JPH09137247A - 加熱による高強度化特性に優れた高加工性鋼板 - Google Patents

加熱による高強度化特性に優れた高加工性鋼板

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JPH09137247A
JPH09137247A JP29013895A JP29013895A JPH09137247A JP H09137247 A JPH09137247 A JP H09137247A JP 29013895 A JP29013895 A JP 29013895A JP 29013895 A JP29013895 A JP 29013895A JP H09137247 A JPH09137247 A JP H09137247A
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steel sheet
less
heating
carbide
strength
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JP29013895A
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English (en)
Inventor
Goro Anami
吾郎 阿南
Tetsuo Toyoda
哲夫 十代田
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工時には優れた加工性を示し、一方加熱に
よって高強度化して使用することができる高強度化の可
能な鋼板を提供する。 【解決手段】 フェライト中に、最大直径が2μm以下
の炭化物からなる炭化物バンドが多数存在すると共に、
800℃で4秒間加熱した後室温まで20℃/secで
冷却したとき、加熱処理前の引張強度に比べて引張強度
が20%以上増加する高加工性鋼板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工時に優れた加
工特性(特に伸びフランジ性)を有すると共に、プレス
加工の前または後に加熱処理を施すことにより、高強度
化(特に引張強度の上昇)して使用することができる高
加工性・高強度化鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用部材、特にメンバー類等に用い
られる鋼板には加工性と強度の2つの相反する特性が要
求されている。即ちメンバー類を自動車ボディの滑らか
な曲線に添わせるように配置するためには優れた加工性
を有していることが必要であり、一方いったん装着した
後は、走行中の衝突事故に対して優れた防護作用を発揮
するという立場から所定の部分が希望強度まで高強度化
されておらなければならない。
【0003】しかしながら、一般に、鋼板を加熱処理す
ると熱歪が生じて鋼板がたわみ、プレス加工が困難にな
るという不具合が生じる。そこで、鋼板のたわみを少な
くすると共に生産性の向上を目的として、できるだけ低
い温度で短時間の加熱により、高強度化が得られる鋼板
の提供が切望されている。
【0004】加熱による高強度化を図る目的で種々の機
械部品用鋼材が開発されている(例えば特願平3−80
005号、特願平3−90708号等)が、これらの鋼
材は、いずれも機械部品を対象にしており、プレス加工
性についてはあまり考慮されていない。周知の如く、プ
レス加工性には伸びフランジ性、深絞り性、張出し性お
よび曲げ性が含まれるが、そのなかでも伸びフランジ性
は鋼板に特有の要求特性であり、これが不足するとプレ
ス割れを引き起こすという問題がある。従って、プレス
加工性について何ら配慮されていない上記機械部品用鋼
材を用いても、目的とするところの高加工性鋼板は得ら
れない。しかも、鋼板は機械部品に比べて加熱に伴う歪
みが大きいため、この様な弊害を防ぐ観点からも、でき
るだけ低温で単時間の加熱処理によって高強度を付与す
ることのできる鋼板の提供が切望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
着目してなされたものであり、その目的は、下記の諸特
性を満足することのできる加熱による高強度化特性に優
れた高加工性鋼板を提供することにある。 加熱による鋼板の変形が少ないこと。 低温度・短時間(数秒間程度)の加熱によって十分な
強度(特に引張強度)が得られること。 加熱の有無にかかわらず十分なプレス加工性(特に伸
