JPH08503375A - 固定化乳酸菌を用いるバイオリアクター及びその使用方法 - Google Patents

固定化乳酸菌を用いるバイオリアクター及びその使用方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、固定化された乳酸菌を用いるバイオリアクターにおいて、該細菌が連続した多孔性のマトリクス又はくぼみ状もしくは網状多孔体粒子からなる実質的に非圧縮性の担体表面に固定されており、該マトリクス又は粒子が、個々の微粒子又は微小繊維間の少なくともいくつかの接点において、化学的に、接着により又は機械的に結合された緩く結びついた複数の微粒子又は微小繊維の構造を有することを特徴とするバイオリアクターに関する。好ましくは、微粒子又は微小繊維は、陰イオン交換体の能力をもつ材料好ましくは樹脂を含むか又はこれらにより構成されている。担体の好ましい実施態様としてはDEAEセルロースが含まれ、微粒子及び微小繊維はポリスチレンと凝集されている。上述のバイオリアクターは、乳酸菌の代謝の結果得られる生産物の大規模生産及び原料流の組成の修正において応用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 固定化乳酸菌を用いるバイオリアクター及びその使用方法 本発明は、固定化乳酸菌を用いるバイオリアクター及びその使用に関する。 発酵プロセスは、長い間、遊離して生育する細菌培養で行なわれてきた。固定 化された細菌の使用が有利であることがわかったのは、ほんの近年になってから である。固定化細菌は、遊離細菌とは違って、バイオリアクター内に保持されて おり、連続的プロセスにおいて使用することを可能にする。固定化細菌を用いる プロセスは高い細菌濃度を可能にし、従って、遊離して生育する細菌に比べてさ らに速い反応速度が達成され、従ってより小規模の工場で可能となり、又プロセ スの持続時間を著しく短縮できるようになる。 乳酸菌及びそれから産生された生産物は食品製造において広く用いられている 。さまざまな乳酸菌の固定化も同様に知られている。発酵プロセスにおいて固定 化乳酸産生菌の使用については、詳細な報告が、Marc R.Smith及びJan A.M.Du Pont(農業大学、食品科学部門、工業微生物学研究所、PO.Box 8129,6700 EV Wageningen)によって、その論文「発酵プロセスにおける固定化乳酸菌の応用」 の中で記されている。 この中で、固定化はさまざまなトラッピング又は被包技術を用いて行なわれて いる。例えば、ゲル化プロセスで細菌を用いるためには、寒天、ゼラチン又はア ルギン酸塩が用いられる。溶剤沈澱法により細菌のトラッピングを達成するため には、酢酸セルロース又はポリスチレンが使用される。さらに、重縮合又は重合 によってト ラッピングを達成するため、エポキシ樹脂及びポリウレタン又はポリアクリルア ミドが使用される。しかしながら、上述の担体材料は、工業的規模でのその加工 において多大な欠点を結果としてもたらす。 かくして、例えば、上述の担体材料は軟らかく、高流量でのパックベッド型反 応器において又は大型ユニットの使用において不必要な圧力損失を生む。さらに 、細菌を担体材料内に固定する場合、固定化は別々に行なわれなくてはならない 。すなわち後に乳酸産生が続く反応器の中で、固定段階自体を行なうことはでき ないのである。最後に、担体が汚染した場合又はその他の理由で反応器内でのプ ロセスが中断した場合、担体材料の再使用は不可能である。同様に、マトリクス 内で細菌を固定する方法によって乳酸を生産するには、反応速度が拡散プロセス により制限されるということも大きな欠点である。 本発明の目的は、上述の欠点を克服することができ、しかも技術的にも経済的 にも工業的規模で行なうことのできるプロセスを実現することを可能にする、固 定化乳酸菌を用いるバイオリアクターを提供することにある。 上述の目的は、固定化された乳酸菌を用いるバイオリアクターにおいて、該細 菌が連続した多孔性のマトリクス又はくぼみ状もしくは網状多孔体粒子からなる 実質的に非圧縮性の担体表面に固定されており、該マトリクス又は粒子が、個々 の微粒子又は微小繊維間の少なくともいくつかの接点において、化学的に、接着 により又は機械的に結合された緩く結びついた複数の微粒子又は微小繊維の構造 を有することを特徴とするバイオリアクターを用いて解決される。