JPH09110896A - 牛乳プロテオースペプトンのコンポーネント3の精製法 - Google Patents

牛乳プロテオースペプトンのコンポーネント3の精製法

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JPH09110896A
JPH09110896A JP29055195A JP29055195A JPH09110896A JP H09110896 A JPH09110896 A JP H09110896A JP 29055195 A JP29055195 A JP 29055195A JP 29055195 A JP29055195 A JP 29055195A JP H09110896 A JPH09110896 A JP H09110896A
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Nagauemon Sugano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホエー中のコンポーネント3を簡便な方法で
高度に精製する実用的な方法を提供すること。 【解決手段】 牛乳プロテオースペプトンのコンポーネ
ント3を透過せず、他のホエータンパク質を透過する分
画分子量の限外濾過膜を用いてホエーを濃縮及び透析す
ることを特徴とする牛乳プロテオースペプトンのコンポ
ーネント3の精製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、牛乳プロテオース
ペプトンのコンポーネント3の精製法に関し、詳しくは
牛乳に含まれるタンパク質のうちプロテオースペプトン
と総称される画分からコンポーネント3を主要成分とす
る画分を乳清(ホエー)から経済的に、しかも高い純度
で精製する方法に関するものである。本発明によって得
られるコンポーネント3画分は高い界面活性力をもち、
食品や化粧品、医薬品用の界面活性剤あるいは乳化剤、
安定剤として利用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】牛乳中のプロテオースペプトンは、牛乳
タンパク質のうちホエーを95℃から100℃で20分
加熱後、pH4.6に調整しても沈殿せず、12%トリ
クロル酢酸で沈殿する成分として定義されている(Thomp
son, M. P., Tarassuk, N. P.,Jenness, R., Lillevik,
H. A., Ashworth, U. S.and Rose, D.: Journal of Da
iry Science 48, 159 (1965))。このプロテオースペプ
トンは、均一な化学組成をもつものではなく、主にコン
ポーネント3、5及び8と呼ばれる複数のタンパク質画
分から構成されている(Larson, B. L., and G. R. Roll
eri. : Journal of Dairy Science 38, 351(1955))。そ
の後、さらにコンポーネント3、5、8-slow,8-fast
の4種の成分があると認識されている(Kolar, C. W., a
nd Brunner, J. R., Journal of Dairy Science 53, 99
7 (1970)) 。このように不均一な成分から構成されてい
るため、今日プロテオースペプトンという用語は単一の
成分を示す物質名ではなく、一つの画分名として慣用的
に用いられている。
【0003】このうちコンポーネント3は脂肪球膜を構
成する糖タンパク質と抗原性を同じくする成分を多く含
み、菅野は、これをラクトフォリンと命名している(Kan
no,C.: Journal of Dairy Science 72, 883(1989)) 。
最近、本発明者らは、ラクトフォリンを構成する主要糖
タンパク質をコードするcDNAの配列を決定すること
に成功し(Tsukasaki, F., Motoshima, H., Kuriki, H.,
Minagawa, E. and Kanno, C. 24th In ternational Da
iry Congress: Melbourne, Australia, 18th-22nd Sept
