JPH09106586A - 光磁気記録媒体及び該媒体の情報記録再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及び該媒体の情報記録再生方法

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JPH09106586A
JPH09106586A JP26414395A JP26414395A JPH09106586A JP H09106586 A JPH09106586 A JP H09106586A JP 26414395 A JP26414395 A JP 26414395A JP 26414395 A JP26414395 A JP 26414395A JP H09106586 A JPH09106586 A JP H09106586A
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Tomoyuki Hiroki
知之 廣木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メモリ層に記録された磁区と再生層を静磁結
合させる場合において、記録マークの大きさにより静磁
結合力に差が生じ、メモリ層から再生層への磁区の転写
性が悪くなり、また外部磁界に対する安定性にも問題が
ある。 【解決手段】 情報トラック案内用のグルーブ9及びラ
ンド8が形成されている基板上に、少なくとも再生層3
とメモリ層5とを積層して成る光磁気記録媒体におい
て、前記ランド上と前記グルーブ上の少なくとも一方
を、情報の記録に先立って、所定の周波数で初期化す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ビームを用いて光
学的に情報の記録及び再生を行う光磁気記録媒体及び該
媒体を用いた情報記録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光学的に情報を記録、再生する技
術として種々の提案がなされている。それらを情報記
録、再生方法により大別すると、ROM(再生専用)
型、WORM(追記)型、R/W(書き換え可能)型の
三種類がある。この三種類の媒体は、何れもガラスまた
はポリカーボネート等の樹脂のような透明な材料を基板
とし、この基板上に塗布、成膜する材料の違いにより分
類される。即ち、基板上にAlのように反射率が高く熱
安定性が高い物質を用いたROM型、有機色素のように
熱によって不可逆反応を起こす材料を用いたWORM
型、磁性材料や相変化(結晶及び非晶質の状態を取り得
る)材料のように熱的、磁気的に可逆反応を生じる材料
を用いたR/W型である。
【0003】一方、光学的情報記録媒体をその形状によ
り大別すると、ディスク型、カード型、テープ型に分け
られる。それぞれ特長があり、用途によって使い分けら
れるが、中でもディスク型は情報転送の高速性に優れて
いるために、最も一般的となっている。
【0004】図13は、従来のR/W型光ディスクであ
る光磁気記録媒体の一例を示す模式的断面図である。媒
体の主要部分は、第1の磁性層3(以下、再生層と称
す)、中間層2、第2の磁性層5(以下、メモリ層と称
す)の3層から成る。メモリ層5は例えばTbFeCo
やDyFeCoなどの垂直磁気異方性の大きい膜で、記
録情報はこの層の磁化が膜面に対して上向きか下向きか
によって磁区を形成し、保持される。再生層3は例えば
GdFeCoなどの保磁力が小さく、キュリー温度が高
い膜である。中間層はSiNなどの誘電体からなる層で
ある。情報再生は、メモリ層5に記録された磁区から発
生する静磁界によってメモリ層5と再生層3とが結合
し、読み出し用のレーザー光によって行われる。再生層
及び中間層を省略した形、即ちメモリ層単層であっても
情報記録再生は可能であるが、その場合記録感度と信号
品位を両立させることが難しい。従って、通常は低パワ
ーで情報記録が行えるメモリ層と、高CNRで情報再生
が可能な再生層を結合させることが一般に採用されてい
る。
【0005】又、図13に示すような光磁気記録媒体に
対して情報記録を行うためには、記録したい場所に比較
的高いパワーのレーザー光を照射してメモリ層をキュリ
ー温度近くまで昇温させると同時に外部磁界を印加し、
メモリ層の冷却過程において外部磁界の方向に磁化を倣
わせることが行われる。具体的には、光変調記録と磁界
変調記録の2種類の方法が一般的である。光変調記録
は、外部磁界の向きを一定方向としながら記録情報に従
