【発明の詳細な説明】
血液から核酸の製造発明の背景 発明の分野
本発明は研究、探求および探索のための核酸の製造に関するものである。
ヒトの血液細胞内のHIV−1 DNAやRNAの存在を検出するために,種
々の組織から単離し精製(すなわち製造)した核酸を必要とするのは通常のこと
である。この目的のために核酸は、その後の分析手順を妨害する物質を除去する
ため、適当な血液細胞の徹底的な精製、それら細胞の溶解そして遊離した核酸の
精製のあとに抽出されるのが一般的である。増殖を可能とする品質と純度を備え
た核酸を十分に生産することが特に重要である。
特定の配列の核酸(たとえばデオキシリボ核酸DNAまたはリボ核酸RNA)
の増殖を可能とする2つの普通の方法は、ひとつは「ポリメラーゼ連鎖反応」(
2コのプライマーが、そのプライマーがハイブリッド形成する領域の間に存在す
る核酸を合成するのに用いられる)と呼ばれるもので、もうひとつはRNase
H,逆転写酵素およびRNAポリメラーゼを用いるものである。これらの方法は
Mullis et al の米国特許 4,683,202 (Mullis et al) 及び PCT/US90/03907に
それぞれ記載されており、それらは参照によってここに包含される。
出版物、特許および特許出願を含むすべての参考物は、その参照によりそれら
のすべてがここに包含される。発明の要約
本発明は核酸の製造のための方法とキットに関するものであり、特に該核酸の
増殖(増幅)のための白血球細胞から十分な分量と品質のDNAやRNA単離の
ための方法とキットに関するものである。次いでそのような核酸は、ウイルスの
選択された核酸配列と相補的なプローブを用いてウイルス核酸配列の存在をみる
ための核酸のスクリーニングを含む種々の目的に用いることができる。また核酸
の遺伝子的な変則や欠陥を検出するにも有用である。従ってこの方法とキットは
広範囲の精製手順の必要なしに、赤血球細胞と白血球細胞の両方(たとえば全血
)を含む製剤からの迅速かつ容易な核酸分離を可能とするように設計されている
。
すなわちまず最初の観点においては本発明は、核酸の検出に十分な量だけ白血
球細胞から核酸を単離する方法である。赤血球細胞と白血球細胞の両方(たとえ
ば全血)を含有するサンプルを、一定の条件下では赤血球細胞を溶菌するが白血
球細胞を溶菌しないような差別的細胞溶菌可能な薬剤と接触させる。「核酸」と
いう用語はDNA、RNAまたはそれらと同等物を意味する。「赤血球細胞」お
よび「白血球細胞」は当該技術で認められている意味で使用する。「溶菌する (
1ysed) 」とは、赤血球細胞が分裂し、そして細胞やその内容物が例えば短時間
の遠心分離で完全な白血球細胞のペレットを形成するように、完全白血球細胞か
ら分離する事を意味する。白血球細胞に関して、「完全 (intact) 」という用語
は、細胞が連続して核酸が増殖に適する形態を保持していることを意味する。す
なわち「完全」とは白血球細胞が溶菌赤血球細胞から容易に分離可能であり、か
つ検出されるべき核酸が増殖可能形態で残っていることを意味する。この用語は
白血球細胞の生育力には関係しない。すべての赤血球細胞が差別的溶菌剤で完壁
に溶菌されるわけではなく、またすべての白血球細胞が溶菌剤との接触後に完全
な状態で残るわけでもない。すなわち「赤血球細胞を溶菌するが白血球細胞を溶
菌しない」というのは、当初に接触した赤血球細胞の少なくとも85%が溶菌さ
れ、そして当初に接触した白血球細胞の少なくとも30%が完全な形で残ってい
ることを意味する。好ましくは当初に接触した赤血球細胞の約95%が溶菌され
、当初に接触した白血球細胞の約50%が完全な形で残っていることを意味する
。
この方法は、希釈しないか又は約10倍以下に希釈した全血から核酸を得るの
に用いることができる。好ましくは約5倍より少ない希釈度であり、更に好まし
くは約3倍より少ない希釈度である。血液はヒト又は他の原料から得ることがで
きる。
本発明で請求される方法とキットで用いられる溶菌剤は、例えばサポニン、洗
剤やその他の乳化剤といった界面活性剤である。好ましくは該界面活性剤はサポ
ニンである。その他の好ましいものとしては陽イオン性界面活性剤セトリアミド
及びセチルトリメチルアンモニウムブロマイド並びに類似の構造の洗剤である。
本発明で有用な他の溶菌剤としては毒素 (toxin) たとえば Gymnodium から得た
毒素分画、マクロライド及び種々の細菌溶血素がある。
DNAを単離しようとするときは、単離すべき核酸がRNAである場合のよう
に、採取した白血球細胞の細胞がもとのままの状態を保っていることは必須では
ない。すなわち溶菌剤の選択は、少なくともある程度までは、検出及び/又は増
殖すべき核酸の種類に依存する。
他の観点において本発明は、白血球細胞および赤血球細胞含有の細胞集団のサ
ンプルを、赤血球細胞は溶菌されるが白血球細胞が溶菌されないような条件下で
溶菌剤と接触させて白血球細胞を完全な形態で残す工程;該完全な白血球細胞を
精製する工程;及び該完全な白血球細胞を、検出及び/又は増殖されるべき核酸
を遊離するように該白血球細胞を溶菌できる溶菌剤と接触する工程;から成ると
ころの増殖のための核酸の製造方法である。
白血球細胞の精製は、例えば白血球細胞を約7500rpmで5分間遠心分離
してぺレット化するといった適当な方法で行うことができる。
精製白血球細胞の溶菌は種々の所望の方法で行うことができる。例えば強アル
カリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウムのような)、酵
素剤、洗剤(サポニンのような)、浸透圧ショック、カオトロピック剤又は音響
的分裂の使用などである。好ましい実施態様においては、白血球細胞をアルカリ