ember,1994, Brief communications and abstracts of
posters and invited papers, page 190, Gb21p,1994)
、その配列から推定されるアミノ酸配列が、別の研究
者が決定したコンポーネント3の主要糖タンパク質の一
次構造(Sorensen, E. S and Petersen, T. E. Journal
of Dairy Research 60, 535 (1993)) と完全に一致する
ことを明らかにした。すなわち、プロテオースペプトン
のコンポーネント3とラクトフォリンは定義がやや異な
るが、物質としては事実上同一の成分を示した用語であ
るため、本発明ではコンポーネント3とラクトフォリン
は同一のものを意味するものとして用いる。
【0004】本発明のプロテオースペプトン画分からの
コンポーネント3の精製法は、ラクトフォリンの精製法
と同義として扱う。我々は、すでにこのラクトフォリン
画分が極めて高い界面活性力を有し天然の界面活性剤と
して利用価値が高いことを見出している(特開平4−1
04830号)。コンポーネント3の従来的な分画方法
は、文献(例えば、Ng, W. C., Brunner, J. R. And Rh
ee K. C. Journal of Dairy Science 53,987 (1969))に
すでに詳しく説明されている。しかし、従来このコンポ
ーネント3を主成分とした画分を脱脂乳やホエーから精
製する方法は硫安分画等の煩雑な工程を必要とし、経済
的にも非常に不利で、事実上、界面活性剤や乳化剤とし
て利用するには問題があった。また、複雑な精製法を用
いると、精製過程で不純物が混入するおそれもあり、よ
り簡便なコンポーネント3の精製法の開発が求められて
いる。なお、本発明のような膜処理による精製法はいま
だ報告されていない。その理由は、コンポーネント3の
主要な構成タンパク質の分子量が変性下で約27000
と17000の分子量の糖タンパク質からなり、他の混
在するα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリンと
あまり大きさに差がないことから、事実上分画は困難で
あると考えられていたためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまで、コンポーネ
ント3あるいはラクトフォリンを効率的に精製する方法
は未だ報告されていなかった。本発明は、従来報告され
ている方法のように硫安沈殿やカラムクロマトグラフィ
ーなどの方法を用いずに、ホエーから特にコンポーネン
ト3を多く含む画分を精製する方法を開発することを目
的とする。なお、本発明において原料として用いるホエ
ーには制限がなく、例えば酸性ホエーや中性ホエーのみ
ならず、ホエーを粉末化したホエーパウダー、ホエータ
ンパク質を濃縮したホエータンパク質の濃縮物(WP
C)、ホエータンパク質の単離物(WPI)なども使用
できる。これらは、すべて市販されており、容易に入手
が可能である。これらは、いずれもコンポーネント3成
分をホエーと同様に含んでおり、適当に水などで還元す
れば、ホエーと同じく原料として利用することができ
る。したがって、本明細書において「ホエー」とは特に
断わらない限り、これらを含んだものを意味する。
【0006】
【課題を解決するための手段】牛乳やホエーをpH4か
ら5の範囲で加熱(約90℃) した後、遠心分離により
凝集物を除去しても、単にプロテオースペプトンを多く
含む画分が得られるのみで、コンポーネント3のみを精
製することができない。しかし、本発明者らは鋭意努力
の結果、単にホエーを限外濾過濃縮装置で濃縮後(タン
パク質含量として0.05%(重量/容量)以上)に、
90℃前後の加熱をすることによって、コンポーネント
3以外の大部分のタンパク質を凝集させて除去し、上清
にはコンポーネント3が主要な成分として残り、精製す
ることが可能であることを見出した。本発明は、かかる
知見に基づいて完成されたものである。
【0007】すなわち、請求項1に記載の本発明は、牛
乳プロテオースペプトンのコンポーネント3を透過せ
ず、他のホエータンパク質を透過する分画分子量の限外
濾過膜を用いてホエーを濃縮及び透析することを特徴と
