【発明の詳細な説明】
オリゴデンドログリア増殖因子およびその利用法発明の分野
この発明はオリゴデンドログリア(oligodendroglial)増殖因子およびその利
用法に関するものである。発明の背景
多面硬化症や脳炎のような脱ミエリン症は患者を衰弱させる病気である。多面
硬化症の終期では、広範囲の大脳および脊髄の脱ミエリンによる歩行の不安定化
、失禁、および麻痺が一般的である。たいていの場合その後、死に至る。多面硬
化症の患者はしばしば、長年にわたり再発と緩解を繰り返す。脳炎は、しばしば
死に至る単相で急性の過程で特徴づけられる。脱ミエリン症には、一般に主な病
理学的過程として、アクソンを覆い絶縁しているミエリン鞘の欠損がみられる。
多面硬化症は徹底的な、しかし完結していない研究の題材であった。未だにこれ
らの疾患に対する効果的な処置法は知られていない。
オリゴデンドログリア細胞は、中枢神経系のアクソンを覆うミエリンを産する
。オリゴデンドログリアはCNS胚基質の神経外胚葉幹細胞由来である。ゴールド
マン(Goldman J.E)ら,J.Neuorolsci 1986,6,52-60;レヴァイン(LeVine S.M.
)およびゴールドマン,J Comp Neurol 1988 277,441-455これらの幹細胞は、オ
リゴデンドログリア生成過程において、小さく、過程中生き残り、運動能力があ
り、急速に増殖する中間体となる。ラフ(Raff M.C.)ら,Nature 1983,303,390-
396;スモール(Small R.K.)ら,Nature 1987,328,155-157;レヴァインおよびゴ
ールドマン,J Comp Neurol 1988,277,441-455:ノーブル(Noble M.D.)ら,Natur
e1988,333,560-562;グリンスパン(Grinspan J.B.)ら,J Neurosci 1990,10,186
61-18873;ハーディ(Hardy R.)およびレイノルズ(Reynolds R.),Development
1991,111,1061-1070ラットでは、この中間段階の細胞を、ガングリオシドおよ
びその他の細胞膜エピトープを認識するモノクローン抗体(mAbs)を用いること
によって、またアストログ
リアに特徴的な抗原(例えばグリア繊維性酸性タンパク質(GFAP))、またはオ
リゴデンドログリアに特徴的な抗原(例えばガラクトセレブロシド(galC)、ミ
エリン塩基性タンパク質(MBP)、および脂質タンパク質(PLP))の発現の欠失
によって免疫組織学的に同定できる。総説はゴールドマン(1992)による。これ
らの運動性オリゴデンドログリア始源細胞の増殖、移動、分化、および分化した
オリゴデンドログリアの生存は、塩基性繊維芽細胞増殖因子(塩基性FGF)(マ
ッキノン(McKinnon R.D.)ら,Neuron 1990,5,603-614;ボグラー(Bogler O.)
ら,Proc Natl Acad Sci USA 1990,87,6368-6372)、血小板由来増殖因子(PDGF
)(リチャードソン(Richardson W.D.)ら,Cell 1988,53,309-319;ノーブルら,
Nature 1988,333,560-562;プリングル(Pringle N.)ら,EMBO J 1989,8,1049-10
56;グリンスパンら,J Neurosci 1990,10,18661-18873;バレス(Barres B.A.)ら
,Cell 1992,70,31-46)およびインシュリン様増殖因子-1(IGF-1)(マクモリス
(McMorris F.A.)およびデュボイーダルク(Dubois-Dalcq M.),J Neurosci Re
s 1988,21,199-209)を含むパラクライン増殖因子によって制御されている。
分子量が16-18kDa、さまざまな神経芽腫細胞系列から培地に放出されるオリゴ
デンドログリア増殖因子が知られている。ボッテンシュタイン(Bottenstein J.
E.)ら,J Neurosci Res,1988,20,291-303;ハンター(Hunter S.F.)およびボッ
トシュタイン,J Neurosci Res 1991,28:574-582;ギウリアン(Giulin D.)ら,J
Neurosci1991,11,327-336 CNSニューロンの一次培養から培地に放出されるオリ
ゴデンドログリア系列の細胞に対する増殖促進因子(レヴァイン,Neuron 1989,3
,103-113;ガード(Gard A.L.)およびフェイファー(Pfeiffer S.E.),Neuron 1
990,5,615-625)の分子レベルの特徴はまだ報告されていない。
組織培養研究によると、オリゴデンドログリアの分化はニューロンがない場合
に起きる。ラフ(Raff M.C.)ら,Nature 1978,274,813-816;バーバレズ(Barbar
ese E.)およびフィーファー(Pfeiffer S.E.),Proc Natl Acad Sci USA 1981,
78,1953-1957;ゼラー(Zeller N.K.)ら,J Neurosci 1985,5,2955-2962;サネト
(Saneto R.P.)およびデヴェリス(De Vellis J.),Proc Natl Acad Sci USA 1
985,82,3509-3513;ナップ(Knapp P.E.)ら,Dev Biol 1987,120,356-365;グリン
スパンら,J Neurosci 1990,10,18661-18873;ハーディおよびレイノルズ,Develop
ment 1991,111,10
61-1070しかし、オリゴデンドログリアは、適当な太さのアクソンと接触してい
る場合のみミエリンを集合させ、密な状態で維持できる。ウッド(Wood P.M.)
およびウイリアムズ(Williams A.K.),Dev Brain Res 1984,12,225-241;キッド
(Kidd G.J.)ら,J.Neurosci Res 1990,26,409-418この接触は、オリゴデンドロ
グリアMAGとまだ特徴付けられていないニューロン原形質膜の成分の接着性相互
作用によって安定化される。ジョンソン(Johnson P.W.)ら,Neuron 1989,3,377
-385,オウエンズ(Owens G.C.)ら,J Cell Biol 1990,111,1171-1182;クアーレ
ス(Quarles R.H.)ら,In:Myelin:Biology and Chemistry(マーテンソン(Mart
enson RE)編),pp413-448 Boca-Raton:CRC Press(1992)第二の接触によるオ
リゴデンドログリア-ニューロン相互作用は、オリゴデンドログリア膜結合表面
タンパク質によって誘導されるアクソンの伸長の阻害である。カロニ(Caroni P
.)およびシュワッブ(Schwab M.E.),Dev Biol 1989,136,287-295:ファウセッ
ト(Fawcett J.W.)ら,J Cell Sci1989,92,93-100
幾つかの観察によると、オリゴデンドログリア系列の細胞とニューロンの間の
第三の接触依存性増殖相互作用、オリゴデンドログリアの有糸分裂の誘導の存在
が示唆されている。背根神経節ニューロン(dorsal root ganglion neuron)と
共に培養されたオリゴデンドログリアは、アクソレマに富む膜画分と共に培養さ
れたオリゴデンドログリアの場合;チェン(Chen S.J.)およびデヴリエス(DeVr
ies G.H.),J Neurochem 1989,52,325-327;ヴィック(Vick R.S.)およびデヴリ
エス,J Neurosci Res 1992,33,68-74;と同様に増殖する;ウッドおよびバング(B
unge R.P.),Nature 1986,320,756-758;ウッドおよびバング,Glia 1991,4,225-2
32。アクソレマ関連オリゴデンドログリア増殖促進因子の性質は、ある研究によ
ると酸性繊維芽細胞増殖因子(酸性FGF)またはその関連タンパク質でると示唆
されており;ヴィックおよびデヴリエス,J Neurosci Res 1992,33,68-74、別の研
究によると、200ng/MLの半最大活性を有する新規の50kDalの外来性膜タンパク質
であることが示唆されているがノードランド(Nordlund M.)ら,Glia 1992,5,18
2-192、まだ確立はしていない。この50kDaのタンパク質はまた、シュワン細胞の
増殖源でもある。多面硬化症の過程で失われるミエリンに取って交われる、この
オリゴデンドログリアの有糸分裂の誘導が非常に望まれている。発明の概要
出願人は新規のオリゴデンドログリア増殖因子を同定し単離した。このタンパ
ク質はオリゴデンドログリアの有糸分裂を誘導し、そして多面硬化症や脳炎のよ
うな脱ミエリン症の進行中に失われるミエリンの交換を促進することが出願人に
よって示された。
本発明の好ましい一つの態様で、哺乳類脳全体の0.5M塩抽出物を調製し、0.15
MNaCl中でpH7.4でイオン交換マトリックスと抽出物を保温し、5kDaから600kDaの
画分領域をもつサイズ排除カラム上で結合しない上清を流し、画分を溶出し、オ
リゴデンドログリア増殖活性をもつ画分を集め、変成ゲル上で活性画分を溶解す
る、ことからなるオリゴデンドログリア増殖因子の単離法が提供される。
本発明の好ましい一つの態様で、哺乳類脳全体の0.5M塩抽出物を調製し、0.15
M NaCl中でpH7.4でイオン交換マトリックスと抽出物を保温し、5kDaから600kDa
の画分領域をもつサイズ排除カラム上で結合しない上清を流し、画分を溶出し、
オリゴデンドログリア増殖活性をもつ画分を集め、変成ゲル上で活性画分を溶解
し、ゲルから分子量約60kDaのタンパク質を回収し、接触するオリゴデンドログ
リアの有糸分裂の誘導に有効な量の回収したタンパク質とオリゴデンドログリア
とを接触させる、ことからなるオリゴデンドログリアの有糸分裂を誘導させる方
法が提供される。
本発明の好ましいさらなる態様で、哺乳類脳全体の0.5M塩抽出物を調製し、0.
