモルファス化
合物が存在すると容易に結合して安定な粒子に転移し易
い。ところが、難溶性化合物と胆汁酸類の混合物を粉砕
すると、難溶性化合物の結晶性低下化合物(特にアモル
ファス化合物)の近傍には胆汁酸類の結晶性低下化合物
(特にアモルファス化合物)が存在するので、両者がイ
オン結合、水素結合、ファンデルワールス力による結合
等によって、難溶性化合物と胆汁酸類との分子化合物が
形成されるようになる。
【0021】一方、難溶性化合物と胆汁酸類とをそれぞ
れ別個に粉砕した場合、各粉砕物は粒子に転移し易い
が、この別個に粉砕した粉砕物を混合してさらに粉砕す
ると、この粉砕によって難溶性化合物と胆汁酸類との分
子化合物が形成されるようになる。
【0022】上記において結晶性の低下した化合物と
は、粉砕前の難溶性化合物のX線回析プロファイルによ
るピーク長を基準にして、粉砕後の難溶性化合物のX線
回析プロファイルのピーク長が低下したものをいい、特
に50%以下に低下したものが好適である。なお、アモ
ルファスとは、粉砕後の難溶性化合物のX線回析プロフ
ァイルの回析ピークが完全に消失したものをいう。
【0023】また、上記溶融は、難溶性化合物、胆汁酸
類の単独またはそれらの混合物を、溶融用容器に仕込
み、温度150〜500℃、好ましくは180〜300
℃、特に好ましくは200〜250℃で、30分〜24
時間、好ましくは1〜12時間、特に好ましくは2〜5
時間加熱してなされる。
【0024】難溶性化合物と胆汁酸類との混合物を加熱
溶融すると、溶融時の熱によってそれぞれの化合物の結
晶構造がくずれ、結晶性の低下した化合物(特に、アモ
ルファス)の混合物となって、上記と同様に難溶性化合
物と胆汁酸類との分子化合物が形成されるようになる。
【0025】なお、上記溶融物を粉砕すると、粉砕物の
表面積が大になり水に対する溶解性がより向上するよう
になる。
【0026】また、難溶性化合物と胆汁酸類をそれぞれ
別個に加熱して溶融物とした後、それらの溶融物を混合
して粉砕すると、結晶性の低下した化合物(特に、アモ
ルファス)の混合物となって、上記と同様に難溶性化合
物と胆汁酸類との分子化合物が形成されるようになる。
【0027】本発明において、難溶性化合物の溶解性が
改善されるメカニズムについては、未だ十分に解明され
ていないが、以下に示す理由によって達成されるものと
思われる。すなわち、溶解性改善方法によって得られる
分子化合物は、それぞれの結晶性を低下させた難溶性化
合物と胆汁酸類とが結合したものであるので、水に対す
る溶解性が改善される。さらに、上記分子化合物は、水
中に投入されると、難溶性化合物の疎水基がはじかれ行
き場所を失うが、該疎水基同志が分子間引力で結合する
ようになる。難溶性化合物には、難溶性化合物と胆汁酸
類がファンデルワールス力によって結合しているので、
該胆汁酸類の親水基は難溶性化合物の外側、すなわち水
側に存在して、1分子薬物に対して1分子から3分子の
胆汁酸塩分子化合物、すなわち一種のミセル状構造が形
成される。このために胆汁酸類は少量でも優れた可溶化
能を有するので、この結果、難溶性化合物は水に溶解す
るようになる。
【0028】以上説明したように、難溶性化合物の分子
化合物は、低結晶性あるいはアモルファスの難溶性化合
物と胆汁酸類とがイオン結合、水素結合、ファンデルワ
ールス力による結合等によって直接に結合したものであ
るので、極めて高い濡れ特性および溶解度を有し、水に
対する溶解性が改善される。
【0029】
【実施例】次に実施例を示し本発明をより具体的に説明
する。なお、本発明は下記実施例によって何ら限定され
るものではない。
【0030】実施例1 フェニトイン粉末とデオキシコール酸ナトリウムの各々
1モルづつの混合物10gを、内容量250mlのメノ
ウ製遠心ボールミル中に仕込み、毎分360回転で3時
間粉砕してフェニトイン−デオキシコール酸ナトリウム
の分子化合物を調製した。
【0031】比較例1 実施例1において、混合物を粉砕することなく混合して
物理的混合物を調製した。
【0032】上記実施例1の分子化合物および比較例1
の物理的混合物について、赤外線吸収分光の測定、
示差走査熱量の測定およびX線回折試験を行った。
【0033】赤外線吸収分光を測定した結果、図1
(実施例1)および図2(比較例1)に示す赤外線吸収
スペクトルが得られた。なお、実施例1の分子化合物の
赤外線吸収スペクトルデータは、表1に示す通りであっ
た。なお、フェニトインおよびデオキシコール酸ナトリ
ウムのそれぞれ単独のデータも示した。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1から、比較例1の物理的混合物の
デオキシコール酸の1571cm-1COO−基が、実施例1の