で溶菌する。そのような溶菌はまた細胞の二重鎖の核酸の変性をおこし増殖を促
進する。
更に他の実施態様において本発明は、白血球細胞および赤血球細胞含有の細胞
集団を、白血球細胞でなく赤血球細胞が溶菌されるような条件下で溶菌剤と接触
させて白血球細胞を完全な形態で残す工程;該完全な白血球細胞を生成する工程
;該完全な白血球細胞を溶菌剤と接触させて該白血球細胞を溶菌する工程;およ
び該核酸を増殖する工程;から成る核酸の増殖方法である。
核酸の増殖は、たとえば上述の Mullis の方法や Kacian の方法のような所望
の方法で行うことができる。
好ましい実施態様において、この方法は核酸の増殖前に白血球細胞の溶菌から
生ずる第二鉄イオン (Fe+++) 中と結合し溶液からそれを効果的に除去する除去
剤を添加する方法を含む。
いったん核酸が増殖すると、公知の核酸ハイブリッド形成や検出の技術を使用
するところの増幅核酸のスクリーニング用に知られている方法を用いる。例えば
参照によりここに包含される Arnold et al., 35 Clin. Chem. 1588(1989)及びP
CT/US88/02746 に記載のように、標的配列(好ましくは増殖用に標的された配列
を含む)と相補的な核酸プローブを使用し、そのプローブを標的核酸配列にハイ
ブリッド化し、そしてプローブと標的の複合物を検出する、というサザンやノー
ザンブロッティング又は均一溶液相法(HPA)といった良く知られている方法
を用いる。そのようなプローブ検出方法を用いることによって、HIVや肝炎B
ウイルス(HBV)からのようなウイルス性核酸がサンプル中に存在する核酸と
関連しているか否かを決定することができる。そのようなスクリーニングはまた
、例えば遺伝子的に変則的または欠陥のあるような他の種類の核酸配列をターゲ
ットとすることもできる。そのような増幅手法の利用は、本発明を用いて検出さ
れるべき遠心分離後の回収サンプルの部分の標的核酸の単一コピーさえも許容す
る。
本発明の更に他の観点においては、上述の発明方法を実施するのに必要な装置
、媒体および薬剤を含むキットが提供される。例えば、このキットは、サンプル
から細胞を溶菌するに十分な溶菌剤の提供、また細胞から核酸を増殖するに十分
な増幅物質の提供を含む。そのようなキットはまた、第二鉄イオン及び/又はカ
ルシウム結合剤をも包含し、そして所望の核酸標的や公知の遺伝子異常のプロー
ブの提供をも包含する。
本発明のこれ以外の観点や利点は、以下の好ましい実施態様や請求の範囲から
明瞭であろう。図面の簡単な説明
図1はCTABまたはサポニンで処理した後のサンプルの、希釈による補正を
行った光学的密度を示す。溶血量は溶血上澄み液の550nmにおける光学的密
度で示す。洗剤の濃度は%(重量/容量)である。CTABの値は四角形で示し
、サポニンの値は+記号で示す。
図2は添加した洗剤の容量あたりの遊離ヘモグロビンの値を示す。遊離ヘモグ
ロビン値は溶菌液の上澄み液の550nmにおける光学密度として示す。添加し
た洗剤量は血液1ml中の洗剤のmg数で示す。CTABの値は四角形で示し、
サポニンの値は+記号で示す。
図3は2種類のサポニン製剤(四角形で示すサポニンC及び+記号で示すサポ
ニンK)の溶血効果の比較を示す。溶血効果は550nmにおける溶菌上澄み液
の光学密度として示す。サポニン製剤の量は、血液1mlあたりのサポニンのm
g数で示す。好ましい実施態様の説明
請求されている方法は、好ましくは例えば全血のように赤血球および白血球細
胞の両方を含有する細胞集団からの増幅のための核酸の製造法、ならびにその方
法を実施するための装置、媒体および薬剤の結合である。種々の工程、装置、媒
体および薬剤を上に一般的に示したが、以下には実例を示す。サンプルの採取
赤血球および白血球細胞を含有するサンプルは、例えば全血のような適当な原
料から得ることができる。好ましくはサンプルは、ヒトを含む動物から得た全血
に非凝血処理を施したものである。この血液はもし所望とあれば、例えばフィブ
リノーゲン除去のような前処理を行ってもよい。白血球細胞を含有する他の血液
フラクションやいかなる他の液体を用いてもよい。
血液やその他の細胞サンプル材料は、公知の方法を含む如何なる方法を用いて
もよい。サンプルは同一容器内で採取し、貯蔵し、そして遠心分離さえも行うこ
とができる。もしサンプルが血液のときは、EDTAやヘパリンのような抗凝固
剤でサンプルを処理し、該血液が以後の処理実施前や、またキット内の装置や材
料の残りを使用中に凝固せぬようにすることができる。前処理
所望に応じて、血液は例えばフィブリノーゲン除去のような前処理をしてもよ
い。他の有用な前処理方法は、この分野でよく知られている方法でデキストラン
、ヒドロキシデンプン、ヒドロキシメチルセルローズ又はその他の赤血球凝集剤
を用いての白血球の豊富な上澄み液の製造を含む。無論、もしそのような前処理
を行ったときは、ここに述べた差別溶菌方法は前処理したサンプルに適合したも
のでなければならぬ。差別的溶菌法
差別的溶菌の方法は実施例1−7に述べる通りである。この差別溶菌を行うの
には種々の薬剤を用いることができる。溶菌剤の種々の例の総説については、Th
えば、水と共に振ると石鹸様の泡を形成する性質のある植物配糖体のサポニン類
を用いることができる。Mahato, et al., 21, Phytochemistry, 959(1982)。一
般にサポニン類は極めて強力な乳化剤で、コレステロールと複合物を形成する。
サポニン類はそのアグリコンの性質に応じてステロイドまたはトリテルペノイド
サポニンに分類される。一般的なサポニン類の総説については次を参照のこと。
