JPH0875687A - レーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法及びその装置 - Google Patents

レーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法及びその装置

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JPH0875687A
JPH0875687A JP23414694A JP23414694A JPH0875687A JP H0875687 A JPH0875687 A JP H0875687A JP 23414694 A JP23414694 A JP 23414694A JP 23414694 A JP23414694 A JP 23414694A JP H0875687 A JPH0875687 A JP H0875687A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高精度でかつ効率的に測定試料の熱拡散率、
ビオー数及び比熱を決定することのできるレーザフラッ
シュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解
析方法及びその装置を提供する。 【構成】 測定試料10のビオー数及び熱拡散率の各初
期値を設定すると共に、測定試料10に照射するレーザ
パルス波形を設定し、レーザパルス波形、ビオー数、熱
拡散率及び理論最高上昇温度を変数として含む熱伝導方
程式から、測定試料10の裏面における理論温度値を求
め、理論温度値及び測定試料10の裏面の測定温度値と
の偏差が小さくなるように数値計算を行いビオー数及び
熱拡散率を更新し、偏差が規定値以下になるまで第2工
程から第3工程までを繰り返して測定試料10の熱拡散
率及びビオー数を決定する方法及びその装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高精度で試料の熱拡散
率及びビオー数を決定することのできるレーザフラッシ
ュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザフラッシュ法は均質材料の熱拡散
率測定方法として、近年急速に普及してきた。本方法は
レーザによる熱パルスを試料面に照射して、該試料の裏
面温度を放射温度計等を用いて測定し、その温度応答特
性のデータから試料の熱拡散率を求めるものである。熱
伝導率κが定常熱流に関するものであるのに対して、熱
拡散率は非定常の熱流に関する熱定数であり、1次元の
物質内部に非定常の熱流がある場合、δT/δt=α・
(δ2 T/δx2 )式によるαで定義される。Tは温
度、xは1次元座標変数である。また、この式の比例定
数αはα=κ/(Cp ・ρ)=κ/cである。ここで、
p 、ρ、cは定圧比熱、密度、体積比熱である。従っ
て、測定試料の比熱及び密度がわかれば、熱拡散率αを
用いて試料の熱伝導率κを求めることができる。
【0003】レーザフラッシュ法における熱拡散率測定
データの一般的な解析方法は、測定試料裏面温度の測定
値データに理論解を一致させるものとして求められる。
即ち、一次元熱伝導方程式による試料裏面温度の理論
解:Tは、最高上昇温度:Tm 、熱拡散率:α、熱損失
に関わるパラメータであるビオー数:hをそれぞれ仮定
すると、時間:tを用いてT=T(Tm 、α、h、t)
の関係式によって厳密に示される。しかし、現実の温度
応答測定データを前記Tによるパターンに合致させる条
件で、未知数α、h、Tm を求めるには、式中に三角関
数、指数関数を含む陰関数が含まれ、実際の数値計算は
極めて困難となるため、一般的には特定の変数について
近似値を用い、計算に使用するデータを特定の領域内の
データのみに限定する等により、計算を簡略化する方法
が取られている。現在、このようなレーザフラッシュ法
による熱拡散率データの代表的解析方法として以下に示
すようなt1/2 法と面積法とが知られている。
【0004】t1/2 法:温度応答曲線上で最高上昇温
度Tm の半分の値に温度が上昇するまでの時間t1/2
用いて、熱損失がないと仮定した時成立するα0 =1.
36975L2 /(π2 ・t1/2 )式により、熱拡散率
α0 を計算する。ここで、Lは測定試料の厚さである。
前記最高上昇温度Tm は、温度立ち上がり後の減衰曲線
をパルス照射時刻に外挿して求める。ついで該減衰曲線
の緩和係数k(減衰曲線の時定数τの逆数)と前記t
1/2 との積により、熱損失補正係数を求め、該熱損失補
正係数に前記熱拡散率α0 をかけて熱拡散率αを求め
る。
【0005】面積法:温度応答曲線上に設定した区間
領域での平均温度と、理論式から求められる平均温度と
の偏差Rを計算することにより、熱拡散率αを求める方
法であって、温度立ち上がり後の温度応答の減衰曲線を
レーザパルス照射時刻に外挿して最高上昇温度Tm とし
て、該減衰曲線の時定数τを用いてビオー数hを熱拡散
率αの関数として表記し、前記偏差Rを求め、ついで該
偏差Rを最小とする条件式δR/δα=0により、熱拡
散率αを計算する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たレーザフラッシュ法における熱拡散率の解析方法は、
現実に存在する試料面での熱損失による効果あるいは、
試料に照射するレーザパルス波形等の条件が厳密に反映
されておらず、しかも測定データ内で限定された領域で
のデータを使用して得られる結果であるために、測定誤
差が大きく、高精度で試料の熱拡散率及びビオー数を決
定することが困難であるという問題点があった。本発明
はこのような事情に鑑みてなされたもので、高精度でか
つ効率的に測定試料の熱拡散率、ビオー数及び比熱を決
定することのできるレーザフラッシュ法における熱拡散
率、ビオー数及び比熱データの解析方法及びその装置を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載のレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数
及び比熱データの解析方法は、板状の測定試料の表面側
からレーザフラッシュを照射し、裏面側の温度を測定し
て、前記測定試料の熱拡散率及びビオー数を測定するレ
ーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱
データの解析方法であって、前記測定試料のビオー数及
び熱拡散率の各初期値を設定すると共に、該測定試料に
照射するレーザパルス波形を設定する第1工程と、前記
レーザパルス波形、ビオー数、熱拡散率及び理論最高温
度値を変数として含む熱伝導方程式から、前記測定試料
の裏面における理論温度値を求める第2工程と、前記理
論温度値及び前記測定試料裏面の測定温度値との偏差が
小さくなるように数値計算を行い前記ビオー数及び前記
熱拡散率を更新する第3工程と、前記偏差が規定値以下
になるまで前記第2工程から第3工程までを繰り返して
前記測定試料の熱拡散率及びビオー数を決定する第4工
程とを有して構成されている。
【0008】また、請求項2記載のレーザフラッシュ法
における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法
は、請求項1記載のレーザフラッシュ法における熱拡散
率、ビオー数及び比熱データの解析方法において、前記
熱伝導方程式がラプラス空間における一次元熱伝導基本
式の温度応答理論解により、構成されている。請求項3
記載のレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数
及び比熱データの解析方法は、請求項1記載のレーザフ
ラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データ
の解析方法において、前記熱伝導方程式が時間空間にお
ける一次元熱伝導基本式の温度応答理論解により、構成
されている。請求項4記載のレーザフラッシュ法におけ
る熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法は、請
求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ法
における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法
において、前記偏差が2乗偏差を使用することにより構
成されている。請求項5記載のレーザフラッシュ法にお
ける熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ
法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方
法において、前記偏差が逆数の2乗偏差を使用すること
により構成されている。請求項6記載のレーザフラッシ
ュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析
方法は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザフ
ラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データ
の解析方法において、前記偏差が対数の2乗偏差を使用
することにより構成されている。請求項7記載のレーザ
フラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱デー
タの解析方法は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の
レーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比
熱データの解析方法において、偏差が小さくなるように
数値計算を行いビオー数及び熱拡散率を更新する第3工
程が、ニュートン法による数値計算法を含んで構成され
ている。請求項8記載のレーザフラッシュ法における熱
拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法は、請求項
1〜7のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ法にお
ける熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法にお
いて、偏差が小さくなるように数値計算を行いビオー数
及び熱拡散率を更新する第3工程が、熱拡散率及びビオ
ー数の一方をA、他方をBとして前記Aの初期値の近傍
に複数のAを設定し、該複数のAに対して偏差が最小と
なるBを求め、該Aと該Bの組み合わせに対して偏差を
求め、該偏差の極小値を与える方向に新たなA又はBの
初期値を設定し、この繰り返し計算により、該偏差の極
小値を与える熱拡散率とビオー数を求めるように構成さ
れている。請求項9記載のレーザフラッシュ法における
熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法は、請求
項1〜7のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ法に
おける熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法に
おいて、ビオー数が、測定試料裏面の温度減衰曲線の時
定数と熱拡散率の値から設定されるように構成されてい
る。そして、請求項10記載のレーザフラッシュ法にお
ける熱拡散率データの解析装置は、板状の測定試料の表
面にレーザフラッシュを照射するレーザパルス発生装置
と、前記測定試料の裏面の温度を測定する測温装置と、
前記レーザフラッシュの照射波形を測定するレーザパル
ス検出装置と、前記測温装置及びレーザパルス検出装置
からの信号データを基として熱拡散率及びビオー数を決
定する演算手段を備えるコンピュータと、該コンピュー
タに接続される出力装置とを有して構成されている。こ
こで前記偏差とは、レーザフラッシュ法により実際に測
定された試料裏面温度の測定データと、理論的に計算さ
れるレーザフラッシュに対する温度応答理論解との差で
定義する。
【0009】
【作用】一次元熱伝導方程式による試料裏面温度の理論
解:Tは、最高上昇温度:Tm、熱拡散率:α、熱損失
に関わるパラメータであるビオー数:h、入熱パルス波
形:f(t)をそれぞれ設定すると、時間:tによって
厳密に表される。そこで、現実の温度応答測定データに
前記理論解によって計算されるパターンを合致させる条
件で、熱拡散率α、ビオー数h、最高上昇温度Tm を求
めるために、請求項1〜9記載のレーザフラッシュ法に
おける熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法及
び請求項10記載のレーザフラッシュ法における熱拡散
率データの解析装置ではこれら3つの未知数α、h、T
m を設定して得られる理論解と現実の温度応答測定デー
タとの偏差を比較し予め求めてある各変数間の関係デー
タを反映させることにより、該未知数の値を逐次効率的
に更新し、漸近的に実際の温度応答の測定データを満た
す前記未知数の値を決定する。
【0010】請求項1〜9記載のレーザフラッシュ法に
おける熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法に
おいては、第1工程としてレーザフラッシュ法における
測定試料のビオー数及び熱拡散率の各初期値と該測定試
料に照射するレーザパルス波形を設定する。測定試料の
熱拡散率の初期値は、従来のt1/2 法による測定値を採
用してもよいが、以降の計算では熱拡散率が更新される
都度、真の値に漸近するので、特にこの値に設定する必
要はない。時定数法によるビオー数の初期値は温度応答
測定データから求められる減衰曲線の時定数τと前記熱
拡散率αとにより、設定され、以降の繰り返し演算では
この関数関係によってビオー数が順次更新される。しか
し、前記の時定数法によらない場合には、例えば適当に
ビオー数を定めて、このビオー数初期値の近傍に複数の
ビオー数を設定し、該複数のビオー数に対して偏差が最
小となる熱拡散率を求め、該熱拡散率と該ビオー数の組
合わせに対して偏差を求め、該偏差の極小値を与える方
向に新たなビオー数初期値を設定し、この繰り返し計算
により、該偏差の極小値を与える熱拡散率とビオー数を
求めることもできる。また、最高上昇温度は、前記減衰
曲線をレーザパルス発生の時間原点0に外挿した値で温
度を規格化することにより、あるいは偏差式中に、偏差
の最高上昇温度による偏微分式を0とした関係式を代入
することにより偏差式中から消去することも可能であ
り、このような場合には最高上昇温度を特に設定する必
要はない。パルス波形は実際に試料に照射されたレーザ
入力の波形をレーザパルス検出装置によって測定し、こ
れを時間tの関数として表現したものを以下の計算にお
いて用いる。
【0011】次に、第2工程として前記レーザパルス波
形、前記ビオー数、前記熱拡散率及び前記最高上昇温度
とを変数として含む熱伝導方程式から測定試料裏面にお
ける理論温度値を求めるが、ここで該熱伝導方程式は、
上記の各変数を設定することにより、レーザパルスによ
る試料裏面の温度応答を厳密に決定することのできる熱
伝導の基本式を採用する。前記理論温度値と前記測定試
料裏面の測定温度値との偏差Rが小さくなるように前記
ビオー数及び前記熱拡散率を更新する第3工程に、ニュ
ートン法及び時定数法を適用する場合には、熱伝導率及
びビオー数の一方をA、他方をBとして、Aが時定数を
介してBの関数であることを利用して偏差Rを最小とす
るための条件式δR/δB=0を満たす解をニュートン
法の数値計算により求める。この結果として偏差Rの最
小値を与える前記Bの更新された値であるAnew 、B
new 及びR(Bnew )の値が得られる。第3工程にニュ
ートン法及び時定数法を適用した場合には、時定数を介
して熱拡散率αとビオー数hが一意の関係にあることを
利用して、偏差Rの極小値を求めたが、この方法では時
定数を精度よく求める必要があり、特性時間の10倍近