好ましくは微 粒子又は微小繊維が陰イオン交換能力をもつ材料、好ましくは樹脂を含むか又は それらにより構成されている。 好ましい一実施態様においては、担体はセルロース又はレーヨン又はそれらの 誘導体を含む。これらの誘導体は、陰イオン交換特性を与えるために化学的に修 飾される。好ましくは、微粒子又は微小繊維は、例えば接着の機能を果たす疎水 性重合体を用いて、互いに凝集させられる。 特に有利な実施態様に従うと、担体の樹脂材料は、米国特許第4355117 号に従ったジエチルアミノエチレンで修飾されたセルロース(DEAE−セルロ ース)であり、微粒子又は微小繊維は、好ましくはポリスチレンと凝集させられ ている。 上述の好ましい担体を製造するには、好ましくは最初に疎水性重合体を用いて セルロースの集塊を製造し、次にこれは、陰イオン交換特性を形成するアルカリ 条件の下で、集塊の水性懸濁液中で誘導化される。この場合、集塊は、可塑条件 まで加熱された疎水性重合体とセルロースを混ぜ合わせることによって製造でき る。もう1つの可能性としては、有機溶剤中で疎水性重合体の溶液を生成させ、 この中にセルロースを取り込むことによって凝集させることができる。 凝集物質として適しているものとしては、好ましい重合体としてのポリスチレ ンに加えて、メラミンホルムアルデヒド樹脂又はエポキシ樹脂がある。 凝集した繊維性イオン交換セルロース複合体の製造についての詳 細な記述は、ドイツ特許第3130178C2の中に見られる。 担体材料のさらなる実施態様には、多孔性の焼結ガラス又はセラミクス材料が 含まれる。 本明細書中で用いられる「乳酸菌」という語は、Aerococcus,Carnobacterium ,Enterococcus,Erysipelothrix,Gemella,Globicatella,Lactobacillus,La ctococcus,Leuconostoc,Pediococcus,Streptococcus,Tetragenococcus及びV agococcus属を包含する。これらの属は一般に、それに属する細菌が、乳酸及び その他の特定の産物を産生する能力を有しているか又はその野生型形態において 有していることを特徴とする。 乳酸の大規模生産のためには、Lactobacillus delbrickiiLactobacillus bu lagaricus 又はLactobacillus leichmaniiといつたホモ発酵性細菌を使用するこ とができる。乳酸によるビールの酸性化には、Lactobacillus amylovirusLact obacillus plantarum及びLactobacillus helveticusを使用することができる。 乳酸を含む食品の生産のためには、Lactobacillus brevisLactobacillus buch neri 又はLactobacillus mesenteroidesといったヘテロ発酵性細菌が使用される 。 上述の細菌が発酵により乳酸を発酵する基質には、ヘキソースから成る化合物 又は容易にヘキソースに分解されうる化合物が含まれる。これらの原料は、バイ オリアクターの中で処理すべき基質中に存在し、例えば糖蜜、サトウキビ汁、米 澱粉、乳清、亜硫酸パルプ廃液、ジャガイモ澱粉を含む。 バイオリアクターの好ましい一実施態様に従うと、担持能力すな わち乾燥担体1グラムあたりの細胞数は108〜1012である。ここで、それぞ れ意図された用途のために充分な量の乳酸が生産されるように担持能力が設定さ れるよう注意を払わなくてはならない。生産される乳酸の量を左右するさらなる 要因は、反応器に通す流速及び温度でもある。さらに、バイオリアクター内での 基質の処理においては、酸化プロセスひいては収量損失を防ぐため、好ましくは 、空気に触れさせないように保つ。バイオリアクター内のプロセス条件は、あら ゆるケースにおいて、乳酸菌が乾燥し切ってしまわないような条件が得られるよ うに調整される。 本発明の好ましい実施態様に従うと、バイオリアクターは、担持された担体が 反応させるべき流体と接触できるようにする装置を含んでいる。有利には、この 装置は、攪拌槽型反応器、バスケット型反応器、流動床式反応器、パックベッド 式反応器及びフィルター式反応器の中から選定される。