JPH08505187A - チタン合金の脆性を低下させる熱処理方法 - Google Patents

チタン合金の脆性を低下させる熱処理方法

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Abstract

(57)【要約】 非燃焼Ti−V−Cr合金であって、ガスタービンエンジンのコンプレッサに利用した場合の脆化し易さを低減するような熱処理を施した合金。本発明の熱処理サイクルは、α相溶体化温度より低い温度での温度保持過程と、より低い温度までゆっくりと冷却する過程と、第2の過程としてさらに低い温度での温度保持過程と、さらに低い温度まで冷却する第3の過程と、第3の温度での温度保持過程とからなる。本発明の概念に含まれる他の適当な熱処理サイクルとして、α相溶体化温度より低い温度での温度保持を1段階だけ行うサイクルと、α相溶体化温度より低い温度での温度保持が2段階で、高温から低温への冷却過程があるサイクルと、温度保持過程が無くα相溶体化温度より低い温度での連続的な冷却過程よりなるサイクルとがある。

Description

【発明の詳細な説明】 チタン合金の脆性を低下させる熱処理方法産業上の利用分野 本発明は、チタン合金の熱処理、より明確には、脆化することなく使用できる 温度を高め得る非燃焼Ti−V−Cr合金の熱処理に関する。背景技術 純チタンは、室温では結晶構造がαで存在するが、883℃(1621°F) においてβに変態する。変態点を下げてβ相を安定化する合金元素には様々なも のがある。チタン合金の中には、十分な量のβ安定化元素が配合されているため 広い温度領域に於いてβ相を大部分残留させることができる、β型チタン合金と よばれているものがある。このβ型チタン合金に関しての話題は、(”The Beta Titanium Alloys,”by F.H.Froes et al.,Journal of Meta1s,1985,pp.28,37 )に於いて論じられている。 チタン合金は、ガスタービンエンジンとりわけガスタービンコンプレッサのタ ービン翼、翼板及び周辺の部材を含む、航空宇宙分野への応用に関して、強度と 低密度とを兼ね備えた理想的な特性をもつ。しかしながら、チタンは非常に反応 しやすい金属であり、ガスタービンエンジンのコンプレッサ内の条件下では持続 的な燃焼が起こりうる。こういったコンプレッサにおいては、約454℃(85 0゜F)の温度下、約2.75MPa(400PSI)の圧力 で空気が圧縮されている。空気は秒速137m(秒速450フィート)でコンプ レッサの中を通過するのである。このような条件の下では、一般的な市販のチタ ン合金では、一旦点火されると手に負えない燃焼を引き起こすのである。点火は 摩擦によって起き得るが、この摩擦は外部からなにかを取り込んだり、或いは機 械的な故障によって、回転するタービン翼と固定した部材とが互いに接触し、か つ少なくともいずれか一方がチタン合金製の場合に発生するものであり、両者と もチタン合金製の部材の場合は特にやっかいなことになる。チタン部材がこすり 合ったりしないよう出来うる限りの対策を講じてきたガスタービンエンジンの設 計者にとっては、この燃焼はとりわけ大きな関心事である。 ある種の精巧なβ型チタン合金、即ち基本的にチタン−バナジウム−クロム状 態図において点Ti−22V−36Cr、Ti−40V−13Cr、Ti−22 V−13Cr、(ここに数値は、特にことわりが無い限りすべて重量%を表す) に囲まれた領域内にあるものは、作動中のガスタービンエンジン内における燃焼 に対して高水準の耐性(以下非燃焼と呼ぶ)を持つことが示されてきた。これら の合金は、高温下でのクリープ強さについても、市販の合金で最強のもの(即ち Ti−6−2−4−2)を上回る強度を示す。4つ(或いはそれ以上)の要素か ら成る様々な合金元素の組み合わせを基本的組成に加味する事によって、合金 の特性を変化させることもできよう。 