ってレーザー強度を変調する方法で、高いパワーのレー
ザーを照射した部分のみ外部磁界の方向に磁化が反転す
ることにより記録が行われる。この方法はレーザー変調
の高速性という点で有利な反面、記録に先立って全ての
磁化を逆方向にする消去動作が必要である。一方、磁界
変調記録の場合は、レーザーは連続してハイパワーとし
ておいて、記録情報にし違って磁界の向きを変化させ
る。この方法は、メモリ層の磁化の履歴に無関係に記録
が出来る、即ち、オーバーライトが可能でかつ記録の高
密度化にも有利である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなメモリ層に記録された磁区と再生層を静磁結合さ
せる場合においては、記録マークの大きさにより静磁結
合力に差が生じるという問題点があった。このことを図
14を用いて説明する。
【0007】図14は、円筒形磁区及び直方体磁区によ
って生じる静磁界の大きさHstを計算した結果であ
る。曲線(i)は、直径0.4μm、厚さ30nm、飽
和磁化200emu/ccの円筒形磁区(b)の上方3
0nmにおける静磁界の強さを表している。このよう
に、磁壁付近でピークを持つものの、磁区中心付近にお
いても約300Oeの静磁界が存在することが分かる。
それに対し、曲線(ii)に示す1.6×0.8μm、厚
さ30nm、飽和磁化200emu/ccの直方体磁区
(c)の場合には、全体的に静磁界が弱くなると共に磁
区中心付近では約100Oeしか静磁界が働かないの
で、メモリ層から再生層への磁区の転写性が悪くなり、
また外部磁界に対する安定性にも問題があることが分か
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点に鑑
み、情報トラック案内用のグルーブ及びランドが形成さ
れている基板上に、少なくとも再生層とメモリ層とを積
層して成る光磁気記録媒体において、前記再生層は前記
メモリ層のキュリー温度よりも高いキュリー温度を持
ち、前記再生層とメモリ層は、情報再生用スポットの中
の少なくとも一部分で互いに静磁結合し、前記ランド上
と前記グルーブ上の少なくとも一方が、所定の周波数で
初期化されていることを特徴とする光磁気記録媒体を用
いるものである。
【0009】また本発明は、情報トラック案内用のグル
ーブ及びランドが形成されている基板上に、少なくとも
再生層とメモリ層とを積層し、前記再生層は前記メモリ
層のキュリー温度よりも高いキュリー温度を持ち、前記
再生層とメモリ層は、情報再生用スポットの中の少なく
とも一部分で互いに静磁結合している光磁気記録媒体に
情報を記録再生する方法であって、情報の記録に先立っ
て、前記メモリ層の前記ランド上と前記グルーブ上の少
なくとも一方を所定の周波数で初期化することを特徴と
する情報記録再生方法である。
【0010】
【実施例】以下、本発明について図面を用いて詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0011】実施例1 図1は、第一の実施例における光ディスクの模式的断面
図を示す。図1に示されるように、光ディスクは、基板
1上に干渉層2、第一の磁性層(以下、再生層と称す)
3、誘電体層(以下、中間層と称す)4、第二の磁性層
(以下、メモリ層と称す)5、保護層6、保護コート層
7の順に積層された構成である。基板1は通常ガラスあ
るいはポリカーボネート等の樹脂の様な透明な材料が使
用され、情報トラックの案内溝となる凹凸が形成されて
いる。基板1上に積層される各層は、マグネトロンスパ
ッタ装置による連続スパッタリング、あるいは連続蒸着
などによって被着形成できる。干渉層2は磁気光学効果
を高めるために設けられ、例えば、Si34,AlN,
SiO2,SiO,ZnS,MgF2などの透明な誘電体
材料が用いられる。保護層6は磁性層の保護のために用
いられるもので、干渉層2と同様の材料が用いられる。
干渉層2及び保護層6は本発明の本質とは無関係である
ので、構成上省略しても差し支えなく、又、ここでは詳
細な説明は省略する。保護コート7は、磁界変調記録を
行うための磁界ヘッドを媒体表面上で浮上させるために
設けられるもので、紫外線硬化樹脂などが用いられる。
【0012】メモリ層5は、記録情報を保持する層で、
1μm以下の微小な磁区を安定に保持できることが必要
である。メモリ層5の材料としては、垂直磁気異方性が
大きく安定に磁化状態が保持できるもの、例えば、Tb
FeCo,DyFeCo,TbDyFeCoなどの希土
類−鉄族非晶質合金、ガーネット、あるいは白金族−鉄
族周期構造膜、例えばPt/Co,Pd/Co、また白