15M NaCl中でpH7.4でイオン交換マトリックスと抽出物を保温し、5kDaから600kD
aの画分領域をもつサイズ排除カラム上で結合しない上清を流し、画分を溶出し
、オリゴデンドログリア増殖活性をもつ画分を集め、変成ゲル上で活性画分を溶
解し、ゲルから分子量約60kDaのタンパク質を回収し、脱ミエリン症患者のオリ
ゴデンドログリアの有糸分裂を誘導するのに有効な量の回収したタンパク質を患
者に投与することからなる脱ミエリン症患者の脱ミエリン症を処置する方法が提
供される。
本発明のさらなる好ましい態様で、約400units/ugのオリゴデンドログリア増
殖活性をもつ分子量約60kDのタンパク質からなる実質的に純粋なオリゴデンドロ
グリア増殖因子が提供される。
さらに本発明の好ましい態様で、薬学的に受容できる担体にはいったオリゴデ
ンドログリア増殖因子からなる薬剤が提供される。
さらに本発明の好ましい態様で、組換え宿主細胞でのオリゴデンドログリア増
殖因子の発現に十分な、オリゴデンドログリア増殖因子をコードするDNAの一部
で形質転換した組換え宿主細胞が提供される。
別の本発明の好ましい態様で、宿主細胞で形質転換された組換えDNAが、オリ
ゴデンドログリア増殖因子をコードし、かつその宿主細胞でそのコーディング配
列の発現に影響を与えられるような適当な制御配列に利用できる形で結び付けら
れたDNA配列をもつような組換え宿主細胞を培養する、ことからなるオリゴデン
ドログリア増殖因子の産生法が提供される。
ここで述べる発現系と適合できる制御配列と利用できる形で結び付いた、オリ
ゴデンドログリア増殖因子をコードするDNA配列を含む適切な発現系で発現でき
る組換えベクターも本発明の好ましい態様で提供される。
さらに、本発明の好ましい態様で、オリゴデンドログリア増殖因子を特異的に
認識するモノクローン抗体を発現するハイブリッドオーマ細胞系列が提供される
。
本発明の抗体を態様でまた、オリゴデンドログリアの有糸分裂の誘導に有効な
量のオリゴデンドログリア増殖因子とオリゴデンドログリアとを接触させること
からなるオリゴデンドログリアの有糸分裂を誘導する方法が提供される。
さらなる本発明の好ましい態様で、中枢神経系のオリゴデンドログリアの有糸
分裂の誘導に有効な量のオリゴデンドログリア増殖因子を脱ミエリン症患者に投
与することからなる脱ミエリン症を治療する方法が提供される。
出願人は、オリゴデンドログリアの有糸分裂を誘導するオリゴデンドログリア
増殖因子を同定した。オリゴデンドログリア増殖因子は、ここではオリゴデンド
ログリア増殖活性に基づいて哺乳類脳全体から単離された。図面の簡単な説明
図1は、新生児ラットCWM培養物を脳の膜のNaCl抽出物で処理した結果の写真
である。新生児ラットCWM培養物中のA2B5'細胞(パネルAおよびC)、またはR-mA
b'細胞(パネルBおよびD)を同定するのに間接免疫蛍光顕微鏡法を用いた。パネ
ルCおよ
びDは、脳の膜のNaCl抽出物(20μg/mL)を顕微鏡観察の3日前に加えた培地に保
持した培養物の様子を示しており、パネルAおよびBは抽出物を加えていない同様
の培養物の様子を示している。サイズ棒=36μm
図2は、CWM培養物のDNA合成に対する脳の膜のNaCl抽出物の影響を示す写真で
ある。CWM培養物を20μg/mLの脳の膜のNaCl抽出物で2日間処理し、このうち2日
目にはBrdU(10μM)と保温した。パネルAは、R-mAbがその原形質膜に結合して
いる2つのオリゴデンドログリアを示しており、パネルBは、固定の後、それらの
2つのオリゴデンドログリアの核に抗BrdU mAbが結合していることを示している
。同様の結果が、そのような研究でR-mAbの代わりに01 mAbを用いた場合にも得
られた(示していない)。
図3は、脳の膜のNaCl抽出物を加えた後のオリゴデンドログリアおよび0-2A細
胞のDNA合成率を比較する図である。脳の膜のNaCl抽出物(20μgタンパク質/mL
)を日にち0(CWM細胞を単離して4日目)で加え、日にち3および7に新鮮な培地
を再び加えた。2重波長間接免疫蛍光顕微鏡法で観察する24時間前(オリゴデン
ドログリアの観察、パネルA)または6時間前(0-2A細胞の観察、パネルB)にBrd
Uを培地に加えた。オリゴデンドログリアは、表面にR-mAbが結合することで同定
された。0-2A細胞は、表面にA2b5 mAbが結合することで同定された。データは4
回の独立の実験の平均であり、垂線でSEMsを表している。白棒=非処理培養物;黒
棒=NaCl抽出物で処理した培養物
図4は、銀染SDS-PAGEゲルの複写である。銀染ゲルのレーン1は2μgのS200セフ
ァクリル後のオリゴデンドログリア増殖因子を流したものであり、レーン2は10
μgのDEAE後のオリゴデンドログリア増殖因子を流したものである。S200セファ
クリル後のオリゴデンドログリア増殖因子の平行な非染色レーンからのタンパク
質の溶出は、すべてのgalC+細胞集合活性が60kDal(MWapp)の顕著なバンドの領
域で回復されることを示した。
図5は、オリゴデンドログリア増殖因子で処理したCWM培養物のMAG免疫蛍光顕
微鏡観察の画像である。このCWM培養物は、S200セファクリル後のオリゴデンド
ログリア増殖因子(100ng/mL)で10日間処理し、R-mAb(パネルA)および抗MAG
免疫グロブリン(パネルB)の結合を2重波長間接免疫蛍光顕微鏡法で観察した。
サイズ棒=33マ
イクロメーター
図6は、オリゴデンドログリア増殖因子またはPDGFで処理したCWM培養物のMBP
免疫蛍光顕微鏡法の画像である。パネルAおよびCは、ヒトPDGF(2ng/mL)で10日
間処理したCWM培養物の領域の位相差像とMBP間接免疫蛍光像を示す;この領域の
約半分のオリゴデンドログリアはMBP+である。パネルBおよびDは、S200セファク
リル後のオリゴデンドログリア増殖因子(100ng/mL)で10日間処理したCWM培養
物の領域の位相差像とMBP間接免疫蛍光像を示す。MBP+細胞がほんの少しだけ存
在している。サイズ棒=26マイクロメーター
図7は、オリゴデンドログリア増殖因子、PDGF、または塩基性FGFで処理したCW
M培養物中のMBP mRNAのノーザンブロット解析の放射能写真である。CWM培養物を
、PDGF(2ng/mL)、塩基性FGF(10ng/mL)、またはS200セファクリル後のオリゴ
デンドログリア増殖因子(100ng/mL)で7日間処理した。全RNA(塩基性FGFおよ
びオリゴデンドログリア増殖因子処理培養物は10μg/レーン、PDGF処理培養物は
5μg/レーン)を、MBP cDNAプローブを用いたノーザンブロッティングで調べた
。上のパネルは、[32P]-ラベルMBP cDNAプローブで得られた放射能写真を示して
いる。MBP mRNAのシグナル強度は,PDGFのレーンより塩基性FGFとオリゴデンドロ
グリア増殖因子のレーンのほうがずっと弱い。[32P]-ラベルPLP cDNAプローブを
用いたブロットのリハイブリダイゼイションによって、PDGFのレーンのシグナル
強度が塩基性FGFおよびオリゴデンドログリア増殖因子のレーンよりずっと強い
ことが示された(結果はしめしていない)。下のパネルは、同じ3つのレーンの
メチレンブルー染色の28Sのバンドを示しており、bFGFおよびオリゴデンドログ
リアのレーンにのせたRNAの量がほぼ同じであり、PDGFのレーンにのせた量はそ
れより少ないことを示している。
図8は、オリゴデンドログリア増殖因子の免疫組織学的局在を示す2つのパネル
の画像である。
パネルAは、オリゴデンドログリア増殖因子mAb,Duと保温した後、ペルオキシ
ダーゼでラベルしたヒト小脳のパラフィン切片を示す;切片はヘマトキリンで対
比染色した。
パネルBは、Du mAbと保温した後、ペルオキシダーゼでラベルしたP6背根神経
節細胞を示す;切片はザイス微分干渉差光学器で見た。発明の詳細な説明
本発明のいくつかの具体例に従って、実質的に純粋なオリゴデンドログリア増
殖因子(OTF)が提供される。
”オリゴデンドログリア増殖因子”という用語は、オリゴデンドログリア増殖
活性をもつタンパク質をさして言う。オリゴデンドログリア増殖活性とはオリゴ
デンドログリア細胞の体細胞分裂をバックグラウンドレベル以上に誘導すること
を意味している。体細胞分裂が、細胞の染色体が複製し、分離し、そして細胞が
同一の染色体のセットを含む二つの娘細胞に分裂する過程を意味することである
ことは、もちろん当業者によってよく理解されている。オリゴデンドログリア増
殖活性とは、オリゴデンドログリア増殖因子の添加後に生ずる、バックグラウン
ド以上の付加的なオリゴデンドログリア数/mm2という表現で言及されるのが好
ましい。活性の1ユニットは、バックグラウンドにオリゴデンドログリア細胞1
0個/mm2を追加したものと同等であるものと定義される。
オリゴデンドログリア増殖因子はオリゴデンドログリアの体細胞分裂を活性化
する一方、オリゴデンドログリアによる、MPBまたはPLPのような、ミエリンがぎ
っしり詰まった脂質二重膜間の相互作用を安定化し、それによって、これらのオ
