JPH0868894A - 放射性金属廃棄物の除染装置およびその除染方法 - Google Patents

放射性金属廃棄物の除染装置およびその除染方法

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JPH0868894A
JPH0868894A JP20664494A JP20664494A JPH0868894A JP H0868894 A JPH0868894 A JP H0868894A JP 20664494 A JP20664494 A JP 20664494A JP 20664494 A JP20664494 A JP 20664494A JP H0868894 A JPH0868894 A JP H0868894A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属廃棄物の配管内に陰極を非接触で挿入して
電解除染し、作業性を向上させるとともに作業者の放射
線被ばくを低減する。 【構成】電解槽1内の電解液2中に円筒状陽極3を設置
し、円筒状陽極3内に金属廃棄物の円筒状金属4を設置
する。円筒状金属4内に棒状陰極5を設置して、円筒状
陽極3と棒状陰極5間に直流電圧を印加する。このとき
円筒状金属4の内面は正極に帯電して酸素の発生ととも
に円筒状金属4の母材が溶解する。本発明によれば、円
筒状金属4の内面を溶解することができるため、円筒状
金属4内に蓄積した放射能を除去することができる。ま
た、円筒状陽極3と円筒状金属4を接続する必要がな
く、装置の自動化が容易となり、作業性が向上するとと
もに、作業者の放射線被ばくを低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子力施設の運転、定期
検査時および廃止措置時に発生する配管や板材等の金属
廃棄物を低減するための放射性金属廃棄物の除染装置お
よびその除染方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力施設の運転、定期検査時および廃
止措置時に発生する放射性金属廃棄物を徹底除染する方
法としては、特開昭62-46297号公報、同 60-186799号公
報等に開示されているように、酸性および中性塩溶液を
用いた電解除染(接触式)が国内外で開発され実用化さ
れている。
【0003】電解除染は板状、円筒状等の比較的単純な
形状の金属廃棄物に対して効果的であり、金属廃棄物を
陽極として除染面に対峙して陰極を設置し、金属廃棄物
と陰極間に直流電圧を印加して除染面の母材を研磨し、
金属廃棄物から放射能を除去するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
電解除染はつぎのような課題を有している。 金属廃棄物と陽極との接続部分が溶解しないため汚
染が残留し、掴み換えを行って再除染する必要があるた
め除染作業が煩雑である。 大型の機器を除染する場合は、表面積に比例して電
流値が大きくなるため機器と陽極との接続は、接触面積
を考慮した陽極治具が必要とある。従って、機器の形状
に合わせて陽極治具の交換を頻繁に行う必要がある。 大量の機器を処理する場合は、電極の掴み換え、陽
極治具の交換が必要であるため作業員の被ばくが増加す
る。
【0005】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、電極の掴み換え、除染前後の電極の着脱作業
を必要とせず、金属廃棄物の放射能を短時間に除去もし
くは放射能レベルを低下できる放射性金属廃棄物の除染
装置およびその除染方法を提供する。
【0006】なお、本発明の非接触電解反応を用いて金
属廃棄物を除染する方法は、特願平4-104522号、特願平
5-33324号および特願平 6-10428号として出願したが、
本発明はこの先願方法の一層の高機能・高性能化を図ろ
うとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解液中での
複極現象を利用し、放射能で汚染された金属廃棄物を非
