JPH0871489A - 薄膜形成方法および薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成方法および薄膜形成装置

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JPH0871489A
JPH0871489A JP6215954A JP21595494A JPH0871489A JP H0871489 A JPH0871489 A JP H0871489A JP 6215954 A JP6215954 A JP 6215954A JP 21595494 A JP21595494 A JP 21595494A JP H0871489 A JPH0871489 A JP H0871489A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄膜の形成方法および薄膜の形成装置に関す
るもので、MOD溶液、ゾルゲル溶液、樹脂を含む溶
液、および金属粒子を含む溶液を媒体上に吐出すること
ができ、媒体上にそれらの材料の薄膜を形成することを
目的とする。 【構成】 薄膜形成材料と前記薄膜形成材料を良好に溶
解する溶媒とを含み比抵抗が105Ωcm以上の溶液状
物質を吐出用ノズル内に案内する工程と、ノズルの軸線
方向に被形成部材を設置する工程と、前記ノズル内の溶
液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に静電力を作用
させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状
物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法、
およびこの薄膜形成方法の実施に最適な薄膜形成装置で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜形成方法および薄
膜形成装置に関し、特に、微小ノズルより溶液状物質を
吐出させ、基板等に薄膜(広義には100μm以下、一
般には10μm以下の膜厚)を形成する方法に関するも
のであり、例えば、ハイブリッドIC回路や半導体回路
あるいはマイクロマシン製作に好適な薄膜形成工程に用
いられ得るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、プリンティング用装置とし
て、微小ノズルを用いてインクを吐出させる液滴吐出装
置の開発が盛んであるが、近年、その液滴吐出装置の応
用として吐出させる溶液を、インク以外の、例えばレジ
ストを溶液として用い、IC回路等の作成に適用させる
液滴吐出装置あるいは回路形成方法の開発がなされるよ
うになってきている。
【0003】以下、従来技術として特開平5−1040
52号公報の液状物質塗布装置を例にして説明する。
【0004】図9は、特開平5−104052号の開示
する構成を示すものである。図9において、101は液
状物資供給部、102は液状物質供給部101に接続さ
れた吐出ヘッド、103は被塗布部材(以下基板と記
す。)、104は吐出ヘッド102と基板103とを対
向位置決めするXYステージを示している。
【0005】また、吐出ヘッド102は、液状物質供給
部101に連通し液状物質105が満たされる圧力室1
06と、圧力室106の長手方向中途部に設けられ吐出
ヘッド102に下端面に開口するノズル107と、圧電
素子108によって変位が与えられその変位を増幅する
変位増幅室109と、圧力室106と変位増幅室109
との境界に設けられたダイヤフラム110とを有する。
【0006】そして、圧電素子108は、制御部111
により駆動され、それによって発生した変位が変位増幅
室109、ダイヤフラム110を経て、圧力室106内
の液状物質105に伝達され、圧力室106内の液状物
質105を加圧して、ノズル107から液状物質105
を液滴105aにして下方に飛ばすことになる。
【0007】このような構成をとることにより、ノズル
107内の液状物資105を液滴105aにして基板1
03上に飛ばし、液状物質105を基板103上に任意
のパターンで塗布することを可能としている。
【0008】なお、XYステージ104は、制御部11
1により所望の位置に制御される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の従来
