JPH0880484A - 汚染土壌・汚染地下水の浄化方法 - Google Patents

汚染土壌・汚染地下水の浄化方法

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JPH0880484A
JPH0880484A JP6217283A JP21728394A JPH0880484A JP H0880484 A JPH0880484 A JP H0880484A JP 6217283 A JP6217283 A JP 6217283A JP 21728394 A JP21728394 A JP 21728394A JP H0880484 A JPH0880484 A JP H0880484A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 土壌浄化において、分解材料の深さ方向での
均一な注入、線上または面上での所定範囲への注入、及
び所定濃度の注入、短時間での注入、繰り返し注入、複
数の材料の注入を確実に行う浄化方法を提供することに
ある。 【構成】 排出側へだけ通過しやすい弁33を持つ多段
の注入口23を有する外管21を土壌に挿入し、周囲に
充填剤を充填し、該管内には、噴出口28を持つ内管2
1を上下の注入口をパッカ−29にてシ−ルし、噴出口
28を介して目的とする注入口より液体微生物材料を地
層内に加圧注入し、一段の注入が完了した後、深さ方向
へ内管を移動し、順次加圧注入工程を繰り返すことによ
り、液体状微生物材料を汚染地層へ供給することを特徴
とする汚染土壌・汚染地下水の浄化方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汚染源の化学物質を生
物学的に分解する土壌浄化(修復)方法に関し、更に詳
しくは、原位置処理(IN SITU)の土壌汚染の修
復方法であり、正確には、汚染地下へ液状の微生物汚染
物質分解材料を供給する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族炭化水素、パラフィン、ナ
フテン等の炭化水素、あるいはトリクロロエチレン、テ
トラクロロエチレン、テトラクロロエタン等の有機塩素
系化合物等による環境汚染が問題となっている。これら
の多くは土壌中に浸透し、分解されずに、徐々に地下水
に溶け地下水を通じて汚染領域が拡大する。
【0003】これらの深刻な環境汚染の再発を防止する
と共に、すでに汚染されてしまった環境を浄化し、もと
の状態に戻していく技術の確立が強く望まれている。
【0004】この環境修復技術の例としては、汚染され
た地下水を汲み上げて揮発性の有機物を分離し、活性炭
に吸着させる曝気処理、汚染土壌を太陽や熱源にさら
し、揮発性有機物を熱により蒸発させる加熱処理、汚染
土壌にボーリング穴を設け、真空で汚染物質を吸引する
真空抽出、または汚染土壌を真空釜に入れて加熱し吸引
して抽出する真空釜処理等が行われている。
【0005】特に高濃度で、局部的な汚染がひどい場合
はこれらの物理化学的処理が有効となることもあるが、
汚染が低濃度で、広範囲である時、処理速度やコストが
問題となる。また活性炭によりこれら有機物を回収でき
ても、通常難分解性の物質が多く、これを更に無害化す
るための処理が必要となるという問題を有している。
【0006】これら物理化学的処理の問題点を解決する
方法として、近年微生物による生物学的な処理を用いた
土壌修復法が検討されている。
【0007】微生物、特に土壌に棲息できる微生物が汚
染物質を分解する方法であれば、自然のエネルギーによ
り浄化が行われ、投入エネルギーも小さく、また分解も
水や炭酸ガスにまで進められる。
【0008】さて、土壌汚染を引き起こしている難分解
性化合物、例えば、芳香族炭化水素や有機塩素系化合物
を分解する微生物は数多く知られている。しかしなが
ら、実際の汚染土壌に、これらの微生物分解材料をその
まま散布した場合、通常、材料の供給に過不足や不均一
を生じ的確な浄化が行われない場合が発生する。
【0009】これは「汚染物質の分布」と「微生物分解
材料の散布」では時間的差異、物理化学的性質の差異が
あり同一になり難いためである。
【0010】これらを克服するため、微生物分解材料を
地中内に強制的に配置する施工をするか、材料を土質層
内に挿入したパイプで圧送する等の方法が用いられてき
た。
【0011】従来USP5、120、160やDE3、
