JPH0912962A5 - - Google Patents
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- JPH0912962A5 JPH0912962A5 JP1996162133A JP16213396A JPH0912962A5 JP H0912962 A5 JPH0912962 A5 JP H0912962A5 JP 1996162133 A JP1996162133 A JP 1996162133A JP 16213396 A JP16213396 A JP 16213396A JP H0912962 A5 JPH0912962 A5 JP H0912962A5
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Description
【発明の名称】電気ケーブル被覆用ポリマー組成物
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1つの導電性コア(2)とポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆(5)を有する電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基を有することを特徴とする電気ケーブル。
【請求項2】少なくとも1つの導電性コア(2)とポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆(5)を有する電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が第1所定量のエステル基と第2所定量のエポキシ基を含み、前記第1所定量と前記第2所定量は水中での電気的エージング後に絶縁被覆(5)の物質内でのウォーターツリーの形成を減ずるような量であることを特徴とする電気ケーブル。
【請求項3】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー;
【化1】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化2】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)下の式(III)で示される少なくとも1種のグリシジルエーテルまたはこれらの多官能価誘導体:
【化3】
[式中、R4、R6及びR7は、独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、任意に置換したフェニル)、又は下の式:
【化4】
で示されるグリシジルエーテル基である]。
【請求項4】前記ポリオレフィンポリマー基材が前記エチレンポリマー(a)の100重量部に対して前記少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー(b)を5〜40重量部含むことを特徴とする、請求項3に記載の電気ケーブル。
【請求項5】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)と(b)の成分を含むことを特徴とする:(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化5】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【請求項6】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項5に記載の電気ケーブル。
【請求項7】前記ポリオレフィンポリマー基材がさらにエポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項8】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化6】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化7】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)少なくとも1種のエポキシ樹脂。
【請求項9】前記エポキシ樹脂が脂肪族、脂環式又は芳香族のエポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の電気ケーブル。
【請求項10】前記エポキシ樹脂が60〜55000mPa x sの動力学粘度(25℃)と0.1〜0.7g eq/100g樹脂のエポキシ含量を有することを特徴とする、請求項9記載の電気ケーブル。
【請求項11】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化8】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化9】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項12】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化10】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化11】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項13】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートである、請求項11又は12に記載の電気ケーブル。
【請求項14】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、エチレンを下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるコポリマーを含むことを特徴とする:
【化12】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項15】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項14に記載の電気ケーブル。
【請求項16】前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、少なくとも1種の架橋剤の有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項17】前記少なくとも1種の架橋剤がテル−ブチル−クミルペルオキシドであることを特徴とする、請求項16に記載の電気ケーブル。
【請求項18】前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、少なくとも1種の酸化防止剤の有効量を含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項19】ウォーターツリー化に対して耐性のあるポリオレフィンポリマー組成物であって、特に電気ケーブルの絶縁性被覆を製造するためのものであり、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基を含むことを特徴とする組成物。
【請求項20】請求項19に記載のポリマー組成物であって、下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化13】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化14】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)下の式(III)で示される少なくとも1種のグリシジルエーテルまたはこれらの多官能価誘導体:
【化15】
[式中、R4、R6及びR7は、独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、任意に置換したフェニル)、又は式:
【化16】
で示されるグリシジルエーテル基である]。
【請求項21】前記エチレンポリマー(a)の100重量部に対して前記少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー(b)を5〜40重量部含むことを特徴とする、請求項20に記載のポリマー組成物。
【請求項22】請求項19に記載のポリマー組成物であって、下記の成分(a)と(b)を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化17】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【請求項23】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項22に記載のポリマー組成物。
【請求項24】さらにエポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項19〜23のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項25】請求項19に記載のポリマー組成物であって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化18】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化19】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)少なくとも1種のエポキシ樹脂。
【請求項26】前記エポキシ樹脂が脂肪族、脂環式又は芳香族のエポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項24又は25に記載のポリマー組成物。
【請求項27】前記エポキシ樹脂が60〜55000mPa x sの動力学粘度(25℃)と0.1〜0.7g eq/100g樹脂のエポキシ含量を有することを特徴とする、請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項28】請求項19に記載のポリマー組成物であって、この組成物がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化20】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化21】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項29】請求項19に記載のポリマー組成物であって、この組成物がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化22】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化23】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項30】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートである、請求項28又は29に記載のポリマー組成物。
【請求項31】請求項19に記載のポリマー組成物であって、この組成物がさらに、エチレンを下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるコポリマーを含むことを特徴とする:
【化24】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項32】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項31に記載のポリマー組成物。