金族−鉄族合金、例えばPtCo、PdCoなどであっ
ても良い。メモリ層5のキュリー温度は、情報の記録に
必要なレーザーパワーに直接関わる特性であり、余り高
すぎると記録感度が悪化するため、望ましくは280℃
以下、より望ましくは240℃以下である。
【0013】再生層3は、メモリ層5に保持された磁化
情報の再生を担う層で、メモリ層5に比べて光の入射に
近い側に位置し、再生時にカー回転角が劣化しないよ
う、そのキュリー温度が少なくともメモリ層5よりも高
く、好ましくは270℃以上、より好ましくは300℃
以上が良い。再生層3は希土類−鉄族元素非晶質合金で
垂直磁気異方性が小さいもの、具体的にはGdFeCo
が望ましい。又、これに短波長でのカー回転角を大きく
するためにNd,Pr,Smなどの軽希土類金属を添加
しても良い。
【0014】さらに再生層3とメモリ層5には、耐食性
改善のためAl,Ti,Pt,Nb,Crなどの元素添
加を行っても良く、また、熱伝導性改善のため、Al,
AlTa,AlTi,AlCr,Cuなどの熱伝導性の
良い層を再生層3またはメモリ層5に接するように設け
ても良い。
【0015】中間層4は、メモリ層5と再生層3の交換
結合を遮断する目的で設けられる誘電体層で、製造装置
を簡略化するために干渉層2や保護層6と同じ材料を用
いることが望ましい。これによりメモリ層と再生層は静
磁結合のみによって結合する。
【0016】図2は、本実施例における各磁性層の磁化
の向きを表したものである。図中、白い部分は磁化が下
向き、ハッチング部分は上向きの部分で、ランド上には
磁界変調記録によって記録情報が、グルーブ上には一様
に初期化による高周波の繰り返し信号が記録されてい
る。
【0017】図2のように磁化を配向させることによっ
てメモリ層5から再生層3への磁区の転写性が向上する
理由を、図3及び図4を用いて説明する。尚、以下の説
明ではランド上に記録を行い、グルーブに対して初期化
動作を行った場合について説明するが、逆にランド上で
初期化動作を行い、グルーブ上に情報記録するとしても
何等問題ないことは明かである。
【0018】図3(a)は、本発明における初期化処理
を施さない媒体の模式図であり、ここではグルーブ9上
の磁化が一様に同じ方向、例えば下向きに倣っている場
合を示している。このような媒体のランド8上に、比較
的小さい上向き磁化(以下、記録マーク10と称す)
を、比較的大きい間隔(下向き磁化、以下ブランクを称
す)をあけて記録した場合を考える。図3(b)では
(a)のトラック方向A−A’線でのメモリ層5の磁化
の向きと該メモリ層5により生じる静磁界の大きさ(H
st)を示しており、図のように記録マーク10上では
大きく、マーク間、特に中間点C付近では小さくなる。
これはラジアル方向のB−B’線での断面図である図3
(c)と比較しても明らかなように、記録マーク間のブ
ランク部分から生じる静磁界を考えると、両側のグルー
ブ部分もブランクと同じ向きになっているため、図14
で説明した大きなマークの場合と等価となるので、ブラ
ンクが大きいほど、又ブランク中心に近づくほど静磁界
は小さくなる。従って、図3の場合、メモリ層5に記録
された記録マークは再生層3に転写されるが、マーク以
外のブランク部分は静磁結合力が弱く、転写性が悪くな
るので、再生層3上でメイズが出来易く、外部磁界が加
わると特に転写性が低下する傾向にある。
【0019】それに対し本発明の例では、図4のよう
に、グルーブ9上に予め高周波で初期化動作を行ってお
り、この場合、トラック方向に対しては図3の従来例と
ほぼ同様であるが、隣接グルーブが上向きの磁化の部分
でのラジアル方向、即ち、図4(c)に示すB−B’線
での断面を考えると、図14で説明した微小マークが並
んでいるのと等価に考えることが出来る。即ち、転写に
必要な十分な磁界が得られることになる。又、隣接グル
ーブの磁化が下向きである部分でのラジアル方向の図4
(d)に示すD−D’線での断面を考えた場合も、隣接
グルーブで十分な大きさの磁界が得られているためにブ
ランク中心付近でも従来より大きな磁界となる。
【0020】以上の説明では上向きの磁化をマーク、下
向きの磁化をブランクと称して説明を行ったが、磁界変
調記録の場合は磁化の向きによるマーク、ブランクの区
別はない。従って、隣接グルーブの磁化が高周波でかつ
デューティサイクル略50%で変調されていることによ
り、ランド上のマークあるいはブランクが長くなって
も、その中心付近での磁区の転写に十分な大きさの静磁
界を、しかも極性による差がなく生じさせることが出来
