JPH09113924A - 液晶シャッタ - Google Patents

液晶シャッタ

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JPH09113924A
JPH09113924A JP27425395A JP27425395A JPH09113924A JP H09113924 A JPH09113924 A JP H09113924A JP 27425395 A JP27425395 A JP 27425395A JP 27425395 A JP27425395 A JP 27425395A JP H09113924 A JPH09113924 A JP H09113924A
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Japan
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liquid crystal
crystal panel
light
type liquid
crystal shutter
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JP27425395A
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Yoshikazu Yabe
嘉一 矢部
Ryoji Shiraishi
良次 白石
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Fujitsu Frontech Ltd
Original Assignee
Fujitsu Frontech Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】遮光度が最適で、明視から暗視へ高速に切り替
わり、消費電流が少なく、駆動回路系の障害時にも安全
性が確保できる液晶シャッタを提供する。 【解決手段】液晶シャッタ1は、2枚のガラス基板4a
及び4b、これらの間に空隙を形成するスペーサ、ガラ
ス基板4a及び4bの内面に接して形成された透明電
極、上記空隙に収容された液晶(いずれも不図示)、並
びにガラス基板4a、4bの外側に夫々密着し偏光の向
きが平行する2枚の偏光板5及び6とで形成されたネガ
型液晶パネル2と、2枚のガラス基板7a及び7b、こ
れらの間に空隙を形成するスペーサ、ガラス基板7a及
び7bの内面に接して形成された透明電極、上記空隙に
収容された液晶(いずれも不図示)、ガラス基板7a、
7bの外側に夫々密着し偏光の向きが互いに直交する2
枚の偏光板8及び9とで形成されたポジ型液晶パネル3
とを重ねて構成される。明視から暗視への自動切り換え
時には、ポジ型液晶パネルへの初期駆動電圧を高く設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉眼を光線から保
護する液晶シャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、建設工事等においては必ずと
いってよいほど溶接作業が必要になってくる。以前のよ
うにガス溶接が主流であった時代では、バーナの炎から
目を守るためには色の濃いサングラス程度の簡単な保護
眼鏡で充分であったが、近年のように電気溶接が主流に
なると、強力な電気アークの光(以下、溶接アークとい
う)から目を守るためには、種々対処しなければならな
い問題が発生する。
【0003】図7は、溶接アークを太陽光と比較した図
である。曲線Aは溶接アークの放射エネルギー分布を示
し、曲線Bは太陽光の放射エネルギー分布を示してい
る。同図に示すように、溶接アークのスペクトルは、太
陽光に比較して可視領域のみならず紫外線領域及び赤外
線領域でも極めて強力であることが分かる。肉眼で太陽
を直視すると眼底の網膜を損傷し、これがひどいときに
は失明することがよく知られているが、溶接アークの放
射はその太陽光よりも更に強力である。強い可視光もさ
ることながら、紫外線では波長200〜400nm(ナ
ノメートル)の放射、赤外線では波長780nm以上の
放射が人の目には危険であるとされており、この波長領
域の強い放射に裸眼を曝すると失明するといわれてい
る。溶接作業において、作業中の手元を目視により確認
する必要があるから可視光を完全に遮断することはでき
