JPH085628A - 塩化物イオンの蛍光分析方法 - Google Patents

塩化物イオンの蛍光分析方法

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JPH085628A
JPH085628A JP14137094A JP14137094A JPH085628A JP H085628 A JPH085628 A JP H085628A JP 14137094 A JP14137094 A JP 14137094A JP 14137094 A JP14137094 A JP 14137094A JP H085628 A JPH085628 A JP H085628A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヨウ化物イオンに代表される妨害種の存在下
であっても、蛍光消光により選択的に塩化物イオンを検
出できる蛍光色素を見いだし、該蛍光色素を用いた塩化
物イオンの選択的な連続分析方法を提供する。 【構成】 塩化物イオンにより蛍光消光する蛍光色素を
使用して、試料中の塩化物イオン濃度を検出する蛍光分
析方法において、該蛍光色素として式(1) 【化1】 で示される3,6−ビス(ジメチルアミノ)アクリジン
およびその誘導体を使用することを特徴とする塩化物イ
オンの蛍光分析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化物イオンの選択的
蛍光分析方法に関し、より詳細には複雑な組成をもつ試
料中の塩化物イオン濃度を連続的に検出する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】塩化物イオンは、生体内をはじめ河川や
海水などの環境水中に広範囲に分布し、pHバランスな
どを通して生態系と深く関連している。また、塩化物イ
オンはナトリウムイオンなどの金属イオンや種々の有機
物陽イオンの対アニオンとしても重要な役割を果たして
いる。したがって、臨床分析や環境保全などの広い分野
において塩化物イオン濃度は重要な指標となっている。
また、塩酸や塩化ナトリウムなどの金属塩化物は工業的
に多量に用いられており、工程管理や品質管理などの点
からも塩化物イオンの分析は重要な位置を占めている。
【0003】すなわち、医療あるいは工業プロセスにお
いては塩化物イオン濃度を連続的にモニタし、その測定
結果をフィードバックさせて常に塩化物イオン濃度をコ
ントロールする必要がある。
【0004】分析対象となる血清などの生体試料や河川
水などの環境水あるいはプラントにおける反応溶液や工
業廃水などの化学組成はきわめて複雑であり、共存する
イオンや有機物が分析において大きな妨害となることも
少なくない。したがって、共存物による影響がきわめて
小さな塩化物イオンの分析方法が要望されている。とく
に、半導体産業などで必須の高純度試薬たとえば塩素や
金属塩化物などの試薬製造工程においては、他のハロゲ
ンイオンの共存下における塩化物イオンの高精度な計測
は不可欠である。
【0005】従来、試料検水中の塩化物イオンは重量法
や滴定法あるいは比色法などにより分析されている。こ
れらの分析方法は、高い感度と精度とを有しているが、
試料のサンプリング、前処理、測定などの複雑な操作が
必要である。例えば、比色法の一つであるチオシアン酸
水銀法では、試料溶液を前処理した後、チオシアン酸水
銀溶液と鉄ミョウバン溶液とを加え、所定時間後に吸光
度を測定する。いずれの分析方法においても試料溶液の
前処理が肝要であり、とくに臭化物イオン、ヨウ化物イ
オン、またはシアン酸イオンなどからの分離が必要とさ
れる。したがって、これらの分析方法はin situ
あるいはオンラインにおいて連続計測が要求される多く
の分野には適用困難である。
【0006】一方、イオン電極を用いた電気化学的な塩
化物イオンの分析法は、簡便な連続計測法であり、塩化
物イオンの汎用的な分析方法である。しかし、イオン電
極はその機械的強度がさほど高くはなく、破損しやすい
ため実試料の分析においてその操作性は必ずしもよくな
い。また試料検水のpHや共存イオンの妨害、とくに臭
化物イオンとヨウ化物イオンの妨害を強く受けるため実
用上の問題点も少なくない。
【0007】そこで、より選択性に優れた塩化物イオン
濃度の連続計測法として、塩化物イオンによる蛍光色素
の蛍光消光を利用した分析方法が提案されている。塩化
物イオンによる蛍光色素の消光についての報告は古く、
1869年にさかのぼる(Stokes G G et
al.Chem.Soc.22:174−18518
69)。その後、多環芳香族化合物の蛍光が酸素や二酸
化硫黄で消光されることを利用してこれらの化学種を分
析する方法については数多くの報告がなされている。し