リゴデンドログリアによるアクソンの最初の被覆を促進するのを大部分担ってい
る、ミエリン構築タンパク質の産生は活性化しない。
オリゴデンドログリア増殖因子はニューロンと関連している。オリゴデンドロ
グリア増殖因子は、イオンおよびサイズによる分離の組み合わせと、それに続く
SDSポリアクリルアミドゲル分解によって脳の全抽出物から単離することができ
る。ラットの大脳白質の培養組織におけるオリゴデンドログリアの蓄積は、0.5M
NaClの膜抽出物からオリゴデンドログリア増殖因子の精製の過程をモニターす
る分析法として利用することができる。その後、抽出物をDEAEセファデックス(
0.15M NaCl中、pH7.4)のようなイオン交換樹脂でインキュベートする。結合し
ない上清物は5kDaからおよそ600kDaまでの分画幅をもつサイズ分画カラムに流す
ことができる。画分を溶出し、オリゴデンドログリア増殖活性をもつ画分を集め
る。活性のある画分に含まれるタンパク質は非変性ゲルを用いて分解できる。
生理活性のあるオリゴデンドログリア増殖因子は0.15M NaCl中、pH7.4ではDE
AEセファデックスに結合せず、S-200セファクリルカラムから球状タンパクでは5
0-70kDaの分子量に相当する画分に溶出される。SDSポリアクリルアミドゲルによ
る分解では、S-200セファクリルを通した調製物は、還元下において見かけの分
子量が約60kDaの主要なバンドを含むことが分かった。オリゴデンドログリア増
殖活性はその60kDaのバンドの溶出によって回収された。大脳白質の培養組織に
おけるR-mAb+およびOl+オリゴデンドログリアの半最大値の蓄積は、2ngのSDS-PA
GE後のオリゴデンドログリア増殖因子タンパク質/mLの濃度で得られる。このよ
うに、全般にオリゴデンドログリア増殖因子は最初のNaCl抽出物から4,000倍に
精製され、実質的に純粋になった。
本発明のいくつかの具体例において、”実質的に純粋”とは85%以上純粋であ
ることを意味している。本発明の他の具体例の中には90%以上純粋であるものが
好まれる。最も好ましいのは95%以上の純粋さである。
本発明のいくつかの具体例において、オリゴデンドログリア増殖因子は約50kD
aから約70kDaの幅の分子量をもっている。本発明の最も好ましい具体例において
、オリゴデンドログリア増殖因子は60kDaの分子量をもっている。オリゴデンド
ログリア増殖因子の前駆体もまた、オリゴデンドログリア増殖因子の生物学的活
性のある断片としてこの中に含まれる。
本発明のオリゴデンドログリア増殖因子は、懸濁状または溶液中の場合はその
環境のpHに依存して、あるいは、固体の状態ならば結晶化または沈澱したとき
の環境のpHに依存しており、薬学的に受容できる塩、または中性の状態にある
と思われる。もちろん、そのタンパク質の遊離のアミノ基は、例えば塩酸、リン
酸、または硫酸のような有機酸、または例えば酢酸、グリコール酸、コハク酸、
またはマンデル酸のような有機酸とともに酸性塩を形成することができる。遊離
のカルボキシル基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化カルシ
ウムのような無機塩基、およびピペリジン、グルコサミン、トリメチルアミン、
コリンまたはカフェインのような有機塩基を含む塩基とともに塩を形成すること
ができる。さらに、そのタンパク質は、脂質および糖質のような他の生物学的物
質との組み合わせ、または、アミノ基のアセチル化、水酸基を有する側鎖のリン
酸化またはスルフオキシル基の酸化のような側鎖の修飾によって修飾することが
できる。
オリゴデンドログリア増殖因子の修飾は、ここに記載されたオリゴデンドログ
リア増殖活性が保持されている限り、その定義の範囲に含まれる。最終的に、オ
リゴデンドログリア増殖因子を僅かに修飾しても、実質的に同等、または昂進し
た増殖活性をもつタンパク質を生じることが分かっている。これらの修飾は、部
位特異的変異導入による作意物であったり、またはオリゴデンドログリア増殖因
子を産生する宿主の突然変異のような偶発的派生物であったりする。増殖活性が
保持されている限り、これらの修飾はすべて含まれている。
本発明のオリゴデンドログリア増殖因子は自然に生ずるか、または組換え体と
して産生される。
オリゴデンドログリア増殖因子は記載通り、哺乳類の脳全体から直接調製でき
る。オリゴデンドログリア増殖因子は、例えば自動加水分解可能なアミノ酸分析
器(Applied Biosystems model 420,ABS,Foster City,CA)を用いたアミノ酸
分析のような技術として知られている標準的な技法によるアミノ酸配列の決定お
よび組成分析によって、さらに性格付けられる。配列分析は、例えばパルス液相
シークエンサー(Applied Biosystems model 477A,ABS)を用いたエドマン分解
法で行うことができる。システイン残基は、配列分析に先立って、M.E.セルステ
ッド、S.S.ハーウィッグら、J.Clin.Inv.,1985,76(4):1436-1439、によ
って記載されたように、4-ビニルピリジンとの反応に続くスルフヒドリル基の還
元によって同定される。
マススペクトル分析は、高速原子衝突によるようなペプチドの分子量の決定に
使われる。
ポリペプチドは日常的に、例えば商業的に手に入るペプチド合成器のような当
該技術分野においてよく知られている標準的な技法によって、実質的に純粋な形
で合成することができる。
オリゴデンドログリア増殖因子はまた、組換え体として調製できる。例えば、
オリゴデンドログリア増殖因子をコードするDNA配列を単離するのにcDNA発現ラ
イブラリーを使うことができる。cDNA発現ライブラリーは商業的に手に入れられ
、または、当分野で知られている方法に従って調製することができる。オリゴデ
ン
ドログリア増殖因子に対するモノクローナル抗体はライブラリーをスクリーニン
グするのに使用することができ、抗体によって認識されるプラークは配列の決定
することができる。オリゴデンドログリア増殖因子を特異的に認識するモノクロ
ーナル抗体は、そのようなモノクローナル抗体を産生するのに利用することがで
きるハイブリドーマ細胞株として、本発明で提供される。特異的に認識されると
は、存在する他のタンパク質を除外して抗体がオリゴデンドログリア増殖因子に
結合することを意味している。
あるいはDNAライブラリーはオリゴデンドログリア増殖因子遺伝子を特異的に
認識する核酸プローブを用いてスクリーニングすることができる。そのような核
酸プローブはオリゴデンドログリア増殖因子のアミノ酸配列に基づいて調製する
ことができる。
オリゴデンドログリア増殖因子のすべてまたは一部分をコードする核酸配列は
本発明のいくつかの態様に含まれている。
決定した核酸配列に基づいて、オリゴデンドログリア増殖因子またはその断片
は、本明細書中で完全に述べられているものとして、参考文献として取り込まれ
ている米国特許第4,677,063号に記載されているような、多くのよく知られた組
換え技術のいずれかの変更を用いることによって調製できると考えられている。
本明細書中で用いられている”その一部分”とは、望まれる生物学的活性、特に
オリゴデンドログリア増殖活性を保持するのに十分なサイズのあらゆるペプチド
または核酸の部分を意味している。
簡単には、細胞をトランスフォームしたり、ベクターを構築したり、メッセン
ジャーRNAを抽出したり、cDNAライブラリーを調製したり、その他同種類のこと
に利用する技法の大部分は広く当分野で行われており、大部分の実行者は特異的
条件および処置を記載した標準的な方法資料を熟知している。しかしながら、便
宜のために、以下の段落でガイドラインとして提供する。
原核生物は非常にしばしばE.coliのさまざまな株によって代表される。しかし
ながら、例えばBacillus subtilisのようなBacilli、Pseudomonasのさまざまな
種、あるいは他の細菌株といった細菌のような他の微生物株も利用することがで
きる。そのような原核生物のシステムでは、宿主に和合した種由来の複製点およ
び制御配列を含むプラスミドベクターが利用される。例えば、そのような”発現
システム”の一つとして、ボリバーら、Gene2:95(1977)はE.coliの種由来の
プラスミドであるpBR322の派生物を用いてE.coliを形質転換した。pBR322はアン
ピシリンおよびテトラサイクリンに耐性の遺伝子を含み、希望のベクターの構築
の際に保持されるか、破壊されうる付加マーカーを提供する。一般に使用される
原核生物の制御配列は、リボソーム結合部位配列に沿って、随意にオペレーター
をもつ転写開始のためのプロモーターを含み、ベータラクタマーゼ(ペニシリナ
ーゼ)、およびラクトース(lac)プロモーターシステム(チャンら、Noture 19
8:1056(1977))、およびトリプトファン(trp)プロモーターシステム(ゴー
デルら、Nucleic Acid Res8:4057(1980))、およびラムダ由来のPLプロモ
ーターおよびN-遺伝子リボソーム結合部位(シマトークら、Nature 292:128(
