JPH087200B2 - 液状混合物の性状分析方法および装置 - Google Patents

液状混合物の性状分析方法および装置

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JPH087200B2
JPH087200B2 JP20980789A JP20980789A JPH087200B2 JP H087200 B2 JPH087200 B2 JP H087200B2 JP 20980789 A JP20980789 A JP 20980789A JP 20980789 A JP20980789 A JP 20980789A JP H087200 B2 JPH087200 B2 JP H087200B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、炭化水素油、含酸素化合物を含む炭化水素
油等の液状混合物、例えばガソリン等の密度、オクタン
価、蒸気圧、組成等の性状を、迅速かつ簡便に高精度で
分析する液状混合物の性状分析方法および装置に関す
る。
〔従来の技術〕
ガソリンは、精製された低沸点の液状炭化水素の混合
物、或いは該液状炭化水素に更に含酸素化合物を含む混
合物であり、主として電気着火式エンジンの燃料として
用いられる。
ガソリンは、その製造方法により、天然ガソリン、直
留ガソリン、分解ガソリン、改質ガソリン、異性化ガソ
リン、合成ガソリン等があり、これら各種のガソリンを
混合して自動車ガソリン、航空ガソリン等の最終製品が
得られる。また、これら各種ガソリンの他に、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルタ
ーシャルブチルエーテル等の含酸素化合物を約3〜15容
量%程度添加して最終製品を得る場合もある。
これらの各種ガソリン、あるいは自動車ガソリン等の
最終製品の性状を把握するには、密度、オクタン価、蒸
気圧、組成等の多数の項目について分析する必要があ
る。
従来、上記各項目について分析する場合には、JIS規
格に基づく測定が行われている。
例えば、オクタン価は、JIS−K−2280に示されてい
るCFR(Cooperative Fuel Research)エンジンを用いた
リサーチ法オクタン価(RON)(CFRエンジン回転数600r
pmで得られたオクタン価)を測定する。
また、組成は、例えば、ガソリン中の成分を飽和炭化
水素分、オレフィン炭化水素分及び芳香族炭化水素分の
3種類の炭化水素タイプに類別して定量する方法がJIS
−K−2536に示されている。
更に、これら液状混合物の組成分析の手段として、熱
伝導度検出器(以下、TCDと略記する)、水素炎イオン
化検出器(以下、FIDと略記する)等の各種検出器を備
えたガスクロマトグラフが一般に用いられている。
ガソリンも炭化水素等の液状混合物であり、このガス
クロマトグラフを用いてガソリンのおおよその組成分析
をすることは公知である。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のJIS−K−2280に示されているCFRエンジンを用
いてリサーチ法オクタン価を測定する場合、一試料につ
き、約1000mlの試料量を必要とし、測定時間も約1時間
必要とする。
また、上記のJIS−K−2536に示されている、ガソリ
ン中の炭化水素成分を飽和分、オレフィン分及び芳香族
分の3種類の炭化水素タイプに類別して組成を定量する
場合は、煩雑な操作を伴い、分析するのに約1〜2時間
程度必要とする。
更に、各種ガソリン、あるいは自動車ガソリン等の最
終製品の性状を把握するには、これらオクタン価、組成
の他、密度、蒸気圧等の項目についても分析しなければ
ならず、主要項目のみを分析するとしても約2000mlの試
料量と約5〜8時間程度の分析時間を必要とし、煩雑な
操作を行わなければならなかった。
しかも、上記のガスクロマトグラフを用いてガソリン
の組成分析を行う方法では、分解ガソリン、改質ガソリ
ン等は特に多数種の炭化水素の混合物であり、炭化水素
成分数は約130〜300にも及び、最終製品である自動車ガ
ソリン等は、これら分解ガソリン、改質ガソリン等を混