いデータ量が必要である。これに対して偏差Rの極小値
を直接求める方法(以下直接法という。)として、偏差
Rとその変数h及びαとの関数構造を予め把握してお
き、該把握した関数構造をもとに適正な更新値を設定
し、偏差Rの極小値に到達する方法があり、これにより
データ量が少ない場合であっても、高精度の解析を行う
ことができる。例えば、複数のビオー数に対して、δR
/δα=0を満たす熱拡散率αを求め、各αとhの組合
わせに対して偏差Rを計算し、偏差Rの極小値を与える
方向に次のビオー数を設定して、以上の計算を繰り返す
ことにより、偏差Rの極小値に到達することが可能であ
り、求める熱拡散率α及びビオー数hは、この極小値を
与える熱拡散率α、ビオー数hの組として与えられる。
【0012】第4工程は、前記偏差R、熱拡散率αある
いはビオー数hの値が実質的に更新されないようなレベ
ルの規定値以下になるまで前記第2工程から前記第3工
程までを繰り返して前記測定試料の熱拡散率α及びビオ
ー数hを最終的に決定する。この熱拡散率α、ビオー数
h及びレーザフラッシュの温度応答測定データより放射
損失がない場合の最高上昇温度を求め、試料に吸収され
たレーザパルスのエネルギー、試料重量とのデータと合
わせてC=Q/(VρTm )式により試料の比熱を求め
ることができる。ここでQは試料に吸収されたレーザパ
ルスエネルギー、Vは試料の体積、Cは試料の比熱であ
る。また、前記熱伝導方程式として一次元における熱伝
導基本式の時間空間における温度応答理論解を使用でき
るが、ラプラス空間における一次元熱伝導基本式の温度
応答理論解を使用することにより計算を簡略化できると
ともに、測定データを広範囲に使用できて、より精度の
高い熱拡散率データの解析が可能である。ここで、前記
偏差Rは、計算を単純にするために実測定データ上の区
間における平均温度あるいは測定温度の合計をとって、
対応する区間での理論解から得られる平均温度あるいは
理論温度の合計との差とすることもでき、また、順2乗
偏差、逆数の2乗偏差、あるいは対数の2乗偏差を使用
することもできる。ニュートン法及び時定数法を適用し
た場合におけるビオー数hは、測定試料裏面の温度減衰
曲線の時定数τと熱拡散率αから設定される式により、
関連付けられており、ビオー数hを熱拡散率αと時定数
τとの関数として表記することにより、新たに更新され
たαnew をもとにしてビオー数hの更新を継続的に行う
ことができる。
【0013】レーザパルス発生装置は測定試料面に必要
な熱パルスを発生させ、放射温度計等の応答時間の短い
測温装置によって試料裏面の応答温度を測定する。前記
の放射温度計で試料裏面温度を測定する場合には黒体輻
射の条件が成立する様に試料を取り付けることが望まし
い。レーザパルス検出装置は実際に試料面に照射された
レーザパルスの波形を検出するものである。コンピュー
タは前記測温装置と該レーザパルス検出装置からの信号
を基にして熱拡散率及びビオー数を決定する演算手段を
有しており、該コンピュータに接続される出力装置に熱
拡散率等の演算結果が表示される。前記熱拡散率を求め
る計算は、時間tと一次元上の座標変数xとで表記した
時間空間において取り扱う場合と、一次元熱伝導方程式
をラプラス変換した、即ちラプラス空間において取り扱
う場合とのいずれにおいても本発明の適用が可能であ
る。
【0014】以下、時間空間及びラプラス空間における
前記一次元熱伝導方程式の理論解についての基本概念を
説明する。一次元における熱伝導の基本方程式は(1)
式で表記される。入熱がδ関数形即ち時間幅が0で有限
の値を与えるQδ(x)であると仮定した場合には、初
期条件はδ関数を用いて(2)式で表される。さらに境
界条件を(3)、(4)式とした場合の解は、(5)式
で与えられる。即ち一次元熱伝導方程式の時間空間にお
ける解は、βn を固有値とした級数解により表記され
る。ここで、固有値βn は(6)式を満たし、測定試料
の表面と裏面におけるビオー数h0 及びh1 の値により
決まる無限個の数列である。
【0015】さらに、入熱が任意の時間関数Qf(t)
によって与えられる場合の温度応答は、該時間関数f
(t)を時間tで規格化し、即ち(7)式を満足するも
のとして、前記入熱がδ関数形である場合の前記した温
度応答(5)式をTδ(x,t)として表記すると、こ
れを基にすることにより、(8)式で与えられる。これ
を更に展開したものが(9)〜(13)式であり、これ
が、ビオー数によって表記される熱損失条件及び、レー
ザパルスの任意の波形条件を含んだ場合のレーザパルス
の温度応答の一般解を与える基本式となる。
【0016】
【数1】
【0017】つぎにラプラス空間上における一次元熱伝
導方程式の温度応答理論解について説明する。一次元熱
伝導基本式、初期条件及びδ関数δ(t)を含む境界条
件は(14)〜(17)式でそれぞれ与えられる。
【0018】
【数2】
【0019】これらをラプラス変換して(18)、(1
9)、(20)式を得る。(18)式を解いて積分定数
A及びBを含む一般解(21)式を得る。これを微分
し、(19)式、(20)式に代入して積分定数A及び
Bを求め(21)式に代入することによりラプラス空間
における入熱がδ関数形である場合の解(22)式を得
る。つぎに、入熱が一般の時間関数Qf(t)で与えら
れる場合のラプラス空間における温度応答を求める。こ
こに時間関数f(t)は時間で規格化された関数を用い
(23)式を満足するものとして、それをラプラス変換
したものをf(p)と表記する。入熱が任意の時間関数
で与えられる場合の温度応答は、このf(p)と前記
(22)式に示した入熱がδ関数である場合の温度応答
解を改めてTδ(x,p)と表記した式とにより、(2
5)式で与えられる。これを展開表示したラプラス空間
における温度応答の一般解は(26)〜(29)式で示
される。
【0020】
【数3】
【0021】ここで、前記一次元熱伝導方程式の固有値
について考察する。前記(6)式により決まる固有値β
n は測定試料面の表面及び裏面のビオー数が等しい場合
には、(30)式となる。そして、ビオー数がh<1の
場合に、Cape&Lehmanは(30)式は(3
1)、(32)式で近似できることを示している。以下
では固有値βn がビオー数とどのような数量的関係にあ
るかを確認し、近似式(31)、(32)式の適用範囲
を検討した。 図5、図6はn=0〜7に対するビオー
数と固有値βn との関係を示し、図7、図8はn=0〜
5に対する近似式(31)、(32)式の計算精度を示
す図である。(31)、(32)式で与えられる近似式
はnが小さい程、また、ビオー数が大きい程計算誤差が
大きい。ビオー数h〜1における固有値の精度は、n=
1が最も悪く約4%である。この近似式を用いて固有値
を計算精度1%以下で求めたい場合には、h<0.1の
範囲に限定する必要があることが分かる。本発明ではこ
の近似式を使用せず(31)、(32)式で与えられる
近似固有値を初期値として(33)式を偏差としたニュ
ートン法により求められる固有値を採用した。
【0022】
【数4】
【0023】請求項1〜9記載のレーザフラッシュ法に
おける熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法に
おいては、レーザフラッシュ法におけるパルス波形と熱
損失の条件を同時に正確に計算に反映させることにより
効率的に高精度の熱拡散率を求めることができる。そし
て、試料裏面の温度応答の理論式において、未知数であ
るビオー数、熱拡散率及び最高上昇温度の初期値から出
発して、計算を繰り返すことにより漸近的に実測した温
度応答データを満足する前記熱拡散率及びビオー数の値
を求め、その後求められた熱拡散率α及びビオー数より
最高上昇温度を求め、試料に吸収されたレーザパルスエ
ネルギーのデータとを合わせて試料の比熱を求める。請
求項2記載のレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビ
オー数及び比熱データの解析方法においては、熱伝導方
程式及び測定データをラプラス変換された空間上で扱う
ために計算が簡略化されるとともに、時間空間法におけ
る測定データ領域の設定における制約が少なく広範なデ
