【発明の詳細な説明】
二軸配向コポリエステルフィルム
本発明は二軸配向コポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明
は、高品質画像が得られかつすぐれた耐摩耗性を有する磁気記録媒体用基体とし
て適した二軸配向PENBBフィルムに関する。
ビデオテープおよびオーディオテープのような磁気記録媒体用基体として、二
軸配向ポリエステルフィルム、特にPETフィルムが一般に用いられている。良
好なスリップ性を記録媒体に与えるために、従来の基体はフィルム表面に突起を
形成する粒子を含有する。突起はフィルムの摩擦係数を減じて、良好なスリップ
性を媒体に与える。しかしながら、さらに薄いフィルムの製造を可能にして、こ
れを用いて製造されるカセットの記録容量を増加させる、フィルムの剛性(引っ
張りモジュラス)および機械的強度の改良がなお望まれている。同時に、寸法安
定性がさらに改良されるのが望ましい。
米国特許第4,720,412号には、特定の高さおよび数の突起を有する、
磁気記録媒体用基体として適した二軸配向フィルムが記されている。この米国特
許に記載のフィルムは、磁気層を施す工程、カレンダー工程、または完成したビ
デオテープのダビングもしくは予め録画されたテープを製造する工程において、
フィルムに接触するロールまたはガイドによりフィルム表面が引っ掻かれる可能
性があるという欠点を有する。これらの工程はさらに高速で行われるので、引掻
きに関する問題はより重大となっている。さらに、一般的な磁気記録テープはダ
ビングするとき画質が低下する欠点を有する。すなわち、ダビングしたテープの
S/N比(信号/ノイズ比)は低く不満足である。
従って、本発明の目的は、高速プロセスにおいても耐引掻き性がより高い(以
後、良好な耐引掻き性を有すると記す)、そしてダピングによる画像の劣化が少
ない(以後、良好なダビング性を有すると記す)、磁気記録媒体用基体に適した
フィルムを提供することである。さらに、基体フィルムは一般的なPETフィル
ムよりも寸法安定性であり、改良された機械的強度、特に、改良された剛性(引
っ張りモジュラス)を示さなければならない。
本発明はPENBBおよび不活性粒子よりなる二軸配向PENBBフィルムを
提供するものであって、このフィルムの少なくとも1つの表面は、不活性粒子の
存在によって形成された突起を有し、この表面の表面形状(topograph
0μm以下である。表面の摩擦係数および表面形状パラメーターは次式(1)お
よび(2)を満たしているのが好ましい:
(式中、yは摩擦係数であり、
β は突起の平均平面度であり、そして
σ は突起の高さ分布の標準偏差である。)
同様な表面形状はPETフィルムについてEP−A 0 311 426に記載
されている。
米国特許第3,008,934号には、酸誘導単位として4,4′−ビベンゾ
エート、および2,6−ナフタルジカルボキシレートを含む多量の他のジカルボ
キシレートを含有するコポリエステルが記載されている。また、これらのコポリ
エステルから製造された配向繊維およびフィルムが記載されているが、二軸配向
PENBBフィルムについては記載または示唆されていない。特に、PETフィ
ルムに較べて改良された剛性(引っ張りモジュラス)、MDおよびTDの両方に
おける引っ張り強さ、並びに熱安定性、UV安定性、疎水性、寸法安定性および
気体不透過性を有するこれらのフィルムについては、米国特許第3,008,9
34号に記載されていない。
本発明は、磁気記録媒体用基体に適した新規な二軸配向コポリエステルフィル
ムを提供するものである。磁気記録媒体用基体として本発明のPENBBフィル
ムを用いることによって、高速処理においても引掻きが減少し、ダビング媒体の
画質は従来の媒体のそれよりもよい。さらに、PENBBフィルムはその上に形
成される磁気層を劣化せず、記録媒体に良好なスリップ特性をもたらす。さらに
、基体フィルムは従来のポリエステルフィルムよりも、寸法安定性でありかつ改
良された機械的強度、特に改良されたモジュラスを示す。後者の特性はより薄い
フィルムの使用を可能にし、換言すると、カセットの記録容量を増加させる。従