合して製造するので、炭化水素成分数は一般に約170〜3
50種にも達する。
これら多数種の炭化水素各成分をガスクロマトグラフ
を用いて分離溶出させるには、単に分離効率が良いカラ
ムを用いても、各種炭化水素のクロマトグラムピークは
非常に接近したものとなる。
また、最近、自動車の高性能化に伴い、オクタン価が
約98〜100のいわゆるハイオクタン価ガソリンの需要が
増えている。これらのガソリンでは、2,2,4−トルメチ
ルペンタン、トルエン、炭化数9の芳香族炭化水素等の
特定種の炭化水素成分が多量に含まれていることが多
い。このような試料の分析を行った場合は、ガスクロマ
トグラフの測定条件が精密に制御されていたとしても、
多量に含まれている炭化水素成分が分離溶出するのに時
間を要し、保持時間が大幅に変化する。
また、ガスクロマトグラフを用いて組成分析を行うと
しても、ガソリン等の液状混合物は多種類の炭化水素等
の混合物であり、特に、特定種の成分が多量に含まれる
場合には、ガスクロマトグラフの分析条件が精密に制御
されているとしても、予め設定してある保持時間を基に
してクロマトグラムピークを正確に同定、定量すること
は困難であるという問題があった。
すなわち、成分数の多い試料のガスクロマトグラフに
よる同定、定量結果を用いて、例えば組成分析を行った
としても、JIS−K−2536に示されている方法による場
合とは大幅に異なった結果しか得られない。
以上のように、従来、ガソリン等の液状混合物の性状
を示す各種の項目をJIS試験法により把握するには、多
量の試料、煩雑な操作および分析に長時間を要するとい
う問題があった。
本発明は、特に、特定の成分が多量に含まれる場合等
に、成分量に影響されることなく、種々の液状混合物試
料中の各成分をガスクロマトグラフにより正確に同定、
定量し、該液状混合物試料の性状を示す各項目について
迅速に分析できる液状混合物の性状分析方法および装置
を提供すること目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、クロマトグラムのピークが描かれる開始
点が、分離溶出する成分濃度に影響されることが比較的
少なく、略一定である点に着目し、鋭意検討したとこ
ろ、試料注入時からピークが描かれる開始点までの時間
を基準にして同定、定量を行えば、高精度の同定、定量
結果を得ることができ、信頼性の高い液状混合物の性状
分析を行うことができるとの知見を得た。
即ち、本発明は、上記目的を達成するために、第1発
明は、ガスクロマトグラフを用いて、測定すべき試料中
に含まれる各成分を分離溶出させるステップ(S1)と、 該ガスクロマトグラフの出力から得られるクロマトグ
ラムの各ピーク面積を求めるステップ(S2)と、 該クロマトグラムの一部もしくは全部の特定成分につ
いて、ピーク開始時間を求めるステップ(S3)と、 この各ピーク開始時間、又は該各ピーク開始時間及び
前記特定成分以外の他の特定成分についての保持時間に
基づき前記各成分を同定するステップ(S4)と、 上記ピーク面積から前記各成分の含有割合を求めるス
テップ(S5)と、 上記同定結果及び前記含有割合に基づき、各成分の物
性値を基にして前記試料の性状値を求めるステップ(S
6)と からなることを特徴とし、 第2発明は、上記のステップS1と、ステップS2、ステ
ップS3と、 ステップS3で求めたピーク開始時間、又は該ピーク開
始時間及び前記特定成分以外の他の特定成分についての
保持時間に基づき各成分のうちの複数の成分を同定する
ステップ(S4A)と、 これらの同定した各成分のクロマトグラムののピーク
を基準ピークとし、これらの基準ピークから他の各成分
を同定するステップ(S4B)と、 上記のステップS5と、ステップS6とからなることを特
徴とし、 第3発明は、測定すべき試料中に含まれる各成分を分
離溶出させるガスクロマトグラフ(GC)と、 該ガスクロマトグラフ(GC)からの信号に基づき、ク
ロマトグラムの各ピーク面積を演算する積分手段(1T)
と、 該積分手段(1T)の積分結果に基づき、クロマトグラ
ムの一部もしくは全部の特定成分について、ピーク開始
時間を求めるピーク開始時間算定手段(RTC)と、 該ピーク開始時間算定手段(RTC)により求められた
各ピーク開始時間、又は該各ピーク開始時間及び前記特