接触で電解して前記金属廃棄物の母材を溶解し放射能を
除去する装置において、円筒状陽極内に円筒状金属廃棄
物を設置し、前記円筒状金属廃棄物内に棒状陰極を設置
し、前記円筒状陽極と前記棒状陰極は直流電源に接続さ
れていることを特徴とし、前記円筒状陽極と前記棒状陰
極間に接続された直流電源から直流電圧を印加して、前
記円筒状金属廃棄物外面を負極に、内面を正極に帯電さ
せて内面の金属母材を溶解することを特徴とする。
【0008】電解液中での複極現象を利用し、放射性物
質で汚染された金属廃棄物を非接触で電解して前記金属
廃棄物の母材を溶解し放射能を除去する装置において、
円筒状絶縁性遮蔽体の内壁に円筒状陽極を、前記円筒状
絶縁性遮蔽体の外壁に円筒状陰極を設置し、前記円筒状
陽極内に円筒状金属廃棄物を設置し、前記円筒状陽極と
前記円筒状陰極は直流電源に接続されていることを特徴
とし、また前記円筒状の絶縁性遮蔽体の上下に開口部を
有する絶縁性の円板を設置したことを特徴とする。
【0009】また、前記円筒状陽極と前記円筒状陰極間
に接続された直流電源から直流電圧を印加して、前記円
筒状金属廃棄物の外面を負極に、内面を正極に帯電させ
て内面の金属母材を溶解し、前記円筒状金属廃棄物が内
外面とも汚染している場合は、前記直流電源の極性を逆
転させ前記陽極を陰極に、前記陰極を陽極に変換して前
記円筒状金属廃棄物の外面を溶解することを特徴とす
る。
【0010】前記円筒状金属廃棄物内面の金属母材の溶
解と、前記円筒状金属廃棄物内面に形成された酸化被膜
の還元・破壊を直流電源の極性を交互に逆転させて繰り
返すことを特徴とする。
【0011】電解液中での複極現象を利用し、放射性物
質で汚染された金属廃棄物を非接触で電解して前記金属
廃棄物の母材を溶解し放射能を除去する装置において、
電解槽内に上部に開口部を有する絶縁性遮蔽容器を設置
し、前記電解槽の底部に陰極を、前記絶縁性遮蔽容器の
底部に陽極を設置し、前記金属廃棄物を上部に開口部を
有する支持容器で保持してなり、前記支持容器の側面は
絶縁性材料で、前記支持容器の底部は金属性で構成さ
れ、また前記支持容器の側面は、電解液流通のために網
目状の多数の孔を有し、前記上部に開口部を有する絶縁
性遮蔽容器内に設置したことを特徴する。
【0012】また、前記陽極と陰極間に直流電圧を印加
して前記陽極と対面した前記支持容器の底部の金属材を
負極に、前記支持容器で保持した前記金属廃棄物の上面
を正極に帯電させて金属母材を溶解することを特徴とす
る。
【0013】
【作用】本発明によれば、金属廃棄物を非接触で電解し
て金属廃棄物を除染する装置およびその除染方法におい
て、金属廃棄物の除染性能および形状適応性の一層の向
上を図ることができる。
【0014】すなわち、本発明は円筒状陽極内に配管等
の円筒状金属廃棄物を設置し、この円筒状金属廃棄物内
に棒状の陰極を挿入して前記陽極と陰極間に接続された
直流電源から直流電圧を印加して、前記円筒状金属廃棄
物の内面を正極に帯電させて内面の金属母材を溶解する
ものである。従って、従来の接触式電解除染のように陽
極と金属廃棄物を接続する必要がないため、接続作業に
伴う作業員の放射線被ばく量が低減する。
【0015】円筒状絶縁性遮蔽体の内壁に円筒状陽極
を、前記円筒状絶縁性遮蔽体の外壁に円筒状陰極を設置
し、前記円筒状陽極内に円筒状金属廃棄物を設置し、前
記陽極と陰極間に接続された直流電源から直流電圧を印
加して、前記円筒状の金属廃棄物の内面を正極に帯電さ
せて内面の金属母材を溶解するものである。
【0016】また、円筒状絶縁性遮蔽体の上下に開口部
を有する絶縁性円板を設置することにより陽極と陰極間
で電気分解が抑制され、効率よく円筒状の金属廃棄物の
金属母材を溶解することができる。
【0017】従って、従来の接触式電解除染のように円
筒状金属廃棄物内に陰極を挿入しなくても円筒内面の除
染面を効率よく正極に帯電させて溶解するため、円筒状
金属廃棄物内面に付着している放射能を含む酸化被膜
は、または母材に浸透している放射能は金属母材の溶解
とともに除去される。
【0018】円筒状金属廃棄物の内外面とも汚染してい
