JPH086169B2 - 鋼材部品のガス浸炭方法 - Google Patents

鋼材部品のガス浸炭方法

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JPH086169B2
JPH086169B2 JP3192521A JP19252191A JPH086169B2 JP H086169 B2 JPH086169 B2 JP H086169B2 JP 3192521 A JP3192521 A JP 3192521A JP 19252191 A JP19252191 A JP 19252191A JP H086169 B2 JPH086169 B2 JP H086169B2
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gas
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carbon
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均 太田
統一 池内
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Chugai Ro Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼材部品のガス浸炭法、
特に、雰囲気中のカーボンポテンシャルをAcm、即ち、
浸炭温度におけるオーステナイト中の炭素の飽和濃度と
の平衡値以上に維持しながら、被処理物をガス浸炭する
高濃度ガス浸炭方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車部品、機械部品その他の鋼
材部品の耐摩耗性、耐ピッチング性等を向上させる手段
として、ガス浸炭法、特に、高濃度ガス浸炭法が採用さ
れている。この高濃度ガス浸炭法は、基本的には、浸炭
性ガスを炉内に供給し、その雰囲気中のカーボンポテン
シャルをAcm以上に維持しながら、被処理物をオーステ
ナイト温度域内の一定温度で加熱することによって、そ
の表面に炭素を吸収させ、マトリックスに第2相である
炭化物を分散析出させる方法である。
【0003】この高濃度ガス浸炭法として、例えば、
(イ)一定温度で高濃度ガス浸炭処理を行った後、室温
まで空冷し、これを再度所定温度まで急速加熱した後、
直ちに急冷焼入れする方法(特公昭47ー32182号
公報)、(ロ)Acm以下のカーボンポテンシャルで予備
浸炭し、これを再加熱してAcmを越えるカーボンポテン
シャルで浸炭処理した後、焼入れする方法(特公昭62
ー24499号公報)、及び(ハ)雰囲気中のカーボン
ポテンシャルがAcm以下の条件下で一次浸炭処理した
後、空気中で冷却し表面の粒界酸化層を酸化させ、その
粒界酸化層をショットブラストで除去した後、雰囲気中
のカーボンポテンシャルがAcmを越える条件下で2次浸
炭する方法(特公昭63ー60113号公報)など種々
の方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高濃度ガス浸炭方法では、いずれも浸炭温度を一定にし
て浸炭を行っているため、浸炭時間の経過と共に被処理
物中の一部の合金元素、例えば、Cr,Si,Mnなど
が選択的に酸化されて表層および表層近傍の粒界に集中
し、数10μの粒界酸化および浸炭異常層を生じ、十分
な焼入硬度が得られなくなるという問題がある。しか
も、粒界酸化が生じると、その近傍のCr,Mnなどが
欠乏してセメンタイトを形成し難くなり、また炭素濃度
も上がらず、浸炭むらを生じ、このため、耐摩耗性、耐
ピッチング性などの機械的性質が低下し、材料本来の特
性が損なわれるという問題がある。さらに、セメンタイ
トの粒状化、特に、表層より約0.1mm以上の深さでの
粒状化が不十分となり易いという問題がある。
【0005】従って、本発明は、高濃度ガス浸炭処理時
の粒界酸化及び浸炭異常層の形成を抑制し、表層に微細
な粒状セメンタイトを高密度に生成させ、耐摩耗性、耐
ピッチング性などの機械的性質を向上させることを主目
的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、鋼材部品をAcm以上のカーボ
ンポテンシャルの雰囲気中でガス浸炭処理するに際し、
オーステナイト温度域で浸炭温度を10〜50℃、好ま
しくは20〜30℃の範囲でサイクリングさせるように