ないが、不可視領域の放射は目には不要のもであるから
完全に遮断しても一向に支障はない。したがって、電気
溶接用の保護眼鏡には一般に上記の紫外線や赤外線を略
完全に遮断するフィルタが使用され、可視光に対しては
適宜に遮断する暗視フィルタが使用される。
【0004】上述したように溶接アークは極めて強力で
あるから、サングラスやガス溶接用眼鏡のように直視方
向のみを保護するのでは不足である。したがって従来は
電気溶接用の保護眼鏡は、反射等で脇から回り込んで目
に入る強力な可視光で明視の残像が生じて作業に支障を
きたしたり、上述の危険な放射で目を痛めることを避け
るため、耳の付け根近傍まで顔面全体を覆う防護面の形
状をしていた。これを一方の手に持ち、他方の手で溶接
作業を行うようにしていた。すなわち、溶接開始前に作
業位置を確認するときは、防護面を脇に避けて顔を出
し、作業位置に溶接棒を当接させて電気アークを形成す
る直前に防護面で顔面を覆うという操作を行うもであっ
た。
【0005】したがって、これでは、両手が塞がって不
便であるばかりでなく、防護面は長時間にわたって片手
で持つには結構重いものであるから作業の疲労度が加速
される。近年液晶技術の向上に伴って液晶による遮光シ
ャタが開発され、明視から暗視へ自動的に切り換えるよ
うにした覗き窓を有するゴーグル型の電気溶接保護眼鏡
が用いられるようになってきている。
【0006】液晶は元来表示装置用に開発され、利用さ
れてきたものである。一般に液晶表示パネルは、2枚の
硝子基板の互いに向き合う表面に透明電極が形成され、
液晶分子を一定方向に並べる(配向させる)ために、透
明電極上に高分子の薄膜(通常500Å乃至1000
Å)が形成されている。そして2枚の硝子基板間で液晶
分子が丁度90度ねじれて配向するように高分子の薄膜
表面に方向性を寄与し、更に2枚の硝子基板の外側には
偏光板が配置されている。透明電極に電圧を印加するこ
とにより液晶分子の配向に変化を与え、更に2枚の偏光
板が有する一次元的な偏光方向を夫々同調または90度
回転させることによって液晶基板に入射する光を透過さ
せ又は遮光する。液晶に電圧が印加されていない状態で
は液晶の配向は90度ねじれた状態であり、このとき2
枚の偏光板の偏光方向が直交していれば光を透過させ、
2枚の偏光板の偏光方向が同調していれば光を遮断させ
る。液晶に電圧を印加した場合、液晶の配向は90度ね
じれた状態を解消し、硝子基板に対しほぼ垂直の配向に
なる。従って2枚の偏光板の偏光方向が直交していれば
光を遮断させ、2枚の偏光板の偏光方向が同調していれ
ば光を透過させる。
【0007】そして、上記の電圧非印加のとき光を透過
させ電圧印加のとき光を遮断する液晶パネルを光シャッ
タとして用いるとき、これをポジ型の液晶シャッタとい
い、電圧非印加のとき光を遮断し電圧印加のとき光を透
過させる液晶パネルを光シャッタとして用いるとき、こ
れをネガ型の液晶シャッタと一般には称している。
【0008】ところで、溶接用保護眼鏡に限らず、液晶
シャッタが各分野で広く採用されてくるようになると、
シャッタの機能に共通する規格がないと部材取引の上で
も又設計の上でも不便である。このようなことから遮光
眼鏡に関するJIS規格T8141が存在している。
【0009】図8は、遮光眼鏡のJIS規格T8141
の一覧表である。同図に示す図表には紫外線と赤外線の
透過率を示す表は割愛してある。上述したように紫外線
と赤外線は、一般に、例えば「緑」のフィルタ等を用い
て恒常的に排除するようにしているから以後特には取上
げて説明しない。同図に示すように、JIS規格では、
遮光番号1.2から遮光番号16までの規格が存在す
る。それぞれの分野の用途に応じて、遮光眼鏡を作成す
る際、一定の遮光特性を維持するために、これらの規格
が参照される。
【0010】電気溶接用として上述した液晶シャッタを
用いる場合、一般に作業中に溶接部を暗視する暗さを2
段階に切り換えることができるように構成されている。
我が国では電気溶接用保護眼鏡にネガ型の液晶シャッタ
を2枚重ねて用い、これによって2種類の暗さを形成す
るようにしているものが多い。この型は、常には暗視状
態であり、使用しないときは目から外し、作業開始直前
に電源スイッチを入れて明視状態にして目に掛け、溶接
を開始すると光センサによって自動的に電源が遮断され
て暗視状態になる構造である。このように溶接開始直前
の作業位置確認のときのみ電源を通電するだけであるか