る。これによりメモリ層と再生層の静磁結合力が増加す
るので、信号品位が向上し、又外部磁界によっても信号
が乱されることはない。グルーブの初期化の周波数が高
いほど、即ち記録マークが小さいほど効果が大きいの
で、実際に情報としてマークを記録する際の最短マーク
相当の周波数で記録するのが望ましく、変調周波数の高
速化に余裕があればより高い周波数で記録を行っても良
い。
【0021】実際に、この例のような磁化状態を実現す
るためには、通常の記録動作と同様の操作をランドまた
はグルーブに対して行えば良い。つまり、ランド記録の
ディスクに対してはグルーブ上にトラッキングサーボを
かけ、メモリ層がキュリー温度付近に達する程度にレー
ザーパワーを上げながら外部磁界を高周波で変調する。
そのままディスクの全周にわたってトレースすることに
より、グルーブの初期化動作を完了する。次にトラッキ
ングサーボの極性を反転させてトラッキングをかけ、通
常の記録再生動作を行うことで実現できる。
【0022】この操作は、ディスクを作成してから最初
に情報の記録を行うまでの間に一度だけ行えば良く、製
品の出荷検査時あるいはディスクの通常の初期化処理に
先だって行えば、本発明の主眼とする磁化状態を達成す
ることが出来る。
【0023】図5は、光磁気記録媒体に磁界変調記録に
よって0.8μmの長さのマークを記録した本発明と、
処理していない従来例の外部磁界安定性を測定した結果
である。従来の、グルーブを同一方向に消去した場合で
あっても外部磁界が0の場合には約50dBと十分なC
NRが得られているが、外部磁界を加えると、特にグル
ーブ消去と反対側の磁界に対して弱く、記録マークのブ
ランク部分で安定した磁区の転写が行われないことが分
かる。それに対して、本発明のようにグルーブの磁化状
態を高周波で変調する初期化処理を行った場合には、ど
ちら向きの外部磁界に対しても安定性が増し、高いCN
Rが得られる。
【0024】本実施例では、光磁気記録媒体上への記録
方式を磁界変調記録として説明したが、光変調記録の場
合にも、記録される磁区の形状は異なるものの(消去方
向を向いた磁化の中に記録方向の円形あるいは楕円形の
磁区が形成される。)、同様の理由により情報再生の安
定化が実現できる。つまりこれは、本発明の光磁気記録
媒体では、記録方式あるいは記録磁区形状に関わらず、
常に安定した情報再生が可能であることを示している。
【0025】以上のように、本発明の光磁気記録媒体で
は、メモリ層と再生層との静磁結合力を容易に高め、ま
た記録パターンに依らない転写性を得ることができるの
で、再生信号品位が向上し、外部磁界に対しても安定し
た情報再現が実現できる。
【0026】実施例2 本発明の別の例を図6を用いて説明する。図6に示した
光記録媒体では、再生層3を温度変化に従って面内磁化
膜から垂直磁化膜に遷移させ、その際、メモリ層5との
静磁結合による磁区の転写を利用してアパーチャ16を
形成し、情報再生用スポット11の中の一部のみで情報
再生する超解像再生を行うことで再生光の回折限界以下
の微小マーク10の再生を可能にするものである。
【0027】図6は本実施例の光ディスクにレーザ光を
照射しながら、向かって右にディスクが移動したときの
スポットの様子及び各磁性層の磁化状態を示している。
図6(a)中、各磁性層3,5中の黒矢印は鉄族元素副
格子磁化の向き、白抜きの矢印は正味の磁化の向きを表
している。この時ディスクはおよそ5〜15m/s程度
で移動しており、レーザ照射による熱の蓄積効果によっ
て、膜温度が最大となる位置はレーザスポットの中心よ
りも後ろ側(図6(b)において右側)になる。また、
トラック中心における温度分布を図6(c)に示す。
【0028】図7は再生層3の異方性エネルギーの温度
依存性を表す図である。本実施例では、室温で希土類元
素副格子磁化優勢で飽和磁化Ms1を比較的大きくして
いるので、キュリー温度との間の補償温度に向かって飽
和磁化が急激に減少し、したがって磁化を膜面内に向け
ようとするエネルギー2πMs1 2も室温から補償温度に
向かって急激に減少する。一方、再生層3の垂直磁気異
方性Ku1は室温からキュリー温度に向かって緩やかに
減少していく。この時、再生層のエネルギーと磁化の方
向は、 2πMs1 2>Ku1 (1) が成り立つ場合に再生層3の磁化が膜面内となる。すな
わち、磁性層の温度を上昇させていくと、図7に示すよ
うにTth1の温度を境界として面内磁化膜から垂直磁
化膜に遷移する。また、この再生層3の極カー効果によ
るカー回転角の温度依存性を図8に示す。室温付近では