ータを反映させて熱伝導率の解析が可能であり熱拡散率
の解析精度を高めることができる。請求項3記載のレー
ザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱デ
ータの解析方法は、時間空間における一次元熱伝導基本
式の温度応答理論解を使用するため、従来t1/2 法によ
る熱拡散率の値を初期値として使用できるなど簡便な数
値の取り扱いが可能である。請求項4記載のレーザフラ
ッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの
解析方法は、偏差として2乗偏差を使用するため、計算
結果についての信頼性が高く、常に妥当性のある結果が
得られる。請求項5記載のレーザフラッシュ法における
熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法は、逆2
乗偏差を使用するため、計算結果についての信頼性が高
く、常に妥当性のある結果が得られる。請求項6記載の
レーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比
熱データの解析方法は、対数の2乗偏差を使用するた
め、広範囲の領域において、誤差の少ないデータの取り
扱いができて、かつ正確な結果が得られる。請求項7記
載のレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及
び比熱データの解析方法は、偏差が小さくなるようにビ
オー数及び熱拡散率を更新する請求項1〜6記載の第3
工程が、ニュートン法による数値計算法であることによ
り、計算が定式化されているため、計算が迅速に行え
る。請求項8記載のレーザフラッシュ法における熱拡散
率、ビオー数及び比熱データの解析方法は偏差が小さく
なるようにビオー数及び熱拡散率を更新する請求項1〜
6記載の第3工程が、例えば前記ビオー数の初期値の近
傍に複数のビオー数を設定し、該複数のビオー数に対し
て偏差が最小となる熱拡散率を求め、該熱拡散率と該ビ
オー数の組合わせに対して偏差を求め、該偏差の極小値
を与える方向に新たなビオー数初期値を設定し、この繰
り返し計算により、該偏差の極小値を与える熱拡散率と
ビオー数を求める方法であり、少ないデータ量でも精度
良く、熱拡散率α、ビオー数を解析することができる。
あるいは前記熱拡散率の初期値の近傍に複数の熱拡散率
を設定し該複数の熱拡散率に対して偏差を最小とするビ
オー数を求め、該熱拡散率と該ビオー数の組合わせに対
して偏差を求め、該偏差の極小値を与える方向に数値を
更新することも可能である。請求項9記載のレーザフラ
ッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの
解析方法は、ビオー数が、測定試料裏面の温度減衰曲線
の時定数と熱拡散率の値から設定され、この両者の値が
更新されながら求める値に漸近するため解析精度をさら
に向上させることができる。また、請求項10記載のレ
ーザフラッシュ法における熱拡散率測定データの解析装
置においては、測定試料に照射したレーザパルス波形を
直接的に検出すると同時に、かつ測定試料裏面における
温度応答データを検出して、該データから熱拡散率を求
める演算処理をコンピュータ上で行うため、迅速かつ正
確である。
【0024】
【実施例】続いて添付した図面を参照しつつ、本発明を
具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに図1は本発明の一実施例に係るレーザフラッ
シュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解
析装置の構成図、図2は同データの時間空間解析法のフ
ロー図、図3は同データのラプラス空間の時定数解析法
のフロー図、図4は同データのラプラス空間の直接解析
法のフロー図、図5はビオー数と固有値βnとの関係を
示す図、図6はビオー数と固有値βn との関係を示す
図、図7はビオー数と固有値βn の計算精度との関係を
示す図、図8はビオー数と固有値βn の計算精度との関
係を示す図、図9は順2乗偏差の場合の(70)式によ
る2乗偏差の構造を示す図、図10は順2乗偏差の場合
の(71)式による2乗偏差の構造を示す図、図11は
逆2乗偏差の場合の(74)式による2乗偏差の構造を
示す図、図12は逆2乗偏差の場合の(75)式による
2乗偏差の構造を示す図、図13は2乗偏差Rの構造を
示す鳥瞰図、図14は2乗偏差R凹溝のα−h面への写
影を示す図、図15は2乗偏差R凹溝のR−α面への写
影を示す図、図16は2乗偏差R凹溝のR−h面への写
影を示す図、図17はラプラス空間における(56)式
に示す2乗偏差を用いた時定数解析法での計算誤差を特
性時間とパルス幅との比に対して示した図、図18は同
ラプラス空間における対数による(60)式に示す2乗
偏差を用いた時定数解析法での計算誤差を特性時間とパ
ルス幅との比に対して示した図、図19は同ラプラス空
間における2乗偏差及び逆2乗偏差を用いた直接解析法
での計算誤差を特性時間とパルス幅との比に対して示し
た図、図20はラプラス空間直接解析法による計算誤差
を特性時間を単位としたデータ量に対して示した図、図
21は時間空間における偏差として特定時間領域の平均
温度差を使用した場合の計算誤差を特性時間とパルス幅
との比に対して示した図、図22はラプラス空間直接解
析法における熱拡散率を1%より良い精度で計算可能な
ptmin を特性時間を単位としたデータ量に対して示し
た図、図23はラプラス空間直接解析法において、特性
時間を単位としたデータ量が10の場合に熱拡散率を1
%以下の良い精度で計算可能なptmin を特性時間とパ
ルス幅の比に対して示した図である。
【0025】以下に試料に照射されるパルス入熱が時間
的な幅を持ち、また、試料表面より温度に比例した熱放
射の損失がある場合の解析法を時間空間及びラプラス空
間において展開する。なお、本解析法においては、以下
の条件が成立するものとして解析計算を行った。 入熱パルスの試料面上における強度分布がなく一次元
熱伝導が成立する。 測定する試料温度としては、試料裏面の温度とする。 試料の表面と裏面のビオー数が等しい。 試料は均一であり、また、測定中熱拡散率は一定であ
る。 図1に示すレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオ
ー数及び比熱データの解析装置について説明する。レー
ザパルス発生装置を用い、薄板を測定試料として熱拡散
率等を測定する。レーザパルス発生装置は必要により任
意波形のパルスの発生が可能であり、測定試料の物性値
の範囲及び熱拡散率の解析方法に応じて特殊な波形を選
択することで計算を簡略化したり特定領域での測定精度
を向上させることもできる。試料裏面の温度応答は放射
温度計等による測温装置で測定する。放射温度計で試料
を測定する場合には、試料は黒体輻射条件が可能な限り
成り立つ様に取り付ける。例えば試料の外形と同形状の
筒状体を、レーザパルスを受ける前記試料の裏面側に取
り付け、前記筒状体を通して試料裏面の温度応答を放射
温度計で測定する様にする。但し、比熱を測定しない場
合には黒体炉条件は不要である。前記測定試料に照射し
たレーザパルスの波形信号は該測定試料と前記レーザパ
ルス発生装置との間に設けたハーフミラー11等を経由
してレーザパルス検出装置に取り込まれる。また、光路
途中における漏れ光を測定することにより、パルス波形
を測定することも可能である。そして前記測温装置及び
レーザパルス検出装置からの信号データをコンピュータ
に取り込み、該信号データを基にして熱拡散率及びビオ
ー数を決定する演算処理を行い、データ及び演算結果を
コンピュータに接続する出力装置に表示できるように全
体を構成した。以下、実施例1の時間空間法について詳
しく説明する。
【0026】図2は本発明の一実施例に係るレーザフラ
ッシュ法における熱拡散率及びビオー数データの時間空
間解析法のフロー図である。図2に示すように、測定試
料裏面の温度データとパルスデータを基にして以下の解
析を行う。レーザパルスの波形条件及び試料表面の熱損