839、093、USP5、080、782、USP
5、032、042、USP4、401、569等の公
報において、地中内へ微生物や栄養物を供給して、汚染
物質の生物浄化する方法が提案されている。しかしこれ
らは微生物分解材料の的確な分布、即ち深さと広がりの
濃度分布について保証する技術ではない。
【0012】またUSP4、442、895の公報に記
載されているように、石油や天然ガスの採取、軟弱地盤
の固化等の分野で、地層内に加圧流体を注入し亀裂を生
成する方法が知られているが、本発明で意図する分解材
料の地層内への供給手段として完成された技術ではな
い。
【0013】USP5、133、625では、パイプの
先端部に注入口を持ち、地中に挿入しながら順次、液体
状微生物分解材料を圧入する方法が提案されているが、
液体と気体をシークエンシャルに注入するには一定の深
さ毎に先に注入した液体もしくは気体を排除しながら入
れるか、液体用と気体用の二本の注入パイプを設けるこ
とが必要で煩雑である。
【0014】USP5、032、042には、地中内へ
圧縮空気を導入するパイプを持ち、パッカーを持ち順次
深さ方向のクラックを形成する技術が開示されている
が、弁のある注入口を持たないため液体と気体または二
種の液体を順次注入する時や所定時間を隔てて注入する
時に不向きであり、また管外壁方向への注入物の移動が
生じる等の欠点を有している。
【0015】汚染された地下水を汲み上げて物理化学的
もしくは微生物学的に処理する方法も試みられている
が、この方法は、汲み上げや処理のエネルギーを要し、
浄化のための地上施設を要し、更に地盤沈下を生じた
り、地下水流の下流側での利用に支障を生じたり、伏流
水の変化による下流生態系への影響等の問題が少なくな
い。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来、菌やその栄養素
等の微生物分解材料を土壌中に直接供給する方法では、
汚染物質の分布に対応した分布を、地表面で人為的に作
ることが非常に難しかった。このような不十分な菌の分
布コントロール下では過剰にこれらを供給する等分解の
効率低下や経済性で不利である。一方地中へ分解材料を
供給するために、広い領域で、地中深く掘り起こすこと
は物理的に困難かコスト的に難点が生じる。また分解材
料を単に地表面からの散布により自然拡散させる場合
は、汚染物質の拡散し始めた時間と生物学的分解物を供
給する時期の時間的ズレから両者の分布状態を同じにす
ることは困難である。特に拡散性の差は、この時間的差
に加え、両者の比重の差、土壌との化学的、もしくは生
物学的親和性の差等も分布の違いを増長させる原因とな
る。特に従来の方法では不飽和帯と飽和帯水層で異なる
供給状態になる問題についての解決手段が示されていな
い。
【0017】そこで、ボーリン穴を設け、その穴よりこ
れら微生物分解材料を注入する方法が提案されている
が、ボーリン穴からの単純な注入では、分解材料の位
置、分布範囲、濃度等について設計どおりの供給を期待
することは困難である。
【0018】これは、土質層のヘテロジニアスな性質
や、自然が形成した水道(ウォーターチャンネル)のみ
への供給や、供給した材料の過不足について知る手段が
無いまま垂れ流す等によるものである。
【0019】そこで本発明の目的は、上述の土壌修復に
おける問題点を解決することにあり、分解材料の深さ方
向での均一な注入、線上または面上での所定範囲への注
入、及び所定濃度の注入、短時間での注入、繰り返し注
入、複数の材料の注入を確実に行う方法を提供すること
にある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明によって達成される。
【0021】即ち本発明は、ハロゲン化炭化水素で汚染
された土壌・地下水領域の地表の少なくとも一か所以上
に、液体状材料を加圧注入できる注入管を設け、この注
入管より該炭化水素を分解できる液体状微生物材料を加
圧注入し、該炭化水素分解材料により汚染土壌・汚染地
下水を原位置にて浄化する方法であって、排出側へだけ
通過しやすい弁を持つ多段の注入口を有する外管を土壌
に挿入し、その周囲に管外壁挿入方向へ注入物が移動す
るのを防ぐ充填剤を充填し、該管内には、噴出口を持つ
内管を上下の注入口をパッカーにてシールし、内管噴出
口を介して目的とする注入口より液体微生物材料を地層
内に加圧注入し、一段の注入が完了した後、深さ方向へ