バイオリアクターは同様 に、1本のカラム又は有利には平行な複数のカラムである装置で構成されていて もよい。カラムの中で、処理されるべき基質は好ましくは重力方向に流れる。 バイオリアクターのもう1つの有利な実施態様は、装置に加えて、バイオリア クター内のポンプの前方の乾燥担休材料を水和するためのコンテナ、バイオリア クター内で担体を殺菌するための殺菌用液体が入ったコンテナ、殺菌後に担体を 中和するための中和用液体の入ったコンテナ、バイオリアクター内に圧送して担 体表面に固定させるための細胞懸濁液の入ったコンテナ、処理すべき基質の入っ たコンテナ、任意にはバイオリアクターからの流出物が後反応 を受ける後処理コンテナ、及び生成物の貯蔵用のコンテナをも含んでいる。 バイオリアクターは同様に、圧力放出弁及び二酸化炭素分離用手段も含んでい てもよい。 本発明の枠内では、乳酸菌の代謝の結果得られる生成物を製造するため及び原 料流の組成を修正するために、バイオリアクターを使用することができる。 特定の一実施態様に従うと、バイオリアクターは、乳酸、好ましくはL(+) 乳酸の生産において応用される。 特定の乳酸菌を選定することにより、本発明に係るバイオリアクターは、乳酸 に加えて又は乳酸の代替としてさらなる化合物を生産するのに使用することがで きる。かくして、食品保存にとって有用なナイシンのようなバクテリオシンの生 産に言及することができる。同様に、ジアセチル、エタノール、プロパノール、 イソブタノール、ペンタノール及びヘキサノールのような特定の香料化合物を生 産することも可能である。本発明に係るバイオリアクターは同様に、リパーゼの ような細胞外酵素、デキストランのような重合体、又は乳酸に加えてその他の有 機酸を生産するのに使用することもできる。さらに同様に、反応器内で特定の細 胞結合ウレアーゼ酵素を使用することにより原料流から尿素を除去することも可 能である。 バイオリアクターのもう1つの好ましい利用分野は、牛乳又はフルーツジュー スのような流動、圧送可能な食品における乳酸の産生に見られる。 最後に、本発明に係るバイオリアクターは、同様に、有利に、例えばジュース 、レモネード、ビール、ワインのような飲料を酸性化するためにも使用できる。 本発明に係るバイオリアクターの利点は、まず第1に、実質的に非圧縮性の担 体を用いてバイオリアクター自体の中の過度に高い圧力を防ぐことができるとい うことである。さらに、本発明のバイオリアクターは、細菌がマトリクス内部で はなく特定的に使用される担体の表面において固定されるという点で、先行技術 のものと異なっている。従って、いかなる拡散バリアも発生せず、表面の細菌濃 度が高いことから、認知できるほどにより高い反応速度ひいてはより短い反応時 間、そして基質のより優れた利用を達成することができる。表面における細菌の 固定は、さらに担体を再生し再利用できるという効果をもたらす。 本発明に従ったバイオリアクターは、乳酸菌の代謝の結果得られる生産物、特 に乳酸の製造に関して高い融通性及び高い能力を内含する。このバイオリアクタ ーは数週間にわたり待機状態に保つことができ、又きわめて容易に始動させるこ とができる。バイオリアクター内のプロセスは完全に自動的にかつ閉鎖されたシ ステム内で行なうことができ、そのため全く汚染が無く優れた生物学的条件が得 られる。本発明に係るバイオリアクターは、コンパクトな設備そしてエネルギー 及びコストの節減を可能にする。 以下では、制限的な意味をもたないものとして理解されるべき例を用いて、さ らに詳細に本発明について記述する。 例1:担体の製造 米国特許第4,355,117号に従って以下のとおり、粒状誘導体化セルロ ースを製造した。 25部の繊維質セルロースを25部の二酸化チタンと混合し、混合物を2軸押 出し機を用いて食品等級の高衝撃ポリスチレン50部と混ぜ合わせた。押出し物 を水中で冷却し、0.35〜0.85mmの粒度になるようふるいにかけた。 ふるいにかけた粒状凝集セルロース粒子を誘導体化して、前述の米国特許に記 載されているとおり、DEAEセルロースを形成した。 例2:担体の水和、殺菌、担持及び担体上での細菌の固定化 例1で製造した粒状DEAE−セルロース10gを精製水中でスラリーになる まで溶き、随時攪拌しながら5時間ソーキングした。水和した担体を次に精製水 で傾瀉し、内径15mmのガラス製カラム内に移した。ここで担体は、高さ145 mmのベッドを形成した。 