【請求項33】少なくとも1種の架橋剤の有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項19〜32のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項34】前記少なくとも1種の架橋剤がテル−ブチル−クミルペルオキシドであることを特徴とする、請求項33記載のポリマー組成物。
【請求項35】少なくとも1種の酸化防止剤の有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項19〜34のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項36】請求項19〜35のいずれかに記載のポリマー組成物の電気ケーブルの絶縁のための使用方法。
【請求項37】下の式(IV)で示されるグリシジルエステルの電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
【化25】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項38】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項37に記載の使用方法。
【請求項39】エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られるターポリマーの、電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化26】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化27】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項40】エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られるターポリマーの、電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化28】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化29】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項41】前記ターポリマーが0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有することを特徴とする、請求項39又は40に記載の使用方法。
【請求項42】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項39又は40に記載の使用方法。
【請求項43】エチレンを下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるターポリマーの、電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
【化30】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項44】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項43に記載の使用方法。
【請求項45】前記ターポリマーが0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有することを特徴とする、請求項43に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
一般的な態様として、本発明は少なくとも1つの導電性コアと、ポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆とを含む電気ケーブルに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明はいわゆるウォーターツリー(water tree)の形成に対して改良された耐性を有する絶縁被覆を含む電気ケーブルに関する。
【0003】
本発明はまた、中電圧又は高電圧における電力伝達のための電気ケーブルの絶縁被覆の製造に好ましい用途(但し、この用途に限定されない)を有するポリマー組成物に関する。
【0004】
【従来の技術】
以下の説明において、中電圧及び高電圧なる用語は1〜35kVの電圧及び35kVより大きい電圧をそれぞれ意味するために用いられる。
【0005】
周知のように、電力伝達用電気ケーブル又はエネルギーケーブルの製造において解決すべき困難な問題の1つは、導電性コアの絶縁被覆がエネルギー伝達中に発生する電界を有効に制御し、電力散逸をできるだけ小さくし、その誘電特性及び構造的特徴を長期にわたって保護することを保証することである。
【0006】
このような特徴を得るために、絶縁被覆の最も良い製造材料がオレフィンポリマー、特にポリエチレンとそのコポリマー又はターポリマーによって構成されることも周知である。
【0007】
さらに詳しくは、後者のなかでも、架橋ポリエチレン(一般的に、頭字語XLPEによって表示)は良好な誘電特性又は低い誘電損率(最小散逸電力)を有する。
【0008】
しかし、これらの良好な特性と共に、オレフィンポリマーは一般に、絶縁材の電気的特性の劣化を経時的に招来しうる、“ウォーターツリー化 (water treeing)”なる用語で当該技術分野に知られる、特定の劣化現象に対して低い耐性を有する。
【0009】
このような現象は本質的に、分枝状(ツリー状)の微小破壊を形成するものであり、経時的に漸次成長して、場合によっては、絶縁被覆の電気的劣化の原因になる。
【0010】
これらの微小破壊又は劣化領域の形成を招来する機構はまだ完全には解明されていないが、このような領域または“ツリー”の形成は、いずれにしても、ケーブルの導電性コア中で電流によって発生する電界と、絶縁被覆の内部に存在する水分との複合作用による。
【0011】
上記ウォーターツリーの形成によって生ずる問題は、外部保護要素が備えられておらず、絶縁被覆が直接水と接触するか又は、いずれにしろ、湿度の高い環境と直接接触する、中電圧又は高電圧における電力伝達用ケーブルで特に認められる。
【0012】
ウォーターツリーの形成を減少させるために、種々の解決策が当該技術分野で提案されており、これらは絶縁被覆の製造用の適当なポリマー物質の選択か、又は適当な遅延添加剤(いわゆるツリー遅延剤)の使用に本質的に基づくものである。
【0013】
例えば、米国特許第5,246,783号から、エチレンコポリマーと炭素数3〜20のα−オレフィンの使用が知られ、これは1.5〜30の分子量分布と、45%より大きいα−オレフィンコモノマーの分配インデックス(distribution index)を有する。
【0014】
他方では、ヨーロッパ特許EP 0179845は、中/高電圧エネルギーケーブル用の架橋可能な耐ウォーターツリー形成性被覆組成物へのエチレンポリマー又はエチレンコポリマーと、α−オレフィン、エチレン−アルキルアクリレートまたはエチレン−アルキルメタクリレートコポリマーとの併用を開示する。
【0015】
いわゆるツリー遅延添加剤の使用に関しては、米国特許第4,212,756号と第4,144,202号から、アクリル/メタクリル(acrylic/methacrylic)基と、それぞれ、エポキシ基とを含む、特定のオルガノシランの使用が知られる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明によると、ポリオレフィンポリマー組成物中のエステル基とエポキシ基の同時存在が前記組成物に電気ケーブルの使用条件下でウォーターツリー現象に対する特定の耐性を与えることが、今回判明した。
【0017】
本発明によると、実際に、意外な相乗効果(ウォーターツリー現象に対する耐性の向上に関して)が、特定濃度範囲でのエステル基とエポキシ基の同時存在によって観察されている。
【0018】
上記の基がケーブルの絶縁被覆を形成するポリマー基材中に同時に存在すると、ウォーターツリー形成に対する遅延効果が、これらの基が単独で存在する場合の同じ基の効果の合計よりも明らかに大きいことが、特に注目されている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明の第1態様によると、本発明は、少なくとも1つの導体と、ポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆とを含む電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基とを有することを特徴とする電気ケーブルを提供する。
【0020】
従って、本発明の他の態様によると、ウォーターツリー現象に対する適切な耐性の問題は、前記ポリオレフィンポリマー基材が第1所定量のエステル基と、第2所定量のエポキシ基とを含み、前記第1所定量と前記第2所定量とが水中での電気的エージング後に絶縁被覆物質内でのウォーターツリーの形成を減ずるような量であることを特徴とする電気ケーブルによって解決される。
【0021】
以下の説明と特許請求の範囲において、“電気的ウォーターエージング”なる用語は、例えば、EFI(ノルウェー電力研究所)によって提案される処理(以下で説明)又は技術上周知の同様な処理のように、水中かつ電界の存在下で実施される絶縁被覆のエージング処理を意味するために用いられる。
【0022】
本発明の他の態様によると、本発明はまた、特に電気ケーブルの絶縁被覆の製造用のウォーターツリー形成に対して耐性のあるポリオレフィンポリマー組成物であって、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基とを有することを特徴とする組成物を提供する。
【0023】
以下の説明と特許請求の範囲において、“ポリオレフィンポリマー基材”なる用語は、高、中及び低密度ポリエチレンホモポリマー、炭素数3〜20のα−オレフィンとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマー、エチレン−α−オレフィン−ジエンターポリマー、並びにこれらの混合物を含む群から選択されるポリマーを意味するために用いられる。
【0024】
一方、“ポリオレフィンポリマー組成物”なる用語は、上記で定義した種類のポリオレフィンポリマー基材を含むポリマー組成物を意味するために用いられる。
【0025】
好ましくは、本発明のポリオレフィンポリマー基材は、ポリエチレン;エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマー;エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTM D−1238によって測定)とを有するエチレンポリマーである。
【0026】
本発明のターポリマーでは、上記ジエンが1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−シクロヘキセン、1−ビニル−1−シクロペンテン、エチルノルボルネン(LNB)、アルキルビシクロノナジエン、インデン、ノルボルネン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。
【0027】
本発明によると、ウォーターツリー現象に対する適切な耐性を得るためには、ケーブルの導電性コアの絶縁被覆を形成するポリオレフィンマトリックスが好ましくは、少なくとも0.5重量%のエステル基と少なくとも0.01重量%のエポキシ基とを含むべきであることが観察されている。
【0028】
他方では、15重量%を超える量のエステル基と、5重量%を超える量のエポキシ基とがウォーターツリー現象に対する耐性に関して付加的な利益をもたらさず、かえって絶縁被覆による電力散逸を顕著に増加させ(誘電損率又はtgデルタの増大)、結果としてエネルギー伝達費用を増大させることが観察されている。
【0029】