びフランジ性)を有すること。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の高加工性鋼板は、フェライト中に、最大直径が2
μm以下の炭化物からなる炭化物バンドが多数存在する
と共に、800℃で4秒間加熱した後室温まで20℃/
secで冷却したとき、加熱処理前の引張強度に比べて
引張強度が20%以上増加するものである点に要旨を有
するものである。
【0007】本発明では、更に加工性や強度の向上を目
的として、以下の要件を具備することが好ましい。 炭化物バンドを構成する炭化物同士は、互いに接触し
ているか、或いは、該炭化物同士が、前記鋼板を800
℃で4秒間加熱した後に生じた硬質相を介して接触する
程度に近接している。 伸びフランジ性が30%以上である。 合金元素として、C:0.04〜0.30%(質量%
の意味、以下、合金元素の場合は全てこの意味を表わ
す)およびMn:1.0〜4.0%を含有する。 合金元素として更にP:0.2%以下,Cu:1%以
下,Ni:1%以下のいずれか1種以を含み(いずれの
元素も0%を含まない)、残部がFe及び不可避的不純
物よりなる。 更にSi:3%未満及び/又はCr:1%以下を含む
(いずれの元素も0%を含まない)。 更にS:0.01%以下(0%を含まない)を含む。 更にCa:20ppm 以下及び/又はREM:20ppm
以下を含む(いずれの元素も0ppm を含まない)。
【0008】
【発明の実施の形態】上記目的を達成するために、本発
明者らは特に鋼板中に存在する炭化物に着目した。一般
に炭化物が多い程、加熱による高強度化特性に優れた鋼
板が得られるが、その反面、伸びフランジ性は低下する
という性質に鑑み、鋼板加熱後の引張強度上昇量や伸び
フランジ性に及ぼす炭化物の影響について様々な角度か
ら検討を加えた。その結果、フェライト中に、所定の粒
径に制御した炭化物が密集した炭化物バンドを多数存在
させることが最も有効であることを見出し、本発明を完
成したのである。
【0009】以下、本発明の完成に至った実験経緯に沿
って上記要件を説明していく。まず、本発明に係わる高
加工性鋼板は、フェライト中に、最大直径が2μm以下
の炭化物からなる炭化物バンドが多数存在する点に最大
の特徴を有する。
【0010】図1に、この様な炭化物バンドを含有する
本発明鋼板の圧延方向縦断面の中央部付近における光学
顕微鏡写真(100倍)を示す。図中、白地はフェライ
トであり、該フェライト中に最大直径2μm以下の粒状
炭化物がバンド状に多数存在していることが分かる。上
述した様に、炭化物が多い程、加熱による高強度化特性
が顕著に得られることから、炭化物バンドも多ければ多
い程良いことは言うまでもない。尚、本発明における炭
化物は、大部分がセメンタイトであり、その他、TiC
やNbCの炭化物も包含される。また、該炭化物が形成
されるフェライトには、不純物レベルの他の組織(例え
ばマルテンサイト)を含有しても良く、例えば本発明鋼
板を加熱処理すると、熱処理条件の如何によっては、1
〜2%程度の不純物レベルのマルテンサイトが形成され
る場合もあり得る。
【0011】図2は、炭化物の最大直径と加熱前の伸び
フランジ性(以下、伸びフランジ性をλで代表させる場
合がある)との関係を示すグラフである。尚、この実験
方法については後記する実施例1に詳述しており、以下
の図3〜図12においても、同様に実施例1の結果をグ
ラフ化したものである。即ち、図2は、実施例1に用い
た鋼a1〜15における炭化物径と加熱前のλをグラフ
化したものである。
【0012】図2に示す様に、炭化物径が小さい程、加
熱前の伸びフランジ性が大きくなることが分かる。加熱
前のλが大きいと、高加工性や高強度化を容易に図れる
ことから、炭化物径の制御は特に重要である。本発明で
は、加熱前のλを60%以上にすれば高加工性や高強度
化が得られるという観点に基づき、炭化物の最大直径を
2μm以下とした。好ましくは1μm以下である。尚、
最大直径とは、炭化物が円形ではなく楕円形の場合、長
い方の直径を意味するものである。
【0013】更に、上述した様に、炭化物の含有量が多
い程、加熱に伴う高強度化が顕著になる。しかし、他方
では伸びフランジ性を阻害する様になることから、同程
度の強度が得られるのであれば、炭化物量をできるだけ
少なくして高強度化を図る方が望ましい。この様な観点
から炭化物の分散形態について調査したところ、図3に
