JPH0874099A - 機械要素および可動部を有する構造体ならびにその製造方法 - Google Patents

機械要素および可動部を有する構造体ならびにその製造方法

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JPH0874099A
JPH0874099A JP21609894A JP21609894A JPH0874099A JP H0874099 A JPH0874099 A JP H0874099A JP 21609894 A JP21609894 A JP 21609894A JP 21609894 A JP21609894 A JP 21609894A JP H0874099 A JPH0874099 A JP H0874099A
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metal
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JP21609894A
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Norihiko Ushizawa
沢 典 彦 牛
Masao Takinami
浪 雅 夫 滝
Kiyoshi Komatsu
松 清 小
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】犠牲層および構造物の形成速度が高く、良好な
ステップカバレージでアスペクト比の大きな犠牲層およ
び構造物を形成し、任意の形状の構造物を迅速かつ高精
度で形成できる機械要素および可動部を有する構造体の
製造方法、およびこの製造方法によって作製される機械
要素および構造体を提供する。 【構成】犠牲層エッチング技術を応用し、犠牲層をめっ
きによる金属あるいは合金層とし、構造物が前記犠牲層
の平衡電極電位よりも小さいフラーデ電位を持つ金属ま
たは合金のめっき、あるいは構造物の表面に貴金属層を
形成し、犠牲層を電解エッチングによって除去すること
により、前記目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超小型の機械やロボッ
ト等のいわゆるマイクロマシンに利用される、機械要素
および可動部を有する構造体、ならびに、この機械要素
および可動部を有する構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、直径100μmのロータを有する
モータ、マイクロメータサイズの極微小の把持機構や機
械要素等の作製例が各種報告され、これらを利用した超
小型の機械、いわゆるマイクロマシンが注目され、医療
機器やロボット等への応用が期待されている。
【0003】このようなマイクロマシンは、基本的にL
SIの製造と同様にして、フォトリソグラフィを利用し
た半導体の微細加工技術によって製造されている。すな
わち、CVD(Chemical Vapor Deposition) やスパッタ
リング等の薄膜形成技術、RIE(Reactive Ion Etchi
ng)等の除去加工技術フォトリソグラフィ技術を用い
て、薄膜の形成とエッチングとを繰り返して、シリコン
基板上に、ロータとステータとを有するモータや軸支さ
れるギア等の立体構造が形成される。ここで、LSIの
製造とマイクロマシンとの製造とで大きく異なる点は、
マイクロマシンの場合には、ロータや歯車等の基板に固
定されずに可動する部材を有する点にある。そのため、
日経エレクトロニクスの1989年8月21日号(No.48
0)等にも示されるように、マイクロモータのロータ/ス
テータ間のギャップや軸受等、基板と構造物との間や、
可動部品とその支持体との間に、犠牲層と呼ばれる層を
形成し、最終的にこの犠牲層をエッチングによって除去
することにより部材を可動とする、いわゆる犠牲層エッ
チングという技術が利用されている。
【0004】例えば、シリコン基板上で軸支される歯車
を形成する際には、シリコン基板上に支軸を形成した
後、シリコン基板および支軸を被覆して犠牲層を形成す
る。次いで、この犠牲層上に、支軸を回転軸とする歯車
を形成する。その後、歯車および支軸をレジストで覆っ
て、エッチングにより犠牲層を除去することにより、シ