本発明によると、ウォーターツリー形成に対する耐性の上記改善は、エステル基とエポキシ基とをポリマー組成物に導入するやり方によっては、上述したようにこれらの基が上記の量の範囲で存在する限り、実質的に影響されないことも観察されている。
【0030】
例えば、本発明の第1態様では、ポリオレフィンポリマー基材にエステル基を含む第1化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)とエポキシ基を含む第2化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)をそれぞれ加えることによって、上記最少量のエステル基とエポキシ基とを含むポリマー組成物を製造することができる。
【0031】
好ましくは、エステル基を含む上記化合物は、下記の(i)と(ii)からなる群から選択されるアクリルポリマーまたはビニルポリマーである:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化31】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化32】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である]。
【0032】
本発明の目的のために、好ましく用いられる式(I)のアクリルコポリマーは、下記のアクリルエステルを含む群から選択されるコモノマーとのエチレンのコポリマーを含む:メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、及びこれらの混合物。
【0033】
これらの中で、特に好ましいのは、アクリルエステル−エチレンコポリマーであり、例えばENATHENE EATM(Quantum Chemical Corporation,米国,オハイオ州,シンシナチ)、OPTEMATM(Exxon Chemical)及びLOTRYLTM(Elf Atochem)の商品名で商業的に入手可能であるような、2〜40重量%のアクリルコモノマー量を有するアクリルエステル−エチレンコポリマーである。
【0034】
本発明の目的のために、好ましく用いられるビニルコポリマーは、例えばLEVAPRENTM(Bayer)、ESCORENETM(Exxon Chemical),ELVAXTM(Du Pont de Nemours International S.A.)及びEVATANETM(Elf Atochem)の商品名で商業的に入手可能であるような、酢酸ビニルとプロピオン酸ビニルとを含む群から選択されるコモノマーとのエチレンのコポリマーを含む。
【0035】
本発明の有利な態様によると、式(I)及び(II)を有するアクリルコポリマーまたはビニルコポリマーが、それらを容易に混入することができるポリオレフィンポリマー基材のメルトインデックス値に近いメルトインデックス値を有するときに、ポリマー組成物の最適均質性特徴を得ることができる。
【0036】
本発明の目的のために、このようなメルトインデックス値(ASTM D−1238によって測定)は、好ましくは0.1g/10’〜40g/10’の範囲である。
【0037】
好ましい実施態様によると、ポリマー組成物が、式(I)及び(II)を有する上記アクリルポリマーまたはビニルポリマーを、これらのポリマー中のエステル基含量に依存して、少なくとも5重量%又はそれ以上の量で含む場合に、エステル基の上記量に達することができる。
【0038】
さらに、本発明のポリマー組成物は好ましくは式(I)及び(II)を有する上記アクリルポリマーまたはビニルポリマーを5〜40重量%含む。
【0039】
本発明によると、エポキシ基を含む上記で特定した化合物は下記の(a)(b)(c)のものであってもよい:
(a)下の式(III)で示されるグリシジルエーテル:
【化33】
[式中、R4、R6及びR7は、独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、任意に置換したフェニル)、又は式:
【化34】
で示されるグリシジルエーテル基である];
(b)式(III)のグリシジルエーテルの多官能価誘導体;又は
(c)エポキシ樹脂。
【0040】
本発明の目的のために、式(III)を有するグリシジルエーテルは単官能価、二官能価、三官能価又は四官能価誘導体であってもよく、好ましく用いられるものは、p−t−ブチル−フェニルグリシジルエーテル、2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル、ドデシル−グリシジルエーテル、テトラデシル−グリシジルエーテル、グリシジル−イソプロピル−エーテルブチル−グリシジルエーテル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキセンジオール−ジグリシジルエーテル、及びこれらの混合物から選択される単官能価及び二官能価グリシジルエーテルである。
【0041】
好ましく用いられるエポキシ樹脂は、60〜55000mPa x s、好ましくは7000〜10000mPa x sの動力学粘度(25℃)と0.1〜0.7g eq/100g樹脂、好ましくは0.53〜0.55g eq/100g樹脂のエポキシ含量(ASTM−D1652によって測定)とを有する、脂肪族、脂環式又は芳香族タイプの樹脂を含む。
【0042】
このような樹脂の例は、EUREPOXTM(SCHERING)、好ましくはEUREPOXTM730の商品名で商業的に入手可能な樹脂である。
【0043】
好ましくは、ポリマー組成物は、上述したエポキシ基の前記量に達するために、少なくとも1種の式(III)のグリシジルエーテル又はその多官能価誘導体を0.2〜10重量%及び/又は前記エポキシ樹脂を0.2〜10重量%含む。
【0044】
本発明の他の実施態様によると、ポリオレフィンポリマー基材にエステル基又はエポキシ基を含む化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)を加えることによって、エステル基及びエポキシ基の上記最少量に達することができる。
【0045】
好ましくかつ有利に用いられる二官能価化合物は特に、下の式で示されるグリシジルエステルから成る群から選択される化合物である:
【化35】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【0046】
これらの中で、アクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステルが好ましい。
【0047】
本発明の目的のために、商品名BLEMMER GTM(Blemmer Chemical Corp.)で商業的に入手可能なグリシジルメタクリレート(GMA)が特に好ましい。
【0048】
この場合に、ポリマー組成物が好ましくは式(IV)の少なくとも1種のグリシジルエステルを0.03〜15重量%含むならば、エステル基とエポキシ基の上記量に達することができる。
【0049】
好ましくかつ有利に用いられるポリマータイプの二官能価化合物は、下記の(a)(b)(c)を含む群から選択される化合物である:
(a)エチレンを下記の(i)と(ii)で示す化合物と重合させることによって得られるターポリマー:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化36】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化37】
[式中、R1、R3及びR5の意味は上記で定義した通りである];
(b)エチレンを下記の(i)と(ii)で示す化合物と重合させることによって得られるターポリマー:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化38】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化39】
[式中、R1、R3及びR5の意味は上記で定義した通りである];
(c)エチレンを下の式(IV)で示す少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化40】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【0050】
またこれらの場合、好ましく用いられる式(IV)のグリシジルエステルはアクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステルであり、特に、グリシジルメタクリレートである。
【0051】
好ましくかつ有利に用いられるエチレン/アクリルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマー及びエチレン/グリシジルメタクリレートコポリマーは、それぞれ商品名LOTADERTM GMA AX8900及びLOTADERTM GMAAX8840(Elf Atochem)というもので、それぞれ商業的に入手可能である。
【0052】
既に説明したように、この場合にも、上記二官能価ターポリマー又はコポリマーが0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有する場合に、ポリマー組成物の最適均質性特徴を得ることができる。
【0053】
この場合に、ポリマー組成物が3〜30重量%の少なくとも1種のエチレン/アクリルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマー又はエチレン/ビニルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマーと、1〜40重量%の少なくとも1種のエチレン/グリシジルメタクリレートコポリマーを含むならば、エステル基とエポキシ基の上記量に達することができる。
【0054】
明らかに、エステル基とエポキシ基の所望の量に達するために、両方の二官能価化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)を本発明のポリマー組成物中で単独でも又は上記単官能価化合物(アクリルポリマーまたはビニルポリマー、グリシジルエーテル、エポキシ樹脂)と組合わせても用いることができる。
【0055】
本発明の他の態様によると、本発明はエステル基又はエポキシ基を含む上記二官能価化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)のうちの1種類の、電気ケーブルの被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての新規な用途に関する。
【0056】
実際に、前記基材に前記二官能価化合物を上記量で加えるだけで、ウォーターツリー化現象に対する耐性という望ましい特性をポリオレフィンポリマー基材に与えることが有利に可能である。
【0057】
好ましくは、エステル基とエポキシ基の量は、このようにして得られた組成物の総重量に対して、それぞれ、0.5〜15重量部と0.01〜5重量部の範囲内である。
【0058】
好ましい実施態様では、本発明のポリマー組成物を、この目的のために当分野で周知の方法の1つで架橋する。
【0059】
好ましくは、ポリマー組成物を化学的に架橋する。このために、組成物は少なくとも1種の架橋剤(例えば、テル−ブチル−クミルペルオキシド)の有効量を含む。
【0060】
改善された安定性を得るためには、さらに、本発明のポリマー組成物は好ましくは、少なくとも1種の酸化防止剤(例えば、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−テルブチル)フェノール)の有効量を含む。
【0061】
ケーブルの特定の用途に依存して、本発明のポリマー組成物は、例えば顔料、染料、安定剤、滑剤等のような、それ自体は慣用の他の添加剤や充填材を含むことができる。
【0062】
本発明の他の利点及び特徴は、非限定的例示として以下に報告する本発明の好ましい実施態様の添付図面を参照しながらの下記説明から、さらによく理解されるであろう。図面は本発明によるケーブルの透視図かつ部分断面図である。