すなわち Vogel,11 Planta Med., 362(1963); Tschesche and Wulff, 12 Planta
Med, 272(1964); Kochetkov and Khorlin, 16 Arzneim. Forsch 101 (1966); K
awasaki, 16 Sogo Rinsho 1053 (1967); Tschesche, 25 Kagakuno Ryoiki 571(1
971); Kawasaki, 11 Method. Chim. 87(1978);及び Tschesche and Wulff,30 Fo
rtschritte der Chemie Organischer Naturstoffe 461(1973)。ステロイドのサ
ポニンは通常はスピロスタノールまたはその誘導体である。以下を参照。Elks,
11E, Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, 1(1971); Elks, 2D Rodd's Ch
emistry of Carbon Compounds, 205(1974)。トリテルペノイドサポニンの記載に
ついては、次を参照。Basu and Tastogi, 6 Phytochemistry 1249 (1967); Aga
rwai and Rastori, 13 Phytochemistry 2623(1974); Chandel and Ratogi, 19
Phytochemistry 1898(1980)。アグリコンとしてステロイドサポゲニンの窒素同
族体を含有する第三のサポニンのグループは塩基性ステロイドサポニンと呼ばれ
る。次を参照。Schreiber,10 Alkaloids 1(1968);Roddick,13 Phytochemi
stry,9(1974);Herbert, 5 Alkaloids, 256(1975); Harrison, 6 Alkaloids, 285
(1976)。好ましいサポニン類は Calbiochem (La Jolla, CA) 及び Kodak (Roche
ster, NY)から入手可能の製剤を含む。
これ以外の洗剤もまた溶菌剤として用いることができる。次を参照。Helenios
and Simons, 415 Biochim. Biophys. Acta 29(1975); Bonsall and Hunt, 249Bi
ochim. Biophys. Acta 266(1971)。陽イオン性界面活性剤は溶菌剤として特に有
用である。一般的なものとしては次を参照。Isomaa, et al., 44 Acta Pharmaco
l. et Toxicol. 36(1979)。例えばセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(
CTAB)は結合部位を充填し細胞壁上の陰荷電で静電気的に作用して、多分表
面の詳細ないしは膜の超構造内の変化を誘導し、それによって電気泳動的運動性
に影響し、又は細胞表面における負に荷電した粒子の再配列を誘導する。例えば
表面活性のあるエキノサイトゲニック (echnocytogenic) 物質であるリゾレシチ
ンはフェリチン粒子の赤血球表面への結合を減少させるとの報告がある。次を参
照。Karikovsky et al.,98 Exp. Cell Res. 313(1976); Nakagawaia & Nathan,5
6 J. Immunology Methods 261(1983)。洗剤のセトリマイドもまた差別溶菌用の
薬剤として用い得る。次を参照。Gagon et al., 46, Am. J. Clin. Pathol. 684
(1966); D'Angelo and Lacombe, 32 Bull. Res. M. Technol. 196(1962)。セト
リマイド (Cetrimide) という用語は時としてCTAB及び構造類似の洗剤、例
えばドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドやテトラデシルトリメチルアン
モニウムブロマイドを表すのに用いられる。
本発明で請求する方法で有用な他の薬剤は、Mashino et al., 94 J. Biochem.
821(1983)に記載されているような種々の短ホスフォリピッド類を含む。例えば
8−12コの炭素原子の鎖長のホスファチジルコリン類は赤血球類を溶菌すると
報告されている。
ある種のヘビ毒のようなその他の薬剤もまた溶血活性をもっており、もし適当
な条件が用いられれば差別溶菌剤としての使用に適している。次を参照。Gul et
al., 12 Toxicon 311(1974)。これは種々のヘビ毒による赤血球細胞の溶血のデ
ータを報告しており、溶血とホスフォリパーゼA活性の間の相関関係を報告し
ている。他の溶菌剤はフロリダ州の赤潮の生物であるGymnodinium breve (Kim e
t al., 12 Toxicon 439(1974)) から得る毒性フラクションのような毒素を含む
。マクロライドやチオール活性ヘモリジン類もまた溶菌剤としての用途に適して
いる。
上述のように、白血球よりも赤血球に対してより大きく作用するような薬剤で
差別溶菌をおこすものが本発明で有用である。特定の薬剤が差別溶菌剤として有
用かどうかを決定する方法を以下に述べる。
洗剤を含む薬剤、たとえばサポニンやセチルトリメチルアンモニウムブロマイ
ド(CTAB)による細胞分解の速度と程度に関する若干の観点は、洗剤分子の
濃度、すべての細胞にある結合部位の濃度および異なった部位での異なった洗剤
の相対的親和性によって説明することができる (Bonsall et al., 249 Biochim.