かしながら、これまでに蛍光消光に基づいて塩化物イオ
ンを測定するための蛍光色素の開発および探索について
の報告は少なく、ハロゲンイオンを分析する蛍光色素と
しては、6−メトキシ−1−(3−スルホプロピル)キ
ノリニウムや3−(10−メチルアクリジニウム−9−
イル)プロピオン酸4フッ化ホウ酸塩(Urbano
E et al.Anal.Chem.56:427−
429,1984)が報告されている。
【0008】一般に塩化物イオンなどのハロゲンイオン
による蛍光消光はスターン−ボーマー式(Stern
O et al.Phys.Z.20:183−19
0,1919)で表され、ハロゲンイオンの濃度が等し
ければ消光定数が大きな蛍光色素ほどその蛍光強度は大
きく減少する。換言すれば、消光定数が大きな蛍光色素
ほど高感度にハロゲンイオンの計測を行うことができ
る。通常、塩化物イオンに対する有機蛍光色素の消光定
数は1M-1 以下と小さいが、上記2種類の蛍光色素の
塩化物イオンに対する消光定数は1〜10M-1 と大き
く、高感度に塩化物イオンの濃度を計測することが可能
である。
【0009】しかしながら、原子量が大きいハロゲンイ
オンほど強く蛍光消光を引き起こすため、蛍光消光に基
づく塩化物イオンの分析においても臭化物イオンやヨウ
化物イオンが大きな妨害となる。
【0010】したがって、これら妨害イオンによる影響
の少ない塩化物イオン濃度の計測を可能にするために、
塩化物イオンに対して大きな消光定数を有し、臭化物イ
オンやヨウ化物イオンによる消光の影響が小さな蛍光色
素が要望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】塩化物イオンによる蛍
光色素の蛍光消光を利用した分析方法は、塩化物イオン
濃度の増加に伴い蛍光色素からの蛍光強度が減少するこ
とを利用して、その蛍光強度変化から間接的に塩化物イ
オン濃度を測定するものである。したがって、塩化物イ
オンにより消光される数多くの有機あるいは無機の蛍光
色素を利用することができる。更に、これら蛍光色素か
ら塩化物イオンに対して特異的に大きな消光定数をもつ
化合物を探索することにより、塩化物イオンの選択的な
計測が可能になる。
【0012】しかしながら、これまでに塩化物イオンを
計測する目的で報告された蛍光色素は共存するハロゲン
イオンとくにヨウ化物イオンにより強く消光され、この
ようなイオンが共存する試料については高精度な塩化物
イオンの計測が困難であった。 本発明は、ヨウ化物イ
オンに代表される妨害種の存在下であっても、蛍光消光
により選択的に塩化物イオンを検出できる蛍光色素を見
いだし、該蛍光色素を用いた塩化物イオンの選択的な連
続分析方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、蛍光消光に
基づく塩化物イオンの分析において、上記の観点から蛍
光色素の探索を行い、3,6−ビス(ジメチルアミノ)
アクリジン及びその誘導体が優れた蛍光色素であること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、塩化物イオンにより
蛍光消光する蛍光色素を使用して、試料中の塩化物イオ
ン濃度を検出する蛍光分析方法において、該蛍光色素と
して式(1)
【0015】
【化3】 で示される3,6−ビス(ジメチルアミノ)アクリジン
およびその誘導体を使用することを特徴とする塩化物イ
オンの蛍光分析方法である。
【0016】また、本発明の蛍光分析方法は、蛍光色素
として、式(2)
【0017】
【化4】 (但し、Rは炭素数1〜30のアルキル置換基、I-は
ハロゲンイオンを表す。)で示される3,6−ビス(ジ
メチルアミノ)−10−アルキルアクリジニウムイオン
のハロゲン化物を使用することを含むものである。
【0018】また、本発明の蛍光分析法は、前記式
(2)で示される蛍光色素を担体に固定し、この担体を
試料溶液と接触させて該蛍光色素を消費することなく塩
化物イオンの濃度検出を連続的に行うことを含むもので
ある。
【0019】また、本発明の蛍光分析法は、前記式
(2)で示されるハロゲン化物が臭化物であることを含
むものである。
【0020】
【作用】塩化物イオンなどのハロゲンイオンによる蛍光
消光は、光励起された蛍光色素の励起エネルギーがハロ
ゲンイオンへと移動し、蛍光色素が蛍光を発することな
く基底状態へと緩和することに基づく。
【0021】したがって、分析に際しては所定濃度の蛍
光色素を予め試料溶液に溶解しておくか、あるいは予め
蛍光色素が添加できない場合には、所定濃度になるよう
分析直前に蛍光色素を試料溶液に添加し、その蛍光強度
を測定する。塩化物イオンが存在しないときの所定濃度
の蛍光色素溶液の蛍光強度を求めておき、塩化物イオン
