JPH0873648A - 遮音制振材 - Google Patents

遮音制振材

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JPH0873648A
JPH0873648A JP7043293A JP4329395A JPH0873648A JP H0873648 A JPH0873648 A JP H0873648A JP 7043293 A JP7043293 A JP 7043293A JP 4329395 A JP4329395 A JP 4329395A JP H0873648 A JPH0873648 A JP H0873648A
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damping
sound insulation
damping material
vibration
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Yoshiaki Fushiya
良明 伏屋
Mitsuo Hori
光雄 堀
Takeshi Hirata
健 平田
Yasuyuki Ohira
康幸 大平
Koji Kobayashi
幸司 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1つの部材として取り扱うことができ、しか
も優れた遮音性と制振性とを兼備する遮音制振材を提供
すること、及び広い温度領域にわたって優れた制振性、
遮音性を有する遮音制振材を提供すること。 【構成】 樹脂マトリックス中に少なくとも1種の遮音
制振付与剤が充填されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、内装材、建
材、家電機器などの振動抑制並びに騒音抑制を目的とし
て適用される遮音性、制振性に優れた遮音制振材に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
社会生活に欠かせない自動車から発生する騒音、振動は
社会問題としてクローズアップされ、法的規制が強化さ
れる過程で、その発生防止対策が強く要望されるように
なった。一方、ドライバーや乗客の側からの車内におけ
る振動、騒音といった快適性に対する要望もある。
【0003】また、工場や住宅、学校などの構造物に使
用される内装材や建材など建築資材についても、構造物
外部からの振動、騒音による被害や、構造物内部に発生
する振動、騒音の外部への拡散による被害が取り沙汰さ
れるようになり、騒音、振動対策が望まれている。
【0004】また、構造物内部における振動、騒音の発
生源となる家電機器についても、より快適な生活を志向
するという思想の広がりにより、使用者の振動、騒音対
策製品に対するニーズが高まっている。
【0005】従来、その具体的な振動、騒音対策とし
て、自動車、内装材、建材、家電機器などの振動、騒音
の発生する部分に、塩化ビニルシート、ゴムシート等の
遮音材料、フェルトやグラスウール等の繊維材料、ポリ
ウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの発泡樹
脂などの多孔質材料よりなる吸音材料、アスファルトや
樹脂等の粘弾性特性を有する制振材料といった異なる材
料を、その目的に合うように組み合わせて使用する方法
が採られていた。
【0006】例えば自動車のフロア部はエンジンやタイ
ヤからの透過音と振動による放射音の対策が必要とな
る。そこで、自動車のフロアパネルにはアスファルトシ
ート、10mm厚のフェルト、厚さ10mm前後のウレ
タンが積層され、その上にカーペットが敷設されるとい
う異なる材料を組み合わせた複層構造を採っていた。
【0007】このように遮音材料、吸音材料、制振材料
といった異なる材料を組み合わせて振動、騒音対策を講
じていた従来の方法では、振動、騒音対策のため複数の
材料を用意し、これらを一つづつ貼設して積層するな
ど、多くの手間を要していた。また、振動、騒音対策の
ための材料が複数であることから、1つの部材として取
り扱えず、取り扱い性が悪いという点もあった。更に上
記のような遮音材料、吸音材料、制振材料の組み合せに
係るものには、制振性、遮音性のいずれにも十分な効果
を有するものはなかった。
【0008】本発明の一の目的は、1つの部材として取
り扱うことができ、しかも優れた遮音性と制振性とを兼
備する遮音制振材を提供することである。
【0009】また、従来の方法において使用されている
遮音材料や制振材料、例えば前記アスファルトなどは、
夏期には高い温度に曝されて軟化し、冬期には冷やされ
て硬化するなど、温度変化の影響を受け易く、常に十分
な性能が発揮されないという不具合があった。
【0010】本発明の他の目的は、常温域から高温域ま
で、低温域から常温域まで、あるいは低温域から高温域
までなど、広い温度領域にわたって優れた制振性、遮音
性を有する遮音制振材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するため、請求項1記載の発明は、樹脂マトリックス中
に少なくとも1種の遮音制振付与剤が充填されているこ
とを特徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0012】請求項2記載の発明は、遮音制振付与剤が
マイカ鱗片であることを特徴とする遮音制振材をその要
旨とした。
【0013】請求項3記載の発明は、マイカ鱗片が当該
遮音制振材の総重量に対して1〜60重量%の割合で充
填されていることを特徴とする遮音制振材をその要旨と
した。
【0014】請求項4記載の発明は、マイカ鱗片の重量
平均フレーク径が90〜1000μmであることを特徴
とする遮音制振材をその要旨とした。
【0015】請求項5記載の発明は、樹脂マトリックス
中に、少なくとも1種の遮音制振付与剤と少なくとも1
種の遮音制振促進剤とが充填されていることを特徴とす
る遮音制振材をその要旨とした。
【0016】請求項6記載の発明は、遮音制振付与剤が
マイカ鱗片であって、遮音制振促進剤が炭酸カルシウム
であることを特徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0017】請求項7記載の発明は、マイカ鱗片と前記
炭酸カルシウムとが当該遮音制振材の総重量に対してそ
れぞれ10〜30重量%と70〜50重量%の割合で充
填されていることを特徴とする遮音制振材をその要旨と
した。
【0018】請求項8記載の発明は、マイカ鱗片の重量
平均フレーク径が90〜1000μmであることを特徴
とする遮音制振材をその要旨とした。
【0019】請求項9記載の発明は、樹脂マトリックス
