JPH09122665A - 高濃度オゾン水による迅速浄化方法 - Google Patents

高濃度オゾン水による迅速浄化方法

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JPH09122665A
JPH09122665A JP7308256A JP30825695A JPH09122665A JP H09122665 A JPH09122665 A JP H09122665A JP 7308256 A JP7308256 A JP 7308256A JP 30825695 A JP30825695 A JP 30825695A JP H09122665 A JPH09122665 A JP H09122665A
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ozone water
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water
ozone
ppm
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Tokuji Murakami
篤司 村上
Yukio Akahori
幸男 赤堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来類例を見ない高濃度オゾン水製造技術を
確立し、この高濃度オゾン水を用いて今までより格段に
優れた特徴を持つ徹底的かつ迅速な浄化技術を確立し、
以て業界多年の渇望に応える。 【解決手段】 原生動物、プランクトンなどの微小生
物、細菌・ウイルス、またはこれらが共存、寄生するも
のにオゾン水を作用させて殺滅するか、物体に付着する
油脂、樹脂、その他の汚染物質にオゾン水を作用させて
剥離するオゾン水による浄化方法において、前記オゾン
水の濃度を20ppm以上の高濃度として完全で迅速な
浄化を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】従来は調製不可能のため性状
・応用も全く未知であった20ppmを超える高濃度オ
ゾン水(以下では「高濃度オゾン水」と略記)の製造と
濃度制御の確実な技術を確立し、この高濃度オゾン水の
特性を生かした迅速浄化技術を創製、これにより原生動
物やプランクトンなど微小生物群の殺虫による環境浄
化、更にこれら生物と細菌・ウイルスなどとの共生・寄
生を含めた複合細菌汚染を根底より浄化して感染経路を
切断、あるいは油脂・樹脂の付着などによる物体表面の
強固な汚染を分解的に剥離浄化する新規洗浄方法など、
従来は浄化困難あるいは不可能とされてきた複雑汚染を
迅速に清浄化できる簡便かつ効果的な迅速浄化方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】オゾンの殺菌作用は古くから周知の事実
であるが、毒性も強いガス体で取扱いに不便なため実用
化の普及は遅れてきた。ガスを溶解して水溶液とすれば
取扱いも便利となる筈であるが、オゾンは水に難溶のた
め常温では数ppm以上の溶液製造は困難で、しかも濃
度制御も至難である。このため、再現性に優れた定量的
データは従来皆無に近く、それ故に優れた性能にもかか
わらずオゾン水の利用は見送られてきた。この状況に鑑
み、我々はオゾン溶解の基礎研究から出発して新たにオ
ゾン水濃度制御技術を開発し、4ppmオゾン水との瞬
間的接触で細菌類は完全死滅する事実を確認し、消毒効
果を保証できるオゾン水殺菌消毒方法を確定、実用化で
きた。本法は、薬物耐性の有無に関わり無く広く細菌類
全域に奏効し、しかも簡便で安全性も高いなど理想的要
件を満たしている。これらは従来の消毒技術では到達不
可能な画期的成果であり、その原理と方法は既に出願中
の文書に記載した通りである。
【0003】その後の研究で、細菌類に対する有効性だ
けでなく、ウイルスも低濃度オゾン水との秒単位の接触
で完全に不活性化する事が判明した。このウイルスに対
する迅速完璧な効果は、従来の薬物では実現不可能なも
のであった。更に4ppm近傍の低濃度オゾン水の殺菌
効果は、細菌より形態的に大型のアメーバ栄養体に対し
ても細菌と同様に瞬間的な細胞破壊による即効性が確認