する牛乳プロテオースペプトンのコンポーネント3の精
製法であり、請求項3に記載の本発明は、分画分子量1
万以上100万以下の限外濾過膜を用いてホエーを濃縮
及び透析した後、濃縮液を70〜100℃の温度で10
〜60分間あるいはこれと同等の加熱変性を引き起こ
す、より高温で短時間の加熱処理を実施し、牛乳プロテ
オースペプトンのコンポーネント3以外のホエータンパ
ク質を凝集させ、除去することを特徴とする牛乳プロテ
オースペプトンのコンポーネント3の精製法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、ホエーから効率よく牛
乳プロテオースペプトンのコンポーネント3を精製する
方法である。ホエーは、チーズ製造やカゼイン製造など
の副産物として得られるものであるが、ホエー(狭義)
には大きく分けて酸性ホエーと甘性ホエー(あるいは中
性ホエー)の2種類がある。酸性ホエーは主にクワル
ク、カッテージチーズなどの製造やカゼインの製造によ
り生じ、ホエーのpHが低い(通常、pH4〜5)とい
う特徴がある。一方、甘性ホエーはゴーダチーズやチェ
ダーチーズあるいはカマンベールチーズなどの製造によ
って生じ、ホエーのpHが高い(通常pH6前後)とい
う特徴がある。本発明のコンポーネント3の精製方法に
は、これら狭義のホエーのいずれをも用いることがで
き、同様に前記したホエーパウダー,WPC,WPIな
ども用いられ、これらの2種以上を併用することも可能
である。
【0009】ホエーの濃縮に際して限外濾過膜を使用す
るが、分画分子量が1万以上の膜を使用すれば、膜透析
を行うことによって、ホエー中に存在する乳糖や低分子
量物質を効果的に除去して、高純度のコンポーネント3
画分を得ることができる。分画分子量の上限は100万
である。それ以上の分画分子量のときは、コンポーネン
ト3も透過してしまい、濃縮は困難となる。さらに、分
画分子量が5万以上の膜、好ましくは10万〜50万の
膜を用いて膜透析を行うことによって、コンポーネント
3以外のカゼイン分解物やαラクトアルブミンやβラク
トグロブリンなどの主要な共存タンパク質成分を効果的
に除去し、濃縮液側にコンポーネント3を主に含む画分
を蓄積させることができる。この場合は、以下に述べる
加熱処理は必ずしも必要としない。分画分子量が1万以
上100万以下の膜を使用して膜透析を行った場合は、
得られた濃縮液を加熱処理することによって、コンポー
ネント3以外のタンパク質成分を凝集させ、除くことが
できる。その結果、より効果的にコンポーネント3を精
製することが可能である。加熱温度は70℃以上、通常
は70〜100℃である。加熱処理の時間は、通常10
〜60分が適当であり、加熱温度が80℃では20分以
上、90℃では10分以上が目安とされる。しかし、こ
の加熱処理はタンパク質を熱変性させて凝集化させるこ
とが目的であるから、これと同等の加熱変性を引き起こ
す、より高温で短時間の加熱処理、例えば121℃で数
秒程度の加熱処理でもよい。この方法としては、例えば
プレート式熱交換器を用いた加熱法等が挙げられる。な
お、加熱処理時にpHを3〜10、好ましくは3.0以
上5.0未満に調整することが望ましい。このpH調整
は、加熱後に行い、その後で遠心等により凝集物を除去
することによっても同様の結果が得られる。また、濃縮
液のタンパク質濃度が0.05(重量/容量)以上とな
るように濃縮を行う。
【0010】コンポーネント3の主要成分は変性下での
分子量は3万未満程度であり、ゲル濾過での分子量は1
3万程度であることが明らかにされている。しかし、ホ
エー中の天然条件下の存在形態では30万以上の分子量
を有していると考えられる。実際に、分画分子量が50
万あるいは100万の膜を用いても、コンポーネント3
は濃縮液側に蓄積される。
【0011】
【実施例】次に、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらによって制限されるものではない。 実施例1 <コンポーネント3の同定>チーズ製造、例えばクワル
ク製造で生じた酸性ホエーを分画分子量5万の膜を使用
して濃縮し、濃縮液を非変性下でポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(PAGE)し、クマーシーブリリアントブ