の構成では、吐出の方法として主に圧電効果を利用して
いるため、以下に示すような克服すべき課題がある。
【0010】すなわち、圧電効果を用いた圧力印加式
(以下圧電式と記す。)による吐出方法では、吐出され
る溶液は、ノズル径の2倍から3倍の直径の吐出液滴と
なってしまうため、吐出液によって形成される回路パタ
ーンの微細化や精度に制限を受けてしまう。
【0011】次に、回路パターンの微細化や精度を高め
るためには、ノズル径を小さくしなければならないが、
ノズル径を小さくしていくと、圧電式の吐出方法では、
ノズル部での粘着損失が大きいため、特に高粘度の溶液
においては、ノズル径を小さくすることに限界がある。
【0012】そして、圧電式の吐出方法では、溶存空気
量の多い有機溶剤などを吐出溶液として用いると、キャ
ビテーション現象が生じてしまい、吐出の安定性がなく
なるため、吐出できる溶液の種類が大幅に制限されてし
まう等である。
【0013】本発明は、上記従来技術の課題を解決する
もので、溶液吐出装置を用いて、溶液の種類の制約を受
けずに、薄膜を形成する薄膜形成方法および薄膜形成装
置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、薄膜形成材料と前記薄膜形成材料を溶解
する溶媒とを含み比抵抗が105Ωcm以上の溶液状物
質を吐出用のノズル内に案内する工程と、前記ノズルの
軸線方向に被形成部材を設置する工程と、前記ノズル内
の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に静電力を
作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶
液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方
法である。
【0015】このとき、溶液状物質が、さらに比抵抗が
調節可能な溶媒をも含んでもよい。または、高分子樹脂
を含む溶液状物質を吐出用のノズル内に案内する工程
と、前記ノズルの軸線方向に被形成部材を設置する工程
と、前記ノズル内の溶液状物質に対して前記ノズルの軸
線方向に静電力を作用させて前記ノズルから被形成部材
に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出する工程とを
有する薄膜形成方法であってもよい。
【0016】または、金属材料溶液と分散剤とを含み比
抵抗が105Ωcm以上の溶液状物質を吐出用のノズル
内に案内する工程と、前記ノズルの軸線方向に被形成部
材を設置する工程と、前記ノズル内の溶液状物質に対し
て前記ノズルの軸線方向に静電力を作用させて前記ノズ
ルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で
吐出する工程とを有する薄膜形成方法であってもよい。
【0017】このとき、溶液状物質が、さらに保護膠質
または乳化安定剤をも含んでもよい。 そして、以上の
構成において、溶液状物質を曳糸状で吐出する工程が、
さらに圧力波を作用させる工程をも含んでもよい。
【0018】さらに、以上の構成において、被形成部材
上に吐出された溶液状物質を加熱する工程を有していて
もよい。
【0019】さらに、被形成部材上に吐出された溶液状
物質の周囲に不活性ガスを供給する工程を有していても
よい。
【0020】また、本発明は、以上の薄膜形成方法を実
施するに好適な構成を有する薄膜形成装置である。
【0021】
【作用】以上の本発明の構成をとることにより、吐出で
きる溶液の種類に実質的に制約を受けることがない。
【0022】さらに、吐出溶液が、確実に曳糸状態(糸
を曳いて吐出する状態をいう。)となるため、微細な薄
膜形成をする。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら詳細に説明する。
【0024】(実施例1)以下、本発明の第1の実施例
として、比抵抗が105Ωcm以上の溶液を使用した薄
膜形成方法について説明する。
【0025】図1は、静電力を用いて溶液を吐出させた
場合の、吐出状態を示す説明図である。
【0026】図1において、1、4、6はノズル、2は
被塗布部材、3から7は溶液の吐出状態を示す。
【0027】静電力を用いて溶液を吐出させると、その
吐出状態は大別すると図1に示すような形態が考えられ
る。
【0028】すなわち、(a)ノズル1から独立した液
滴3となって吐出し被塗布部材2に付着する状態、