特別なチタン合金で、名目上の組成がV35%、Cr15%、残りがTiとな っているものは、歴史的にはガスタービンにおいて完全に固溶化された(β)状 態で利用されてきた。これも454℃(850゜F)以上で長期間使用すると、 α相が概ね連続的な薄膜状に結晶粒界に析出し、合金を脆化して寿命を縮めてし まうのである。 長期間高温下で使用しても脆化しない、非燃焼チタン合金が必要である。 さらに必要なのは、長期間高温下にさらされることによる脆化に対する耐性を 与える非燃焼チタン合金を熱処理する方法である。発明の開示 本発明の脆化しない材料は、図1に示される領域によって定義される組成をも つ非燃焼Ti−V−Cr合金であり、それに普通のガスタービンエンジンの作動 状態に於ける有害な粒子の析出を防止するような熱処理を施す。 本発明の工程は、初めのステップとして、材料にα相の溶体化温度以上の熱を β相に完全に変態するだけの十分な時間施し、次にα相の溶体化温度以下での熱 処理を施して、一般的には結晶粒界に存在する安定したα相粒子を粗粒の形で析 出させる。 熱処理の最初の工程は、α相溶体化温度より約28℃(50゜F)高い温度に 、約1時間から約10時間(一般 的に望ましくは1時間程度)材料の温度を保つことである。 α相溶体化温度以下での熱処理には恒温型とランプ型(徐冷型)とがある。恒 温型熱処理はα相溶体化温度より約83℃(150゜F)低い温度で約2時間行 い、安定したTiO2の形をもつα相の粗粒を析出させる。 最も好的なランプ型熱処理では、α相溶体化温度より低い第1の温度に一定時 間保ち、その後十分に時間をかけてより低い第2の温度まで冷却し、その温度で 再び一定時間保ち、更に第3の温度まで冷却して、その温度で一定時間保った後 、室温まで冷却する。ランプ型熱処理は、初めにα相の粗粒を析出させ、この粗 粒を温度の低下と保持の処理サイクルの過程で粗大化させる。 ランプ型熱処理は溶体化温度以下の連続した3つの保持温度を使用するが、温 度保持時間の伸縮調整や、第1の保持温度から第2の保持温度に冷却する段階の 途中に一定温度保持の過程を介在させることなく本発明の過程を効率的に実施す ることもできる。538〜704℃(1000〜1300゜F)の温度領域に長 時間さらされることで材料の特性が改善される傾向があるが、最適な処理サイク ルに於いてその作業に要するコストも考慮に入れなければならない。 このような本発明の特徴や利点は、他の特徴や利点も含めて、発明実施の最適 形態に述べるように、明白である。図表と照らし合わせて読んでいただきたい。図面の簡単な説明 図1は、等温断面におけるTi−V−Cr状態図であり、図中に本発明の非燃 焼合金の組成領域を示している。 図2は、固溶状態のPWA1274のミクロ組織の顕微鏡写真である。 図3は、空気中で500時間538℃(1000゜F)にさらされた後の、固 溶状態のPWA1274の顕微鏡写真である。 図4は、本発明の処理工程を経たPWA1274の顕微鏡写真である。 図5は、PWA1274に本発明に従った様々な熱処理サイクル施して、次に 538℃(1000゜F)に0〜500時間さらした後の、室温での伸び試験の 結果を示したグラフである。発明実施の最適形態 チタン合金でVを35%、Crを15%含有するものは、図1に描かれている 非燃焼合金の組成領域の中に含まれており、以下PWA1274と呼ぶものとす る。PWA1274は、ガスタービンエンジンのコンプレッサに利用され、高い 非燃焼性を示す。これは普通固溶状態で使用され、ミクロ組織は図2に示す通り である。固溶状態にする処理は、α相溶体化温度788℃(1450°F)より 概ね28℃(50゜F)高い約816℃(1500゜F)で約1時間実施される 。 454℃(850°F)以上で長期間にわたって使用される場合は、α相が薄 膜状に結晶粒界に析出し、合金の延性を顕著に低下させる。538℃(1000 ゜F)の空気中に500時間さらした後の完全固溶状態の合金の延性は、室温で 測定したとき、初期値の約20%から約2%に低下する。