乳酸産生菌(Lactobacillus amylovorus,NRRL B−4540)を30℃ で48時間、培地(DIFCO 0881−01−3)中で培養した。細胞懸濁 液50mlを担体ベッドに通して25ml/時の流速で圧送した。ひきつづきこの中 にさらに50mlの精製水を圧送した。カラムの流出物を、それが透明となって合 計75mlの体積になるまで収集した。使用後、バイオリアクターを以下のとおり 殺菌し再担持することによって、再利用に備えて準備した。 バイオリアクターを、流出物に色がなくなるまで73℃で約5 ベッド分の体積の2%NaOHを通過させることによって殺菌した。流出物のp Hが10.8となるまで1時間につき約2ベッド分の体積の流量で73℃で無菌 水を通過させることによって、バイオリアクターを洗浄した。洗浄用水を22℃ の0.5%クエン酸溶液で置換し、これを、流出物のpHが4.2となるまで1 時間あたり2ベッド分の体積でバイオリアクター内に通過させた。酸溶液を30 ℃の無菌水で置換し、これを2ベッド分体積/時でカラム内を通過させた。 ホップやホップ抽出物が全く無い麦汁の中で48時間30℃で培養したPedioc occus pentosaceus (VTTE−88317)を次に、バイオリアクター内で固 定化させた。25ml/時の流速で50mlの細胞懸濁液を圧送して担体ベッドに通 して、ひきつづき、さらに50mlの精製水をその中に圧送した。カラムの流出物 が透明となり、合計体積が75mlとなるまで収集した。バイオリアクター内の細 胞の担持は、乾燥担体1gあたり3.96×109CFUであった。 例3:麦汁の処理 通常の方法で生産されたがホップやホップ抽出物を含んでいない麦汁を、例2 で作ったバイオリアクターの中に入れた。この場合、麦汁の糖含有量は、ブリッ クス屈折測定計で15.1%となり、pH値は約5.50であった。麦汁を48 ℃、圧力1バール、反応器全体を通しての接触時間10分で供給した。流出物の pH値は約3.5であった。 例4:L(+)乳酸の生産 i)ジャケットを備えた内径1.5cmのガラス反応器に、30℃の 精製水中で基本的に例1に従って製造した市販の製品であるSpezyme GDC2 20の10gを担持した。ベッドの担持体積は約25〜30mlであった。MRS 肉汁(Difco)内で生育させたLactobacillus casei亜種Casei(ATCC393 、ジアセチルの生成者として既知である、培養CFU:62×109ml)の培養物5 0mlを15ml/時(約0.5ベッド分体積/時)の流量で、上から下へと反応器 内へ圧送し、細菌をGDCベッド中に一度に通すことによって固定化させた。反 応器内で固定化された細胞の数を適当な希釈及び未結合細胞のMRS寒天平板上 のCFU計数によって数量化した。反応器内のバイオマス担持は2.7×1011CFU であり、パックベッドの8.9×109CFU/mlと同等であった。次に、グルコー ス20g/1;MgSO4・7H2O 0.1g/l;MnSO42O 0.05g /l;Na2HPO4 2g/l及び酵母エキス(Difco)、(1g/1)pH6.5か らなる無菌原料液を、同じ流量でカラム内に通過させた。生成物放出液の試料を 毎日、生成物分析のため収集した。生育及び/又はこすことによりカラムから連 続的に取り出された少数の生菌によりひき起こされる収集期間中のあらゆる反応 を避けるため、試料を氷上で収集した。反応器内の酸の生産は、原料流のものよ りも標準的に約2pH単位下である流出物のpHを測定することによって、適切に 監視された。 6日間反応器を作動状態に維持し、この間流出物内のL(+)乳酸の濃度(酵 素テストキット−Boehringer Mannheim Cal.No.139084で測定)は、1日目の 0.36g/1(流量15.6ml/時)から6日目の0.43g/1(流量12. 4ml/時)まで上昇した。 D(−)乳酸は、全体を通して方法の検出限界(0.02g/l)以下であった 。 L(+)乳酸の生成速度はかくして1日目に187mg/l・時(2.08mg/時 /1011CFU)そして6日目に178mg/l・時(1.97mg/時/1011CFU)であった 。 その他の点では同じであるものの4.1×1010CFUというより少く担持した 反応器は、同様の空間一時間収量(264mg/l・時)で、ただし著しく高いバイ オマスに基づく収量(19.4mg/時/1011CFU)で、L(+)乳酸を生成した。 