る場合は、直流電源の極性を逆転することにより外面を
正極に帯電させることができるため、容易に金属母材を
溶解することができ、金属廃棄物から放射能を除去する
ことができる。
【0019】また、炭素鋼のように酸化被膜が厚く、強
固に付着し、放射能が除去しがたい円筒状金属廃棄物に
対しては、直流電圧の極性を交互に逆転させて前記金属
母材の溶解と金属母材表面の酸化被膜の還元・破壊を繰
り返すことにより、少ない溶解量で放射能を除去するこ
とができ、除染に伴う二次廃棄物の発生量を低減するこ
とができる。
【0020】さらに、湾曲した板状の金属廃棄物や金属
廃棄物を切断した後の切れ端、工具等の雑物を除染する
場合は、電解槽内に上部に開口部を有する絶縁性遮蔽容
器を設置し、前記電解槽の底部に陰極を絶縁性遮蔽容器
の底部に陽極を設置し、湾曲した板状の金属廃棄物や雑
物を上部に開口部を有する支持容器内に入れ、支持容器
の側面は絶縁性材料で前記支持容器の底部は不溶解性の
金属で構成する。
【0021】また、支持容器の側面は、電解液流通のた
めに網目状の多数の孔を有し、上部に開口部を有する絶
縁性遮蔽容器内に設置し、前記陽極と陰極間に直流電圧
を印加し、前記陽極と対面した前記支持容器の底部の不
溶解性金属を負極に、支持容器内に入れた湾曲した板状
金属廃棄物や雑物の上面(汚染面)を正極に帯電させて
金属母材を溶解する。支持容器底部を不溶解性金属で構
成することにより、湾曲した板状金属廃棄物や雑物の汚
染面を均一に溶解することができる。
【0022】
【実施例】本発明に係る放射性金属廃棄物の除染装置の
第1の実施例を図1から図3を参照しながら説明する。
図1は第1の実施例を説明するための装置の一例を示し
た電解槽の縦断面図であり、図中符号1は電解槽で、こ
の電解槽1内には電解液2が満たされている。電解液2
中に円筒状陽極3と、この円筒状陽極3内に除染対象物
である放射性金属廃棄物の円筒状金属4と、円筒状金属
4内に棒状陰極5が設置されている。
【0023】円筒状金属4は架台6上に固定され、円筒
状陽極3と棒状陰極5はそれぞれ直流電源7に接続され
ている。また、電解槽1の上部には電解槽1から円筒状
金属4を出し入れするためのハンドリング機構8が設置
されている。
【0024】つぎに円筒状陽極3と円筒状金属4と棒状
陰極5の位置関係の詳細を図2(a),(b)により説
明する。同(a)は装置の平面図、(b)は(a)の縦
断面図である。円筒状陽極3の中央部に円筒状金属4
が、円筒状金属4の中央部に棒状陰極5が設置され、円
筒状陽極3と棒状陰極5にはそれぞれ直流電源7が接続
されている。
【0025】この状態で、直流電源7から円筒状陽極3
と棒状陰極5との間に所定の電流密度の直流電圧を印加
すると、円筒状陽極3表面と棒状陰極5および円筒状金
属4の内外面では、図3に示した反応が起こる。これら
の反応は以下に示す通りである。 (円筒状陽極) H2 O→2H+ + 1/2O2 ↑+2e- …(1) (棒状陰極) H+ +2e- →H2 ↑……………………(2) (円筒状金属外面) H+ +2e- →H2 ↑……………………(3) (円筒状金属内面) M→Mn++ne- ……………………(4)
【0026】円筒状金属4外面は円筒状の陽極3と対面
しているため誘電作用により負極に帯電し、また円筒状
金属4内面は棒状陰極5と対面しているため分極されて
正極に帯電し、内面の金属母材が溶解する。
【0027】これにより円筒状金属4内面に固着または
母材に浸透している放射能は、母材を溶解することによ
り円筒状金属4から除去されて電解液2に移行し、円筒
状金属5の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下さ
せることができる。
【0028】本発明に係る放射能金属廃棄物の除染装置
の第2の実施例を図4から図6を参照しながら説明す
る。図4は第2の実施例を説明するための装置の一例を
示した電解槽の縦断面図であり、図中符号1は電解槽で
電解槽1内には電解液2が満たされている。
【0029】電解液2中に円筒状電極治具9と、円筒状