このように一定時間高 温にさらすことが合金のミクロ組織に及ぼす影響が、図3に示されている。 固溶状態にある概ねβ相の材料に対して、α相溶体化温度よりは低いが普通に 使用される温度より高い温度での熱処理を施すことによって、安定したTiO2 の形をもつα相の粗粒が結晶粒界に析出する。このα相の粒子は、前記の結晶粒 界の薄膜ほど有害ではない。図4に示されているのは、熱処理を施された材料の 典型的なミクロ組織である。 本発明の熱処理工程においては、材料が完全固溶状態にあることが必要条件で ある。α相溶体化温度の恒温型熱処理は、溶体化温度より約83℃(150゜F )低い温度で行われる。α相溶体化温度は材料の酸素含有量に強く依存するので 、溶体化温度以下での熱処理の温度を設定するために、一般的には溶体化温度を 決定しておかねばならない。必要な時間は約1時間半から約10時間の間であり 、一般的に2時間程度が望ましい。溶体化温度以下での処理温度から室温への冷 却速度は、結晶粒界への析出を避けるため、少なくとも1時間当たり56℃(1 00゜F)は必要である。 ランプ型熱処理工程の最も望ましい実施様態に於いては、溶体化温度より約8 3℃(150゜F)低い温度で約1時間から10時間、望ましくは2時間程度の 恒温処理を行い、1時間当たり約14〜56℃(25〜100゜F)、望ましく は約42℃(75゜F)の冷却速度で、初めの温度より約55℃(100゜F) 低い温度まで冷却し、第2の温度保持は約1時間から約10時間、望ましくは6 時間程度行い、第2の温度より約111℃(200゜F)低い第3の温度まで冷 却して、約1時間から約10時間、望ましくは6時間程度の温度保持を行い、室 温まで冷却する。 図5は、本発明に従った様々な熱処理サイクルによる溶体化温度以下での熱処 理を経た、PWA1274の伸び試験の結果である。固溶状態の材料に適用した 各熱処理サイクルは表1に示す。 表1 A 704℃(1300゜F)で2時間、1時間当たり42℃(75°F)で6 49℃(1200゜F)まで冷却し6時間、1時間当たり42℃(75°F)で 538℃(1000゜F)まで冷却し6時間、1時間当たり56℃(100゜F )以上で室温まで冷却。 B 704℃(1300°F)で2時間、1時間当たり14℃(25°F)で5 66℃(1050゜F)まで冷却し1時間、1時間当たり56℃(100゜F) 以上で室温まで冷却。 C 704℃(1300゜F)で2時間、1時間当たり14℃(25゜F)で6 21℃(1150°F)まで冷却し1時間、1時間当たり56℃(100゜F) 以上で室温まで冷却。 D 704℃(1300゜F)で1時間、1時間当たり56℃(100゜F)以 上で室温まで冷却。 E 649℃(1200゜F)で1時間、1時間当たり56℃(100゜F)以 上で室温まで冷却。 F 固溶状態のまま(816℃または1500゜Fで1時間)。 どの熱処理サイクルによっても、熱処理後の材料では固溶状態のままの材料に 比べて延性が改善を示している。たとえ538℃(1000゜F)にさらす処理 を施さなかった材料についても、熱処理した材料は固溶状態のものに比べて延性 が改善しているのである。これはβ相に溶解している酸素が、熱処理サイクルの 過程で結晶粒界に移動し、そこでα相若しくはTiO2の粒子として析出する為 である。β相における溶解した酸素含有量の減少は、合金の延性の増大をもたら す。 固溶化熱処理された材料の延性は、538℃(1000゜F)で500時間さ らした後約2%の測定値の低下を示す一方、溶化温度以下で恒温型熱処理された ものは、同様の処理の後約5%の延性の低下を示す。このことは、β相に溶解し た酸素の除去を制御しつつ行うことが有益であることを明示している。 固溶化熱処理された材料を高温にさらすとき、前もってランプ型熱処理サイク ルを適用しておくことによって、延性の大幅な改善もたらすことができる。ラン プ型の冷却処理サイクル及び第2の温度保持といった、追加的な処理時間を設け ることによって、大部分の溶解した酸素を結晶粒界に移動させ得ることは明らか である。 