定成分以外の他の特定成分についての保持時間に基づ
き、上記各成分を同定する同定手段(ID)と、 上記積分手段(IT)の積分結果に基づき、上記各成分
の含有割合を演算する含有割合演算手段(RP)と、 上記同定手段(ID)による同定結果及び上記含有割合
演算手段(RP)により演算された含有割合に基づき、各
成分の物性値を基にして上記試料の性状値を求める性状
値演算手段(CP)と を有することを特徴とし、 第4発明は、上記のノガスクロマトグラフ(GC)と、
積分手段(IT)と、ピーク開始時間算定手段(RTC)
と、 前記ピーク開始時間算定手段(RTC)により求められ
た各ピーク開始時間、又は該各ピーク開始時間及び前記
特定成分以外の他の特定成分についての保持時間に基づ
き各成分のうち複数の成分を同定すると共に、これらの
同定した各成分クロマトグラムピークを基準ピークと
し、これらの基準ピークから他の各成分を同定する同定
手段(ID′)と、 上記の含有割合演算手段(RP)と、 上記同定手段(ID′)による同定結果及び上記含有割
合演算手段(RP)により演算された含有割合に基づき、
各成分の物性値を基にして上記試料の性状値を求める性
状値演算手段(CP)と を有することを特徴とする。
〔作用〕
以下に炭化水素成分から成る液状混合物を例として説
明するが、含酸素化合物を含む炭化水素油等の液状混合
物の場合も同様である。
ガスクロマトグラフにおいては、一般に、得られるク
ロマトグラムの各ピークを、予め設定してある保持時間
との関係を用いて解析し、試料中の炭化水素各成分を同
定、定量して、炭化水素各成分の含有割合を求める。
ここで、上記「保持時間」は試料導入点からクロマト
グラムピークの最高点(以下、ピーク点という)が描か
れるまでの時間であり、特定種の炭化水素成分が多量に
含まれている場合は、その成分を分離溶出するのに時間
を要し、上記保持時間が大幅にずれ、試料中の炭化水素
各成分を同定することが困難になる。
本発明者の研究によれば、クロマトグラムのピークが
描かれる開始点(以下、ピーク開始点という)は、分離
溶出する炭化水素成分濃度に影響されることが比較的少
なく、ほぼ一定であることが確認された。この点に着目
し、更に研究を重ねた結果、ピーク面積が増加する保持
時間はピーク面積の増加分だけ遅れるが(リーディング
現象)、ピーク面積をY、試料注入時からピーク点まで
の時間をx、ピーク開始点からピーク点までの時間をX
とすると、ピーク面積YはX及びxの関数Y(X,x)で
表すことができることを見出した。
例えば、Y=Y(X,x)を線型のn次関数(nは任意
整数)で表す場合には、 Y=AnXn+An-1Xn-1+……+A1X+A0 …(1) Ak=BkmXm+Bk(m-1)Xm-1+……+Bk1x+Bk0 …(2) (k=0,1,2,……,n) となる。
上記各式において、n=2のときにはYは Y=A2X2+A1X+A0 …(3) となる。また、上記係数A0,A1,A2は A0=B02x2+B01x+B00 …(4) A1=B12x2+B11x+B10 …(5) A2=B22x2+B21x+B20 …(6) で表示される(但し、一般にはA0=0)。
従って、一定の測定条件下で、上記式(4)〜(6)
の右辺の各係数B00〜B02,B10〜B12,B20〜B22を求めて
おけば、任意の保持時間における係数A0〜A2が求まる。
従って、xからXを減算すれば試料注入時点からピー
ク開始点までの時間(すなわち、本発明におけるピーク
開始時間)が求まり、全てのクロマトグラムピークにつ
き、ピーク面積Y(即ち、炭化水素濃度)に影響される
ことなく、ピーク開始時間を求めることもできる。
また、保持時間がずれるもう一つの原因として、ガス
クロマトグラフの測定条件の微妙な差が考えられる。
保持時間は一般にある傾向をもってずれるので、例え
ばガソリンで、イソブタン、イソペンタン、ベンゼン等
の代表的な炭化水素成分を基準ピークとして予め登録し
ておく(なお、基準ピークのピーク開始時間を標準ピー
ク開始時間という)。
実際の試料分析の際には、先ず、最初に表れる基準ピ
ークの同定を行う。次に、この最初に表れた基準ピーク
の標準ピーク開始時間(予め登録(設定)されたもの)
を、実際のピーク開始点に訂正(即ち、ずれ分を訂正)