って、本発明のPENBBを基体として用いることによって、すぐれた磁気記録
媒体を得ることができる。
本発明のコポリエステルフィルムはPENBBおよび不活性粒子よりなる。前
に述べたPENBBは酸誘導単位として少なくとも3モル%の式
の基を含むコポリエステルである。
10モル%を越えるテレフタル酸誘導基が共重合体中に存在する場合、ビベン
ゾエート誘導単位の含有率は少なくとも25モル%である。これらのコポリエス
テルのフィルムは未公開ドイツ特許出願P 4224161.8に述べられてお
り、これをここに参考として採用する。PENBBは少なくとも80モル%の酸
誘導単位(NBB)がビベンゾエート(20−80モル%、好ましくは40−6
0モル%)およびナフタレート(80−20モル%、好ましくは60−40モル
%)よりなるコポリエステルであるのが好ましい。残りの20モル%以下は他の
酸誘導単位よりなり、これらは例えば融点または結晶化動力学に影響を及ぼす。
少なくとも80モル%のジオール誘導単位は−O−(CH2)2−O−単位よりな
るのが好ましい。残りの20モル%以下は他のジオール誘導単位よりなり、これ
らは例えばまた融点または結晶化動力学に影響を及ぼす。少量の酸−および/ま
たはジオール−誘導単位の代わりにヒドロキシカルボン酸誘導単位、例えばp−
ヒドロキシ安息香酸から誘導されるものを用いるのも好ましい。
二軸配向PENBBフィルムの所望の機械的性質を得るためには、押し出し後
のPENBB重合体のIV値(対数粘度数)が>0.5dl/g、好ましくは>
0.55dl/gであるのがよい。
限定されないが、本発明のフィルムに含まれる不活性粒子の好ましい例は、コ
ロイドシリカから生じる本質的に球状のシリカ粒子、合成炭酸カルシウム粒子、
二酸化チタン(ルチル)粒子、耐熱タイプのカーボンブラック、および有機重合
体粒子、例えば架橋重合体粒子、特に架橋スチレン−ジビニルベンゼン微小球で
ある。粒子の平均直径d(μm)および含有率C(重量%)は限定されないが、
これらが次式(3)を満たすならは、引掻き抵抗はさらに改良され、より良好な
ダビング性が得られる。さらに、本発明で必要とされる隣接突起間の平均距離が
容易に得られる。
0.01/d≦C≦0.45/d (3)
2種類以上の粒子をフィルムに加えてもよい。平均直径が異なる2種類以上の
粒子を用いる場合、上記式(3)の平均直径dは粒子の全体の平均直径を示し、
そして式(3)の含有率Cは粒子の全体の含有率を示す。炭酸カルシウム粒子お
よび二酸化チタン粒子の場合、粒子の平均直径の好ましい範囲は0.2−0.7
μmである。
”非外部”粒子を不活性粒子として使用してもよい。”非外部”粒子とはここ
では、カルシウム化合物、マグネシウム化合物およびリチウム化合物よりなる群
から選はれる少なくとも1種の化合物を、結合剤を加えることによってPENB
Bの重縮合中にその場で沈殿することによって製造した粒子を意味する。燐およ
び微量の他の金属成分、例えば亜鉛、コバルト、アンチモン、ゲルマニウムおよ
びチタンは、本発明の有利な効果を損なわない量で非外部粒子中に存在してもよ
いことに留意すべきである。非外部粒子を添加不活性粒子と共に用いる場合、添
加不活性粒子の好ましい含有率は0.01−3.0重量%である。というのは、
この量は耐引掻き性および良好なダビング性を促進する量であるからである。
本発明の有利な効果が損なわれない限りは、本発明のフィルムは主として上記
PENBB組成物からなるが、他の重合体を20重量%まで配合してもよい。さ
らに、本発明のフィルムは無機および/または有機添加剤、例えば酸化防止剤、
熱安定剤、潤滑剤、紫外線吸収剤および結晶化成核剤を含有してもよい。
本発明のPENBBフィルムは二軸配向フィルムである。非配向フィルムおよ
び一軸配向フィルムは、耐引掻き性が乏しく、良好なダビング性が得られず、か
つ機械的性質がテープの取り扱いに対して不十分であるので好ましくない。
本発明のフィルムは、不活性粒子が存在するために突起が形成されている少な
くとも1つの表面を有する。突起を有する少なくとも1つの表面の表面形状パラ
らにより好ましくは0.25−0.62であり、式中、βは突起の平均平面度で