【0063】
図1において、参照数字1はケーブルを示し、これは複数のワイヤー(すなわち銅製ワイヤー、全て3で示す)を含む導電性コア2を有する。
【0064】
導電性コア2は幾つかの共軸被覆層に囲まれ、これらの層は半導体層4、絶縁層5、外部半導体層6、金属スクリーン7、及び外部ポリマーシース8を含む。
【0065】
上記ケーブル1は、公知の方法によって導電性コア2から出発して、例えば層4、5及び6を逐次押出成形し、金属スクリーン7を供給し、最後に外部シース8を押出成形することによって製造することができる。
【0066】
上記説明に関連して、例えば上記ケーブルの層5のような、ケーブルの絶縁層の製造に特に適した、本発明によるポリマー組成物の単なる例示であって、非限定的な実施例を次に述べる。
【0067】
【実施例】
実施例1
本発明によるポリマー組成物を、押出機で下記成分(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を混合することによって製造した:
ポリマー基材 90phr
エチレン/アクリルエステル/
グリシジルメタクリレートターポリマー 10phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
ポリマー基材としては、0.923g/cm3の密度と2g/10’のメルトフローインデックスを有する低密度ポリエチレン(LDPE:Enichem)を用いた。
【0068】
エチレン/アクリルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマーとして、LOTADERTMGMA AX8900TM(Elf Atochem)を用いた。
【0069】
用いた過酸化物と酸化防止剤はテル−ブチル−クミルペルオキシド(TRIGONOXTM T,AKZOによって製造)と4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−テルブチル)フェノール(SANTONOXTMR,MONSANTOによって製造)であった。
【0070】
実施例2
実施例1と同じ製造方法によって、同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するポリマー組成物を製造した:
ポリマー基材 85phr
エチレン/アクリルエステル/
グリシジルメタクリレートターポリマー 15phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
【0071】
実施例3
実施例1と同じ製造方法によって、同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するポリマー組成物を製造した:
ポリマー基材 80phr
エチレン/アクリルエステル/
グリシジルメタクリレートターポリマー 20phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
【0072】
実施例4(比較)
当分野で周知の慣用の製造方法によって、前記実施例1と同じ成分を用いて、ポリオレフィンポリマーと架橋剤と酸化防止剤だけを含む、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するポリマー組成物を製造した:ポリマー基材 100phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
【0073】
実施例5(比較)
当分野で周知の慣用の製造方法によって、前記実施例1と同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するアクリルエステル基を含むポリマー組成物を製造した:
ポリマー基材 82.5phr
エチレン/アクリルエステルコポリマー 17.5phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
エチレン/アクリルエステルコポリマーとしては、商品名ENATHENETMEA720(USI QUANTUM)で商業的に入手可能なエチレン/ブチルアクリレートコポリマーを用いた。
【0074】
実施例6(比較)
当分野で周知の慣用の製造方法によって、前記実施例1と同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有し、エポキシ基を含むポリマー組成物(先行技術のもの)を製造した:
ポリマー基材 100phr
エポキシ樹脂 1.5phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
エポキシ樹脂としては、商品名EUREPOXTM(SCHERING)で商業的に入手可能な樹脂を用いた。
【0075】
実施例7
(ウォーターツリー耐性の評価)
上記実施例1〜6によるポリマー組成物のウォーターツリー形成に対する耐性を刊行物“ウォーターツリーの加速成長に関するEFI試験方法”「電気絶縁に関する1990年IEEE国際シンポジウム」(カナダ,トロントにて、1990年6月3〜6日開催)で発表)においてEFI(ノルウェー電力研究所)が提案した方法論に従って評価した。
【0076】
この方法に従って、カップ形状の多層状試験サンプルを製造することによってケーブルを模造した。この場合に、絶縁被覆を構成する物質は2層の半導体物質の間に挟まれる。
【0077】
さらに詳しくは、約90tの圧力を発生することができる電気プレスにおいて5〜7mmの厚さのテープから出発して、絶縁物質の層を120℃の温度においてカップ形状に熱成形して、約0.50mmの厚さを得る。
【0078】
約0.5mmの厚さが得られるまで、同様の方法で押出し、予成形した半導体物質の層を、次いで、この層の形成に用いたものと同じ電気プレスにおいて約180℃の温度で15分間、絶縁層の反対側にプレスし、熱溶接する。
【0079】
このようにして得られた試験サンプルを、室温に冷却したならば、加速電気エージング試験に供する。これにおいては、カップ形状の試験サンプルの内側に画定されるキャビティに水を満たし、この水中に高電圧電極を浸漬し、このように形成される装置を金属プレート(アース電極)上に載せる。
【0080】
次に、電極の間に約2〜15kVの電圧を印加することによって、絶縁層中に加速されたツリー成長が誘起される。
【0081】
この現象をさらに加速させるために、この試験を例えば適当なオーブン内で加熱して実施する。
【0082】
実施した試験では、実施例1〜6のポリマー組成物を商品名NCPE0592TM(Borealis N.V.,ベルギー,ブルッセル)で商業的に入手可能なXLPE混合物によって構成される半導体スクリーンに結合させた。
【0083】
上記のEFI方法に従って、各ポリマー組成物について5つの試験サンプルを製造し、下記の試験条件で加速エージング(加速老化)を受けさせた:
電気勾配 5kV/mm
温度 70℃
30日間の終了時に、20個の100μm厚さの切片を各々のテストピースから採取し、CIGRE規格に従ってメチレンブルーで染色し、次いで100〜200倍の倍率で光学顕微鏡で検査した。
【0084】
このような観察から、ウォーターツリーの密度(1cm3当りのツリー数で表現)を各試験サンプルについて計算した。下の表1に平均値を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表に示すデータから、エステル基とエポキシ基を含む本発明のポリマー組成物(実施例1〜3)のウォーターツリー形成に対する耐性が、アクリル基(実施例5)又はエポキシ基(実施例6)のみを含む対照のポリマー組成物によって与えられる耐性よりも明らかに大きいことが認められる。
【0087】
この点について、全く予想外なことに、上記エステル基とエポキシ基の複合効果が相乗性である、すなわち、独立して考えた場合の各々に起因する個々の効果の合計よりも非常に大きいことが観察される。
【0088】
この相乗効果は非常に顕著であって、実施例3の組成物の場合には、対照としての架橋ポリエチレンのウォーターツリーの密度よりも一桁小さい密度が観察された。
【0089】
実施例8
(誘電強度の評価)
上記実施例1〜6によるポリマー組成物の誘電強度の特性を、上記実施例で述べたEFIによって提案されたエージング方法によって得られた試験サンプルについて評価した。
【0090】
この場合、20個の試験サンプルを製造して、下記の試験条件で加速ウォーターエージングを受けさせた:
電気勾配 5kV/mm
温度 70℃
5個の非エージング試験サンプル(対照)の1つのバッチと、加速電気エージングの開始からそれぞれ7、15及び30日後に採取した5個の試験サンプルの3バッチについて、ASTM D−149規格に従って誘電強度の値を測定した。
【0091】
試験サンプルの内側と外側にシリコーンオイルを塗布して、円形電極を用い、2kV/sの電圧勾配を与えて誘電強度試験を実施した。
【0092】
実施した試験の結果(5回の試験の平均値)を下の表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
表に示すデータから、エージング後に、本発明のポリマー組成物(実施例1〜3)の誘電強度が、最初の出発値に関係なく、全体として、対照の組成物の誘電強度よりも大きいことが認められ、組成物の絶縁性の有利な改善を示す。
【0095】
実施例9
(誘電損率の評価)
上記実施例1〜6によるポリマー組成物のいわゆる誘電損率(tanδ)の評価を、ASTM D−150規格(固体電気絶縁材のAC損特性と誘電率(Permettivity))に従って実施した。
【0096】
具体的には、試験サンプルとして20x20cmの面と1.0mm厚さを有する成形フラットプレートを用い、ガードリング(guard ring)付き円形電極を用いて誘電損率を測定した。
【0097】
測定を実施する前に、各プレートにおける架橋副生成物を除去するために、試験サンプルに90℃における熱処理を受けさせた。
【0098】
実施した試験の結果(5回の試験の平均値)を下の表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
上の表から認められるように、本発明のポリマー組成物中のエステル基とエポキシ基の存在は誘電損率を増加させるので、ウォーターツリーの形成に対する望ましい耐性特性とケーブルに必要な他の性能に関して、各基の含量を選択することができる。
【0101】
このために、ポリマー組成物中のエステル基とエポキシ基の最適量は、当業者がケーブルの特定用途の要件に関して選択することができる。
【0102】
上記で説明し例示したことから、本発明のケーブルは、ウォーターツリー形成に対する特定の耐性が必要であるようなあらゆる用途(特に、中/高電圧における電力伝達のために)に対してケーブルを有用にする特徴の組合せを有することが直ちに明らかである。
【0103】
特に、本発明によると、所定のポリマー組成物中の所定量のエステル基とエポキシ基の使用が、同じポリマー組成物にこのような基が存在しない場合に比べて、ウォーターツリー形成に対する耐性を増大させ、電気的ウォーターエージング後に、同じポリマー基材で製造したケーブルの絶縁被覆の誘電強度を高めることができる。
【0104】
特定かつ不定の必要条件、変更及び改良を満たすために、当業者は特許請求の範囲で定義される保護範囲内に含まれる変更と改良を本発明に導入できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気ケーブルの透視図。
【符号の説明】
1.ケーブル
2.導電性コア
3.銅製ワイヤー
4.半導体層
5.絶縁層
6.半導体層
7.金属スクリーン
8.外部シース
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1つの導電性コア(2)とポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆(5)を有する電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基を有することを特徴とする電気ケーブル。
