JPH09100137A - 磁気ディスク基板用ガラス組成物及び磁気ディスク基板 - Google Patents

磁気ディスク基板用ガラス組成物及び磁気ディスク基板

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JPH09100137A
JPH09100137A JP8199814A JP19981496A JPH09100137A JP H09100137 A JPH09100137 A JP H09100137A JP 8199814 A JP8199814 A JP 8199814A JP 19981496 A JP19981496 A JP 19981496A JP H09100137 A JPH09100137 A JP H09100137A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス熱処理によって、主結晶相としてムライ
ト及びホウ酸アルミニウム系結晶の内の少なくとも一種
の結晶を析出させることにより、容易に研磨加工するこ
とができ、優れた機械的強度、表面平坦性、表面平滑
性、耐熱性を有し、アルカリマイグレーションによる磁
気膜特性の劣化の少ない磁気ディスク基板を作製するた
めの磁気ディスク基板用ガラス組成物及び磁気ディスク
基板を提供する。 【解決手段】SiO2:20〜45重量%、Al23
25〜45重量%、B23:10〜25重量%、Mg
O:2〜20重量%、Li2O:0〜2重量%、Na
2O:0〜2重量%、K2O:0〜3重量%、但し、Li
2O+Na2O+K2O:0〜5重量%の組成を有し、熱
処理することによりムライト及びホウ酸アルミニウム系
結晶の内の少なくとも一種の主結晶相が析出するガラス
組成物、及び、該組成物を、成形、熱処理、研磨して作
製された結晶化ガラス磁気ディスク基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク基板
用ガラス組成物及び磁気ディスク基板に関する。さらに
詳しくは、本発明は、容易に成形することができ、ガラ
ス熱処理によって、主結晶相としてムライト及びホウ酸
アルミニウム系結晶の内の少なくとも一種の結晶を析出
させることにより、容易に研磨加工することができ、優
れた機械的強度、表面平坦性、表面平滑性、耐熱性を有
し、コンピュータのハードディスクなどに適した磁気デ
ィスク基板を作製するための磁気ディスク基板用ガラス
組成物及び該組成物から得られる結晶化ガラス磁気ディ
スク基板に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクは、主としてコンピュータ
などの記録媒体として使用されている。従来、磁気ディ
スク基板材料としてアルミニウム合金が使用されている
が、近年、磁気ディスクの小型化、薄型化、高記録密度
化の流れの中で、高平坦性、高平滑性への要望が高まっ
ており、アルミニウム合金では対応しきれないため、こ
れに代わる磁気ディスク基板材料が必要になっている。
磁気ディスク基板に必要な特性は、ディスク表面の平坦
性、平滑性や、ディスク基板の高強度、高硬度、化学的
耐久性、耐マイグレーション性、耐熱性などであるが、
アルミニウム合金は強度、硬度が劣るため、ディスクの
厚みを厚くし、表面を硬化する必要がある。ディスクの
厚みを薄くすると、ウネリが発生し、平坦度が悪化する
ため、磁気ヘッドがディスクに衝突する回数が多くな
り、ディスクの塑性変形を招きデータ破壊が起こる。従
って、フライングハイト(磁気ヘッドと磁気ディスクの
隙間)を小さくすることができないため、記録密度が上
がらないという問題が生じる。また、磁性膜が白金系に
なると、アルミニウム合金基板と磁性膜の間に電位が発
生し、電界腐食を引き起こすため、磁性膜が侵されると
いった現象を引き起こす。これらのアルミニウム合金の
問題点を解決する基板材料として、磁気ディスク用ガラ