し、この訂正された標準ピーク開始時間を基礎にして、
次に表されている基準ピークの標準ピーク開始時間(予
め登録(設定)されたもの)を訂正して同定する。この
ようにして、基準ピークの標準ピーク開始時間を順次訂
正しながら同定する。
具体的には、代表的な炭化水素成分の最初の基準ピー
クを、標準ピーク開始時間(予め登録(設定)されたも
のの一定範囲内、例えば標準ピーク開始時間±0.3分以
内、の最大ピークとして同定することが好ましい。
そして、その次の基準ピークについては、直前の基準
ピークの標準ピーク開始時間(予め登録(設定)された
もの)に対する実際のずれを加味してその標準ピーク開
始時間(予め登録(設定)されたもの)を訂正する。
例えば、直前の基準ピークのずれが実際には、±0.2
分であったとすれば、次の基準ピークの同定の際には、
予め設定してある標準ピーク開始時間に0.2分を加えて
訂正した新たな標準ピーク開始時間の±0.3分以内の最
大ピークとして次の基準ピークを同定することが好まし
い。
基準ピーク数は、任意の数に設定できるが、通常8〜
20程度登録しておき、順次数種の基準ピークを同定し、
その他のピークは直前及び直後の各基準ピークの標準ピ
ーク開始時間(予め登録(設定)されたもの)のずれ分
を加味して補間法により訂正する。
これにより、任意成分について上記方法により求めた
ピークと実際のピークとの誤差を、0.1分以内に収める
ことができる。
基準ピーク及び通常多量に含まれていると思われる成
分のクロマトグラムピーク等一部のピークに対してピー
ク開始時間、標準ピーク開始時間を求め、同定、定量す
ることもできるが、同定精度を上げるには、全てのクロ
マトグラムピークにつきピーク開始時間、標準ピーク開
始時間を求めて同定することが好ましい。
なお、基準ピークについてピーク開始時間を求めない
で、これらの基準ピークに基づいて他のクロマトグラム
ピークを補間法により補正することが従来行われていた
が、この方法のみでは上記のようにピーク点にずれが生
じるため、正確な同定を行うことができない。
また、ピーク開始時間を求めるには、ガスクロマトグ
ラフ分析の際に通常用いられているインテグレータ(積
分手段)のパラメータ等の設定を変えることにより求め
ることもできるが、完全に分離していないピーク及びブ
ロードなピークでピーク面積が比較的大きいピーク等に
関しては、先に述べた式(1)〜(6)から求めたピー
ク開始時間と比較するとずれる場合が多い。従って、ガ
スクロマトグラフで分離溶出を行い、インテグレータの
設定のみでピーク開始時間を求めた場合、完全に分離し
ない或いはブロードなピークとなる成分が多く含まれて
いる試料については、同定率が低下する。
以上のように、第1,第2発明のステップS1〜ステップ
S6により、ガスクロマトグラフを用い炭化水素各成分を
分離溶出させ、クロマトグラム各ピークの面積を求め、
ピーク開始時間を求め、基準ピークを基に同定、定量す
ることにより、例えばガソリンでは一試料につき約130
〜350種存在する炭化水素各成分を正確に同定し、その
炭化水素成分割合を求めることができる。本発明者の実
験によればピーク同定率99.0%以上にも達する。
次いで、上記の炭化水素各成分の密度、沸点、炭素
数、水素数、オクタン価[RON、MON:モータ法オクタン
価(CFRエンジン回転数900rpmで得られたオクタン
価)]、蒸気圧、発熱量等の物性値を用い、該物性値と
上記のようにして得られた炭化水素各成分の含有割合と
を基礎に演算処理を行うことにより、上記ガソリンの性
状を表す各項目の性状値が得られるものである。
第1,第2発明で得られる項目のひとつであるオクタン
価(RON、MON)は、例えば種々のガソリンを混合した場
合、オクタン価が計算値より上昇することが多いので、
計算値と実測値で相関を求めて補正することが好まし
く、この補正を行うことにより、JIS法で得られる結果
と同様に精度よく測定することができる。
その他、第1,第2発明でJIS法と同様に精度よく測定
できる項目は、炭化水素タイプ分析、蒸気圧、密度、発
熱量であり、炭素・水素含有量、平均分子量も測定でき
る。
また、蒸留については、試料中に含まれている炭化水
素各成分の沸点と含有率とから蒸留曲線を求めることが