1981))のような一般に使用されるプロモーターを含んでいる。
バクテリアに加え、酵母のような真核微生物もまた宿主として利用できる。多
くの他の株も一般に利用できるが、パン酵母であるSaccharomyces cerevisiaeの
実験用の株もよく用いられる。2ミクロンの複製起点を用いたベクターが例証さ
れている一方、J.R.ブローチ、Meth Enz.101:307(1983)、酵母での発現に適
した他のプラスミドベクターも知られている(例えば、スタインヒコウムら、Na
ture 282:39(1979)、チェンプら、Gene 10:157(1980)、およびL.クラーク
ら、Meth Enz 101:300(1983)。酵母ベクターのための制御配列には解糖関連
酵素の合成のためのプロモーターが含まれる(ヘスら、J.Adv Enzyme Req 7:14
9(1968);ホーランドら、Biochemistry 17:4900(1978))。当分野で知られ
ているさらなるプロモーターとして3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモー
ター(ヒッツマンら、J.Biol.Chem 255:2073(1980)、およびグリセルアルデ
ヒド3-リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸脱カルボキシル酵素、
ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸基転位酵
素、ホスホグルコース転位酵素、およびグルコキナーゼのような他の解糖関連酵
素のプロモーターが含まれる。転写が増殖環境によって制御されるという付加的
な利点をもつ他のプロモーターは、アルコール脱水素酵素2、イソチトクロムC
、酸脱リン酸化酵素、窒素代謝に関わる分解酵素、並びにマルトースおよびガラ
クトー
ス利用に関する酵素(ホーランド、同書)などのプロモーター領域である。また
、ターミネーター配列がコード配列の3’端にあるのが望ましいと考えられてい
る。そのようなターミネーターは酵母由来遺伝子のコード配列に続く3’非翻訳
領域にみられる。例証された多くのベクターには、peno46プラスミドを含むエノ
ラーゼ遺伝子(M.J.ホーランドら、J.Biol Chem 256:1385(1981))由来、ま
たはYEp13から得られたLEU2遺伝子(J.ブローチら、Gene8:121(1978))由来
の制御配列が含まれる。しかしながら、酵母に適合したプロモーター、複製起点
、および他の制御配列を含むベクターはどれも適当である。
多細胞生物由来の真核宿主細胞培養組織でポリペプチドをコードする遺伝子を
発現するのももちろん可能である。例えば、Tissue Cultures,Academic Press,
クルーズおよびパターソン編(1973)、を参照のこと。有用な宿主細胞株には、
VERO、Hela細胞およびチャイニーズハムスターの子宮(CHO)細胞が含まれる。
真核生物の宿主でポリペプチドをコードする遺伝子のin vivoでの発現はまた、
胃腸のディフェンシンポリペプチドの便利な調製法である。
そのような細胞の発現ベクターは通常、例えばSimianウィルス40(SV40)(フ
ァイアーズら、Nature 273:113(1978))のような一般に使用される早期およ
び後期プロモーター、またはポリオーマ、アデノウィルス2、ウシ乳頭腫ウィル
ス、または鳥類肉腫ウィルスのようなウィルス由来の他のウィルスのプロモータ
ー、等の哺乳類細胞に適合したプロモーター及び制御配列を含んでいる。哺乳類
細胞の宿主システムの形質転換の一般概念は、例えばアクセル;米国特許第4,39
9,216号によって記載されている。現在では”エンハンサー”領域が最適な発現
に重要であることが明らかになっている;エンハンサーは一般にプロモーター領
域の上流または下流の非コードDNA領域に見いだされる配列である。複製起点は
必要ならばウィルス源から得られる。しかしながら、真核生物では染色体への挿
入がDNA複製の一般的なメカニズムである。現在では宿主として植物細胞が利用
可能であり、ノパリン合成酵素プロモーターおよびポリアデニル化配列のような
、植物細胞に適合した制御配列も利用可能である(A.デピッカーら、J.Mol App
l.Gen1:561(1982))。
使用した宿主細胞に依存して、形質転換はそのような細胞に適合した標準的な
技法を使用して行われる。実質的な細胞壁のバリアをもつ原核生物や他の細胞に
は、N.コーエン、Proc Natl Acad Sci (USA)69:2110(1972)、によって記載
されたような塩化カルシウムを用いたカルシウム処理、またはMolecular Clonin
g:A Laboratory Manual (1988)Cold Springs Harbor Pressに記載されている
方法を利用することができる。Agrobacterium tumefaciens(CH.ショウら、Gene
23:315(1983))の感染はある種の植物細胞に有用であると考えられている。
そのような細胞壁の無い哺乳類細胞にはグラハムおよびファンデルエブ、Virolo
gy52:546(1978)、のリン酸カルシウム沈澱法を利用することができる。細胞
はまた、ベクターに取り込まれた遺伝子を例えば、WO 90/11734 1990年10月18日
刊行の風船状カテーテルの技術を用いて血管壁内の細胞に直接導入することによ
って、生体内で形質転換することができる。
酵母への形質転換はP.ファン ソリンゲンら、J Bact 130:946(1977)およ
びC.L.シャオら、Proc Natl Acad Sci(USA)76:3829(1979)の方法に従って
行うことができる。
cDNAおよびゲノムライブラリーはコロニーハイブリダイゼーション法を用いて
スクリーニングすることができる。一般的にマイクロタイタープレートは、それ
ぞれニトロセルロースフィルター紙(S&S BA-85型)上に複製することができ、
コロニーは50μg/ml Ampを含むL寒天上で、37℃で14-16時間増殖させることが
できる。コロニーは溶菌させ、DNAは500mM NaOH,1.5M NaClで5分間の処理に続
いて、5×標準クエン酸塩(SSC)での5分間、二回の洗浄によってフィルターに
固定する。フィルターは空気乾燥し、80℃で2時間ベーキングする。複製フィル
ターはフィルター当たり10mlのDNAハイブリダイゼーションバッファー[5×SSC
,pH7.0 5×デンハルト溶液(ポリビニルピロリジンにフィコールおよびウシ血
清アルブミン;1×=それぞれ0.02%ずつ、を加えたもの)、50mM、pH7.0のリン
酸ナトリウムバッファー、0.02% SDS、20μg/ml ポリU、および50μg/ml変性サ
ケ精子DNA]で42℃で6-8時間プレハイブリダイゼーションする。
試料は希望の強度に依存した条件でリン酸化プローブとハイブリダイゼーショ
ンすることができる。代表的な最適強度条件は、フィルター当たりプローブを含
むDNAハイブリダイゼーションバッファー1-5mlで42℃で24-36時間のものが用い
られる。より激しい強度には高い温度とより短い時間が用いられる。一般的には
、フィルターは2×SSC、0.2% SDSおよび50mMリン酸ナトリウム,pH7、で37℃で
30分間ずつ4回洗浄し、それから2×SSCおよび0.2% SDSで2回洗浄して空気乾
燥した後、-70℃で2日から3日オートラジオグラムをとる。
希望のコード配列および制御配列を含む適当なベクターの構築には当分野でよ
く理解されている標準的なライゲーションおよび制限化法が用いられる。単離さ
れたプラスミド、DNA配列、または合成オリゴヌクレオチドは希望の形に分断さ
れ、調整され(tailored)、再連結される。
部位特異的なDNAの切断は、当分野で一般的に理解されている条件で適当な制
限酵素(または酵素)によってDNAを処理することで行ない、その詳細はこれら
の商業的に入手可能な制限酵素の製造業者によって特定されている。例えばNew
England Biolabs,製品カタログを参照のこと。一般的には1μgのプラスミドま
たはDNA配列を、およそ20μlのバッファー溶液中で1ユニットの酵素で切断する
。変法も許容されるが、約37℃で1時間から2時間のインキュベーション時間で
実行可能である。それぞれのインキュベーション後、タンパク質をフェノール/
クロロホルム抽出とそれに続くエーテル抽出によって取り除き、セファデックス
G-5スピンカラムを通した後に、核酸をエタノール沈澱により水相画分から回収
する。望むならば、切断断片のサイズによる分離には、標準的な技法を用いたポ
リアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルの電気泳動が利用できる。サイズ分
離の一般的な記載はMethods in Enzymology(1980)65:499-560にされている。
制限切断した断片は、4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)の存在