できたが、ただし堅固な外壁を構築したアメーバのシス
トに対しては低濃度オゾン水は無効であった。このシス
トなど特殊な場合を除けば、低濃度オゾン水はアメーバ
など原生動物から細菌・ウイルスに至る大中小の微小生
物群全域に、秒単位で完結する優れた殺虫・殺菌・不活
性化の有効性が広く示された事になる。ただし、堅固な
外壁に囲まれて強い抵抗性を示すアメーバシストに対し
ては、作用がより強力な高濃度オゾン水の適用が必要と
なって来る。このような対象範囲を拡大した研究展開に
伴って、高濃度オゾン水を必要とする分野が数多く存在
する事が判明し、このため高濃度オゾン水の製造とその
利用方法に関する技術研究が必須となってきた。
【0004】このようにアメーバ対策を標的として設定
した根拠は次のような事情に基づいている。アメーバは
原生動物の一種で、プール・空調用冷却塔や家庭内など
の水場に生息し、日常生活で接触する可能性も大きい。
病原性を持たないアメーバでも、病原細菌の寄生などに
よって、ヒトの健康に対して多大の脅威を与える事にな
る。例えば、在郷軍人病はグラム陰性の極単毛桿菌Le
gionella属細菌(レジオネラ菌)の感染による
疾病で、重症肺炎の集団発生を引き起して社会問題とな
った事例もある。この属の細菌では、その生息区域が自
然界の水場や土壌などの他にビル・病院の空調用冷却塔
・給湯系など人工的環境にまで拡大し、藻類と共生し、
アメーバなど原生動物に寄生する。通常の殺菌消毒剤は
菌そのものには有効であるが、藻類や原生動物には無効
である。このため従来の消毒方法では冷却塔などの生息
域からの絶滅は極めて困難で、都市型の新しい感染源が
日常生活の周辺に普遍的に存在し、特に抵抗力の衰えた
老齢者には危険な状況が出現している。
【0005】また一方では赤痢アメーバ(Entamo
eba histolytica)のようにアメーバ自
身が病原性を持つものもある。この場合、シストキャリ
アーを感染源とし、成熟シストの経口感染により、アメ
ーバ赤痢の猖獗を招く事例が多い。このような疾病の伝
染防除薬剤については、一般に抗アメーバ薬剤の開発が
抗菌薬剤に比して著しく遅れ、特にシストは抵抗力が強
いためこれに有効な薬剤開発は極めて困難とされてき
た。このような事情で、栄養体はもとよりシストまで死
滅させる事により、アメーバを根絶し水圏全体を迅速に
徹底浄化する新技術の開発は公衆衛生の立場から重視さ
れているが、その確実な方法は今日に至るまで開発され
ていない。
【0006】また、オゾン水が秒単位の速さで細胞を破
壊する事を前述したが、この第一段階では細胞膜に対す
る破壊作用が極めて迅速に進行しており、この膜構造体
に対する鋭利な迅速破壊は他に類例を見ないオゾン水特
有の長所である。それ故、膜状に付着あるいは塗布した
油脂・樹脂などの汚染を除去し徹底浄化を実現する目的
にも、オゾン水の有効性が期待できる。例えば、半導体
製造工程等における樹脂膜の破壊剥離、あるいは精密工
業における器材・部品などの表面汚染の徹底浄化など、
現代の精密工業における諸工程の中にも適用の対象は広
く分布している。
【0007】現時点では、このような徹底的な清浄度を
要求される作業工程は増加の一途を辿り、このために強
酸・強アルカリ、あるいはこれにクロム酸や過酸化水素
など酸化剤の併用、あるいはフロン系溶剤による洗浄
法、など種々の手法が目的に応じて多用されてきた。こ
れらの物質は、使用後の廃水処理、環境汚染の恐れ、用
後水洗に多量の水を浪費、など多くの問題点を内蔵し、
さらに製品コストの増大にも絡んでいる。このような状
況のもとで、後処理が簡便でしかも徹底的完全浄化が実
現でき、多くの技術分野へ広く適用可能な迅速浄化技術
の開発が渇望され続けて来た。高濃度オゾン水の高度な
浄化作用は、この分野でも大きな成果が期待できる。
【0008】更に環境問題に目を転ずると、水質汚濁に
関わる動植物プランクトンなど微小生物群の増殖度の制
御・管理は環境保全の見地から極めて重要な技術である
けれども、これらの問題に対して決め手となる徹底的な
環境浄化技術とこれを活用する環境管理方式は現時点ま
で確立されていない。従来の薬剤などでは、力量の不足
に加えて残留薬物に由来する新たな汚染問題も惹起する
からである。ここにも、高濃度オゾン水を利用できる可