分子化合物においては、1560cm-1にシフトしている。し
かし、分子間の結合は疎水性基のファンデルワールス力
によるため、図1と図2の赤外線吸収スペクトルの対比
から判るように、親水性基のピーク波長には変化が認め
られないが、これらのピークでも吸収度の減少が認めら
れる。このように、実施例1の分子化合物は、比較例1
の物理的混合物とは明らかに異なり、しかも分子化合物
が生成したことが立証されている。
【0036】示差走査熱量計(DSC)にて示差走査
熱量を測定した結果は、図3に示す通りであった。な
お、フェニトインおよびデオキシコール酸ナトリウムの
それぞれ単独のデータも示した。
【0037】図3の測定結果から明らかなように、実施
例1の分子化合物の融点は、フェニトインの融点よりも
著しく低下している。なお、比較例1の物理的混合物
は、熱処理によって分子化合物になるので、DSC曲線
は、実施例1とほぼ同一の曲線になっている。
【0038】実施例1の分子化合物をX線回折して得
られるプロファイルは図4に、および比較例1の物理的
混合物をX線回折して得られるプロファイルは図5に示
す通りであった。上記図4と図5の対比から明らかなよ
うに、図4のX線回折プロファイルには、図5にある回
析ピークが消失しており、実施例1の分子化合物が非晶
質のものであることが判った。
【0039】実施例2〜3 実施例1の方法において、デオキシコール酸ナトリウム
に変えて表2に示す胆汁酸塩をフェニトイン粉末1モル
に対して0.4モル用いた以外は全て同様にして粉砕し
て、フェニトイン−コール酸ナトリウムの分子化合物
(実施例2)、フェニトイン−デヒドロコール酸ナトリ
ウムの分子化合物(実施例3)をそれぞれ調製した。得
られたそれぞれの分子化合物の赤外線吸収スペクトルか
ら、実施例1のものと同様に、これらは分子化合物であ
ることが立証された。また、DSC曲線から、いずれの
分子化合物も、フェニトインよりも融点降下が著しいこ
とが確認できた。
【0040】比較例2〜3 実施例2および3において、各混合物を粉砕することな
く混合して、それぞれ物理的混合物を調製した。
【0041】上記実施例2〜3の分子化合物および比較
例2〜3の物理的混合物のX線回折プロファイルとを対
比したところ、実施例の分子化合物のX線回折プロファ
イルの回析ピークが減少し、分子化合物が低結晶のもの
であることが判った。
【0042】比較例4 フェニトイン粉末とデオキシコール酸ナトリウムのモル
比が1:5の混合物10gに、500mlのエタノール
を加え溶解した後、濾過した濾液を減圧下でエタノール
を留去し乾燥して、フェニトイン−デオキシコール酸ナ
トリウム共沈体を調製した。
【0043】比較例5 フェニトイン粉末とデオキシコール酸ナトリウムとポリ
ビニルピロリドンの重量比が1:1:1の混合物10g
に、500mlのエタノールを加え溶解した後、濾過し
た濾液を減圧下でエタノールを留去し乾燥して、フェニ
トイン−デオキシコール酸ナトリウム−ポリビニルピロ
リドン共沈体を調製した。
【0044】比較例6 フェニトイン粉末とカゼインナトリウムの重量比が1:
9の混合物10gを、内容量250mlメノウ製遠心ボ
ールミル中に仕込み、毎分360回転で3時間粉砕して
フェニトイン−カゼインナトリウムの分子化合物を調製
した。
【0045】比較例7 フェニトイン粉末とラウリル硫酸ナトリウムの重量比が
1:1の混合物10gを、内容量250mlメノウ製遠
心ボールミル中に仕込み、毎分360回転で3時間粉砕
してフェニトイン−ラウリル硫酸ナトリウムの分子化合
物を調製した。
【0046】(溶解度の測定)上記実施例1〜3で調製
した分子化合物、比較例1〜3で調製した物理的混合
物、比較例4〜5で調製した共沈体および比較例6〜7
で調製した分子化合物の各溶解度を、日本薬局方溶出試
験器を用い測定した。各試料1gを崩壊試験法第2液
(pH6.8,温度37℃)200ml中に投入し、1
0分間パドルで攪拌した後、秤取した試料溶液を水系メ
ンブランフィルターで濾過した後、分光光度計により測
定した。測定結果を表2に示した。なお、フェニトイン
粉末の溶解度は27mg/lであった。
【0047】
【表2】
【0048】上記表2より明らかなように、実施例1〜
3で調製した各分子化合物の溶解度は、フェニトイン粉
末の約63〜170倍向上しており、また、比較例1〜
7の物理的混合物または共沈体あるいは粉砕物と対比し
ても約6〜130倍向上し、その溶解性が飛躍的に向上
したものであった。
【0049】実施例4 フェニトイン粉末およびデオキシコール酸ナトリウム
を、それぞれ別個にメノウ製遠心ボールミル中に仕込
み、それぞれ毎分360回転で3時間粉砕した。つい