621℃(1150゜F)まで冷却、保持のランプ型処理を行った場合、53 8℃(1000゜F)で500時間さらした後約8.5%の伸張度を示す結果と なるが、これ は同じ条件で恒温型熱処理を施した後の伸張度に対して注目すべき改善を示して いる。566℃(1050゜F)まで冷却、保持のランプ型処理を行った場合、 上記と同様の高温下にさらした後約11.5%の伸張度を示す結果となるが、こ れは621℃(1150゜F)まで冷却、保持のランプ型処理を行った材料の伸 張度に対して約30%の改善を示している。この改善の理由は、熱処理温度域に 於ける追加的な時間、つまり566℃(1050゜F)(1時間当たり14℃若 しくは25°F)まで冷却する場合は、621℃(1150゜F)まで冷却する 場合よりもサイクルの冷却部分で4時間長くかかる為である。 3段階ランプ型熱処理では、704℃(1300°F)で2時間保ち、冷却速 度42℃(75゜F)で649℃(1200゜F)まで冷却して6時間保ち、冷 却速度42℃(75゜F)で538℃(1000゜F)まで冷却して6時間保ち 、室温まで冷却する。図5に示したように、この処理を施した材料の伸張度は、 538℃(1000゜F)で500時間さらした後約15%であって、2段階の 処理の場合に比べて改善されている。3段階熱処理に於ける材料の延性度の増加 は、材料が熱処理サイクルのなかで高温下に一層多くさらされている為であると みられる。 本発明の詳細な実施様態について例示及び説明してきたが、これは、請求の範 囲に記載されている発明の神髄及び技術的視点を逸脱することなく、種々に変更 、省略、追加 が可能なことが当業者には容易に理解される。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年12月10日 【補正内容】 明細書 チタン合金の脆性を低下させる熱処理方法産業上の利用分野 本発明は、チタン合金の熱処理、より明確には、脆化することなく使用できる 温度を高め得る非燃焼Ti−V−Cr合金の熱処理に関する。背景技術 純チタンは、室温では結晶構造がαで存在するが、883℃(1621゜F) においてβに変態する。変態点を下げてβ相を安定化する合金元素には様々なも のがある。チタン合金の中には、十分な量のβ安定化元素が配合されているため 広い温度領域に於いてβ相を大部分残留させることができる、β型チタン合金と よばれているものがある。このβ型チタン合金に関しての話題は、(”The Beta Titanium Alloys,”by F.H.Froes et al.,Journal of Metals,1985,pp.28,37 )に於いて論じられている。 チタン合金は、ガスタービンエンジンとりわけガスタービンコンプレッサのタ ービン翼、翼板及び周辺の部材を含む、航空宇宙分野への応用に関して、強度と 低密度とを兼ね備えた理想的な特性をもつ。しかしながら、チタンは非常に反応 しやすい金属であり、ガスタービンエンジンのコンプレッサ内の条件下では持続 的な燃焼が起こりうる。こういったコンプレッサにおいては、約454℃(85 0゜F)の温度下、約2.75MPa(400PSI)の圧力 で空気が圧縮されている。空気は秒速137m(秒速450フィート)でコンプ レッサの中を通過するのである。このような条件の下では、一般的な市販のチタ ン合金では、一旦点火されると手に負えない燃焼を引き起こすのである。点火は 摩擦によって起き得るが、この摩擦は外部からなにかを取り込んだり、或いは機 械的な故障によって、回転するタービン翼と固定した部材とが互いに接触し、か つ少なくともいずれか一方がチタン合金製の場合に発生するものであり、両者と もチタン合金製の部材の場合は特にやっかいなことになる。チタン部材がこすり 合ったりしないよう出来うる限りの対策を講じてきたガスタービンエンジンの設 計者にとっては、この燃焼はとりわけ大きな関心事である。 