あり、σは突起の高さ分布の標準偏差である。突起の平均平面度および突起の高
さ分布の標準偏差は後で詳記するように測定する。フィルム両面の表面形状パラ
他方、これらが上記範囲より大きいと、耐引掻き性は低下する。
本発明のフィルムの少なくとも1つの面は摩擦係数yと表面形状パラメーター
は(4)および(5)、さらに好ましくは(6)および(7)を満たす:
フィルム両面の摩擦係数が式(1)で定義された上記範囲より小さいと、良好
なダビング性は得られない。他方、それが両面において式(2)で定義された範
囲より大きいと、耐引掻き性は減少する。
式(1)および(2)を満たす面上の、隣接突起間の平均間隔は20μm以下
、好ましくは17μm以下、さらに好ましくは15μm以下であるのが好ましい。
平均間隔が20μmより大きいと、耐引掻き性は減少する。隣接突起間の平均間
隔の下限はないが、突起間隔が1μm未満の面の形成は困難なので、約1μmが実
際的な下
限である。
耐引掻き性の観点から、0.08μm未満の高さを有する隣接突起の平均間隔
は好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下であり、そして0.08−
0.5μmの高さを有する隣接突起の平均間隔は好ましくは15−150μm、よ
り好ましくは20−100μmである。0.5μmより高い高さを有する突起の数
は、突起の全体数の好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満であることに
留意すべきである。。
さらに、耐引掻き性の観点から、直径が1μm未満の突起の平均の高さと、直
径が1−8μmの突起の平均の高さとの差は、好ましくは0.02−0.42μm
、より好ましくは0.05−0.30μmである。直径が8μmより大きい突起の
数は、突起の全体数に基づいて、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満
である。
良好な耐引掻き性および改良されたダビング性を有するには、本発明のフィル
ムの少なくとも1つの面のRz (5ヶ所の平均表面粗さ)は好ましくは60−1
90nm、より好ましくは70−160nm、さらにより好ましくは80−15
0nmである。
耐引掻き性およびダビング性をさらに改良するためには、本発明のフィルムの
少なくとも1つの面のRp/Ra比(平均の深さ/センターラインの平均表面粗さ
、RpおよびRaは共にnmで表す)は好ましくは4−25、より好ましくは6−
20、さらにより好ましくは9−15である。
耐引掻き性およびダビング性をさらに改良するためには、本発明のフィルムの
少なくとも1つの面の突起の有効空間体積ψは好ましくは1×103−5×105
、より好ましくは5×103−5×104である。
耐引掻き性およびダビング性をさらに改良するためには、本発明のフィルムの
少なくとも1つの面の不活性粒子の平均直径(d)に対するnmでの平均の高さ
(H)の比(H/d)は好ましくは0.1−0.5、より好ましくは0.1−0
.4である。
耐引掻き性およびダビング性をさらに改良するためには、本発明のフィルムの
少なくとも1つの面の突起の平均の高さは好ましくは40−130nm、より好
ましくは50−120nm)さらにより好ましくは50−100nmである。
本発明のフィルムの用途は限定されないが、本発明のPENBBフィルムは、
これを用いると処理工程での表面の引掻きが減少する、磁気記録媒体用の基体と
して、特に今やダビングされることがますます増加しているビデオテープ用の基
体として、ますます普及してきた予め録画されたビテオテープとして有用である
。さらに、1つの面のみが上記のパラメーターを有する本発明のフィルムを使用
するとき、上記パラメーターを有する面をランニング面として使用するのが好ま
しい(すなわち、磁気記録媒体では、磁気層と反対の面、そして他の用途では、
プリントおよび層の塗布のような処理が行われていない面)。
次に本発明のフィルムの製造方法について記す。しかしながら、製造方法は後
記の方法に限定されないことに留意すべきである。
不活性粒子はPENBBを形成するための重合の前、中、後に加え得る。本発