Biophys. Acta 266(1971)。細胞分解は、細胞上の部位の過剰の閾値の結合と相
関関係があるものと思われる。ある種の細胞タイプに対し相対的により大きい活
性をもつ細胞分解剤は、その細胞タイプについて異なった親和性、結合動力学ま
たは細胞分解閾値をもつであろう。いくつかの場合において、膜は殆ど結合部位
をもっておらず、例えば多くのサポニン類のための主な結合決定要因はコレステ
ロールであり、ステロール含量の低い膜はサポニン溶菌に対して典型的に抵抗性
である。しかし赤血球細胞の溶血に特に効果的な多くの薬剤は白血球細胞に対し
てもまた若干の活性をもっている。例えば本発明者の研究は、全血の中、または
全容量の顕著なフラクションが全血によって貢献を受けているような混合物の中
に存在するすべての赤血球細胞を効果的に溶菌するためには、白血球細胞の溶菌
もまた引き起こすような濃度レベルの細胞分解剤を使うことがしばしば必要であ
った。さらに、いろんな個体からの血液の組成は著しく異なっている。例えば、
存在する赤血球細胞のレベルは少なくとも2倍の範囲にわたって変動し得る。従
って血液によって貢献をうける顕著な部分的容量を含有する混合物において恒常
的に得られるこれらの最終目標の何れの下で、いかなる特定の細胞分解剤に対し
て条件と濃度が特定化され得るかということは予期されなかったのである。以下
に差別的溶菌のための適切な薬剤と効果的な条件を述べる。白血球細胞の精製
次いで白血球細胞は、例えば所望の完全白血球細胞が、溶菌された赤血球細胞
から分離された遊離細胞のペレットを形成するために効果的に移動するような遠
心分離で精製される。例えばその混合物を約7500rpmで約5分間遠心分離
する。
時としては、そのような遠心分離でのペレットにおいて回収された白血球細胞
を洗浄し更に精製するという付加的工程を行うことが望ましい。白血球細胞の洗
浄に用いる溶液はまた溶血剤を含有しているので、当初の処理においてすべての
赤血球細胞を完壁に溶菌する必要はなく、溶菌すべき量は回収した細胞の更なる
処理を促進しかつ精製工程後の所望の一定の純度の白血球細胞を与えるに十分で
あればよい。
もし洗浄工程に必要な付加的処理を避けるのが望ましいときは、実質的にすべ
てのサンプルでの完全な溶血を与えるようなレベルの細胞分解剤の範囲を示唆す
る実施例2に記載の実験のタイプの結果を用いることが可能である。この戦略を
活用するには、どんな過剰活性の細胞分解剤が所望の白血球細胞を溶菌しないか
という条件を同定することが望ましい。回収された白血球細胞の数とタイプのテ
ストが行われ、実施例4−6に記載してある。白血球細胞の溶菌
単離された所望の白血球細胞を除去したあと、細胞を溶菌して核酸を細胞から
、又は細胞と共に分離する。これは、所望の細胞内に又は細胞上に付着し又は見
いだされる核酸を意味する。
細胞は、例えば強アルカリの使用、酵素剤の使用、洗剤の使用、浸透圧ショッ
クの使用、溶質のカオトロピック濃度の使用、又は音響的破壊のようないろんな
所望の方法によって溶菌することができる。好ましい実施態様においては、白血
球細胞は水酸化カリウムの使用によって溶菌することができる。このアルカリ、
又は同等物たとえばNaOHやLiOHは、それらはまた細胞のヌクレアーゼを
不活性化しそのためにアルカリ誘導溶菌液を用いるあとでの酵素反応の阻害を防
ぐことができ、そして二重鎖核酸を変性もできるために、とくに有用である。核酸の増殖
今や核酸は、例えばポリメラーゼ連鎖反応方法や、Kacian (上述)に記載の
ようにRNAse H,逆転写酵素およびRNAポリメラーゼを用いる方法のよ
うな公知技術を用いて増殖が可能である。好ましくは、増殖は後述のようにプロ
ーブの標的である核酸と同じ配列を標的とするのがよい。所望の核酸のスクリーニング
増殖させた核酸は今や、相補的ストランドが「プローブ」として公知の所望の
核酸配列に相補的なRNA又はDNAのストランドを用いるハイブリッド形成の
ような公知の又はその他の関連した方法を用いて所望の核酸配列のためのスクリ
ーニングを行うことができる。プローブは核酸にハイブリッド化され、そして例
えば伝統的なサウザンもしくはノーザンブロティング技術又は上述の Arnold et
al に記載の均一保護アッセイ(HPA)のような如何なる公知の検出手段を用
いても検出することができる。好ましい実施態様においては、プローブはHIV
ウイルスと関連する核酸を検出するであろう。増殖反応における白血球細胞溶菌液の使用
細胞内のもとの構造に比べフラグメント化され変性されている白血球細胞溶菌