ス基板が開発されている。磁気ディスク用ガラス基板
は、大別すると化学強化ガラスタイプと、結晶化ガラス
タイプとの2つに分けられる。化学強化タイプのガラス
基板は、ガラス中にアルカリ成分を有することが必須で
あり、アルカリ成分が基板表面に移動して磁気膜特性を
悪化させるため、今後の高記録密度化への対応が難し
く、この現象を防ぐために、アルカリバリヤー膜を形成
する必要がある。また、磁気ヘッドの始動/停止特性
(CSS特性)を向上させるために、基板表面に数Å〜
数十Å程度の凹凸が必要とされるが、化学強化タイプで
は、最終研磨後に機械的テクスチャー、又は化学的テク
スチャーを行うか、あるいはアルカリバリヤー膜形成時
に同時にテクスチャーを行う必要があり、コスト高とな
る欠点がある。結晶化ガラスタイプのガラス基板は、ア
ルミニウム合金基板や化学強化タイプガラス基板の欠点
を補うべく開発されたものであり、種々のガラス組成物
が提案されているが、そのほとんどはガラス組成物中に
多量のアルカリ成分を含んだものである。例えば、特開
平6−329440号公報記載のSiO2−Li2O系結
晶化ガラスがあるが、これは析出結晶中に、ある程度の
アルカリ成分が取り込まれることによってアルカリイオ
ンの移動を抑えるが、結晶でないマトリックスガラス中
にも相当量アルカリ成分が残存するため、化学強化タイ
プと同様にアルカリマイグレーションにより磁気膜特性
を悪化させるおそれがある。また、ガラス中にSiO2
成分が多いためガラスが固く、研磨スピードが上がらな
いという製造上の欠点をもたらす。さらに、析出結晶量
が多い場合には、研磨は一層困難になり、研磨スピード
を上げるために析出結晶量を下げると、マトリックスガ
ラス中のアルカリ成分量が増え、一層磁気膜特性に悪影
響を与える。さらに近年、高記録密度化の一つの方法と
して、磁気膜の高保磁力化が検討されており、その手段
として磁気ディスク基板を高温で熱処理し、磁気膜の下
地層であるCr層におけるCrの偏析を促進させる方法
が採られている。この場合、熱処理温度は650℃付近
まで上げる必要があるが、アルミニウム合金基板、化学
強化タイプのガラス基板、あるいは多量のアルカリ成分
を含んだ結晶化ガラス基板などは、耐熱性が低いため、
使用できないといった問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、容易に成形
することができ、ガラス熱処理によって、主結晶相とし
てムライト及びホウ酸アルミニウム系結晶の内の少なく
とも一種の結晶を析出させることにより、容易に研磨加
工することができ、優れた機械的強度、表面平坦性、表
面平滑性、耐熱性を有し、アルカリマイグレーションに
よる磁気膜特性の劣化の少ない磁気ディスク基板を作製
するための磁気ディスク基板用ガラス組成物及び磁気デ
ィスク基板を提供することを目的としてなされたもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱処理によりム
ライト及び/又はホウ酸アルミニウム系結晶が析出する
特定組成のガラス組成物が、容易に成形することがで
き、しかも得られた結晶化ガラス基板は容易に研磨加工
することができ、さらに磁気ディスク基板としての物理
的、化学的特性に優れることを見いだし、この知見に基
づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、(1)熱処理することによりムライト及びホウ酸ア
ルミニウム系結晶の内の少なくとも一種の主結晶相が析
出するガラスであって、SiO2:20〜45重量%、
Al23:25〜45重量%、B23:10〜25重量
%、MgO:2〜20重量%、Li2O:0〜2重量
%、Na2O:0〜2重量%及びK2O:0〜3重量%、
但し、Li2O+Na2O+K2O:0〜5重量%の組成
を有することを特徴とする磁気ディスク基板用ガラス組
成物、(2)SiO2:25〜40重量%、Al23
28〜40重量%、B23:13〜22重量%、Mg