能性が大きい。ここ近年を含めて科学技術の展開を俯瞰
して見ると、上記した高濃度オゾン水の適用可能性を包
含した諸問題はもとより、低濃度オゾン水の作用に関す
る知見でさえも、我々の研究以前には再現性よい定量的
実験の報告例はオゾン応用の領域では殆ど見られないの
が実状である。
【0009】上記の諸課題は何れも、従来法では後処理
の煩雑さや所要経費など種々の問題点を内蔵するため実
用には難点があり、これらの欠点を克服した新しい方法
の出現が待望されてきた。すなわち、後処理が容易でし
かも迅速・簡便・確実に充分な成果をあげる新方法、の
開発は時代の要請として極めて重要な課題である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この現状に
かんがみてなされたもので、従来類例を見ない高濃度オ
ゾン水製造技術を確立し、この高濃度オゾン水を用いて
今までより格段に優れた特徴を持つ徹底的かつ迅速な浄
化技術を確立し、以て業界多年の渇望に応える事を課題
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明に係る高濃度オゾンによる迅速浄化方法は、
原生動物、プランクトンなどの微小生物、細菌・ウイル
ス、またはこれらが共存、寄生するものにオゾン水を作
用させて殺滅するか、物体に付着する油脂、樹脂、その
他の汚染物質にオゾン水を作用させて剥離するオゾン水
による浄化方法において、前記オゾン水の濃度を20p
pm以上の高濃度として完全で迅速な浄化を達成する方
法を採用することを特徴とするもので、その実施に際し
ては、微小生物、細菌・ウイルス、またはこれらが共
存、寄生するもの、および油脂、樹脂、その他で汚染さ
れた物体にオゾン水を作用させる際、超音波振動・水流
噴射・機械的摩擦など軽微な物理的刺激を併用して浄化
を促進する方法を採用することが好ましい。更に、課題
解決の手段を下記において詳述する。 1.高濃度オゾン水の製造技術:この技術は、特開平7
−112123号の発明をを基本として、以下の改良点
を追加する。 1)オゾンの溶解に使用する水には、溶存物質の僅少な
純水を使用する。 2)オゾン水の水温を可能な限り低下させる。 以上の対策により、高濃度オゾン水中でのオゾンの分解
および消費を最小レベルに抑え、従来到達し得なかった
高濃度のオゾン水製造を可能とする。実験の結果は
【作用】の項に記述するように所期の目的を達成でき
た。
【0012】2.高濃度オゾン水による迅速浄化方法 前述の通り高濃度オゾン水の製造技術が完成したため、
開発研究はこの高濃度オゾン水を利用した応用面を開拓
する。 2.1 アメーバに対する迅速殺虫効果 in vitro 実験の結果、アメーバ栄養体は4p
pmオゾン水で瞬間的に破壊されたが、同アメーバのシ
ストに対しては4ppmオゾン水は無効であった事を下
記の
【作用】の項に示す。シストは強固な外膜(被嚢)を形
成して抵抗性を増大しているので、この強固な膜を貫通
してオゾンを体内に導入し死滅させるには、以下の方法
を適用する。 1)高濃度オゾン水を与え、膜破壊反応の空間密度を増
加させる。 2)超音波振動または水流噴射・機械的摩擦など微弱な
物理的刺激で、破壊膜の剥離を促進する。の諸法を併用
する。 上記方法をアメーバシストに適用してみると、高濃度オ
ゾン水だけでシストが死滅する事が判明し、この結果を
【作用】の項に記述する。
【0013】2.2 シリコンウエハー上のホトレジス
ト除去 上記アメーバのシストは堅い膜で包まれた構造であるた
め、一般器物表面に固着した汚染物質のモデルと考える
事ができる。そこで、樹脂膜で全面を被覆された構造体
の一例としてホトレジスト被膜シリコンウエハーを実験
対象に選んで前述の表面浄化方法を試みる。実験の結
果、上記の1)高濃度オゾン水処理を施した後、2)超
音波振動・機械的摩擦・水流噴射など軽微な物理的処理
によって、ホトレジストは簡単に除去される事が判っ
た。この詳細は
【作用】の項に示す。本法は、器物表面に付着した汚染
物質除去に広く利用可能な一般法となり得るものであ
る。
【0014】2.3 ブラインシュリンプの殺虫 上記のホトレジストで被覆されたウエハーの表面構造
は、堅い外殻を被った甲殻類生物の体表と形態的に類似