ら、したがって節電型である。
【0011】一方、欧米では、ポジ型の液晶シャッタを
1枚用い、電圧を制御することにより2種類の暗さを実
現してる。これは常には明視状態であり、溶接開始によ
って自動的に電源が入って暗視状態になる構造である。
このように常には明視状態であるから作業場では目に掛
けたままの状態でもよく手数がかからないという長所が
ある。また、明視から暗視への切り替わりは、電圧の印
加によっているから、切り替わり速度を電圧で制御でき
るという利点もある。
【0012】通常、電気溶接用の保護眼鏡における遮光
特性としては、経験上、明視するときの明るさが遮光番
号4の規格が最適とされる。また、溶接作業実行中に暗
視するときの暗さは人によって異なるが、遮光番号8又
は10を切り換えて使用する、遮光番号9又は11を切
り換えて使用する、遮光番号10又は12を切り換えて
使用する、又は遮光番号10又は13を切り換えて使用
する、という使用方法が統計上で要望が多いことが判明
している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、我が国
で主流となっているネガ型の液晶シャッタを用いたもの
はネガ型の液晶シャッタの遮光特性が低いため2枚重ね
ても遮光番号12及び13の遮光度を実現することがで
きないという問題がある。そうであるからといって、ネ
ガ型の液晶シャッタを3枚以上重ねると、明視のときの
遮光番号4の明るさを維持することができないという問
題が発生する。また、明視から暗視への切り換えは印加
電圧の遮断によって行っているから、その明視から暗視
への切り替わり(液晶の電圧感応の立ち下がり)速度は
自然任せであり一定である。この切り替わり速度は液晶
の特性により、現在では40msec(ミリ秒)が限界
とされている。
【0014】ところで、太陽を誤って直視した場合で
も、200msec以内に目を他に転じれば残像現象は
生じないとされているが、溶接アークでは、上述したよ
うに光強度が極めて強力であるために、明視から暗視へ
の切り換えが30msec以内でないと、明視した溶接
アークの残像によって一時的な盲目状態になるといわれ
ており、作業上極めて危険である。しかし、ネガ型の液
晶シャッタでは上述したように明視から暗視への切り替
わりは40msecと一定であり、上記の条件を満足す
るものではない。我が国では、作業者は溶接開始の初め
において目を閉じるなどして対応しているものと思われ
る。
【0015】一方、欧米で主流となっているポジ型の液
晶シャッタを用いたものは、電圧を印加しときのポジ型
の遮光性が高いため、遮光番号12及び13の遮光度を
実現することができる。しかしながら、他方では、長時
間の作業中、暗視状態を維持するためには電源電圧を印
加していなければならないから、エネルギー消費型であ
って経済性に劣るという問題がある。また、不測の電源
故障等で作業中に液晶への印加電圧が断絶すると、40
msecという殆ど瞬時の間に明視状態になる。このよ
うな不測の事態に対する人の反応は一般に極めて鈍いか
ら、事故に気付いて条件反射で目を閉じたとしても、そ
れまでの間、作業者は溶接アークを百ミリ秒以上は明視
状態で直視することになり極めて危険な状態となる虞が
ある。
【0016】本発明の課題は、暗視時の遮光度が最適で
あり、明視から暗視へ高速に切り替わり、消費電流が少
なく、駆動回路系の障害時にも安全性が確保できる液晶
シャッタを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶シャッタ
は、ポジ型の液晶パネルとネガ型の液晶パネルを重ねて
構成される。
【0018】そして、例えば請求項2記載のように、ポ
ジ型の液晶パネルに対する電源電圧をオフとしネガ型の
液晶パネルに対する電源電圧をオンとしたとき一定の明
るさの可視線透過性を有し、ポジ型の液晶パネル及びネ
ガ型の液晶パネルに対する電源電圧を共にオンとしたと
き可視線に対する一定の暗さの第1の遮断性を有し、ポ
ジ型の液晶パネルに対する電源電圧をオンとしネガ型の
液晶パネルに対する電源電圧をオフとしたとき可視線に
対して上記第1の遮断性よりも暗い第2の遮断性を有
し、ポジ型の液晶パネル及びネガ型の液晶パネルに対す
る電源電圧が共にオフとなったとき可視線に対して一定
の暗さの第3の遮断性を有するように構成される。
【0019】上記一定の明るさの可視線透過性は、例え
ば請求項3記載のように、JIS規格T8141の遮光