液内に存在する核酸は、核酸ターゲット増殖のためのテンプレートを含む種々の
化学的および生化学的反応のためには、なお適当な反応剤である。しかし生物学
的に誘導したサンプルは往々にして、たとえば酵素反応のような生体外の生化学
反応を阻害する成分を含んでいることが良く知られている。次ぎを参照。R. deF
ranchis, et al. 16 Nucleic Acids Research 10355(1988)。
すなわち本発明の一つの実施態様においては、1992年6月8日出願の「単
核細胞からの核酸の製造」という名称の米国特許出願番号07/895587と
共に継続しているThomas B. Ryder及びDaniel L. Kacianの共有出願(出願番号
は未付与)に記載のように、結合剤を白血球細胞溶菌液に添加することができる
。そこに記載のように結合剤は、好ましくは亜鉛イオン(Zn++)、マンガンイ
オン(Mn++)やマグネシウムイオン(Mg++)とは結合しないようなものを選
択する。何となればこれらのイオンは有益であり、これらの酵素反応を促進する
傾
向があるからである。そのような剤は、デスフェリオキサミン及びデスフェリオ
キサミンBとしても知られているキレート剤のデフェロキサミンである。上記の方法を行うためのキット
上記の方法を実施するための簡単なキットは、容易に入手可能な材料と試薬か
ら製作することが可能である。実施例
本発明の理解を助けるために、一連の実験結果を以下に述べる。本発明に関す
る以下の実施例は無論本発明を特に限定するためのものではなく、当業者の理解
範囲内のものや本発明で請求されその範囲内にあるもので現在知られておりまた
は後日に開発されるような変更もまた本発明に包含される。実施例1
全血中の細胞分解剤の低濃度の効果の決定
全血に直接添加したときに、赤血球細胞を溶菌するのに効果的な洗剤濃度を決
定するため次の滴定を行う。
1)EDTAを凝固防止剤として含有するチューブに全血を採取する。血液の
500マイクロリットルのアリコットを幾つかの遠心分離管に懸濁する。
2)1%(w/v)のCTAB溶液のの0、1、5、10N20又は50マイ
クロリットルを一連の血液アリコットに添加する。別の一連の血液アリコットに
、同じ量の1%(w/v)サポニン溶液を添加する。チューブを逆さにして混合
し、室温で5分間培養する。
3)ついでチューブを7500rpmで5分間遠心分離して、未溶菌細胞ペレ
ットとする。250マイクロリットルの上澄み液を各々のチューブから除く。
4)上澄み液の中へ遊離されたへモグロビンの量を、550nmでの光の吸収
を測定して決定する。サンプルを必要なだけ希釈し、各々のサンプルの光学密度
が分光光度計の直線的応答範囲に入るようにする。
図1は、希釈に対する補正を行った光学密度の観察値である。CTABはサポ
ニンよりもこの濃度範囲において更に効果的な溶血剤であると思われる。但し溶
血の範囲は両方とも不完全であり、遊離したヘモグロビン量は、いずれの場合も
なお洗剤のレベルと直線的に増加している。実施例2
赤血球細胞の「完全な」溶血をおこす条件の同定
実施例1で用いたよりも広い範囲の濃度のテストとして使用の溶血剤を使って
次の実験を行う。それは、これらの条件が完全な溶血を起こさなかったことが明
白だからである。
1)0.15M中の10%(w/v)サポニン及び0.15M中の5%CTA
Bから成るストック溶液をつくる。
2)EDTAを凝固防止剤として含有するチューブの中へ全血を採取する。血
液アリコット500マイクロリットルを幾つかの遠心分離管の中へ懸濁する。
3)CTAB溶液の0、5、10、25、50又は100マイクロリットルを
、一連の血液アリコットに添加する。別の一連の血液アリコットに、同じ量のサ
ポニン溶液を添加する。チューブを逆さまにして混合し、室温で5分間培養する
。
4)チューブを7500rpmで5分間遠心分離して、未溶菌細胞のペレット
とする。上澄み液100マイクロリットルを各々のチューブから除去し水で希釈
する。
5)上澄み液の中へ遊離したヘモグロビンの量は、550nmの光の吸収を測
定して決定する。必要とあれば更に希釈し、各々のサンプルの光学密度が分光光
度計の直線的応答範囲の中にあるようにする。
図2は添加洗剤量あたりの遊離ヘモグロビンの量を示す。CTABは再び、添
加したもの当たり一層大きい溶血活性を示すようであるが、同時に幾らか高い光
学密度の上澄み液を与える。何れの薬剤も、広い最大丘[OD(550)]で示
すように、テスト濃度内では完全な溶血を示す。例えば上述の条件下では、0.