(b)ノズル4から5に示す糸を曳くように曳糸現象を
生じて吐出し被塗布部材2に付着する状態、または
(c)ノズル6から7に示すように噴霧状に吐出し被塗
布部材2に付着する状態、の3つの形態である。
【0029】微細な薄膜形成を行うためには、上記
(b)の曳糸現象を生じる状態で溶液を吐出させる必要
があるが、発明者の実験により、吐出状態は、溶液の比
抵抗に依存することが判明した。
【0030】以下、その実験内容について説明する。図
2は、溶液が静電力により吐出され、塗布されるための
基本的構成を示す構成図である。
【0031】図2において、8は溶液供給口、9は溶液
吐出口、10は溶液、11は付着された溶液により薄膜
が形成される被塗布部材、12は被塗布部材11の背面
に設置された背面電極、13はノズル、14は高圧電源
を示す。
【0032】この構成において、溶液10は、背面電極
12とノズル13の間に高圧電源14により電圧印加を
行って発生した電界により、ノズル13より被塗布部材
11の方向に吐出される。
【0033】図3は、図2は示した構成で静電力を利用
して溶液を吐出した場合における溶液の吐出状態を、比
抵抗と印加電圧との関係で示したものである。
【0034】図3において、横軸が溶液の比抵抗を、縦
軸が静電力による電界の強さを示しており、a部は溶液
が吐出しない状態、b部は独立した液滴となって吐出す
る状態(図1(a)の状態)、c部は噴霧状に吐出する
状態(図1(c)の状態)、d部は溶液が曳糸状に吐出
する状態(図1(b)の状態)を示している。
【0035】前述したように、微細なパターンの薄膜を
形成するためには、吐出溶液の制御が可能な、曳糸状態
で溶液を吐出する必要がある。
【0036】従って、図3のd部の状態になるように、
まず、溶液の比抵抗が105Ωcm以上であるものを選
択することが前提で、更に、溶液に対し与えるエネルギ
ー(電界の強さ)を曳糸状となる大きさに調整すれば、
良好な薄膜形成が可能な吐出状態となることがわかる。
【0037】例えば、近年、DRAM用キャパシタや不
揮発性メモリ用材料として開発の進められているMOD
(Metallo-Organic Deposition)溶液や、ゾルゲル溶液
等は、一般にエタノール、メタノール等の炭化水素系の
有機溶剤が溶媒として加えられており、これらの溶液の
比抵抗は、一般的に107Ωcm以上である。
【0038】これらの溶液を従来の圧電素子を用いた吐
出方法で吐出を行うと、キャビテーションが生じてしま
い良好な溶液吐出ができないが、本実施例の構成で溶液
を吐出すれば、図3からも明らかなように、溶液が10
5Ωcm以上の高い比抵抗を有するため、安定した曳糸
状態での溶液吐出が可能であり、露光工程やエッチング
工程を用いることなく、基板の任意の場所に、圧電体薄
膜や誘電体薄膜等を直接に形成することができる。
【0039】また、図2の構成ではなく、図4に示すよ
うな構成で溶液を吐出させても同様である。
【0040】この構成は、溶液を静電力で吐出する原理
は図2の構成と同様であるが、電界を発生させるための
片方の電極として、被塗布部材15の上面に形成してあ
る金属膜15aを利用していることが異なっていおり、
用途によって、いずれかの構成を選択することができ
る。
【0041】続いて、以上の薄膜形成方法を実際に適用
した薄膜形成装置について詳細に説明する。
【0042】図5は、本発明の薄膜形成装置の構成を示
すものである。図5において、17は溶液を吐出させる
溶液吐出部、18は溶液が吐出されることにより薄膜が
形成される被塗布部材、19は被塗布部材を加熱するヒ
ータブロック、20は被塗布部材上の任意の場所に溶液
を吐出させ薄膜を形成するために被塗布部材を移動なら
しめるX−Yステージ、21はヒータブロック19から
発生する熱の伝導を防ぐために配置された断熱板、22
は溶液吐出部17の上下方向の位置決めを可能ならしめ
るZステージ、23は吐出する溶液を蓄えかつ溶液吐出
部17に溶液を供給する溶液供給部を示す。
【0043】また、24は、溶液吐出部17の溶液吐出
量制御、ヒータブロック19の温度制御、およびX−Y
ステージ20とZステージ22の移動距離制御を行う制
御部を示す。
【0044】このような装置構成において、Zステージ
22で溶液吐出部17の位置決めがなされた後、溶液は
溶液吐出部17から被塗布部材18に向かって、上記の
吐出原理に従って吐出される。この場合、必要に応じて
X−Yステージ20を、吐出途中又は吐出完了後に、移