が、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種の樹
脂と、少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂とか
らなり、前記樹脂マトリックス中に少なくとも1種の遮
音制振付与剤が充填されていることを特徴とする遮音制
振材をその要旨とした。
【0020】請求項10記載の発明は、遮音制振付与剤
がマイカ鱗片であることを特徴とする遮音制振材をその
要旨とした。
【0021】請求項11記載の発明は、マイカ鱗片が当
該遮音制振材の総重量に対して1〜60重量%の割合で
充填されていることを特徴とする遮音制振材をその要旨
とした。
【0022】請求項12記載の発明は、マイカ鱗片の重
量平均フレーク径が90〜1000μmであることを特
徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0023】請求項13記載の発明は、樹脂マトリック
スが、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種の
樹脂と、少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂と
からなり、前記樹脂マトリックス中に、少なくとも1種
の遮音制振付与剤と少なくとも1種の遮音制振促進剤と
が充填されていることを特徴とする遮音制振材をその要
旨とした。
【0024】請求項14記載の発明は、遮音制振付与剤
がマイカ鱗片であって、遮音制振促進剤が炭酸カルシウ
ムであることを特徴とする遮音制振材をその要旨とし
た。
【0025】請求項15記載の発明は、マイカ鱗片と前
記炭酸カルシウムは前記遮音制振材の総重量に対してそ
れぞれ10〜30重量%と70〜50重量%の割合で充
填されていることを特徴とする遮音制振材をその要旨と
した。
【0026】請求項16記載の発明は、マイカ鱗片の重
量平均フレーク径が90〜1000μmであることを特
徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0027】以下、本発明の遮音制振材をさらに詳しく
説明する。まず、請求項1〜4記載の遮音制振材につい
て説明する。この遮音制振材は樹脂マトリックス中に少
なくとも1種の遮音制振付与剤が充填されたものであ
る。樹脂マトリックスを構成する樹脂としては、粘弾性
高分子であって、自動車、内装材、建材、家電機器など
の振動や騒音の発生する部分の使用時における温度にお
いて、制振制が発揮されるものがよい。
【0028】具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ素ビニリデン、ポリ
イソプレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−ア
クリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル
共重合体などの樹脂、及びそれらをブレンドしたものな
どを挙げることができる。中でもポリ塩化ビニルは成形
性が優れており、また安価である点で好ましい。
【0029】尚、樹脂の損失係数のピーク温度と音圧レ
ベルのピーク温度(すなわち遮音性が最も発揮される温
度)とはほぼ一致しており、当該遮音制振材を適用する
部品の使用温度に合わせて樹脂を選択し、その使用温度
域で当該遮音制振材の制振性が最も発揮されるようにす
ることは、同時にその使用温度域で当該遮音制振材の遮
音性が最も発揮されるようにすることにもなる。
【0030】次に、前記樹脂マトリックス中に含まれて
いる遮音制振付与剤について説明する。本発明の遮音制
振材において遮音制振付与剤は、これを前記樹脂に充填
することで、遮音制振付与剤自らが持つ優れた遮音性、
制振性を樹脂に付与して、樹脂本来が持つところの遮音
性、制振性を飛躍的に向上させる機能を持つものであ
る。具体的にはマイカ鱗片、ガラス片、グラスファイバ
ー、カーボンファイバー等を挙げることができる。中で
もマイカ鱗片はこれを樹脂マトリックス中に充填するこ
とにより、樹脂本来が持つところの遮音性、制振性から
は予測し得ない優れた遮音性、制振性が発現することに
なるので好ましい。
【0031】例えば図1に示すように、ポリ塩化ビニル
の樹脂マトリックス中に遮音制振付与剤としてマイカ鱗
片を充填したものと、同じくポリ塩化ビニルの樹脂マト
リックス中に遮音制振付与剤として炭酸カルシウムを充
填したものとを対比したとき、マイカ鱗片の充填による
遮音性は、炭酸カルシウムの充填による遮音性の程度を
遥かに凌ぐ優れたものとなる。
【0032】マイカ鱗片の重量平均フレーク径としては
90〜1000μmの範囲のものが好しい。というのは
重量平均フレーク径が90μm未満のものはは、樹脂中
に混合し易く、かつ分散性がよいという利点はあるもの
の、これを充填したことによる遮音性、制振性の向上を
期待することはできない。一方、1000μmを上回る
ものは、遮音性及び制振性は向上するものの、嵩高とな
るため、樹脂への充填が難しく、かつマイカ鱗片を樹脂
全体に均一に分散できなくなり、樹脂マトリックス全体
にわたって制振性及び遮音性が均一に向上するという効
果が得られないことになる。
【0033】マイカ鱗片の樹脂への充填量としては、遮
音制振材の総重量に対して1〜60重量%、好ましくは
20〜50重量%である。この範囲以外の場合には、十
分な制振性及び遮音性の向上が得られなかったり、成形
できなかったり、あるいは耐衝撃性、強度が低下したり
するなどの不具合を生じることになる。
【0034】上記樹脂、遮音制振付与剤を所定割合で配
合し、これをバンバリーミキサーやロール等を用いて混
練することにより、本発明の遮音制振材を得ることがで
きる。尚、遮音制振付与剤としてマイカ鱗片を樹脂へ充
填する場合には、当該遮音制振材の製造の過程で同時に
行っていくのがよく、その際には上記の如くマイカ鱗片
の大きさが当該樹脂組成物の制振性、遮音性の高低に大
きな影響を及ぼすことから、マイカ鱗片の鱗片が壊れな
いよう十分に注意する必要がある。
【0035】こうして製造された遮音制振材は、カレン
ダー法や押し出し法などにより、用途、目的に応じた形
状に成形することで、自動車や内装材、建材などの振
動、騒音対策用の材料として用いることができる。
【0036】次に、請求項5〜8記載の遮音制振材につ
いて説明する。この遮音制振材は樹脂マトリックス中に
遮音制振付与剤と遮音制振促進剤とが充填されたもので
ある。尚、この遮音制振材において、樹脂マトリック
ス、遮音制振付与剤は、前述した請求項1〜4の遮音制
振材と同じであるため、ここでの説明は割愛する。
【0037】上記の如くマイカ鱗片などの遮音制振付与
剤は優れた制振性に加え優れた遮音性をも兼備してお