示す様に、炭化物が塊状に集まった通常の鋼板(炭化物
バンドなし)に比べ、炭化物が密集してバンド状に集ま
った本発明鋼板は、加熱による引張強度の上昇量(以
下、dTSで代表させる場合がある)が大きいことが分
かる。
【0014】その理由は、本発明(炭化物バンド)では
繊維状や板状の硬質相が鋼中に生成するのに対し、従来
例(炭化物塊)では塊状の硬質相が生成するためである
と考えられ、いわゆる繊維強化構造が得られたことに基
づくものである。
【0015】この様に、本発明では上述した炭化物バン
ドを含有させる点に最大の特徴を有するものであるが、
加熱・冷却後の引張強度を高めるには、加熱前の伸びフ
ランジ性を30%以上とすることが好ましい。更に、よ
り優れた特性を得ることを目的として、以下の要件を具
備することが推奨される。
【0016】(a)炭化物バンドを構成する炭化物間の
距離 加熱による引張強度の上昇と炭化物バンド中の炭化物間
の距離(位置関係)との関係について調べた結果を図4
に示す。尚、図4は、実施例1に用いた鋼b1〜19に
おける炭化物間距離とdTSの関係をグラフ化したもの
である。
【0017】図4に示す様に、炭化物バンドを構成する
炭化物同士は、互いに接触している(図中の「接触」部
分)か、或いは該炭化物同士が、鋼板の加熱・冷却後に
生じた硬質相を介して接触する程度に近接しているもの
である(図中の「加熱時γ相を介して接触」の部分)
は、この様な位置関係を満足しないもの(図中の「非接
触」部分)に比べて、dTSが著しく大きいことが分か
る。これは、鋼板の加熱後に塩水焼入等の焼入処理を施
すと、炭化物周辺に生成したγ相が空冷等によりマルテ
ンサイトやベイナイト等の硬質相に変化し、マルテンサ
イトやベイナイトで連結した強固な炭化物バンドが得ら
れるためと考えられる。尚、「加熱」とは、本発明で目
的とするところの低温・短時間加熱を意味するものであ
り、本実験では全て800℃で4秒間の加熱を行ってい
る。また、上述した硬質相を効率よく生成させるには、
加熱後急冷することが好ましい。
【0018】(b)炭化物バンドの扁平率 上述した様に、鋼板の加熱後に水焼入処理を施す等して
急冷すると、γ相がマルテンサイトやベイナイトに変化
し、これらが連結することから、炭化物バンドの長さや
幅を容易に測定することができる。図5は、実施例1に
用いた鋼c1〜14のデータを基に、dTSと炭化物バ
ンドの扁平率:[板厚方向への厚さ]/[圧延方向への
長さ]との関係をグラフ化したものであるが、扁平率が
0.5以下では良好な強度上昇量が得られることが分か
る。その理由は、扁平率が小さい程、上述した高強度化
に大きく関与する繊維状や板状の硬質相が鋼中に生成さ
れるのに対し、扁平率が0.5を超えると塊状の硬質相
が生成してしまうからであると考えられる。好ましくは
0.25以下、より好ましくは0.1以下である。
【0019】(c)炭化物バンドの長さ 図6は、dTSと、炭化物バンドの平均長さの関係を調
べたグラフである。図6から明らかな様に、炭化物バン
ドの平均長さが10μm未満の場合に良好な強度上昇が
得られないことが分かる。その理由は、炭化物バンドの
長さが極端に短いと、結果的に炭化物が微細に分散する
ことになり、加熱前に強度が大きく上昇してしまうの
で、本発明で意図するところの炭化物バンドの形成に伴
う強度上昇効果が有効に発揮できないためと考えられ
る。所望の高強度化特性を得るには、炭化物バンドの平
均長さは10μm以上が好ましく、より好ましいのは2
0μm以上である。
【0020】(d)L方向(圧延方向縦断面)における
炭化物バンドの長さ 上記(c)で選択した好ましい長さ(10μm以上)を
有する炭化物バンドにおける、L方向の単位面積当たり
の長さ[長さ密度(mm/mm2 )]とdTSとの関係
を図7に示す。図7から明らかな様に、3mm/mm2
以上の炭化物バンドを有する場合、十分な強度上昇量が
得られることが分かる。ここで、「L方向で3mm/m
2 」とは、10×5cmの写真(400倍)で平均長
さが4mm以上の炭化物バンド組織が合計で4cm以上
あることを意味する。尚、図7は、実施例1に用いた鋼
d1〜15における炭化物バンドの長さ密度とdTSの
関係をグラフ化したものである。
【0021】(e)合金成分 本発明鋼板における合金成分は、以下の様に制御するこ
とが好ましい。基本的には、合金元素としてC:0.0
4〜0.30%およびMn:1.0〜4.0%を含有す
ることが好ましい。