する一面がある。そこで、甲殻類生物としてブラインシ
ュリンプ(Artemia)の幼生を選び、この種の生
物に対する高濃度オゾン水処理の影響を調査する。実験
の結果は、上記の1)高濃度オゾン水を加えるだけで簡
単に幼生を死滅させる事、その他の付随操作は何一つ必
要でない事を明確に示した。この詳細は下記の
【作用】の項に示す。本実験で使用したArtemia
は生命力・抵抗力の強い動物種として知られている。こ
れが高濃度オゾン水で簡単に死滅できた事実は、一般の
動物性プランクトンの殺虫、およびこれによる環境浄化
・環境管理の目的に高濃度オゾン水の使用が有効である
事を示している。また、その具体的作業も極めて簡便か
つ安価である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る高濃度オゾン
水による迅速浄化方法の実施形態について説明する。
【0016】
【作用】
1.高濃度オゾン水の製造:特開平7−112123号
の発明を基本として、これに1)純水の使用、2)低水
温、の2条件を補足すると、オゾン最高濃度は80pp
m以上への到達が確認され、従来の最高濃度を遥かに超
えた高濃度がオゾン水の歴史に記録された。この詳細は
【実施例1】に記載する。この実験事実は、我々の設計
思想の正当性を立証するものとなった。この結果、従来
より格段に強力な反応性を持つオゾン水の使用が可能と
なり、オゾン水の適用範囲が以下に示す如く飛躍的に拡
大できる事になった。
【0017】2.高濃度オゾン水による迅速浄化方法 2.1 アメーバに対する殺虫効果 1)アメーバ栄養体と低濃度オゾン水:アメーバ栄養体
は細菌類と同様に、4ppmオゾン水による単純処理だ
けで、ほぼ瞬間的に死滅・消失する事がin vitr
o実験で明らかとなった。アメーバは形態的には細菌類
より明かに大型であり、このためその殺虫には高濃度オ
ゾン水を必要とするものと予想されたが、事実は予期に
反して細菌類と同じく4ppmで十分に有効であった。
ただし、虫体サイズの大型化に伴い、アメーバ1個体は
体積比例値以上に大量のオゾンを瞬時に消費する。さら
に、4ppmオゾン水によるこの迅速な殺アメーバの作
用機構としては、顕微鏡下の殺虫実験で次の通り確認さ
れた。すなわち、オゾン水との接触により瞬間的に引き
起される細胞膜破壊が即時に細胞崩壊を誘発する。この
衝撃的な細胞破壊は、電子顕微鏡観察で認められた4p
pmオゾン水による枯草菌の破壊現象とも符合する事実
であり、生物体に対するオゾン水の作用を特徴づける現
象である事が初めて確認・記録された。これら実験の詳
細は、
【実施例2】に示す。
【0018】2)アメーバシストと低濃度オゾン水:上
述の如くアメーバ栄養体は4ppmオゾン水で簡単に殺
虫・消滅させる事ができたが、シストは4ppmオゾン
水には強い抵抗性を示し、殺虫効果は殆どゼロ%、すな
わち殆ど全部が生残る事が実験結果より判明した。この
詳細は
【実施例2】に記載する。本実験の結果より、生育環境
の悪化に耐える目的でアメーバが構築した堅固な外壁
は、通常の自然環境には稀なオゾンに対しても十分に保
護の役目を果していた。この事実は従来のアメーバ駆除
薬剤の開発研究において、今までに成功例が極度に少な
い事実とも符合し、その理由はこの堅固な外壁に起因す
るものであった。そこで、このアメーバシストの極めて
強固な防備壁を貫通し殺虫の目的を達成するためには、
より強烈な作用を持つ薬剤として高濃度オゾン水を試み
る必要が生じてきた。
【0019】3)アメーバシストと高濃度オゾン水:上
述の理由に基づき、最も強力な殺虫作用を持つ高濃度オ
ゾン水の適用を試みて見た。in vitro実験の結
果、40ppmオゾン水は僅か30秒間の接触だけでシ
ストの生残率を10%台まで減少できる事が明らかにな
った。これは、従来ほとんど不可能と考えられてきたシ
ストの殺虫が常温1分間の高濃度オゾン水処理だけで簡
単に終了し、徹底的浄化が迅速に実現できる事を意味し
ている。この実験の詳細は
【実施例2】に記載する。この殺菌機構については、光
学顕微鏡下で40ppmオゾン水によるシストの性状形
態の変化動態を追跡し、若いシストと成熟シストの相違
点を含めて、オゾンへの反応状態の経時変化が記録され
た。結論として、若いシストは栄養体と同じく瞬時に破