動することになる。
【0045】そして、被塗布部材18を加熱する加熱機
構であるヒータブロック19が設けられているために、
溶液を被塗布部材18上に吐出した後、被塗布部材18
を加熱することにより、溶媒を速やかに蒸発させて薄膜
を形成することが可能となり、薄膜を形成するために要
する時間を短縮することができる。
【0046】なお、加熱方法としてランプを用いて加熱
する方法等を採用しても同様な効果を得られることはむ
ろんである。
【0047】もちろん、室温下での乾燥で時間的に充分
である場合には、加熱しなくてもかまわない。
【0048】また、基板が平板に限らず、曲面状のもの
等であっても、同様な方法で薄膜形成が可能である。
【0049】さらに、図5に示す装置構成に加えて、薄
膜を形成する場の雰囲気を不活性ガスで満たす機能を付
加することにより、大気中の水分等と反応してしまいそ
れ自身が持つ特性を劣下してしまうような溶液を吐出し
ても、大気の影響を受けることなく特性を保持すること
ができるようになる。
【0050】この薄膜を形成する場の雰囲気を不活性ガ
スで満たすための手段としては、例えば、薄膜を形成す
る場を容器で囲い、その中に大気よりも高い圧力で不活
性ガスを導入してもよいし、また、真空ポンプ等を用い
て薄膜を形成する場と大気中とに圧力差を設けて、薄膜
を形成する場を不活性ガスで満たしてもよい。
【0051】また、溶液を吐出する溶液吐出部17のヘ
ッドを、ノズルを複数にしたマルチノズルヘッドとする
こともでき、異なる溶液による薄膜形成を同時に行った
り、一定間隔をもった複数の回路パターンを同時に作成
することが可能となり、生産性の向上が図れることにな
る。
【0052】(実施例2)以下、本発明の第2実施例に
ついて説明する。
【0053】実施例1では、比抵抗が高い(105Ωc
m以上)溶液について述べたが、本実施例では比抵抗が
低い溶液(105Ωcm以下)の場合について、吐出す
る場合について述べる。
【0054】ゾルゲル溶液で市販されているものの中で
一部のもの、例えば酢酸を主溶媒とするSrTiO3
ルゲル溶液等は、その比抵抗が約4×103Ωcmと低
いため、静電力によって曳糸現象を生じず、実施例1の
原理に従った吐出では、安定した溶液吐出を実現するこ
とはできなかった。
【0055】この原因は、酢酸塩が、溶媒中で解離した
イオンとなって比抵抗を下げているいるためと考えられ
る。
【0056】そこで、比抵抗を上昇させる目的で、この
溶液に疎水性の有機溶媒であるイソブチルベンゼンを第
2の溶媒として1:1の割合で混合したところ、図3の
領域d部に含まれるように、比抵抗が107Ωcmに上
昇して、良好な溶液吐出が可能となった。
【0057】このように、媒質を良く溶解させる第1の
溶媒に加えて、比抵抗調整することを目的とする第2の
溶媒を用いることによって、静電力によって良好な吐出
が可能な溶液を作製することができる。
【0058】一般にこの第2の溶液は、第1の溶液より
も極性が低い有機溶媒で、かつ第1の溶液と良く解け合
う物が良く、たとえば、脂肪族炭化水素、ナフテン系炭
化水素、モノまたはジアルキルナフタレン、フェネチル
クメン等の芳香族炭化水素等の有機溶媒が好適である。
【0059】そして、吐出後の工程は、実施例1と同様
な工程で、薄膜を形成することができる。
【0060】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について説明する。
【0061】本実施例では、粘度が比較的高い(10〜
20cp以上)溶液、特に樹脂溶液の吐出について説明
をする。
【0062】樹脂を溶解した溶液を被塗布部材上に吐出
させ、その後乾燥させることにより樹脂薄膜を得る薄膜
の形成方法については、例えば電子部品回路製作時のマ
スク材として用いることができる等、種々の用途が考え
られる。
【0063】そして、これらの溶液は一般に粘度が高
く、10〜20cp以上の場合が多いため、従来の圧電
式の吐出方法を用いた場合には、吐出不可能であるか不
安定であることが多かった。
【0064】しかしながら、静電力を利用した吐出方法
を用いれば、20〜30cpの粘度でも、樹脂溶液であ
れば高精度のパターンを作製することができることが判
明した。
【0065】なお、樹脂溶液の中には、溶液の比抵抗が
105Ωcmよりも低い溶液も存在する。
【0066】図3を参照すると、これら比抵抗の低い樹
脂溶液を吐出することは不可能であると思われるが、樹