O:2〜12重量%、Li2O:0〜2重量%、Na
2O:0〜2重量%、K2O:0〜3重量%、但し、Li
2O+Na2O+K2O:0〜3重量%、CaO:0〜1
0重量%、BaO:0〜10重量%、ZnO:0〜10
重量%、TiO2:0〜10重量%及びP25:0〜1
0重量%の組成を有する第(1)項に記載の磁気ディスク
基板用ガラス組成物、(3)SiO2:20〜45重量
%、Al23:25〜45重量%、B23:10〜25
重量%、MgO:2〜20重量%、Li2O:0〜2重
量%、Na2O:0〜2重量%、K2O:0〜3重量%、
但し、Li2O+Na2O+K2O:0〜3重量%、Ti
2:0.1〜8重量%及びP25:0.5〜8重量%の
組成を有する第(1)項に記載の磁気ディスク基板用ガラ
ス組成物、(4)Cu2O:5重量%以下をさらに含む
第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の磁気ディスク
基板用ガラス組成物、(5)第(1)項乃至第(4)項のい
ずれかに記載のガラス組成物を、成形、熱処理、研磨し
て作製された、主結晶相がムライト及びホウ酸アルミニ
ウム系結晶の内の少なくとも一種であることを特徴とす
る結晶化ガラス磁気ディスク基板、及び、(6)結晶サ
イズの平均値が5μm以下であり、表面粗度が算術平均
粗さRaで50Å以下である第(5)項に記載の結晶化ガ
ラス磁気ディスク基板、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の磁気ディスク基板用ガラ
ス組成物は、酸化物として、SiO2:20〜45重量
%、Al23:25〜45重量%、B23:10〜25
重量%、MgO:2〜20重量%、Li2O:0〜2重
量%、Na2O:0〜2重量%及びK2O:0〜3重量
%、但し、Li2O+Na2O+K2O:0〜5重量%の
組成を有し、熱処理することによりムライト及びホウ酸
アルミニウム系結晶の内の少なくとも一種の主結晶相が
析出するものである。さらに、本発明の磁気ディスク基
板用ガラス組成物には、必要に応じて、CaO:0〜1
0重量%、SrO:0〜10重量%、BaO:0〜10
重量%、ZnO:0〜10重量%、TiO2:0〜10
重量%、P25:0〜10重量%、ZrO2:0〜5重
量%、SnO2:0〜5重量%、MoO3:0〜5重量
%、WO3:0〜5重量%、Cu2O:0〜5重量%、F
23:0〜5重量%、La23:0〜5重量%、V2
5:0〜5重量%及びNb25:0〜5重量%を含有
せしめることができる。本発明組成物において、SiO
2はガラス形成酸化物であり、主な析出結晶であるムラ
イト(3Al23・2SiO2)の構成成分である。S
iO2の含有量が20重量%未満であると、ムライト結
晶が析出し難くなるうえ、残存ガラスマトリックス相の
化学的耐久性が悪化したり、耐熱性が悪化するおそれが
ある。SiO2の含有量が45重量%を超えると、安定
したガラス化領域に入り結晶が析出し難くなるうえ、溶
融温度が上がりすぎて生産が困難になるおそれがある。
SiO2の含有量は、析出結晶量、化学的耐久性、耐熱
性及び生産性を考慮すると、25〜40重量%であるこ
とがより好ましく、27〜37重量%であることがさら
に好ましい。本発明組成物において、Al23はガラス
中間酸化物であり、主な析出結晶であるムライト及びホ
ウ酸アルミニウム系結晶の構成成分である。Al23
含有量が25重量%未満であると、析出結晶量が少な
く、磁気ディスク基板として要求される強度が得られな
かったり、耐熱性が悪化するおそれがある。Al23
含有量が45重量%を超えると、溶融温度が高くなりす
ぎるうえ、失透し易くなって容易に成形し難くなるおそ
れがある。Al23の含有量は、強度や耐熱性や成形性
を考慮すると、28〜40重量%であることがより好ま
しく、30〜38重量%であることがさらに好ましい。
【0006】本発明組成物において、B23は融剤とし