裂し、熟成の度を高めるに従い抵抗性を増大する。しか
し、熟成シストでも40ppmオゾン水中では1分以内
に萎縮が起こり生命活動は停止する事が判った。以上の
事実から、40ppm以上の高濃度オゾン水を数分間の
暴露時間で使用すれば、ほぼ完全に死滅させる事が可能
である。従来は実現著しく困難であったシストの殺菌
は、高濃度オゾン水の使用により、初めて簡単に完全殺
菌が可能となった。
【0020】本実験で確認されたアメーバへの高濃度オ
ゾン水の有効性は、空調用冷却塔などに適用して、宿主
であるアメーバと、病原菌であるレジオネラ菌本体と、
両者を同時に殺菌・殺虫・消毒してレジオネラ感染を根
底から防除する事を可能とした。また、更にこれら水路
環境を迅速に浄化して、この種の微生物汚染の再発を防
ぐ効果もある。以上の実験事実により、レジオネラ感染
症の発現防止は高濃度オゾン水の利用で簡単に実現でき
る。この場合、空調用水路などは内部の用水を含めてオ
ゾンで浄化され、他剤使用の場合に見られる薬剤汚染の
恐れは皆無である。
【0021】一方、アメーバ赤痢もシストを形成し、シ
ストキャリアーから排出された成熟シストが器物・手指
などを介して、経口的に他人の体内に移行し感染・発病
が起る。このようにアメーバはシストという抵抗力の強
い形態を取りうるため、これに有効な薬剤開発は極めて
困難とされてきた。故に、本実験で確認された1分間以
内にシストまで全滅できるオゾン水殺菌消毒の迅速・完
璧・簡便な有効性は、この種の疾病防除にも大きな貢献
が期待できる。
【0022】2.2 シリコンウエハー上のホトレジス
ト除去効果 ホトレジストを一面に塗布したシリコンウエハーに対し
て、課題解決手段1)の高濃度オゾン水の投入を行う
と、数秒後からホトレジスト膜表面に微小変化が起こ
り、表面の平滑性が失われて微細な皺や細孔が出現し、
時間経過と共にその変化は強調される。この現象は反射
光の変化により肉眼で追跡できる。しかし、この高濃度
オゾン水の接触だけでは、ホトレジスト被膜の剥離は起
らない。このオゾン水処理に引続いて、2)微弱な超音
波振動を照射して振動を加えると、ホトレジストの破壊
膜は微細破片に壊れつつ簡単に剥離して清浄なシリコン
表面が露出する。また、極軽度の機械的摩擦または手擦
りによって、あるいは水流の噴射によって、オゾン分解
を受けたホトレジスト被膜は超音波照射の場合と同様に
微細破片に分裂しつつ簡単に剥離し、下層の清浄シリコ
ン生地が露出する。上記2)の処理で露出したシリコン
表面は、樹脂膜を塗布していない清浄なシリコン生地と
同じ構造状態にある事が、FTIR測定で分光学的に証
明された。これら実験の詳細は、下記の
【実施例3】で記述する。本実験の結果は高濃度オゾン
水の酸化的浄化作用が極めて強力である事を示すもの
で、低温・短時間の浸漬だけで樹脂被膜は容易に酸化分
解を受け、軽度な物理的刺激により簡単に脱離できる事
が明らかになり、これら特徴により半導体製造工程など
に有効に活用できる事が示された。
【0023】この高濃度オゾン水の被膜分解脱離作用
は、その対象を樹脂膜に限らず、油脂膜を始め一般有機
物被膜にも拡張できる強力な酸化分解作用に起因するも
ので、オゾンに固有な特性である。この原理により、高
濃度オゾン水による迅速浄化の具体的対象器物はシリコ
ン表面だけに限らずガラス・セラミックスなど多種の素
材表面すべてに適用可能であり、これら素材上の有機物
汚染膜に対しても迅速に徹底浄化が可能である。すなわ
ち高濃度オゾン水による迅速浄化法は、従来繁用されて
きた強酸・強アルカリと過酸化水素による湿式洗浄法の
使用分野全てに適用可能であり、酸・アルカリに偏らぬ
中性での洗浄であるため前記以外の浄化対象にも使用拡
大が可能であり、いずれの対象にも作業簡便・浄化徹底
・低温・短時間・後処理簡単・経費安価などの特徴を具
備し、さらに環境に対して全く無害である。
【0024】2.3 ブラインシュリンプの殺虫 ブラインシュリンプ(Brine shrimp)は鹹
水産下等甲殻類で、一般にはArtemia属のものを
指す。この乾燥卵は、海水に浸漬すると数日で孵化して
ノープリウス幼生となり、水産魚介類稚仔の餌料として
利用され、また放射線・毒物などの検定材料として利用
される。本研究においては、米国産のArtemia乾