できる。
第1,第2発明のこれら一連のステップS1〜S6は、第3,
第4発明におけるガスクロマトグラフ(GC)、積分手段
(IT)、ピーク開始時間算定手段(RTC)、同定手段(I
D、ID′)、含有割合演算手段(RP)、性状値演算手段
(CP)を用いて実行することができる。
なお、第1〜第4発明においては、原油の常圧蒸留に
よって得られるガソリン沸点範囲留分(通常、「ナフ
サ」と言われる)、天然ガソリン、分解ガソリン、改質
ガソリン、異性化ガソリン、合成ガソリン、そしてこれ
らを混合して得られる自動車ガソリン、航空ガソリン等
沸点約30〜23℃の炭化水素混合物等のガソリンの他、自
動車用燃料としても用いられている液化石油ガス等、炭
化水素成分が少ない試料をも対象とすることができるこ
とは言うまでもない。
また、原油等の重い留分までをも含む試料について
も、ガスクロマトグラフにプレカラムを付設し、一定時
間後バックフラッシュを行うことにより、第1〜第4発
明にて性状を求めることもできる。
このように、第1〜第4図発明は、ガソリン留分のよ
うな比較的軽質成分からなる液状混合物の性状測定のみ
ならず、灯油、軽油等留出油といわれるその他の液状混
合物の分析にも使用できる。即ち、分析しようとする炭
化水素油の沸点範囲に応じ、適宜温度条件、適当な分離
性能を持つカラムを用いることにより、ガソリン留分と
同様に分析することができるのである。
以上のように、ガスクロマトグラフで各成分を分離す
るのに十分な理論段数を有するカラムと昇温法を採用
し、カラムオーブン温度を昇温させることにより、各成
分が分離溶出される。
これにより得られる保持時間等からピーク開始時間を
求め、各成分を同定する(但し、第2,第4発明では、基
準ピークを基に各成分を同定する)。
そして、ピーク面積から各成分の含有割合を求め、各
成分の物性値を基に性状値を求めることにより試料の性
状に影響なく、性状を示す各項目が高精度で分析され
る。
〔実施例〕
第1〜第4発明で使用するガスクロマトグラフ(GC)
は、TCD、FID等の検出器が装備された市販のものが使用
できるが、汎用性、感度の点で検出器にFIDを用いたも
のが好ましい。
分離溶出のために用いるカラムは、例えばガソリンの
場合、種々のガソリン中に含まれる約300種以上の炭化
水素成分を分離する必要があるので、理論段数が約200,
000段以上、好ましくは約250,000段以上の性能を有する
必要がある。このため、内径が約0.1〜0.3mm、長さが約
40〜100mのキャピラリーカラムが好ましい。
また、ガソリン中の各成分を、沸点順に分離溶出させ
るので、カラムのコーティング剤は無極性物質が好適に
用いられる。例えば、ヒューズドシリカ等の純度の高い
二酸化珪素の材質でできたキャピラリーカラムの内壁表
面に、メチルシリコン、又はメチルシリコンを主とする
もので化学結合させたもの、あるいはシリコン液相分子
同士を架橋したもの等を、膜厚約0.2〜1.0μm、好まし
くは約0.2〜0.6μmでコーティングしたオープンチュー
ブラーカラムが好ましい。
キャリアガスとしては、一般に用いられている水素、
ヘリウム、窒素等を使用することができるが、分子拡散
が大きく不活性で安全なヘリウムが好ましく、キャリア
ガス速度は、一般には約10〜30cm/秒の範囲が好まし
い。
また、試料注入量は、ガソリンの場合約0.2〜1.0μl
程度であり、スプリット比は試料注入量にもよるが約10
0:1〜500:1の範囲で分析が行われる。
ガスクロマトグラフのカラムオーブン温度条件は、カ
ラムの分離性能、キャリアガス速度等にも関係し、種々
の態様が考えられるが、試料がガソリンの場合、基本的
には、ブタン、ペンタン等の低沸点炭化水素成分が分離
溶出するまではカラムオーブン温度を約−5〜+5℃程
度に保ち、その後炭素数の多い炭化水素成分を精度よく
分離溶出させるために昇温する。これにより分析時間を
短縮することができる。
このとき、昇温速度は約0.5℃/分以下では昇温の効
果がなく、炭化水素各成分の分離溶出に時間を要し、ま
た約7℃/分以上では炭化水素のクロマトグラムピーク
が接近し、正確に同定、定量することが困難になるの
で、昇温速度は約0.5〜7℃/分、好ましくは約1.0〜4.