面内磁化膜となっているためにカー回転角θkはほとん
ど現れず、Tth1まで温度が上がると再生層3の磁化
は垂直に遷移して急激にカー回転角が現れる。したがっ
て、Tth1未満の温度領域ではカー回転角がほぼ0な
ので情報再生には寄与せず(図6(b)におけるフロン
トマスク15)、Tth1以上の部分(図6(b)にお
けるアパーチャ16)のみカー効果による情報再生が行
えるので、実質的にTth1以上の小さい領域のみで情
報再生するのと等価になる。
【0029】このように、本実施例の光磁気記録媒体に
おいても、スポットの一部分とはいえメモリ層から再生
層ヘの磁区の転写は静磁結合を利用している。したがっ
て、第一の実施例で説明したのと同様に、メモリ層から
安定した静磁界を発生させることが重要である。そのた
めに、ランド8に情報記録した場合には、グルーブ9
a,9b上の磁化を高周波で変調しておくことで、実施
例1と同様に大きな効果を得ることができる。
【0030】実施例3 本発明の第三の実施例を図9を用いて説明する。
【0031】本実施例の媒体の構成は実施例2とほぼ同
様である。実施例2と異なるのは、再生層3に転写され
た磁区が所定温度Tth2以上に昇温したときに消滅し
てリアマスク17を形成し、ダブルマスクタイプの超解
像になることである。リアマスクにおいて磁区が消減す
る現象について図10を用いて説明する。
【0032】図10はメモリ層5の磁区が再生層3に転
写された状態を示し、転写された磁区には図中の3つの
磁界が加わる。まず、Hleakは再生層3の消去方向
の磁区から発生する漏れ磁界で、磁区が転写されている
ときに磁気回路が閉じるので、磁区の転写を助長する方
向に働く。Hwbはブロッホ磁壁エネルギーにより生じ
る磁界であり、具体的には Hwb=σwb/2Ms1r (2) で表される。ここで、σwbはブロッホ磁壁エネルギ
ー、rは磁区の半径である。ブロッホ磁壁エネルギー
は、ブロッホ磁壁の体積が減少する方向がエネルギー的
に安定なので、Hwbは転写された磁区を収縮させる方
向となる。これらの磁界と、メモリ層5からの静磁界H
stを合わせたエネルギーバランスを考えると、 Hst + Hleak > Hwb (3) が成立する場合は、昇温しながら再生層3が面内磁化膜
から垂直磁化膜に遷移するときにメモリ層5の磁区が再
生層3に転写される。逆に式(3)が成立しない場合に
は再生層3に記録磁区は転写されず、再生層3の磁区は
メモリ層5とは無関係に一様に消去方向を向く。
【0033】図9に示した温度Tth2は式(3)が成
立する境界の温度であり、Tth2以下では(3)を満
足し、Tth2を越えると満足しない。すなわち、Tt
1からTth2の間の温度では再生層の磁化が垂直であ
ると同時にメモリ層との静磁結合により磁区を転写して
おり、温度がTth2を越えるとブロッホ磁壁エネルギ
ーが支配的になってメモリ層から転写された記録磁区を
再生層で保持することが出来なくなり、一様に消去方向
を向いてしまう。これにより、超解像がダブルマスク構
造となる。
【0034】本実施例の場合では、リアマスク17内で
消滅する磁区は消去方向の磁化に囲まれていなければな
らない。したがって通常の光変調記録の場合は、記録に
先だって消去動作を行い、消去幅の範囲内で記録マーク
10を形成するので問題ないが、磁界変調記録でトラッ
ク幅一杯に記録を行ってしまうと上記の条件を満たさな
くなってしまうため、グルーブを高周波記録で初期化処
理すると共にランドを消去方向に一様な向きとしてお
き、以後の記録動作は消去幅よりも狭い幅で行わなけれ
ばならない。
【0035】本実施例においても、やはりメモリ層から
再生層ヘの磁区の転写に静磁結合を利用しているので、
本発明における初期化処理を行うことにより安定した情
報再生が行える。
【0036】実施例4 本発明の第四の実施例を図11を用いて説明する。
【0037】本実施例の媒体の構成は実施例2とほぼ同
様であるが、異なる点は中間層4に磁性体を用いている
点である。磁性体である中間層4の持つ作用は、以下の
2つである。 (1)室温から中間層4のキュリー温度Tc3付近まで
の温度範囲において、再生層3とメモリ層5の間の界面
磁壁エネルギーを緩和し、再生層3が面内磁化膜となる
のを助ける。これは結果として再生層3の膜厚低減にも
寄与する。 (2)中間層4のキュリー温度Tc3付近以上では、再
生層3とメモリ層5の間の交換結合を切断する。
【0038】これらの目的を達成するために、中間層4
のキュリー温度Tc3を室温より高く、再生層3及びメ
モリ層5のキュリー温度Tc1,Tc2より低くする。中