失を表す無次元数であるビオー数とを考慮した試料裏面
温度の理論解は数式(9)によって与えられる。これを
以下の展開に都合がよいように(34)式のように変形
して用いる。ここで、An及びan は(35)、(3
6)式でそれぞれ与えられる級数である。
【0027】
【数5】
【0028】βn は固有値であり、(30)式tan
(βn )=2hβn /(βn 2 −h2)の根である。ま
ず、熱拡散率の初期値α0 を、熱放射損失がないものと
仮定し、従来のt1/2 法を用いて求める。測定試料裏面
の温度データを用い、パルス入熱の重心位置から最高上
昇温度の半分まで上昇する時間t1/2 を求め、この値よ
りα0 =1.36975L2 /(π2 ・t1/2 )式を用
いて熱拡散率の初期値α0 を計算する。もしくは適当な
熱拡散率初期値を設定してもよい。ここで、時間原点は
レーザパルス波形の重心位置に設定した。
【0029】つぎに、この熱伝導現象の時間的尺度を表
すものとしての特性時間t0 をt0=L2 /(π2 ・α
0 )と定義すると、正の定数をmとして、t=mt0
0を満足する時間領域(通常mは8以上の数値に設定
する。)においては、数式(34)の第2項以下(n≧
1)は初項に比較して無視できるほど小さくなるため
に、数式(37)によって近似できる。従って、数式
(37)が成立するt》t0 の時間領域において、温度
データの対数を時間に対しプロットして、その傾きから
時定数τを求めることができる。時定数τはτ=1/a
0 =L2 /(β0 2・α0 )であり、ビオー数の初期値h
0 は前記時定数τと熱拡散率の初期値α0 の関数である
β0 を用いて、(30)式を変形した(38)式により
求められる。
【0030】
【数6】
【0031】上記で求めた時定数τを用いて、測定温度
データを時間原点(t=0)に外挿し、その値で温度デ
ータを規格化して数式(40)を得る。測定温度データ
を数式(40)に従い規格化した後、特定時間領域(t
3 ≦t4 )で平均温度を求め、この値をsumとする。
この値は、上式左辺を用いて表すと数式(41)とな
る。
【0032】
【数7】
【0033】理論温度式である数式(40)を用いて測
定温度データと同じ時間領域で理論平均温度を求め、こ
の値をthtavとする。ここで、thtavに用いる
入熱パルス関数f(t)は、測定パルス波形の規格化し
たものを用いる。thtavは数式(42)で示され
る。ここに、Bn は数式(43)で与えられる。ここ
で、熱拡散率αをα=α0 ・xとしてthtavをxの
関数として(44)式のように書き直す。
【0034】
【数8】
【0035】特定時間領域の理論平均温度thtavと
測定温度の平均sumとの差をR(x)として、この値
を0とするようなxをニュートン法により求める。熱拡
散率αはα0 xにより与えられる。ニュートン法により
熱拡散率を更新する式を以下(45)〜(49)式に示
す。
【0036】
【数9】
【0037】次に熱拡散率と固有値を関係づける時定数
式(39)に更新した熱拡散率αnew を代入して固有値
β0 を更新し、その固有値β0 を用いて数式(38)に
てビオー数を更新する。以下この手順を繰り返して、特
定時間領域の理論平均温度thtavと測定温度の平均
sumとの差が規定値以下になるまで実行し、最終的に
得られる熱拡散率α、及びビオー数の値をもって前記測
定データの熱拡散率及びビオー数とする。比熱は以下の
様にして求められる。最終的に得られた熱拡散率、ビオ
ー数及び測定温度規格値より最高上昇温度を求める。
最高上昇温度Tm は、測定温度規格値をΔTとすると、
(40)式の分母より次式で与えられる。 Tm =ΔT/(A0 ∫exp(a0 t’)・f(t’)
dt’) さらに試料の比熱Cは、最高上昇温度Tm 、試料重量
w、試料に吸収されたレーザパルスエネルギーQを用い
て、C=Q/(wTm )式により与えられる。試料に吸
収されたレーザパルスエネルギーは測定試料と吸収率が
同じになる様に設定した比熱が既知の標準試料に対する
最高温度上昇値Tm により求められる。以上は熱拡散率
を独立変数として扱ったが、ビオー数を独立変数とし、
熱拡散率は時定数を介したビオー数の関数として扱うデ
ータ解析法も同様に成立する。図2のフローでは判定基
準として偏差Rを用いたが、図3に示す熱拡散率を用い
た判定基準あるいは、ビオー数で用いた同様の判定基準
でもよい。時定数計算領域は特性時間を時間の単位とし
て決めているが、t1/2 法に基づく熱拡散率αの初期値
を用いた特性時間を使用すると、通常放射損失の影響を
受け特性時間が小さい値となり、目的とする時定数計算
領域よりずれてしまう。このため、一度計算した熱拡散
率を用いて再度特性時間を計算することにより、目的と
する時間領域で時定数を計算することができ所定の精度
での時定数が得られる。但し、時定数の精度を問わない
のであれば、t1/2 法に基づく熱拡散率α初期値による
特性時間を用いてmt0 》t0 を満足する十分余裕のあ
るmを設定すれば、この繰り返しは不要である。例え
ば、熱拡散率αを1%より良い精度で求めるにはm>8
に、好ましくはm=15〜20程度に設定すればよい。
図2は一度計算した熱拡散率をもとに、特性時間を再度
計算して、時定数法により繰り返し計算が可能なフロー
を示す。図21はビオー数0.10場合の熱拡散率αと
ビオー数hの計算誤差をパルス波形の補正をしたもの
と、していないものとについて示しており、パルス波形
の補正を行ったものは、特性時間/パルス幅が小さい領
域においても、熱拡散率αとビオー数hを精度よく解析
できる。一方、パルス波形を考慮しないものは、特性時
間/パルス幅が3より小さくなると精度が次第に悪くな
ることが分かる。
【0038】ついで図3に示す第2の実施例であるラプ
ラス空間における時定数解析法について述べる。本方法
は、ラプラス空間において、熱拡散率及びビオー数を解
析するために測定データ及び理論解ともにラプラス変換
されたものを用いて最小2乗法、ニュートン法及び時定
数法を用いて解析する。この2乗偏差の例として、測
定データ及び理論解のラプラス変換したものの2乗偏差
と、それぞれの対数をとったものの2乗偏差(以下で
対数法と表記する。)について説明する。ビオー数につ
いては時定数法(時間空間における固有値式及び時定数
式を用いて熱拡散率より求める)により求めるものとす
る。この解析はラプラス変数が正の実数空間において行
うものである。
【0039】図3に示すレーザフラッシュ法における熱
拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法のラプラス
空間における解析方法の概要を以下に述べる。 熱拡散率初期値α0 の計算:通常のt1/2 法に従って
パルス入熱の重心位置から最高上昇温度の半分の温度ま
で上昇する時間を求め、この値より熱拡散率αの初期値
α0 を計算する。もしくは適当な熱拡散率初期値を設定
しても良い。 時定数τの計算:パルス入熱後、充分時間が経過して
試料裏面温度の時間空間理論解の初項のみの近似が成立
する時間領域において、測定試料温度の減衰曲線から時
定数τを求める。 ビオー数初期値h0 の計算:熱拡散率初期値α0 、時
定数τ及び固有値式からビオー数の初期値を求める。 ニュートン法による熱拡散率の計算:測定パルスを用
いたラプラス空間理論温度とラプラス変換した測定温度
の2乗偏差が0になるように熱拡散率偏差Δαを求め
る。Δα/αが充分小さくなるまで繰り返し計算を行
う。繰り返し計算は、αnew =α+Δαとし、このα
new と時定数式及び固有値式とにより、ビオー数hを更
新する。(時定数法) また、最終的に得られた熱拡散率及びビオー数より最高
上昇温度を求め、この最高上昇温度より比熱を求める。
【0040】図3に示すフロー図のうち、熱拡散率の初
期値α0 の計算、時定数τの計算及び時定数によるビオ
ー数の計算は、前述した時間空間の解析法と同一である
ので省略し、以下では最小2乗法及びニュートン法によ
る熱拡散率解析法について記述する。測定データのラプ
ラス変換は測定データをE(t)として(50)式に従
ってラプラス変換を行う。ここにtdataは測定データの