リコン基板から分離され、かつ支軸に回転自在に軸支さ
れる歯車を形成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
マイクロマシンはLSIの製造方法を利用して、犠牲層
エッチング技術を用いて製造されており、一般的に、犠
牲層はSiO2 やPSG(リン珪酸ガラス)等を、ギヤ
等の構造物となる層は珪素やSiOx Ny 等を、CVD
やRFスパッタリング等によって成膜することによって
作製される。
【0006】ところが、これらの膜は成膜速度が0.1
μm/min 程度と遅く、マイクロマシンの製造に多大な
時間を有するという問題点がある。しかも、作製可能な
膜厚も1μm以内で、ステップカバレージ(段差被覆
性)も低いため、構造物の立体的な形状が制限されてし
まう。さらに、犠牲層のエッチングはフッ酸等の強酸で
行われるが、この際に、犠牲層以外にエッチングされる
部分をレジストで覆う必要があり、工程が煩雑である。
しかも、フッ酸等を用いたウエットエッチングは選択性
が低く、所望の形状の構造物を高精度に作製することが
できない。また、現在の技術では、構造物に用いられる
材料も珪素やSiOx Ny に制限されてしまい、マシン
の用途に応じた任意の材料を使用することができないと
いう問題点もある。
【0007】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、犠牲層および構造物(層)の形成
速度が高く、しかも、良好なステップカバレージで膜厚
が大きくアスペクト比の大きな犠牲層および構造物を形
成し、任意の形状の構造物を迅速かつ高い精度で形成す
ることができ、さらに、犠牲層エッチングの際のレジス
トによる保護も不要な機械要素および可動部を有する構
造体の製造方法、およびこの製造方法によって作製され
る、耐食性に優れ、形成材料が幅広く選択可能で、マイ
クロマシンに好適に利用可能な機械要素および可動部を
有する構造体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の機械要素は、最長部分の長さが1000μ
m以下、厚さを前記最長部分で割ってなる比が0.00
1以上で、少なくとも1つの表面が不動態被膜あるいは
貴金属で覆われていることを特徴とする機械要素を提供
する。
【0009】また、本発明の可動部を有する構造体は、
基板上に固定される支持部、および前記支持部によって
可動に支持される可動部を有する構造体であって、前記
支持体および可動部が、共に、最長部分の長さが100
0μm以下、厚さを前記最長部分で割ってなる比が0.
001以上で、少なくとも1つの表面が不動態被膜ある
いは貴金属で覆われていることを特徴とする可動部を有
する構造体を提供する。
【0010】また、本発明の機械要素の製造方法の第1
の態様は、機械要素を製造するに際し、基板の上に、最
終的に除去される犠牲層と、前記犠牲層上に形成される
最終的に前記機械要素となる構造物層とを形成した後、
前記犠牲層を除去することにより、前記支持体と分離さ
れた機械要素を製造する方法であって、前記犠牲層がめ
っきによって形成された金属または合金層であり、前記
構造物層が前記犠牲層の平衡電極電位よりも小さいフラ
ーデ電位を持つ金属または合金のめっきによって形成さ
れ、かつ、犠牲層金属の平衡電極電位よりも高くかつ構
造物層金属が不動態化される電位で電解エッチングし
て、前記犠牲層を除去することを特徴とする機械要素の
製造方法を提供する。
【0011】また、本発明の機械要素の製造方法の第2
の態様は、機械要素を製造するに際し、基板の上に、最
終的に除去される犠牲層と、前記犠牲層上に形成され最
終的に前記機械要素となる、少なくともその表面が貴金
属で覆われている構造物層とを形成した後、前記犠牲層
を電解エッチングによって除去することにより、前記支
持体と分離された機械要素を製造することを特徴とする
機械要素の製造方法を提供する。
【0012】また、本発明の可動部を有する構造体の製
造方法の第1の態様は、基板上に固定される支持部、お
よび前記支持部によって可動に支持される可動部を有す
る構造体を製造するに際し、導電性基板の上に、最終的
に可動部およびその支持部となる構造物層と、前記導電
性基板および可動部の間隙ならびに前記可動部および支