【請求項2】少なくとも1つの導電性コア(2)とポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆(5)を有する電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が第1所定量のエステル基と第2所定量のエポキシ基を含み、前記第1所定量と前記第2所定量は水中での電気的エージング後に絶縁被覆(5)の物質内でのウォーターツリーの形成を減ずるような量であることを特徴とする電気ケーブル。
【請求項3】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー;
【化1】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化2】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)下の式(III)で示される少なくとも1種のグリシジルエーテルまたはこれらの多官能価誘導体:
【化3】
[式中、R4、R6及びR7は、独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、任意に置換したフェニル)、又は下の式:
【化4】
で示されるグリシジルエーテル基である]。
【請求項4】前記ポリオレフィンポリマー基材が前記エチレンポリマー(a)の100重量部に対して前記少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー(b)を5〜40重量部含むことを特徴とする、請求項3に記載の電気ケーブル。
【請求項5】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)と(b)の成分を含むことを特徴とする:(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化5】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【請求項6】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項5に記載の電気ケーブル。
【請求項7】前記ポリオレフィンポリマー基材がさらにエポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項8】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化6】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化7】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)少なくとも1種のエポキシ樹脂。
【請求項9】前記エポキシ樹脂が脂肪族、脂環式又は芳香族のエポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の電気ケーブル。
【請求項10】前記エポキシ樹脂が60〜55000mPa x sの動力学粘度(25℃)と0.1〜0.7g eq/100g樹脂のエポキシ含量を有することを特徴とする、請求項9記載の電気ケーブル。
【請求項11】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化8】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化9】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項12】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化10】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化11】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項13】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートである、請求項11又は12に記載の電気ケーブル。
【請求項14】請求項1又は2に記載の電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、エチレンを下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるコポリマーを含むことを特徴とする:
【化12】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項15】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項14に記載の電気ケーブル。
【請求項16】前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、少なくとも1種の架橋剤の有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項17】前記少なくとも1種の架橋剤がテル−ブチル−クミルペルオキシドであることを特徴とする、請求項16に記載の電気ケーブル。
【請求項18】前記ポリオレフィンポリマー基材がさらに、少なくとも1種の酸化防止剤の有効量を含むことを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の電気ケーブル。
【請求項19】ウォーターツリー化に対して耐性のあるポリオレフィンポリマー組成物であって、特に電気ケーブルの絶縁性被覆を製造するためのものであり、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基を含むことを特徴とする組成物。
【請求項20】請求項19に記載のポリマー組成物であって、下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化13】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化14】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)下の式(III)で示される少なくとも1種のグリシジルエーテルまたはこれらの多官能価誘導体:
【化15】
[式中、R4、R6及びR7は、独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、任意に置換したフェニル)、又は式:
【化16】
で示されるグリシジルエーテル基である]。
【請求項21】前記エチレンポリマー(a)の100重量部に対して前記少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー(b)を5〜40重量部含むことを特徴とする、請求項20に記載のポリマー組成物。
【請求項22】請求項19に記載のポリマー組成物であって、下記の成分(a)と(b)を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化17】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【請求項23】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項22に記載のポリマー組成物。
【請求項24】さらにエポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項19〜23のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項25】請求項19に記載のポリマー組成物であって、前記ポリオレフィンポリマー基材が下記の(a)(b)(c)の成分を含むことを特徴とする:
(a)ポリエチレンと、エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマーと、エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTMD−1238によって測定)を有する、少なくとも1種のエチレンポリマー;(b)下記の(i)と(ii)からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルポリマーまたはビニルポリマー:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化18】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化19】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(c)少なくとも1種のエポキシ樹脂。
【請求項26】前記エポキシ樹脂が脂肪族、脂環式又は芳香族のエポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項24又は25に記載のポリマー組成物。
【請求項27】前記エポキシ樹脂が60〜55000mPa x sの動力学粘度(25℃)と0.1〜0.7g eq/100g樹脂のエポキシ含量を有することを特徴とする、請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項28】請求項19に記載のポリマー組成物であって、この組成物がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化20】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化21】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項29】請求項19に記載のポリマー組成物であって、この組成物がさらに、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有するターポリマーを含み、このターポリマーは、エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られる:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化22】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化23】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項30】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートである、請求項28又は29に記載のポリマー組成物。
【請求項31】請求項19に記載のポリマー組成物であって、この組成物がさらに、エチレンを下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるコポリマーを含むことを特徴とする:
【化24】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項32】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項31に記載のポリマー組成物。
【請求項33】少なくとも1種の架橋剤の有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項19〜32のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項34】前記少なくとも1種の架橋剤がテル−ブチル−クミルペルオキシドであることを特徴とする、請求項33記載のポリマー組成物。