で、両粉砕物を各々1モルづつメノウ製遠心ボールミル
中に秤取し、その混合物を上記と同様に3時間粉砕し
て、フェニトイン−デオキシコール酸ナトリウムの分子
化合物を調製した。
【0050】実施例5 フェニトイン粉末とデオキシコール酸ナトリウムの各々
1モルづつの混合物を温度150℃で3時間溶融させて
フェニトイン−デオキシコール酸ナトリウムの分子化合
物を調製した。
【0051】実施例6 フェニトイン粉末およびデオキシコール酸ナトリウム
を、別個にフタ付きるつぼ中に仕込み、それぞれ温度1
50℃で3時間溶融させて溶融物を調製した。ついで、
上記溶融物の各々1モルづつをメノウ製遠心ボールミル
中に仕込み、毎分360回転で1時間粉砕してフェニト
イン−デオキシコール酸ナトリウムの分子化合物を調製
した。
【0052】上記実施例4〜6の各分子化合物から、上
記と同様にそれぞれ赤外線吸収スペクトルおよびDSC
曲線を求めた(いずれも図示せず)ところ、赤外線吸収
スペクトルからいずれも分子化合物であることが立証さ
れ、また、DSC曲線から、いずれも融点降下が確認さ
れた。
【0053】また、前記と同様にしてX線回析プロファ
イルを求めその結晶度を、また、溶解度試験にて溶解度
をそれぞれ測定したところ、表3に示す通りであった。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】本発明の難溶性化合物の分子化合物は、
水に対する優れた溶解性を示す。また、本発明の難溶性
化合物の溶解性改善方法によれば、難溶性化合物の水に
対する溶解性が改善される。このように、本発明によれ
ば、難溶性化合物の水に対する溶解性を飛躍的に向上で
きるので、難溶性医薬品を消化管内での溶解速度が極め
て速い医薬品として有効に利用できるようになる。例え
ば、水に対する溶解性が「ほとんど解けない」範疇にあ
る難溶性医薬品、例えばフェニトイン粉末(抗てんかん
薬)等を、水に対する溶解性が「解け易い」ものにで
き、その薬理活性を十分を発揮させることが出来、しか
も製剤化が可能になる。このように、従来難溶性である
ためにその有用な薬理生理活性特性を生かせなかった医
薬品を有効利用することが可能になり、さらに製剤化が
容易となり、医薬製剤の開発において極めて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の分子化合物の赤外線吸収ス
ペクトルである。
【図2】比較例1の物理的混合物の赤外線吸収スペクト
ルである。
【図3】本発明の実施例1の分子化合物の示差走査熱量
計(DSC)による測定結果を示すチャートである。
【図4】本発明の実施例1の分子化合物のX線回折プロ
ファイルである。
【図5】比較例1の物理的混合物のX線回折プロファイ
ルを示すものである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難溶性化合物と胆汁酸およびその塩から
    選ばれる少なくとも一種の胆汁酸類とが結合してなる難
    溶性化合物の分子化合物。
  2. 【請求項2】 難溶性化合物と胆汁酸類との混合物を粉
    砕してなるものである請求項1記載の難溶性化合物の分
    子化合物。
  3. 【請求項3】 難溶性化合物の粉砕物と胆汁酸類の粉砕
    物との混合物を、さらに粉砕してなるものである請求項
    1記載の難溶性化合物の分子化合物。
  4. 【請求項4】 難溶性化合物と胆汁酸類との混合物を溶
    融してなるものである請求項1記載の難溶性化合物の分
    子化合物。
  5. 【請求項5】 難溶性化合物の溶融物と胆汁酸類の溶融
    物との混合物を、粉砕してなるものである請求項1記載
    の難溶性化合物の分子化合物。
  6. 【請求項6】 難溶性化合物を胆汁酸およびその塩から
    選ばれる少なくとも一種の胆汁酸類と分子化合物を形成
    させることを特徴とする難溶性化合物の溶解性改善方
    法。
  7. 【請求項7】 難溶性化合物と胆汁酸類との混合物を粉
    砕することを特徴とする難溶性化合物の溶解性改善方
    法。
  8. 【請求項8】 難溶性化合物の粉砕物と胆汁酸類の粉砕
    物との混合物をさらに粉砕することを特徴とする難溶性
    化合物の溶解性改善方法。
  9. 【請求項9】 難溶性化合物と胆汁酸類との混合物を溶
    融することを特徴とする難溶性化合物の溶解性改善方
    法。
  10. 【請求項10】 難溶性化合物の溶融物と胆汁酸類の溶
    融物との混合物を粉砕することを特徴とする難溶性化合
    物の溶解性改善方法。
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