下、20℃から25℃で、50mMトリスpH7.6,50mM NaCl,6mM MgCl2,6mM DTT,およ
び5-10μM dNTPsで約15から25分、E.coliのDNAポリメラーゼIの大断片(クレノ
ウ)で処理することによって末端平滑化することができる。クレノウフラグメン
トは5’粘着末端は埋めるが、4種のdNTPsが存在しても突出した3’一本鎖末
端を後進する。望むならば、粘着末端の性質で限定した、一つだけまたは選択し
たdNTPsだけを加えて選択的な修復を行うことが可能である。クレノウで処理し
た後、混合物はフェノール/クロロホルムと、セファデックスG-50スピンカ
ラムにかけた後のエタノール沈澱によって抽出する。S1ヌクレアーゼを適当な条
件で用いて処理すると、一本鎖部分がすべて加水分解される。
合成オリゴヌクレオチドはメトイッキら、J Am Chem Soc 103:3185(1981)の
トリエステル法、または商業的に入手可能な自動オリゴヌクレオチド合成器を用
いて調製できる。アニーリングに先だったまたは標識のための一本鎖のリン酸化
は、過剰量のポリヌクレオチドキナーゼ、例えば50mM トリス,pH7.6,10mM MgC
l2,5mMジチオスレイトール,1-2mM ATP,1.7pmoles γ32P-ATP(2.9mCi/mmole)
,0.1mM スペルミジン,0.1mM EDTA存在下で、0.1nmoleの基質に対して約10ユニ
ット、を用いて行うことができる。
ライゲーションは次のような標準的な条件および温度のもとで、15-30μlの容
量で行うことができる:20mM Tris-Cl pH7.5,10mM MgCl2,10mM DTT,33μg/m
l GSA,10mM-50mM NaCl,および40μM ATP,0.01-0.02(Weiss)ユニットのT4 DN
Aリガーゼ,0℃(”粘着末端”のライゲーションのため)、または1mM ATP 0.3-
0.6(Weiss)ユニットのT4 DNAリガーゼ,14℃(平滑末端のライゲーションのため
)のどちらか一方。分子内の”粘着末端”のライゲーションは、通常33-100μg/
mlの全DNA濃度(5-100mM全末端濃度)で行われる。分子内の平滑末端のライゲー
ションは(通常10-30倍を超えるモル数のリンカーを使う)、1μMの全末端濃度
で行われる。
”ベクター断片”を使ったベクターの構築では、5’のリン酸基を除いてベク
ターの結合を防ぐために、ベクター断片はバクテリアのアルカリ性フォスファタ
ーゼ(BAP)で処理できる。BAPによる消化はpH8で、およそ150mM トリス中、Na+
およびMg2+の存在下でベクター1μg当たり約1ユニットのBAPを用いて、60℃で
約1時間反応する。核酸断片を回収するためには、調製試料をフェノール/クロ
ロホルムで抽出し、エタノール沈澱し、セファデックスG-50スピンカラムにかけ
て脱塩する。あるいは不必要な断片を切断する余分な制限酵素で二重に消化する
ことによってベクター内の結合を防ぐことができる。
配列の修飾を必要とするcDNAまたはゲノムDNAから生じたベクターの一部分に
は、部位特異的プライマーによる変異導入が利用できる。これは、望んだ変異を
示す定められたミスマッチ以外は、変異導入する一本鎖ファージDNAに相補的で
あるプライマー合成オリゴヌクレオチドを用いて行う。簡潔には、合成オリゴヌ
クレオチドはファージに相補的な鎖の直接の合成のためのプライマーとして用い
、生じた二本鎖DNAはファージを保持できる宿主バクテリアに形質転換する。形
質転換したバクテリアの培養液はファージをもつ一つの細胞に由来してプラーク
ができるよう、トップアガーにまく。
理論上、新しいプラークの50%は一本鎖として変異型をもつファージを、残り
の50%は元の配列をもつファージを含むと思われる。生じたプラークは、正確な
対合はするが、なおかつ、元の配列との不的確な対合は十分防ぐ温度で、リン酸
化された合成オリゴヌクレオチドでハイブリダイゼーションすることができる。
それからプローブにハイブリダイゼーションするプラークをひろって、培養し、
DNAを回収する。
プラスミドの構築への正しい連結は、最初にライゲーション混合物で適当な宿
主を形質転換することによって確認できる。正しく形質転換された宿主は、アン
ピシリン、テトラサイクリン、または他の抗生物質への耐性、または当分野で理
解されているように、プラスミドの構築様式に依存した他のマーカーを用いて選
別する。それから形質転換体由来のプラスミドはD.B.クレウェルら、Proc Natl
Acad Sci(USA)62:1159(1969)の方法、所望により行われるクロラムフェニコ
ールの増幅(D.B.クレウェル、J.Bacteriol 110:6670(1972))に従って調製で
きる。単離したDNAは制限化によって解析し、および/またはF.サンガーら、Proc
Natl Acad Sci(USA)74:5463(1977)、さらにメッシングら、F.Supp.Nucleic
Acids Res 9:309(1981)によって記載されたようなジデオキシ法、または、マ
キサムら、Methods in Enzymology 65:499(1980)の方法によって配列を決定で
きる。
この発明によって、オリゴデンドログリアを有効な量のオリゴデンドログリア
増殖因子に接触させるという、オリゴデンドログリアの分化の誘導法が提供され
る。オリゴデンドログリアに体細胞分裂を誘導するのには、ng程度の量のオリ
ゴデンドログリア増殖因子で十分であることが分かった。
本発明の他の側面において、脱ミエリン症患者に効果的な量のオリゴデンドロ
グリア増殖因子を投与することを含む、脱ミエリン症患者の治療方法が提供され
る。
当業者は本明細書の開示から、脱ミエリン症の治療に効果的な投薬方法につい
てよくわかるであろう。例えば、投薬は血管内に、経口的に、直腸から、などと
いった様々な投与形式で行われる。治療は望まれる治療結果が得られるまで続け
られる。当業者は投薬方法、投与量、および間隔が、患者の年齢、体重、および
体調に強く依存するということを認識するであろう。
オリゴデンドログリア増殖因子は、効果的な量のオリゴデンドログリア増殖因
子および通常無害な運搬体を含む薬剤組成物に処方してもよく、そのような運搬
体は当業者に知られている。組成物はその形態に適した投与法で与えられる。例
えばそのような組成物は、溶液、懸濁液、乳状液、並びに、経口的に、静脈注射
で、皮下注射で若しくは筋肉注射で投与できるようなものを含む、通常は液体調
製品の形態である。
さらに、脱ミエリン症の治療では、細胞内でゲノムからのオリゴデンドログリ
ア増殖因子の発現が誘導される。オリゴデンドログリア増殖因子の発現のために
選んだ例として、オリゴデンドログリア増殖因子のcDNAまたはゲノム配列の一部
を含むDNAで、in vitroまたはin vivoで形質転換される。in vitroで形質転換し
た細胞は、例えば細胞移植を行うように、当業者に精通した方法で哺乳類に導入
できる。in vivoでの形質転換は以前に記載された組換え体ベクターの導入によ
って成される。WO 90/117341990年10月18日公開。
次に述べる実例は例証とはなるが、本発明の限定を意図するものではない。実施例 実施例1 細胞培養
出生後6日目のスプラグ−ドーレイラットの脳梁および周囲の白質から大脳白
質(CWM)培養物を樹立し、上記に記載したように無血清培地中で維持した。
グリンスパンJ.B.,ら.,J Neurosci 1990、10、1866
1−18873。培養を開始した最初の4日間、細胞をオリゴデンドログリア増
殖因子で処理した。培地(さらにオリゴデンドログリア増殖因子を添加したもの
またはしないもの)は、3日または4日の間隔で置き換えた。いくつかの実験で
は(本文および図に示した)、ヒト血小板由来PDGF(大部分はABヘテロダ
イマー;ボーエン−ホープD.F.,らJ Biol Chem1989,264
,2502−2508;を週に二回(biweekly)、1%の血小板の少ないヒト血
漿とともに2ng/mL加えた;グリンスパンJ.B.,らJ Neurosci
1990,10,18661−18873。他の実験では、ヒトの組換え酸性
またはアルカリ性FGF(R&Dシステム)10ng/mLを48時間間隔で加
えた。新生ラットの座骨神経のシュワン細胞または背側神経節根(dorsal root
ganglia)の単一層培養は、ウッドP.M.およびウイリアムスA.K.,De
v Brain Res 1984,12,225−241;およびクレイダー
B.Q.,ら.,Brain Res 1981,207,433−444中に既
に記載されたように樹立された。実施例2 間接蛍光抗体顕微鏡観察
糖脂質に対するモノクローナル抗体(mAb)[A2B5(神経の細胞質抗原
)アイゼンバース、ら.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A
.1979,76,4913−4917;抗GD3抗体(ゴールドマンJ.E.