0℃/分とするのが適している。
以下、図面に沿って第1〜第4発明の分析方法及び装
置について説明する。
第1図は第1発明の一例を示すフローチャートであ
り、第3図は第3発明の一例を示すブロック図である。
なお、第3図は機能を示す図であり、構成機器等の具
体的な接続を示すものでないことは言うまでもなく、ま
た例示であり、他のブロック構成を採用できることも言
うまでもない。
第3図において、積分手段(IT)2は、試料注入によ
りガスクロマトグラフ(GC)1から出力されるクロマト
グラム信号Gを時間で積分する。
そして、コンピュータ3は、積分手段2の積分値Sに
基づき前記試料中の各成分の同定、定量を行うと共に、
前記試料の性状を分析する。
以下、コンピュータ3の機能を詳細に説明する。
ピーク開始時間算定手段4は、演算部4Aとメモリ4Bと
から構成されており、演算部4Aは積分手段2からの積分
値Sに基づき、メモリ4Bにテーブルとして格納されてい
る既設定の係数、例えば式(3)〜(6)の各係数B00
〜B02,B10〜B12,B20〜B22及びA0〜A2を用い、これら
の式(3)〜(6)により、ピーク開始時間RT′を求め
る。
これは、全てのピークについて行ってもよいし、一部
のピークについて行ってもよい。
同定手段(ID)5は、前記ピーク開始時間算定手段4
のピーク開始時間RT′に基づき、又はピーク開始時間R
T′とピーク開始時間RT′を求めていないピークについ
ての保持時間RTとに基づき前記試料中の各成分を同定す
る(これらの同定結果をαとする)。
一方、含有割合演算手段(RP)6は、積分手段2の積
分値Sに基づいて前記各成分の含有割合βを演算する。
性状演算手段7は、第3図では演算部7Aとメモリ7Bと
により構成されており、演算部7Aはメモリ7Bに格納され
ている既知の物性データγと前記同定結果αと前記含有
割合βとに基づき前記試料の性状値を演算する。
第1図は、第3図に示す装置を使用して実施した第1
発明の性状分析法方法の一例を示すフローチャートであ
る。
同図において、先ず、測定条件を一定に設定し、ガス
クロマトグラフ1により、試料中の各成分を分離溶出さ
せる(ステップS1)。
次に、ガスクロマトグラフ1のクロマトグラム信号G
に基づき、積分手段2により、クロマトグラム各ピーク
のピーク面積Sを求める(ステップS2)。
そして、次に、上記測定条件下で事前に求めておいた
ピーク面積Sと保持時間RTとの関係から、ピーク開始時
間算定手段4によりクロマトグラム各ピークのピーク開
始時間RT′を求める(ステップS3)。ここで、保持時間
RTは式(3)〜(6)のxに相当しており、ピーク面積
Sは該各式のYに相当する。
なお、本実施例で、ピーク面積Sと保持時間との関係
は式(3)〜(6)に依存するもとのとし、これらの式
を2次式としている。
次に、このピーク開始時間RT′に基づき、試料中の各
成分が、同定手段5により同定(同定結果α)される
(ステップS4)。
そして、前記ピーク面積Sから各成分の含有割合βを
含有割合演算手段6により求め(ステップS5)、上記同
定結果αと含有割合βとから、性状値演算手段7により
各成分の物性値γを基に、試料の性状値を求める(ステ
ップS6)。
ここで、性状値の1つであるオクタン価は、計算値と
実測値との相関式から補正して求める。
第2図は第2発明の一例を示すフローチャートであ
り、第4図は第4発明の一例を示す機能ブロック図であ
る。
第4図において、第3図と同一符号は第3図と同一要
素を示し、5′は第4発明の同定手段である。
この同定手段5′は、基準ピーク同定要素5′Aと非
基準ピーク同定要素5′Bとから構成されている。
基準ピーク同定要素5′Aは、先ず、複数の代表的な
成分の同定を行う。また、これらの各成分のピークを基
準ピークとし、これら基準ピークに基づいて他の各成分
の同定を行う。
このとき、クロマトグラフ各ピークにずれがある場合
は、次のような補間法を用いてこのずれを訂正しつつ各
成分の同定を行う。
例えば、2つの基準ピーク間に2つの非基準ピークが
存在するとする。
ここで、1番目の基準ピークのピーク開始点が既設定
の補正後標準保持時間と異なっているものとする(この
差をΔt1とする)。
このとき、基準ピーク同定要素5′Aは、1番目の基
準ピークの既設定の標準ピーク開始時間を基点とする一
定範囲内に存在する最大ピーク面積を持つピークを目的
の基準ピークとして同定する。
次に、基準ピーク同定要素5′Aは、2番目の基準ピ
ークの同定を、該基準ピークの既設定の標準ピーク開始