ての役割を果たすとともに、ホウ酸アルミニウム系結晶
の構成成分である。B23の含有量が10重量%未満で
あると、溶融温度が高くなりすぎるおそれがある。B2
3の含有量が25重量%を超えると、ガラスが失透し
易くなって容易に成形し難くなるおそれがある。B23
の含有量は、溶融性や成形性を考慮すると、13〜22
重量%であることがより好ましく、15〜20重量%で
あることがさらに好ましい。本発明組成物において、M
gOはガラス修飾酸化物であり、作業温度幅を広げる働
きがあるうえ、ガラスマトリックス相の化学的耐久性を
向上させる。MgOの含有量が2重量%未満であると、
作業温度幅が狭くなるとともに、ガラスマトリックス相
の化学的耐久性が向上しないおそれがある。MgOの含
有量が20重量%を超えると、析出結晶相が主にコージ
ェライト(2MgO・2Al23・5SiO2)とな
り、磁気ディスク基板として要求される強度が得られな
いおそれがある。MgOの含有量は、作業性、化学的耐
久性及び強度を考慮すると、2〜12重量%であること
がより好ましく、3〜10重量%であることがさらに好
ましい。本発明組成物において、Li2O、Na2O及び
2Oは融剤であり、組成物の溶融性を改良する。磁気
ディスク基板の耐マイグレーション性を考慮すると、こ
れらのアルカリ成分を含まないことが好ましいが、溶融
性、成形性などを改善するため基本組成によっては使用
する。Li2O、Na2O及びK2Oは1種を単独に使用
することができ、2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。磁気ディスク基板の耐マイグレーション性を
できるだけ高く保つためには、2種以上を組み合わせて
使用することが好ましい。Li2O、Na2O及びK2
のうち2種を用いる場合、どの2種を組み合わせること
もできるが、磁気ディスク基板の耐マイグレーション性
を高く保つためにはLi2OとK2Oの組み合わせが最も
好ましい。本発明組成物において、Li2O及びNa2
の含有量はそれぞれ0〜2重量%であり、K2Oの含有
量は0〜3重量%であり、かつLi2O、Na2O及びK
2Oの含有量の合計は0〜5重量%である。溶融性、成
形性、耐マイグレーション性及び耐熱性を考慮すると、
Li2O、Na2O及びK2Oの含有量の合計は0.1〜3
重量%であることがより好ましく、0.3〜1.5重量%
であることがさらに好ましい。Li2O又はNa2Oの含
有量が2重量%を超えるか、K2Oの含有量が3重量%
を超えるか、あるいは、Li2O、Na2O及びK2Oの
含有量の合計が5重量%を超えると、磁気ディスク基板
の耐マイグレーション性が低下したり、耐熱性が悪化す
るおそれがある。このように無アルカリ又は低アルカリ
結晶化ガラスであるので、本発明組成物から得られたデ
ィスク基板は、磁気ディスク基板にアルカリバリヤー膜
を設けることなく優れた磁気膜特性を保つことができ
る。
【0007】本発明組成物に必要に応じて含有せしめる
ことができるCaO、SrO及びBaOは、ガラス修飾
酸化物であり、作業温度幅を広げる働きがあるうえ、ガ
ラスマトリックス相の化学的耐久性を向上させる。Ca
O、SrO又はBaOの含有量が10重量%を超える
と、ガラスが安定になりすぎて析出結晶量が少なくなる
おそれがある。CaO、SrO及びBaOそれぞれの含
有量は、作業性や化学的耐久性や析出結晶量を考慮する
と、0.1〜7重量%であることがより好ましく、0.5
〜5重量%であることがさらに好ましい。本発明組成物
に必要に応じて含有せしめることができるZnOは、融
剤としての役割を果たすとともに、ガラスマトリックス
相の化学的耐久性を向上させる働きを有する。融剤とし
てのB23の一部をZnOで置換することにより、溶融
時に揮発しやすいB23量を減少させることができる。
ZnOの含有量が10重量%を超えると、析出結晶量が
少なくなるおそれがある。ZnOの含有量は、溶融性、