持部の間隙に形成され、最終的に除去される犠牲層とを
形成した後、前記犠牲層を除去することにより、基板上
に固定される支持部および支持部によって可動に支持さ
れる可動部を有する構造体を製造する方法であって、前
記犠牲層がめっきによって形成された金属または合金層
であり、前記構造物層が前記犠牲層の平衡電極電位より
も小さいフラーデ電位を持つ金属または合金のめっきに
よって形成され、かつ、犠牲層金属の平衡電極電位より
も高くかつ構造物層金属が不動態化される電位で電解エ
ッチングして、前記犠牲層を除去することを特徴とする
可動部を有する構造体の製造方法を提供する。
【0013】さらに、本発明の可動部を有する構造体の
製造方法の第2の態様は、基板上に固定される支持部、
および前記支持部によって可動に支持される可動部を有
する構造体を製造するに際し、導電性基板の上に、最終
的に可動部およびその支持部となり、少なくともその表
面が貴金属で覆われている構造物層と、前記基板および
可動部の間隙ならびに前記可動部および支持部の間隙に
形成され、最終的に除去される犠牲層とを形成した後、
前記犠牲層を電解エッチングによって除去することによ
り、前記基板上に固定される支持部、および支持部によ
って可動に支持される可動部を有する構造物を製造する
ことを特徴とする可動部を有する構造体の製造方法を提
供する。
【0014】以下、本発明の機械要素および可動部を有
する構造体、ならびにその製造方法について詳細に説明
する。前述のように、従来のマイクロマシンの製造は、
LSIの製造と同様に行われているため、ギヤやモータ
等の構造物となる層(以下、構造物層とする)、および
犠牲層の成膜速度が低い、ステップカバレージが悪い、
層厚が制限されてしまう、等の各種の問題点を有する。
【0015】このような問題点を解決するために、本発
明の製造方法は、基本的に従来のマイクロマシンの製造
と同様の犠牲層エッチングを応用するものの、構造物層
および犠牲層を、成膜速度が高く、かつ100μm程度
の成膜を容易に行うことができ、しかもステップカバレ
ージも良好なめっき、特に電気めっきによって形成し、
さらに、犠牲層の除去(エッチング)を電解を利用した
電気化学的なエッチングによって行う。ここで、犠牲層
の除去を電解エッチングで行うと、犠牲層のみならず、
必要な構造物層もエッチングされてしまう。そこで、本
発明においては、構造物層を犠牲層の平衡電極電位より
も小さいフラーデ電位を持つ金属(あるいは合金)で形
成し、電解エッチング時に構造物層の表面を不動態化す
ることにより、あるいは、構造物層の表面を金やプラチ
ナ等の貴金属とすることにより、極めて高い選択性で犠
牲層のみをエッチングする。以下、図1を参照して、構
造物層の金属を不働態化する製造方法について説明す
る。
【0016】基準電極として飽和塩化ナトリウムカルメ
ロ電極(以下、SSCEとする)、対向電極として白金
線を用い、銅線あるいはニッケル線を作用電極とした3
電極構成とし、0.1M過塩素酸ナトリウム水溶液中で
電位を0〜+1V(vs.SSCE)の範囲で掃引して
(掃引速度50mV/sec)、電流と電位との関係を調べ
る。この場合において、銅線を作用電極とした際には、
電圧の上昇に応じて電流値も上昇し、何度掃引してもほ
ぼ同じ電流−電位曲線を描く。これに対し、ニッケルを
作用電極とした際には、掃引の度毎に電流値が減少し、
同じ電流−電位曲線を描くことなない。特に1回目の掃
引後は電流値が著しく減少する。
【0017】両者の掃引速度を限りなく0mV/secとして
書いた概念的な電流−電位曲線が図1である。図1に示
されるように、銅は平衡電極電位(約0.25V)とな
ると電流が流れ、すなわち腐食が開始され、電位の上昇
と共に電流が上昇(腐食速度も増大)していく。これに
対し、ニッケルは平衡電極電位(約−0.49V)から
腐食が開始するものの、電位EF (約0.09V)で急
激に電流が流れなくなり、それ以降、電位が上昇しても
電流がほとんど流れない領域が存在する。すなわち、電
位EF がフラーデ電位(不動態化電位)であって、この
電流が流れない領域では、ニッケルの表面は酸化膜で覆
われており、Niは不動態化している。従って、銅とニ
ッケルとを接触した状態で、電解液を用いてこの領域内
の電位を印加すれば、両方の金属が同電位となり、銅の
みを選択的に溶解することができる。