ii)L(+)乳酸を産生する既知のホモ発酵性乳酸菌であるLactococcus lactis 亜種・lactis(LMG6890)を利用した反応器をセットし、例4i)に記述 した通り9.2×1010CFUの担持で作動させた。7日間の作動期間全体にわた り、流出物中のL(+)乳酸の濃度は、1.3〜1.5g/lであった;D(− )乳酸は検出レベル以下であった。空間一時間生産性は、667mg/l・時であ り、バイマスに基づいた生産性は21.8mg/時/1011CFUであった。当業者にと っては明らかであるように、本書に記されているとおりの固定化された反応器内 で用いるためのこの微生物菌株の重要な特徴は、流出物中に存在する細胞の数が 少ないことである(50〜500CFU/ml)。 iii)既知のナイシン生産菌であるLactococcus lactis亜種・lactis(LMG7 930)の異なる菌株を利用する反応器を、1.25×1011CFUの担持で例4 i)に記述されているとおりにセットした。グルコース 20g/l;クエン酸 三ナトリウム塩 2g/l;酵母エキス 1g/l;細菌学ペプトン 5g/l;MgSO4・7H2 O 0.2g/l;K2HPO4 5g/l;Na2SO4 1g/l;pH6.7を含む 無菌原料溶液上で、基本的に記述されている通りに反応器を作動させた。6日間 の作動全体にわたり、流出物中のL(+)乳酸の濃度は2.9〜3.1g/lで あった;D(−)乳酸は検出レベル以下であった。空間一時間生産性は1653 .3mg/l・時であり、バイオマスに基づく生産性は39.7mg/時/1011CFUで あった。 例5:ジアセチルの付加的生産 i)例4i)に記述された反応器は、L(+)乳酸に加えて、乳酸菌に典型的な 一連の香料化合物を生成した。A.Kaipainenが「Journal of High Resolution C hromatography(高分解能クロマトグラフィジャーナル)」15、751〜755(1992 )に記述しているとおり、香料化合物をヘッドスペースGLC−MSにより分析 した。この方法は、適切な低レベルの検出を提供するが、真正標準との比較によ る数量化は、FID検出を伴うGLCのようなその他の方法ほど精確ではない。 例4i)の中で記述した反応器内で使用されたLactobacillus casei 亜種casei ATCC393は、その作動中の早い時点で約1,000ppmでジアセチルを生 成したが、L(+)乳酸の生産が一定であり続けたのに対し、ジアセチルの生産 は、時間の経過と共に減少した。作動の早い時点で、反応器の空間−時間生産性 は520mgジアセチル/l・時であり、バイオマスベースで表わすと5.8mg/時 /1011CFUであった。 例6:ナイシンの付加的生産 i)例4iii)に記述した反応器は、L(+)乳酸に加えてナイシンを生産した 。ナイシンは、Nissen-Meyen et al.Journal of General Microbiology(一般 微生物学ジャーナル)(1993)139,1973〜1978に記述されているものに類似し たマイクロタイター平板検定においてMicrococcus flovus(NCIB8166) の感受性指示菌株を用いた生育抑制試験によって検出され検定された。MRS肉 汁内の試験用微生物の接種物を伴うマイクロタイター平板ウエル内で、反応器か らの生成物の段階希釈を行なった。ウエル内の全体的生育を監視するバイオスク リーン計器の中で、試験用微生物の生育を追跡調査した。反応器生成物と同じp H(pH4.5)で同じ乳酸濃度(3g/l)を含む対照と比較した、50%の生 育抑制を与えた反応器生成物の希釈(Nissen-Meyer et al.によって使用されて いたように濁度のみではなく、濁度と時間の積分により測定されたもの)を、1 BU(バクテリオシン単位)を含んだ反応器生成物の量として取り上げた。反応器 生成物は、300BU/mlを含んでいた。バクテリオシンの生産性(産生微生物及 び指示菌株の感受性をベースとしたナイシンとして取り上げたもの)は、160 ×103BU/l・時及び3,840BU/時/1011CFUであった。 