JPH09104920A - 材質均一性に優れる薄鋼板の製造方法 - Google Patents

材質均一性に優れる薄鋼板の製造方法

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JPH09104920A
JPH09104920A JP26037195A JP26037195A JPH09104920A JP H09104920 A JPH09104920 A JP H09104920A JP 26037195 A JP26037195 A JP 26037195A JP 26037195 A JP26037195 A JP 26037195A JP H09104920 A JPH09104920 A JP H09104920A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コイル内における材質の均一性に優れ、しかも
耐時効特性などの材質にも優れる薄鋼板の製造方法を提
供する。 【解決手段】C:0.050 wt%以下、Si:0.010 wt%以
下、Mn:0.050 〜1.50wt%、P:0.020 wt%以下、S:
0.015 wt%以下、N:0.0050wt%以下、Al:0.150 wt%
以下、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる
鋼スラブを粗圧延し、得られたシートバーのエッジ部を
加熱し、その後、入り側の温度を(Ar3変態点+100 ℃)
以下、Ar3 変態点以下における圧下率を80%以上、か
つ圧延終了温度を Ar3変態点〜(Ar3変態点−150 ℃) と
する仕上げ圧延を行い、次いで、圧延終了後2sec 以上
空冷したのち水冷するホットラン冷却を行い、600 〜75
0 ℃で巻取り、酸洗を経て、圧下率80〜98%で冷間
圧延し、その後再結晶温度以上で焼鈍し、さらに20%
以下の2次冷間圧延を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、比較的軽度の加工
を施して用いられる薄鋼板、例えば極薄ブリキあるいは
ティンフリースチールなどの表面処理鋼板用の原板とし
て好適な薄鋼板の製造方法にに係り、とくにコイル内に
おける材質の均一性に優れる薄鋼板の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】昨今、大量に消費されている飲料缶、18
リットル缶、ペール缶などはその製造工程から2ピース
缶と3ピース缶に大別できる。このうち、2ピース缶は
錫めっき、クロームめっき、化成処理、塗油などの処理
を施した表面処理鋼板に、浅い絞り加工、DWI(Draw
n and Wall Ironed )加工、DRD(Drawn and Redraw
n )加工等の加工を施し、これに蓋を取りつけた2部品
からなる缶である。また、3ピース缶は表面処理鋼板を
円筒状または角筒状に曲げ、端部を接合して缶胴を形成
したのち、これに天蓋と底蓋を取りつけた3部品からな
る缶である。
【0003】これらの缶の製造コストのうち素材コスト
の占める割合は高く、このため鋼板コストを低減するこ
とが求められている。このような観点から、コスト面、
生産性の面で有利な連続焼鈍法により缶用鋼板を製造す
るための開発も従来から行われてきた。例えば、特開平
1−52452 号公報には、極低炭素鋼を用いて、焼鈍後の
加工硬化を利用することにより、種々の硬さの缶用鋼板
を作りわける技術が開示されている。
【0004】しかし、極低炭素鋼は変態点が相対的に高
いため、従来の変態点以上で仕上げ圧延を完了する方法
では熱延の仕上げ圧延温度も高くなるので、熱間圧延自
体の安定性の低下、さらにまた熱延ロールの損耗が顕著
となるという問題があった。この問題を解決すべく、圧
延をフェライト域で行うという技術思想があるが、種々
の問題点のために未だ実用にいたっていない。その理由
の一つは、コイルの長手方向、幅方向における材質変動
が許容範囲を逸脱することであり、これは製品としての
価値を低下させるのみならず、製造工程においても冷間
圧延時の圧延性の劣化などにつながっていた。これに対
し、低炭素鋼を素材とした場合には、連続焼鈍法を適用
した場合に、製品における固溶C量の低減、すなわち耐