内管を移動し、順次加圧注入工程を繰り返すことによ
り、液体状微生物材料を汚染地層へ供給することを特徴
とする汚染土壌・汚染地下水の浄化方法であり、分解菌
液、栄養素、微生物担体を同時または個別に注入するこ
とを含み、液体状微生物分解材料と気体(空気またはガ
ス)材料を同一の注入管を利用して注入することを含
み、所定時間経過後、液体状微生物分解材料や気体の再
注入を任意の注入口より行うことを含む。
【0022】
【作用】以下、本発明を詳述する。
【0023】土壌汚染が実質的に環境へ影響を与える経
路は、汚染物質の性質や汚染状態により多様である。し
かしながら、近年特に問題とされている有機塩素系の溶
剤による土壌汚染の場合は、地下に漏洩した溶剤が、地
中深くに浸透し、徐々に地下水に溶解し、この地下水の
移動と共に汚染領域の拡大を生じ、地下水下流域におい
て、この地下水を直接利用する時に初めて問題が発生し
たり、もしくは地下より湧き出た伏流水、更には河川へ
の流出時に問題となることが多かった。
【0024】汚染土壌が局所的で、汚染の初期であれ
ば、汚染された土壌を直接処理することにより問題を解
決することが可能となる。しかしながら、今日問題とな
る多くの例は、有機塩素系の溶剤が広く使用されだして
10数年以上経過し、初めて問題に気付いた場合が多
く、その実態は土壌に深く浸透した溶剤が土壌物質に吸
着され、ここを通過する地下水に、少しずつ溶解して、
上述の地下水汚染として環境に影響を与えている。
【0025】ここで比重の大きな有機塩素系溶剤の典型
的な汚染機構について述べる。
【0026】図1は典型的な有機塩素系汚染土壌の地下
断面の模式図である。
【0027】まず汚染源Cより土壌I(表土)、H(ロ
ーム層)、G(砂層)やF(砂礫層)へ浸透した溶剤は
土壌に吸着され、吸着できない過剰な溶剤は下層の土壌
に次々と吸着が進行する。この時の汚染物質の分布は急
峻な山型となり、浸透し、吸着できる土壌があるかぎ
り、水平方向への分布はあまり進行しない。
【0028】次に溶剤が十分浸透できない地層E(シル
ト質粘土層)や緻密な土質層にある帯水層に到達する
と、溶剤は、その近辺に滞留することになる。次に地上
から供給された雨水もしくは地下水が、土壌と水の間
で、溶剤の吸着平衡をとり、一定の分配係数により、溶
剤が水へ溶解する。多くの場合有機塩素系溶剤では、溶
解度は低く数1000ppm以下である。この数値は物
理的に見れば溶解度としては低い数字であるが、環境汚
染としては大きな数値である。
【0029】更に、汚染物質の土壌と地下水への吸着平
衡(分配係数により一定値を保つ)が新規に流入・供給
されてくる地下水により再平衡へズレると、溶け出した
溶剤は水を介して汚染を拡大する。地下水流Jは地下水
位Dより下で生じるが、砂礫層の吸着はローム層やシル
ト層に比較して溶剤の吸着が少なく、このことは地下水
流の移動し易い砂層、砂礫層で汚染物の拡大を増進させ
ることとなる。
【0030】また地中に浸透した有機塩素系溶剤は液体
状での拡散と共に、地中で蒸発し、地下空気の汚染を生
じており、この汚染は低濃度で広い領域を汚染する場合
が多くなる。
【0031】本発明の目的は、このような汚染機構を考
慮して、短時間に有効な汚染浄化対策を提供することに
ある。即ち、土壌中深くに浸透した汚染溶剤を土壌ごと
掘り起こし、除去するには、多くの場合困難を伴う。浸
透する土壌の深さは地層により異なるが、数メートルか
ら数十メートルに達することがある。汚染地の地上部に
は稼働中の工場や、施設、住宅等があることも多い。ま
た当然のことながら、深くなればなるほど汚染領域は広
くなる。緩慢な地下水の移動は、汚染が察知されるまで
に長時間を要し、このことも、汚染領域を拡大する原因
となっている。従って汚染領域全域についての完全な浄
化が非現実的にならざるを得ない場合がある。
【0032】本発明ではこれら帯水層・非帯水層の汚染
機構に対し、的確な位置及び配置にて、短時間で微生物
学的浄化(バイオレメディエーション)による修復を実
施することを狙いとしている。
【0033】次に生物学的に有害な化学物質を分解する
方法について述べる。
【0034】本発明で問題としている土壌汚染を引き起
こしている有害化学物質は、難分解性化合物で、ハロゲ
ン化炭化水素、例えば、芳香族炭化水素系化合物や有機
塩素系炭化水素化合物である。これらを分解する微生物
は数多く知られており、またあるものについては分解酵
素が明らかにされているものも知られている。しかしな