電極治具9内に除染対象物である円筒状金属4が設置さ
れ、円筒状金属4は架台6上に固定され、円筒状電極治
具9は直流電源7に接続されている。また、電解槽1の
上部には電解槽1から円筒状金属4を出し入れするため
のハンドリング機構8が設置されている。
【0030】つぎに円筒状電極治具9の詳細を図5
(a),(b)により説明する。なお、(a)は平面
図,(b)は縦断面図である。円筒状電極治具9は、円
筒状絶縁性遮蔽体10の内壁に円筒状陽極3を、円筒状絶
縁性遮蔽体10の外壁に円筒状陰極11が設置され、円筒状
金属4は円筒状陽極3内に設置され、円筒状陽極3と円
筒状陰極11にはそれぞれ直流電源7が接続されている。
【0031】この状態で、直流電源7から円筒状陽極3
と円筒状陰極11との間に所定の電流密度の直流電圧を印
加すると、円筒状陽極3表面と円筒状陰極11表面および
円筒状金属4の内外面では、図6に示した反応が起こ
る。これらの反応は(1)〜(4)式に示した通りであ
る。なお、ここでは、(2)式に示した棒状陰極は、円
筒状陰極に置き換わる。
【0032】円筒状金属4外面は円筒状陽極3と対面し
ているため誘電作用により負極に帯電し、また円筒状金
属4内面は分極されて正極に帯電し、内面の金属母材が
溶解する。
【0033】これにより円筒状金属4内面に固着または
母材に浸透している放射能は、母材を溶解することによ
り円筒状金属4から除去されて電解液2に移行し、円筒
状金属4の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下さ
せることができる。
【0034】つぎに本発明の第3の実施例を図7を用い
て説明する。図7はステンレス鋼製円筒状金属4内面を
従来の接触電解(内挿陰極)で溶解して結果と、本発明
の第1の実施例である内挿陰極により溶解した結果、本
発明の第2の実施例である円筒状外部陰極により溶解し
た結果を溶解速度比(実験値/理論値)で示したもので
ある。なお、理論値はFaraday の法則により求めること
ができる値である。
【0035】本第3の実施例では電解液として燐酸を選
定し、燐酸濃度40%、電解液温度60℃、チタンに白金コ
ーティングを施した陽極と陰極との間に直流電圧を印加
して電流密度0.6/cm2 で電解を実施した。
【0036】図からわかるように従来の接触電解と比較
して溶解速度は劣るものの、本発明の電解法でも円筒状
金属内面を溶解できるため金属廃棄物の放射能を除去も
しくは放射能レベルを低下させることができる。
【0037】以上のように、本発明の第1の実施例に示
したように円筒状金属に陽極を接続しなくても内面を溶
解できるため、除染の作業性が向上し、作業員の被ばく
量を低減できる。また第2の実施例で示したように円筒
状金属内に陰極を挿入しなくても内面を溶解できるた
め、電解槽1からの金属の出し入れが容易となるととも
に、ハンドリング機構等を用いた装置の自動化が容易と
なり、作業従事者の被ばくをさらに低減できる。
【0038】つぎに本発明に係る第4の実施例を図8を
用いて説明する。図8は第2の実施例において直流電源
の極性を逆転させてステンレス鋼製の円筒状金属4の内
外面を溶解した結果を溶解速度比(実験値/理論値)を
示したもので、本実施例では燐酸濃度40%、電解液温度
60℃、チタンに白金コーティングを施した陽極と陰極と
の間に直流電圧を印加して電流密度 0.6A/cm2 で電解を
実施した。
【0039】本実施例からわかるように直流電源の極性
を逆転させることにより円筒状金属の内外面をほぼ同じ
溶解速度で溶解することができる。以上のように、直流
電源の極性を逆転させたのみで円筒状金属の内外面を溶
解することができるため、円筒状金属の放射能を除去も
しくは放射能レベルを低下させることができる。
【0040】つぎに本発明に係る第5の実施例を説明す
る。円筒状金属4が炭素鋼の場合は、母材表面に酸化被
膜、錆等が厚く強固に形成され、この酸化被膜は単純に
陽極電解しただけでは除去されにくい。放射能のほとん
どはこの酸化被膜に含まれるため、円筒状金属4から放
射能を除去するのに長時間を要していた。