【0018】すなわち、構造物層を犠牲層金属の平衡電
極電位よりも小さいフラーデ電位を有する金属で形成
し、エッチングを、犠牲層を形成する金属の平衡電極電
位よりも高く、かつ構造物層を形成する金属が不動態化
されている電位、例えば図1に示される電位の電解エッ
チングで行うことにより、犠牲層のみを高い選択性でエ
ッチングして除去することができる。また、本発明の製
造方法の別の態様においては、構造物層の表面を金やプ
ラチナ等の貴金属で被覆し、これらよりも酸化還元電位
が卑である金属を犠牲層とすることにより、電解エッチ
ングによって同様に高い選択性で犠牲層のみを除去する
ことができる。
【0019】構造物層を不動態化する態様において、犠
牲層となる金属あるいは合金と、構造物層となる金属あ
るいは合金との組み合わせには特に限定はなく、不動態
化する金属を構造物層として選択し、この金属のフラー
デ電位よりも大きい平衡電極電位を有する金属を犠牲層
とすれば、いずれの組み合わせも利用可能であり、機械
要素の種類や構造体(マイクロマシン)の構成や用途等
に応じて適宜選択すればよい。例えば、犠牲層が銅(平
衡電極電位0.25V)であれば、構造物層の金属とし
てはチタン(フラーデ電位=−0.5V)、クロム(同
=−0.49V)、ニッケル(同=0.09V)、貴金
属(金、プラチナ)等が例示される。
【0020】また、構造物層の表面を貴金属で覆う態様
においては、貴金属としては、金、プラチナ等が例示さ
れる。この際における犠牲層としては、使用する貴金属
よりも酸化還元電位が卑である金属(合金)がすべて利
用可能である。なお、この態様においては、構造物層に
は特に限定はなく、めっき可能なすべての金属(合金)
が利用可能であり、また、犠牲層と構造物層とを同じ金
属で形成してもよい。
【0021】以下、構造物層を不動態化する態様の製造
方法の一例について、図2を参照してより詳細に説明す
る。図2に示される例は、シリコンを基板として、その
上に本発明の機械要素の一つであるギヤを形成した例で
ある。なお、本発明の製造方法において、基板はシリコ
ン基板に限定されず、導電性の金属基板、あるいはプラ
スチック基板の表面を金属で被覆する等によって表面が
導電性になった基板等であれば、公知のすべての材料が
利用可能である。
【0022】まず、シリコン基板10の表面を洗浄した
後、図2(a)に示されるように、シリコン酸化膜12
を形成し、次いで、チタン層14を形成する。シリコン
酸化膜12の形成方法には特に限定はなく、酸化性雰囲
気中でアニールを行う等、LSIの製造で利用されてい
る各種の方法によればよい。また、チタン層14も電子
ビーム蒸着、スパッタリング等の公知の方法で形成すれ
ばよい。なお、シリコン酸化膜12およびチタン層14
は、後に形成する犠牲層および構造物層、すなわち、基
板と金属との密着性を向上させるために、好ましい態様
として形成されるものである。
【0023】次いで、チタン層14上に、めっきによっ
て犠牲層16を形成する。犠牲層の形成方法には特に限
定はなく、電気めっきや無電解めっき等、公知のめっき
方法がすべて利用可能である。また、犠牲層16の形成
は、めっきのみで行うのに限定されず、電気めっきによ
る成膜の前後に、電子ビーム蒸着、スパッタリング等の
公知の薄膜形成方法を組み合わせて、複数の方法で犠牲
層16を形成してもよい。犠牲層16の膜厚にも特に限
定はなく、作製する機械要素やマイクロマシンの構造等
に応じて適宜設定すればよいが、めっきを利用する本発
明においては、CVD等を利用する従来の方法に比し
て、高い成膜速度で厚い犠牲層を形成することができる
ので、1〜100μm程度とするのが好ましい。また、
ステップカバレージも良好であるのは前述のとおりであ
る。
【0024】さらに、図2(b)に示されるように、形
成するギヤの形状の開口18を有するレジスト層20を
形成する。レジスト層20の形成方法は、LSIの製造
におけるフォトリソグラフィーと同様でよい。なお、使
用するレジストには特に限定はないが、めっきによって
構造物層を形成する本発明においては、レジスト層厚や
密着性等の点でめっき用のフォトレジストが好適に利用
される。めっき用のフォトレジストとしては、常用され
る市販品が好適に利用可能である。
【0025】レジスト層20を形成したら、図2(c)