燥卵を使用し、2%鹹水中29℃で孵化させて得たノー
プリウスを実験に使用した。高濃度オゾン水は有効に作
用し、孵化1日目の殺虫実験ではオゾン濃度30ppm
以上で1分以内に全数死滅、20ppmでは活動が静ま
り3時間後に全数死滅した。孵化2日目以降の殺虫実験
でも、これと同様の結果を得て、卵黄を抱いた孵化後数
日の範囲内では生育経過による抵抗性の差異は認められ
なかった。この詳細は
【実施例4】に記載する。
【0025】高濃度オゾン水は
【実施例1】に記載した通り純水中では80ppm以上
に到達し、これを2倍希釈すると40ppmの濃度が得
られる。ただし、これらの濃度は水質と水温に左右さ
れ、特に鹹水中では濃度減衰が速い。このため従来は生
理食塩水中(鹹水中)にはオゾンは溶解しないと云われ
てきたが、実際は常温では濃度減衰が速く特に気相中の
分圧が低下すると著しく減衰が加速され濃度計測不能と
なるための誤認である。本実験では2%鹹水のため投入
する高濃度オゾン水中の濃度は希釈倍率以上に減衰する
が、この初時点からノープリウスは高濃度オゾンに接触
し、時間経過と共に接触オゾン濃度が減衰する形とな
る。上記のオゾン濃度30ppmあるいは20ppmの
値はこの希釈液の初濃度を示し、現実には時間経過に伴
い減衰を続けて行く事になるが、純水中80ppmの高
濃度オゾン水の注入方式を採用すれば鹹水中の初濃度3
0ppmは十分に対応可能である。上記の注入希釈方式
の採用により、初めて定量的実験が可能となる訳で、こ
の意味で希釈用の高濃度オゾン水は可能な限り高濃度で
ある事が要求される。
【0026】この実験結果は、海水中でも動物性プラン
クトンを死滅させる事の現実的可能性を示すものであっ
て、環境浄化あるいは適切な環境管理の具体的手法が確
立できる事になる。例えば、プラント冷却用水に本方法
を適用して器壁付着性生物または幼生を完全殺滅すれ
ば、器壁付着による流水抵抗の増大を防止して正常なプ
ラント冷却機能の維持が可能となる。ここで生物殺滅は
短時間に完了するため、その直後に計算量の被酸化物質
を投入すれば余剰オゾンは瞬時に消滅し、熱交換器など
への化学的な影響おおよび環境への影響は皆無となる。
また、細菌は低濃度4ppmで簡単に死滅できるため、
細菌類とプランクトンの共存系において細菌だけを死滅
させプランクトンだけを残す分別浄化も、オゾン水の濃
度選択だけで可能となる。このような技術は従来は不可
能であったため、本研究の環境保全・浄化・管理に果す
意義は大なるものがある。
【0027】
【実施例1】 高濃度オゾン水の製造 特開平7−112123号の発明に準拠して、更に以下
の改良点を追加する。 1)オゾンの溶解に使用する水には、濾過膜・活性炭・
イオン交換樹脂を通過した高純度の純水を使用する。 2)オゾン水の水温を5℃以下まで冷却する。 オゾン発生セルは電解型を採用し、窒素酸化物など不純
物を含有しない酸素中10%の純粋オゾンを使用。オゾ
ン溶解タンクはオゾン溶解器を経由する循環溶解型を採
用し、この溶解系すべてを5℃以下に設定する。通電1
時間後、オゾン水濃度は83ppmに到達、以後は常時
この一定濃度が自動的に維持できた。オゾン濃度測定は
KIー澱粉を指示薬としチオ硫酸ナトリウム規定液によ
る酸化還元滴定をミクロビュレットで実施した。本定量
法は酸化性物質定量の基本法であり、終点の判定は鋭敏
である。従来到達し得なかった80ppm台の高濃度の
常時維持が実現できた。
【0028】
【実施例2】 アメーバに対する高濃度オゾン水の殺虫効果 1)Acanthamoeba栄養体懸濁液(虫濃度
6.2×104cells/ml)40μlに4ppm
オゾン水200μlを加え、各1,3,5,10,30
秒後に停止液(牛血清)15μlを加えて反応を停止
させる。撹拌・均一化した検液を一定量採取し、染色法
を用い光学顕微鏡で生残率(%)を計測する。この3連
実験の平均値を表1に示す。このようにアメーバ栄養体
は4ppmオゾン水で1秒以内にほぼ完全に消滅、生残
率は0秒(実験開始時点)を除いてほぼ全てゼロ、偏差
も小さい。
【0029】
【表1】 4ppmオゾン水によるこの迅速な殺アメーバの作用機
構は、細胞膜破壊に基づく細胞崩壊である事が顕微鏡下
の殺虫実験で確認された 2)Acanthamoebaーcyst懸濁液(6.