取り込み時間である。温度データとパルスデータではこ
のtdataを共通に用いて両データのラプラス変換変数p
を(51)式に従って設定する。ここで、ptmin 、p
max はptdataの最小値、最大値であり、この範囲内
にn個のラプラス変数を設定する。この近似の程度につ
いては一般にはpとtdataの積に依存し、ptdata≧8
で充分近似でき、また、同値が過大だと温度変化の初期
データだけを重視して結果を評価することになるので、
8≦ptdata≦12の範囲にラプラス変数を選ぶべきで
あるとされているが、変数間の関数構造を把握して適正
な値を選ぶことが肝要である。測定データのラプラス変
換は、一連のデータ処理の中で一回行えばよい。図3に
示すフローでは、繰り返しループ内に入っているが、ラ
プラス変換済みの場合には、このステップを省略するも
のとする。あるいは測定データのラプラス変換をこのル
ープに入る前に実施しても良い。図3のフローでは、図
2のフローと同様に得られた熱拡散率αをもとに計算さ
れる特性時間t0 を用いて、再度計算領域を設定しなお
して、時定数を計算しなおすことが可能なフローとして
いる。この場合も、m>8(例えばm=15〜20)を
満たすデータの場合であれば、この繰り返しを行わなく
とも精度良く熱拡散率α、ビオー数hを求めることがで
きる。
【0041】
【数10】
【0042】ラプラス空間における理論解は、先に示し
た(26)式を用い試料裏面の温度応答を与える関数
(52)、(53)式を使用する。ここにラプラス変数
は離散的な値を設定し、pj (j=1、2、・・・・
k)と表す。また、この理論解中のf(p)は測定した
パルスデータをラプラス変換したものを用いる。(5
3)式中のuj及びgjは(54)、(55)式で与え
られる。
【0043】
【数11】
【0044】最小2乗法及びニュートン法による熱拡散
率α、ビオー数hの計算を以下に示す。ラプラス変換し
た測定データ(50)式及び理論データ(52)式を用
いて離散的ラプラス変数をパラメータとした2乗偏差R
を求める。この2乗偏差の例として(50)、(52)
式をそのまま用いるラプラス空間方法とその対数を用
いる対数方法について定式化する。ここにE(pj
=Ej とした。 ラプラス空間方法においては、測定データ及び理論デ
ータを用いて(56)式により2乗偏差Rを求め、独立
変数であるTm 、αで偏微分をとり、それぞれの式を0
とするものが求める値である。δR/δTm =0より、
(57)式が得られ、δR/δα=0に(57)式を代
入して(58)式を得る。t1/2 法により求めた、もし
くは適当に設定した熱拡散率及び時定数法により求めた
ビオー数の初期値を用いて(58)式を満たす熱拡散率
αをニュートン法によって求める。まず(59)式を用
いてΔαを求める。従って、熱拡散率αはαnew =α0
+Δαにより更新される。ビオー数の更新はこのαnew
を用いて時間空間における時定数法により行う。以上の
手順を繰り返し、Δα/αが充分小さくなった時の値が
求める熱拡散率及びビオー数である。さらに試料の比熱
Cは、最終的に得られた熱拡散率、ビオー数及びラプラ
ス変換した測定デ─タを(57)式に代入して得られる
最高上昇温度Tm 、試料重量w、試料に吸収されたレー
ザパルスエネルギーQを用いて、C=Q/(wTm )式
により与えられる。試料に吸収されたレーザパルスエネ
ルギーは測定試料と吸収率が同じになる様に設定した比
熱が既知の標準試料に対する最高温度上昇値Tm により
求められる。また、図3では、熱拡散率値の更新前後の
差について判定基準を適用したが、ビオー数を用いた同
様の式あるいは偏差Rを用いて、R<εとしても良い。
この場合のεが、規定値に相当する。
【0045】
【数12】
【0046】次に対数法について述べる。測定データ
及び理論データの対数を用いて(60)式の2乗偏差R
を求める。ここで、独立変数であるTm 、αで偏微分を
とり、それぞれの式を0とするものが求めるものであ
る。即ちδR/δTm =0より(61)式が得られる。
よってTm は(62)式で与えられる。(60)式の2
乗偏差Rを用いて、δR/δα=0より(63)式を得
る。ここにTm は(62)式で表される。(63)式を
満足する熱拡散率をニュートン法により求める。熱拡散
率、ビオー数の初期値は前述のによる方法と同様に時
間空間における解析で用いた方法即ち、熱拡散率の初期
値はt1/2 法を用いて求めた値、もしくは適当に設定し
た値を使用し、ビオー数の初期値は時定数法によって求
められる。比熱は以下の様にして求められる。最終的に
得られた熱拡散率、ビオー数及びラプラス変換した測定
デ─タより最高上昇温度を求める。即ち最高上昇温度T
mは(62)式で与えられる。さらに試料の比熱Cは、
最高上昇温度Tm 、試料重量w、試料に吸収されたレー
ザパルスエネルギーQを用いて、C=Q/(wTm )式
により与えられる。試料に吸収されたレーザパルスエネ
ルギーは測定試料と吸収率が同じになる様に設定した比
熱が既知の標準試料に対する最高温度上昇値Tm により
求められる。以上ラプラス空間時定数解析法の2例では
熱拡散率を独立変数として扱ったが、ビオー数を独立変
数とし、熱拡散率は時定数を介したビオー数の関数とし
て扱うデータ解析法も同様に成立する。また、2乗偏差
の他の例としては(72)式に示す温度の逆数を用いた
ものも適用可能である。
【0047】
【数13】
【0048】先に示した時間空間解析法、ラプラス空間
における時定数解析法においては、時定数を求め、時定
数を介して熱拡散率αとビオー数hが一意の関係にある
ことを利用して熱拡散率及びビオー数hを同時に更新し
た。しかし、この方法ではデータ量が特性時間の10倍
以上ないと熱拡散率αとビオー数hを高精度で求められ
ないという問題がある。そこで2乗偏差の極小値を直接
求めることができれば、時定数の計算が不要となり、よ
り少ないデータ量による解析が可能となる。以下にラプ
ラス空間において、最小2乗法を適用する場合に特に重
要となる、2乗偏差Rの構造について詳述する。2乗偏
差Rには3個の独立変数(最高上昇温度Tm 、熱拡散率
α、ビオー数h)が有り、各独立変数の取るべき値は、
2乗偏差が単純に下に凸の構造であれば、各々で2乗偏
差を偏微分し各式を0とする値を求めればそれがそれぞ
れの解となる。しかし、この2乗偏差の場合、この方法
で解析を試みたが収束解を求めることができなかった。
このことから、この2乗偏差は単純に下に凸の関数にな
っていないと考えられる。従って、この2乗偏差を用い
て各独立変数の解を求めるには、予め2乗偏差の構造を
明らかにする必要があることが分かる。
【0049】ここで、試料裏面温度のラプラス空間にお
ける理論式及び測定データのラプラス変換式を(6
4)、(65)、(66)、(67)式に示す。ここ
で、測定データをE(t)として、このラプラス変換し
たものを #E(p)として表示し、試料表面及び裏面の
ビオー数は等しいとした。2乗偏差として(64)、
(67)式をそのまま用いる場合(順2乗偏差)とそれ
ぞれの逆数をとって、その2乗偏差(逆2乗偏差)をと
る場合について以下に示す。
【0050】
【数14】
【0051】順2乗偏差を(68)式に与える。これを
独立変数Tm で偏微分をとり、その値を0として(6
9)式を得る。つぎに(69)式を(68)式に代入し
て熱拡散率とビオー数のみで表された2乗偏差式(7
0)を得る。また、(70)式の分子のみをとってR’
とする。R’は(71)式で示される。
【0052】
【数15】
【0053】逆2乗偏差を(72)式に示す。これを独
立変数Tm で偏微分しその値を0として(73)式を得
る。(73)式を(72)式に代入して熱拡散率及びビ
オー数のみで表された逆2乗偏差式(74)を得る。又
は、分子のみをとってR’として(75)式を得る。
【0054】
【数16】
【0055】2乗偏差が順2乗偏差の場合は(70)
式、あるいは(71)式で、逆2乗偏差の場合には(7
4)式あるいは(75)式でそれぞれの偏差の関数関係
が表される。この2乗偏差の構造を試料厚さ0.497
mm、熱拡散率1.0×10-42 /s、ビオー数0.