ルーR250で染色してコンポーネント3の存在を確認
した。なお、ゲルの濃度は12.5%であった。図1は
その電気泳動写真を示したものである。なお、電気泳動
は文献(Davis, B. J. Ann. N. Y. Acad. Sci. 121,404
(1964))記載の方法により実施した。目的とするコンポ
ーネント3は、この泳動方法では移動度の比較的小さい
位置に容易に確認することができる。この画分は、前記
したように、菅野によりラクトフォリンと命名されてい
る。本発明のポリアクリルアミドゲル電気泳動は、すべ
てこの条件で実施した。
【0012】実施例2 <限外濾過によるコンポーネント3の選択的濃縮>クワ
ルク製造で生じた酸性ホエーからの限外濾過によるコン
ポーネント3の濃縮の例を示す。この酸性ホエーはpH
4.23であった。これをさらにイオン交換樹脂法でp
Hを8.30に置換したpH調整ホエーを準備した。こ
れら2種類のpHのホエーを平膜型の限外濾過装置で濃
縮した結果を図2に示した。なお、実験装置は東洋ソー
ダ(株)製UF−LMS型UFモジュールであり、分画
分子量30万の膜(UF−300PS)を用いた。それ
ぞれのサンプル200mlを流速2.5ml/分で通液
し、濃縮液40mlと透過液160mlを得た。
【0013】得られた透過液は凍結乾燥した。濃縮液は
さらに水60mlを加えた後、40mlになるまで濃縮
し、凍結乾燥した。得られたそれぞれの凍結乾燥物を電
気泳動で比較した(図2)。その結果、pH調整してい
ないホエーでもpH調整後のホエーでも、濃縮液にはコ
ンポーネント3が濃縮されていること、透過液側にはコ
ンポーネント3のバンドが見られないことが明らかとな
った。また、コンポーネント3以外の移動度の大きいα
ラクトアルブミンやβラクトグロブリンなどのホエータ
ンパク質は濃縮液と透過液の両方に存在することが明ら
かとなった。この結果から、ホエーを限外濾過膜で濃縮
するときにαラクトアルブミンやβラクトグロブリンは
透過し、かつコンポーネント3は透過できない分画分子
量の限外濾過膜を利用すれば、コンポーネント3を効率
的に濃縮できることが容易に理解できる。図2におい
て、レーン1はpHを調整していない酸性ホエー原液
(pH4.2)、レーン2は該酸性ホエーを限外濾過装
置で濃縮した時の濃縮液、レーン3は該酸性ホエーを限
外濾過装置で濃縮した時の透過液、レーン4はイオン交
換法でpHを調整した酸性ホエー(pH8.3)、レー
ン5は該pH調整酸性ホエーを限外濾過装置で濃縮した
時の濃縮液、レーン6は該pH調整酸性ホエーを限外濾
過装置で濃縮した時の透過液を示す。レーン3とレーン
6の透過液ではコンポーネント3のバンドが見られない
ことが分かる。
【0014】実施例3 <コンポーネント3の回収に対する加熱の影響>実施例
2に示したように、コンポーネント3は限外濾過によっ
て効率よく選択的に濃縮できることが明らかとなった。
しかし、αラクトアルブミンとβラクトグロブリンを主
成分とするコンポーネント3以外のタンパク質も、特に
分画分子量の小さい膜を使用して膜透析を行った場合に
はやや濃縮されるか、または濃縮されない場合でも平衡
状態となり、濃縮液中に混在していることが判明した。
そこで、さらにコンポーネント3の純度を高めるため
に、濃縮後に90℃、30分の加熱処理を実施し、混在
するコンポーネント3以外の成分を変性させ、凝集させ
た後、それらを遠心分離により分離することでコンポー
ネント3以外の成分を除去すべく検討した。
【0015】その結果、分画分子量10万あるいは50
万の膜を用いて酸性ホエーを濃縮した後に、濃縮液を9
0℃で30分加熱し、遠心分離したとき、どちらの膜を
用いても加熱処理によって効率よくコンポーネント3以
外の画分を除去できることが明らかとなった。電気泳動
で求めた結果を図3に示す。図3において、レーン1は
酸性ホエーを分画分子量50万の膜で濃縮後、加熱し、
遠心分離後の上澄液、レーン2はレーン1と同様なサン
プルの加熱していないもの、レーン3は酸性ホエーを分
画分子量10万の膜で濃縮し、加熱していないもの、レ
ーン4はレーン3と同じサンプルを加熱し、遠心分離し
た上澄液を示す。これらの電気泳動により加熱後、遠心