0×104cells/ml)を用いて栄養体と同様に
して生残率の経時変化を求める。ただし反応時間は、各
5,10,30秒,10分とする。この3連実験の平均
値を表2に示す。シストは抵抗力強く、この条件では殆
ど無効である。
【0030】
【表2】 3)Acanthamoebaーcyst懸濁液(6.
0×104cells/ml)を用いて4ppmオゾン
水と同様にして生残率の経時変化を求める。ただしオゾ
ン水濃度は40ppmとし、反応時間は各3,5,1
0,30秒とする。この3連実験の平均値を表3に示
す。オゾン濃度4ppmの場合と異なり、40ppmオ
ゾン水では30秒で約85%が死滅し、高濃度オゾン水
の有効性が示された。
【0031】1
【表3】 このように40ppm以上の高濃度オゾン水を数分間の
暴露時間で使用すれば、ほぼ完全に死滅させる事が可能
である。従来は実現著しく困難であったシストの殺菌
は、高濃度オゾン水を用いる事により、初めて完全殺菌
が可能となった。
【0032】
【実施例3】 シリコンウエハー上のホトレジスト除去効果 ホトレジストを一面に塗布したシリコンウエハーを1c
mの正方形に切断して試験片とし、予め浄化したシャー
レ中にホトレジスト面を上にして3枚静置する。これに
冷却して製造した40ppmオゾン水10mlを静かに
注ぎ、蓋をして放置する。このオゾン処理の間、オゾン
水温度は10℃、オゾン水投入の数秒後からホトレジス
ト膜表面の微小変化が反射光により認められ、時間経過
と共にその変化は強調される。オゾン水投入後、1、
2、4、8、15分の各経過時間の後、それぞれオゾン
水を傾斜除去し5ml純水で2回洗浄、風乾する。この
高濃度オゾン水の接触だけでは、ホトレジスト被膜に皺
や亀裂が不規則に走り、オゾンによる酸化分解が樹脂膜
に進行した事が判るが、樹脂膜の剥離は肉眼では確認で
きない。このFTIRスペクトルは未処理ホトレジスト
面の標準スペクトルとは明らかな変化を示すが分解能は
不良で解析不能、しかし酸化的変化の出現は明らかに証
明された。ただし、この時点ではホトレジスト被膜の自
発的剥離は殆ど起っていない。ついで、以下の後処理3
種をそれぞれ独立にオゾン処理済みの試験片に適用す
る。 1)超音波照射:各試験片に微弱な超音波を照射して物
理的振動を加えると、ホトレジストの破壊膜は微細破片
に壊れつつ簡単に剥離して清浄なシリコン表面が露出す
る。この露出表面は無色の光沢を示し、FTIRスペク
トルは標準シリコンのスペクトルと一致して、ホトレジ
スト塗布膜の完全剥離が証明された。ただし、オゾン処
理時間1分の試験片では分解樹脂面の離脱は一部不完全
であった。 2)微弱な機械的摩擦:スパーテルで分解樹脂面を軽く
手擦りして見ると、酸化分解した樹脂膜が細片に壊れな
がらきれいに剥離して清浄なシリコン面が簡単に露出す
る。オゾン処理時間1分の試験片を除いて、すべての試
験片はFTIRで前項同様に樹脂膜の完全剥離を示す。
スパーテル以外の他の固体エッジで軽く摩擦しても、同
じ結果が得られる。また、 3)水流の噴射:ガラス管を引き伸した細孔から水を噴
出してオゾン処理した樹脂膜面に当てると、オゾン分解
を受けたホトレジスト被膜は微細破片に分裂しつつ簡単
に剥離し、下層の清浄シリコン生地が露出する。FTI
Rの結果は前項と同じく、分解樹脂膜の完全剥離が証明
された。 結論として、40ppmオゾン水2分間浸漬でホトレジ
スト膜には酸化分解が進行し、微弱な物理的刺激により
酸化被膜は簡単に剥離する。
【0033】
【実施例4】 ブラインシュリンプ(Artemia)に対する殺虫効