例7:酵素の付加的生産 固定化したLactococcus lactis亜種lactis(LMG7930、例4iii))を 含む反応器からの作動2日目の流出物の試料をまず最初に0.2μmのフィルタ ーを通してろ過し、あらゆる細菌細胞を除去し、次に、10,000NMWL(Mill ipore Ultrafree-CL)の限 外ろ過膜を通過させることにより5倍濃縮した。カゼイン基質の加水分解が関与 するpH4での濃縮物の標準的プロテアーゼ検定でも、プロテアーゼ酵素活性の存 在を検出することはできなかった。しかしながら、0.01MのNaOHでの滴 定により8に維持されたpHと40℃で、CaCl2(0.51%w/v(重量/体 積%))を含むアラビアゴム(2%w/v)中の5%w/vエマルジョン中でのオリー ブ油の加水分解が関与する標準pH−スタット検定において、同じ濃縮試料内で リパーゼ活性を検出することができた。1Uのリパーゼ活性は、これらの条件下 での1分あたりの1μmoleの脂肪酸の放出速度(μmole/分単位でのNaOHの 滴定速度に等しい)として定義づけされる。リパーゼ活性は、反応器流出物内で 0.022U/mlであり、反応器の生産性は11.9リパーゼU/l・時又は9.5 リパーゼU/時/1011CFUであった。 例8:DL乳酸及びその他の有機酸の生産 i)他の乳酸菌がヘテロ発酵性代謝を有し、L(+)及びD(−)乳酸の両方な らびに酢酸のようなその他の有機酸を産生するのに対して、いくつかの乳酸菌は ホモ発酵性代謝を有し、L(+)乳酸を産生することが認められている。さらに 、若干の乳酸菌はL(+)及びD(−)乳酸を相互変換することのできるラセマ ーゼ酵素を有する。L(+)及びD(−)乳酸の混合物は、以下のようにセット し作動させた固定化Leuconostoc mesenteroides亜種mesenteroides(DSM20 187)を含む反応器によって生産された。微生物は、MRS肉汁上で振とうフ ラスコ培養内で成育させ、例4i)に記述されているように固定化させた。当初 の反応器 内への細胞の担持は3.2×1010CFUであった。反応器は、シュクロース 2 0g/l;MgSO4・7H2O 0.1g/l;MnSO4・H2O 0.05g/ l;Na2HPO4 2g/l;酵母エキス 1g/l:pH6.5を含む原料を用 いて、15ml/時の名目流量で27℃で作動させた。作動6日目の流出物のpH は3.8であり、反応器を通過したときの原料の酸性化により酸生成は明白であ った。6日目に、流出物内のD(−)乳酸の濃度は0.7g/lであり、L(+) 乳酸の濃度は0.1g/lであった。DL乳酸を合わせた生産性は381mg/l・ (当初適用された細胞に基づき35.8mg/時/1011CFU)であった。 作動条件下でのこの微生物の1つの特徴は、作動中反応器内でバイオマスが著 しく増大するものの、流出物中ではバイオマスが受容可能な低レベルに維持され ていた(約3×104CFU/ml)という点にある。Leuconostoc mesenteroides亜種 、mesenteroides(DSM20187)が担持されたこの反応器内では酢酸は検 出されなかった。 ii)Lactococcus lactis亜種lactis(LMG7930)が担持された反応器内で (例4iii))、用いたHPLC検定において0.05g/lの検出限界より上で 低濃度の酢酸が検出された。この反応器内で生産されたL(+)乳酸及びナイシ ンに加えて、反応器の作動中早い時点での流出物中には、0.06g/lの酢酸 が発見された。 例9:デキストランの付加的生産 i)例8i)に記述されている既知のデキストラン生産者であるLeuconostoc me senteroides 亜種mesenteroidesを含む反応器は、 乳酸及び酢酸に加えてデキストランを生産した。反応器流出物の中のデキストラ ンの存在は、流出物の粘度を測定することによっては示すことができなかったが 、アルコールを使ってデキストランを沈降させ、特異的酵素を用いてデキストラ ンを加水分解し、以下のとおり糖を還元するための標準的DNS検定により放出 されたグルコースを測定することによって示すことができた。反応器流出物の3 0ml又は50mlのいずれかの試料を、5Mの酢酸ナトリウム(試料10ml中1ml )及びイソプロパノール(最終濃度67%)を室温で添加することによって処理 し、デキストランを沈降させ、このデキストランを遠心分離により回収した。