り、これを充填することにより、遮音制振材として必要
な遮音性及び制振性が発現することになるので、基本的
には遮音制振付与剤のみの充填で良好な遮音制振材を得
ることができる。しかしながら、例えば家電機器などき
わめて高いレベルの振動抑制並びに騒音抑制を要求され
る分野では、技術開発の伸展に伴い、振動抑制並びに騒
音抑制に対する要求も、今後ますます高レベルのものが
求められることが予測される。本発明の遮音制振材にお
ける遮音制振促進剤は、このような要求にも対応できる
よう、遮音制振付与剤による遮音性、制振性を更に向上
させる機能を持つものなのである。遮音制振促進剤とし
ては炭酸カルシウム、バライト及び沈降硫酸バリウムな
どを用いることができ、中でも炭酸カルシウムは、これ
を前記マイカ燐片とともに充填することで、マイカ燐片
の充填による遮音性、制振性をより一層向上させるとい
う効果が導き出されることになる。この炭酸カルシウム
としては、従来より遮音材の充填材として多用されてい
る軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムを用いるこ
とができる。
【0038】尚、遮音制振付与剤としてマイカ鱗片、遮
音制振促進剤として炭酸カルシウムを用い、これをポリ
塩化ビニル中に充填する場合、これらマイカ鱗片及び炭
酸カルシウムの樹脂マトリックス中への充填量として
は、遮音制振材の総重量に対してマイカ鱗片が10〜3
0重量%、炭酸カルシウムが70〜50重量%の比率で
充填されているのが好ましい。その理由は、樹脂重量が
この範囲外の場合には、成形できなかったり、あるいは
耐衝撃性、強度が低下したりするなどの不具合を生じる
ことになる。一方、マイカ鱗片の比率が上記範囲よりも
少ないかあるいは炭酸カルシウムの比率が上記範囲より
も多い場合には、十分な制振性及び遮音性の向上が得ら
れなくなる。又、マイカ燐片の比率が上記範囲よりも多
い場合、あるいは炭酸カルシウムの比率が少ない場合に
は、成形できなかったり、マイカ鱗片の使用量が増加す
るので遮音制振材の価格が高くなるという不具合を招く
ことになるからである。
【0039】上記樹脂、遮音制振付与剤、遮音制振促進
剤は、所定の比率で配合し、これをバンバリーミキサー
やロール等を用いて混練することにより、本発明の遮音
制振材を得ることができる。尚、遮音制振付与剤及び遮
音制振促進剤の樹脂への充填は、当該遮音制振材の製造
の過程で同時に行っていくのがよい。また、遮音制振付
与剤としてマイカ鱗片を用いる場合、上記の如くマイカ
鱗片の大きさが当該樹脂組成物の制振性、遮音性の高低
に大きな影響を及ぼすことから、マイカ鱗片の鱗片が壊
れないよう十分に注意する必要がある。
【0040】こうして製造された遮音制振材は、カレン
ダー法や押し出し法などにより、用途、目的に応じた形
状に成形することで、自動車や内装材、建材などの振
動、騒音対策用の材料として用いることができる。
【0041】尚、樹脂へは遮音制振付与剤及び遮音制振
促進剤の他に、短繊維を充填することで該成形物の機械
的強度を向上させたりするなど、遮音制振材の用途に応
じて各種機能を付与する材料を選択し、これを加えるこ
とができる。
【0042】次に、請求項9〜12記載の遮音制振材に
ついて説明する。この遮音制振材は樹脂マトリックス
が、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種の樹
脂と、少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂とか
らなり、前記樹脂マトリックス中に少なくとも1種の遮
音制振付与剤が充填されたものである。尚、この遮音制
振材において、遮音制振付与剤については、前述した請
求項1〜4の遮音制振材と同じであるため、ここでの説
明は割愛する。
【0043】樹脂マトリックスを構成する損失係数のピ
ーク温度(すなわち制振性が最も発揮される温度)が異
なる少なくとも2種類の樹脂としては、例えば10〜3
0℃の常温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂と8
0〜130℃の高温域に損失係数のピーク温度を有する
樹脂とからなるもの、−20〜10℃の低温域に損失係
数のピーク温度を有する樹脂と高温域に損失係数のピー
ク温度を有する樹脂からなるもの、低温域に損失係数の
ピーク温度を有する樹脂と常温域に損失係数のピーク温
度を有する樹脂と高温域に損失係数のピーク温度を有す
る樹脂からなるものなど、その組合せは当該遮音制振材
を適用する部品の使用温度に合わせて適宜決定するとよ
い。
【0044】尚、配合する樹脂の損失係数のピーク温度
と音圧レベルのピーク温度(すなわち遮音性が最も発揮
される温度)とはほぼ一致しており、当該遮音制振材を
適用する部品の使用温度に合わせて、損失係数のピーク
温度が異なる樹脂を組み合せ、その使用温度域で当該遮
音制振材の制振性が最も発揮されるようにすることは、
同時にその使用温度域で当該遮音制振材の遮音性が最も
発揮されるようにすることにもなる。
【0045】上記樹脂を混合すると、同種分子間の相互
作用と異種分子間の相互作用の大小により、分子オーダ
ーの混合状態から、それぞれ殆ど独立の相とみなせる相
分離に近い状態まで、種々の混合状態が達成されること
になる。本発明においては、上記目的を達成するため、
両成分が二相に分離した状態と完全均一の一相状態との
中間状態、つまりミクロ相分離の状態であればよい。
尚、混合する樹脂として溶解性パラメータδが近いもの
を選択すると、ピーク値を所定の温度領域に調整するこ
とができるので好ましい。
【0046】各樹脂の配合量としては特に限定されない
が、一の樹脂の配合量が他の樹脂の配合量に比べて大部
分を占めてしまうような配合の場合には、当該遮音制振
材の損失係数のピーク温度が一の樹脂の持つピーク温度
側に移動することになる。一方、他の樹脂の配合量が一
の樹脂に比べて多い場合には、当該遮音制振材の損失係
数のピークは他の樹脂のピーク温度側へと移動するよう
になる。このように、当該遮音制振材の損失係数のピー
ク温度は配合量の多い樹脂のピーク温度側へと移動する
ので、樹脂の配合量を適宜調節することで、当該遮音制
振材の損失係数のピーク温度を目的の温度領域とするこ
とができる。
【0047】尚、上記記述は損失係数のピーク温度が異
なる樹脂の配合割合によって、当該遮音制振材の損失係
数のピーク温度が、配合量の多い樹脂の損失係数のピー
ク温度に近づいていくという内容であるが、このことは
遮音性についても同様な関係があり、音圧レベルのピー
ク温度が異なる樹脂の配合割合によって、当該遮音制振
材の音圧レベルのピーク温度が、配合量の多い樹脂のピ
ーク温度に近づいていく。
【0048】損失係数のピーク温度が異なる少なくとも
2種類の樹脂としては、例えばジ−2−エチルヘキシル
フタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ジイソノニルフタレート(DINP)などの可塑
剤を樹脂100重量部に対して40重量部の割合で添加
したポリ塩化ビニル(損失係数のピーク温度が10〜2
0℃のもの)と、ポリメタクリル酸メチル(損失係数の
ピーク温度は130〜150℃)との組合せを好ましい
例として挙げることができる。
【0049】その他、損失係数のピーク温度が異なる少
なくとも2種類の樹脂の組合せとしては、前記可塑剤を
添加したポリ塩化ビニル(損失係数のピーク温度が20
℃のもの)とエチレン−酢ビ共重合体、同じくポリ塩化
ビニルとABS樹脂、ポリ塩化ビニルとポリスチレン、
ポリ塩化ビニルとポリエチレン、ポリメタクリル酸メチ
ル(損失係数のピーク温度は130〜150℃)とポリ
フッ化ビニリデン、同じくポリメタクリル酸メチルとA
S樹脂、ポリスチレンとポリイソプレンなどを挙げるこ
とができる。
【0050】こうして選択された損失係数のピーク温度
が異なる2種若しくは3種以上の樹脂に対し少なくとも
1種の部分架橋構造を有する樹脂が配合されている。部
分架橋構造を有する樹脂としてはアクリロニトリル−ブ
タジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム
(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(N
R)、イソプレンゴム(IR)などを用いることができ
る。
【0051】部分架橋構造を有する樹脂は、図2のグラ
フa、bに示すような各々の損失係数のピーク温度を有
する樹脂に対して、これらの損失係数のピーク温度の幅
を広げるよう作用する。同時に音圧レベルのピーク温度
の幅を広げるよう作用することにもなる。つまり、合成
ゴムを配合することで、当該遮音制振材は、図2のグラ
フc、d、eに示すように、グラフaのピーク温度から
グラフbのピーク温度に至る広範な温度領域に損失係数
のピーク温度を持つようになる。尚、図面には示さない
が、遮音性についても同様にグラフaのピーク温度から
グラフbのピーク温度に至る広範な温度領域に音圧レベ
ルのピーク温度を持つようになる。
【0052】このように損失係数のピーク温度が異なる
樹脂に対し部分架橋構造を有する樹脂を配合すること
で、当該遮音制振材は広範な温度領域で遮音性及び制振
性が発揮されるようになる。その理由は明かではない
が、部分架橋構造を有する樹脂が、前記損失係数のピー
ク温度が異なる樹脂に配合されたとき、その配合物にお
いて各樹脂はミクロ相分離した状態で存在することにな
る。この配合物において架橋構造を有する樹脂の非架橋
部分は他の樹脂と完全に相溶するが、架橋部分は完全に
相溶せず、一部が他の樹脂とは独立した相となって存在
している。このため、当該混合物の損失係数は、他の樹
脂の相溶した相の各々のピークとは別に、架橋構造を有
する樹脂の架橋部分からなる相の固有のピークが現れる
ことになり、この結果、損失係数のピークが平坦化し、
幅広くなり、非常に広域な温度範囲で制振特性が発揮さ
れるようになると考えられる。尚、部分架橋構造を有す
る樹脂の添加は、音圧レベルのピークの平坦化、広域化
にも同様に貢献する。
【0053】部分架橋構造を有する樹脂の配合量として
は、前記樹脂の重量が100重量部に対して1〜50重
量部、好ましくは15〜35重量部とするのがよい。と
いうのは、この範囲よりも配合量が多かったり少なかっ
たりした場合には、当該遮音制振材が広範な温度領域で
遮音性及び制振性が発揮されるようになるという十分な
効果が得られなくなるからである。
【0054】このようにして損失係数のピーク温度が異
なる樹脂に対し部分架橋構造を有する樹脂が配合された
樹脂マトリックス中に前記遮音制振付与剤を充填するこ
とで、遮音制振付与剤が持つ優れた遮音性、制振性が樹
脂に付与され、樹脂が本来持つところの遮音性、制振性
が飛躍的に向上し、広い温度領域において優れた制振性
と遮音性とが発揮されるという効果が導き出されること
になる。
【0055】上記樹脂、部分架橋構造を有する樹脂、遮
音制振付与剤は、所定の比率で配合し、これをバンバリ
ーミキサーやロール等を用いて混練することにより、本
発明の遮音制振材を得ることができる。尚、遮音制振付
与剤の樹脂への充填は、当該遮音制振材の製造の過程で
同時に行っていくのがよい。また、遮音制振付与剤とし
てマイカ鱗片を用いる場合、上記の如くマイカ鱗片の大
きさが当該遮音制振材の制振性、遮音性の高低に大きな
影響を及ぼすことから、マイカ鱗片の鱗片が壊れないよ
う十分に注意する必要がある。
【0056】こうして製造された遮音制振材は、カレン
ダー法や押し出し法などにより、用途、目的に応じた形
状に成形することで、自動車や内装材、建材などの振
動、騒音対策用の材料として用いることができる。
【0057】次に、請求項13〜16記載の遮音制振材
について説明する。この遮音制振材は、樹脂マトリック
スが、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種の
樹脂と、少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂と
からなり、前記樹脂マトリックス中に、少なくとも1種
の遮音制振付与剤と少なくとも1種の遮音制振促進剤と
が充填されているものである。尚、この遮音制振材にお
いて、樹脂マトリックス、遮音制振付与剤、遮音制振付
与剤としてのマイカ鱗片、その充填量、重量平均フレー
ク径については、前述した請求項9〜12の遮音制振材
と同じであるため、ここでの説明は割愛する。
【0058】上記の如くマイカ鱗片などの遮音制振付与
剤は優れた制振性に加え優れた遮音性をも兼備してお
り、これを充填することにより、遮音制振材として必要
な遮音性及び制振性が発現することになるので、基本的
には遮音制振付与剤のみの充填で良好な遮音制振材を得
ることができる。しかしながら、例えば家電機器などき
わめて高いレベルの振動抑制並びに騒音抑制を要求され
る分野では、技術開発の伸展に伴い、振動抑制並びに騒
音抑制に対する要求も、今後ますます高レベルのものが
求められることが予測される。このような要求にも対応
できるよう、本発明の遮音制振材では、前記遮音制振付
与剤とともに遮音制振促進剤が充填されている。
【0059】遮音制振促進剤は遮音制振付与剤による遮
音性、制振性を更に向上させる機能を持つものである。
遮音制振促進剤としては炭酸カルシウム、バライト及び
沈降硫酸バリウムなどを用いることができ、中でも例え
ば遮音制振促進剤としての炭酸カルシウムは、これを前
記マイカ燐片とともに充填することで、マイカ燐片の充
填による遮音性、制振性をより一層向上させるという効