脂溶液についての本発明者の検討によれば、例外的に、
比抵抗が低い場合でも曳糸状態を生み出せることが判明
した。
【0067】例えば、PVA(ポリビニルアルコール)
を5%添加したPVA水溶液の比抵抗は、500Ωcm
程度であるが、静電力を用いた吐出方法を用いることに
よって曳糸状態の溶液吐出を確認することができた。
【0068】この理由は、静電力によって曳糸現象を生
じさせる物性値的な要因として、比抵抗値のみならず、
溶質自体の分子量の大きさも影響をする場合があること
が考えられる。
【0069】樹脂溶液が曳糸現象を生じ易いことについ
ては、必ずしも原因が明らかになっているとはいえない
が、高分子のタンパク質が糸を曳くのと同様に、高分子
の樹脂が曳糸現象を起こしやすいと考える。
【0070】そして、吐出後の工程は、実施例1と同様
な工程で、薄膜を形成することができる。
【0071】以上より、吐出溶液として樹脂を吐出溶液
に用いた場合には、比抵抗値の使用可能範囲を実質的に
拡大した薄膜形成が行えるため、通常の電子部品回路製
作時のマスク形成が、樹脂の塗布、露光、エッチング等
の複数の工程を必要とするのに対し、本発明の吐出原理
に従って樹脂溶液からの薄膜形成を行うことにより、1
回の工程のみでマスク形成が可能となり、回路製作時の
工程数の削減や回路の低価格化等に大きな効果をあげる
ことができる。
【0072】(実施例4)以下、本発明の第4の実施例
について説明する。
【0073】本実施例では、金属薄膜を形成させる方法
について説明する。金属の微粉末を含有する溶液を直接
被塗布部材上に吐出して薄膜を形成することができれ
ば、微細な配線の直接形成が可能となるので、回路の小
型化や、低価格化に大きな効果をあげることとなる。
【0074】この金属の微粉末を安定に含有した溶液を
製造する場合には、分散剤を使用して懸濁させればよい
と考えられる。
【0075】分散剤の例としては界面活性剤があり、固
−液界面に吸着して界面エネルギーを低下安定させるも
のである。
【0076】つまり、この界面活性剤は、微粒子表面に
吸着保護皮膜を形成するため、安定に分散された懸濁液
では、個々の微粒子間で直接接触・衝突を起こさないの
で、電気伝導度の低い、すなわち、比抵抗が105Ωc
m以上の溶液とすることができる。
【0077】また、吸着保護膜は界面活性剤のみでも形
成させることができるが、表面皮膜をさらに強固にする
物質も存在する。
【0078】一般的にそれらの物質は、保護膠質または
乳化安定剤と呼ばれていが、このような物質を添加する
ことによって微粉末同士の衝突が確実に避けられ、電気
的な特性の安定した懸濁液を作製することができる。
【0079】保護膠質としては、植物ゴム、澱粉、アル
ギン酸塩、蛋白質、レシチン、繊維系エーテル、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
酸誘導体、膠質珪酸等が知られている。
【0080】なお、一般に、微粒子の分散液は、その微
粒子の大きさが0.1μm以下のときはコロイドと呼ば
れ、数μmより0.1μm程度の大きさであるときはエ
マルジョンあるいは乳剤と称されている。
【0081】このような微粒子の分散液はすでに市販さ
れており、本実施例では、真空冶金(株)製の銀微粒子
をトルエンの溶剤に分散させたAg30wt%の独立分
散超微粒子溶液を用いた。
【0082】この分散微粒子は、ガス中蒸発法によって
生成されたもので、粒径は0.1μm以下であり、コロ
イド状に分散された個々の粒子は凝集することなく独立
に分散されているため、溶液の比抵抗が約107Ωcm
と高い。
【0083】この微粒子の分散液を、静電力を用いて被
塗布部材上状に吐出させたところ、良好に曳糸現象が生
じて吐出が可能であった。
【0084】その後、被塗布部材上に吐出した分散液を
300℃で加熱すると、分散液は電気伝導性を持った銀
薄膜となった。
【0085】これは、銀微粒子を覆っていた界面活性剤
または保護膠質が熱によって溶けて蒸発し、銀微粒子同
士の接触凝集が成されたためであると考えられる。
【0086】もちろんこの加熱工程は、場合によって
は、上述したように省略してもかまわない。
【0087】このように、微粒子自体が比抵抗の低い性
質を持つものであっても、絶縁性材料で被膜された微粒
子にして吐出溶液とすれば、静電力によって良好に吐出
でき薄膜形成が可能であり、微細な配線の直接形成を行
うことができるため、回路の低価格化や曲面を持った被