度番号4の可視線透過率を形成するように構成される。
また、上記第1の遮断性は、例えば請求項4記載のよう
に、JIS規格T8141の遮光度番号8、9又は10
の可視線透過率を形成するように構成される。また、上
記第2の遮断性は、例えば請求項5記載のように、JI
S規格T8141の遮光度番号10、11、12又は1
3の可視線透過率を形成するように構成される。また、
上記第3の遮断性は、例えば請求項6記載のように、電
気アークの可視線から人の眼を防護するに足る光遮断性
を有して構成される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1は、一実施例に関わる液
晶シャッタの構成を模式的に示す断面図である。同図に
示すように、液晶シャッタ1は、ネガ型液晶パネル2と
ポジ型液晶パネル3を重ね合わせて構成される。
【0021】ネガ型液晶パネル2は、2枚のガラス基板
4a及び4bと、同図では図示を省略しているが、これ
らのガラス基板4a、4b間に空隙を形成するためのス
ペーサ、ガラス基板4a及び4bの内面に接して形成さ
れた2枚の透明電極、上記空隙に収容された液晶、ガラ
ス基板4a、4bの外側にそれぞれ密着して形成された
2枚の偏光板5及び6から構成される。偏光板5及び6
の偏光の向きは互いに同方向になるように構成されてい
る。
【0022】一方、ポジ型液晶パネル3は、2枚のガラ
ス基板7a及び7bと、これも同図では図示を省略して
いるが、これらのガラス基板7a、7b間に空隙を形成
するためのスペーサ、ガラス基板7a及び7bの内面に
接して形成された2枚の透明電極、上記空隙に収容され
た液晶、ガラス基板7a、7bの外側にそれぞれ密着し
て2枚の偏光板8及び9が形成されていることは上記の
ネガ型液晶パネル2と同様である。但し、偏光板8及び
9の偏光の向きは互いに直交するように構成されてい
る。また、偏光板6及び8の偏光の向きは互いに同方向
になるように構成されている。
【0023】同図には、ネガ型とポジ型の区別が一目で
分かるようにするために、ガラス基板4a及び4b並び
にガラス基板7a及び7bに長短を付けて書き分けて示
している。すなわち、短いガラス基板の方が図の右側に
なっているものをネガ型液晶パネル2、そして、短いガ
ラス基板の方が左側になっているものをポジ型液晶パネ
ル3としている。
【0024】図2に、上記構成における液晶シャッタ1
の動作状態を図表にして示す。尚、一般に、液晶シャッ
タの明視状態は、360度方向に振動する光を技術上多
少の幅があるにしても略一振動方向にのみ通過させるの
であるから、光の透過率は5%程度である。しかし人の
目には多少薄暗くは感じるが不具合のない明度をもって
外部を観察できる。したがって、以下の説明では、この
明視状態を透明という。また、液晶シャッタの暗視状態
は、上述したように偏光角度に多少の幅があり、光その
ものにも回折作用があるから液晶の配列軸と偏光板の偏
光方向が直交した場合でも完全に光は遮断されず、強い
光に対しては暗視できるのであるが、通常の光度の光で
は殆ど真っ暗である。したがって、以下の説明では、こ
の暗視状態を遮光という。同図は上段にネガ型の液晶パ
ネル2の印加電圧のオン/オフとそのときの透明か遮光
かの状態、中段にポジ型の液晶パネル3の印加電圧のオ
ン/オフとそのときの透明か遮光かの状態、及び下段に
上記それぞれの場合における液晶シャッタ1の透明か遮
光かの状態を示している。
【0025】同図の縦枠11に示すように、ネガ型液晶
パネル2が電圧オンであれば状態は透明であり、このと
きポジ型液晶パネル3が電圧オフであれば状態はやはり
透明であるので、全体として液晶シャッタ1の状態は
「透明」である。
【0026】また、同図の縦枠12に示すように、ネガ
型液晶パネル2が電圧オンでその状態が透明であるとき
ポジ型液晶パネル3が電圧オンであればその状態は遮光
であるので全体として液晶シャッタ1の状態は「遮光」
である。これを可視光に対する第1の遮断性とする。
【0027】さらに、同図の縦枠13に示すように、ネ
ガ型液晶パネル2が電圧オフであり、したがってその状
態が遮光であるとき、ポジ型液晶パネル3が電圧オンで
あればその状態も遮光であるので全体として液晶シャッ
タ1の状態はより強力な「遮光」である。これを可視光
に対する第2の遮断性とする。
【0028】そして、同図の縦枠14に示すように、ネ
ガ型液晶パネル2が電圧オフとなり(したがって状態は