旧西ドイツ特許第DE−A−3720111号に記載のように、ある種の精巧 なβ型チタン合金、即ち基本的にチタン−バナジウム−クロム状態図において点 Ti−22V−36Cr、Ti−40V−13Cr、Ti−22V−13Cr、 (ここに数値は、特にことわりが無い限りすべて重量%を表す)に囲まれた領域 内にあるものは、作動中のガスタービンエンジン内における燃焼に対して高水準 の耐性(以下非燃焼と呼ぶ)を持つことが示されてきた。これらの合金は、高温 下でのクリープ強さについても、市販の合金で最強のもの(即ちTi−6−2− 4−2)を上回る強度を示す。4つ(或いはそれ以上)の要素から成る様々 な合金元素の組み合わせを基本的組成に加味する事によって、合金の特性を変化 させることもできよう。 特別なチタン合金で、名目上の組成がV35%、Cr15%、残りがTiとな っているものは、歴史的にはガスタービンにおいて完全に固溶化された(β)状 態で利用されてきた。これも454℃(850゜F)以上で長期間使用すると、 α相が概ね連続的な薄膜状に結晶粒界に析出し、合金を脆化して寿命を縮めてし まうのである。 長期間高温下で使用しても脆化しない、非燃焼チタン合金が必要である。 さらに必要なのは、長期間高温下にさらされることによる脆化に対する耐性を 与える非燃焼チタン合金を熱処理する方法である。 名目上の組成がTi−22V−36Cr、Ti−40V−13Cr、Ti−2 2V−13Crの3点に囲まれた領域内にあるTi−V−Cr三元系の非燃焼チ タン合金の、脆化に対する耐性を改善する方法については、請求項1に記載のと おりである。発明の開示 本発明の脆化しない材料は、図1に示される領域によって定義される組成をも つ非燃焼Ti−V−Cr合金であり、それに普通のガスタービンエンジンの作動 状態に於ける有害な粒子の析出を防止するような熱処理を施す。 本発明の工程は、初めのステップとして、材料にα相の 溶体化温度以上の熱をβ相に完全に変態するだけの十分な時間施し、次にα相の 溶体化温度以下での熱処理を施して、一般的には結晶粒界に存在する安定したα 相粒子を粗粒の形で析出させる。 熱処理の最初の工程は、α相溶体化温度より28℃(50゜F)高い温度に、 約1時間から10時間(一般的に望ましくは1時間)材料の温度を保つことであ る。 α相溶体化温度以下での熱処理には恒温型とランプ型(徐冷型)とがある。恒 温型熱処理はα相溶体化温度より約83℃(150゜F)低い温度で2時間行い 、安定したTiO2の形をもつα相の粗粒を析出させる。 最も好的なランプ型熱処理では、α相溶体化温度より低い第1の温度に一定時 間保ち、その後十分に時間をかけてより低い第2の温度まで冷却し、その温度で 再び一定時間保ち、更に第3の温度まで冷却して、その温度で一定時間保った後 、室温まで冷却する。ランプ型熱処理は、初めにα相の粗粒を析出させ、この粗 粒を温度の低下と保持の処理サイクルの過程で粗大化させる。 ランプ型熱処理は溶体化温度以下の連続した3つの保持温度を使用するが、温 度保持時間の伸縮調整や、第1の保持温度から第2の保持温度に冷却する段階の 途中に一定温度保持の過程を介在させることなく本発明の過程を効率的に実施す ることもできる。538〜704℃(1000〜1300゜F)の温度領域に長 時間さらされることで材料 の特性が改善される傾向があるが、最適な処理サイクルに於いてその作業に要す るコストも考慮に入れなければならない。 このような本発明の特徴や利点は、他の特徴や利点も含めて、発明実施の最適 形態に述べるように、明白である。図表と照らし合わせて読んでいただきたい。図面の簡単な説明 図1は、等温断面におけるTi−V−Cr状態図であり、図中に本発明の非燃 焼合金の組成領域を示している。 図2は、固溶状態のPWA1274のミクロ組織の顕微鏡写真である。 図3は、空気中で500時間538℃(1000゜F)にさらされた後の、固 溶状態のPWA1274の顕微鏡写真である。 図4は、本発明の処理工程を経たPWA1274の顕微鏡写真である。 