時間に前記Δt1を加算した時間を新たに設定した標準ピ
ーク開始時間とする訂正を行い、1番目の基準ピークと
同様に、2番目の基準ピークに係る成分の同定を行う。
このとき、2番目の基準ピークの訂正後の標準ピーク
開始時間と実際のピーク開始点との差がΔt2であるとす
る。
非基準ピーク同定要素5′Bは、Δt1とΔt2とに基づ
き補間法により前記の非基準ピークのピーク開始時間を
求める。この訂正後のピーク開始時間に基づきこれら非
基準ピークに係る各成分の同定を行う。
なお、以上の例では、非基準ピークを同定するためにピ
ーク開始時間を求めたが、保持時間により求めてもよ
い。
第2図は、第4図に示す装置を使用して実施した第2
発明の性状分析方法の一例を示すフローチャートであ
る。
同図において、第1図と同一符号のステップは第1図
と同一ステップを示し、ステップS4A,S4Bは第2発明の
同定ステップである。
ステップS4Aでは、上記した基準ピーク同定要素5′
Aにより、試料中に含まれる複数の代表的な成分を同定
する。
そして、ステップS5Bでは、これらの同定した各成分
に基づき、上記した非基準ピーク同定要素5′Bによ
り、非基準ピークを同定する。
〔実験例〕
上記第2,第4発明の実施例に基づいて、具体的な実験
を行った。
この実験結果を以下に示す。
本実験では、基準ピークとして、イソブタン、イソペ
ンタン、2,2−ジメチルブタン、3−メチルペンタン、
ベンゼン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、O−
キシレン、ノルマルプロピルベンゼン、1,2,4−トリメ
チルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、2−
メチルナフタレンを設定した。
また、クロマトグラムの全てのピークにつきピーク開
始時間を求めた。
表1、表2、表3は、種々のガソリン試料について、
下記のガスクロマトグラフ測定条件で行った結果とJIS
法で行った結果とを示すものである。
ガスクロマトグラフ測定条件: カラム;固定用…メチルシリコン(シリコン液相分子
同士を架橋したもの) 長 さ…50m 内 径…0.2mm 材 質…ヒューズドシリカ 検出器;FID カラムオーブン温度条件; 注入口温度;250℃ 検出器温度;300℃ キャリアーガス;He…20cm/sec スプリット比=400:1 試料注入量;1μl なお、*は昇温速度である。
表1は、市販のハイオクタン価ガソリン(以下、ハイ
オクガソリンと略記)について二種、市販レギュラーガ
ソリンについて二種、改質ガソリン、分解ガソリンにつ
いてのJIS法での実測値及び本発明による実験で得られ
た結果を示すものである。
上記実験では、一試料あたり種々の項目の性状値を求
めるのに要した時間は約2時間であった。
なお、表2中、ハイオクガソリン(1)はトルエンを
約35容量%含み、ハイオクガソリン(2)は2,2,4−ト
リメチルペンタンを多量に含むものである。
表2、表3は、二種の試料についての繰り返し精度を
示すものであり、表2は表1に示したハイオクガソリン
(1)を上記実験により5回繰り返して測定した結果
で、表3は表1に示したレギュラーガソリン(1)を上
記実験により5回繰り返して測定した結果である。
表1、表2、表3から分かるように、本発明による試
料、例えばガソリンの性状分析は、JIS法と同様に種々
の項目につき精度よく迅速に性状を分析できるものであ
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、同定の基準を、各成分の濃度に影響
されることが少ない、試料注入時点からクロマトグラム
のピーク開始点迄の時間としたので、高精度の同定、定
量を行うことができ、この同定、定量結果を用いて、信
頼性の高い液状混合物の性状分析を行うことができる。
また、複数の代表的な成分を基準ピークとし、該基準
ピークに基づいて他の成分の同定を行うので、迅速かつ
簡便に全ての成分の同定を行うことができる。
しかも、本発明は、ガスクロマトグラフを用いるの
で、人手を要することなく、また僅かな試料により、短
時間かつ簡易に液状混合物の性状分析を行うことができ
る。
従って、本発明は、炭化水素油、含酸素化合物を含む
炭化水素油等の液状混合物を製造している製油所、ある
いは油槽所等における工程・品質管理をはじめ多方面に
おいて利用することができるので、工業的価値は極めて
高いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は第1発明及び第2発明夫々の一実施