5mlの血液中の赤血球細胞の85%を超える溶菌のためには2.5mgのサポ
ニンで充分であり、同様にして0.5mlの血液中の赤血球細胞の85%を超え
る溶血のためには1.25mgのCTABで充分である。もしそのような第二の
溶血洗浄液が用いられたならば、ここに示すように丘の縁に近い第一の溶血剤の
レベルを選択するのが好ましい。これは、細胞分解剤の過剰の自由活性による白
血球細胞の類似性質を減少させるであろう。実施例3
充分な洗浄剤の決定
実施例1と2に記載の最初の溶血操作で得た白血球細胞ペレットを、適当な性
質(たとえば細胞に好ましい等張性)の溶液に再懸濁し希釈し、次いで遠心分離
または濾過して再濃縮し白血球細胞を回収する。そのような洗浄は、上澄み液の
残留物や間隙内に残る可溶性成分を希釈し除去するのしばしば好ましい。そのよ
うな洗浄はまた、最初の処理で溶菌しなかった赤血球細胞の溶血を完全するのに
用いることができる。
この実施例で述べた実験は、全血の中の殆どの赤血球細胞の溶菌に効果的な実
施例1と2に示すものと類似濃度のCTABやサポニンを含む三つの溶血剤の希
釈と培養に対する精製白血球細胞の安定性を調べたものである。NH4Cl(ま
たは何か他のアンモニウムイオンや塩類)が差別細胞溶菌に用いることができる
。例えば赤血球細胞含有のサンプルを、生理的浸透圧モル濃度に近い、著しく過
剰の緩衝化したNH4Cl溶液中へ希釈することができる。この例においては、
密度勾配遠心分離で作製した単核白血球細胞(MNC)を、特にHIV感染のた
めの標的細胞を含む白血球細胞の副次的セットの安定性を調べる為に用いるが、
全白血球細胞や他の方法で作製した他の副次的セットもまた用いることができる
。
1)MNC含有懸濁液を、フィコールハイパック密度勾配遠心分離法を用いて
の標準的方法で全血を分画して作製する。
2)採取したMNCを食塩水で希釈し洗浄する;懸濁液を幾つかの別々の遠心
管の中へアリコット化し(1管あたり約0.3mlの原血液に相当)遠心分離し
てペレットMNCとする。
3)ペレットを0.15Mの食塩水中の0.25%のCTAB、0.15Mの
食塩水中の0.5%のサポニン又は0.14MのNH4Cl、0.015Mのト
リス−C1、pH7.6(1xNH4Cl)の何れかの0.lml中へ懸濁する
。管を室温で0、10、30及び60分培養し、10マイクロリットルのアリコ
ットを細胞の計数とヘモサイトメーターでの顕微鏡検査のために採取する。下の
表の細胞数はもとの対応する血液の容量に標準化してある。
細胞はCTABに露出されている殆どのサンプルにおいて、多分CTABのポ
リアニオン凝固傾向の故に、細胞(及び砕片)は塊となる傾向があり、CTAB
処理サンプルでは予想細胞数よりも高い値となる。表1に記載のこれらの結果は
全血内の殆ど完全な赤血球細胞の溶菌に必要な洗剤の絶対濃度は、精製した白血
球細胞には過度に細胞分解的であることを示す。許容範囲の残存赤血球細胞溶血
を与えるところの改良された白血球細胞の安定性と条件をもたらす、洗剤特にサ
ポニンのもっと希薄な溶液は類似の技術によって同定することができる。しかし
ながら1xNH4Cl内の安定性はテスト条件下では三つの中では最良のもので
あり、多くの実際的な応用のために適しているであろう。
これらのサンプルの幾つかにおいては、細胞は溶菌されても核は完全なままで
残存しているようである。核酸の材料としての染色体DNAを用いる多くの応用
のためには、これはまた許容可能な又はむしろ望ましいプロセス生産物であり得
る。完全な核を回収するに充分な遠心分離条件は公知であり、通常の実験で価値
づけられている。細胞を溶菌するが核を変性しない多くの穏和な(特に非イオン
性の)洗剤は公知である。実施例4
工程の収量と細胞完全性
処理工程を通じての細胞の完全性の他の測定として、処理後に回収した細胞の
リボソームRNA(rRNA)の量を定量的溶液ハイブリッド形成によって測定
する(後記)。この分析は、どんな細胞内RNA標的被検体が保存されるかの条
件を決定するのに有用である。
1)EDTAを凝固防止剤として用いて全血を得、その3mlを幾つかの遠心
管の各々の中へ分配する。その一つには0.15MのNaCl中の10%サポニ
ンの150マイクロリットルを添加し;他の一つには0.15MのNaCl中の
5%CTABの150マイクロリットルを添加し;そして3番目のものには1.
5MのNH4Clの300マイクロリットルを添加する。管を逆転して混合し、
室温で5分間培養する。
2)管を8000rpmで3分間遠心分離し、そして上澄み液をデカントする。
3)ペレットを1.5mlの1xNH4Clに再懸濁し、各々の再懸濁液の3
分の1容量を3コの遠心分離管の各々に分配し、そして8000rpmで1分間
遠心分離する。
4)各々のペレットを平衡食塩溶液の200マイクロリットルに再懸濁する。
再懸濁細胞のサンプルをへヘサイトメーター計数で試験し、他のサンプルを2%
のラウリル硫酸ナトリウムと混合してハイブリッド形成分析のために細胞を溶菌
する。
5)これらの溶菌液を用いての溶液ハイブリッド形成反応を、参照によりここ
に包含する米国特許4851330号(名称「非ウイルス生物の検出、同定およ
び定量のための方法」;発明者はDavid E.Kohne)に記載の方法に従って、すな
わち細胞生物内に強力に保存されているrRNA配列に補足的な125Iでラベル
されたプローブを用いて行う。0.12Mの燐酸ナトリウム(pH6.8)の存
在下にハイドロキシラパタイトとのハイブリッド形成反応の生成物と接触させ、
上述のKohneの特許に記載のようにしてハイドロキシラパタイトを用いた非ハイ
ブリッド化プローブから、rRNAプローブハイブリッドを分離する。遠心分
離後、ハイドロキシラパタイトの結合した沈澱を、同じ緩衝液内で65℃で洗浄
する。
目的とする最初の溶菌剤としてのNH4Clを添加した全血サンプルは、最初
の遠心分離後は実質的に溶血の証拠を示さない。すなわちNH4Clは、混合物
の殆どの容量が全血に由来しているときは一次的の溶菌剤としてのサポニンやC
TABほどには効果的でないようである。これは多分、細胞が血漿からの貢献に
よる正常のイオンによって安定化されるからであろう。(最初の遠心分離から得
たパックされた赤血球細胞の塊は、1xNH4Cl洗浄液に再懸濁後は殆ど完全
な溶血を示す。)
表2の細胞計数とハイブリッド形成シグナルは、もとの血液容量1ml収量に