時効特性の向上に限界があった。低炭素鋼に、極めて煩
雑な連続焼鈍サイクルを採用することも提案されている
が、生産効率を低下させるので実用には至っていないの
が現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の薄鋼板の製造技術では、コイル内における材質が不
均一であったり、耐時効特性が不十分であるといった問
題を抱えており、品質の安定した薄鋼板を製造すること
ができなかった。そこで、本発明の目的は、コイル内に
おける材質の均一性に優れ、しかも耐時効特性などの材
質にも優れる薄鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、時効指数が2.0 kgf/mm2 以下で、
降伏強さのバラツキ(標準偏差)が1.5 kgf/mm2 以下、
引張強度のバラツキ(標準偏差)が1.5 kgf/mm 2 以下、
また伸びのバラツキ(標準偏差)が1.0 %以下である薄
鋼板の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、まず上記の
目的を達成するために、成分および熱延条件などの製造
条件を検討しつつ、さらに鋼板の機械的性質を支配する
冶金的な検討をおこない、以下の知見を得た。缶用鋼板
では特殊な場合を除いて、一般の深絞り用鋼板と異な
り、大半の用途において、高いr値はそれほど必要な
く、実成形プロセスにおいては、良好な潤滑条件の確保
と、適正なプレス条件の選択によってこれをカバーして
いる場合が多い。従って、機械的特性として要求される
のは、成形体に見合った強度特性(降伏応力YSと引張
強度TS)と、破断を防止しプレスを完遂するに必要な
延性(伸びEl)と考えられる。しかし、これらの特性
がコイル内の位置によって変動することは、連続したプ
レス成形においては問題である。例えば、強度特性の変
動はプレス後の形状精度の劣化、延性の変動は慢性的な
プレス割れの発生をもたらす。そこで、鋼板の機械的特
性を安定させることが必要となるが、そのためには原材
料である熱延母板の材質の均一化が不可欠である。これ
らの特性を満足すべく、鋼の成分組成と製造条件につい
て詳細に検討した。その結果、これらの条件を特定の範
囲に制御することにより、コイル内材質の均一性と耐時
効特性を同時に満足させることができることを見出し、
本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明の要旨構成は下記のとお
りである。 (1) C:0.050 wt%以下、Si:0.010 wt%以下、Mn:0.
050 〜1.50wt%、P:0.020 wt%以下、S:0.015 wt%
以下、N:0.0050wt%以下、Al:0.150 wt%以下、を含
有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを
粗圧延し、得られたシートバーのエッジ部を加熱し、そ
の後、入り側の温度を(Ar3変態点+100 ℃)以下、Ar3
変態点以下における圧下率を80%以上、かつ圧延終了
温度を Ar3変態点〜(Ar3変態点−150 ℃) とする仕上げ
圧延を行い、次いで、圧延終了後2sec 以上空冷したの
ち水冷するホットラン冷却を行い、600 〜750 ℃で巻取
り、酸洗を経て、圧下率80〜98%で冷間圧延し、そ
の後再結晶温度以上で焼鈍し、さらに20%以下の2次
冷間圧延を行うことを特徴とする材質均一性に優れる薄
鋼板の製造方法。
【0008】(2) ホットラン冷却において、上、下の冷
却水のうちの少なくとも一方は鋼板のエッヂ部を直撃し
ないようにマスキングしながら水冷する、上記(1) に記
載の薄鋼板の製造方法。
【0009】(3) 粗圧延後のシートバーを巻き取って保
熱処理し、これを巻き戻したのち、シートバーのエッジ
部を加熱する、上記(1) または(2) に記載の薄鋼板の製
造方法。
【0010】(4) 仕上げ圧延を連続的に行う、上記(1)
〜(3) のいずれか1つに記載の薄鋼板の製造方法。
【0011】(5) 仕上げ圧延を潤滑しつつ行う、上記
(1) 〜(4) のいずれか1つに記載の薄鋼板の製造方法。
【0012】(6) 鋼スラブを1050℃以下に再加熱して粗
圧延を行う、上記(1) 〜(5) のいずれか1つに記載の薄
鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について詳細に説明する。 (1) 鋼成分について; C:0.050 wt%以下 Cは、その量が0.050 wt%を超えると、延性が劣化し、
TSおよびTSの変動が大きくなる。また、C量をこの
範囲に制御すれば、後述の製造条件を適用することで鋼
板の時効性を実用上問題の無いレベルに容易に制御でき
る。C量の下限は、材質の上からは特に設ける必要はな
いが、変態点の上昇に関連する問題の発生を回避するた
めには0.01wt%以上とするのが望ましい。なお、加工性
を重要視する場合には、0.030 wt%以下とするのが望ま
しい。
【0014】Si:0.010 wt%以下 Siは、その量が0.010 wt%を超えると、鋼板の表面性状
が劣化し、表面処理鋼板として望ましくないばかりでな
く、鋼を硬化させて熱延工程ならびにその後の冷延工程
が困難になるので上限を0.010 wt%とする。
【0015】Mn:0.050 〜1.50wt% Mnは、Sによる熱間脆性を抑制し、組織の均一、微細化
に有用な元素である。Mn量が0.050 wt%未満では熱間脆
性を回避できず、表面割れ等の問題を生ずることがあ
る。一方、1.50wt%を超えて添加すると、詳細な機構は
必ずしも明らかではないが、材質の均一性を劣化させ
る。したがって、Mn含有量は0.050 〜1.50wt%とする。
なお、加工性を特に重視する場合には0.60wt%以下とす
るのが望ましい。
【0016】P:0.020 wt%以下 Pは、加工性および耐食性を低下させる元素である。そ
の量が0.020 wt%を超えるとその影響が顕著に現れるの
で、0.020 wt%以下、好ましくは0.010 wt%以下とす
る。ただし、P量の過度の低減は、製造コストの上昇に
つながるので望ましくはない。
【0017】S:0.015 wt%以下 Sは、加工性に悪影響を及ぼす元素である。S量を0.01
5 wt%以下とすれば、プレス加工性(特に伸びフランジ
特性)を顕著に改善する。なお、特に高い局部延性が要
求される場合は0.007 wt%以下に低減することが望まし
い。
【0018】N:0.0050wt%以下 Nは、r値および耐時効性に悪影響を及ぼす元素である
ので、0.0050wt%以下にする必要がある。なお、より一
層良好なr値レベルと安定した耐時効性が必要な場合に
は、0.0030wt%以下に低減することが望ましい。
【0019】Al:0.150 wt%以下 Alは、脱酸剤として作用し、清浄度を向上させるために
必須の元素である。しかし、0.150 wt%を超えて添加す
ると、清浄度改善効果が飽和するほか、製造コストの上
昇、表面欠陥発生傾向の増大などの問題を生じ、また固
溶Nを強化元素として活用するのが困難になる。なお、
清浄度の向上の観点から、概ね0.005 wt%以上の添加が
望ましい。さらに望ましい範囲は0.020 〜0.080 wt%で
ある。
【0020】(2) 製造条件について;圧延素材となるス
ラブは成分の偏りを最小限にするために連続鋳造法で製
造されることが望ましい。次いで粗圧延と仕上げ圧延と
からなる熱間圧延を行う。熱間圧延にあたり、鋳造後の
スラブは、通常のように、一旦冷却後に再加熱されて
も、また、温片のままで加熱炉へ挿入されても良い。こ
のスラブは常法に従う粗圧延により、概ね20〜70mm厚み
のシートバーとする。ここで、スラブ加熱温度を1050℃
以下とすれば、おそらく初期の組織が均一微細化するこ
とによると考えられるが、最終的な材質の変動を一層小
さくすることができる。なお、シートバーとしてはシー
トバーキャスターなどで製造されたものも適用可能であ
る。
【0021】上記シートバーは材質レベルの向上、材質
の均一性の向上のために仕上げ圧延に入る前に一旦、コ
イルに巻き取り保熱することが望ましい。コイルに巻き
取ることによって得られる材質の均一化は、コイルに巻
き取りによる温度の均一化と、詳細な機構は必ずしも明
らかではないが、巻き取り時に付与される若干の曲げ歪
みによって達成されるものと考えられる。
【0022】次に、粗圧延で得られたシートバー(コイ
ルに巻き取り保熱した場合には、このコイルを巻き戻し
たもの)のエッジ部を仕上げ圧延機入側で加熱する。通
常の圧延法では、粗圧延工程まででも鋼板の幅方向に顕