例を示すフローチャート、第3図及び第4図は第3発明
及び第4発明夫々の一実施例を示す機能ブロック図であ
る。 1……ガスクロマトグラフ 2……積分手段、4……ピーク開始時間算定手段 5,5′……同定手段、6……含有割合演算手段 7……性状値演算手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガスクロマトグラフを用いて、測定すべき
    試料中に含まれる各成分を分離溶出させるステップと、 前記ガスクロマトグラフの出力から得られるクロマトグ
    ラムの各ピーク面積を求めるステップと、 前記クロマトグラムの一部もしくは全部の特定成分につ
    いて、ピーク開始時間を求めるステップと、 前記各ピーク開始時間、又は該各ピーク開始時間及び前
    記特定成分以外の他の特定成分についての保持時間に基
    づき前記各成分を固定するステップと、 前記ピーク面積から前記各成分の含有割合を求めるステ
    ップと、 前記同定結果及び前記含有割合に基づき、各成分の物性
    値を基にして前記試料の性状値を求めるステップと からなることを特徴とする液状混合物の性状分析方法。
  2. 【請求項2】ガスクロマトグラフを用いて、測定すべき
    試料中に含まれる各成分を分離溶出させるステップと、 前記ガスクロマトグラフの出力から得られるクロマトグ
    ラムの各ピーク面積を求めるステップと、 前記クロマトグラムの一部もしくは全部の特定成分につ
    いて、ピーク開始時間を求めるステップと、 前記各ピーク開始時間、又は該各ピーク開始時間及び前
    記特定成分以外の他の特定成分についての保持時間に基
    づき前記各成分のうちの複数の成分を同定するステップ
    と、 前記の同定した各成分のクロマトグラムのピークを基準
    ピークとし、これらの基準ピークから他の各成分を同定
    するステップと、 前記ピーク面積から前記各成分の含有割合を求めるステ
    ップと、 前記同定結果及び前記含有割合に基づき、各成分の物性
    値を基にして前記試料の性状値を求めるステップと からなることを特徴とする液状混合物の性状分析方法。
  3. 【請求項3】測定すべき試料中に含まれる各成分を分離
    溶出させるガスクロマトグラフと、 前記ガスクロマトグラフからの信号に基づき、クロマト
    グラムの各ピーク面積を演算する積分手段と、 前記積分手段の積分結果に基づき、クロマトグラムの一
    部もしくは全部の特定成分について、ピーク開始時間を
    求めるピーク開始時間算定手段と、 前記ピーク開始時間算定手段により求められた各ピーク
    開始時間、又は該各ピーク開始時間及び前記特定成分以
    外の他の特定成分についての保持時間に基づき、前記各
    成分を同定する同定手段と、 前記積分手段の積分結果に基づき、前記各成分の含有割
    合を演算する含有割合演算手段と、 前記同定手段による同定結果及び前記含有割合演算手段
    により演算された含有割合に基づき、各成分の物性値を
    基にして前記試料の性状値を求める性状値演算手段と、 を有することを特徴とする液状混合物の性状分析装置。
  4. 【請求項4】測定すべき試料中に含まれる各成分を分離
    溶出させるガスクロマトグラフと、 前記ガスクロマトグラフからの信号に基づき、クロマト
    グラムの各ピーク面積を演算する積分手段と、 前記積分手段の積分結果に基づき、クロマトグラムの一
    部もしくは全部の特定成分について、ピーク開始時間を
    求めるピーク開始時間算定手段と、 前記ピーク開始時間算定手段により求められた各ピーク
    開始時間、又は該各ピーク開始時間及び前記特定成分以
    外の他の特定成分についての保持時間に基づき前記各成
    分のうち複数の成分を同定すると共に、これらの同定し
    た各成分のクロマトグラムピークを基準ピークとし、こ
    れらの基準ピークから他の成分を同定する同定手段と、 前記積分手段の積分結果に基づき、前記各成分の含有割
    合を演算する含有割合演算手段と、 前記同定手段による同定結果及び前記含有割合演算手段
    により演算された含有割合に基づき、各成分の物性値を
    基にして前記試料の性状値を求める性状値演算手段と、 を有することを特徴とする液状混合物の性状分析装置。
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