【請求項35】少なくとも1種の酸化防止剤の有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項19〜34のいずれかに記載のポリマー組成物。
【請求項36】請求項19〜35のいずれかに記載のポリマー組成物の電気ケーブルの絶縁のための使用方法。
【請求項37】下の式(IV)で示されるグリシジルエステルの電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
【化25】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項38】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項37に記載の使用方法。
【請求項39】エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られるターポリマーの、電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化26】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化27】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項40】エチレンを下記の(i)と(ii)の化合物と重合させることによって得られるターポリマーの、電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化28】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化29】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項41】前記ターポリマーが0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有することを特徴とする、請求項39又は40に記載の使用方法。
【請求項42】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項39又は40に記載の使用方法。
【請求項43】エチレンを下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるターポリマーの、電気ケーブル被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての使用方法:
【化30】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり;R1はH又はCH3である]。
【請求項44】前記少なくとも1種のグリシジルエステルがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする、請求項43に記載の使用方法。
【請求項45】前記ターポリマーが0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有することを特徴とする、請求項43に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
一般的な態様として、本発明は少なくとも1つの導電性コアと、ポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆とを含む電気ケーブルに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明はいわゆるウォーターツリー(water tree)の形成に対して改良された耐性を有する絶縁被覆を含む電気ケーブルに関する。
【0003】
本発明はまた、中電圧又は高電圧における電力伝達のための電気ケーブルの絶縁被覆の製造に好ましい用途(但し、この用途に限定されない)を有するポリマー組成物に関する。
【0004】
【従来の技術】
以下の説明において、中電圧及び高電圧なる用語は1〜35kVの電圧及び35kVより大きい電圧をそれぞれ意味するために用いられる。
【0005】
周知のように、電力伝達用電気ケーブル又はエネルギーケーブルの製造において解決すべき困難な問題の1つは、導電性コアの絶縁被覆がエネルギー伝達中に発生する電界を有効に制御し、電力散逸をできるだけ小さくし、その誘電特性及び構造的特徴を長期にわたって保護することを保証することである。
【0006】
このような特徴を得るために、絶縁被覆の最も良い製造材料がオレフィンポリマー、特にポリエチレンとそのコポリマー又はターポリマーによって構成されることも周知である。
【0007】
さらに詳しくは、後者のなかでも、架橋ポリエチレン(一般的に、頭字語XLPEによって表示)は良好な誘電特性又は低い誘電損率(最小散逸電力)を有する。
【0008】
しかし、これらの良好な特性と共に、オレフィンポリマーは一般に、絶縁材の電気的特性の劣化を経時的に招来しうる、“ウォーターツリー化 (water treeing)”なる用語で当該技術分野に知られる、特定の劣化現象に対して低い耐性を有する。
【0009】
このような現象は本質的に、分枝状(ツリー状)の微小破壊を形成するものであり、経時的に漸次成長して、場合によっては、絶縁被覆の電気的劣化の原因になる。
【0010】
これらの微小破壊又は劣化領域の形成を招来する機構はまだ完全には解明されていないが、このような領域または“ツリー”の形成は、いずれにしても、ケーブルの導電性コア中で電流によって発生する電界と、絶縁被覆の内部に存在する水分との複合作用による。
【0011】
上記ウォーターツリーの形成によって生ずる問題は、外部保護要素が備えられておらず、絶縁被覆が直接水と接触するか又は、いずれにしろ、湿度の高い環境と直接接触する、中電圧又は高電圧における電力伝達用ケーブルで特に認められる。
【0012】
ウォーターツリーの形成を減少させるために、種々の解決策が当該技術分野で提案されており、これらは絶縁被覆の製造用の適当なポリマー物質の選択か、又は適当な遅延添加剤(いわゆるツリー遅延剤)の使用に本質的に基づくものである。
【0013】
例えば、米国特許第5,246,783号から、エチレンコポリマーと炭素数3〜20のα−オレフィンの使用が知られ、これは1.5〜30の分子量分布と、45%より大きいα−オレフィンコモノマーの分配インデックス(distribution index)を有する。
【0014】
他方では、ヨーロッパ特許EP 0179845は、中/高電圧エネルギーケーブル用の架橋可能な耐ウォーターツリー形成性被覆組成物へのエチレンポリマー又はエチレンコポリマーと、α−オレフィン、エチレン−アルキルアクリレートまたはエチレン−アルキルメタクリレートコポリマーとの併用を開示する。
【0015】
いわゆるツリー遅延添加剤の使用に関しては、米国特許第4,212,756号と第4,144,202号から、アクリル/メタクリル(acrylic/methacrylic)基と、それぞれ、エポキシ基とを含む、特定のオルガノシランの使用が知られる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明によると、ポリオレフィンポリマー組成物中のエステル基とエポキシ基の同時存在が前記組成物に電気ケーブルの使用条件下でウォーターツリー現象に対する特定の耐性を与えることが、今回判明した。
【0017】
本発明によると、実際に、意外な相乗効果(ウォーターツリー現象に対する耐性の向上に関して)が、特定濃度範囲でのエステル基とエポキシ基の同時存在によって観察されている。
【0018】
上記の基がケーブルの絶縁被覆を形成するポリマー基材中に同時に存在すると、ウォーターツリー形成に対する遅延効果が、これらの基が単独で存在する場合の同じ基の効果の合計よりも明らかに大きいことが、特に注目されている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明の第1態様によると、本発明は、少なくとも1つの導体と、ポリオレフィンポリマー基材を含む少なくとも1つの絶縁被覆とを含む電気ケーブルであって、前記ポリオレフィンポリマー基材が、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基とを有することを特徴とする電気ケーブルを提供する。
【0020】
従って、本発明の他の態様によると、ウォーターツリー現象に対する適切な耐性の問題は、前記ポリオレフィンポリマー基材が第1所定量のエステル基と、第2所定量のエポキシ基とを含み、前記第1所定量と前記第2所定量とが水中での電気的エージング後に絶縁被覆物質内でのウォーターツリーの形成を減ずるような量であることを特徴とする電気ケーブルによって解決される。
【0021】
以下の説明と特許請求の範囲において、“電気的ウォーターエージング”なる用語は、例えば、EFI(ノルウェー電力研究所)によって提案される処理(以下で説明)又は技術上周知の同様な処理のように、水中かつ電界の存在下で実施される絶縁被覆のエージング処理を意味するために用いられる。
【0022】
本発明の他の態様によると、本発明はまた、特に電気ケーブルの絶縁被覆の製造用のウォーターツリー形成に対して耐性のあるポリオレフィンポリマー組成物であって、その全体重量に対する重量部で、0.5〜15部のエステル基と0.01〜5部のエポキシ基とを有することを特徴とする組成物を提供する。
【0023】
以下の説明と特許請求の範囲において、“ポリオレフィンポリマー基材”なる用語は、高、中及び低密度ポリエチレンホモポリマー、炭素数3〜20のα−オレフィンとのエチレンコポリマー及びエチレンターポリマー、エチレン−α−オレフィン−ジエンターポリマー、並びにこれらの混合物を含む群から選択されるポリマーを意味するために用いられる。
【0024】
一方、“ポリオレフィンポリマー組成物”なる用語は、上記で定義した種類のポリオレフィンポリマー基材を含むポリマー組成物を意味するために用いられる。
【0025】
好ましくは、本発明のポリオレフィンポリマー基材は、ポリエチレン;エチレンを少なくとも1種の炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと重合させることによって得られるコポリマー;エチレンと炭素数3〜14の直鎖または分枝鎖α−オレフィンと炭素数4〜25のジエンとを重合させることによって得られるターポリマーとから成る群から選択され、0.860g/cm3〜0.940g/cm3の密度(ASTM D−792によって測定)と、0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックス(ASTM D−1238によって測定)とを有するエチレンポリマーである。
【0026】
本発明のターポリマーでは、上記ジエンが1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−シクロヘキセン、1−ビニル−1−シクロペンテン、エチルノルボルネン(LNB)、アルキルビシクロノナジエン、インデン、ノルボルネン、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。
【0027】
本発明によると、ウォーターツリー現象に対する適切な耐性を得るためには、ケーブルの導電性コアの絶縁被覆を形成するポリオレフィンマトリックスが好ましくは、少なくとも0.5重量%のエステル基と少なくとも0.01重量%のエポキシ基とを含むべきであることが観察されている。
【0028】
他方では、15重量%を超える量のエステル基と、5重量%を超える量のエポキシ基とがウォーターツリー現象に対する耐性に関して付加的な利益をもたらさず、かえって絶縁被覆による電力散逸を顕著に増加させ(誘電損率又はtgデルタの増大)、結果としてエネルギー伝達費用を増大させることが観察されている。
【0029】