状パラメーターとの間の関係を得るには、不活性粒子をPENBBのジオール成
分、例えばスラリー状のエチレングリコールに加えるのが好ましい。この場合、
不活性粒子を含有するジオール成分スラリーを、絶対濾過精度が0.5−4.5
μm、より好ましくは1.5−3μmのフィルターに通して濾過するのが好ましい
。
メーターとの間の関係、および隣接突起間の平均距離に対して所望の値が得られ
るように不活性粒子の含有量を調整するには、粒子の含有率が高い、好ましくは
粒子含有率が1−5重量%の、PENBBに基づくマスターペレットを製造し、
次にフィルム形成の間にマスターペレットを希釈するのが好ましい。不活性粒子
がコロイドシリカから生じる本質的に球状のシリカ粒子である場合、本発明で定
の間の関係、および隣接突起間の平均の距離を得るには、エチレングリコールの
ようなジオール成分のスラリーを140−200℃、より好ましくは180−2
00℃で30分間ないし5時間、より好ましくは1−3時間、加熱するのが好ま
摩擦係数yと表面形状パラメーターとの間の関係、および隣接突起間の平均の距
離を得るには、スラリーのナトリウム含有率を0.5重量%以下、より好ましく
は0.2重量%以下に維持し、そしてスラリーのpHを7−10に維持するのが
好ましい。不活性粒子がシリカ以外の粒子、例えば炭酸カルシウムおよび二酸化
数yと表面形状パラメーターとの間の関係、および隣接突起間の平均の距離を得
るには、スラリーに燐酸アンモニウムを粒子の重量に対して0.5−2.0重量
%の量で加えるのが好ましい。
非外部粒子を用いる場合、非外部粒子は、結合剤として、カルシウム化合物、
マグネシウム化合物、マンガン化合物およびリチウム化合物よりなる群から選ば
れるグリコールに可溶性の少なくとも1種の化合物を、好ましくは燐の酸および
/またはエステル化合物と共に、ジカルボン酸およびジオールの直接エステル化
の後のPENBB重縮合の間、またはジカルボン酸成分のアルキルエステルとジ
オールとのエステル交換反応後の重縮合の間に加えることによって発生させうる
。ここで使用するのが好ましいカルシウム、マグネシウム、マンガンおよびリチ
ウムの化合物には、グリコールに可溶性の、無機酸塩、例えばハロゲン化物、硝
酸塩および硫酸塩;有機酸塩、例えば酢酸塩、シュウ酸塩および安息香酸塩;水
素化物;およびグリコールに可溶性の酸化物、並びにこれらの混合物が含まれる
。ここで使用しうる燐化合物の好ましい例は、燐酸塩、亜燐酸酸およびホスホン
酸、並びにこれらのエステルおよび部分エステルである。
規定量の不活性粒子を含有するペレット(より好ましくは、大量の粒子を含有
するマスターペレットおよび実質的に粒子を含まないPENBBペレットの混合
物)を十分に乾燥した後、ペレットを押し出し機に供給し、そして融点(Tm)
とTmより60℃高い温度との間の温度でスロットダイからシート状に押し出す
。シートを冷却し、キャスティングロール上で固化して、非配向非晶質フィルム
を
状パラメーターとの間の関係、および隣接突起間の平均の距離を得るには、非配
向フィルムの厚さに対するダイスリットの幅の比は好ましくは5−30、より好
ましくは8−20である。
次に、非配向フィルムを二軸延伸することによって二軸配向する。2つ以上の
連続二軸延伸段階または1段階の同時二軸延伸のいずれを用いてもよい。しかし
形状パラメーターとの間の関係、および隣接突起間の平均の距離を得るには、縦
方向の延伸をまず行い、次に横方向の延伸を行う、連続二軸延伸を用いるのが好
ましいことに留意すべきである。必ずしも必要ではないが、延伸操作は、縦方向
の延伸を3段階以上、好ましくは4段階以上で行って、2.5−5.5の縦方向
の延伸比を得るように実施してもよい。さらに、本発明で定義した表面形状パラ
隣接突起間の平均の距離を得るには、縦方向の第1の延伸をPENBBのガラス
転移温度(Tg)マイナス200℃の温度とPENBBのガラス転移温度プラス
20℃の温度との間の温度で行い、そして第1の延伸より高い温度でその後の延
伸を行うのが好ましい。延伸速度は5,000−50,000%/分であるのが
好ましい。横方向の延伸方法として、テンターを通常用いる。横方法の延伸比は