対して標準化してある。ハイブリッド形成シグナルは、3つの複製コントロール
サンプルから、又は各々の処理のための3つの複製白血球細胞ペレットの溶菌液
とのハイブリッド反応から得た平均cpmを表す。
この実験で使ったプローブの定性的特性評価は、1x106の赤血球細胞のr
RNA含量とのハイブリッド形成はこの実験では約10,000cpmとなるこ
とが予期されていたことを示す(1.25pg rRNA/WBCと仮定;次を
参照 Soren and Biberfeld,Exp.Cell Res.,359(1973))。サポニンで溶菌され
た細胞のrRNA含量は細胞計数から予期される値の約2倍の範囲にあり、これ
はこの処理による優れた細胞完全性を示唆する。異なった処理戦略からのシグ
ナルの相対値は、処理の最終目的がRNA分子の安定性の保存を含むときは、C
TAB溶血のためのこれらの条件は好ましくないことを示唆する。。実施例5
細胞タイプ回収
全細胞収量(上記の実施例4参照)に加えて、所望の標的細胞タイプが適当な
安定性で回収されるか否かを決定するために、回収された細胞を特性化すること
もまた有用である。この実施例では、3つの異なる凝固防止剤中への採取後に、
全細胞計数および異なった細胞タイプ比率を決定する。
表3は末梢血液内の白血球細胞タイプの標準濃度を示す。
回収された細胞の特性化に用いた方法は次のようである。
1)2つの個体からの白血球を、凝固防止剤としてEDTA、ヘパリン又はク
エン塩ナトリウムを含有する排気採取管の中へ吸引する。もう一つのサンプルを
凝固防止剤なしで採取し、Wright染色法のための血清をつくる(後記)。
2)各々のタイプの凝固防止剤で処理した血液5mlを遠心分離管の中へ移し
、10%サポニン250マイクロリットルを加える。サンプルを逆転して混合し
、室温で5分間培養する。遠心分離で白血球細胞をペレット化する。
3)ペレットを2.5mlの1xNH4Clの中へ再懸濁する。各々の懸濁液
おアリコット0.5mlを、対応する遠心分離管の系に移し、そして細胞を遠心
分離でペレットとする。
4)各々の凝固防止剤処理に対応する一つのペレットを、ヘモサイトメーター
計数のために100マイクロリットルの平衡塩類溶液に再懸濁する。各々のタイ
プの一つのペレットを100マイクロリットルの血清に再懸濁する。血清に再懸
濁したサンプルをガラスのスライド上に塗りつけ乾燥したものを3分間Wrightの
染色液(Fisher Diagnostics,Pittsburg,PA)の中に浸して染色し、ついで水で
洗う。特徴的な染色性に基づいて、スライド当たり少なくとも200の細胞に対
して細胞タイプがアサインされる。
表4はこれらの実験結果を示す。全計数(細胞/ml)は最初の血液1mlに
対応するように標準化されている。細胞タイプについての値は、ラベルした範囲
に対応するサンプルについて観察された全ての細胞の百分率である。
これらの結果は3つの凝固防止剤の全てについて良好な収量を示し、正常でか
つ極めて一定の、異なる細胞収量を示す。実施例6
2つの異なる原料からのサポニンの比較
上記からわかるように、サポニンという用語は、類似した作用的に定義された
性質をもつ界面活性剤から生物学的に誘導された大きなカテゴリーのものを指す
。上述のMahato et al.参照。それらの多くは構造的のサブセットを共有してい
る
が、全カテゴリーにわたる広い範囲の性質が、どの一つの活性(たとえば溶血効
果)に対しても期待され得る。さらに大抵の商業的製剤は分子の粗混合物であり
、原料として種々の植物が用いられる。すなわちサポニンを用いる方法の成功的
な実際の応用のためには、特定の目的のための適合性と品質を判断するために、
ここに述べる一連の分析法を行うことが価値がある。上の実験はすべて同じロッ
トのサポニン(Calbiochem,La Jolla,California;以下ではサポニンCと称する
)について行われた。この実施例は、ほかのサポニン製剤(Kodak,Rocheseter,
New York;以下ではサポニンKと称する)の性質の比較を示す。
1)0.15MのNaClの中に10%(w/v)の相当するサポニンを含有
する各サポニン溶液を作製する。
2)全血を、適当な凝固防止剤を含有する管の中へ吸引する。12コの遠心管
の各々へ0.5mlを配分する。
3)各サポニン溶液の0、5、12.5、20、25又は30マイクロリット
ルを血液アリコットの対応する系列に添加する。管をゆっくり渦を巻かせて混合
し、室温で5分間培養する。
4)管を遠心分離して非溶菌細胞をペレット化する。上澄み液の各10マイク
ロリットルを1mlの水で希釈する。各々の液の光学密度を分光光度計を使い5
50nmで読みとる。
この測定の結果を図3に示す。サポニンCで処理したサンプルで全体的に見ら
れる傾向は上記(たとえば血液1ml当たり5mgのサポニンでの溶血の程度が
完全溶血の丘の部分に接近するもの)に見られる上述の結果と比較可能である。
丘部分はサポニンKの低濃度で接近する。
全白血球細胞と個々の細胞タイプの収量もまた上述の方法を用い各サポニンの
3つのレベルで測定する。その結果を表5に示す。
血液1ml当たり1mgの各サポニンで処理後得られた細胞では、白血球細胞
は正確には計数できず、これは高レベルの赤血球細胞によって覆い隠されるため
である。この夾雑はまた、白血球細胞がスライド上で観察され得ないために、サ
ポニンKサンプルのWright染色分析を妨害する。以上の結果におけるこの差別計
数比率は若干の変動を示す。特に本質的に異なるものの一つは、血液1ml中5
mgのサポニンで溶菌したサンプルにおける細胞タイプ比率におけるものである
。このサポニン製剤による溶菌に対する好中球の感受性に起因するであろう条件
は、サポニンKを用いての実験で何回も認められる。HIV増殖用サンプルの作
製のような若干の目的のために、好中球の溶菌は有利であると考えられる。何故
ならば好中球はHIV感染のための標的細胞を含んでいないからである。ほかの
目的のためには、サポニンKは不適当と判断され得るし、もしくは血液1ml当
たり3mgの低レベルで用いるのが最も良い。実施例7
全血サンプルの希釈
現実の環境が許せば、ここに述べた原則はまた、溶血工程で僅か数倍(たとえ
ば1−5倍)しか血液が希釈されないような条件を展開するのにも使用できる。
例えばつぎの方法が行われる。
1)EDTAで処理した全血サンプル0.5mlを0.5%サポニンK溶液0
.