がら、現実の汚染土壌にこれらの微生物または酵素をそ
のまま散布しても土壌中の有害化学物質に対して十分な
効果は期待できない。
【0035】その理由のひとつはこれら微生物材料と化
学物質の分布の特性が異なり、しかも分布の時間的経過
を同じにできないためである。
【0036】他の理由は培養器等地上の一定の条件下
で、分解活性が得られても、地中にて同様な棲息条件が
得られないからである。
【0037】直接微生物材料を地上もしくは地中に散布
すると、通常散布時の初期濃度に対して、土壌中でこの
微生物菌もしくは酵素濃度は時間と共に急速に減少す
る。
【0038】減少する理由はかならずしも明確では無い
が、土壌に従来からいる微生物との競合、栄養その他の
環境不適合からの死滅、原虫等他の生物群による捕食等
によると考えらる。
【0039】そのため、微生物材料を頻繁に、大量に蒔
く等の対策を必要とし、処理時間、コスト等に不都合を
生じる。従って、有害物の存在する土壌中で、微生物が
増殖し、活性を維持する方法が強く求められている。酵
素の場合も同様に活性維持の条件を土壌中にて確保する
必要がある。従って、地中にこれら微生物を供給する時
には、同時に微生物活性材料、生残材料、増殖材料等を
合わせて供給する必要がある。
【0040】本発明ではこれら微生物による分解に必要
な材料をまとめて、またはシークエンシャルに、また適
宜の時間間隔で目的とする場所に、必要な量を供給する
ことを目的としている。
【0041】この発明で土壌中へ「必要材料」を供給す
る時、「目的とする場所」へは、すくなくとも一本以上
の多段の注入口を持つ注入パイプを挿入し、このパイプ
から目的とする深さの注入口のみから注入すべき材料を
必要量圧入し、次に異なる深さの注入口から同様の圧入
を行い、必要な量注入する。
【0042】これら単位操作を容易に繰り返し行える施
工方法は、軟弱地盤を固める土木工事で使用されている
セメントや硬化剤の注入装置に類似した装置が利用で
き、この発明では基本的にこの装置に類似した構成で微
生物材料を地中に供給できることを見出した。
【0043】土木工事における注入剤と本発明における
微生物材料の注入の差異は、土木工事は比較的限定した
領域内に注入液が留まり、目的とする部分が硬化するよ
う注入資材を地層内に導入するのに対し、微生物材料の
供給においては、より広い領域への材料の浸透を期待す
る場合が多く、粘性も水に近い材料が用いられる。この
ため注入圧力や時間、即ち注入量における制約が大きく
異なる。硬化を目的とした土木工事では流動性の良い状
態での注入と同時に早い硬化を期待するための制限が生
じるが、微生物材料についてはこのような制限は生じな
い。また土木工事では、一度硬化が完了すれば目的を達
成するが、微生物による浄化では複数の材料、特に液体
と気体のように異なる物性を持つ材料を導入する要求が
生じたり、数次にわたり注入を繰り返す必要を生じる場
合がある。これらは基本的には注入に用いるパイプやポ
ンプの構成が類似しているが、各々を管理・運用するた
めの構成や資材が異なる。
【0044】次に注入に必要な材料について述べる。
【0045】本発明で使用する汚染化学物質を分解する
微生物材料は、化学物質を分解できる微生物材料であ
り、これに添加する材料として、微生物の増殖に必要と
なる増殖機能を持つ材料、微生物の分解を発現する活性
維持機能材料、微生物が地中に入って安定に棲息できる
担体となる生残機能材料が用いられる。増殖材料は微生
物の培地に相当するものである。微生物は栄養素により
増殖し、有害物の分解に寄与する。活性維持材料は有害
物の分解を実質的に推進するためのもので、栄養素と区
別できない場合もある。微生物は特定の物質が直接栄養
素として利用できない時、この特定の物質を分解するた
め、誘導物質(インデューサー)により分解酵素を生産
し、分解を進める。有害物の分解はこの時に微生物が生
産する酵素により可能となる。この発明ではこの有害物
分解酵素を生産するのに必要な材料を活性維持材料とし
た。
【0046】このことは微生物そのものを利用しなくて
も、微生物の代謝物である酵素があるだけでも有害化学
物質を分解できることを示している。微生物に代わり酵
素を使用する場合には、この酵素を保持する担体や酵素
が分解活性を発現するためにミネラル等が必要とされ
る。
【0047】生残材料は、ひとつには微生物が地中にお
いて他の微生物や微小生物により捕食されたり、競合す