果 200ml三角フラスコ中に米国産Artemiaの乾
燥卵40mgを秤量し、これに予め29℃に温度調節し
た2%食塩水100mlを加え、通気を継続しながら2
9℃の水浴中に設置する。30時間後、孵化して卵殻か
ら離脱したノープリウス浮遊液の中層をピペット採取し
て試験管に移し、これに40ppmオゾン水を定量的に
加えて希釈初濃度をそれぞれ36ppm,30ppm,
20ppm,10ppm,4ppmに設定し、それぞれ
室温に放置する。対照には蒸留水を同量注入して、塩類
濃度変化による影響を観察した。36ppm,30pp
mの2組はオゾン水注入と同時に全てのノープリウスが
即死して試験管底に沈む、この間約1分以内。20pp
mは一部生残りがあるが3時間後には全数死滅し、試験
管底に沈積。10ppm以下のオゾン濃度では全数生残
りが認められた。孵化後43時間、ノープリウスは前日
より成長し、運動も活発化する。前回の30時間の場合
と同様にオゾン処理し、殆ど同じ結果を見たが、オゾン
効果の発現時間は前回に比べて5倍程度の遅れが認めら
れた。 孵化後67時間、更に成長が認められたが、オ
ゾン処理の結果は孵化後43時間とほぼ同じであった。
結論として、Artemiaのノープリウス幼生は30
ppm以上のオゾン濃度(希釈初濃度)で1分以内に全
数死滅し、10ppm以下のオゾン濃度(希釈初濃度)
では無効である。すなわち、鹹水中でのブラインシュリ
ンプ殺虫にはオゾン初濃度の高さが必要で、このために
は高濃度オゾン水の準備が必須である。
【0034】
【発明の効果】本発明に係る高濃度オゾン水の製造によ
る迅速浄化作用は、細菌・ウイルス・アメーバ・甲殻類
幼生など広範囲の微小生物群に対して迅速完全に殺菌・
不活性化・殺虫の効果を出現して浄化し、また樹脂・油
脂などの被膜・汚染などを迅速に分解して剥離する優れ
た浄化効果を示す。本法は作業簡便・浄化徹底・低温・
短時間・後処理簡単・経費安価などの特徴を具備し、環
境には安全度が抜群であり、卓越した実用性を具備して
いる。適用対象は、伝染病予防など公衆衛生分野、半導
体製造工程など徹底浄化を必要とする精密工業分野、大
量の用水を必要とするプラント工業、環境汚染の改善や
環境管理、栽培漁業や各種生鮮市場における水質管理な
ど水質環境保全の関連諸分野、など極めて広範囲にわた
り大きな実益が約束される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原生動物、プランクトンなどの微小生
    物、細菌・ウイルス、またはこれらが共存、寄生するも
    のにオゾン水を作用させて殺滅するか、物体に付着する
    油脂、樹脂、その他の汚染物質にオゾン水を作用させて
    剥離するオゾン水による浄化方法において、 前記オゾン水の濃度を20ppm以上の高濃度として完
    全で迅速な浄化を達成することを特徴とする高濃度オゾ
    ンによる迅速浄化方法。
  2. 【請求項2】 微小生物、細菌・ウイルス、またはこれ
    らが共存、寄生するもの、および油脂、樹脂、その他で
    汚染された物体にオゾン水を作用させる際、超音波振動
    ・水流噴射・機械的摩擦など軽微な物理的刺激を併用し
    て浄化を促進することを特徴とする請求項1記載の高濃
    度オゾン水による迅速浄化方法。
JP7308256A 1995-10-31 1995-10-31 高濃度オゾン水による迅速浄化方法 Pending JPH09122665A (ja)

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