本発明によると、ウォーターツリー形成に対する耐性の上記改善は、エステル基とエポキシ基とをポリマー組成物に導入するやり方によっては、上述したようにこれらの基が上記の量の範囲で存在する限り、実質的に影響されないことも観察されている。
【0030】
例えば、本発明の第1態様では、ポリオレフィンポリマー基材にエステル基を含む第1化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)とエポキシ基を含む第2化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)をそれぞれ加えることによって、上記最少量のエステル基とエポキシ基とを含むポリマー組成物を製造することができる。
【0031】
好ましくは、エステル基を含む上記化合物は、下記の(i)と(ii)からなる群から選択されるアクリルポリマーまたはビニルポリマーである:
(i)エチレンを下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化31】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)エチレンを下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化32】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である]。
【0032】
本発明の目的のために、好ましく用いられる式(I)のアクリルコポリマーは、下記のアクリルエステルを含む群から選択されるコモノマーとのエチレンのコポリマーを含む:メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、及びこれらの混合物。
【0033】
これらの中で、特に好ましいのは、アクリルエステル−エチレンコポリマーであり、例えばENATHENE EATM(Quantum Chemical Corporation,米国,オハイオ州,シンシナチ)、OPTEMATM(Exxon Chemical)及びLOTRYLTM(Elf Atochem)の商品名で商業的に入手可能であるような、2〜40重量%のアクリルコモノマー量を有するアクリルエステル−エチレンコポリマーである。
【0034】
本発明の目的のために、好ましく用いられるビニルコポリマーは、例えばLEVAPRENTM(Bayer)、ESCORENETM(Exxon Chemical),ELVAXTM(Du Pont de Nemours International S.A.)及びEVATANETM(Elf Atochem)の商品名で商業的に入手可能であるような、酢酸ビニルとプロピオン酸ビニルとを含む群から選択されるコモノマーとのエチレンのコポリマーを含む。
【0035】
本発明の有利な態様によると、式(I)及び(II)を有するアクリルコポリマーまたはビニルコポリマーが、それらを容易に混入することができるポリオレフィンポリマー基材のメルトインデックス値に近いメルトインデックス値を有するときに、ポリマー組成物の最適均質性特徴を得ることができる。
【0036】
本発明の目的のために、このようなメルトインデックス値(ASTM D−1238によって測定)は、好ましくは0.1g/10’〜40g/10’の範囲である。
【0037】
好ましい実施態様によると、ポリマー組成物が、式(I)及び(II)を有する上記アクリルポリマーまたはビニルポリマーを、これらのポリマー中のエステル基含量に依存して、少なくとも5重量%又はそれ以上の量で含む場合に、エステル基の上記量に達することができる。
【0038】
さらに、本発明のポリマー組成物は好ましくは式(I)及び(II)を有する上記アクリルポリマーまたはビニルポリマーを5〜40重量%含む。
【0039】
本発明によると、エポキシ基を含む上記で特定した化合物は下記の(a)(b)(c)のものであってもよい:
(a)下の式(III)で示されるグリシジルエーテル:
【化33】
[式中、R4、R6及びR7は、独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、任意に置換したフェニル)、又は式:
【化34】
で示されるグリシジルエーテル基である];
(b)式(III)のグリシジルエーテルの多官能価誘導体;又は
(c)エポキシ樹脂。
【0040】
本発明の目的のために、式(III)を有するグリシジルエーテルは単官能価、二官能価、三官能価又は四官能価誘導体であってもよく、好ましく用いられるものは、p−t−ブチル−フェニルグリシジルエーテル、2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル、ドデシル−グリシジルエーテル、テトラデシル−グリシジルエーテル、グリシジル−イソプロピル−エーテルブチル−グリシジルエーテル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキセンジオール−ジグリシジルエーテル、及びこれらの混合物から選択される単官能価及び二官能価グリシジルエーテルである。
【0041】
好ましく用いられるエポキシ樹脂は、60〜55000mPa x s、好ましくは7000〜10000mPa x sの動力学粘度(25℃)と0.1〜0.7g eq/100g樹脂、好ましくは0.53〜0.55g eq/100g樹脂のエポキシ含量(ASTM−D1652によって測定)とを有する、脂肪族、脂環式又は芳香族タイプの樹脂を含む。
【0042】
このような樹脂の例は、EUREPOXTM(SCHERING)、好ましくはEUREPOXTM730の商品名で商業的に入手可能な樹脂である。
【0043】
好ましくは、ポリマー組成物は、上述したエポキシ基の前記量に達するために、少なくとも1種の式(III)のグリシジルエーテル又はその多官能価誘導体を0.2〜10重量%及び/又は前記エポキシ樹脂を0.2〜10重量%含む。
【0044】
本発明の他の実施態様によると、ポリオレフィンポリマー基材にエステル基又はエポキシ基を含む化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)を加えることによって、エステル基及びエポキシ基の上記最少量に達することができる。
【0045】
好ましくかつ有利に用いられる二官能価化合物は特に、下の式で示されるグリシジルエステルから成る群から選択される化合物である:
【化35】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【0046】
これらの中で、アクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステルが好ましい。
【0047】
本発明の目的のために、商品名BLEMMER GTM(Blemmer Chemical Corp.)で商業的に入手可能なグリシジルメタクリレート(GMA)が特に好ましい。
【0048】
この場合に、ポリマー組成物が好ましくは式(IV)の少なくとも1種のグリシジルエステルを0.03〜15重量%含むならば、エステル基とエポキシ基の上記量に達することができる。
【0049】
好ましくかつ有利に用いられるポリマータイプの二官能価化合物は、下記の(a)(b)(c)を含む群から選択される化合物である:
(a)エチレンを下記の(i)と(ii)で示す化合物と重合させることによって得られるターポリマー:
(i)下の式(I)で示される少なくとも1種のアクリル酸エステル:
【化36】
[式中、R1はH又はCH3であり、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R3は水素又は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化37】
[式中、R1、R3及びR5の意味は上記で定義した通りである];
(b)エチレンを下記の(i)と(ii)で示す化合物と重合させることによって得られるターポリマー:
(i)下の式(II)で示される少なくとも1種のカルボン酸ビニルエステル:
【化38】
[式中、R2は炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)である];
(ii)下の式(IV)で示される少なくとも1種のグリシジルエステル:
【化39】
[式中、R1、R3及びR5の意味は上記で定義した通りである];
(c)エチレンを下の式(IV)で示す少なくとも1種のグリシジルエステルと重合させることによって得られるコポリマー:
【化40】
[式中、R3とR5は、独立に、H、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖アルキル又はアリール炭化水素基(好ましくは、フェニル)であり、R1はH又はCH3である]。
【0050】
またこれらの場合、好ましく用いられる式(IV)のグリシジルエステルはアクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステルであり、特に、グリシジルメタクリレートである。
【0051】
好ましくかつ有利に用いられるエチレン/アクリルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマー及びエチレン/グリシジルメタクリレートコポリマーは、それぞれ商品名LOTADERTM GMA AX8900及びLOTADERTM GMAAX8840(Elf Atochem)というもので、それぞれ商業的に入手可能である。
【0052】
既に説明したように、この場合にも、上記二官能価ターポリマー又はコポリマーが0.1g/10’〜40g/10’のメルトインデックスを有する場合に、ポリマー組成物の最適均質性特徴を得ることができる。
【0053】
この場合に、ポリマー組成物が3〜30重量%の少なくとも1種のエチレン/アクリルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマー又はエチレン/ビニルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマーと、1〜40重量%の少なくとも1種のエチレン/グリシジルメタクリレートコポリマーを含むならば、エステル基とエポキシ基の上記量に達することができる。
【0054】
明らかに、エステル基とエポキシ基の所望の量に達するために、両方の二官能価化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)を本発明のポリマー組成物中で単独でも又は上記単官能価化合物(アクリルポリマーまたはビニルポリマー、グリシジルエーテル、エポキシ樹脂)と組合わせても用いることができる。
【0055】
本発明の他の態様によると、本発明はエステル基又はエポキシ基を含む上記二官能価化合物(ポリマーでも非ポリマーでもよい)のうちの1種類の、電気ケーブルの被覆用ポリマー組成物中のツリー遅延添加剤としての新規な用途に関する。
【0056】
実際に、前記基材に前記二官能価化合物を上記量で加えるだけで、ウォーターツリー化現象に対する耐性という望ましい特性をポリオレフィンポリマー基材に与えることが有利に可能である。
【0057】
好ましくは、エステル基とエポキシ基の量は、このようにして得られた組成物の総重量に対して、それぞれ、0.5〜15重量部と0.01〜5重量部の範囲内である。
【0058】
好ましい実施態様では、本発明のポリマー組成物を、この目的のために当分野で周知の方法の1つで架橋する。
【0059】
好ましくは、ポリマー組成物を化学的に架橋する。このために、組成物は少なくとも1種の架橋剤(例えば、テル−ブチル−クミルペルオキシド)の有効量を含む。
【0060】
改善された安定性を得るためには、さらに、本発明のポリマー組成物は好ましくは、少なくとも1種の酸化防止剤(例えば、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−テルブチル)フェノール)の有効量を含む。
【0061】