したものであって、要すれば、オーステナイト温度域で
浸炭温度を前記温度範囲内でサイクリングさせると共
に、浸炭途中でAr1点以下の所定温度まで冷却するよ
うにしたものである。
【0007】本発明に係る高濃度ガス浸炭法は、浸炭温
度をオーステナイト温度域内の所定温度とその温度より
も10〜50℃高い若しくは低い温度とに周期的に変
え、被処理物をこれらの各温度で交互に所定時間処理す
ることによって行われるが、この浸炭温度をサイクリン
グさせる周期は、通常、10分〜180分/サイクルの
範囲で設定される。炉が通常のバッチ炉の場合は、操業
性を考慮して60分/サイクル程度に設定するのが好ま
しい。なお、被処理物である鋼材部品の材質は必ずしも
浸炭鋼である必要はなく、汎用鋼であっても良い。
【0008】また、サイクリング時の冷却は、理論的に
は急冷がよいが、実用炉での一般的な炉冷速度0.5〜
2℃/min 程度で十分な効果が得られる。また、サイク
リング時の昇温は、理論的には冷却時とは逆にゆっくり
としたほうが良いが、現実的には1℃/min 以下で良
い。これは、急熱しすぎると材料表層のマトリックス中
の炭素が不飽和になるからである。
【0009】本発明の実施態様においては、浸炭処理の
途中でAr1点以下の所定温度まで少なくとも一回冷却
されるが、この場合の温度はAr1点以下Ms点以上の
温度範囲内の温度が良く、通常、300〜730℃、好
ましくは400〜500℃の範囲内の温度に設定され
る。また、その時の冷却速度は、過剰のフェライトが生
じたり、マルテンサイトが生成しない程度の速度が良
く、通常、3〜60℃/minに設定される。また、冷却
後の昇温速度は、冷却速度よりの遅い速度、通常、1〜
15℃/minに設定するのが好ましい。
【0010】
【作用】吸熱型雰囲気中でAcm以上のカーボンポテンシ
ャルで浸炭処理を行う、いわゆる飽和値浸炭を行うと、
被処理物の表層部に炭素が吸収、拡散され、表面炭素濃
度が高められるが、浸炭中に、浸炭温度を10〜50℃
の温度範囲内でサイクリングさせると、浸炭温度の降下
時に被処理物の表層部ではマトリックス中の炭素が過飽
和となってセメンタイトが分散析出すると共に、炭素が
雰囲気中へ放出される。このようにオーステナイト中に
固溶している炭素がセメンタイトとして析出する際に生
成される活性炭素が被処理物表層部の酸化物と反応し
て、その酸化物を還元し酸素分を材料外へ駆逐すると共
に、還元されたCr,Mnなどの合金元素は再びマトリ
ックス中へ拡散する。選択的に酸化され易い合金元素の
うちSiは一度酸化すると還元されないが、Cr,Mn
等は還元されるため粒界酸化が減少し、浸炭異常層の生
成が抑制される。
【0011】浸炭温度のサイクリングの温度幅を10〜
50℃、好ましくは20〜30℃としたのは、次の理由
による。即ち、ガス浸炭処理における浸炭時間(t)と
浸炭深さ(d)は、式:d=k√t(mm)で与えられ、
ある温度に於けるγFe中の飽和炭素量および炭素の拡
散係数は、表1に示されるように、温度が上昇する程増
大する。従って、サイクリングの温度幅が大きいほど飽
和炭素量の差が大きくなり粒界酸化を軽減させることが
できるが、拡散速度の差が大きくなり浸炭時間の短縮化
を図る上で効果的ではなく、また、高温部に比べ低温部
の温度が低すぎると、還元速度より酸化速度が大きくな
り粒界酸化を軽減できないので前記範囲とした。
【0012】
【表1】 γFe中の飽和C量、Cの拡散係数 飽和C量 Cの拡散係数(k) 930℃ 1.3% 0.63 900℃ 1.2% 0.54 870℃ 1.1% 0.44
【0013】また、浸炭処理の途中で、一回以上Ar1
点以下Ms点以上の温度にまで冷却すると、結晶粒内に
細かい多数のセメンタイト核が析出し、これをAc1
以上にゆっくりと昇温させると、セメンタイトの安定化
及び粒状化が促進される。この中間冷却はセメンタイト
の粒状化、特に、内部の粒状化に寄与する。
【0014】更に、前記中間冷却後の浸炭処理での浸炭
温度のサイクリングは、粒界酸化の軽減のみならず粒状
化の促進にも寄与し、とくに表層より少し内部に入った
部分の粒界のセメンタイトの分断、粒状化および粒界近
傍に生成する異常組織の発生防止に効果がある。もとも
と中間の冷却は粒状化の促進が目的であるが、温度のサ
イクリングはさらにその効果を助長する役割を果す。
【0015】次に、本発明の実施例について説明する
【0016】
【実施例】(実施例1)0.1%C、0.3%Si、0.