2.5−5.0倍が好ましい。横方向の延伸速度は1,000−20,000%
/分が好ましい。二軸延伸は、複屈折が<0.2、好ましくは<0.1となって
、確
光学ベンチまたはコンペンセイターのような一般的な装置で測定したような、フ
ィルム面の最大屈折率と最小屈折率との差の絶対値である。
次に、フィルムを熱硬化する。熱硬化は、PENBBコポリエステル組成物の
コールド結晶化温度(Tcc)と溶融温度(Tm)との間の温度で0.5−60秒
間行うのが好ましい。熱硬化の間に、フィルムを横方向に本来の長さの1.05
−1.3倍、特に1.05−1.2倍延伸するのが、本発明で定義した隣接突起
間の平均の距離を得るのに有用である。物理的性質の測定方法および効果の評価方法
本発明に関する物理的性質の測定方法および効果の評価方法は次の通りである
:
(1)粒子の平均直径
PENBBをフィルム試料から、フィルムをプラズマ処理することによって除
いた。残留物をエタノールに分散し、そして遠心沈降によって粒子の容量平均直
径を測定する。
(2)粒子の含有率
PENBBを溶解するが、粒子を溶解しない溶剤、例えばヘキサフルオロイソ
プロパノールおよびペンタフルオロフェノールの50/50混合物を、PENB
Bフィルムに加え、混合物を加熱してコポリエステルを溶解する。得られた混合
物を遠心分離し、得られた粒子をアセトンのような揮発性溶剤で洗浄し、真空中
で乾燥する。粒子をDSC(差動走査熱量計)を使用して差動走査分析を行う。
PENBBコポリエステルに相当する溶融ピークが観察されるならば、追加の溶
剤を粒子に加え、得られた混合物を加熱し、その後遠心分離する。溶融ピークが
もは観察されないならば、残りの粒子が分離された粒子である。遠心分離の2回
の繰り返しで通常は十分である。粒子の含有率は、フィルムの全重量に対する、
このように分離された粒子の全重量の比率(重量%)と定義する。
(3)ガラス転移温度Tgおよびコールド結晶化温度Tcc
ガラス転移温度Tgおよびコールド結晶化温度TccはDSCを用いて次のよう
に測定する:
閉したパンの中の10mgの試料をDSC中に置き、そしてPENBBコポリ
エステルの融点より40℃高い温度で溶融し、次に、液体窒素中で急冷する。急
冷試料を10℃/分の速度で加熱し、ガラス転移温度Tgを測定する。加熱はガ
ラス状状態から結晶化熱の発生のピークを測定するまで続ける。このようにして
測定したピークをコールド結晶化温度Tccと定義する。
(4)表面粗さRa、RzおよびRpは、次の条件を用いて市販の表面粗さ計を使
用して測定する
針先の半径: 0.5μm
針の荷重: 5mg
測定部分の長さ: 1mm
カットオフ値: 0.08mm
RaはDIN4768に従って測定する。
RzおよびRpは次式に従って計算する:
Rz=(3番目に高いピークの高さ)−(3番目に深い谷の深さ)
Rp=(最高ピークの高さ)−(センターライン値)
(5)突起の有効空間体積ψ
表面粗さ曲線は(4)と同じ方法で得る。5nmの間隔で、互いに平行なレベ
ルをカウントするピークおよびセンターラインを、表面粗さ曲線に重ねる。レベ
ルをカウントする各ピークに対し、測定長さにおいてそれに達するまたは交差す
るピークの数を測定する。各レベルnに対して、それと交差するピークの数はP
C(n)である。レベルmはPC(m)=Oである第1レベルである。有効空間
体積ψは次のように定義する:
(6)表面突起の平均の高さ、高さ分布の標準偏差、平面度、および直径
走査電子顕微鏡を使用して、突起の高さを、フィルム表面を走査することによ
って測定する。フィルム表面の平面領域はゼロに設定する。このようにして測定
した突起の高さを画像処理システムに256の目盛りのグレー値として移し、表
面突起の画像を画像処理システム上に再構築する。円の半径は10以上の目盛り
を有する各突起の領域から計算する。この領域は目盛りを2つの値に変換するこ
とによって得る。このようにして計算した円の半径は突起の平均直径、d(nm
)として定義する。それぞれ2つの値で変換された突起部分の最高値は、突起の
高さとして定義し、そして各突起についてのこの高さを測定する。この測定は異