化学的耐久性及び析出結晶量を考慮すると、0〜7重量
%であることがより好ましく、0.1〜5重量%である
ことがさらに好ましい。本発明組成物に必要に応じて含
有せしめることができるTiO2、P25、ZrO2、S
nO2、MoO3及びWO3は、結晶化促進剤としての役
割を果たす。TiO2及びP25は融剤としての働きも
あるが、TiO2又はP25の含有量が10重量%を超
えると、ガラス成形時に失透しやすくなるおそれがあ
る。TiO2の含有量は、結晶のサイズと量、溶融性及
び成形性を考慮すると、0.1〜8重量%であることが
より好ましく、0.5〜6重量%であることがさらに好
ましい。P25の含有量は、結晶のサイズと量、溶融性
及び成形性を考慮すると、0.5〜8重量%であること
がより好ましく、1〜7重量%であることがさらに好ま
しい。ZrO2及びSnO2は、少量でも結晶化促進剤と
しての効果があり、かつガラスマトリックス相の化学的
耐久性向上の働きを有する。ZrO2又はSnO2の含有
量が5重量%を超えると、ガラス溶融時、均一に溶融し
難く未溶融物が残存し、結果的に溶融温度の上昇をもた
らすおそれがある。MoO3及びWO3は、B23成分が
多量に含まれるガラスにおいて、結晶化を助長する働き
がある。MoO3又はWO3の含有量が5重量%を超える
と、ガラス成形時に失透するおそれがある。
【0008】本発明組成物に必要に応じて含有せしめる
ことができるCu2O、Fe23、La23、V25
びNb25は、ガラスを安定化させ、作業温度幅を広げ
るため、成形性を向上させる働きがある。Cu2O、F
23、La23、V25又はNb25の含有量が5重
量%を超えると、ガラスが安定化しすぎ、析出結晶量が
少なくなるおそれがある。Cu2O、Fe23、La2
3、V25及びNb25それぞれの含有量は、結晶化量
を考慮すると、0〜3重量%であることがより好まし
い。中でもCu2Oは、アルカリ成分と同じ働きをする
ため、アルカリ量を減少させることもでき、その上、レ
ーザーテクスチャー時、レーザー光の波長の光を吸収
し、効果的にテクスチャー形成ができるので、0.1重
量%以上含有させることが好ましく、0.3重量%以上
含有させることがさらに好ましい。本発明組成物におい
ては、磁気ディスク基板としての要求特性を損なわない
範囲で、さらにPbO、Bi23、F2、Cs2O、Cu
Oなどを含有せしめることができる。本発明の磁気ディ
スク基板用ガラス組成物は、熱処理することにより、ム
ライト及びホウ酸アルミニウム系結晶の内の少なくとも
一種の主結晶相が析出する。ムライト結晶は、アスペク
ト比の低い棒形状である。ホウ酸アルミニウム系結晶
は、例えば、Al18433、Al5(BO3)O6などの組
成を有する結晶であり、アスペクト比の低い棒形状であ
る。これらのアスペクト比の低い棒形状の結晶は、従来
問題となっていた研磨加工時の結晶の欠落を起こすこと
がなく、また、ムライト結晶もホウ酸アルミニウム系結
晶も高い機械的強度特性を有しているので、結晶化量を
抑えても磁気ディスク基板に必要な機械的強度を十分満
足し、加えて研磨スピードを上げることができる。本発
明の磁気ディスク基板用ガラス組成物は、熱処理により
主結晶相以外に副結晶相としてコージェライト、Mg−
スピネル、Zn−スピネル、アノーサイト、セルシア
ン、ルチル、フォルステライト、エンスタタイト、ウィ
レマイト、リチウムアルミノシリケート系結晶などが析
出する場合があるが、これらの副結晶相の析出によって
本発明組成物の特性が損なわれるおそれはない。
【0009】本発明の磁気ディスク基板は、本発明の磁
気ディスク基板用ガラス組成物を、成形、熱処理、研磨
して作製した、主結晶相がムライト及びホウ酸アルミニ
ウム系結晶の内の少なくとも一種である結晶化ガラス磁
気ディスク基板である。ガラス組成物の成形方法には特
に制限はなく、例えば、原料をタンク窯で加熱して溶
解、あるいは直接通電により溶解し、プレス成形、ある
いは鋳込み−スライス成形などにより成形することがで