著な温度分布の不均一を生じており、シートバーエッジ
部の温度は同幅方向中央部よりも50℃以上も低い温度と
なっている。本発明では、これを補償すべく、エッジヒ
ーターで加熱を行うことにより、全幅方向にわたり材質
均一化が達成される。ここで、シートバーのエッジ部と
はシートバーの端から略 150mmまでの位置をいう。加熱
の程度は仕上げ圧延終了後にほぼコイルの幅方向に均一
の温度になるよう50〜100 ℃中央部より高めにするのが
望ましい。なお、加熱手段は特に定めないが、その方法
として例えば、高周波誘導加熱やガス加熱などが挙げら
れる。
【0023】また、仕上げ圧延機の入り側にて、シート
バーを接合し、連続的に仕上げ圧延を行うようにするこ
とは次の理由により望ましい。すなわち、仕上げ圧延を
連続的に行うことにより、従来は長手方向に張力を付与
できなかったコイル先後端部にも、適正な張力を付与で
きるようになったためと推定されるが、熱延組織の均一
性が特にこの部分で向上する。シートバーの接合方法は
特に規定するものではなく、複数個のシートバーが連続
して仕上げ圧延に供給されることが重要である。
【0024】さらに、材質を改善する手段として、潤滑
圧延を適用して仕上げ圧延することも有効である。潤滑
圧延による材質の改善は、鋼板の厚み方向における組織
の均一化が一層向上したことによるものと考えられる。
この際、潤滑に用いる油の種類、塗油の方法などについ
て特に定めないが、実機圧延の際に各圧延機の荷重デー
タなどから推定される摩擦係数は概ね0.15程度以下の条
件を実現すると顕著な材質の均一化効果が得られるの
で、この摩擦係数を満たす潤滑油を用いることが推奨さ
れる。なお、上記した仕上げ圧延における連続圧延と潤
滑圧延は、それぞれ単独で採用しても、組み合わせて採
用してもよく、後者の場合により大きな効果が得られ
る。
【0025】仕上げ圧延条件 仕上げ圧延機の入側温度は鋼板の長手、幅方向の材質均
一化には重要な要件である。その効果はとくにAr3 +10
0 ℃以下とすれば達成できる。なお、望ましくは Ar3+
70℃以下とすることにより、一層の材質均一化が達成さ
れる。また、Ar3変態点以下での圧下率(Ar3変態点以
下での圧延を開始した時の板厚と仕上げ圧延機出側での
板厚より算出した公称ひずみ)を従来より顕著に大きい
80%以上にすることにより材質の均一性は高められ
る。このような圧下率範囲に設定することによって、フ
ェライト相にも充分に大きな歪みが付与され、ひずみの
蓄積と開放がバランスし、ある意味での定常状態に達す
る結果、熱延条件の多少の変動があってもその悪影響が
吸収され、均一性が向上するものと考えている。なお、
Ar3変態点以下での圧下率を85%以上とすれば一層そ
の効果が大きいので望ましい。さらに、仕上げ圧延の終
了温度は熱延工程における種々の圧延トラブルの発生防
止と鋼板の組織の均一、微細化のために必要である。即
ち、この温度がAr3 点を超えてしまうと組織は極めて不
均一となり好ましくない。一方(Ar3 変態点−150 ℃)
を下回ってしまうと、生成したフェライト中の歪みが残
留する傾向が強くなり、圧延荷重が顕著に増加し、また
最終製品における延性の劣化が大きくなる。なお、望ま
しい圧延終了温度はAr3 変態点〜(Ar3変態点−100 ℃)
の範囲である。
【0026】仕上げ圧延を終了した後、少なくとも2se
c 以上の空冷時間(水冷開始の遅れ時間)をもうけるこ
とが、熱延コイルの幅方向の材質均一性を確保するには
必須である。上記温度範囲で仕上げ圧延を終了した後、
水冷開始までに2sec 以上の空冷時間を確保すると、顕
著な熱延母板組織の均一化(ある意味での自己焼鈍)が
おこり、その後冷延、焼鈍した後も継承され、最終的な
鋼板の組織が均一化し、結果的に機械的性質が均一化さ
れる。空冷時間の上限は特に定めないが後述する巻き取
り温度が確保できる熱延設備上の拘束によりおのずから
決定されるものである。
【0027】ホットラン上における水冷 仕上げ圧延をおえた鋼板をホットラン上で水にて冷却す
る。このとき、冷却水はノズルより噴出し、鋼板に衝突
するが、直接に当たった位置は最も大きな冷却効率を有
することと、エッジ部は中央部に比して冷却効率が高い
という現象が確認された。鋼板は幅方向に均一に冷却す