果が導き出されることになる。この炭酸カルシウムとし
ては、従来より遮音材の充填材として多用されている軽
質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムを用いることが
できる。
【0060】尚、遮音制振付与剤としてマイカ鱗片、遮
音制振促進剤として炭酸カルシウムを用い、これらを損
失係数のピーク温度が異なる樹脂と部分架橋構造を有す
る樹脂とからなる樹脂マトリックス中に充填する場合、
これらマイカ鱗片及び炭酸カルシウムの充填量として
は、遮音制振材の重量に対して、マイカ鱗片が10〜3
0重量%、炭酸カルシウムが70〜50重量%の比率で
充填されているのが好ましい。その理由は、樹脂重量が
この範囲外の場合には、成形できなかったり、あるいは
耐衝撃性、強度が低下したりするなどの不具合を生じる
ことになる。一方、マイカ鱗片の比率が上記範囲よりも
少ないかあるいは炭酸カルシウムの比率が上記範囲より
も多い場合には、十分な制振性及び遮音性の向上が得ら
れなくなる。又、マイカ燐片の比率が上記範囲よりも多
い場合、あるいは炭酸カルシウムの比率が少ない場合に
は、成形できなかったり、マイカ鱗片の使用量が増加す
るので遮音制振材の価格が高くなるという不具合を招く
ことになるからである。
【0061】上記損失係数のピーク温度が異なる樹脂、
部分架橋構造を有する樹脂、遮音制振付与剤、遮音制振
促進剤は、所定の比率で配合し、これをバンバリーミキ
サーやロール等を用いて混練することにより、本発明の
遮音制振材を得ることができる。尚、遮音制振付与剤及
び遮音制振促進剤の樹脂への充填は、当該遮音制振材の
製造の過程で同時に行っていくのがよい。また、遮音制
振付与剤としてマイカ鱗片を用いる場合、上記の如くマ
イカ鱗片の大きさが当該遮音制振材の制振性、遮音性の
高低に大きな影響を及ぼすことから、マイカ鱗片の鱗片
が壊れないよう十分に注意する必要がある。
【0062】こうして製造された遮音制振材は、カレン
ダー法や押し出し法などにより、用途、目的に応じた形
状に成形することで、自動車や内装材、建材などの振
動、騒音対策用の材料として用いることができる。
【0063】
【実施例】
実施例1 ポリ塩化ビニル(平均重合度800〜1300、株式会
社鈴鋼製作所製)100重量部に対し40重量部の割合
でジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)を添加
したポリ塩化ビニルを160℃に設定した混練ロールに
投入し、この後、得られる遮音制振材の重量に対し20
重量%のマイカ鱗片(クラライトマイカ鱗片、60C、
株式会社クラレ製)を投入して13分間混練した。
【0064】次いで、得られた混練物を180℃に加熱
した金型間に挟んで180秒間加熱し、この後プレス機
で80kg・f/cm2 の圧力で30秒間加圧し、1m
mの厚さにシート化する。得られたシートを損失係数測
定用として67mm×9mmの寸法に、音圧レベル測定
用として350mm×350mmの寸法に切断し、試験
片とする。
【0065】実施例2 マイカ鱗片の充填量を得られる遮音制振材の重量に対し
30重量%としたこと以外は実施例1と同様にして2種
類の試験片を得た。
【0066】実施例3 マイカ鱗片の充填量を得られる遮音制振材の重量に対し
40重量%としたこと以外は実施例1と同様にして2種
類の試験片を得た。
【0067】実施例4 マイカ鱗片の充填量を得られる遮音制振材の重量に対し
50重量%としたこと以外は実施例1と同様にして2種
類の試験片を得た。
【0068】実施例5 マイカ鱗片の充填量を得られる遮音制振材の重量に対し
60重量%としたこと以外は実施例1と同様にして2種
類の試験片を得た。
【0069】比較例1:マイカ鱗片に代えて炭酸カルシ
ウム(乾式重質炭酸カルシウム、スーパーSSS、丸尾
カルシウム株式会社)を遮音制振材の重量に対して20
重量%の割合で配合した以外は実施例1と同様に試験片
を得た。
【0070】比較例2:マイカ鱗片に代えて炭酸カルシ
ウムを遮音制振材の重量に対して40重量%の割合で配
合した以外は実施例1と同様に試験片を得た。
【0071】比較例3:マイカ鱗片に代えて炭酸カルシ
ウムを遮音制振材の重量に対して60重量%の割合で配
合した以外は実施例1と同様に試験片を得た。
【0072】損失係数と音圧レベルの測定:実施例1〜
5と、比較例1〜3の試験片について損失係数及び音圧
レベルを測定した。損失係数の測定は、動的粘弾性測定
試験装置(レオバイブロンDDV−25FP、株式会社
オリエンテック製)によって得られたデータを下記の如
く処理することで求めた。
【0073】上記装置からは、E* (複素弾性率)とE
´(動的弾性率)とE″(損失弾性率)とtanδとが
得られる。上記装置では、動的荷重(△F)、動的変位
(△L)、tanδを自動測定し、その結果よりE*
次式により算出されるようになっている。E* =△F/
S×Lt/△L、△F:動的荷重、S:試験片断面積、
Lt:試験片長さ、△L:動的変位。
【0074】また、tanδからは位相角δを用いて次
式により動的弾性率と損失弾性率とに分けることができ
る。 tanδ=E″/E´、E´=E* cosδ、E″=E
* sinδ。
【0075】次に、E″から次式により損失係数(η)
を算出する。尚、算出する損失係数(η)は、各試験片
の厚さ1mmの鋼板に貼り付けた場合(非拘束型制振
材)の複合体の損失係数を求める。
【0076】 η ≒14η2 (E2 /E1 )(h2 /h12 η2 ≒tanδ=E″2 /E´2 、E´2 =E2 η ≒14(E″2 /E1 )(h2 /h12 η2 :試験片単体の損失係数、E1 :基板の弾性率(2
10GPa) E2 :試験片の弾性率、E´2 :試験片の動的弾性率、 E″2 :試験片の損失弾性率、h2 :試験片の厚み
(1.0mm)、 h1 :基板の厚み(1.0mm)
【0077】一方、音圧レベルの測定は、0℃、20
℃、40℃及び60℃の各温度において、図3に示すよ
うに、各試験片1を鋼板2に接着し、この鋼板2の非接
着面側にゴルフボール3を当てた時に生じた騒音を鋼板
2の接着面側に1mの間隔をおいて設置した騒音計7
(LA−210、小野測器株式会社製)で拾い、その電
気信号をFFTアナライザー6(CF−350、小野測
器株式会社製)で数値化して読み取るという方法で測定
した。
【0078】各試験片の損失係数の測定結果を図4(実
施例1、2、3、4、5)及び図5(比較例1、2及び
3)に示した。音圧レベルの測定結果を図6(実施例
1)、図7(実施例2)、図8(実施例3)、図9(実
施例4)、図10(実施例5)、図11(比較例1)、
図12(比較例2)、図13(比較例3)に示した。
尚、図6〜図13には0〜10kHzの各周波数毎の音
圧レベルを示した。
【0079】上記図面より明らかなように、マイカ鱗片