遮光)、ポジ型液晶パネル3も電圧オフであれば(した
がって状態は透明)、全体として液晶シャッタ1の状態
はやはり「遮光」である。一般に、ポジ型液晶パネル3
の遮光度は強いが、ネガ型液晶パネル2の遮光度は弱
く、したがって、1枚のネガ型液晶パネル2のみの遮光
では溶接作業中の保護には不向きである。しかし、電源
故障等の不測の事故で液晶シャッタ1を駆動する電源が
溶接作業中に断絶するようなことがあったときは、遮光
度が弱いとはいっても遮光であることに変りはなく、透
視状態で溶接アークを直視することに比較して、はるか
に安全である。すなわち、第1の遮断性(図2の縦枠1
2参照)を示しいるときに電池切れ等の電源事故により
電圧が断絶すると、液晶の立ち下がり(励起状態からの
減衰)はネガ型もポジ型も同様であるから、ポジ型液晶
パネル3が減衰により次第に透明状態になるに対して、
これと同時進行でネガ型液晶パネル2が次第に遮光状態
に変化する。したがって、仮令不測の電圧切断が生じて
も瞬時といえども保護眼鏡が透明状態になることはな
い。また、第2の遮断性(図2の縦枠13参照)を示し
いるときに同様に電圧が断絶すると、この場合は既にネ
ガ型の液晶パネル2が遮光状態になっているのであり、
したがって暗い方の暗視状態からネガ型液晶パネル2の
みの暗視状態に遷移するだけである。いずれの場合も、
作業者は視界がそれまでよりも明るくなることから電源
の切断事故が生じたことを容易に知ることができる。こ
れにより、透視状態で溶接アークを直視することなく、
すなわち眼底網膜の損傷等の事故を伴うことなく、この
ような変化に対処できる。
【0029】そして、保護眼鏡に、ネガ型の液晶パネル
だけを用いたのでは、前述したように透明から遮光への
状態遷移は印加電圧の切断、すなわち液晶の励起状態か
らの立ち下がり、つまり自然減衰に拠っている。この自
然減衰の速度は液晶材料の物性及び液晶の厚みに依存
し、前述したように現在では40msecが限界とされ
ている。
【0030】一方、本実施例においては、ネガ型の液晶
パネルとポジ型の液晶パネルを組合わせ、これによって
上記第1の遮断性を現出する遮光状態と第2の遮断性を
現出する遮光状態とを、ともにポジ型の液晶パネル3に
よる遮断(遮光)を利用している。すなわち電圧印加に
基づく液晶の励起に拠っている。そして、このポジ型の
液晶パネル3の立ち上がり(液晶の励起)の速度は印加
電圧によって制御することができる。
【0031】図3は、ポジ型液晶パネルの立ち上がり及
び立ち下がりの速度(液晶の応答速度)と印加電圧(液
晶パネル駆動電圧)との関係を示す図である。同図は横
軸に、左から右へ印加電圧を0Vから25V(V:ボル
ト)まで示し、縦軸に、下から上へ状態遷移の経過時間
を0.1msecから100msecまでを対数尺度で
示している。そして、同図に示す丸印(白丸及び黒丸)
はポジ型液晶パネルの印加電圧と立ち上がり時間との関
係を示し、三角印(白三角及び黒三角)は同じく印加電
圧と立ち下がりとの関係を示している。黒丸及び黒三角
印は、立ち下がりの平衡状態を「0」とし、立ち上がり
の平衡状態を「100」とした場合の10%から90%
まで立ち上がり経過時間及び90%から10%までの立
ち下がり経過時間を示している。これは、立ち上がり及
び立ち下がり共に最初と最後の10%の遷移時間が中間
の80%の遷移時間に比較して極端に大きいことを説明
するために参考までに示したものである。
【0032】そして、保護眼鏡の場合は、立ち下がりの
平衡状態の0%から立ち上がりの平衡状態の100%ま
での経過時間が問題となる。同図に示すように、立ち下
がりの経過時間は切断された印加電圧の大きさには殆ど
関係がなく一定であることが分かる。そして、100%
の立ち下がりを示す白三角印の場合、この一定な経過時
間は、既述のように、およそ40msecである。これ
に対して立ち上がりの経過時間は印加電圧に大きく依存
し、印加電圧が大きくなるに応じて、幾何級数的に短く
なって一定値に収斂する。
【0033】同図の100%の立ち上がりを表す白丸に
示すように、印加電圧が5Vの場合で経過時間はおよそ
8msec、印加電圧が10Vの場合では経過時間はお
よそ1.8msec、印加電圧が15Vの場合は経過時
間はおよそ0.8msec、そして、印加電圧が20V
の場合は経過時間はおよそ0.4msecになることが
判明している。このことに基づいて本実施例ではポジ型