6%Mn、2.6%Cr、0.4%Mo、残部実質的にF
eからなる浸炭鋼を被処理材とし、これを装填した浸炭
炉に、吸熱型ガス(20%CO,40%H2,40%
2)1m3/hにプロパンガスを0.8〜1.2%加えた浸
炭性ガスを供給し、図1に示すように、初めに雰囲気温
度を30℃/minの速度で850℃に昇温させた後、1
℃/minの昇温速度で880℃まで昇温させ、その温度
で30分間保持した後、1℃/minの速度で900℃に
昇温させてその温度で10分間保持し、次いで2℃/mi
nの速度で880℃まで降温させて20分間保持し、以
後は、30分毎に昇温−保持と降温−保持の操作を交互
に繰り返して25時間浸炭処理し、次いで、10〜12
℃/minの降温速度で400〜500℃まで冷却したの
ち常温まで冷却して試料を得た。なお、浸炭処理中、雰
囲気中のカーボンポテンシャルは1.4〜1.5(計算
値)に維持した。
【0017】(実施例2) SCR−415を被処理材
とし、これを装填した浸炭炉に実施例1のものと同組成
の浸炭性ガスを供給し、図2に示すように、初めに雰囲
気温度を30℃/minの速度で850℃まで昇温させた
後、1℃/minの昇温速度で880℃に昇温させ、その
温度で30分間保持した後、1℃/minの速度で900
℃に昇温させてその温度で10分間保持し、次いで2℃
/minの速度で880℃まで降温させて20分間保持
し、以後は、30分毎に昇温−保持と降温−保持の操作
を交互に繰り返して15時間浸炭処理し、次いで10〜
12℃/minの降温速度で400〜500℃にまで一旦
冷却し、直ちに20〜24℃/minの昇温速度でもとの
浸炭温度880℃にまで昇温させ、さらに前記条件で3
0分毎に昇温−保持と降温−保持の操作を交互に繰り返
して10時間浸炭処理し、次いで10〜12℃/minの
降温速度で400〜500℃まで冷却したのち常温まで
冷却して試料を得た。浸炭処理中、雰囲気のカーボンポ
テンシャルは、実施例1と同様に、浸炭性ガス中のプロ
パンガスの濃度を調節して1.4〜1.55(計算値)に
維持した。
【0018】(比較例) 実施例1で用いた浸炭鋼と同
じ浸炭鋼を被処理材として用い、これを装填した浸炭炉
に吸熱型ガス(20%CO,40%H2,40%N2)1
m3/hにプロパンガスを0.5〜0.7%加えた浸炭性ガス
を供給し、図3に示すように、初めに雰囲気温度を30
℃/minの速度で850℃まで昇温させた後、1℃/min
の昇温速度で890℃に昇温させ、その温度で25時間
浸炭処理し、次いで10〜12℃/minの降温速度で4
00〜500℃まで冷却したのち、常温まで冷却して試
料を得た。浸炭処理中、雰囲気中のカーボンポテンシャ
ルは1.4〜1.5(計算値)に維持した。
【0019】実施例1、2および比較例で得た各試料を
850℃に再加熱した後、焼入れを行い、それらの表面
近傍のマクロ組織を示す顕微鏡写真をそれぞれ図4、
5、6に示す。図4(a)は実施例1で得た高濃度浸炭
鋼の焼入組織を、同図(b)はその表層の粒界酸化をそ
れぞれ示し、図5(a)は実施例2で得た試料の焼入組
織を、同図(b)はその表層の粒界酸化を、図6(a)
は比較例で得た試料の焼入組織を、同図(b)はその表
層の粒界酸化をそれぞれ示す。
【0020】図6(a)から明らかなように、比較例の
ものでは、浸炭異常層(表層の黒い部分)が最大約50
μmの深さまで生じ、内部にも粒界に沿って偏析が認め
られ、セメンタイト(白い球状のもの)の分散状態も不
均一である。また、同図(b)から、比較例のものは粒
界酸化(表層のひげ状の部分)が50μm程度の深さま
で生じていることが解る。
【0021】これに対して、実施例1のものでは、図4
(a)から解るように、浸炭異常層は20μm程度に減
少し、粒界に沿った偏析も軽減しており、また同図
(b)から明らかなように、粒界酸化深さもその発生分
布も少ない。また、実施例2のものでは、図5(a)か
ら明らかなように、表層には微細なセメンタイトが密に
形成され、浸炭異常層の生成が全く認められないだけで
なく、内部まで粒状化され分散も良く組織網に沿った偏
析も認められず、また、同図(b)から明らかなよう
に、粒界酸化も殆どない。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、通常浸炭に比べて粒界酸化の少ない飽和値浸炭法を
採用し、その浸炭処理時に浸炭温度を所定範囲内でサイ
クリングさせることにより、粒界酸化及び浸炭異常層の
生成を防止することができる。また、浸炭温度のサイク
リングと共に、その途中でAr1以下に冷却することに
より粒界酸化および浸炭異常層の生成をほとんど無くす
ることができ、しかも、内部の粒状化の促進化を図り微
細なセメンタイトを密に形成させることができ、従っ
て、鋼材部品の耐摩耗性、耐ピッチング性などの機械的
性質を向上させることができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の一実施例を示すヒートサイクル
の説明図である。
【図2】 本発明方法の他の実施例を示すヒートサイク
ルの説明図である。
【図3】 従来法のヒートサイクルの説明図である。
【図4】 本発明方法の第1実施例によりガス浸炭処理
した鋼材の金属組織を示す写真である。
【図5】 本発明方法の第2実施例によりガス浸炭処理
した鋼材の金属組織を示す写真である。
【図6】 従来法によりガス浸炭処理した鋼材の金属組
織を示す写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Acm以上のカーボンポテンシャルの雰囲
    気中でガス浸炭処理を行うに際し、オーステナイト温度
    域で浸炭温度を10〜50℃の範囲でサイクリングさせ
    ることを特徴とする鋼材部品のガス浸炭方法。
  2. 【請求項2】 Acm以上のカーボンポテンシャルの雰囲
    気中でガス浸炭処理を行うに際し、オーステナイト温度
    域で浸炭温度を10〜50℃の範囲でサイクリングさせ
    ると共に、浸炭途中でAr1点以下の所定温度まで冷却
    することを特徴とする鋼材部品のガス浸炭方法。
JP3192521A 1991-07-06 1991-07-06 鋼材部品のガス浸炭方法 Expired - Lifetime JPH086169B2 (ja)

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