【0041】炭素鋼製の円筒状金属4から放射能を短時
間に除去するためには、前述の直流電源7の極性を交互
に逆転させる方法が有効である。炭素鋼製の円筒状金属
4の内面(汚染面)を負極に帯電させることにより、以
下に示す反応が起こり表面の酸化被膜、錆等が還元、破
壊される。 (負極帯電面) 酸化被膜、錆等の還元、破壊 Fe3 4 + 8H+ + 2e →3Fe2+ + 4H2 O…(5) Fe2 3 + 6H+ + 2e →2Fe2+ + 3H2 O…(6)
【0042】このように、円筒状金属4の汚染面の酸化
被膜または錆等が還元、破壊されるとともに酸化被膜中
の放射能が除去される。また、直流電源7の極性を交互
に逆転させるため、汚染面は正極にも帯電して酸化被膜
が除去された後に露出した金属母材が溶解され、金属母
材に浸透した汚染も除去される。
【0043】したがって、円筒状金属4の酸化被膜とと
もに付着または母材に浸透している放射能は、酸化被膜
の還元、破壊と母材を溶解することにより少ない溶解量
で円筒状金属4から除去されて電解液2に移行し、円筒
状金属4の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下さ
せるとともに、除染に伴う二次廃棄物の発生量を低減で
きる。
【0044】つぎに本発明の放射性金属廃棄物の除染装
置に係る第6の実施例を図9(a),(b)を用いて説
明する。図9(a)は円筒状絶縁性遮蔽体10の上下に開
口部を有する絶縁性円板12を取り付けた状態の平面図
で、同(b)は縦断面図である。円筒状絶縁性遮蔽体10
の内壁に円筒状陽極3を、円筒状絶縁性遮蔽体10の外壁
に円筒状陰極11が付設され、円筒状金属4は円筒状陽極
3内に設置され、円筒状陽極3と円筒状陰極10にはそれ
ぞれ直流電源7が接続されている。
【0045】この状態で、第2の実施例と同様な操作で
直流電源7から前記円筒状陽極3と円筒状陰極11との間
に所定の電流密度の電圧を印加すると前記(1)〜
(4)式に示した反応が起こり、円筒状金属4の内面が
正極に帯電して内面の金属母材が溶解する。
【0046】つぎに本発明の第6の実施例を図10を用い
て説明する。図10は第2の実施例で示した円筒状絶縁性
遮蔽体10を用いた場合と、第5の実施例の円筒状絶縁性
遮蔽体10の上下に上部に開口部を有する絶縁製円板12を
取り付けた場合のステンレス鋼製の円筒状金属4内面を
溶解した結果を溶解速度比(実験値/理論値)で示し
た。
【0047】第6の実施例では電解液2として燐酸を選
定し、燐酸濃度40%、電解液温度60℃、チタンに白金コ
ーティングを施した円筒状陽極3と円筒状陰極11との間
に直流電圧を印加して電流密度 0.6A/cm2 で電解を実施
した。
【0048】図からわかるように円筒状絶縁性遮蔽体10
の上下に絶縁性円板12を取り付けると溶解速度は約 1.3
倍向上した。これは、円筒状絶縁性遮蔽体10の上下に絶
縁性円板12を取り付けることにより、陽極3と陰極11に
漏洩する電流が遮蔽され、電極間での電気分解が抑制さ
れたためである。
【0049】以上のように円筒状絶縁性遮蔽体10の上下
に絶縁性円板12を取り付けると金属の溶解速度が向上
し、円筒状金属4の放射能を短時間に除去もしくは放射
能レベルを低下させることができる。
【0050】つぎに本発明に係る第7の実施例を図11を
参照しながら説明する。図11は本実施例における電解槽
1の縦断面図を示し、符号13は上部に開口部を有する支
持容器であり、支持容器13は電解槽1の上部に設置され
たハンドリング機構8により電解槽1内に吊り下げられ
ている。
【0051】この支持容器13の側面は電解液流通のため
に網目状の多数の孔を有した絶縁性材料で、底部が金属
材18で構成され、また支持容器13内には放射性金属廃棄
物の板状金属14が収納されている。
【0052】支持容器13は上部に開口部を有する絶縁性
の遮蔽容器15内に設置され、この遮蔽容器15の底部には
板状陽極16が遮蔽容器15の底部を間に挟んで電解槽1の
底部に板状陰極17が設置されている。
【0053】この状態で板状陽極16と板状陰極17との間