きる。成形品の熱処理方法には特に制限はなく、結晶化
促進剤の含有量などに応じて選択することができるが、
はじめに比較的低温で熱処理して多数の結晶核を発生せ
しめたのち温度を上げて結晶を成長させることが、微細
な結晶を得るうえで好ましい。本発明のガラス組成物
は、熱処理によりムライト及びホウ酸アルミニウム系結
晶の内の少なくとも一種の主結晶相が析出する。熱処理
を終えた成形品の研磨方法には特に制限はなく、例え
ば、合成ダイヤモンド、炭化ケイ素、酸化アルミニウ
ム、炭化ホウ素、c−BN、シリカ、酸化ジルコニウム
などの合成砥粒や、天然ダイヤモンド、酸化セリウムな
どの天然砥粒を用いて、公知の方法により研磨すること
ができる。本発明の結晶化ガラス磁気ディスク基板は、
結晶サイズの平均値が5μm以下であることが好まし
く、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下
であることがさらに好ましい。結晶サイズの平均値が5
μmを超えると、磁気ディスク基板の機械的強度を低下
させるばかりでなく、研磨加工時に結晶の欠落を引き起
こす可能性があり、基板の表面粗度を悪化させるおそれ
がある。
【0010】本発明の結晶化ガラス磁気ディスク基板
は、JIS B 0601−1994にしたがって求めた
表面粗度が算術平均粗さRaで50Å以下であることが
好ましい。算術平均粗さRaは、磁気ディスクの小型
化、薄型化、高記録密度化に大きく影響する。算術平均
粗さRaが50Åを超えると、フライングハイトを小さ
くすることができず、高記録密度を達成できないおそれ
がある。算術平均粗さRaは、高記録密度化を考慮する
と、30Å以下であることがより好ましく、15Å以下
であることがさらに好ましい。本発明のガラス組成物を
使用することにより、ムライト及びホウ酸アルミニウム
系結晶の内の少なくとも一種を主結晶相として有する高
強度、高硬度で化学的耐久性、耐熱性が良好な結晶化ガ
ラス磁気ディスク基板を得ることができる。本発明組成
物は、無アルカリ又は低アルカリであるため、本発明の
結晶化ガラス磁気ディスク基板は、高い耐マイグレーシ
ョン性を達成することができ、磁気膜特性を最善に保つ
ことができる。本発明の結晶化ガラス磁気ディスク基板
は、磁気ディスク基板として必要なディスク表面の平坦
性、平滑性、及びディスク基板の高強度、高硬度、化学
的耐久性、耐熱性、耐マイグレーション性をすべて十分
に満足する。また、従来の結晶化ガラスタイプ(例え
ば、Li2O−SiO2系結晶化ガラスなど)に比べ研磨
加工しやすく、熱処理スケジュール又は組成を漸次変え
ることにより、析出結晶サイズや析出結晶量を制御する
ことができ、最終研磨工程で研磨と同時にテクスチャー
形成を行うことができる。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例及び比較例におい
て使用した原料は、SiO2、Al(OH)3、H3BO3
Mg(OH)2、CaCO3、SrCO3、BaCO3、Zn
O、TiO2、ZrO2、AlPO4、SnO2、Mo
3、WO3、La23、Fe23、V25、Nb25
Cu2O、Li2CO3、Na2CO3及びK2CO3であ
る。また、実施例及び比較例において、結晶相、結晶サ
イズ及び算術平均粗さRaは下記の方法により測定し
た。 (1)結晶相 得られた研磨成形体を、X線回折装置を用いて測定し
た。 (2)結晶サイズ 得られた研磨成形体を、5重量%フッ化水素酸に5秒間
浸漬したものをサンプルとし、走査型電子顕微鏡で表面
観察を行った。この10,000倍視野中で、ランダム
に10点の結晶を選び、その平均長径を、結晶サイズと
した。 (3)算術平均粗さRa 得られた研磨成形体を、原子間力顕微鏡(Digita
l Instruments社製)を用いて表面観察を
行った。サンプル表面中で5カ所をランダムに選び、1
カ所当たり10μm×10μmの視野中でランダムに4