2、鋸歯状のパルス波形としてパルス幅1msの条件で
作成した理論データをもとに確認した。
【0056】順2乗偏差の場合の(70)式による2乗
偏差の構造を図9に、(71)式による2乗偏差の構造
を図10に示す。逆2乗偏差の場合の(74)式による
2乗偏差構造を図11に、(75)式による2乗偏差の
構造を図12に示す。いずれの場合も2乗偏差の構造は
基本的に同一である。更にこの2乗偏差の詳細構造を逆
数を用いた2乗偏差式である(74)式を用いて検討し
た。この2乗偏差の熱拡散率α及びビオー数hをXY軸
に、2乗偏差の対数をとったものをZ軸にした鳥瞰図を
図13に示す。この2乗偏差Rは下に凸の溝構造をと
り、この溝を熱拡散率とビオー数平面に写影したものを
図14に、2乗偏差と熱拡散率の平面に写影したものを
図15に、また2乗偏差とビオー数平面に写影したもの
を図16に示す。以上の結果からこの2乗偏差の関数構
造は次のような特徴をもつことが明らかになった。
【0057】2乗偏差の極小値は、求める熱拡散率及
びビオー数の位置に存在する。 ビオー数を固定した場合、極小値を示す熱拡散率は、
ビオー数の変化に対してその変化の割合は少なく、安定
した極値をとる。 熱拡散率を固定した場合、極小値を示すビオー数は、
熱拡散率の変化に対してその変化の割合が大きい。 2乗偏差の熱拡散率による偏微分を0とする曲線の位
置とビオー数による偏微分を0とする曲線の位置は、と
もにこの溝の極近傍に位置する。2乗偏差の熱拡散率α
による偏微分を0として熱拡散率αを更新して、この更
新した熱拡散率αを基にして、さらにビオー数による偏
微分を0とする手順を繰り返して熱拡散率及びビオー数
を求めたとしても2乗偏差の極小値に至らず熱拡散率と
ビオー数が求められない場合がある。これは2乗偏差の
熱拡散率による偏微分を0とする曲線とビオー数による
偏微分を0とする曲線が溝付近で互いにずれていると、
ビオー数の初期値を求めるべき値より小さい値に設定し
て、熱拡散率による偏微分を0とする熱拡散率を計算す
ると、求めるべき値よりも大きい熱拡散率が得られ、次
にこの熱拡散率を用いてビオー数による偏微分を0とす
るビオー数を求めたとき、最初に用いたビオー数より小
さい値が求まることになると考えられる。このため、こ
の一連の計算は収束せずに発散してしまい、熱拡散率及
びビオー数は求められないことになる。以上の問題を克
服するためには、例えば以下に示すように複数のビオー
数初期値を設定し、該複数のビオー数に対して、δR/
δα=0を満たす熱拡散率を個々に求め、次にこの熱拡
散率αとビオー数hの各組合わせに対して偏差Rを求め
た後、偏差Rの極小値を与える方向に新たなビオー数を
設定し、以上の計算を繰り返すことにより、偏差Rの極
小値及びこの極小値を与える熱拡散率αとビオー数hを
求めることができる。
【0058】ここで、第3の実施例である図4に示し
た、ラプラス空間における直接解析法について述べる。
最高上昇温度Tm 、熱拡散率α及びビオー数hの3個の
独立変数で表記される偏差Rについて、δR/δα=0
として偏差Rの極小値を満たす熱拡散率α及びビオー数
hを求める手順を図4に示した。 t1/2 法により熱拡散率αの初期値を求める。もしく
は、適当な初期値を設定しても良い。 2乗偏差のビオー数による偏微分式を0とするビオー
数をビオー数初期値とする。あるいは適当な初期値を設
定してもよい。 ビオー数の初期値付近に複数のビオー数を設定し、各
ビオー数に対して2乗偏差の熱拡散率による偏微分を0
とする熱拡散率を求める。 ビオー数及び熱拡散率の組合わせに対して2乗偏差を
計算し、その最小値を与える熱拡散率、ビオー数の組合
わせが求めるものにより近い値である。 一番小さい2乗偏差を与えたビオー数の近傍に次の繰
り返し計算用のビオー数を関数構造の知見に基づいて新
たに設定する。この手順は例えば、ビオー数初期値を5
点とった場合、、の手順により、各熱拡散率αとビ
オー数hの組合わせに対する偏差Rが5点求められるこ
とに対応する。この偏差の大小関係を調べ、偏差Rの最
小値が、設定したビオー数の最大あるいは最小値で与え
られる場合、次の計算のためのビオー数として、最大ビ
オー数あるいは最小ビオー数を含んで新たにその付近に
5点のビオー数を設定する。また、偏差の最小値を与え
るビオー数が最大ビオー数及び最小ビオー数以外の時、
最小値を与えるビオー数近傍に、新たに先のビオー数の
間隔より狭い間隔でビオー数を設定する。以上の手順を
繰り返して、2乗偏差の極小値を与えるものが求める熱
拡散率及びビオー数である。最終的に得られた熱拡散
率、ビオー数及びラプラス変換した測定デ─タより最高
上昇温度を求め、この最高上昇温度より比熱を求める。
最高上昇温度は順2乗偏差の場合(69)式で、逆2乗
偏差の場合(73)式で、また対数をとった2乗偏差の
場合は(62)式で与えられる。最高上昇温度より比熱
を求める方法では、前述の時間空間解析法に示した手順
で行う。
【0059】図17〜図18は前記ラプラス空間におけ
る計算の内、時定数法による解析結果であり、2乗偏差
として(50)、(52)式をそのまま用いるラプラス
空間法と、その対数を用いる対数法とで、それぞれの計
算誤差を特性時間とパルス幅との比に対して示した図で
あり、熱拡散率αが1.0×10-42 /s、ビオー数
hが0.10のデータについて、各熱拡散率α及びビオ
ー数hの値をパルス波形について補正したものと補正し
ないものとについて比較している。いずれの図において
も、特性時間/パルス幅の小さい領域において、パルス
波形による補正の効果、即ち補正有りの方が計算誤差が
少なくなっており、特性時間/パルス幅の値が2以下の
領域ではパルス波形の補正を取り入れることにより、計
算誤差を0.5%以下とすることが可能である。また、
特性時間/パルス幅が4より大きい領域では絶対値とし
ての計算誤差の値は減少するがパルス波形の補正効果は
少なくなっていることが分かる。 また、図19〜図2
0は、ラプラス空間における直接解析法による解析結果
であり、図19は熱拡散率αが1.0×10-42
s、ビオー数が0.10のそれぞれのデータの計算誤差
を特性時間/パルス幅に対して示した図であり、全領域
で熱拡散率αとビオー数hを良い精度で解析が可能であ
る。図20はα=1.0×10-42 /s、h=0.1
0、特性時間/パルス幅=6.0のデータを用いて、特
性時間を単位としたデータ量と計算誤差の関係を示した
ものである。本図に見られる様に先の時定数法と異な
り、少ないデータ量でも熱拡散率α及びビオー数hを精
度良く解析できる。特に、熱拡散率αについては特性時
間の2〜3倍のデータ量でも1%より、よい精度で解析
が可能である。図4に示すフロー図では、判定基準とし
てビオー数の間隔Δhを用いてΔh<εとしているが、
判定基準を|Δh|/h<εとしても良く、あるいは熱
拡散率を用いた同様の基準、もしくは図2に示す様に、
偏差Rを用いて、R<εとすることもできる。図22、
図23に示す様にラプラス変数のうち特にptmin は、
特性時間/パルス幅、データ量、ビオー数により影響さ
れるので、一度の計算結果をもとに再設定して計算する
フローとしている。図22、図23は熱拡散率に着目し
たものであるが、同様にビオー数についても同様の関係
があり、熱拡散率αとビオー数hでは異なるラプラス変
数を設定した方が、それぞれ良い精度で求められる。従
って、熱拡散率α、ビオー数hのどちらを計算するか、
また、特性時間/パルス幅、データ量、ビオー数等を見
て最適のラプラス変数を設定することにより、熱拡散率
αとビオー数hを良い精度で求めることができる。但
し、ptmin 下限は、特性時間/パルス幅、ビオー数、
データ量及び熱拡散率αとビオー数hのどちらを計算す
るかにそれほど依存しないので、この近傍にとれば、ラ
プラス変数の再設定計算をしなくとも、良い精度で熱拡
散率α及びビオー数hを計算することができる。上述の
解析方法は、(60)式に示したような対数形式の2乗
偏差に対しても適用することができる。
【0060】
【発明の効果】請求項1〜9記載のレーザフラッシュ法
における熱拡散率測定データの解析方法においては、パ
ルス波形、熱拡散率α、ビオー数h、最高上昇温度Tm
を設定して得られる理論解と現実の温度応答測定データ
との偏差を比較し予め求めてある各変数間の関係データ
を反映させることにより、未知数の値を逐次効率的に更