分離を行うことによってコンポーネント3以外のバンド
が減少していることが明らかである。
【0016】実施例4 <コンポーネント3の回収に対する限外濾過膜の分画分
子量の影響>コンポーネント3は、前記したように、変
性下で電気泳動すると、分子量は主に27000と17
000の比較的小さな分子が主要構成分であること、ま
たゲル濾過では約13万前後の分子量であることが分か
っているが、ホエー中の天然状態ではさらに大きな分子
量で存在していると考えられ、分画分子量が1万以上1
00万までの限外濾過膜を使用して濃縮を行ったとき、
コンポーネント3は濃縮液側に蓄積することが分かっ
た。すなわち、従来はコンポーネント3は分子量がカゼ
インやαラクトアルブミンやβラクトグロブリン等と比
較的近いものであると考えられていたため、膜による効
率的な分画は不可能と考えられていたが、実際には、本
実施例で示したように、分画分子量が5万から50万と
いう非常に大きい膜でも、コンポーネント3は膜を透過
できずに濃縮できることが明らかとなった。
【0017】図4は、分画分子量1万、5万、10万、
50万、100万の限外濾過膜を使用して濃縮して得た
ものを加熱処理(90〜95℃で10〜30分間)し、
遠心分離して得た上清を電気泳動により分析した結果を
示したものである。図中、レーン1は分画分子量1万の
膜で濃縮したのち、加熱し、遠心分離して得た上澄液の
ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果、レーン2は分
画分子量5万の膜で濃縮したのち、加熱し、遠心分離し
て得た上澄液のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結
果、レーン3は分画分子量10万の膜で濃縮したのち、
加熱し、遠心分離して得た上澄液のポリアクリルアミド
ゲル電気泳動の結果、レーン4は分画分子量50万の膜
で濃縮したのち、加熱し、遠心分離して得た上澄液のポ
リアクリルアミドゲル電気泳動の結果、レーン5は分画
分子量100万の膜で濃縮したのち、加熱し、遠心分離
して得た上澄液のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結
果をそれぞれ示す。この結果から明らかなように、1万
から50万までの分画分子量の膜では濃縮液側に濃縮さ
せることが可能で、透過液側にコンポーネント3は出て
こなかった。しかし、分画分子量100万の膜では、コ
ンポーネント3は透過液側にも漏洩したが、ある程度濃
縮された。したがって、効率よくコンポーネント3を限
外濾過法で濃縮、精製するには、コンポーネント3が通
過できないぎりぎりの分画分子量の膜(例えば、5万か
ら50万の膜)を用いれば、膜透析によって効率よく夾
雑物を減少させることが可能であり、しかも膜の詰まり
が起こりにくくなり経済的である。
【0018】実施例5 <加熱時のタンパク質濃度の影響>クワルク製造で生じ
た酸性ホエーを濃縮前に加熱しても、凝集物や沈殿物は
生成せず、遠心分離を行ってもαラクトアルブミンやβ
ラクトグロブリンは殆ど除去できない。それ故、効率よ
くコンポーネント3を限外濾過法で精製するには膜透析
で濃縮後に加熱処理を行うことが必要である。このと
き、どの程度のタンパク質濃度で加熱処理すれば、コン
ポーネント3成分以外の成分を除去できるかについて検
討した。分画分子量50万の膜を使用して得た酸性ホエ
ー濃縮物を凍結乾燥した。これをタンパク質濃度として
0.05、0.1、0.3、0.5、0.7、1.0、
2.0%(W/V)になるように水で還元し調製した。
なお、タンパク質含量はウシ血清アルブミンを標準タン
パク質として色素法によって決定した。これらの濃度に
調製した濃縮液を95℃で20分間加熱処理した後、1
5000rpmで遠心分離後、上澄液を各レーンのタン
パク質量がほぼ同じになるようにして、電気泳動で分析
した。結果を図5に示す。各レーンのサンプルのタンパ
ク質濃度は次の通りである。 レーン1:加熱前の濃縮液(対照)、レーン2:0.0
5%(W/V)、レーン3:0.1%(W/V)、レー
ン4:0.3%(W/V)、レーン5:0.5%(W/
V)、レーン6:0.7%(W/V)、レーン7:1.