る時に、これらから保護されるための棲息空間を付与す
るものである。またある時には有効な微生物が地下水中
に拡散消滅するのを防ぐ意味で、固定化担体となる場合
も含む。これは増殖材料、つまり栄養素そのものがこの
機能を果たすことも可能である。
【0048】生残材料として、微生物の棲息空間を与え
る材料は、従来医薬品工業、食品工業、廃水処理システ
ム等で知られているバイオリアクターで使用されている
さまざまな微生物担体が用いられる。例えば多孔質ガラ
ス、セラミックス、金属酸化物、活性炭、カオリナイ
ト、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミ
ナ、アンスラサイト等の粒子状担体、デンプン、寒天、
キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン
酸、ポリアクリルアミド、カラギーナン、アガロース、
ゼラチン等のゲル状担体、イオン交換樹性セルローズ、
イオン交換樹脂、セルローズ誘導体、グルタルアルデヒ
ド、ポリアクリル酸、ウレタンポリマー等がある。また
天然、もしくは合成の高分子化合物も有効であり、セル
ローズを主成分とする綿、麻、パルプ材より作られる紙
類もしくは天然物を変性した高分子アセテート等。ポリ
エステル、ポリウレタンを初めとする合成高分子からな
る布類も使用できる。これらは微生物の付着性が良く、
微細な間隙を有するものが好ましい。また注入時に容易
に浸透できる微細な材料が好ましく用いられる。
【0049】棲息空間を与える材料と栄養素を兼用する
材料としては、農林業関係で知られている堆肥材料等に
その例を多く見ることができる。即ち、麦わら等の穀物
類のワラやオガクズ、米糠、オカラ、砂糖黍の絞りカス
等の乾燥植物遺体、またカニやエビの殻も微小間隙を有
すると同時に微生物による分解性栄養素となるもので、
特に微小な粒径に処理できる材料が用いられる。
【0050】次に微生物の具体的な材料を示す。微生物
としては分解活性が確認されている材料が使用される
が、次の属にあるものから選択される。
【0051】Saccharomyces、Hanse
nula、Candida、Micrococcus、
Staphylococcus、Streptococ
cus、Leuconostoa、Lactobaci
llus、Corynebacterium、Arth
robacter、Bacillus、Clostri
dium、Neisseria、Escherichi
a、Enterobactor、Serratia、A
chromobacter、Alcaligenes、
Flavobacterium、Acetobacte
r、Nitrosomonas、Nitrobacte
r、Thiobacillus、Gluconbact
er、Pseudomonas、Xanthomona
s、Vibria。
【0052】増殖材料としては、微生物培養の培地で使
用されているものを使用することができる。例えばブイ
ヨン培地、M9培地、L培地、Maltextrac
t、MY培地、硝化菌選択培地等が有効である。
【0053】活性維持材料としては、分解菌が特定され
ているものでは、誘導物質として知られているものがあ
るが、天然材料ではこれらが混在した状態にあるのが普
通であり、また特定できないものも多い。特に混合状態
の微生物の場合には、ある微生物の代謝物が別の微生物
の誘導物質として機能する共生系となることが多い。し
たがって、混合微生物を使用する場合には種々の物質が
共存する天然の有機物が有効となる。特定できる誘導物
質としてはメタン資化菌ではメタンが、芳香属資化菌で
は、トルエン、フェノール、o−、m−、p−クレゾー
ル等、硝化菌ではアンモニウム塩などがある。トリクロ
ロエタンを分解できる菌として知られているものを例に
挙げると、これまでに、十数種が発見、単離されてい
る。このうち代表的なものはその基質の種類によって大
きく2つに分けることができる。
【0054】即ちメタン資化菌、フェノール等の芳香属
化合物資化菌である。前者の代表的なものは、メタンモ
ノオキシゲナーゼを有するMethylocystis
sp.strain M(Agri.Biosci.
Biotech.Biochem.,56,486(1
992)、同56,736(1992))、Methy
losinus trichoseporium OB
3b(Am.Chem.Soc.Natl.Meet.