,ら.,J Neurosci 1986,6,52−60;01抗ガラクトセ
レブロシド(オリゴデンドログリア表面);ゾマーJ.およびシャチュナーM.
,
Dev Biol 1980.83,311−327;並びにR−mAb(ガラ
クトセルブロシド);ランシットB.,ら.,Proc Natl Acad
Sci USA 1982,79,2709−2713;バンサルR.,ら.,
J Neurosci Res 1989,24,548−557,あるいはミ
エリン関連糖タンパク質の細胞外領域に対して作成したウサギ抗血清;ペドラザ
L.,ら.,J Cell Biol 1990,111,2651−2751
;を、1:100に希釈して使用し、ジェームズサルダー博士、NYU医療セン
ターの好意によりいただいた]を、4℃(A2B5,01,R−mAB)または
25℃(抗MAG)で25分間固定していない培養液に添加した。ハンクスの緩
衝塩溶液で洗浄し、適切な蛍光、ローダミンまたはテキサスレッドが結合した二
次抗血清(ノルヂック、オルガノンテクニカ、またはジャクソンLabsから得
た)とともにインキュベートした後、細胞を酸−アルコール(95%エタノール
、5%酢酸、v/v)で−20℃10分間固定した。抗MBP mAb;ヒッケ
イ、ら.,J.Histochem.Cytochem.,1983,31,11
26−1135;をアセトン固定の後に加え、抗GFAB(ゲル活性化グリア繊
維タンパク質)mAb;リーVM−Y、ら.,J Neurochem1984
,42,25−32;は酸−アルコール固定の後に加えた。様々な抗体に結合し
た細胞の数は、カバーガラス表面上の1mm2に相当する63倍油侵した視野を
21個調べることによって決定した。視野はランダムに選択し、蛍光照射下で走
査する前にフェーズコントラスト下で適切な濃度であることを判断した。細胞分
裂指数は、酸−アルコール中で固定する前に少なくても4または24時間チミジ
ンアナログである、ブロモデオキシウリジン(BrdU、10μM)とともに培
養液をインキュベートすることによって見積もった。抗BrdU(アマシャム)
を使用した間接蛍光抗体顕微鏡観察を、核内にBrdUを取り込んだ表現型を示
す細胞の数を決定するのに使用した。グリンスピンJ.B.,ら.,J Neu
rosci 1990,10,18661−18873。実施例3 ノーザンブロッティング
MBP,PLP,またはMAGをコードするmRNAの定常状態の量を、ノー
ザンブロッティングによりオリゴデンドログリア増殖因子、PDGF,またはア
ルカリ性FGFを添加してまたはしないで維持したCWM培養液中において調べ
た。サンブルークJ,フリスチEF,マニアチスT Molecular Cl
oning.A Laboratory Manual。第2版コールドスプリ
ングハーバー出版、1989。この目的の為に、チョムジンスキーおよびサッシ
、Anal.Biochem.,1987,162,156−159の方法によ
ってCWM培養から全RNAを単離し、アガロースホルムアルデヒドゲル上での
電気泳動によって分離し、デュラロン メンブレン(ストラタジーン)にトラン
スファーした。プレハイブリダイゼーションは42℃で2時間、50%ホルムア
ミド、5×SSPE(1×=0.15M NaCl,0.01Mリン酸塩および
1mM EDTA)、1%SDS,5×デンハルト溶液(1×=0.02%ファ
イコール、0.02%ポリビニルピロリジン、0.02%ウシ血清アルブミン、
100μg/mL変性したサケ精子DNA)中で行った。ラットMBPまたはラ
ットPLPcDNA全長;デフェラF.,ら.,Cell 1985、43,7
21−727;グリンスパンJ.,ら.,J Neurocytol印刷中(1
992);カムホルズJ.,ら.,J Neurosci res 1992、
31、231−244;またはラットMAGcDNA(J.サルザー博士、NY
U医学センターより贈呈)によるハイブリダイゼーションは、同様のバッファー
で24時間行った。ブロットは2×SSCにて室温で1回、2×SSCにて65
℃で1回、および0.2×SSCにて65℃で1回洗浄し、コダックXAR5フ
ィルムに−70℃で感光させた。実施例4 オリゴデンドログリア増殖因子の精製
出生後3日のSprague−Dawleyラットの脳全体を、0.25Mス
クロース、0.1mM MgCl2、0.63mMフェニルメチルスルフォニルフ
ルオライド、および10mMトリス(pH7.0)を含む溶液(”懸濁用バッフ
ァー”)中で4℃でホモジェナイズした。ホモジェネートを2000×gで1
0分、4℃にて遠心した。130,000×gの沈澱物から再懸濁によって可溶
抽出物を調製し、0.5M NaCl懸濁用バッファー中で60分4℃にてイン
キュベーションし、その後130,000×gで60分間4℃にて遠心した。上
清をリン酸で緩衝化した150mM NaCl、pH7.0(PBS)にて4℃
で一晩透析し;ラトナーN.,ら.,Proc Natl Acad Sci
USA 1988,85,6992−6996;それからPBSであらかじめ平
衡化した10分の1量のDEAEセファデックス(ファルマシア)とともに一晩
撹拌した。懸濁液を遠心した。上清をS−200セファクリルカラム(ファルマ
シア)に載せ、画分をPBSで溶出した。オリゴデンドログリア増殖因子活性を
含む画分を得て、脱イオン水で4℃にて16時間透析し、親液性にして−80℃
にて保存した。これらの画分中のペプチドを、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分離し;ラミリ、U.