図5は、PWA1274に本発明に従った様々な熱処理サイクル施して、次に 538℃(1000゜F)に0〜500時間さらした後の、室温での伸び試験の 結果を示したグラフである。発明実施の最適形態 チタン合金で、本発明の方法による熱処理に用いられ、かつVを35%、Cr を15%含有するものは、図1に描 かれている非燃焼合金の組成領域の中に含まれており、以下PWA1274と呼 ぶものとする。PWA1274は、ガスタービンエンジンのコンプレッサに利用 され、高い非燃焼性を示す。これは普通固溶状態で使用され、ミクロ組織は図2 に示す通りである。固溶状態にする処理は、α相溶体化温度788℃(1450 ゜F)より概ね28℃(50゜F)高い約816℃(1500°F)で約1時間 実施される。 454℃(850゜F)以上で長期間にわたって使用される場合は、α相が薄 膜状に結晶粒界に析出し、合金の延性を顕著に低下させる。538℃(1000 ゜F)の空気中に500時間さらした後の完全固溶状態の合金の延性は、室温で 測定したとき、初期値の20%から2%に低下する。このように一定時間高温に さらすことが合金のミクロ組織に及ぼす影響が、図3に示されている。 固溶状態にある概ねβ相の材料に対して、α相溶体化温度よりは低いが普通に 使用される温度より高い温度での熱処理を施すことによって、安定したTiO2 の形をもつα相の粗粒が結晶粒界に析出する。このα相の粒子は、前記の結晶粒 界の薄膜ほど有害ではない。図4に示されているのは、熱処理を施された材料の 典型的なミクロ組織である。 本発明の熱処理工程においては、材料が完全固溶状態にあることが必要条件で ある。α相溶体化温度の恒温型熱処理は、溶体化温度より約83℃(150゜F )低い温度で 行われる。α相溶体化温度は材料の酸素含有量に強く依存するので、溶体化温度 以下での熱処理の温度を設定するために、一般的には溶体化温度を決定しておか ねばならない。必要な時間は1時間半から10時間の間であり、一般的に2時間 程度が望ましい。溶体化温度以下での処理温度から室温への冷却速度は、結晶粒 界への析出を避けるため、少なくとも1時間当たり56℃(100゜F)は必要 である。 ランプ型熱処理工程の最も望ましい実施様態に於いては、溶体化温度より83 ℃(150゜F)低い温度で約1時間から10時間、望ましくは2時間程度の恒 温処理を行い、1時間当たり14〜56℃(25〜100゜F)、望ましくは4 2℃(75゜F)の冷却速度で、初めの温度より55℃(100゜F)低い温度 まで冷却し、第2の温度保持は1時間から10時間、望ましくは6時間行い、第 2の温度より111℃(200゜F)低い第3の温度まで冷却して、1時間から 10時間、望ましくは6時間の温度保持を行い、室温まで冷却する。 図5は、本発明に従った様々な熱処理サイクルによる溶体化温度以下での熱処 理を経た、PWA1274の伸び試験の結果である。固溶状態の材料に適用した 各熱処理サイクルは表1に示す。 表1 A 704℃(1300゜F)で2時間、1時間当たり42℃(75°F)で6 49℃(1200゜F)まで冷却し6時間、1時間当たり42℃(75°F)で 538℃(1000゜F)まで冷却し6時間、1時間当たり56℃(100゜F )以上で室温まで冷却。 B 704℃(1300゜F)で2時間、1時間当たり14℃(25゜F)で5 66℃(1050゜F)まで冷却し1時間、1時間当たり56℃(100゜F) 以上で室温まで冷却。 C 704℃(1300゜F)で2時間、1時間当たり14℃(25゜F)で6 21℃(1150゜F)まで冷却し1時間、1時間当たり56℃(100゜F) 以上で室温まで冷却。 D 704℃(1300゜F)で1時間、1時間当たり56℃(100°F)以 上で室温まで冷却。 E 649℃(1200゜F)で1時間、1時間当たり56℃(100゜F)以 上で室温まで冷却。 F 固溶状態のまま(816℃または1500゜Fで1時間)。 どの熱処理サイクルによっても、熱処理後の材料では固溶状態のままの材料に 比べて延性が改善を示している。