0%(W/V)、レーン8:2.0%(W/V) 図から明らかなように、タンパク質濃度が0.05%以
上の濃縮液を加熱処理した場合に、特にβラクトグロブ
リンを除去できることが分かった。また、0.1%以上
のタンパク質濃度では、αラクトアルブミンも除去でき
ることが分かった。
【0019】実施例6 <濃縮液のpHの影響>コンポーネント3成分以外の成
分を効果的に除去してコンポーネント3を効率よく精製
するためには、濃縮液のpHをどのように調整すればよ
いかを調べるため、濃縮液のpHの影響について検討し
た。すなわち、分画分子量50万の膜を使用して得た酸
性ホエー濃縮物を凍結乾燥した。この酸性ホエー濃縮物
は水で膜透析を続けると、アルカリ性(pH8.3)に
なった。これをタンパク質濃度0.5%(W/ V)にな
るように各種緩衝液で調製し、これらの濃縮液を煮沸
(95〜100℃)で20分間加熱処理し、15000
rpmで遠心分離後、上澄液をタンパク質量として同じ
になるようにしてから、電気泳動で分析した。結果を図
6に示す。図中、各レーンのサンプルのpHは次のとお
りである。 レーン1:pH3、レーン2:pH4、レーン3:pH
5、レーン4:pH6、レーン5:pH7、レーン6:
pH8、レーン7:pH9、レーン8:pH10 図から明らかなように、どのpH値においてもαラクト
アルブミンやβラクトグロブリンなどは除去可能である
と考えられる。さらに、よく観察すると、コンポーネン
ト3よりも移動度の小さい高分子の糖タンパク質は酸性
下での加熱処理によって除去することができることが分
かる。遠心分離後の上澄液は、pHが3.0以上5.0
未満のとき透明度が高かったが、アルカリ側で加熱処理
すると、上澄液が白濁し、変性したタンパク質が多くな
ったものと考えられる。それ故、加熱時のpHは3.0
以上5.0未満が望ましい。なお、加熱後にpH調整を
行い、その後で遠心分離等により凝集物を除去しても同
様の結果が得られる。
【0020】実施例7 <加熱温度の影響>コンポーネント3を効率よく精製す
るためには、加熱処理の温度をどの程度にすればよいか
検討した。そこで、分画分子量50万の膜を使用して得
た酸性ホエー濃縮物を凍結乾燥した。これをタンパク質
濃度0.5%(W/V)になるように調製した(HCl
を用いてpH4.0に調整した。)次いで、濃縮液を4
0℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃または
煮沸(95〜100℃)の温度で20分間加熱処理した
後、15000ppmで遠心分離後、上澄液をタンパク
質量として同じになるように調整後、電気泳動で分析し
た。その結果を図7に示す。なお、対照として加熱処理
をしないものを用いた。図中、各レーンのサンプルの加
熱温度は次の通りである。 レーン1:加熱前の濃縮液(対照):レーン2:40
℃、レーン3:50℃、レーン4:60℃、レーン5:
70℃、レーン6:80℃、レーン7:90℃、レーン
8:煮沸(95〜100℃) その結果、90℃で20分に相当する加熱処理でかなり
の除去が可能であると考えられた。しかし、加熱処理温
度が95〜100℃であれば、さらに効率よくコンポー
ネント3以外の成分を除去できることが明らかとなっ
た。
【0021】実施例8 <加熱時間の影響>コンポーネント3を効率よく精製す
るためには、加熱処理の時間をどの程度とすればよいか
検討した。実施例7と同様な濃縮液を煮沸(95〜10
0℃)で1分から60分加熱した。次いで、15000
rpmで遠心分離後、得られた上澄液を各レーンのタン
パク質量が同じになるようにして、電気泳動で分析し
た。その結果を図8に示した。各レーンのサンプルの煮
沸(95〜100℃)での加熱時間はレーン1:未加熱
(0分間)、レーン2:1分間、レーン3:5分間、レ
ーン4:10分間、レーン5:15分間、レーン6:2
0分間、レーン7:25分間、レーン8:30分間、レ
ーン9:40分間、レーン10:50分間、レーン1
1:60分間である。図から明らかなように、95〜1
00℃で5分間以上加熱すれば、コンポーネント3を効
率的に精製できることが分かる。この結果と実施例7の
結果とを併せて判断すると、90℃で10分程度の加熱
処理が適当である。なお、当然のことながら、この加熱
処理はタンパク質を熱変性させるためであるから、これ
と同等な変性を引き起こすことができる、より高温で短
時間の加熱(例えば121℃、数秒間)でも同様の結果
が得られることは明白である。
【0022】実施例9 <酸性ホエーからのコンポーネント3画分の生産>上記
の各実施例の結果に基づいて、実際にホエーからコンポ
ーネント3を精製した。すなわち、クワルク製造で生じ
た酸性ホエー270kg(pH4.3)を50〜55℃
に加温し、これを限外濾過装置(α−ラバルUFR1/
2、フォローファイバーPM100、分画分子量10