の液晶パネル3の透明から遮光までの遷移経過時間が3
0msec以下となるように、その印加電圧を制御す
る。
【0034】図4(a) に、本実施例におけるポジ型液晶
パネル3への電圧印加方法を示し、同図(b) に、その結
果を説明するための比較図を示す。同図(a) に示すよう
に、溶接アークの発生を検知して液晶シャッタ1を透明
から遮光へ自動的に切り換える場合、立ち上がり当初に
おいて、時間T0の期間だけ、立ち上がり平衡後の飽和
電圧V1のおよそ3倍程度に高く設定した印加電圧V0
を印加する。上記の期間T0は、透明から遮光まで10
0%遷移する経過時間が30msec以下であるように
適宜に選択される経過時間Tに対応する。
【0035】これによって、同図(b) に示すように、立
ち上がりの当初も励起平衡後も同一の電圧V2を印加し
続ける場合における透明から遮光まで100%遷移する
経過時間T2に比較して、実施例における透明から遮光
まで100%遷移する経過時間Tを、数分の1に短縮す
ることが出来る。これにより、溶接アークの発生に基づ
いて液晶シャッタ1を透明から遮光へ、眼底を保護する
に充分なだけ瞬時に、移行させることができる。
【0036】ところで、溶接の作業現場における作業者
の要望に基づいて上述した透明と遮光の程度に関して調
べると数種類の一定した条件に集約されることは既に述
べた。すなわち、要望として、明視するときの明るさ
が遮光番号4の規格のものと、暗視するとき切り換える
暗さが遮光番号8又は10の規格のものとの組合わせが
良い。要望として、明視するときの明るさが遮光番号
4の規格のものと、暗視するとき切り換える暗さが遮光
番号9又は11の規格のものとの組合わせが良い。要望
として、明視するときの明るさが遮光番号4の規格の
ものと、暗視するとき切り換える暗さが遮光番号10又
は12の規格のものとの組合わせが良い。そして、要望
として、明視するときの明るさが遮光番号4の規格の
ものと、暗視するとき切り換える暗さが遮光番号10又
は13の規格のものとの組合わせが良い、というもので
ある。
【0037】図5(a) は、その調査結果を図表にまとめ
たものである。同図(a) には、上記4種類の要望〜
に対応する透明と遮光との組合わせをJIS規格の遮光
番号により「#4、#8、#10」、「#4、#9、#
11」、「#4、#10、#12」及び「#4、#1
0、#13」として示している。
【0038】同図(b) は、上記調査により集計された要
望に示される条件を満足させるべく本実施例において構
成される液晶シャッタの例を示している。同図(b) は、
上記の要望〜に対応する液晶シャッタを構成する偏
光板(図1参照)の規格を示している。すなわち同図
(b) は、ポジ型の液晶シャッタ3の外側の偏光板9、同
じく内側の偏光板8、ネガ型の液晶シャッタ2の内側の
偏光板6、及び同じく外側の偏光板5の規格を夫々示し
ている。同図(b) に示すように、要望を満足させる液
晶シャッタの構成として、偏光板9、8、6及び5には
Dタイプ、DタイプNタイプ及びXQタイプの偏光板を
用いる構成が適当である。要望を満足させる液晶シャ
ッタの構成として、偏光板9、8、6及び5にはHタイ
プ、Hタイプ、Eタイプ及びXLタイプの偏光板を用い
る構成が適当である。要望を満足させる液晶シャッタ
の構成として、同じくAタイプ、Aタイプ、Eタイプ及
びXLタイプの偏光板を用いるのが適当である。そし
て、要望を満足させる液晶シャッタの構成として、同
じくAタイプ、Aタイプ、Aタイプ及びXEタイプの偏
光板を用いるのが適当である。
【0039】図6は、上記偏光板の規格を図表にして示
している。偏光板の規格は45度方向の偏光と、これに
直角な135度方向の偏光とに対して設定されており、
45度の偏光板のタイプ(規格)には,A,C,D,
E,J,K,L,M,N,O,P,Q,B,F,G,
H,及びRがある。また、135度の偏光板の規格記号
は、XA,XC,XD,XE,XJ,XK,XL,X
M,XN,XO,XP,XQ,XB,XF,XG,X
H,及びXRがある。図6には、上述した要望〜に
対応する液晶シャッタを構成する偏光板の規格A(1
1)、D(12)、E及びXE(13)、XL(1
4)、N(15)、XQ(16)並びにH(17)のみ
を示している。それぞれ、単体透過率、平行透過率、直
交透過率、及び色相に規定値が示されており、更に備考
が示される。備考には「ニュートラル」と「ブルー」の