に示されるように、構造物層すなわち図示例においては
ギヤ22をめっきによって形成し、次いで、レジスト層
20を除去する。めっきの方法には特に限定はなく、犠
牲層16の形成と同様に公知のめっき方法がすべて利用
可能である。めっきによって構造物層を形成する本発明
においては、成膜速度、ステップカバレージ共に良好で
あり、また、用途に応じた十分かつ任意な厚さを有する
構造物が形成可能である。さらに、形成材料も広く選択
可能である。レジスト層20の除去も、剥離、溶解等、
使用したレジストに応じた公知の方法で行えばよい。
【0026】このようにしてギヤ22を形成した後、図
2(d)に示されるように、電解液24に犠牲層16お
よびギヤ22を浸漬して、電解エッチングによって犠牲
層16を溶解除去して、図2(e)に示されるように、
シリコン基板10と分離されたギヤ22とする。電解エ
ッチングの方法には特に限定はなく、公知の方法がいず
れも利用可能であるが、図示例においては、電解装置2
6に作用電極28、基準電極30および対向電極31を
接続して3電極の電解装置とし、基準電極30および対
向電極31を電解液24に接触させ、作用電極28をチ
タン層14に接触して、犠牲層16の電解を行ってい
る。なお、電解電位は犠牲層16を形成する金属の平衡
電極電位と、ギヤ22を形成する金属のフラーデ電位に
応じて適宜決定されるのは前述のとおりである。また、
必要に応じて、電解エッチング時には、必要に応じて構
造物層(ギヤ22)の少なくとも一部にレジスト層を形
成してもよい。
【0027】次いで、図3を参照して、構造物層の表面
を貴金属で覆う態様の製造方法について、同様のギヤの
製造を例に説明する。先ず、前述の図2に示される不動
態を利用する態様と同様にして、犠牲層16およびギヤ
の形状に応じた開口18を有するレジスト層20を形成
する。すなわち、図2(a)〜図2(b)の工程を全く
同様に行う。
【0028】次いで、図3(a)に示されるように、め
っきによって開口18の犠牲層16表面に貴金属層32
を形成し、その上層に、構造物層34を形成する。めっ
き方法には特に限定はないのは先の態様と同様である。
【0029】構造物層34を形成した後、レジスト層2
0を除去して、図3(b)に示されるように、構造物層
34の表面を貴金属で覆うためのレジスト層38を形成
し、めっきによって貴金属層36を形成して、構造物層
34の表面を貴金属層32および36で覆い、ギヤ40
を形成する。なお、レジスト層38の形成方法は、レジ
スト層20と同様に公知のフォトリソグラフィーを用い
ればよい。
【0030】次いで、図3(c)に示されるように、レ
ジスト層38を除去して、前述の図2(d)と同様にし
て電解エッチングを行う。ここで、構造物層34の表面
は貴金属層32および36で覆われているので、犠牲層
16のみが選択的にエッチングされ、図3(d)に示さ
れるように、シリコン基板10と分離されたギヤ40が
形成される。なお、この態様においては、図示例のよう
に構造物層の表面に貴金属を形成する例に限定はされ
ず、構造物層そのものを貴金属で形成してもよい。
【0031】図2および図3においては、機械要素であ
るギヤの製造を例に本発明の製造方法を説明したが、本
発明の製造方法においては、可動部を有する構造体(マ
イクロマシン)も製造可能であり、例えば、図2におい
て、図2(a)の犠牲層16の形成前に、ギヤ22の中
心孔に対応する支軸を電気めっきとフォトリソグラフィ
ーとによって形成しておくことによって、支軸(支持
体)によって回転自在に軸支されるギヤ22(可動
部)、すなわち、本発明の可動部を有する構造体を製造
することができる。
【0032】本発明の機械要素および可動部を有する構
造体は、基本的に、このような本発明の製造方法で製造
されるものであり、機械要素の表面、支持部および可動
部の表面が不動態膜あるいは貴金属で覆われており、ま
た、機械要素、支持部および可動部(以下、これらをま
とめて構造物とする)は、最長部分の長さが1000μ
m以下で、厚さを前記最長部分で割ってなる比(アスペ
クト比)が0.001以上である。
【0033】本発明の製造方法によって製造される機械
要素および構造体は、その特性上、構造物の表面が不動
態被膜あるいは貴金属によって覆われており、極めて良
好な耐食性を有する。また、めっきによって形成される