Div.Environ.Chem.,29,365
(1989)、Appl.biochem.Biote
chnol.,28,877(1991)であり、後者
は、トルエンモノオキシゲナーゼあるいはトルエンジオ
キシゲナーゼを有するAcinetobacter s
p.strain G4(Appl.Environ.
Microbiol.,52,383(1986)、同
53,949(1987)、同54,951(198
9)、同56,279(1990)、同57,1935
(1991)) 、Pseudomonas putid
a F1(Appl.Environ.Microbi
ol.,54,1703(1988)、同54,257
8(1988))がその代表格である。これらのうち、
芳香属化合物資化性トリクロロエタン(TCE)分解菌
に関しては、TCEを分解する酵素は、フェノール、ト
ルエン等の芳香属化合物によって誘導される誘導酵素で
あり、そのため、これらの微生物でTCEを分解させる
ためには、芳香属化合物を含んだ、もしくは芳香属化合
物に分解される材料が使用される。
【0055】酵素材料を使用する時は、栄養素等の増殖
材料は不要であるが、その酵素が活性を示すのに必要な
ミネラル、例えばFe2+等やNAPH等の補酵素等を混
合する必要がある。酵素は原理的にはその系に存在すれ
ば、永続的に分解効果があるはずであるが、実際には使
用条件に応じて失活する。従ってこの酵素ができるだけ
長時間活性を維持するために必要な材料を混合一体化す
ることを要する。
【0056】酵素の例としては、トルエンモノオキシゲ
ナーゼ、トルエンオキシゲナーゼ、アンモニアモノオキ
シゲナーゼ、メタンモノオキシゲナーセ等がある。
【0057】本発明の微生物分解材料は、上記物質の全
部または一部を水溶液もしくは懸濁液として用いられ
る。
【0058】図2は本発明で用いる注入パイプの各ユニ
ットの断面図である。
【0059】汚染領域20の少なくとも一か所に本発明
で用いる多段注入口23を持つ注入用外管22を挿入
し、この外管22の外周辺を充填剤30により囲む。外
管22の内側には噴出口28を持つ内管21を挿入す
る。内管21の噴出口28の上下に、この隣接する注入
口へ液体や気体が移動しないようパッカー29が設けら
れている。内管21は上下に可動できるようフレキシブ
ルなパイプ32と延長可能な接続パイプ(図示せず)に
つながれている。このパイプの末端はバルブ25を介し
て送液ポンプ24もしくはコンプレッサーに接続され、
微生物分解材料タンク27の液体を送るか、26のバル
ブを介して別途の流体を送る。
【0060】各注入口には噴出口の流体を送り出す方向
にのみ通過できる弁33が設けられている。外管22は
各段ごと接続して、目的地層の深さに応じて適宜長さを
変更可能な構造となっている。注入口のピッチは一段の
パイプ長を変更することで任意に設定されるが、あらか
じめ設定したピッチのパイプを使用する。通常30cm
から1m程度のピッチのものが用いられる。注入は噴出
口を目的とする注入口の位置へ配置後、パッカーを膨張
させて管内壁をシールする。パッカーの膨張は注入用流
体自体をゴム状体の内部に送り込むか、別途パッカーを
膨張させる流体を送る機構を設けることにより機密シー
ルを得る。
【0061】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0062】実施例1 5m四方のコンクリート容器内にモデル試験土壌として
下から細砂層1.5m、関東ローム層1.5m、鹿沼土
1m、黒ぼく土0.5mを積層し、表面を練り固めた粘
土層約20cmで覆った。細砂層、ローム層、鹿沼土の
各地層はトリクロロエチレン(TCE)が約10mg/
Kgの汚染濃度を持つよう調整されている。また各々の
地層は実際の土壌に近い透水係数を持つよう積層施工の
時点で圧接されている。
【0063】容器の中央に注入井戸として、掘削孔を設
け、先端が底部から25cmとなるよう外径80mmの
外管を挿入する。外管の注入口は各地層の中央部になる
よう下から0.5m、2.0m、3.25mの3段に配
置し各段とも4方向に直径8mmの穴を設けた。この注
入口を塞ぐよう外管の外径より小さいゴム管を各注入口
部へ嵌めた。掘削孔と外管の間を細砂と水ガラスを混合
した粘結性材料でシールした。外径40mmの内管は先
端から20mmの位置に噴出口を持ち、上下にパッカー
となるゴム管を配置した。各ゴム管の上下はこの内管の
外壁に密着固定されており、中央部から注入流体の圧力
で膨張する機構となっている。
【0064】内管の反対側は地上部分でゴムホースに接