を充填した試験片は、従来より遮音材として多用されて
いる炭酸カルシウムを充填した試験片と対比したとき、
その遮音性は炭酸カルシウムの遮音性の程度を遥かに凌
ぐ優れたものであった。
【0080】実施例6:ポリ塩化ビニル(平均重合度8
00〜1300、株式会社鈴鋼製作所製)100重量部
に対し40重量部の割合でジ−2−エチルヘキシルフタ
レート(DOP)を添加したポリ塩化ビニルを160℃
に設定した混練ロールに投入し、この後、遮音制振材の
重量に対し20重量%のマイカ鱗片(クラライトマイカ
鱗片、60C、株式会社クラレ製)及び60重量%の炭
酸カルシウム(乾式重質炭酸カルシウム、スーパーSS
S、丸尾カルシウム株式会社製)を投入して13分間混
練した。
【0081】次いで、得られた混練物を180℃に加熱
した金型間に挟んで180秒間加熱し、この後プレス機
で80kg・f/cm2 の圧力で30秒間加圧し、1m
mの厚さにシート化する。得られたシートを損失係数測
定用として67mm×9mmの寸法に、音圧レベル測定
用として350mm×350mmの寸法に切断し、試験
片とした。
【0082】実施例7:遮音制振材の重量に対しマイカ
鱗片の充填量を10重量%とし、炭酸カルシウムの充填
量を55重量%とした以外は実施例6と同様に試験片を
得た。
【0083】比較例4:マイカ鱗片を使用せず、炭酸カ
ルシウムを80重量%とした以外は実施例6と同様に試
験片を作成した。
【0084】実施例6及び実施例7の試験片と比較例4
の試験片について、それぞれ損失係数及び音圧レベルを
実施例1〜5と同様に測定した。これらの試験片の損失
係数の測定結果を図14に示した。一方、音圧レベルの
測定結果を図15に示した。
【0085】上記図14及び図15より、マイカ鱗片及
び炭酸カルシウムを充填した実施例6及び7の試験片
は、優れた遮音性、制振性を有しており、特に実施例6
のものは、炭酸カルシウムのみを充填した比較例4のも
のに比べたとき、その遮音性、制振性は、予測を遥かに
越えた優れたものであった。
【0086】実施例8 ポリ塩化ビニル(平均重合度800〜1300、株式会
社鈴鋼製作所製)100重量部に対し40重量部の割合
でジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)を添加
したポリ塩化ビニルを75重量部、ポリメタクリル酸メ
チル(スミベックL02、住友化学株式会社製)を1
7.5重量部、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)(N202S、日本合成ゴム株式会社製)を25
重量部、得られる遮音制振材の重量に対し、マイカ鱗片
(クラライトマイカ鱗片、60C、株式会社クラレ製)
を50重量%の重量比で調合した各試料を、160℃に
設定した混練ロールにポリ塩化ビニル、ポリメタクリル
酸メチル、マイカ鱗片、及びアクリロニトリル−ブタジ
エンゴムの順で投入し、13分間混練した。
【0087】次いで、得られた混練物を180℃に加熱
した金型間に挟んで180秒間加熱し、この後プレス機
で80kg・f/cm2 の圧力で30秒間加圧し、1m
mの厚さにシート化する。得られたシートを損失係数測
定用として67mm×9mmの寸法に、音圧レベル測定
用として350mm×350mmの寸法に切断し、試験
片とした。
【0088】実施例9 ポリ塩化ビニル(平均重合度800〜1300、株式会
社鈴鋼製作所製)100重量部に対し40重量部の割合
でジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)を添加
したポリ塩化ビニルを75重量部、ポリメタクリル酸メ
チル(スミベックL02、住友化学株式会社製)を1
7.5重量部、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)(N202S、日本合成ゴム株式会社製)を25
重量部、得られる遮音制振材の重量に対し、マイカ鱗片
(クラライトマイカ鱗片、60C、株式会社クラレ製)
を20重量%、及び炭酸カルシウム(乾式重質炭酸カル
シウム、スーパーSSS、丸尾カルシウム株式会社製)
を60重量%の重量比で調合した各試料を、160℃に
設定した混練ロールに、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリ
ル酸メチル、マイカ鱗片、炭酸カルシウム、及びアクリ
ロニトリル−ブタジエンゴムの順で投入し、13分間混
練した以外は実施例8と同様に損失係数測定用及び音圧
レベル測定用の試験片を作製した。
【0089】実施例10 ポリメタクリル酸メチルに代えてABS樹脂(ダイヤペ
ットABS、3001G、三菱レイヨン株式会社製)を
用い、ポリ塩化ビニル/ABS樹脂/アクリロニトリル
−ブタジエンゴムを75重量部/25重量部/17.5
重量部の割合で配合し、更に得られる遮音制振材の重量
に対して、マイカ鱗片(クラライトマイカ鱗片、60
C、株式会社クラレ製)を50重量%の重量比で調合し
た各試料を、160℃に設定した混練ロールにポリ塩化
ビニル、ABS樹脂、マイカ鱗片、及びアクリロニトリ
ル−ブタジエンゴムの順で投入し、13分間混練した以
外は実施例8と同様に損失係数測定用及び音圧レベル測
定用の試験片を作製した。
【0090】実施例11 ポリメタクリル酸メチルに代えてABS樹脂(ダイヤペ
ットABS、3001G、三菱レイヨン株式会社製)を
用い、ポリ塩化ビニル/ABS樹脂/アクリロニトリル
−ブタジエンゴムを75重量部/25重量部/17.5
重量部の割合で配合し、更に得られる遮音制振材の重量
に対して、マイカ鱗片(クラライトマイカ鱗片、60
C、株式会社クラレ製)を20重量%、及び炭酸カルシ
ウム(乾式重質炭酸カルシウム、スーパーSSS、丸尾
カルシウム株式会社製)を60重量%の重量比で調合し
た各試料を、160℃に設定した混練ロールに、ポリ塩
化ビニル、ABS樹脂、マイカ鱗片、炭酸カルシウム、
及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムの順で投入し、
13分間混練した以外は実施例8と同様に損失係数測定
用及び音圧レベル測定用の試験片を作製した。
【0091】実施例12 マイカ鱗片(クラライトマイカ鱗片、60C、株式会社
クラレ製)を得られる遮音制振材の重量に対して50重
量%の重量比で調合した以外は実施例8と同様にして損
失係数測定用及び音圧レベル測定用の2種の試験片を作
製した。
【0092】実施例8〜12の試験片の試験片につい
て、それぞれ損失係数及び音圧レベルを実施例1〜5と
同様に測定した。これらの試験片の損失係数の測定結果
を図16に示した。一方、音圧レベルの測定結果を図1
7に示した。
【0093】上記図16から各グラフの損失係数が0.