たとえ538℃(1000゜F)にさらす処理 を施さなかった材料についても、熱処理した材料は固溶状態のものに比ベて延性 が改善しているのである。これはβ相に溶解している酸素が、熱処理サイクルの 過程で結晶粒界に移動し、そこでα相若しくはTiO2の粒子として析出する為 である。β相における溶解した酸素含有量の減少は、合金の延性の増大をもたら す。 固溶化熱処理された材料の延性は、538℃(1000゜F)で500時間さ らした後約2%の測定値の低下を示す一方、溶化温度以下で恒温型熱処理された ものは、同様の処理の後約5%の延性の低下を示す。このことは、β相に溶解し た酸素の除去を制御しつつ行うことが有益であることを明示している。 固溶化熱処理された材料を高温にさらすとき、前もってランプ型熱処理サイク ルを適用しておくことによって、延性の大幅な改善もたらすことができる。ラン プ型の冷却処理サイクル及び第2の温度保持といった、追加的な処理時間を設け ることによって、大部分の溶解した酸素を結晶粒界に移動させ得ることは明らか である。 621℃(1150゜F)まで冷却、保持のランプ型処理を行った場合、53 8℃(1000゜F)で500時間さらした後約8.5%の伸張度を示す結果と なるが、これ は同じ条件で恒温型熱処理を施した後の伸張度に対して注目すべき改善を示して いる。566℃(1050゜F)まで冷却、保持のランプ型処理を行った場合、 上記と同様の高温下にさらした後約11.5%の伸張度を示す結果となるが、こ れは621℃(1150゜F)まで冷却、保持のランプ型処理を行った材料の伸 張度に対して約30%の改善を示している。この改善の理由は、熱処理温度域に 於ける追加的な時間、つまり566℃(1050゜F)(1時間当たり14℃若 しくは25°F)まで冷却する場合は、621℃(1150゜F)まで冷却する 場合よりもサイクルの冷却部分で4時間長くかかる為である。 3段階ランプ型熱処理では、704℃(1300゜F)で2時間保ち、冷却速 度42℃(75゜F)で649℃(1200゜F)まで冷却して6時間保ち、冷 却速度42℃(75゜F)で538℃(1000゜F)まで冷却して6時間保ち 、室温まで冷却する。図5に示したように、この処理を施した材料の伸張度は、 538℃(1000゜Fで500時間さらした後約15%であって、2段階の処 理の場合に比べて改善されている。3段階熱処理に於ける材料の延性度の増加は 、材料が熱処理サイクルのなかで高温下に一層多くさらされている為であるとみ られる。 本発明の詳細な実施様態について例示及び説明してきたが、これは、請求の範 囲に記載されている発明の技術的視点を逸脱することなく、種々に変更、省略、 追加が可能な ことが当業者には容易に理解される。請求の範囲 1.名目上の組成がTi−22V−36Cr、Ti−40V−13Cr、Ti− 22V−13Crの3点に囲まれた領域内にあるTi−V−Cr三元系の非燃焼 チタン合金の脆化に対する耐性を改善する方法であって、 a.α相を完全に固溶化させるのに十分な時間をかけてα相溶体化温度以上 での熱処理を行う過程と、 b.α相の粗粒を結晶粒界に析出させるべくα相溶体化温度以下での熱処理 を行う過程とを有することを特徴とする方法。 2.前記したα相溶体化温度以下に於ける熱処理サイクルが、約1時間から約1 0時間一定温度に保つ過程からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。 3.前記したα相溶体化温度以下に於ける熱処理サイクルが、約2時間一定温度 に保つ過程からなる過程からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。 4.前記したα相溶体化温度以下での熱処理サイクルが、第1の温度を保持する 過程と、それより低い第2の温度まで冷却速度を制御しつつ冷却する過程と、第 2の温度を保持する過程と、適当な冷却速度で室温まで冷却する過程とからなる ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 5.