なる領域で500回繰り返す。高さが200nm以上の突起については、平均高
さH(nm)および高さの分布の標準偏差σ(nm)は、突起の高さ分布がガウ
ス分布であると仮定して最小二乗回帰線によって計算する(その中心のガウス分
布
は高さゼロの地点である)。突起βの平面度は、突起の平均直径(d)対突起の
平均高さ(H)の比d/Hとして定義する。
(7)摩擦係数y
市販のテープランニングテスターを使用して、試料テープを20℃、60%R
Hで走行し、摩擦係数yを次式に従って計算する:
y=(1/Π)ln(T2/T1)
(式中、T1は入り口側の張力であり、T2は出口側の張力である)。ガイドの直
径は6mmであり、ガイドの材料の表面粗さは0.2Sであり、巻き取り角度は
Πradであり、巻き取り速度は3.3cm/分である。
(8)対数粘度数(IV)(dl/gで表す)
対数粘度数は次式に従って、25℃で測定したペンタフルオロフェノール/ヘ
キサフルオロイソプロパノール中の溶液粘度から計算する:
(式中、ηrel=(溶液粘度/溶剤粘度)であり、Cは溶剤1dl(100ml
)当たりの溶解重合体の重量(g/dl、通常は0.1または0.2g/dl)
である。溶液粘度およびおよび溶剤粘度は、Ubbelohde粘度計を使用し
て測定する。
(9)ダビング
次の組成を有する磁性顔料被覆をグラビアロール塗布機でフィルムに塗布し、
被覆磁性顔料を磁気的に配向し、被覆を乾燥する。磁気フィルムを温度70℃、
線圧200kg/cmで小さい試験カレンダー装置(鋼ロール/ナイロンロール
、5段階)を用いてカレンダー処理し、次に、70℃で48時間硬化する。被覆
フィルムを1/2インチ(1.25cm)に細長く切り、パンケイクを製造する
。このパンケイクから長さ250mのテープを取り、ビデオテープリコーダー(
VTR)カセットにセットして、VTRテープを製造する。
(磁性顔料被覆の組成、重量部)
Co含有F2O3(BET値 50m2 /g): 100
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体: 10
ポリウレタンエラストマー: 10
ポリイソシアネート: 5
レシチン: 1
メチルエチルケトン: 75
メチルイソブチルケトン: 75
トルエン: 75
カーボンブラック: 2
ラウリン酸: 1.5
このように製造したテープに、市販のテレビ試験波発生機からの100%クロ
ーマ信号を家庭用VTRを使用して録画する。再生信号のクローマS/Nを市販
のカラービデオノイズ測定装置を使用して測定し、この値をAとする。また、上
述のような同じ信号が録画されているテープのパンケイクを、同種のテープの別
のパンケイク(あらかじめ録画された信号のない)に、磁場録画タイプの高速プ
リントシステムを使用してダビングし、そしてダビングテープのクローマS/N
を上述のように測定し、その値をBとする。ダビングによるクローマS/N(A
−B)の減少が4.0dB未満であると、テープは良好なダビング性を有すると
見なされ、これが4.0dB以上であると、テープのダビング性は悪いと見なさ
れる。
(10)耐引掻き性
上記のテープを市販の高速テープランニングテスターで繰り返し走行する(走
行速度 800m/分、走行回数 10回)。試験後、フィルムを顕微鏡で観察
して、掻き傷が形成されているかどうかチェックする。掻き傷がほとんどないな
らばフィルムの耐引掻き性は高いと見なし、テープの幅当たり少なくとも3つの
掻き傷が形成されているならば、フィルムの耐引掻き性は低いと見なす。
次の実施例は本発明を説明するためのものであり、その範囲を限定するもので
はない。実施例1
平均直径0.3μmのコロイドシリカを含むエチレングリコールスラリーを製
造する。スラリーのナトリウム含有率を、シリカ粒子の重量に対して0.1重量
%に調整する。エチレングリコールスラリーを190℃で1.5時間加熱した後
、ジメチルナフタレート/シメチル4,4′−ビベンゾエート(50:50モル
比)でエステル交換反応を行う。反応生成物を3μmの絶対濾過精度を有するフ
ィルターを通して濾過する。濾過したスラリーを重縮合反応して、PENBBの
マスターペレットを製造する。重縮合反応時間は、重合体のIVが0.9dl/