上 清を捨て、10分間沸騰水浴中でのインキュベーションにより精製水中で再溶解 させ、上述のとおりアルコールで再沈降させることによって、その他の成分特に 糖が実質的に含まれない状態でデキストランペレットを洗浄した。最終的ペレッ トを煮沸により1mlの精製水中に溶解させ、0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液pH 5.3を1ml加えた。この溶液1mlを50℃で1時間デキストラナーゼ酵素調製 物(Amano)1μlと共にインキュベートし、デキストランを加水分解した。4m lのDNS試薬(1%の3,5−ジニトロサリチル酸、1.6%の水酸化ナトリ ウム及び30%のK−Na酒石酸塩)を添加することによって反応を終結させ、 混合物を6分間沸騰水浴中に置いた。同じDNS試薬パッチで既知のグルコース 濃度で作成された標準曲線と試料の540nmでの吸収度を比較することによって グルコース濃度を測定した。DNS試薬の後にデキストラナーゼが添加された点 を除いて、同じ要領でさらに1mlのデキストラン溶液について行なわ れた対照検定の吸収度によって、観察された値を補正した。反応器流出物中のデ キストランの濃度は作動6日目で0.04g/lであった。反応器の生産性は1 9.1mgデキストラン/l・時及び1.79mgデキストラン/時/1011CFUであった 。 ii)例9i)中に記述されている反応器を、パックベッドからの廃液が、ベッド を通過した直後の反応器流出物として収集されるような形で構成し作動させた。 デキストラン合成は、原料中のシュクロースに対する遊離細胞外酵素デキストラ ンスクラーゼの作用の結果であることがわかっていることから、デキストランス クラーゼ反応が反応器内の理想に近い条件下で起こるように、より長い時間を許 容することによってより大きいデキストラン生産を達成することが可能であった 。ガラスジャケットを備えた反応器の底面に置かれた固定化Leuconostoc mesent eroides 亜種、mesenteroides(DSM20187)の類似のベッドをもったもう 1つの反応器を作った。パックベッドからの流出物が反応器を通過して外の氷上 で収集される前に、約6.4時間ベッドより上の空間内にとどまるように、下か ら上へ原料を通過させることにより反応器を作動させた。反応器は基本的に、1 ×1010CFUの細胞を担持して例4i)及び8i)の中で記述されているとおり にセットした。供給は、13ml/時(約0.5ベッド体積/時)の名目流量で例 8i)に記述されたものと同じであった。上述の分析により測定したとおりの反 応器流出物内のデキストラン濃度は、0.09g/lで作動5日目と8日目の間 で一定であった。反応器生産性は39mgデキストラン/l・時及び11.7mgデ キストラン/時/1011CFUであった。 例10:反応器内通過中の尿素の除去/分解 1.12×1010CFUの担持でLactobacillus fermentum(ATCC9338) を用いて基本的に例4i)に従って作成した反応器を、名目でグルコース 20 g/l;尿素 4g/l;MgSO47H2O 0.1g/l;MnSO4・H2O 0 .05g/l;Na2HPO4 2g/l;酵母エキス 1g/l;pH6.5を含む 原料を用いて作動させた。原料を高圧滅菌した後、イソクラティク溶離液として Ca(NO32溶液を用いて、85℃でCa2+イオン交換カラム上でのHPLC 分析により測定した尿素濃度は2.7%であった。原料を21.0ml/時で反応 器内に通過させ、流出物中の尿素の濃度を上述のとおりHPLCにより測定した 。流出物中の尿素濃度は0.3g/lまで低下した。尿素除去速度は310ml/l ・時及び56mg/時/1011CFUであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 11/00 2121−4B C12P 7/56 9548−4B // C12P 7/04 9548−4B 7/54 9548−4B 19/08 7432−4B (C12N 9/20 C12R 1:645) (C12P 7/56 C12R 1:245) (C12P 7/56 C12R 1:225) (72)発明者 ヴィルヤバ,ティモ・タピオ フィンランド国、エフアイエヌ―02460 カントヴィク、コルサリンティエ 18 (72)発明者 ハモンド,ロジャー・チャールス フィンランド国、エフアイエヌ―02660 エスポー、ヘメーンキュルエンティエ 15