5mlと混合し、室温で5分間培養し、遠心分離して白血球細胞のペレットとす
る。上澄み液を吸引し除去する。
2)ペレットを1xNH4Clに再懸濁し、室温で5分間培養し、遠心分離し
白血球細胞のペレットとする。上澄み液は吸引し除去する。実施例8
白血球細胞の溶菌
赤血球細胞の差別溶菌を用いる方法で作製した白血球細胞は、強アルカリでの
加水分解を含む公知の方法で溶菌することができる。別の方法では、たとえば浸
透圧ショックや穏和な洗剤により細胞を溶菌し、遠心分離で完全な核を回収する
ことができる。細胞や核はもっと高度の変成条件、たとえばイオン性洗剤や種々
の溶質のカオトロピック濃度を用いて完全に溶菌し、そして遊離した核酸を沈澱
、イオン交換、ハイブリッド選択、などによって回収することができる。非標的
サンプル成分の溶菌のためには、たとえば酵素消化のようなもっと他の戦略もま
た用いることができる。
1)白血球細胞ペレットを25又は100マイクロリットルの水に再懸濁し、
それぞれ25又は100マイクロリットルの0.14NのKOHと混合する。サ
ンプルを渦立てよく混合し、95℃で30分加熱する。
2)0.65NのHOAc、0.066Mのトリス(ハイドロキシメチルアミ
ノメタン塩基)及び0.084Mのトリス.HClから成る溶液の5又は20マ
イクロリットル[工程1)の容量に対応して]を添加して、得た加水分解物のp
HをpH8.0±0.5(典型的には)に調節する。この加水分解物を、たとえ
ば渦立ててよく混合する。実施例9
差別溶菌で作製した白血球細胞の溶菌液での標的DNA増殖
これらの製剤から得た溶菌液は、たとえば上述のKacian et al.に記載のよう
に逆転写酵素、RNase及びRNAポリメラーゼを用いる方法や又はポリメラ
ーゼ連鎖反応(Mullis et al,上述)のような核酸標的増殖反応に添加すること
ができる。その一例を以下に示す。
1)次の成分を含有する溶液のアリコット50マイクロリットルを作製し分配
する。ここに示す濃度は最終反応液100マイクロリットル内の対応濃度である。
50mMトリス.C1(室温でpH8.0)
17.5mM MgCl2
5mM DTT
2mM スパーミジン(Spermidine)
6.25mM GTPおよびATP (各々)
2.5mM UTPおよびCTP (各々)
0.2mM dATP,dGTP,dCTP、dTTP(各々)
0.3μM プライマーAおよびプライマーB(各々)
2)任意的に、最終濃度で0−1mMのデフェロキサミンメシレートを含有さ
せてもよい。任意的に、最終濃度で0−0.1mMのZn(OAc)2を含有さ
せてもよい。
3)この混合物に、上記で得られた加水分解した白血球細胞溶液40マイクロ
リットルを添加する。任意的に、異なった条件で支持される増殖実施の比較のた
めの基礎として興味のある標的配列を含む精製核酸の公知量を添加してもよい。
この例で溶菌液は、BH10クローンから精製した50コピーのHIV DNA
を受け入れる。
4)混合物を95℃に加熱し、5分間保ち、そして37℃に冷却する。
5)好ましくは処理中の酵素安定性を保持するために充分な組成の緩衝液中に
モロネーMuLV逆転写酵素600U及びT7RNAポリメラーゼ400Uを含
有する溶液10マイクロリットルを加える。
6)サンプルを簡単に混合し、37℃で1−2時間培養する。
7)意図した標的配列のコピーとして形成した増殖生産物の量は、たとえばハ
イブリッド形成保護アッセイ(Arnold et al.,上述)のような特定のハイブリッ
ド形成方法を用いて定量できる。次の結果はArnold et al.のハイブリッド形成
アッセイからのものである。
本発明の現在の実施態様は全ての点において説明的のものであり、限定的のも
のと考えてはならない。本発明の範囲は上述の記載によるよりもむしろ添付の請
求の範囲に示されており、従って該請求の範囲と均等の意味と範囲に入るような
全ての変更はその中に包含されることを意図している。