間層4のキュリー温度Tc3は、再生時程度のパワーの
光スポットで交換結合力を切断できる程度に低く、具体
的には80℃以上220℃以下が良く、より望ましくは
100℃以上180℃以下が良い。中間層4の材料とし
ては、例えば希土類―鉄族非晶質合金、具体的にはGd
FeあるいはGdFeCoが良い。又キュリー温度を低
減するためにCr,Al,Si,Cuなどの非磁性元素
を添加しても良い。
【0039】本実施例によれば、図11に示すように再
生層3が面内磁化膜から垂直磁化膜に遷移する温度Tt
1を中間層のキュリー温度Tc3とほぼ近い温度にして
おくことで、Tc3以下ではフロントマスク15、Tc3
以上では静磁結合によるアパーチャ16を形成する事が
出来、したがって微小磁区の超解像再生が可能になる。
この場合も、グルーブ上の磁化を高周波で変調処理して
おくことにより安定した情報再生が行える。厳密には、
Tc3=Tth1となるように媒体組成を決めると最も効
率良く超解像再生が行えるが、−30≦Tth1−Tc3
≦50の範囲であれば、それほど超解像効果を損なうこ
となく、情報再生が可能である。
【0040】また、本実施例でも更に高温部分を用いて
実施例3と同様の原理によるリアマスクを形成すること
により、超解像をダブルマスク構造とする事が出来るこ
とは勿輪である。
【0041】実施例5 本発明の第五の実施例を図12を用いて説明する。
【0042】本実施例は、光ディスクの記録容量を増加
させるためにランド・グルーブ双方に情報記録を行う場
合である。この場合も、消去方向の磁化の向きをディス
ク全面に渡って一様にすると、記録パターンによりブラ
ンク部分の結合が弱くなる。したがって、最初の記録動
作に先だっでランドとグルーブの双方にあらかじめ高周
波で記録処理を行っておく。これにより、以降ランド・
グルーブどちらに記録を行っても安定した情報再生が出
来る。
【0043】なお、本実施例は上記全ての実施例で述ベ
た膜構成に関して成り立つことは勿論である。特に実施
例2〜4で述ベた膜構成を採用した場合、微小磁区の再
生が可能になるだけでなく、面内磁化膜によるマスク効
果によって隣接トラックからのクロストークを抑制する
効果も備えているため、本実施例にとってより好適であ
る。
【0044】また、実施例3のように磁区の消滅を利用
したダブルマスク構造の磁性膜を採用した場合は、ラン
ド、グルーブ共に記録磁区幅よりも僅かに広く消去領域
を設ける必要があるので、この場合はランドとグルーブ
の境界付近に本発明のように高周波で変調した領域を設
けておけばよい。
【0045】
【発明の効果】本発明の光磁気記録媒体を用いることで
各磁性層間の静磁結合力が増加し、良好な信号品位で外
部磁界に対しても安定した情報再生が実現できた。ま
た、膜構成を工夫することによってより微小なマークを
再生することが出来、情報記録媒体の記録容量を増加さ
せることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の情報記録媒体の模式的
断面図である。
【図2】本発明の第一の実施例における媒体の磁化状態
を示す模式図である。
【図3】従来の磁化状態と発生する静磁界の関係を説明
する図であり、(a)は、本発明における初期化処理を
施さない媒体の模式図、(b)、(c)はそれぞれ
(a)のトラック方向A−A’線、ラジアル方向B−
B’線でのメモリ層5の磁化の向きと該メモリ層5によ
り生じる静磁界の大きさ(Hst)を示す図である。
【図4】本発明の磁化状態と発生する静磁界の関係を説
明する図であり、(a)は、本発明における初期化処理
を施した媒体の模式図、(b)、(c)、(d)はそれ
ぞれ(a)のトラック方向A−A’線、ラジアル方向B
−B’線及びD−D’線でのメモリ層5の磁化の向きと
該メモリ層5により生じる静磁界の大きさ(Hst)を
示す図である。
【図5】本発明の情報記録媒体の外部磁界安定性を示す
図である。
【図6】本発明の第二の実施例になる媒体の原理図を示
すもので、(a)はメモリ層、再生層の磁化の向きを示
す模式図、(b)は再生層3を上方から見た図、(c)
は再生層3のトラック中心における温度分布を示す。
【図7】図6の媒体の再生層3に於けるエネルギーと温
度との関係を示すグラフである。
【図8】図6の媒体の再生層3のカー回転角の温度依存
性を示すグラフである。
【図9】本発明の第三の実施例の原理図であり、(a)
はメモリ層、再生層の磁化の向きを示す模式図、(b)
は再生層3を上方から見た図、(c)は再生層3のトラ
ック中心における温度分布を示す。