の有無におけるそれぞれの蛍光強度から塩化物イオン濃
度を求める。
【0022】また、試料溶液中への蛍光色素の拡散や流
出あるいは毒性などにより試料溶液へ蛍光色素を直接添
加することが困難な場合は、蛍光色素の10位にある置
換基を用いて蛍光色素を適当な担体へ固定し、この担体
を試料溶液と接触させてその蛍光強度から塩化物イオン
濃度を測定する。この方法を用いれば、分析に際して蛍
光色素を消費することなく、分析後は担体とともに蛍光
色素を全て回収することができる。
【0023】例えば、3,6−ビス(ジメチルアミノ)
−10−アルキルアクリジニウムイオンの蛍光特性(蛍
光強度、励起波長、あるいは蛍光波長)は10位のアル
キル鎖長に殆ど依存しないので、適当なアルキル基を1
0位の位置に導入し、アルキル鎖の疎水性を利用して蛍
光色素を担体へ物理的に固定する。10位の位置に導入
するアルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜30のも
のである。
【0024】3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10−
アルキルアクリジニウムイオンの10位のアルキル基は
ハロゲン原子、スルホネート基、アミノ基、スチリル
基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ケト
ン基、シアノ基、3級以上の置換もしくは未置換アルキ
ル基、置換もしくは未置換アリール基、置換もしくは未
置換シクロアルキル基を含んでいてもよい。
【0025】また、このアルキル基はマレイミドやスク
シンイミドなどの反応活性基で修飾されていてもよい。
反応活性基で修飾された蛍光色素は−SHなどの官能基
をもつ化合物あるいはこれら官能基をもつ担体表面に化
学的に固定することが可能であり、蛍光色素を化学的に
固定した担体を分析に供することもできる。
【0026】蛍光色素を固定する担体としては、クロマ
トグラフィーなどに用いられる粒子状担体や機能性膜の
材料となる高分子化合物あるいはゲル状化合物などが挙
げられる。例えば、多孔質ガラス、ゼオライト、シリカ
ゲル、アルミナなどの粒子状担体、イオン交換樹脂、ポ
リメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ウレタンな
どの高分子化合物あるいはポリビニルアルコール、ポリ
アクリルアミドなどのゲル状化合物などである。
【0027】なお、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−
10−アルキルアクリジニウムイオンは陽イオンであ
り、対イオンとして臭化物イオンのほか塩化物イオンな
どのハロゲンイオン、水酸化物イオン、チオシアン酸イ
オン、ホウ酸イオン、過塩素酸イオンなどの陰イオンを
対イオンとする蛍光色素を本発明の分析方法に用いるこ
ともできる。
【0028】本発明の蛍光分析方法は、化成品の原料や
中間生成物あるいは最終生成物における塩化物イオンの
計測に好適である。また、工業プラントにおける冷却水
や廃水などの分析にも適用可能である。更に、地下水や
河川水などの環境水あるいは血液や細胞内液などの生体
試料における塩化物イオンの計測にも用いることができ
る。特に、試料溶液をポンプにより送液し、この流れの
中に蛍光色素を固定した担体を設置して、その蛍光強度
を測定することにより、蛍光色素を消費することなく連
続的に塩化物イオン濃度をモニタすることができる。
【0029】被検試料としては、水溶液が望ましいが、
エタノールやアセトニトリルなど水に可溶な有機溶媒が
溶解していても構わない。また、試料溶液のpHは中性
付近が望ましいが、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−
10−アルキルアクリジニウムイオンの蛍光特性はpH
3〜11の範囲で殆ど変化しないので広範なpH領域に
おいて分析が可能である。更に、3,6−ビス(ジメチ
ルアミノ)−10−アルキルアクリジニウムイオンの蛍
光特性は試料溶液のイオン強度にも殆ど依存しないの
で、広範なイオン強度をもつ試料を本発明の分析方法に
使用することができる。すなわち、上記のような蛍光色
素の蛍光特性により、分析操作においては試料のpH調
整やイオン強度調整などの前処理が不必要となり、広範
な測定対象についてin situな連続分析方法を提
供することが可能になる。
【0030】3,6−ビス(ジメチルアミノ)アクリジ
ンおよびその誘導体の蛍光を測定するための励起光源と
しては、フィルターや回折格子で分光したタングステン
ランプやキセノンランプあるいは発光ダイオードなどを
用いることができる。また、3,6−ビス(ジメチルア