塗布部材上への配線において、大きな効果を挙げること
ができる。
【0088】(実施例5)以下、本発明の第5の実施例
について説明する。
【0089】実施例1から4では、溶液を吐出させる方
法として静電力のみを用いる場合を示したが、本実施例
では、静電力に加え、さらに圧電素子等による振動を溶
液に補助的に印加した場合について述べる。
【0090】図6は、静電力と圧力波を併用したノズル
を使い、溶液を吐出させる構成を示す。
【0091】図6において、17は吐出口、18は溶液
に圧力波を発生させるためのピエゾ素子、19は圧力
室、20は溶液供給口、21は背面電極、22は高圧電
源、23は被塗布部材を示している。
【0092】この構成において、ピエゾ素子18に電圧
を印加すると、ピエゾ素子がたわみ、圧力室19の容積
が変化する。
【0093】この圧力室の容積変化は、吐出口17内の
溶液に流動を生じさせ、この流動が所定値より大きい場
合には、液滴となって被塗布部材方向に吐出される。
【0094】また、圧力室19内のインクと背面電極間
には電界が作用しており、インクを被塗布部材方向に吸
引する力が働いている。
【0095】溶液の吐出は、溶液に対し静電力を加えた
とき、あるいはピエゾ素子による圧力波と静電力の両方
が存在したときになされ、溶液に対しなんらの力も加え
ないときは、溶液の表面張力によって吐出口に保持され
ている。
【0096】この装置を用い、静電力のみの場合と圧力
波を併用した場合の溶液の吐出について検討した結果を
図7に示す。
【0097】図7に示された曲線は、溶液の吐出開始点
を結んだものであり、圧電効果による圧力波を溶液に与
えない場合には、C点の静電力(図3の電界の強さの2
kV/mmに相当する)が必要であったものが、溶液に
圧力波を加えることによって、D点までは、圧力波が大
きければ大きいほど静電力を相対的に小さくすることが
できることを示している。
【0098】このとき、溶液に与える圧力波の大きさ
は、ピエゾの材質、寸法、液室形状、ノズル径、吐出液
の物性値等によって異なるが、一般にピエゾに印加する
電圧値でいうと50Vから500V程度である。
【0099】この実験結果は、溶液の吐出方法として、
溶液に対し静電力のみを作用させる場合よりも、静電力
に圧力波を補助的に加えることによって、実施例1の図
3に示した吐出開始電圧を下げることができ、曳糸現象
を生じる状態の領域を広くとれることを示している。
【0100】上記について、図8を用いて説明する。図
8は、溶液に対し図7のE点で示される静電力と圧力波
を加えた場合の、溶液の比抵抗値と吐出開始時の印加電
圧のとの関係を示すものである。
【0101】図8において、破線Fは、静電力のみの吐
出方式における吐出開始電圧であり(図3の曲線Aに相
当)、曲線Gは、静電力に圧力波を加えたときの吐出開
始電圧を示している。
【0102】吐出手段に、静電力に圧力波を加えること
により、溶液の吐出開始電圧が下がるため、溶液が曳糸
現象を生じる状態の領域が、静電力のみの場合のd部の
領域に付加して、e部に示す部分を追加することがで
き、比抵抗値の低い溶液も使用可能となり、結果として
吐出溶液の選択の幅を広げることとなる。
【0103】そして、吐出後の工程は、実施例1と同様
な工程で、薄膜を形成することができる。
【0104】このように、吐出溶液に対し静電力のみな
らず圧力波を加えれば、静電力のみの溶液吐出方法と比
べて、さらに吐出溶液の種類を広げることとなるので、
形成できる薄膜の種類が広がり、回路部品あるいはマイ
クロマシンの製作に大きな効果をあげることが可能とな
る。
【0105】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、薄
膜形成材料として溶液状物質を用い、薄膜形成材料の吐
出手段として静電力単独、または静電力に圧電効果を補
助として利用し、被形成部材上に薄膜形成材料の溶液を
曳糸状態で吐出し、溶液中の溶媒の加熱、または所定時
間室温で放置することにより蒸発させることにより、従
来の薄膜形成方法に比べて吐出できる溶液の種類に対し
実質的には制約を受けることがなく、かつ吐出溶液が曳
糸状態となるため微細な薄膜形成が可能であり、各種回
路やデバイスの作製時にもたらす利便性はきわめて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吐出原理を説明する説明図
【図2】同吐出原理を具体化した溶液の吐出のための構
成図