【0022】C:0.04〜0.3% 図8は、C量を種々変化させた場合における、C量とd
TSとの関係を示したグラフ、図9は、C量と加熱後の
λとの関係を示したグラフである。これらの図は、実施
例1に用いた鋼f1〜19のデータを基にグラフ化した
ものである。
【0023】図8より、加熱による高強度化特性を確保
するには、Cを0.04%以上添加することが好まし
い。よりり好ましくは0.1%以上である。尚、C量の
増加に伴いdTSも上昇するが、0.3%以上添加する
とプレス加工性(特に伸びフランジ性)が悪くなる(図
9参照)。
【0024】Mn:1.0〜4.0% 図10は、Mn量を種々変化させた場合における、Mn
量とdTSとの関係を示したグラフ、図11は、Mn量
と加熱後のλとの関係を示したグラフである。これらの
図は、実施例1に用いた鋼g1〜19のデータを基にグ
ラフ化したものである。
【0025】Mnは、加熱による高強度化に必須の元素
であり、その添加量が多くなるに伴って、強度上昇量も
大きくなる。図10から明らかな様に、加熱後の冷却に
より十分な強度を確保するためには、Mnを1.0%以
上添加することが好ましい。Mnは、フェライト中への
炭化物溶解温度を下げる効果を有するため、強度上昇効
果が大きいのである。しかしながら、図11に示す様に
Mnを多量に添加すると、加熱後の鋼板中に極めて硬質
な低温生成組織が多量に生成するため、伸びフランジ性
が低下することから、その上限を4.0%とすることが
好ましい。
【0026】本発明における必須的含有元素は上記のと
おりであり、残部はFe及び不可避的不純物であるが、
所望によっては以下の(1)〜(4)群に示す各元素を
1種または2種以上、下記の範囲内で積極的に添加する
こともできる。 (1)P:0.2%以下,Cu:1%以下および/また
はNi:1%以下 (2)Si:3%未満および/またはCr:1%以下 (3)S:0.01%以下 (4)Ca:20ppm 以下および/またはREM:20
ppm 以下 以下、各群に示す元素について説明する。 P:0.2%以下 Pは、耐食性改善作用を有する元素であるが、0.2%
を超えると鋼の脆化が著しくなるので、その上限を0.
2%以下にすることが好ましい。
【0027】Cu:1%以下 Cuは時効析出によって素材強度を確保する機能を発揮
するものであり、しかも母材の耐食性を向上させること
ができるので、素材の特性向上元素として有効である。
この様な添加効果を有効に発揮させるには0.1%以上
の添加が好ましい。しかしながら1%を超えて添加して
も効果が飽和し、逆にコスト高を招くだけである。
【0028】Ni:1%以下 Niは、鋼板の耐食性を改善すると共に、上記Cuの添
加による割れを抑制する元素である。この様な作用を有
効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。し
かしながら、1%以上添加しても効果が飽和し、逆にコ
スト高を招くだけである。
【0029】Si:3%未満 Siを3%以上添加するとプレス加工性が低下する。
尚、本発明鋼板を製造するに当たり、合金亜鉛めっきを
施す場合には、Siを0.5%以上添加すると、めっき
付着性を低下させる要因となるので、その上限を0.5
%未満にすることが好ましい。上記めっき付着性に加え
て、赤スケール等の発生を抑制しスケール特性を制御し
たい場合には、その上限を0.2%以下に抑えることが
好ましい。
【0030】Cr:1%以下 Crは焼入性向上元素であり、加熱後の冷却による高強
度化を確保することができる。この様な作用を有効に発
揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。しかしな
がら1%を超えて過剰に添加するとめっき付着性が低下
する。
【0031】S:0.01%以下 Sを0.01%以上添加すると伸びフランジ性が低下す
る。 Ca:20ppm 以下,REM:20ppm 以下 CaおよびREMは、硫化物の形状改善作用および伸び
フランジ性の改善作用を有する元素である。これらの作
用を有効に発揮させるには、各元素共に、1ppm 以上添
加することが好ましい。しかしながら、20ppm を超え
て過剰に添加しても効果が飽和し、コストが上昇するだ
けである。
【0032】その他、加工性に悪影響を及ぼさない程度
に高強度化を図るという観点から、B:30ppm以
下,Ti:0.2%以下,Nb:0.1%以下,V:
0.1%以下,Mo:0.5%以下を、コスト上昇を招