万)で濃縮、加水による膜透析を行い、総量36kgま
で濃縮した。次いで、逆浸透膜(Reverse Osmosis、R
O)(DDS,HR95) で5kgまで濃縮した後、煮
沸(95〜100℃)で30分間加熱処理し、3000
rpmで15分間遠心分離して沈殿物を除去した。な
お、加熱処理時の濃縮液のpHは8.3に調整した。得
られた上清を凍結乾燥してコンポーネント3画分を64
g得た。
【0023】実施例10 <酸性ホエーからの透明度の高いコンポーネント3画分
の生産>実施例9で得られたコンポーネント3は水に溶
解したとき白濁しているので、この例では透明度の高い
コンポーネント3の製造例を示す。酸性ホエー363k
gを50〜55℃に加温して限外濾過装置(α−ラバル
UFR1/2、フォローファイバーPM500、分画分
子量50万)で濃縮、加水による膜透析を行い、総量2
2kgまで濃縮した。次いで、逆浸透膜(RO)(DD
S,HR95)で5kgまで濃縮した後、撹拌しながら
6規定塩酸を用いてpH4.0に調整した。それから煮
沸(95〜100℃)で30分間加熱処理し、3000
rpmで15分間遠心分離して沈殿物を除去した。得ら
れた上清を凍結乾燥して透明度の高いコンポーネント3
画分を54g得た。
【0024】実施例11 <実施例9および実施例10で得たコンポーネント3画
分の分析>実施例9および10で製造したコンポーネン
ト3画分をポリアクリルアミド電気泳動で分析した結果
を図9に示した。図中、レーン1が実施例9で得たコン
ポーネント3画分であり、レーン2が実施例10で得た
コンポーネント3画分である。
【0025】実施例12 <中性ホエーからのコンポーネント3の精製例>これま
での実施例では酸性ホエーからのコンポーネント3の精
製例のみを示したが、この例では中性ホエーからも同様
な方法でコンポーネント3を精製できることを示す。中
性ホエーを用い実施例9と同様な方法で処理して得たコ
ンポーネント3画分のポリアクリルアミドゲル電気泳動
での分析結果を図10に示す。図から明らかなように、
得られたコンポーネント3画分の純度は、中性ホエーか
らの場合も酸性ホエーからの場合とほぼ同様であった。
【0026】
【発明の効果】本発明によって、ホエー中のコンポーネ
ント3を主要成分とする画分を試薬等を殆ど用いずに、
物理的な方法のみで高度に精製する実用的な方法が提供
される。コンポーネント3、すなわちラクトフォリンは
非常に高い乳化性があることがすでに分かっているが、
このものを本発明によって初めて経済的に製造すること
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の結果を示す電気泳動写真である。
【図2】 実施例2の結果を示す電気泳動写真である。
【図3】 実施例3の結果を示す電気泳動写真である。
【図4】 実施例4の結果を示す電気泳動写真である。
【図5】 実施例5の結果を示す電気泳動写真である。
【図6】 実施例6の結果を示す電気泳動写真である。
【図7】 実施例7の結果を示す電気泳動写真である。
【図8】 実施例8の結果を示す電気泳動写真である。
【図9】 実施例11の結果を示す電気泳動写真であ
る。
【図10】 実施例12の結果を示す電気泳動写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅野 長右エ門 栃木県宇都宮市下平出町1023−2 (72)発明者 司城 不二 北海道札幌郡広島町輪厚465−1番地 よ つ葉乳業株式会社リサーチセンター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 牛乳プロテオースペプトンのコンポーネ
    ント3を透過せず、他のホエータンパク質を透過する分
    画分子量の限外濾過膜を用いてホエーを濃縮及び透析す
    ることを特徴とする牛乳プロテオースペプトンのコンポ
    ーネント3の精製法。
  2. 【請求項2】 限外濾過膜が分画分子量5万以上50万
    以下のものである請求項1記載の精製法。
  3. 【請求項3】 分画分子量1万以上100万以下の限外
    濾過膜を用いてホエーを透析した後、濃縮液を70〜1
    00℃の温度で10〜60分間加熱処理し、あるいはこ
    れと同等の加熱変性を引き起こす、より高温で短時間の
    加熱処理を実施し、牛乳プロテオースペプトンのコンポ
    ーネント3以外のホエータンパク質を凝集させ、除去す
    ることを特徴とする牛乳プロテオースペプトンのコンポ
    ーネント3の精製法。
  4. 【請求項4】 加熱処理の前または後にpHを3.0以
    上5.0未満に調整した後、コンポーネント3以外のホ
    エータンパク質を凝集させる請求項3記載の精製法。
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