【図3】同吐出原理を具体化した構成により得られた比
抵抗−電界の関係で決まる溶液の吐出の特性図
【図4】同吐出原理を具体化した溶液の吐出のための他
の構成図
【図5】同吐出原理を具体化した薄膜形成装置の全体構
成図
【図6】同吐出原理を具体化した溶液吐出のための他の
構成図
【図7】同吐出原理を具体化した他の構成により得られ
た圧力波−静電力の関係で決まる溶液の吐出の特性図
【図8】同吐出原理を具体化した構成により得られた比
抵抗−電界の関係で決まる溶液の吐出の特性図
【図9】従来例を示す構成図
【符号の説明】
17 溶液吐出部 18 被塗布部材 19 ヒータブロック 20 X−Yステージ 22 Zステージ 23 溶液供給部 24 制御部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜形成材料と前記薄膜形成材料を溶解
    する溶媒とを含み比抵抗が105Ωcm以上の溶液状物
    質を吐出用のノズル内に案内する工程と、前記ノズルの
    軸線方向に被形成部材を設置する工程と、前記ノズル内
    の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に静電力を
    作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶
    液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方
    法。
  2. 【請求項2】 溶液状物質が、さらに比抵抗が調節可能
    な溶媒をも含む請求項1記載の薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 高分子樹脂を含む溶液状物質を吐出用の
    ノズル内に案内する工程と、前記ノズルの軸線方向に被
    形成部材を設置する工程と、前記ノズル内の溶液状物質
    に対して前記ノズルの軸線方向に静電力を作用させて前
    記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳
    糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 金属材料溶液と分散剤とを含み比抵抗が
    105Ωcm以上の溶液状物質を吐出用のノズル内に案
    内する工程と、前記ノズルの軸線方向に被形成部材を設
    置する工程と、前記ノズル内の溶液状物質に対して前記
    ノズルの軸線方向に静電力を作用させて前記ノズルから
    被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出す
    る工程とを有する薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 溶液状物質が、さらに保護膠質または乳
    化安定剤をも含む請求項4記載の薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 溶液状物質を曳糸状で吐出する工程が、
    さらに圧力波を作用させる工程をも含む請求項1から5
    のいずれか記載の薄膜形成方法。
  7. 【請求項7】 さらに、被形成部材上に吐出された溶液
    状物質を加熱する工程を有する請求項1から6のいずれ
    か記載の薄膜形成方法。
  8. 【請求項8】 さらに、被形成部材上に吐出された溶液
    状物質の周囲に不活性ガスを供給する工程を有する請求
    項1から7のいずれか記載の薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれか記載の溶液状
    物質の供給源と、前記溶液状物質を吐出する溶液状物質
    吐出手段と、前記吐出された溶液状物質から薄膜が形成
    される被形成部材と、前記被形成部材を載置するステー
    ジと、前記被形成部材を加熱する加熱手段とを有する薄
    膜形成装置。
  10. 【請求項10】 さらに、溶液状物質吐出手段を前記溶
    液状物質吐出手段と被形成部材とを結ぶ第1の方向に移
    動可能な第1の移動手段と、ステージを前記第1の方向
    とは垂直な平面内で2方向に移動可能な第2の移動手段
    とを有する請求項9記載の薄膜形成装置。
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