K.Nature1970,227,680−685;および銀染色で可視化し
た。ある実験では、ポンソース染色および密度測定をペプチドバンド中のタンパ
ク質量を見積もるのに使用した。オリゴデンドログリア増殖因子を含む染色して
いないSDS−PAGEのレーンの部分を、移動の方向に対して垂直に切り出し
、25℃で2回各々10分ずつハムのF−12培地で洗浄し、それから0.1%
(w/v)ウシ血清アルブミンを含むハムのF−12培地で4℃にて一晩振るこ
とによって断片からタンパク質を抽出した。残存したSDSはエクストラチゲル
(Pierce)の小さいカラムを通過させることによって上清から除去した。タンパ
ク質をこれらのカラムからハムのF−12培地にて溶出し、−80℃にて保存し
た。ラットCWM培養液中のオリゴデンドログリアの蓄積は、実施例5に記載し
たように0.5M NaCl膜抽出物由来のオリゴデンドログリア増殖因子の精
製過程をモニターするために使用した。生物活性のあるオリゴデンドログリア増
殖因子は、pH7.4で0.15M NaClではDEAEセファデックスに結
合せず、分子量50−70kD(球状タンパク質として)に相当する画分中にS
−200セファクリルカラムより溶出された。SDS−PAGEの後の銀染色は
、S−200セファクリルを通した後のオリゴデンドログリア増殖因子の調製物
は、いくつかのより薄いバンドとともに、還元下で見かけの分子量がおよそ60
kD
の主要なタンパク質バンドを含むことを示した(図4)。オリゴデンドログリア
増殖因子活性は、60kDalバンドを含むゲル断片を溶出する事によって効率
よく回収された。CWM培養液中でR−mAb+および01+オリゴデンドログリ
アの半最大蓄積は、SDS−PAGEを行った後のオリゴデンドログリア増殖因
子タンパク質2ng/mLの濃度にて得られた。オリゴデンドログリア増殖因子
の生物活性は、ゲルの他の部分からの溶出液中には検出されなかった。全精製工
程によって、最初のラット脳膜のNaCl抽出物中に対してオリゴデンドログリ
ア増殖因子の比活性は4,000倍に増加し、収率は67%であった。結果を表
1にまとめた。
実施例5 オリゴデンドログリア増殖因子の生物活性
PDGFまたはFGFを添加していない定められた培地に維持されたCWM培
養液中の表面01+またはR−mAb+のオリゴデンドログリアの増加が最大値の
半分になるタンパク質濃度を決定するために、精製の各々の段階に置ける服量−
反応曲線を作成することによってオリゴデンドログリア増殖因子活性を測定した
。galCに結合する01mAb,並びにgalCおよびスルフォリピッドの両
方に結合するR−mAbに対する結果は、;バンサルR,ら.,J Neuro
sci Res 1989,24,548−557;区別がつかなかった。活性
1ユニットは、オリゴデンドログリア増殖因子がmm2あたりさらに10個のオ
リゴデンドログリアを生産する量として定義した。オリゴデンドログリア増殖因
子に対する最大反応は、精製の各々の段階に置ける未処理のバックグラウンドレ
ベルの約8倍であった。様々な抗体を、オリゴデンドログリア増殖因子活性の効
果を決定するために培地に添加した。ウサギ抗ヒトPDGF(コラボレート リ
サーチ、50μg/mL)を、オリゴデンドログリア増殖因子とともに剌激する
ように添加した。ウサギ抗塩基性FGF(R&D,60μg/mL)を、オリゴ
デンドログリア増殖因子を加える90分前に添加し、ウサギ抗酸性FGF(R&
D,50μg/mL)を、オリゴデンドログリア増殖因子を加える30分前に添
加した。抗オリゴデンドログリア増殖因子mAb,Du(下記参照)はハイブリ
ドーマ上清として使用した(1:100、v/v)。実施例6 オリゴデンドログリア増殖因子のモノクローナル抗体
S200セファクリルを通した後のオリゴデンドログリア増殖因子で18日
間に渡ってマウスを免疫し;ブロードスキーF.M.,J Cell Biol
1985,101,2047−2054;アライら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.U.S.A.,1990,87,2249−2253に記載され
たようにハイブリドーマを調製した。クローンを単離し、その上清を、S200
セファクリルを通した後のオリゴデンドログリア増殖因子を標的抗原として、抗
オ
リゴデンドログリア増殖因子への結合をELISAによって試験した;リー V
M−Yら.,Proceedings of the Natl.Acad.S
ci.,USA 1988,85,1998−2002。6つのELISA陽性
クローンのうち2つ(TdおよびDu)は、オリゴデンドログリア増殖因子によ
って誘導されるCWM培養液中のgalC+細胞の蓄積を阻害した.Duとのペ
ルオキシダーゼ抗ペルオキシダーゼ(PAP)免疫細胞化学を、組織切片および
背側神経細胞根(DRG)培養中でのオリゴデンドログリア増殖因子の免疫反応
性を位置づけるのに使用した。ヒト脳から調製した組織院を、等張アルコールで
固定し、6μmパラフィン切片に切断した。P6ラットDRG培養は、酸アルコ
ールで固定し、2%仔ウシ血清(v/v)および0.1Mトリス、pH7.0中
の0.25%(w/v)冷水魚のゼラチン(cold water fish gelatin)で30
分ブロッキングして、それからオリゴデンドログリア増殖因子mAbとともにイ
ンキュベートした。それからパラフィン断片およびDRGカバーガラスについて
、ペルオキシダーゼ抗ペルオキシダーゼ免疫細胞化学分析を行った。カーデン(
1987)。実施例7 CNS膜0.5M NACL抽出物の予備的特徴付け
オリゴデンドログリア増殖因子活性は、実施例5に記載したように測定した。
NaCl抽出物を、0日目および3日目に20μg/mLの濃度になるように添
加した。オリゴデンドログリアの数は、01mAbまたはR−mAbに結合する
細胞を数えることによって決定した。0−2A細胞の数は、A2B5mAbには
結合するが、01mAbまたはR−mAb細胞には結合しない細胞の数を数えて
決定した。01mAbおよびR−mAbの結果は、見分けが付かなかった。抗G
FAPによる平行した実験では、未処理および処理した培養液の両方においてm
m2あたり2型星状細胞が1個より少なかったことが示された。結果は、標準誤
差を含む、4回の独立した実験の平均である。粗な新生ラットCNS膜由来の0
.5M NaCl抽出物による処理によって、新生ラットCWM培養液中のオリ
ゴデンドログリアから生じた細胞の数が増加し(図1および表2)、またその
ような細胞のBrdU核ラベル指数が一時的に増加した(図2および3)。
ラットCWM培養液中の1型星状細胞、ミクログリア、および内皮細胞の数お
よび分裂指数は、0.5M NaCl抽出物で処理することによって変化しなか
った(データは示さない)。NaCl抽出物で仲介されるCWM培養液中のオリ
ゴデンドログリアの増加は、塩基性FGF,酸性FGF,またはヒトPDGFの
働きを中和する抗血清によって阻害されなかった(データは示さない)。
0.5M NaCl抽出物およびヒトPDGFによって誘導されるCWM培養
液中のオリゴデンドログリアの数の増加は、相加的である(表3)。脳膜のNa
Cl抽出物(20μg/mL)およびヒトPDGF(2ng/mL)を、0日お
よび3日目に添加した。各々の結果は、4回の独立な実験±標準誤差の平均であ
る。
0.5M NaCl抽出物のオリゴデンドログリアに対する増加活性は、透析
膜を通過せず、トリプシンまたは100℃で5分処理しても不活化されなかった
(データは示さない)。A2B5および抗GFAPによる2重にラベルをした間
接的な免疫蛍光実験;グリンスパンJ.B.,ら.,J Neurosci.,1
990,10,18661−18873;は、1個より少ない数の2型星状細胞
/mm2が;ラフ M.C.,ら.,Nature 1983,303,390
−396;未処理および0.5MNaCl抽出物で処理したCWM培養液の両方
に存在したことを示した(データは示さない)。実施例9
0−2Aオリゴデンドログリアの子孫およびオリゴデンドログリアによるオリゴデンドログリア増殖因子によって刺激されたDNA合成の検出
最大の反応を引き出すのに十分な量のS200セファクリルまたはSDS−P
AGEを行った後のオリゴデンドログリア増殖因子でCWM培養液を処理し、B
rdUで1日パルスして1日後に観察した結果、A2B5+オリゴデンドログリ
アの子孫およびR−mAb+オリゴデンドログリアの両方においてBrdUラベ
ル指数が4から5倍増加した。
オリゴデンドログリア増殖因子は、BrdUパルスの間にオリゴデンドログリ
アに分化する急速に増殖している0−2A細胞の数を多くすることによってオリ
ゴデンドログリアのBrdUラベル指数を増加させるよりも;フレシナウドC.