に直流電圧を印加すると絶縁性遮蔽容器15を間に挟んで
電位差が生じるため、板状陽極16に対面した支持容器13
の底部に設けた金属材18の表面は負極に帯電する。一
方、金属14は支持容器13の底部の金属材18と接触してい
るため、金属14は分極されて、金属14の上面は正極に帯
電して金属14の母材を溶解することができる。
【0054】つぎに本発明の第8に実施例を図12を用い
て説明する。図12(a)は、第7の実施例の支持容器13
の底部をチタンに白金コーティングを施した不活性金属
で構成した場合(例2)と、図12(b)は底部を電解液
流通のために網目状の多数の孔を有した絶縁性材料で構
成した場合(例1)の板状ステンレス鋼の溶解速度分布
を溶解速度比(各位置での溶解速度/平均溶解速度)で
示したものである。
【0055】本第8の実施例では酸性電解液として燐酸
を選定し、燐酸が濃度40%、電解液温度が室温、チタン
に白金コーティングを施した陽極と陰極との間に直流電
圧を印加して電流密度 0.6A/cm2 で電解を実施した。
【0056】図12(b)からわかるように、支持容器の
底部を金属材で構成するとステンレス鋼表面をほぼ均一
に溶解させることができるが、図12(b)に示すように
網目状の多数の孔を有した絶縁性材料で構成した場合
は、端部が溶解されにくい。
【0057】これは、非接触電解反応により金属を溶解
する場合は、金属溶解反応の平衡電位より大きい電位が
金属表面に印加されなければならないが、陽極と陰極間
に漏洩する電流の影響により、金属表面の中央部では電
位が高く、端部は低いため、溶解されにくいものであ
る。
【0058】以上のように、支持容器13の底部を金属材
18で構成すると、金属表面を均一に溶解できるため湾曲
した板状の金属廃棄物や、金属廃棄物を切断した後の切
れ端、工具等の雑物等は均一に除染することができ、こ
れら金属廃棄物の放射能を除去もしくは放射能レベルを
低下させることができる。
【0059】また、上部に開口部を有する絶縁性の支持
容器を用いることにより1バッチ当たりの金属廃棄物の
除染処理量を増加させることができ、さらに、絶縁性の
支持容器は駆動機構を用いて電解槽から容易に出し入れ
することができるため、大量処理する場合の自動化が容
易となる。
【0060】これまで説明した実施例においては電解液
として燐酸を用いたが、その他に硫酸、硝酸、硫酸ナト
リウムおよび硝酸ナトリウム等を用いても同様な結果が
得られた。
【0061】また、本発明の除染方法および装置におい
て、電解槽の構造材が金属の場合は誘電作用により電解
槽壁面で電気分解が起こるため金属廃棄物表面を効率よ
く正極または負極に帯電させることができない。
【0062】従って、電解槽の構造材、円筒状金属廃棄
物用の絶縁性遮蔽体、絶縁性円板、および板状金属廃棄
物用の絶縁性遮蔽容器、フッ素樹脂またはFRP等のよ
うに耐薬品性および耐熱性に優れた絶縁性材料を単体で
用いるか、金属に絶縁性材料をライニングしたものを用
いる。
【0063】絶縁性円板の開口部は、円筒状金属が通過
する程度の孔を有していればよいが、上部の円板は取り
外しが容易であるため、下部の円板を固定し、上部の円
板は円筒状の金属の外径に合わせて開口部径が異なるも
のを任意に取り付けることもできる。
【0064】電極の材質は実施例に用いたチタンに白金
コーティングを施した電極の他に、銅にチタンをライニ
ングし、その上に白金コーティングを施した電極、白金
単独電極、チタン以外の金属に白金コーティングを施し
た電極、鉛酸化物電極等も使用可能である。
【0065】さらに、金属廃棄物収納用の支持容器は、
上述の電極材料で構成し、支持容器の側面をフッ素樹脂
またはFRP等のように耐薬品性および耐熱性に優れた
絶縁性材料をライニングした方がよい。
【0066】
【発明の効果】金属廃棄物を電解液中で非接触で電解し
て誘電作用に金属母材を溶解して放射能を除去する方法
において、金属廃棄物の除染性能および形状適応性の向
上を図ったもので、本発明によれば以下の効果がある。
【0067】(1)円筒状陽極内に円筒状金属廃棄物