記載が見られる。「ブルー」は、溶接位置(溶接アーク
の高温で溶解している溶接部分)が見やすいといわれる
青のスペクトルを幾分は透過させる性質を持つことを示
している。
【0040】本実施例の液晶シャッタは、このような構
成のネガ型とポジ型の液晶パネルを組合わせて構成し、
ポジ型の液晶パネルに印加する初期電圧を平衡電圧(飽
和電圧)よりも高くして印加するようにしている。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ネガ型の液晶パネルとポジ型の液晶パネルを組合わせて
液晶シャッタを構成するので、明視から暗視に切り替わ
る応答速度を電圧で制御できると共に駆動回路に電源断
絶等の障害が発生した際の光遮断性を付与することがで
き、したがって、高い安全性を持たせることが可能とな
る。また、ポジ型の液晶パネルを組合わせに用いている
ので、暗視に切り換わる応答速度を駆動電圧によって高
速に制御でき、したがって、JIS規格の高い光遮断性
(低い光透過性)に容易に対応することが可能となる。
また、初期駆動電圧のみを高くし光遮断への液晶の状態
遷移が完了した後は液晶の飽和電圧で平衡状態を維持す
るので、光遮断の応答速度を格段に速く出来ると共に消
費電流を通常遮断時とほぼ同等に抑制することができ、
したがって、経済的な液晶シャッタを提供することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に関わる液晶シャッタの構成を模式的に
示す断面図である。
【図2】実施例に関わる液晶シャッタの動作状態を説明
する図表である。
【図3】ポジ型液晶パネルの立ち上がり及び立ち下がり
の速度と印加電圧との関係を示す図である。
【図4】(a) は実施例におけるポジ型液晶パネルへの電
圧印加方法を示す図、(b) はその結果を説明するための
比較図である。
【図5】(a) は溶接の作業現場における透明と遮光の程
度に関する作業者の要望を示す図表、(b) はその要望を
満足させる液晶シャッタの構成例を示す図表である。
【図6】実施例に用いられる偏光板の規格を示す図表で
ある。
【図7】溶接アークと太陽光の放射エネルギー分布を比
較して示す図である。
【図8】遮光眼鏡のJIS規格における遮光度番号と可
視光透過率の関係を示す図表である。
【符号の説明】
1 液晶シャッタ 2 ネガ型液晶パネル 3 ポジ型液晶パネル 4a、4b、7a、7b ガラス基板 5、6、8、9 偏光板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポジ型の液晶パネルとネガ型の液晶パネ
    ルを重ねて構成したことを特徴とする液晶シャッタ。
  2. 【請求項2】 ポジ型の液晶パネルに対する電源電圧を
    オフとしネガ型の液晶パネルに対する電源電圧をオンと
    したとき一定の明るさの可視線透過性を有し、ポジ型の
    液晶パネル及びネガ型の液晶パネルに対する電源電圧を
    共にオンとしたとき可視線に対する一定の暗さの第1の
    遮断性を有し、ポジ型の液晶パネルに対する電源電圧を
    オンとしネガ型の液晶パネルに対する電源電圧をオフと
    したとき可視線に対して前記第1の遮断性よりも暗い第
    2の遮断性を有し、ポジ型の液晶パネル及びネガ型の液
    晶パネルに対する電源電圧が共にオフとなったとき可視
    線に対して一定の暗さの第3の遮断性を有することを特
    徴とする請求項1記載の液晶シャッタ。
  3. 【請求項3】 前記一定の明るさの可視線透過性は、J
    IS規格T8141の遮光度番号4の可視線透過率を形
    成することを特徴とする請求項2記載の液晶シャッタ。
  4. 【請求項4】 前記第1の遮断性は、JIS規格T81
    41の遮光度番号8、9又は10の可視線透過率を形成
    することを特徴とする請求項2記載の液晶シャッタ。
  5. 【請求項5】 前記第2の遮断性は、JIS規格T81
    41の遮光度番号10、11、12又は13の可視線透
    過率を形成することを特徴とする請求項2記載の液晶シ
    ャッタ。
  6. 【請求項6】 前記第3の遮断性は、電気アークの可視
    線から人の眼を防護するに足る光遮断性を有することを
    特徴とする請求項2記載の液晶シャッタ。
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