05以上の温度領域を見てみると、実施例12のものが
約−10〜約22℃となっているのに対し、実施例8の
ものが約−14℃〜約60℃、実施例9のものが約−1
7℃〜約77℃、実施例10のものが約−4℃〜約54
℃、実施例11のものが約−10〜約53℃となってお
り、いずれも広い温度領域にわたって優れた制振性を有
している。特に実施例9のものにおける制振性は低温域
から高温域までのきわめて広い範囲にわたり、しかも6
0℃前後の温度域では損失係数が0.1というきわめて
高い制振性を示している。
【0094】一方、図17に示す各例の遮音性を見てみ
ると、遮音制振材を使用していない場合、音圧レベルが
約90dBであるのに対して、実施例12のものは0℃
及び20℃の各温度で86dBを下回り、いずれも4d
B以上の低下となっているが、40℃及び60℃の温度
では約2dBの低下で88dB近辺に留まっており、そ
の音圧レベルは僅かに減少したにすぎず、十分な遮音性
が発揮されていないことが解る。実施例8及び9のもの
は各温度で86dBを下回り、4dB以上の低下がみら
れる。実施例10及び11についても60℃の温度の場
合を除き4dB以上レベルが低下している。このことか
ら、これら実施例8〜11の遮音制振材が各温度で優れ
た遮音性を発揮していることが解る。また、実施例9の
ものについては各温度で6dB以上レベルが低下してお
り、広い温度領域で優れた遮音性を示していることが解
る。特に60℃の場合は約8dB近くレベルが低下して
おり、きわめて高い遮音性を示している。
【0095】以上実施例8〜11に示す遮音制振材はい
ずれも広い温度領域において優れた制振性と遮音性とを
示している。また、実施例8及び9に比べて実施例10
及び11の良好な制振性及び遮音性を示す温度範囲は狭
くなっているが、反面樹脂としてABS樹脂を使用して
いることから耐衝撃性に優れており、扇風機や換気扇の
ファンなどの常温で使用される遮音性、制振性を兼備し
た素材として適していると思われる。
【0096】
【発明の効果】請求項1記載の遮音制振材は、樹脂マト
リックス中に遮音制振付与剤が充填されていて、優れた
制振性と遮音性とを兼備しており、一つの部材として取
り扱うことができる。
【0097】請求項2記載の遮音制振材にあっては、樹
脂マトリックス中に遮音制振付与剤としてマイカ鱗片が
充填されているので、優れた制振性と遮音性とを兼備し
ており、しかも一つの部材に両性質が備わっていること
から、遮音材料、吸音材料、制振材料といった異なる材
料を用途に合わせて選択して用意し、これらを組み合わ
せ、取り付けるといった面倒な手間が要らず、取り扱い
性が頗るよい。
【0098】請求項3記載の遮音制振材にあっては、マ
イカ鱗片が遮音制振材の重量に対して1〜60重量%の
重量比で充填されていることから、優れた制振性、遮音
性と共に十分な耐衝撃性、強度を有している。
【0099】請求項4記載の遮音制振材にあっては、マ
イカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜1000μmで
あるので、マイカ鱗片が樹脂マトリックス全体に均一に
分散し、遮音制振材全体に均一な制振性、遮音性を有す
る。
【0100】請求項5記載の遮音制振材にあっては、樹
脂マトリックス中に、制振性と遮音性とを付与する遮音
制振付与剤が充填されており、加えてその特性を更に向
上させる機能を持つ遮音制振促進剤が充填されているの
で、当該遮音制振材が持つところの遮音性、制振性は、
今までにない優れた制振性と遮音性とを兼備したものと
なっている。また、この遮音制振材は一つの部材に両性
質が備わっていることから、遮音材料、吸音材料、制振
材料といった異なる材料を用途に合わせて選択して用意
し、これらを組み合わせ、取り付けるといった面倒な手
間が要らず、取り扱い性が頗るよい。
【0101】請求項6記載の遮音制振材にあっては、ポ
リ塩化ビニルのマトリックス中に、優れた制振性と遮音
性とを付与するマイカ鱗片に加え、その特性を更に向上
させる炭酸カルシウムが充填されているので、その遮音
制振材が持つところの遮音性、制振性は、予想を遥かに
越えた優れた制振性と遮音性とを兼備したものとなって
いる。
【0102】請求項7記載の遮音制振材にあっては、マ
イカ鱗片が10〜30重量%、炭酸カルシウムが70〜
50重量%の比率で充填されているので、優れた制振
性、遮音性に加え、十分な耐衝撃性、強度、加工性を有
している。
【0103】請求項8記載の遮音制振材にあっては、マ
イカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜1000μmで
あるので、マイカ鱗片が樹脂マトリックス全体に均一に
分散し、遮音制振材全体に均一な制振性、遮音性を有す
る。
【0104】請求項9記載の遮音制振材にあっては、損
失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種類の樹脂に
対し部分架橋構造を有する樹脂が配合されてなる樹脂マ
トリックス中に、制振性と遮音性とを付与する遮音制振
付与剤が充填されているので、常温域から高温域まで、
低温域から常温域まで、あるいは低温域から高温域まで
など、広い温度領域にわたって優れた制振性と遮音性と
を兼備している。
【0105】請求項10記載の遮音制振材にあっては、
遮音制振付与剤としてマイカ鱗片を採用したことによ
り、制振性、遮音性が一層向上する。
【0106】請求項11記載の遮音制振材にあっては、
マイカ鱗片が遮音制振材の重量に対して1〜60重量%
の重量比で充填されていることから、優れた制振性、遮
音性と共に十分な耐衝撃性、強度を有している。
【0107】請求項12記載の遮音制振材にあっては、
マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜1000μm
であるので、マイカ鱗片が樹脂マトリックス全体に均一
に分散し、遮音制振材全体に均一な制振性、遮音性を有
する。
【0108】請求項13記載の遮音制振材にあっては、
損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種類の樹脂
に対し部分架橋構造を有する樹脂が配合されてなる樹脂
マトリックス中に、制振性と遮音性とを付与する遮音制
振付与剤が充填されており、加えてその特性を更に向上
させる機能を持つ遮音制振促進剤が充填されているの
で、広い温度領域にわたって優れた制振性と遮音性とを
兼備していると共に、その遮音性、制振性は、遮音制振
付与剤のみの場合に比べて飛躍的に向上したものとなっ
ている。
【0109】請求項14記載の遮音制振材にあっては、
ポリ塩化ビニルのマトリックス中に、優れた制振性と遮
音性とを付与する遮音制振付与剤としてのマイカ燐片に
加え、その特性を更に向上させる遮音制振促進剤として
炭酸カルシウムが充填されているので、その遮音制振材
が持つところの遮音性、制振性は、予想を遥かに越えた
優れた制振性と遮音性とを兼備したものとなっている。
【0110】請求項15記載の遮音制振材にあっては、
マイカ鱗片が10〜30重量%、炭酸カルシウムが70
〜50重量%の比率で充填されているので、優れた制振