ミノ)アクリジンおよびその誘導体の励起極大波長は4
90nm付近にあり、これは市販のアルゴンイオンレー
ザーの発振波長(488nm)とよく一致しているの
で、レーザーを励起光源とすることも可能である。とく
に試料へ蛍光色素を十分量添加できない場合、また担体
への蛍光色素の固定量が少ない場合、ランプ励起では十
分な蛍光強度が得られず分析には支障がある。このよう
な場合、レーザーを励起光源として高感度に蛍光を測定
し、これより塩化物イオン濃度を精度よく求める。蛍光
色素からの蛍光はフィルターや回折格子を用いて励起光
と分離し、その強度をフォトダイオードや光電子倍増管
あるいはCCDカメラにより測定する。
【0031】また本発明に係る色素を用いる蛍光分析方
法は、単に塩化物イオンの濃度の測定だけでなく、塩化
物イオンが関与する反応において塩化物イオン量と化学
量論的な関係にある化学種の分析にも用いることができ
る。例えば、有機化合物へのハロゲン付加反応や脱ハロ
ゲン化反応において本発明の分析方法により塩化物イオ
ンの濃度を測定し、これより原料有機化合物の量や反応
生成物の量を間接的に求めることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものでは
ない。
【0033】実施例1 〈塩化物イオンによる3,6−ビス(ジメチルアミノ)
−10−ドデシルアクリジニウムブロミドの蛍光消光〉 (1)1μMの3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10
−ドデシルアクリジニウムブロミド(市販品)を含有す
る0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を調製
した。これに所定濃度(10-4乃至100M)となるよ
うに塩化カリウムを溶解した。
【0034】(2)励起波長490nm、蛍光波長53
0nmにおいて上記溶液の蛍光強度を測定し、塩化物イ
オン濃度が0Mのときの蛍光強度を1として相対蛍光強
度を求めた。
【0035】この結果を図1に示す。FおよびF0を塩
化物イオンが存在するとき及び存在しないときの蛍光強
度、kを消光定数、〔Cl〕を塩化物イオン濃度とする
と、スターン−ボーマー式は次式で表される。
【0036】
【数1】F/F0=(1+k〔Cl〕)-1 図1及び上式により塩化物イオンに対する消光定数kを
求めたところ6.7M-1となった。
【0037】比較例1 〈塩化物イオンによる6−メトキシ−1−(3−スルホ
プロピル)キノリニウム及び3−(10−メチルアクリ
ジニウム−9−イル)プロピオン酸4フッ化ホウ酸塩の
蛍光消光〉 (1)1μMの6−メトキシ−1−(3−スルホプロピ
ル)キノリニウム、3−(10−メチルアクリジニウム
−9−イル)プロピオン酸4フッ化ホウ酸塩をそれぞれ
含有する0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)
を調製した。これら各溶液に所定濃度(10-4乃至10
0M)となるように塩化カリウムを溶解した。
【0038】(2)表1に示す励起波長及び蛍光波長に
おいて上記溶液の蛍光強度を測定し、塩化物イオンの濃
度が0Mのときの蛍光強度を1として相対蛍光強度を求
めた。
【0039】
【表1】 実施例1と同様にスターン−ボーマー式により消光定数
kを求めたところ、6−メトキシ−1−(3−スルホプ
ロピル)キノリニウムの場合が7.6M-1、3−(10
−メチルアクリジニウム−9−イル)プロピオン酸の場
合が9.3M-1であった。3,6−ビス(ジメチルアミ
ノ)−10−ドデシルアクリジニウムがこれら蛍光色素
に匹敵する大きな消光定数を有することがわかった。
【0040】実施例2 〈塩化物イオンによる3,6−ビス(ジメチルアミノ)
アクリジンおよび3,6−ビス(ジメチルアミノ)−1
0−ヘキサデシルアクリジニウムブロミドの蛍光消光〉 (1)1μMの3,6−ビス(ジメチルアミノ)アクリ
ジン(市販品)、1μMの3,6−ビス(ジメチルアミ
ノ)−10−ヘキサデシルアクリジニウムブロミド(K
awabata Y et al.Anal.Che
m.62:2054−2055,1990により合成)
をそれぞれ含有する0.1Mリン酸カリウム緩衝液(p
H7.0)を調製した。これら各溶液に所定濃度(10
-4乃至10 0 M)となるように塩化カリウムを溶解し
た。
【0041】(2)励起波長490nm、蛍光波長53
0nmにおいて上記溶液の蛍光強度を測定し、塩化物イ
オンに対する消光定数を算出した。得られた消光定数
は、3,6−ビス(ジメチルアミノ)アクリジンの場合
は7.3M-1、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10