を、棒状陰極を円筒状金属廃棄物内に挿入して内面を正
極に帯電させて金属母材を溶解できるため、金属廃棄物
の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下させること
ができるとともに、陽極と金属廃棄物の接続作業が不必
要となるため、接続作業に伴う作業員の放射線被ばく量
が低減する。
【0068】(2)円筒状の絶縁性遮蔽体の内壁に円筒
状の陽極を、外壁に円筒状の陰極を設置することによ
り、円筒状の金属廃棄物内に陰極を挿入しなくても内面
を正極に帯電させて金属母材を溶解できるため、金属廃
棄物の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下させる
ことができるとともに、従来の電解除染と比較して電解
槽内への金属廃棄物の設置作業性が容易となり、除染作
業に伴う作業員の放射線被ばく量を低減できる。
【0069】(3)円筒状の絶縁性遮蔽体の上下に絶縁
性円板を設置することにより陽極と陰極間に漏洩する電
流が遮蔽され、円筒状の金属廃棄物内面の金属母材の溶
解速度が速められるため、金属廃棄物の放射能を短時間
に除去もしくは放射能レベルを低下させることができ
る。
【0070】(4)円筒状の金属廃棄物の内外面が汚染
している場合は、直流電源の極性を逆転させることによ
り円筒状の金属廃棄物の内外面を溶解できるため、従来
の電解除染のように外面専用の電極治具が不必要とな
る。従って、電極の交換および掴み換え作業がなくな
り、除染作業に伴う作業員の放射線被ばく量を低減する
ことができる。
【0071】(5)炭素鋼のように酸化被膜が厚く、強
固に付着し、放射能が除去し難い円筒状の金属廃棄物に
対しては、直流電圧の極性を交互に逆転させて還元処理
と酸化処理を施すことにより酸化被膜の還元、破壊と金
属母材の溶解が起こるため、少ない金属母材の溶解量で
放射能を除去することができ、除染に伴う二次廃棄物の
発生量を低減することができる。
【0072】(6)板状の金属廃棄物や金属廃棄物を切
断した後の切れ端、工具などの雑物に対しては、側面が
絶縁性材料、底部が金属材で構成される上部に開口部を
有する支持容器内に収納して除染を行うことにより、金
属表面を均一に溶解することができるため、局部的に放
射能が残留することなく金属廃棄物の放射能を除去もし
くは放射能レベルを低下させることができる。
【0073】(7)またハンドリング機構等を用いた除
染装置の自動化が容易であるため、大量の金属廃棄物の
除染処理を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射性金属廃棄物の除染装置およ
びその除染方法の第1の実施例を説明するための除染装
置を概略的に示す構成図。
【図2】(a)は図1における電解槽内要部を概略的に
示す横断面図、(b)は(a)の概略的縦断面図。
【図3】図2(b)における電解反応を説明するための
模式図。
【図4】本発明に係る第2の実施例を説明する除染装置
を概略的に示す構成図。
【図5】(a)は図4における電解槽の内部を概略的に
示す横断面図、(b)は(a)の概略的縦断面図。
【図6】図5(b)における電解反応を説明するための
模式図。
【図7】本発明に係る第1および第3の実施例と従来例
との溶解速度比を比較して示す棒線図。
【図8】本発明に係る第4の実施例における内面と外面
との溶解速度比を比較して示す棒線図。
【図9】(a)は本発明に係る第5実施例を詳細に説明
するための概略的横断面図、(b)は(a)の概略的縦
断面図。
【図10】本発明に係る第6の実施例における円板の有
無による溶解速度比を比較して示す棒線図。
【図11】本発明の第7の実施例を説明する除染装置を
概略的に示す構成図。
【図12】(a)は本発明の第8の実施例における例1
を説明するための溶解分布特性図、(b)は同じく例2
を説明するための溶解分布特性図。
【符号の説明】
1…電解槽、2…電解液、3…円筒状陽極、4…円筒状
金属、5…棒状内挿陰極、6…架台、7…直流電源、8
…ハンドリング機構、9…円筒状電極治具、10…円筒状