前記した熱処理サイクルの冷却過程に於ける冷却速度が1時間あたり6℃( 10°F)から28℃(50゜F)の間であることを特徴とする請求項3に記載 の方法。 6.前記した熱処理サイクルの冷却過程に於ける冷却速度が1時間あたり42℃ (75°F)であることを特徴とする請求項4に記載の方法。 7.前記した第1の温度に於ける温度保持時間が1時間から10時間の間である ことを特徴とする請求項4に記載の方法。 8.前記した第1の温度に於ける温度保持時間が2時間であることを特徴とする 請求項4に記載の方法。 9.前記した第2の温度に於ける温度保持時間が1時間から10時間の間である ことを特徴とする請求項4に記載の方法。 10.前記した第2の温度に於ける温度保持時間が2時間であることを特徴とす る請求項4に記載の方法。 11.前記したTi−V−Cr三元系の非燃焼チタン合金であって、名目上の組 成がTi−22V−36Cr、Ti−40V−13Cr、Ti−22V−13C rの3点に囲まれた領域内にあり、請求項1〜10に記載の方法によって非脆化 処理を施したことを特徴とする合金。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.非燃焼チタン合金の脆化に対する耐性を改善する方法であって、 a.α相を完全に固溶化させるのに十分な時間をかけてα相溶体化温度以上 での熱処理を行う過程と、 b.α相の粗粒を結晶粒界に析出させるべくα相溶体化温度以下での熱処理 を行う過程とを有することを特徴とする方法。 2.前記したα相溶体化温度以下に於ける熱処理サイクルが、約1時間から約1 0時間一定温度に保つ過程からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。 3.前記したα相溶体化温度以下に於ける熱処理サイクルが、約2時間一定温度 に保つ過程からなる過程からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。 4.前記したα相溶体化温度以下での熱処理サイクルが、第1の温度を保持する 過程と、それより低い第2の温度まで冷却速度を制御しつつ冷却する過程と、第 2の温度を保持する過程と、適当な冷却速度で室温まで冷却する過程とからなる ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 5.前記した熱処理サイクルの冷却過程に於ける冷却速度が1時間あたり約6℃ (10゜F)から約28℃(50゜F)の間であることを特徴とする請求項3に 記載の方法。 6.前記した熱処理サイクルの冷却過程に於ける冷却速度が1時間あたり約42 ℃(75°F)であることを特徴と する請求項4に記載の方法。 7.前記した第1の温度に於ける温度保持時間が約1時間から約10時間の間で あることを特徴とする請求項4に記載の方法。 8.前記した第1の温度に於ける温度保持時間が約2時間であることを特徴とす る請求項4に記載の方法。 9.前記した第2の温度に於ける温度保持時間が約1時間から約10時間の間で あることを特徴とする請求項4に記載の方法。 10.前記した第2の温度に於ける温度保持時間が約2時間であることを特徴と する請求項4に記載の方法。 11.名目上の組成がTi−22V−36Cr、Ti−40V−13Cr、Ti −22V−13Crの3点に囲まれた領域内にあるTi−V−Cr三元系の非燃 焼チタン合金に対して適用することを特徴とする請求項1に記載の方法。 12.前記したTi−V−Cr三元系の非燃焼チタン合金であって、名目上の組 成がTi−22V−36Cr、Ti−40V−13Cr、Ti−22V−13C rの3点に囲まれた領域内にあり、請求項1の方法によって非脆化処理を施した ことを特徴とする合金。
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