【図10】本発明の第三の実施例の高温部分に発生する
磁界を示した図である。
【図11】本発明の第四の実施例の原理図であり、
(a)はメモリ層、再生層の磁化の向きを示す模式図、
(b)は再生層3を上方から見た図、(c)は再生層3
のトラック中心における温度分布を示す。
【図12】本発明の第五の実施例の原理図である。
【図13】従来の情報記録媒体の模式的断面図である。
【図14】(a)は記録磁区により生じる静磁界の大き
さの計算結果を示すグラフであり、曲線(i)は円筒形
磁区(b)の上方30nmにおける静磁界の強さ、曲線
(ii)は直方体磁区(c)の上方30nmにおける静磁
界の強さを示す。
【符号の説明】
1 基板 2 干渉層 3 再生層 4 中間層 5 メモリ層 6 保護層 7 保護コート 8 ランド 9 グルーブ 10 記録マーク 11 再生スポット 15 フロントマスク 16 アパーチャ 17 リアマスク

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報トラック案内用のグルーブ及びラン
    ドが形成されている基板上に、少なくとも再生層とメモ
    リ層とを積層して成る光磁気記録媒体において、 前記再生層は前記メモリ層のキュリー温度よりも高いキ
    ュリー温度を持ち、 前記再生層とメモリ層は、情報再生用スポットの中の少
    なくとも一部分で互いに静磁結合し、 前記ランド上と前記グルーブ上の少なくとも一方が、情
    報の記録に先立って、所定の周波数で初期化されている
    ことを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記周波数は情報記
    録に用いる最高周波数である光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記所定の
    周波数で初期化された部分の磁区パターンはデューティ
    サイクルが略50%である光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記再
    生層と前記メモリ層の間に誘電体からなる中間層を備え
    ている光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記再生層は室温で
    面内磁化膜であり、室温とキュリー温度との間の所定温
    度以上で垂直磁化膜に遷移する事を特徴とする光磁気記
    録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記再
    生層と前記メモリ層の間に第三の磁性層からなる中間層
    を備えている光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記再生層は室温で
    面内磁化膜であり、前記第三の磁性層のキュリー温度近
    傍であって、室温と前記再生層のキュリー温度との間の
    所定温度以上で垂直磁化膜に遷移する事を特徴とする光
    磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記ラ
    ンド上及び前記グルーブ上の両方において情報の記録再
    生を行うことを特徴とする光磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 情報トラック案内用のグルーブ及びラン
    ドが形成されている基板上に、少なくとも再生層とメモ
    リ層とを積層し、 前記再生層は前記メモリ層のキュリー温度よりも高いキ
    ュリー温度を持ち、 前記再生層とメモリ層は、情報再生用スポットの中の少
    なくとも一部分で互いに静磁結合している光磁気記録媒
    体に情報を記録再生する方法であって、 情報の記録に先立って、前記メモリ層の前記ランド上と
    前記グルーブ上の少なくとも一方を所定の周波数で初期
    化することを特徴とする情報記録再生方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記周波数は情報
    記録に用いる最高周波数である情報記録再生方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または10において、前記所
    定の周波数で初期化をデューティサイクル略50%で行
    う情報記録再生方法。
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