ることが望ましく、このような冷却の不均一性を解決す
る手段として、鋼板のエッジ部に直接には冷却水がかか
らないようエッジ部を50〜150mm 程度の範囲で冷却水の
マスキングを行うことが効果的である。このマスキング
は上部、下部の両方において行うことがもっとも望まし
いが、少なくとも一方でも実施すれば効果が現れる。
【0028】巻き取り温度 仕上げ圧延後の巻き取り温度も材質均一化にとって重要
な要件である。巻き取り温度を600 ℃以上にすることに
より、熱延母板の幅方向の材質均一性が向上し、最終的
な材質均一性が改善される。また、600 ℃以上で巻き取
ることにより必要最低限の窒化アルミの析出が進行し、
冷延焼鈍後の材質、特にr値およびΔr値が改善され
る。また、固溶Nが低下する結果、最終製品でより軟質
な材質とすることができる。しかし、750 ℃を超えて巻
き取ると部分的に粗大な異常粒が発生する危険が増す。
従って、巻き取り温度は600 〜750 ℃、好ましくは600
〜680 ℃とする。
【0029】酸洗および冷間圧延 熱間圧延を終えた熱延板は冷間圧延前に酸洗によりスケ
ールの除去を行う。酸洗に用いる酸洗液は HCl, H2SO4
など通常使用するものでよい。冷間圧延における圧下率
が80%を下回ると、均一微細な鋼板組織が得られない。
この冷延圧下率が高くなるほど、諸特性の均一化は向上
するが、98%を超えると素材の加工硬化のため圧延が困
難になることに加えて、機械的性質の面内異方性が増加
し望ましくない。したがって、冷間圧延の圧下率は80〜
98%の範囲、好ましくは面内異方性の観点から83〜92%
の範囲とする。
【0030】焼鈍 機械的特性の安定性の点から焼鈍が必要である。この再
結晶焼鈍は組織を均一かつ微細に保つことと、生産効率
の向上という観点から、急速加熱(5℃/sec以上)、
高温( 680〜780 ℃)、短時間(90sec 以下)の焼鈍が
望ましい。なお、特殊な用途においては、再結晶温度以
下のいわゆる部分再結晶組織の適用もあり得るが、材質
安定の上から好ましくない。
【0031】2次冷間圧延 鋼板の強度を焼鈍ままの状態からさらに増加させるため
に、20%以下の2次冷延を付与して最終製品とする。2
次冷延の付与による加工硬化の利用は、大幅なコストの
増加をともなわない点と均一伸びは劣化するが局部伸び
は劣化しないため、かなり広い用途に適用できる有利な
強化方法である。しかし、20%を超えて2次冷延で強化
を行うと、降伏強度の面内異方性が顕著となり、また、
これに付随してプレス成形時のイヤリングの発生も顕在
化してくる。従って、焼鈍後の2次冷延圧下率は20wt%
以下とする。なお、良好な加工性を維持するためには10
%以下の範囲で2次冷延を行うのが望ましい。
【0032】
【実施例】
実施例1 表1に示す種々の鋼を溶製して連続鋳造スラブとし、10
00〜1250℃の範囲でスラブを加熱した。その後、A〜G
については本発明に従う熱延条件、すなわちエッジヒー
ターにより、粗圧延したシートバーを巻き取って保熱処
理した後、このシートバーを巻き戻しそのエッジ部(幅
端から120mm の位置までの部分)を中心部より50〜120
℃高い温度に加熱し、これをフィードフォワード制御す
ることで、パススケジュールおよびストリップクラント
の使用状況を制御し、最終的な仕上げ圧延温度の最適化
を実施した。このとき仕上げ圧延入り側の温度は 900℃
であり、Ar3変態点以下での圧下率は85%以上(Ar3変
態点の位置検出は圧延荷重の変化から推定)、仕上げ圧
延終了温度は全てAr3 −(50〜90℃) の範囲であった。
そののち、2〜4sec の空冷してから水冷却を開始し、
680 ℃で巻き取りした。その後、HCl による通常の酸洗
ののち、85%の冷間圧延、 720℃−30sec 均熱の連続焼
鈍をおこない、1〜3%の調質圧延を行い、最終厚みを
0.23〜0.22mmとした。また、従来の低炭素アルミキルド
連続焼鈍材(表1鋼H)による工程材も用いた。
【0033】得られた冷延コイルの長手方向の13点(15
m間隔)の幅方向中央と幅方向1/8位置でサンプルを
採取し、機械的特性の平均値とバラツキ(標準偏差)を
求めた。これらの調査結果を表2に併せて示す。なお、
これらの特性は汎用の電気めっきラインを通った後の材
質と同等と考えられる。ここで、時効指数(AI)は7.