ので、各種の材料で形成可能であり、用途に応じた材料
を好適に選択することができる。しかも、構造物層をフ
ォトリソグラフフィーを応用して形成し、犠牲層の除去
を選択性の高い電解エッチングで行うので、寸法精度お
よび形状精度等も良好である。
【0034】前述のように、本発明の製造方法において
は、構造物層は基本的にフォトリソグラフフィーを応用
して形成される。そのため、本発明の機械要素およびマ
イクロマシンは、従来のマイクロマシンと同様の微小サ
イズのものとすることができる。ここで、本発明におい
ては、構造物は最長部分の長さが1000μm以下であ
る。本発明においては、このようなサイズを有すること
により、微小サイズのマイクロマシンを実現することが
できる。なお、マイクロマシンのサイズ、機械的強度、
フォトリソグラフィーの露光精度等の点で、好ましく
は、構造物の最長部分の長さは2〜1000μm、より
好ましくは20〜1000μmである。
【0035】また、前述のように、構造物層は電気めっ
きによって形成されるので、従来のマイクロマシンに比
して厚みのある構造物を実現可能である。ここで、本発
明においては、構造物のアスペクト比を0.001以上
とする。本発明においては、上記範囲とすることによ
り、ギヤの噛み合わせやモータ等の駆動源からの動力の
伝達等、構造体(マイクロマシン)の動作を確実なもの
とできる。なお、マイクロマシンのサイズ、マシン(構
造体)の動作性、機械的強度、フォトリソグラフィー露
光深度等の点で、好ましくはアスペクト比は0.001
〜100、より好ましくは0.001〜10である。
【0036】本発明が対象とする機械要素には特に限定
はなく、公知の機械要素がすべて利用可能である。例え
ば、各種のギヤ、各種のカム、回転軸や枢支軸等の軸
(シャフト)、ピン、プーリ、ベアリング、スプリング
(板、コイル等)、梁、断手、ダンパ、クランク等が例
示される。
【0037】また、本発明の可動部を有する構造体とし
ては、回転軸に軸支されるギヤやプーリ、ギヤやカム等
を組み合わせてなる伝達機構、等速回転機構、変速機
構、往復運動機構等、前記機械要素を組み合わせてなる
メカニカルな動作をする構造体や、リニアモータや回転
モータ等のアクチュエータ、リレースイッチ、流体機械
(タービン、ポンプ等)等が例示される。また、これら
を組み合わせたもの(マイクロマシン)であってもよい
のはもちろんである。
【0038】以上、本発明の機械要素および可動部を有
する構造体ならびにその製造方法について詳細に説明し
たが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨
を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行
ってもよいのはもちろんである。
【0039】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。
【0040】[実施例1]図2に示されるようにして、
ギヤを製造した。まず、シリコン基板10をRCA法に
よって洗浄した後、酸化炉によって表面に厚さ5000
Åのシリコン酸化膜12を形成し、次いで電子ビーム蒸
着によって100Åのチタン層14を形成した。このチ
タン層14上に、電子ビーム蒸着で銅層を1000Å形
成し、さらに電気めっきにより銅層を2μm形成し、犠
牲層16を形成し、図2(a)に示される形態とした。
電気めっきは、シリコン基板10表面にめっき液を付着
せしめ、図2(d)に示される、3電極構成の電解装置
を用いて行った。基準電極30はSSCEを用いた。め
っき液は、ピロリン酸銅94g,ピロリン酸カリウム3
40g,硝酸カリウム20g,水酸化アンモニウム3m
lを純水に溶解して1リットルとした、pH8.7のめ
っき液を用いた。また、めっき条件は、電流密度40mA
/cm2,めっき液温度55℃とし、めっき時間は2分30
秒であった。
【0041】次いで、図2(b)に示されるように、市
販のめっき用ネガフォトレジストによって、形成するギ
ヤ22の形状の開口18を有するレジスト層20を形成
した。なお、レジスト層の形成は、LSI製造における
フォトリソグラフィーと同様である。次いで、前記銅め
っきと同様にして、電気ニッケルめっきによって厚さ4
μmの構造物層すなわちギヤ22を形成した。なお、作