続され、更にバルブを介して送液ポンプに接続されてい
る。タンク内の微生物分解材料はこの送液ポンプにより
注入口へ圧送できるよう各配管がされている。各地層へ
の微生物分解材料の供給は細砂層に対して、最も下の注
入口より加圧注入した後、噴出口をローム層の2.0m
の注入口近辺へ移動させ加圧注入し、同様に最も上の注
入口の鹿沼土に対しては供給した。
【0065】微生物分解材料液は、菌株KK01(通商
産業省工業技術院微生物工業研究所に寄託平成4年3月
11日、寄託番号FERM P−12869)をM9培
地で培養し、菌濃度が108 個/mlとなるよう分解液
を作成し、これに注入を確認するための指標物質として
食用赤色106号を1g/lの割合で添加した。
【0066】3回の注入サイクルを完了した後2日間放
置し、注入を行った対角線上の土壌を半分除去し、指標
物質の分布と微生物の分布を観測した結果、鹿沼土と細
砂では深さ方向に最大20〜50cm、半径方向に約4
0〜70cmの分布が認められ、一方関東ローム層では
深さ方向15cmと半径方向に60cmの範囲で分布し
ていた。これら各地層で、微生物分解材料の非分布領域
に対する分布領域でのTCEの含有量比を調べたしたと
ころ、分布領域では1/3〜1/7に減衰しているのが
確認された。
【0067】実施例2 実施例1と同様の注入を行った後、各注入口より圧縮空
気を供給して微生物分解物の分布とTCEの分解を調べ
たところ、分布距離は深さ方向と半径方向とも液体状の
微生物分解材料のみと比較して同等から最大50%の増
加が確認され、分解は1/4〜1/10に減衰している
ことが確認された。
【0068】実施例3 実施例1と同様の注入を行った後、2日放置後指標物質
を食用赤色106号から青色1号へ置き換えて再注入を
実施例1と同じ条件で注入し、更に2日放置後分布とT
CEの分解を調べたところ、分布は一回目の注入と同様
であるが、一回目の注入分布がやや大きく重力方向へ拡
散する傾向が見られた。二回微生物分解液が供給された
箇所でのTCE減衰比は最大1/50で大部分で1/2
0以下であった。
【0069】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、均一
で大量かつ迅速な微生物分解材料の供給が可能となっ
た。また一つの注入管により異なる物性の注入材料を容
易に注入でき、経済的にかつ短時間での供給が可能とな
り、さらに、適宜な時間を置いて再注入を可能とするた
め、修復土壌の工学的管理が容易となり、目的とする汚
染土壌の修復を迅速で確実にする効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】地層における汚染物質の広がりを説明するため
の図である。
【図2】本発明の方法を説明するための図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 和実 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化炭化水素で汚染された土壌・
    地下水領域の地表の少なくとも一か所以上に、液体状材
    料を加圧注入できる注入管を設け、この注入管より該炭
    化水素を分解できる液体状微生物材料を加圧注入し、該
    炭化水素分解材料により汚染土壌・汚染地下水を原位置
    にて浄化する方法であって、排出側へだけ通過しやすい
    弁を持つ多段の注入口を有する外管を土壌に挿入し、そ
    の周囲に管外壁挿入方向へ注入物が移動するのを防ぐ充
    填剤を充填し、該管内には、噴出口を持つ内管を上下の
    注入口をパッカーにてシールし、内管噴出口を介して目
    的とする注入口より液体微生物材料を地層内に加圧注入
    し、一段の注入が完了した後、深さ方向へ内管を移動
    し、順次加圧注入工程を繰り返すことにより、液体状微
    生物材料を汚染地層へ供給することを特徴とする汚染土
    壌・汚染地下水の浄化方法。
  2. 【請求項2】 分解菌液、栄養素、微生物担体を同時ま
    たは個別に注入する請求項1に記載の浄化方法。
  3. 【請求項3】 液体状微生物分解材料と気体(空気また
    はガス)材料を同一の注入管を利用して注入する請求項
    1に記載の浄化方法。
  4. 【請求項4】 所定時間経過後、液体状微生物分解材料
    や気体の再注入を任意の注入口より行う請求項1に記載
    の浄化方法。
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