ケーブルの特定の用途に依存して、本発明のポリマー組成物は、例えば顔料、染料、安定剤、滑剤等のような、それ自体は慣用の他の添加剤や充填材を含むことができる。
【0062】
本発明の他の利点及び特徴は、非限定的例示として以下に報告する本発明の好ましい実施態様の添付図面を参照しながらの下記説明から、さらによく理解されるであろう。図面は本発明によるケーブルの透視図かつ部分断面図である。
【0063】
図1において、参照数字1はケーブルを示し、これは複数のワイヤー(すなわち銅製ワイヤー、全て3で示す)を含む導電性コア2を有する。
【0064】
導電性コア2は幾つかの共軸被覆層に囲まれ、これらの層は半導体層4、絶縁層5、外部半導体層6、金属スクリーン7、及び外部ポリマーシース8を含む。
【0065】
上記ケーブル1は、公知の方法によって導電性コア2から出発して、例えば層4、5及び6を逐次押出成形し、金属スクリーン7を供給し、最後に外部シース8を押出成形することによって製造することができる。
【0066】
上記説明に関連して、例えば上記ケーブルの層5のような、ケーブルの絶縁層の製造に特に適した、本発明によるポリマー組成物の単なる例示であって、非限定的な実施例を次に述べる。
【0067】
【実施例】
実施例1
本発明によるポリマー組成物を、押出機で下記成分(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を混合することによって製造した:
ポリマー基材 90phr
エチレン/アクリルエステル/
グリシジルメタクリレートターポリマー 10phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
ポリマー基材としては、0.923g/cm3の密度と2g/10’のメルトフローインデックスを有する低密度ポリエチレン(LDPE:Enichem)を用いた。
【0068】
エチレン/アクリルエステル/グリシジルメタクリレートターポリマーとして、LOTADERTMGMA AX8900TM(Elf Atochem)を用いた。
【0069】
用いた過酸化物と酸化防止剤はテル−ブチル−クミルペルオキシド(TRIGONOXTM T,AKZOによって製造)と4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−テルブチル)フェノール(SANTONOXTMR,MONSANTOによって製造)であった。
【0070】
実施例2
実施例1と同じ製造方法によって、同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するポリマー組成物を製造した:
ポリマー基材 85phr
エチレン/アクリルエステル/
グリシジルメタクリレートターポリマー 15phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
【0071】
実施例3
実施例1と同じ製造方法によって、同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するポリマー組成物を製造した:
ポリマー基材 80phr
エチレン/アクリルエステル/
グリシジルメタクリレートターポリマー 20phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
【0072】
実施例4(比較)
当分野で周知の慣用の製造方法によって、前記実施例1と同じ成分を用いて、ポリオレフィンポリマーと架橋剤と酸化防止剤だけを含む、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するポリマー組成物を製造した:ポリマー基材 100phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
【0073】
実施例5(比較)
当分野で周知の慣用の製造方法によって、前記実施例1と同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有するアクリルエステル基を含むポリマー組成物を製造した:
ポリマー基材 82.5phr
エチレン/アクリルエステルコポリマー 17.5phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
エチレン/アクリルエステルコポリマーとしては、商品名ENATHENETMEA720(USI QUANTUM)で商業的に入手可能なエチレン/ブチルアクリレートコポリマーを用いた。
【0074】
実施例6(比較)
当分野で周知の慣用の製造方法によって、前記実施例1と同じ成分を用いて、下記組成(ポリマー基材の100部に対する重量部:phr)を有し、エポキシ基を含むポリマー組成物(先行技術のもの)を製造した:
ポリマー基材 100phr
エポキシ樹脂 1.5phr
過酸化物 2phr
酸化防止剤 0.34phr
エポキシ樹脂としては、商品名EUREPOXTM(SCHERING)で商業的に入手可能な樹脂を用いた。
【0075】
実施例7
(ウォーターツリー耐性の評価)
上記実施例1〜6によるポリマー組成物のウォーターツリー形成に対する耐性を刊行物“ウォーターツリーの加速成長に関するEFI試験方法”「電気絶縁に関する1990年IEEE国際シンポジウム」(カナダ,トロントにて、1990年6月3〜6日開催)で発表)においてEFI(ノルウェー電力研究所)が提案した方法論に従って評価した。
【0076】
この方法に従って、カップ形状の多層状試験サンプルを製造することによってケーブルを模造した。この場合に、絶縁被覆を構成する物質は2層の半導体物質の間に挟まれる。
【0077】
さらに詳しくは、約90tの圧力を発生することができる電気プレスにおいて5〜7mmの厚さのテープから出発して、絶縁物質の層を120℃の温度においてカップ形状に熱成形して、約0.50mmの厚さを得る。
【0078】
約0.5mmの厚さが得られるまで、同様の方法で押出し、予成形した半導体物質の層を、次いで、この層の形成に用いたものと同じ電気プレスにおいて約180℃の温度で15分間、絶縁層の反対側にプレスし、熱溶接する。
【0079】
このようにして得られた試験サンプルを、室温に冷却したならば、加速電気エージング試験に供する。これにおいては、カップ形状の試験サンプルの内側に画定されるキャビティに水を満たし、この水中に高電圧電極を浸漬し、このように形成される装置を金属プレート(アース電極)上に載せる。
【0080】
次に、電極の間に約2〜15kVの電圧を印加することによって、絶縁層中に加速されたツリー成長が誘起される。
【0081】
この現象をさらに加速させるために、この試験を例えば適当なオーブン内で加熱して実施する。
【0082】
実施した試験では、実施例1〜6のポリマー組成物を商品名NCPE0592TM(Borealis N.V.,ベルギー,ブルッセル)で商業的に入手可能なXLPE混合物によって構成される半導体スクリーンに結合させた。
【0083】
上記のEFI方法に従って、各ポリマー組成物について5つの試験サンプルを製造し、下記の試験条件で加速エージング(加速老化)を受けさせた:
電気勾配 5kV/mm
温度 70℃
30日間の終了時に、20個の100μm厚さの切片を各々のテストピースから採取し、CIGRE規格に従ってメチレンブルーで染色し、次いで100〜200倍の倍率で光学顕微鏡で検査した。
【0084】
このような観察から、ウォーターツリーの密度(1cm3当りのツリー数で表現)を各試験サンプルについて計算した。下の表1に平均値を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表に示すデータから、エステル基とエポキシ基を含む本発明のポリマー組成物(実施例1〜3)のウォーターツリー形成に対する耐性が、アクリル基(実施例5)又はエポキシ基(実施例6)のみを含む対照のポリマー組成物によって与えられる耐性よりも明らかに大きいことが認められる。
【0087】
この点について、全く予想外なことに、上記エステル基とエポキシ基の複合効果が相乗性である、すなわち、独立して考えた場合の各々に起因する個々の効果の合計よりも非常に大きいことが観察される。
【0088】
この相乗効果は非常に顕著であって、実施例3の組成物の場合には、対照としての架橋ポリエチレンのウォーターツリーの密度よりも一桁小さい密度が観察された。
【0089】
実施例8
(誘電強度の評価)
上記実施例1〜6によるポリマー組成物の誘電強度の特性を、上記実施例で述べたEFIによって提案されたエージング方法によって得られた試験サンプルについて評価した。
【0090】
この場合、20個の試験サンプルを製造して、下記の試験条件で加速ウォーターエージングを受けさせた:
電気勾配 5kV/mm
温度 70℃
5個の非エージング試験サンプル(対照)の1つのバッチと、加速電気エージングの開始からそれぞれ7、15及び30日後に採取した5個の試験サンプルの3バッチについて、ASTM D−149規格に従って誘電強度の値を測定した。
【0091】
試験サンプルの内側と外側にシリコーンオイルを塗布して、円形電極を用い、2kV/sの電圧勾配を与えて誘電強度試験を実施した。
【0092】
実施した試験の結果(5回の試験の平均値)を下の表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
表に示すデータから、エージング後に、本発明のポリマー組成物(実施例1〜3)の誘電強度が、最初の出発値に関係なく、全体として、対照の組成物の誘電強度よりも大きいことが認められ、組成物の絶縁性の有利な改善を示す。
【0095】
実施例9
(誘電損率の評価)
上記実施例1〜6によるポリマー組成物のいわゆる誘電損率(tanδ)の評価を、ASTM D−150規格(固体電気絶縁材のAC損特性と誘電率(Permettivity))に従って実施した。
【0096】
具体的には、試験サンプルとして20x20cmの面と1.0mm厚さを有する成形フラットプレートを用い、ガードリング(guard ring)付き円形電極を用いて誘電損率を測定した。
【0097】
測定を実施する前に、各プレートにおける架橋副生成物を除去するために、試験サンプルに90℃における熱処理を受けさせた。
【0098】
実施した試験の結果(5回の試験の平均値)を下の表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
上の表から認められるように、本発明のポリマー組成物中のエステル基とエポキシ基の存在は誘電損率を増加させるので、ウォーターツリーの形成に対する望ましい耐性特性とケーブルに必要な他の性能に関して、各基の含量を選択することができる。
【0101】
このために、ポリマー組成物中のエステル基とエポキシ基の最適量は、当業者がケーブルの特定用途の要件に関して選択することができる。
【0102】
上記で説明し例示したことから、本発明のケーブルは、ウォーターツリー形成に対する特定の耐性が必要であるようなあらゆる用途(特に、中/高電圧における電力伝達のために)に対してケーブルを有用にする特徴の組合せを有することが直ちに明らかである。
【0103】
特に、本発明によると、所定のポリマー組成物中の所定量のエステル基とエポキシ基の使用が、同じポリマー組成物にこのような基が存在しない場合に比べて、ウォーターツリー形成に対する耐性を増大させ、電気的ウォーターエージング後に、同じポリマー基材で製造したケーブルの絶縁被覆の誘電強度を高めることができる。
【0104】
特定かつ不定の必要条件、変更及び改良を満たすために、当業者は特許請求の範囲で定義される保護範囲内に含まれる変更と改良を本発明に導入できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気ケーブルの透視図。
【符号の説明】
1.ケーブル
2.導電性コア
3.銅製ワイヤー
4.半導体層
5.絶縁層
6.半導体層
7.金属スクリーン
8.外部シース
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