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.固定化された乳酸菌を用いるバイオリアクターにおいて、該細菌が連続した 多孔性のマトリクス又はくぼみ状もしくは網状多孔体粒子からなる実質的に非圧 縮性の担体表面に固定されており、該マトリクス又は粒子が、個々の微粒子又は 微小繊維間の少なくともいくつかの接点において、化学的に、接着により又は機 械的に結合された緩く結びついた複数の微粒子又は微小繊維の構造を有すること を特徴とするバイオリアクター。 2.微粒子又は微小繊維が、陰イオン交換能力を有する材料、好ましくは樹脂を 含むか又はこれらにより構成されていることを特徴とする、請求の範囲第1項に 記載のバイオリアクター。 3.担体が、セルロース又はレーヨン又はそれらの誘導体を含むことを特徴とす る、請求の範囲第1項又は第2項に記載のバイオリアクター。 4.担体が、ジエチルアミノエチレンで修飾されたセルロース(DEAEセルロ ース)であり、微粒子又は微小繊維がポリスチレンと凝集されていることを特徴 とする、請求の範囲第3項に記載のバイオリアクター。 5.担持能力(乾燥担体1gあたりの細菌細胞数)が、108〜1012であるこ とを特徴とする、請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載のバイオリア クター。 6.反応させるべき流体と担持された担体との接触を可能にする装置を含んでい ることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載のバイオ リアクター。 7.装置が、攪拌槽型反応器、バスケット型反応器、流動床式反応器、パックベ ッド式反応器及びフィルター式反応器から成る群の中から選択されることを特徴 とする、請求の範囲第6項に記載のバイオリアクター。 8.装置が、1本のカラム又は有利には平行な複数のカラムで構成されているこ とを特徴とする、請求の範囲第7項に記載のバイオリアクター。 9.装置に加えて、バイオリアクター内に圧送する前に乾燥担体を水和するため のコンテナ、バイオリアクター内で担体を殺菌するための殺菌用液が入ったコン テナ、殺菌後に担体を中和するための中和用液が入ったコンテナ、バイオリアク ター内に細菌を圧送して担体表面に細菌を固定させるための細菌懸濁液が入った コンテナ、処理すべき基質が入ったコンテナ、任意にはバイオリアクターからの 流出物が後反応を受ける後処理コンテナ、及び生成物の貯蔵用のコンテナが存在 することを特徴とする、請求の範囲第6項〜第8項のいずれか1項に記載のバイ オリアクター。 10.圧力放出弁及び/又は二酸化炭素を分離するための手段を含んでいることを 特徴とする、請求の範囲第1項〜第9項のいずれか1項に記載のバイオリアクタ ー。 11.乳酸菌の代謝の結果得られる生産物を製造するため及び原料流の組成を修正 するための、請求の範囲第1項〜第10項のいずれか1項に記載のバイオリアク ターの使用。 12.乳酸、好ましくはL(+)乳酸を生産するための、請求の範囲第11項に記 載のバイオリアクターの使用。 13.香料化合物を生産するための、請求の範囲第11項に記載のバイオリアクタ ーの使用。 14.バクテリオシンを生産するための、請求の範囲第11項に記載のバイオリア クターの使用。 15.乳酸以外の有機酸を生産するための、請求の範囲第11項に記載のバイオリ アクターの使用。 16.細胞外酵素を生産するための、請求の範囲第11項に記載のバイオリアクタ ーの使用。 17.乳酸菌を用いて得ることのできる重合体を生産するための、請求の範囲第1 1項に記載のバイオリアクターの使用。 18.尿素を除去するための、請求の範囲第11項に記載のバイオリアクターの使 用。 19.食料又は飼料製品から成る原料流の中で乳酸を生成させるための、請求の範 囲第12項に記載のバイオリアクターの使用。 20.飲料を酸性化するための、請求の範囲第11項又は第19項に記載のバイオ リアクターの使用。
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