5 %の予歪みを付与し、100 ℃にて30分の時効をおこな
い、時効処理前後における変形応力の変化量で評価し
た。また、耐時効性の目安として、鋼板を約40℃の環境
で6か月保存し、その間の降伏点伸びで比較した。外観
特性は鋼板を浅い円筒に絞りその表面性状を観察して評
価した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】得られた結果から明らかなように、本発明
法によれば、従来例の低炭素アルミキルド連続焼鈍材や
比較例に比して耐時効特性に優れた軟質鋼板が小さなコ
イル内ばらつきで製造できることが判る。また、同一の
強度レベルで比較すると、発明例の方が、1〜3%程度
高い伸び値を示した。なお、これらの発明法による鋼板
の酸洗時の脱スケール性は極めて良好であり、およそ30
%の酸洗効率の向上が図れた。さらに、熱延ロールの熱
疲労寿命についても概ね15%の延命効果が確認できた。
【0037】実施例2 表1のC鋼を用いて熱延、酸洗(通常のHCl 浴)、冷延
(圧下率88%)、焼鈍(700 ℃−20sec )および2次冷
延(1.5 %)により、板厚0.19mmの冷延鋼板を製造し
た。ここに熱延まわりの諸条件を表3に示す。なお、コ
イルを水冷する際の冷却水のマスキング操作は鋼板のエ
ッジ100mm の範囲に直接冷却水が当たらないようにし
た。実施例1と同様にサンプルを採取し試験した。得ら
れた引張特性を表4に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】これらの結果、本発明法で製造した鋼板
は、材質の均一性および耐時効特性に優れており、また
軟質であることが明らかである。なお、このほか冷却の
際にマスキングをおこなうことにより、冷延工程におけ
る形状の制御がより容易になることが確認された。
【0041】表3の条件で製造した鋼板において、2次
冷延率のみをかえて鋼板を製造し、その特性を調査し
た。その結果が表5である。2次冷延圧下率が20%を超
えるとイヤリング率が大きくなり、面内異方性が劣化す
ることがわかる。ここで、イヤリング率は、絞り比1.6
で円筒成形し、平均カップ高さに対する平均耳高さの比
(%)で表示したものであり、用途にも依存するが概ね
3%以下であることが要求されている。
【0042】
【表5】
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明法によれ
ば、強度、延性などの機械的性質がコイル内の全長、全
幅にわたってばらつきが少なく均一な材質特性であっ
て、しかも耐時効性に優れる薄鋼板を得ることが可能に
なる。したがって、本発明法によって製造した薄鋼板
を、設定したプレス条件で加工する際に、成形可能範囲
が広くなり、加工の不具合が発生する危険性が小さく、
安定操業に大きく寄与する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.050 wt%以下、 Si:0.010 wt%以下、 Mn:0.050 〜1.50wt%、 P:0.020 wt%以下、 S:0.015 wt%以下、 N:0.0050wt%以下、 Al:0.150 wt%以下、を含有し、残部がFe及び不可避的
    不純物よりなる鋼スラブを粗圧延し、得られたシートバ
    ーのエッジ部を加熱し、その後、入り側の温度を(Ar3変
    態点+100 ℃)以下、Ar3 変態点以下における圧下率を
    80%以上、かつ圧延終了温度を Ar3変態点〜(Ar3変態
    点−150 ℃) とする仕上げ圧延を行い、次いで、圧延終
    了後2sec 以上空冷したのち水冷するホットラン冷却を
    行い、600 〜750 ℃で巻取り、酸洗を経て、圧下率80
    〜98%で冷間圧延し、その後再結晶温度以上で焼鈍
    し、さらに20%以下の2次冷間圧延を行うことを特徴
    とする材質均一性に優れる薄鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】ホットラン冷却において、上、下の冷却水
    のうちの少なくとも一方は鋼板のエッヂ部を直撃しない
    ようにマスキングしながら水冷する請求項1に記載の薄
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】粗圧延後のシートバーを巻き取って保熱処
    理し、これを巻き戻したのち、シートバーのエッジ部を
    加熱する請求項1または請求項2に記載の薄鋼板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】仕上げ圧延を連続的に行う請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の薄鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】仕上げ圧延を潤滑しつつ行う請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の薄鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】鋼スラブを1050℃以下に再加熱して粗圧延
    を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄鋼板の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1088905A4 (en) * 1999-04-20 2004-12-01 Nippon Steel Corp VERY THIN, 2 PIECE CONTAINER STEEL PLATE WITH EXCELLENT CROP AND PULPING CHARACTERISTICS IN THE REDUCTION OF THE HALF PART AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
KR101020887B1 (ko) * 2006-01-12 2011-03-09 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 냉연강판 및 그 제조방법
CN102041444A (zh) * 2010-12-21 2011-05-04 南阳汉冶特钢有限公司 一种低碳低硅优质碳素结构钢及其生产方法

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