,ら.,J Cell Physiol 1992、150、34−44、むし
ろ少なくともR−mAb+分化段階に到達したオリゴデンドログリア系列の細胞
に対して直接分裂効果を発揮することを立証するために、2つの実験を考案した
。第一の実験は、BrdUパルスの時間を24時間から4時間に減少し、それに
よってBrdUでラベルされた0−2A細胞がオリゴデンドログリアに成熟する
のに利用できる時間を制限した。BrdUでラベルされたR−mAb+細胞の数
はこの実験で5分の1に減少したが、R−mAb+細胞のBrdUラベル指数は
、コントロールの培養液に比べてオリゴデンドログリア増殖因子で処理したもの
では4倍増加した。第2の実験は、0−2A細胞群を増加させるためにPDGF
(2ng/mL)で3日間処理した培養液を使用し;グリンスパンJ.B.,ら
.J Neurosci.1990,10,18661−18873;それから
PDGFなしで5日間培養し、その期間に0−2A細胞はオリゴデンドログリア
へと成熟した。この時、これらの培養液は0−2A細胞/mm2は1個より少な
かった。オリゴデンドログリアが豊富で0−2A細胞が少ないこれらの培養液を
、S200セファクリルを通した後のオリゴデンドログリア増殖因子200ng
/mlで処理すると、R−mAb+細胞のBrdUラベル指数にたいして刺激が
5倍になった(オリゴデンドログリア増殖因子を添加してから1日後に開始して
、1日パルスした、n=3)。このような2つの実験の結果は、オリゴデンドロ
グリア増殖因子がR−mAb+オリゴデンドログリアに直接的な細胞分裂誘導効
果を発揮することを示唆した。
オリゴデンドログリア増殖因子がシュワン細胞または神経繊維内鞘繊維に対し
ても細胞分裂誘導因子となるかを決定するために、坐骨神経培養を既に記載され
たように調製し;クレイダーB.Q.,ら.,Brain Res1981,2
07,433−444;および血清を含むまたは含まない培地中で維持した。粗
0.5M NaCl抽出物(50μg/mL)またはS200セファクリルを通
した後のオリゴデンドログリア増殖因子(1μg/mL)を、培地中に添加し、
2日後にBrdUで1日間パルスした。血清のない培地中では、粗0.5M N
aCl抽出物は、シュワン細胞のBrdU核ラベル指数を4倍(n=5)増加さ
せた。しかし、S200セファクリルを通した後のオリゴデンドログリア増殖因
子は、血清の無い培地中または血清を含む培地中に置いてBrdUでラベルされ
たシュワン細胞または神経繊維内鞘繊維の割合を増加させなかった(データは示
さない)。実施例10
オリゴデンドログリア増殖因子によって増加したオリゴデンドログリアはMAG
を発現するが、ミエリン基質タンパク質(MBP)またはプロテオリピド(PLP)の合成または発現は行わない
オリゴデンドログリア増殖因子で3日間またはそれ以上処理したCWM培養液
中のR−mAb+オリゴデンドログリアの約3分の1は自身の細胞膜に、抗MA
G免疫グロブリンを結合した(図5)。ノーザンブロット解析により、オリゴデ
ンドログリア増殖因子で処理した培養物ではMAG遺伝子が発現していることが
確証された(データは示さない)。
10日間ヒトPDGF2ng/mLで処理したCWM培養液中のR−mAb+
細胞の46%(n=3)は、MBP+であったが、10日間オリゴデンドログリ
ア増殖因子で処理したCWM培養液中のR−mAb+細胞の4%(n=3)のみ
がMBP+であり(図6)、この数はさらに10日間観察しても増加しなかった
。オリゴデンドログリア増殖因子で処理したCWM培養液中の定常状態のMBP
およびPLPmRNAのレベルを、平行して行ったPDGFまたは塩基性FGF
で処理した培養液中のものとノーザンブロット解析を用いて比較した。PDGF
で処理した培養液中のオリゴデンドログリアの数が多く、塩基性FGFで処理し
た培養液中には実際に見られないことから予測されるように、MBPおよびPL
P mRNAの発現はPDGFで処理した培養物中では強いが、FGFで処理し
た培養物中ではほとんど検出されなかった(図7)。オリゴデンドログリア増殖
因子で処理した培養液中では、オリゴデンドログリアに特徴的なガラクト脂質を
発現する細胞は豊富にあるが、MBPおよびPLP mRNAレベルは非常に低
かっ
た(図7)。これは、オリゴデンドログリア増殖因子で処理したCWM培養液中
のオリゴデンドログリアにおけるMBP発現が低いレベルにあることに、翻訳前
の機構が少なくとも部分的に関与していることを示している。
オリゴデンドログリア増殖因子がPDGFで処理した培養液中のオリゴデンド
ログリアによるミエリン構造タンパク質の発現を抑圧するかを決定するために、
CWM培養液をオリゴデンドログリア増殖因子およびPDGFで10日間刺激す
るように処理した。間接免疫蛍光顕微鏡観察により、PDGFのみで処理した培
養液と同様に、これらの培養液中のR−mAb+細胞の約半分(49%、n=3
)がMBP+でもあった。
前の観察から、ミエリン脂質およびミエリン構造タンパク質の合成はオリゴデ
ンドログリアの分化に深く関与していることが示唆された。このように、塩基性
FGFを含む培地中で維持された培養物において、オリゴデンドログリア系列に
ある細胞はミエリン ガラクトスフィンゴ脂質(galCおよびサルファチド)
およびMBPおよびPLPをコードするmRNAの両方を発現できない一方、塩
基性FGFを添加しないで維持している培地中では、galCの発現と同時にM
BPおよびPLPをコードするmRNAが出現し、MBPおよびPLPの免疫反
応はその後数日で行うことができるようになる。クナップP.E.、ら.,De
v Biol 1987,120,356−365;ガードA.L.およびプフ
ェイファーS.E.,Development 1989,119−132;コ
ラリニ,ら.,Development 1992,116,193−200;
グリンスパンJ.,ら.,J Neurocytol.印刷中(1992)。し
かし、これらの示唆とは反対に、オリゴデンドログリア増殖因子で処理した培養
液中において、ミエリン脂質およびミエリン構造タンパク質合成の共役は見られ
ないようであり;R−mAb+および01+細胞は蓄積するが、MAGを発現する
ものはあるがMBPおよびPLPは発現しない。よく考えると、新たなオリゴデ
ンドログリアのPLPおよびMBPの発現をオリゴデンドログリア増殖因子が誘
導しないということは、小さなミエリンの中の脂質二重膜間の相互作用の安定化
に大きく関わっているタンパク質が;キルシュナーD.A.およびブラウロック
A.E.,ミエリン:生物学および化学(マルテンソンRE、編集)、pp3−
80.
ボクラートン:CRC印刷(1992)にある;これらオリゴデンドログリアに
よるアクソンの最初の包み込みを促進するためであろう。実施例11
オリゴデンドログリア増殖因子に対するモノクローナル抗体を用いた研究は、オリゴデンドログリア増殖因子は神経によって発現されることを示す
6つのELISA陽性のオリゴデンドログリア増殖因子mAbのうち2つ(”
Du”および”Te”)は、CWM培養液中のオリゴデンドログリア増殖因子に
よるA2B5+およびR−mAb+細胞の増加を阻害した。この2つの各々に関し
て、S200セファクリルを通した後のオリゴデンドログリア増殖因子200n
g/mLの最大生物活性の半分の阻害は、1:500に希釈した(v/v)ハイ
ブリドーマ上清から得られた(データは示さない)。DuおよびTeはPDGF
または塩基性FGF処理によって誘導されるオリゴデンドログリア系列細胞の増
加を阻害しない(データは示さない)。
免疫ペルオキシダーゼ実験により、Duはヒト脳のパラフィン切片中のペリカ
ルヤおよびペリカルヤ細胞の軸索、並びに新生ラットの背側神経根(dorsal roo
t ganglia)の酸アルコール固定培地中の多くの神経に結合することが示された
(図8)。ラットDRG培養中の繊維芽細胞若しくはシュワン細胞、またはラッ
トCWM培養中のいかなる細胞種に対してもDuの結合は検出されなかった(デ
ータは示さない)。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12N 15/09 9281−4B C12N 5/00 B
C12P 21/02 9455−4C A61K 37/02 AAB
21/08 9162−4B C12N 15/00 C
//(C12N 5/10
C12R 1:91)
(C12P 21/02
C12R 1:91)
(C12P 21/08
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SI,SK,TT,UA,U
Z,VN
(71)出願人 ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバー
シティ・オブ・ペンシルバニア
アメリカ合衆国ペンシルバニア州19104―
3147,フィラデルフィア,マーケット・ス
トリート 3700,スウィート 300,セン
ター・フォー・テクノロジー・トランスフ
ァー
(72)発明者 クレイダー,バーバラ・キュー
アメリカ合衆国ニュージャージー州08054,
マウント・ローレル,フォックス・ラン・
ドライブ 2
(72)発明者 プレジャー,デービッド
アメリカ合衆国ペンシルバニア州19096,
ウィニーウッド,ケント・ロード 258
(72)発明者 リー,ヴァージニア・エム−ワイ
アメリカ合衆国ペンシルバニア州19147,
フィラデルフィア,フィフス・ストリー
ト,サウス 776