本の線を引き、それぞれの算術平均粗さRaを算出し
た。これら合計20カ所の平均を算術平均粗さRaとし
た。 実施例1 ガラス組成が、SiO2:23重量%、Al23:40
重量%、B23:20重量%、MgO:10重量%、C
aO:2重量%、BaO:2重量%、ZnO:2重量%
及びLi2O:1重量%となるよう各成分原料を秤量、
混合し、電気炉中の白金ルツボに投入して溶融し、均質
になるよう撹拌したのち、50×50×5mmの板状に成
形し、除歪、冷却してガラス成形体を得た。このガラス
成形体を、700℃で2時間、続いて870℃で2時間
熱処理して、ガラス中に結晶を析出させた。さらに、成
形体の表面を平均粒径10μmの炭化ケイ素砥粒を用い
て30分間ラッピングし、さらに平均粒径1μmの酸化
セリウム砥粒で15分間ポリッシュして研磨成形体を得
た。この研磨成形体は、主結晶相がホウ酸アルミニウム
系結晶及びムライトであり、その他の結晶はほとんど存
在しなかった。結晶サイズは1.4μmであり、算術平
均粗さRaは22Åであった。 実施例2〜16 実施例1と同様にして、第1表に示す条件でガラス組成
物を成形、熱処理して得られたガラス成形体を、実施例
1と同様に研磨した。得られた研磨成形体について、結
晶相、結晶サイズ及び算術平均粗さRaを測定した。結
果を第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】実施例1〜16の、本発明のガラス組成物
から、成形、熱処理、研磨によって作製された研磨成形
体は、すべてムライト、ホウ酸アルミニウム系結晶又は
その両方を主結晶相として有し、結晶サイズは0.5〜
4.5μmの範囲にあり、算術平均粗さRaは4〜38Å
の範囲にあって、磁気ディスク基板として好ましい特性
を備えている。 比較例1 ガラス組成が、SiO2:18重量%、Al23:40
重量%、B23:20重量%、MgO:15重量%、Z
nO:3重量%、TiO2:2重量%、ZrO2:1重量
%及びLi2O:1重量%となるよう各成分原料を秤
量、混合し、電気炉中の白金ルツボに投入して溶融し、
均質になるよう撹拌したのち、50×50×5mmの板状
に成形し、除歪、冷却してガラス成形体を得た。このガ
ラス成形体を、680℃で2時間、続いて850℃で2
時間熱処理して、ガラス中に結晶を析出させた。さら
に、成形体の表面を平均粒径10μmの炭化ケイ素砥粒
を用いて30分間ラッピングし、さらに平均粒径1μm
の酸化セリウム砥粒で15分間ポリッシュして研磨成形
体を得た。この研磨成形体は、主結晶相がホウ酸アルミ
ニウム系結晶であり、その他の結晶はほとんど存在しな
かった。結晶サイズは1.2μmであり、算術平均粗さ
Raは21Åであった。この結晶化ガラス成形体は、主
結晶相の種類、結晶サイズ及び算術平均粗さRaの値で
は、本発明の磁気ディスク基板としての特性を備えてい
るが、SiO2の含有量が少ないために化学的耐久性が
低かった。 比較例2 ガラス組成が、SiO2:25重量%、Al23:48
重量%、B23:15重量%、MgO:8重量%、Zn
O:1重量%、Li2O:1重量%、Na2O:1重量%
及びK2O:1重量%となるよう各成分原料を秤量、混
合し、電気炉中の白金ルツボに投入して溶融し、均質に
なるよう撹拌した。このガラス組成物はAl23が多す
ぎるために失透し、成形することができなかった。 比較例3 ガラス組成が、SiO2:25重量%、Al23:28
重量%、B23:28重量%、MgO:12重量%、C
aO:2重量%、BaO:2重量%、ZnO:1重量%
及びTiO2:2重量%となるよう各成分原料を秤量、
混合し、電気炉中の白金ルツボに投入して溶融し、均質
になるよう撹拌した。このガラス組成物は、B23が多
すぎるために失透し、成形することができなかった。 比較例4 ガラス組成が、SiO2:30重量%、Al23:30
重量%、B23:12重量%、MgO:23重量%、C
aO:2重量%、ZnO:2重量%及びLi2O:1重