用電極28はレジスト層20に接触して電気めっきを行
った。めっき液は、塩化ニッケル240g,硫酸ニッケ
ル45g,ホウ酸30gを純水に溶解して1リットルと
した、pH4.5のめっき液を用いた。また、めっき条
件は、電流密度40mA/cm2,めっき液温度50℃とし、
めっき時間は50分であった。
【0042】ギヤ22の形成後、レジスト層20を剥離
して図2(c)に示される状態として、図2(d)に示
されるようにして電解エッチングを行って、犠牲層16
(銅層)を除去した。電解エッチングは、電解液として
0.1M過塩素酸ナトリウム水溶液を用い、印加電圧+
0.8V(vs.SSCE)、電解時間15秒の条件で行
った。その結果、図2(e)に示されるように、犠牲層
16のみを除去して、シリコン基板10と分離された、
ニッケル製のギヤ22を製造することができた。また、
ギヤ22の表面は不動態被膜で覆われていた。なお、製
造したギヤは、厚さが20μmで図4に示される形状を
有するものである。
【0043】[実施例2]図3に示されるようにして、
ギヤを製造した。まず、前記実施例1と同様にしてRC
A法による洗浄、シリコン酸化膜12およびチタン層1
4を形成し、さらに、同様の犠牲層16(銅層)を形成
した(図2(a)参照)。さらに、実施例1と同様にし
てレジスト層20を形成した(図2(b)参照)。
【0044】次いで、図3(a)に示されるように、開
口18のチタン層14表面に厚さ0.1μmの貴金属層
32としての金めっき層を形成し、さらに、この金めっ
き層上に電気ニッケルめっきによって構造物層34を形
成した。金めっきの条件は下記のとおりである。また、
構造物層34を形成するニッケルめっきは、実施例1と
同様に行った。 金めっきの条件 めっき液;シアン化金カリウム5g,クエン酸カリウム
30g,第一りん酸カリウム30g,クエン酸20g,
エチレンジアミン二酢酸ニッケル2gを純水に溶解して
1リットルとしためっき液 めっき条件;電流密度40mA/cm2,めっき液温度50
℃,めっき時間15秒
【0045】構造物層34を形成した後、レジスト層2
0を除去して、図3(b)に示されるように、構造物層
34の表面を貴金属で覆うためのレジスト層38を形成
し、電気めっきによって貴金属層36としての金めっき
層を形成して、ギヤ40を形成した。なお、レジスト層
38、および金めっき条件は前述と同様である。
【0046】ギヤ40の形成後、レジスト層38を剥離
して図3(c)に示される状態として、前記実施例1と
同様にして電解エッチングを行って、犠牲層16(銅
層)を除去した。その結果、図3(d)に示されるよう
に、犠牲層16のみを除去して、シリコン基板10と分
離された、表面が金で覆われたニッケル製のギヤ40を
製造することができた。なお、製造したギヤは、前述の
実施例1と同様のものである。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の製
造方法によれば、犠牲層および構造物(層)の形成速度
が高く、しかも、良好なステップカバレージで膜厚が大
きくアスペクト比の大きな犠牲層および構造物を形成
し、任意の形状の機械要素や可動部を有する構造体を、
高い寸法および形状精度で形成することができる。ま
た、このような本発明の製造方法によって製造された機
械要素および構造体は、適度なサイズおよび十分な厚み
を有し、しかも耐食性に優れ、形成材料を幅広く選択可
能で、マイクロマシンに好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を説明するためのグラフであ
る。
【図2】(a),(b),(c),(d)および(e)
は、本発明の製造方法の一例を説明するための概念図で
ある。
【図3】(a),(b),(c)および(d)は、本発
明の製造方法の別の例を説明するための概念図である。
【図4】本発明の実施例で作製したギヤの概略図であ
る。
【符号の説明】
10 シリコン基板 12 シリコン酸化膜 14 チタン層 16 犠牲層 18 開口 20,38 レジスト層 22,40 ギヤ 24 電解液 26 電解装置 28 作用電極 30 基準電極 31 対向電極 32,36 貴金属層 34 構造物層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最長部分の長さが1000μm以下、厚さ