−ヘキサデシルアクリジニウムブロミドの場合は6.4
M-1 であった。3,6−ビス(ジメチルアミノ)アク
リジンおよびその10位アルキル置換体は塩化物イオン
に対して大きな消光定数を有することが確認された。
【0042】実施例3 〈塩化物イオンの蛍光分析におけるヨウ化物イオンの妨
害〉 (1)1μMの3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10
−ドデシルアクリジニウムブロミド、1μMの6−メト
キシ−1−(3−スルホプロピル)キノリニウム、1μ
Mの3−(10−メチルアクリジニウム−9−イル)プ
ロピオン酸4フッ化ホウ酸塩をそれぞれ含有する0.1
Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を調製した。こ
れら各溶液にヨウ化カリウム(1mM)および所定濃度
(10-4乃至100 )となるように塩化カリウムを溶解
した。
【0043】(2)上記溶液の蛍光強度を測定し、塩化
物イオン濃度が0Mのときの蛍光強度を1として相対蛍
光強度を求めた。なお、蛍光測定における各色素に対す
る励起波長及び蛍光波長は比較例1と同様である。
【0044】(3)所定の塩化物イオン濃度において、
ヨウ化物イオンが存在しないときの相対蛍光強度(図
1)からヨウ化物イオンが存在するときの蛍光強度を差
し引いて、塩化物イオンの分析におけるヨウ化物イオン
の妨害を調べた。
【0045】得られた結果を図2に示す。図中、縦軸は
ヨウ化物イオンが存在しないときの相対蛍光強度(真の
蛍光強度)からの誤差、横軸は塩化物イオン濃度であ
る。
【0046】図2より、従来の塩化物イオンの分析に用
いられた蛍光色素と比較して、3,6−ビス(ジメチル
アミノ)−10−ドデシルアクリジニウムはヨウ化物イ
オンの妨害が極めて小さいことが確認された。
【0047】また、3,6−ビス(ジメチルアミノ)ア
クリジン、並びに3,6−ビス(ジメチルアミノ)−1
0−ヘキサデシルアクリジニウムブロミドを蛍光色素と
して用いて同様な実験を行い、これらの蛍光色素につい
てもヨウ化物イオンの妨害が極めて小さいことを確認し
た。
【0048】
【発明の効果】本発明に係る蛍光色素は、従来の蛍光色
素と同様に高感度なハロゲンイオンの検出を可能にする
上、ハロゲンイオンの中でも塩化物イオンを選択的に検
出することが可能である。
【0049】従って、このような蛍光色素を用いる本発
明分析方法によれば、塩化物イオンの連続分析が可能で
あり、更に、従来技術において問題となっていたヨウ化
物イオン存在下での塩化物イオンの分析を正確に行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る溶液の蛍光強度と塩化物イオン
濃度との関係を示すグラフである。
【図2】実施例4に係る溶液について真の蛍光強度から
の誤差と塩化物イオン濃度との関係を示すグラフであ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化物イオンにより蛍光消光する蛍光色
    素を使用して、試料中の塩化物イオン濃度を検出する蛍
    光分析方法において、該蛍光色素として式(1) 【化1】 で示される3,6−ビス(ジメチルアミノ)アクリジン
    およびその誘導体を使用することを特徴とする塩化物イ
    オンの蛍光分析方法。
  2. 【請求項2】 蛍光色素として、式(2) 【化2】 (但し、Rは炭素数1〜30のアルキル置換基、I-は
    ハロゲンイオンを表す。)で示される3,6−ビス(ジ
    メチルアミノ)−10−アルキルアクリジニウムイオン
    のハロゲン化物を使用する請求項1に記載の蛍光分析方
    法。
  3. 【請求項3】 前記式(2)で示される蛍光色素を担体
    に固定し、この担体を試料溶液と接触させて該蛍光色素
    を消費することなく塩化物イオンの濃度検出を連続的に
    行う請求項2に記載の蛍光分析方法。
  4. 【請求項4】 前記式(2)で示されるハロゲン化物が
    臭化物である請求項2に記載の蛍光分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002514308A (ja) * 1997-06-11 2002-05-14 ネルコ ケミカル カンパニー 半導体蛍光光度計およびその使用方法
JP2002535623A (ja) * 1999-01-12 2002-10-22 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 塩化物を検知するための光学的−化学的センサー

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