量%となるよう各成分原料を秤量、混合し、電気炉中の
白金ルツボに投入して溶融し、均質になるよう撹拌した
のち、50×50×5mmの板状に成形し、除歪、冷却し
てガラス成形体を得た。このガラス成形体を、700℃
で2時間、続いて950℃で2時間熱処理して、ガラス
中に結晶を析出させた。さらに、成形体の表面を平均粒
径10μmの炭化ケイ素砥粒を用いて30分間ラッピン
グし、さらに平均粒径1μmの酸化セリウム砥粒で15
分間ポリッシュして研磨成形体を得た。この研磨成形体
は、主結晶相がコージェライトであり、その他の結晶は
ほとんど存在しなかった。結晶サイズは3.9μmであ
り、算術平均粗さRaは38Åであった。この結晶化ガ
ラス成形体は、MgOが多すぎるために主結晶相がコー
ジェライトとなり、強度が低かった。比較例1〜4のガ
ラス組成及び試験結果を、第2表に示す。
【0016】
【表4】
【0017】
【発明の効果】本発明のガラス組成物は、容易に成形す
ることができ、ガラスの熱処理によってムライト及びホ
ウ酸アルミニウム系結晶の内の少なくとも一種が主結晶
相として析出し、研磨加工が容易であり、優れた機械的
強度、表面平坦性、表面平滑性、化学的耐久性、耐熱性
及び耐マイグレーション性を有する結晶化ガラス磁気デ
ィスク基板を作製することができる。
フロントページの続き (72)発明者 若林 肇 兵庫県西宮市浜松原町2番21号 山村硝子 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱処理することによりムライト及びホウ酸
    アルミニウム系結晶の内の少なくとも一種の主結晶相が
    析出するガラスであって、 SiO2 :20〜45重量% Al23 :25〜45重量% B23 :10〜25重量% MgO :2〜20重量% Li2O :0〜2重量% Na2O :0〜2重量% K2O :0〜3重量% 但し、Li2O+Na2O+K2O:0〜5重量% の組成を有することを特徴とする磁気ディスク基板用ガ
    ラス組成物。
  2. 【請求項2】SiO2 :25〜40重量% Al23 :28〜40重量% B23 :13〜22重量% MgO :2〜12重量% Li2O :0〜2重量% Na2O :0〜2重量% K2O :0〜3重量% 但し、Li2O+Na2O+K2O:0〜3重量% CaO :0〜10重量% BaO :0〜10重量% ZnO :0〜10重量% TiO2 :0〜10重量% P25 :0〜10重量% の組成を有する請求項1に記載の磁気ディスク基板用ガ
    ラス組成物。
  3. 【請求項3】SiO2 :20〜45重量% Al23 :25〜45重量% B23 :10〜25重量% MgO :2〜20重量% Li2O :0〜2重量% Na2O :0〜2重量% K2O :0〜3重量% 但し、Li2O+Na2O+K2O:0〜3重量% TiO2 :0.1〜8重量% P25 :0.5〜8重量% の組成を有する請求項1に記載の磁気ディスク基板用ガ
    ラス組成物。
  4. 【請求項4】Cu2O:5重量%以下をさらに含む請求
    項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク基板用ガラ
    ス組成物。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載のガラス
    組成物を、成形、熱処理、研磨して作製された、主結晶
    相がムライト及びホウ酸アルミニウム系結晶の内の少な
    くとも一種であることを特徴とする結晶化ガラス磁気デ
    ィスク基板。
  6. 【請求項6】結晶サイズの平均値が5μm以下であり、
    表面粗度が算術平均粗さRaで50Å以下である請求項
    5に記載の結晶化ガラス磁気ディスク基板。
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