    を前記最長部分で割ってなる比が0.001以上で、少
    なくとも1つの表面が不動態被膜あるいは貴金属で覆わ
    れていることを特徴とする機械要素。
  2. 【請求項2】基板上に固定される支持部、および前記支
    持部によって可動に支持される可動部を有する構造体で
    あって、 前記支持部および可動部が、共に、最長部分の長さが1
    000μm以下、厚さを前記最長部分で割ってなる比が
    0.001以上で、少なくとも1つの表面が不動態被膜
    あるいは貴金属で覆われていることを特徴とする可動部
    を有する構造体。
  3. 【請求項3】機械要素を製造するに際し、基板の上に、
    最終的に除去される犠牲層と、前記犠牲層上に形成され
    る最終的に前記機械要素となる構造物層とを形成した
    後、前記犠牲層を除去することにより、前記支持体と分
    離された機械要素を製造する方法であって、 前記犠牲層がめっきによって形成された金属または合金
    層であり、前記構造物層が前記犠牲層の平衡電極電位よ
    りも小さいフラーデ電位を持つ金属または合金のめっき
    によって形成され、かつ、犠牲層金属の平衡電極電位よ
    りも高くかつ構造物層金属が不動態化される電位で電解
    エッチングして、前記犠牲層を除去することを特徴とす
    る機械要素の製造方法。
  4. 【請求項4】機械要素を製造するに際し、基板の上に、
    最終的に除去される犠牲層と、前記犠牲層上に形成され
    最終的に前記機械要素となる、少なくともその表面が貴
    金属で覆われている構造物層とを形成した後、前記犠牲
    層を電解エッチングによって除去することにより、前記
    支持体と分離された機械要素を製造することを特徴とす
    る機械要素の製造方法。
  5. 【請求項5】基板上に固定される支持部、および前記支
    持部によって可動に支持される可動部を有する構造体を
    製造するに際し、導電性基板の上に、最終的に可動部お
    よびその支持部となる構造物層と、前記導電性基板およ
    び可動部の間隙ならびに前記可動部および支持部の間隙
    に形成され、最終的に除去される犠牲層とを形成した
    後、前記犠牲層を除去することにより、基板上に固定さ
    れる支持部および支持部によって可動に支持される可動
    部を有する構造体を製造する方法であって、 前記犠牲層がめっきによって形成された金属または合金
    層であり、前記構造物層が前記犠牲層の平衡電極電位よ
    りも小さいフラーデ電位を持つ金属または合金のめっき
    によって形成され、かつ、犠牲層金属の平衡電極電位よ
    りも高くかつ構造物層金属が不動態化される電位で電解
    エッチングして、前記犠牲層を除去することを特徴とす
    る可動部を有する構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】基板上に固定される支持部、および前記支
    持部によって可動に支持される可動部を有する構造体を
    製造するに際し、導電性基板の上に、最終的に可動部お
    よびその支持部となり、少なくともその表面が貴金属で
    覆われている構造物層と、前記基板および可動部の間隙
    ならびに前記可動部および支持部の間隙に形成され、最
    終的に除去される犠牲層とを形成した後、前記犠牲層を
    電解エッチングによって除去することにより、前記基板
    上に固定される支持部、および支持部によって可動に支
    持される可動部を有する構造物を製造することを特徴と
    する可動部を有する構造体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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KR101300674B1 (ko) * 2008-09-26 2013-08-28 안드레이 에브케니비치 로젠 증강된 내식성을 갖는 다층 재료 (변형체) 및 이를 제조하는 방법

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