絶縁性遮蔽体、11…円筒状陰極、12…絶縁性円板、13…
支持容器、14…板状金属、15…遮蔽容器、16…板状陽
極、17…板状陰極、18…金属材。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解槽と、この電解槽内の電解液中に設
    置した円筒状陽極と、この円筒状陽極内に設置した円筒
    状金属廃棄物と、この円筒状金属廃棄物内に設置した棒
    状陰極と、前記円筒状陽極と前記棒状陰極を接続した直
    流電源とを具備したことを特徴とする放射性金属廃棄物
    の除染装置。
  2. 【請求項2】 電解液中に円筒状陽極を設置し、この円
    筒状陽極に円筒状金属廃棄物を設置し、この円筒状廃棄
    物内に棒状陰極を設置し、前記円筒状陽極と前記棒状陰
    極間に接続された直流電源から直流電圧を印加して、前
    記円筒状金属廃棄物外面を負極に、内面を正極に帯電さ
    せて前記金属廃棄物の内面母材を溶解することを特徴と
    する放射性金属廃棄物の除染方法。
  3. 【請求項3】 電解槽と、この電解槽内の電解液中に設
    置した円筒状絶縁性遮蔽体と、この円筒状絶縁性遮蔽体
    の内壁に設置した円筒状陽極と、前記円筒状絶縁性遮蔽
    体の外壁に設置した円筒状陰極と、前記円筒状陽極内に
    設置した円筒状金属廃棄物と、前記円筒状陽極と前記円
    筒状陰極を接続した直流電源とを具備したことを特徴と
    する放射性金属廃棄物の除染装置。
  4. 【請求項4】 前記円筒状絶縁性遮蔽体の両端上下に開
    口部を有する絶縁性円板を設置してなることを特徴とす
    る請求項3記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
  5. 【請求項5】 電解液中に円筒状絶縁性遮蔽体を設置
    し、この円筒状絶縁性遮蔽体の内壁に円筒状陽極を設置
    し、前記円筒状絶縁性遮蔽体の外壁に円筒状陰極を設置
    し、前記円筒状陽極内に円筒状金属廃棄物を設置し、前
    記円筒状陽極と前記円筒状陰極間に直流電源を接続し、
    この直流電源から直流電圧を印加して、前記円筒状金属
    廃棄物の外面を負極に、内面を正極に帯電させて前記金
    属廃棄物の内面母材を溶解することを特徴とする放射性
    金属廃棄物の除染方法。
  6. 【請求項6】 前記円筒状金属廃棄物が内外面とも汚染
    している場合は、前記直流電源の陰極を逆転させ前記陽
    極を陰極に、前記陰極を陽極に変換して前記円筒状金属
    廃棄物の外面を溶解することを特徴とする請求項2およ
    び請求項5記載の放射性金属廃棄物の除染方法。
  7. 【請求項7】 前記円筒状金属廃棄物内面の金属母材の
    溶解と、前記円筒状金属廃棄物内面に形成された酸化被
    膜の還元・破壊を直流電源の極性を交互に逆転させて繰
    り返すことを特徴とする請求項2および請求項5記載の
    放射性金属廃棄物の除染方法。
  8. 【請求項8】 電解槽と、この電解槽内に設置した上部
    に開口部を有する絶縁性遮蔽容器と、前記電解槽の底部
    に設置した陰極と、前記絶縁性遮蔽容器の底部に設置し
    た陽極と、前記絶縁性遮蔽容器内に設置した金属廃棄物
    を保持する上部に開口部を有する支持容器とを具備し、
    この支持容器は側面が絶縁性材料で、底部が金属材料で
    構成され、また前記支持容器の側面は、電解液流通のた
    めに網目状の多数の孔を有することを特徴とする放射性
    金属廃棄物の除染装置。
  9. 【請求項9】 前記陽極と陰極間に直流電圧を印加して
    前記陽極と対面した前記支持容器の底部の金属材を負極
    に、前記支持容器で保持した前記金属廃棄物の上面を正
    極に帯電させるように電気回路を構成してなることを特
    徴とする請求項8記載の放射性金属廃棄物の除染装置。
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