gとなるよう調節する。これと平行して、一般的な方法によって、IVが1.0
dl/gのPENBBのペレットを製造し、次に、上記のマスターペレットとシ
リカ粒子含有率が0.5重量%となるような比率で混合する。次いで、混合ペレ
ットを減圧(3トル)下、180℃で3時間乾燥する。得られたペレットを押し
出し機に供給し、310℃で溶融する。溶融重合体をスロットダイを通して押し
出し、押し出しシートを表面温度20℃のキャスティングドラム上で静電気によ
り固定(pin)して冷却し、そしてシートを固化して非配向フィルムを得る。
非配向フィルムの厚さに対するダイスリットの隙間の幅の比は10である。非配
向フィルムを縦方向に本来の長さの4.5倍に延伸する。この配向は2対のロー
ルの周速の差を用いて4段階で行う。延伸温度は120−135℃である。この
ようにして得た一軸配向フィルムを次に、130℃のテンターを使用して、配向
速度2000%/分で、横方向に本来の長さの4.0倍に延伸する。得られたフ
ィルムを250℃にて5秒間熱硬化し、同時にフィルムを横方向に本来の長さの
107倍配向して、厚さ10μmの二軸配向フィルムを得る。フィルムの耐引掻
き性およびダビング性はすぐれている。フィルムの両面は同じパラメーターを有
する。従来法で製造されたPETフィルムより改良された機械的および寸法安定
性は表1から分かる。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年9月22日
【補正内容】原翻訳文の請求の範囲と差し替える
請求の範囲
1. 本質的にPENBBおよび不活性粒子からなる少なくとも1層よりなる二
軸配向PENBBフィルムであって、不活性粒子の存在によって形成された突起
を有する少なくとも1つの表面を有し、表面上の隣接突起間の平均間隔か20μ
m以下である、上記の二軸配向PENBBフィルム。
平面度であり、σは突起の高さ分布の標準偏差である)が0.1−0.7である
、請求項1の二軸配向PENBBフィルム。
よび2を満たしている、請求項1または2の二軸配向PENBBフィルム:
(式中、yは摩擦係数である)。
4. 高さが0.08μm未満の隣接突起の平均間隔が10μm以下であり、高
さが0.08−0.5μmの隣接突起の平均間隔が15−150μmであり、直
径1μm未満の突起の平均高さと直径1−8μmの突起の平均高さとの差が0.
02−0.42μmであることを特徴とする、請求項1または2の二軸配向PE
NBBフィルム。
5. 不活性粒子が有機重合体粒子であることを特徴とする、請求項1または2
の二軸配向PENBBフィルム。
6. 不活性粒子が架橋重合体粒子であることを特徴とする、請求項1または2
の二軸配向PENBBフィルム。
7. 不活性粒子が架橋スチレン−ジビニルベンゼン共重合体微小球であること
を特徴とする、請求項1または2の二軸配向PENBBフィルム。
8. 不活性粒子が無機粒子であることを特徴とする、請求項1または2の二軸
配向PENBBフィルム。
9. 不活性粒子がコロイドシリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタンおよびカー
ボンブラックよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1または2の二
軸配向PENBBフィルム。
10. 複屈折が<0.2であり、PENBBのIV値が>0.5dl/gであ
る、請求項1または2の二軸配向PENBBフィルム。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
B29K 67:00
105:16
B29L 7:00
9:00
C08L 67:00
(72)発明者 チュー,エ−ウォン
アメリカ合衆国ニュージャージー州07869,
ランドルフ,ラドトケ・ロード 130
(72)発明者 フリント,ジョン・アンソニー
アメリカ合衆国ニュージャージー州07922,
バークリー・ハイツ,レナピ・レーン
150
(72)発明者 クーマン,ボド
ドイツ連邦共和国デー―6258 ルンケル
5,リンデンシュトラーセ 5