性、遮音性に加え、十分な耐衝撃性、強度、加工性を有
している。
【0111】請求項16記載の遮音制振材にあっては、
マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜1000μm
であるので、マイカ鱗片が樹脂マトリックス全体に均一
に分散し、遮音制振材全体に均一な制振性、遮音性を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイカ鱗片を充填したものと、炭酸カルシウム
を充填したものとにおける音圧レベルを示したグラフ。
【図2】損失係数のピーク温度が異なる2種の樹脂、並
びにこれに部分架橋構造を有する樹脂を配合したものに
ついての温度と損失係数との関係を示したグラフ。
【図3】音圧レベルを測定するための装置を示した模式
図。
【図4】実施例1、2、3、4、5の各試験片の各温度
における損失係数を示したグラフ。
【図5】比較例1、2、3の試験片の各温度における損
失係数を示したグラフ。
【図6】実施例1の試験片における音圧レベルを示した
グラフ。
【図7】実施例2の試験片における音圧レベルを示した
グラフ。
【図8】実施例3の試験片における音圧レベルを示した
グラフ。
【図9】実施例4の試験片における音圧レベルを示した
グラフ。
【図10】実施例5の試験片における音圧レベルを示し
たグラフ。
【図11】比較例1の試験片における音圧レベルを示し
たグラフ。
【図12】比較例2の試験片における音圧レベルを示し
たグラフ。
【図13】比較例3の試験片における音圧レベルを示し
たグラフ。
【図14】実施例6、7、比較例4の各試験片の各温度
における損失係数を示したグラフ。
【図15】実施例6、7、比較例4の試験片における音
圧レベルを示したグラフ。
【図16】実施例8、9、10、11、12の各試験片
の各温度における損失係数を示したグラフ。
【図17】実施例8、9、10、11、12の試験片に
おける音圧レベルを示したグラフ。
【符号の説明】
1・・・試験片 2・・・鋼板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】部分架橋構造を有する樹脂は、図2のグラ
フa、bに示すような各々の損失係数のピーク温度を有
する樹脂に対して、これらの損失係数のピーク温度の幅
を広げるよう作用する。同時に音圧レベルのピーク温度
の幅を広げることにもなる。つまり、部分架橋構造を有
する樹脂を配合することで、当該遮音制振材は、図2の
グラフc、d、eに示すように、グラフaのピーク温度
からグラフbのピーク温度に至る広範な温度領域に損失
係数のピーク温度を持つようになる。尚、図面には示さ
ないが、遮音性についても同様にグラフaのピーク温度
からグラフbのピーク温度に至る広範な温度領域に音圧
レベルのピーク温度を持つようになる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16F 15/02 Q 9138−3J G10K 11/162 // B32B 27/18 J 9349−4F 27/20 Z 9349−4F (72)発明者 大平 康幸 岐阜県羽島郡岐南町八剣7丁目148番地 シーシーアイ株式会社内 (72)発明者 小林 幸司 岐阜県羽島郡岐南町八剣7丁目148番地 シーシーアイ株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂マトリックス中に少なくとも1種の遮
    音制振付与剤が充填されていることを特徴とする遮音制
    振材。
  2. 【請求項2】遮音制振付与剤がマイカ鱗片であることを
    特徴とする請求項1記載の遮音制振材。
  3. 【請求項3】マイカ鱗片が当該遮音制振材の総重量に対
    して1〜60重量%の割合で充填されていることを特徴
    とする請求項2記載の遮音制振材。
  4. 【請求項4】マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜
    1000μmであることを特徴とする請求項2または3
    記載の遮音制振材。
  5. 【請求項5】樹脂マトリックス中に、少なくとも1種の
    遮音制振付与剤と少なくとも1種の遮音制振促進剤とが
    充填されていることを特徴とする遮音制振材。
  6. 【請求項6】遮音制振付与剤がマイカ鱗片であって、遮
    音制振促進剤が炭酸カルシウムであることを特徴とする
    請求項5記載の遮音制振材。
  7. 【請求項7】マイカ鱗片と前記炭酸カルシウムとが当該
    遮音制振材の総重量に対してそれぞれ10〜30重量%
    と70〜50重量%の割合で充填されていることを特徴
    とする請求項6記載の遮音制振材。
  8. 【請求項8】マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜
    1000μmであることを特徴とする請求項6または7
    記載の遮音制振材。
  9. 【請求項9】樹脂マトリックスが、損失係数のピーク温
    度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の
    部分架橋構造を有する樹脂とからなり、 前記樹脂マトリックス中に少なくとも1種の遮音制振付
    与剤が充填されていることを特徴とする遮音制振材。
  10. 【請求項10】遮音制振付与剤がマイカ鱗片であること
    を特徴とする請求項9記載の遮音制振材。
  11. 【請求項11】マイカ鱗片が当該遮音制振材の総重量に
    対して1〜60重量%の割合で充填されていることを特
    徴とする請求項10記載の遮音制振材。
  12. 【請求項12】マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90
    〜1000μmであることを特徴とする請求項10また
    は11記載の遮音制振材。
  13. 【請求項13】樹脂マトリックスが、損失係数のピーク
    温度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種
    の部分架橋構造を有する樹脂とからなり、 前記樹脂マトリックス中に、少なくとも1種の遮音制振
    付与剤と少なくとも1種の遮音制振促進剤とが充填され
    ていることを特徴とする遮音制振材。
  14. 【請求項14】遮音制振付与剤がマイカ鱗片であって、
    遮音制振促進剤が炭酸カルシウムであることを特徴とす
    る請求項13記載の遮音制振材。
  15. 【請求項15】マイカ鱗片と前記炭酸カルシウムは前記
    遮音制振材の総重量に対してそれぞれ10〜30重量%
    と70〜50重量%の割合で充填されていることを特徴
    とする請求項14記載の遮音制振材。
  16. 【請求項16】マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90
    〜1000μmであることを特徴とする請求項14また
    は15記載の遮音制振材。
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