新し、漸近的に実際の温度応答の測定データを満たす前
記未知数の値を0.5%以下の良い精度で決定すること
ができる。
【0061】また、請求項10記載のレーザフラッシュ
法における熱拡散率測定データの解析装置においては、
レーザパルス発生装置が測定試料面に必要な熱パルスを
発生させ、放射温度計等の応答時間の短い測温装置によ
って試料裏面の応答温度を測定することができる。レー
ザパルス検出装置は実際に試料面に照射されたレーザパ
ルスの波形を検出し、コンピュータは前記測温装置とレ
ーザパルス検出装置からの信号を基にして、熱拡散率及
びビオー数を決定する演算手段を有しており、前記コン
ピュータに接続される出力装置に熱拡散率等の演算結果
が表示されるので人手を介さずに迅速かつ正確に熱拡散
率の結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るレーザフラッシュ法に
おける熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析装置の
構成図である。
【図2】同データの時間空間解析法のフロー図である。
【図3】同データのラプラス空間の時定数解析法のフロ
ー図である。
【図4】同データのラプラス空間の直接解析法のフロー
図である。
【図5】ビオー数と固有値βn との関係を示す図であ
る。
【図6】ビオー数と固有値βn との関係を示す図であ
る。
【図7】ビオー数と固有値βn の計算精度との関係を示
す図である。
【図8】ビオー数と固有値βn の計算精度との関係を示
す図である。
【図9】順2乗偏差の場合の(70)式による2乗偏差
の構造を示す図である。
【図10】順2乗偏差の場合の(71)式による2乗偏
差の構造を示す図である。
【図11】逆2乗偏差の場合の(74)式による2乗偏
差の構造を示す図である。
【図12】逆2乗偏差の場合の(75)式による2乗偏
差の構造を示す図である。
【図13】2乗偏差Rの構造を示す鳥瞰図である。
【図14】2乗偏差R凹溝のα−h面への写影を示す図
である。
【図15】2乗偏差R凹溝のR−α面への写影を示す図
である。
【図16】2乗偏差R凹溝のR−h面への写影を示す図
である。
【図17】ラプラス空間における2乗偏差を用いた時定
数法での計算誤差を特性時間とパルス幅との比に対して
示した図である。
【図18】同ラプラス空間における対数による2乗偏差
を用いた時定数法での計算誤差を特性時間とパルス幅と
の比に対して示した図である。
【図19】同ラプラス空間における2乗偏差及び逆2乗
偏差を用いた直接解析法での計算誤差を特性時間とパル
ス幅との比に対して示した図である。
【図20】ラプラス空間直接解析法における計算誤差を
特性時間を単位としたデータ量に対して示した図であ
る。
【図21】時間空間における偏差として特定時間領域の
平均温度差を使用した場合の計算誤差を特性時間とパル
ス幅との比に対して示した図である。
【図22】ラプラス空間におけるptmin とデータ量と
の関係を示した図である。
【図23】ラプラス空間におけるptmin と特性時間/
パルス幅との関係を示した図である。
【符号の説明】
10 測定試料 11 ハーフミラー

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の測定試料の表面側からレーザフラ
    ッシュを照射し、裏面側の温度を測定して、前記測定試
    料の熱拡散率及びビオー数を測定するレーザフラッシュ
    法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方
    法であって、 前記測定試料のビオー数及び熱拡散率の各初期値を設定
    すると共に、該測定試料に照射するレーザパルス波形を
    設定する第1工程と、 前記レーザパルス波形、ビオー数、熱拡散率及び理論最
    高温度値を変数として含む熱伝導方程式から、前記測定
    試料の裏面における理論温度値を求める第2工程と、 前記理論温度値及び前記測定試料の裏面の測定温度値と
    の偏差が小さくなるように数値計算を行い前記ビオー数
    及び前記熱拡散率を更新する第3工程と、 前記偏差が規定値以下になるまで前記第2工程から第3
    工程までを繰り返して前記測定試料の熱拡散率及びビオ
    ー数を決定する第4工程とを有することを特徴とするレ
    ーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱
    データの解析方法。
  2. 【請求項2】 前記熱伝導方程式がラプラス空間におけ
    る一次元熱伝導基本式の温度応答理論解である請求項1
    記載のレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数
    及び比熱データの解析方法。
  3. 【請求項3】 前記熱伝導方程式が時間空間における一
    次元熱伝導基本式の温度応答理論解である請求項1記載
    のレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び
    比熱データの解析方法。
  4. 【請求項4】 前記偏差が2乗偏差を使用する請求項1
    〜3のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ法におけ
    る熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法。
  5. 【請求項5】 前記偏差が逆数の2乗偏差を使用する請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ法
    における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方
    法。
  6. 【請求項6】 前記偏差が対数の2乗偏差を使用する請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ法
    における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方
    法。
  7. 【請求項7】 偏差が小さくなるように数値計算を行い
    ビオー数及び熱拡散率を更新する第3工程が、ニュート
    ン法による数値計算法を含む請求項1〜6のいずれか1
    項に記載のレーザフラッシュ法における熱拡散率、ビオ
    ー数及び比熱データの解析方法。
  8. 【請求項8】 偏差が小さくなるように数値計算を行い
    ビオー数及び熱拡散率を更新する第3工程が、熱拡散率
    及びビオー数の一方をA、他方をBとして前記Aの初期
    値の近傍に複数のAを設定し、該複数のAに対して偏差
    が最小となるBを求め、該Aと該Bの組み合わせに対し
    て偏差を求め、該偏差の極小値を与える方向に新たなA
    又はBの初期値を設定し、この繰り返し計算により、該
    偏差の極小値を与える熱拡散率とビオー数を求める工程
    を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザフラ
    ッシュ法における熱拡散率、ビオー数及び比熱データの
    解析方法。
  9. 【請求項9】 ビオー数が、測定試料裏面の温度減衰曲
    線の時定数と熱拡散率の値から設定される請求項1〜7
    のいずれか1項に記載のレーザフラッシュ法における熱
    拡散率、ビオー数及び比熱データの解析方法。
  10. 【請求項10】 板状の測定試料の表面にレーザフラッ
    シュを照射するレーザパルス発生装置と、前記測定試料
    の裏面の温度を測定する測温装置と、前記レーザフラッ
    シュの照射波形を測定するレーザパルス検出装置と、前
    記測温装置及びレーザパルス検出装置からの信号データ
    を基として熱拡散率及びビオー数を決定する演算手段を
    備えるコンピュータと、該コンピュータに接続される出
    力装置とを有してなるレーザフラッシュ法における熱拡
    散率、ビオー数及び比熱データの解析装置。
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