かない範囲内で添加することもできる。
【0033】この様な要件を満足する本発明鋼板を比較
的低温度で短時間の加熱処理・冷却処理(例えば800
℃で4秒間加熱した後、室温まで20℃/secで冷却
する)を行うと十分な強度上昇効果(特に引張強度)が
得られる(上記条件下では20%以上)と共に、優れた
プレス加工性(特に伸びフランジ性)を有する様にな
る。即ち、加熱部位では、上述した様に炭化物バンド組
織が硬質化するのに対し、炭化物バンド以外の組織はあ
まり硬質化しないため、高強度特性を発揮させつつ高加
工性をも具備した高強度化・高加工性鋼板が得られるの
である。これに対して、例えば約900℃の高温度で加
熱すると、組織全体が硬質化してしまい加工性が損なわ
れることになる。
【0034】図12は、本発明鋼板と従来鋼板(炭化物
バンドなし)を用い、十分なdTSが得られる様にそれ
ぞれ加熱を行った後のλと、熱処理前のTSとの関係を
グラフ化したものである。従来鋼板では、900℃で1
0秒間加熱しなければ十分な強度が得られず、しかも加
熱後のλは30%以下と低くなっているのに対し、本発
明鋼板では、800℃で4秒間程度加熱するだけで十分
な強度が得られると共に、加熱後のλも全て30%を超
えており、高強度化と高強度化の両方を備えていること
が分かる。尚、図12は、実施例1に用いた鋼e1〜3
8の結果をグラフ化したものである。
【0035】本発明鋼板では、この様に、フェライト中
に、高加工性や高強度化特性に大きな影響を及ぼす炭化
物バンドが多数形成されているので、優れた加工性を確
保しつつ、できるだけ少ない硬質相の形成によって高強
度化を図ることができるのである。従って、本発明鋼板
は、素材段階では優れた冷間加工性を示し、加熱等によ
って高強度化されるので、使用条件の下では大幅な強度
上昇が可能であり、広範囲の用途に使用することができ
る。
【0036】本発明の鋼板は熱延ミル、冷延ミルのいず
れの方法によっても製造することができ、また本発明の
鋼板は各種の表面処理、例えば亜鉛めっき等のめっきを
施したものとして提供することも可能である。
【0037】以下実施例に基づいて本発明を詳述する。
ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
【0038】
【実施例】表1〜5に示した鋼組成を有する材料を溶製
し、圧延によって1.4mm厚さの板とし、組織調整を行
った。具体的には、炭化物バンドの扁平率はα域での圧
延率や焼鈍条件を、炭化物の粒径は圧延巻取温度や焼鈍
条件を、炭化物間の距離はα域での圧延率を制御する等
して夫々調整した。また、特性の評価は加熱を行ってい
ないサンプルと、加熱を行ったサンプルの2種類につい
て行った。引張試験の測定は、JIS5号引張試験片を
加工して引張試験を行った。これらの結果を表6〜14
に示す。尚、これらの結果の一部を抜粋してグラフ化し
たのが前記図2〜12であり、それらの説明は上述した
通りである。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
【表10】
【0049】
【表11】
【0050】
【表12】
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】表14の結果から以下の様に考察すること
ができる。h1〜h18は、本発明で添加し得る元素の
添加効果について調べたものである。具体的には、h1
〜h3はSi、h4〜h5はP、h6はS、h7〜h8
はCr、h9はCuおよびNi、h10はV、h11は
Nb、h12はMo、h13〜14はCa、h15はR
EM、h16はB、h17〜h18はNの添加効果を調
べたものである。
【0054】h2〜h3は、Siを過剰に添加した例で
あり、h1に比べてλが劣化する。h4〜5は、Pを本
発明の好ましい範囲内に制御した例であり、この範囲内
であれば脆化せず、且つdTSやλに悪影響を及ぼさな
い。h6は、Sを好ましい範囲に制御した例であり、h
1に比べてλが向上する。h7〜h8は、Crを好まし
い範囲に制御した例であり、dTSが増加する。
【0055】h9は、CuおよびNiを好ましい範囲に
制御した例であり、この範囲内であれば、耐食性を改善
し得ると共にdTSやλに対して悪影響を及ぼさない。
h10はVを、h11はNbを、h12はMoを、それ
ぞれ好ましい範囲に制御した例であり、いずれもdTS
が上昇する。h14はCaを、h15はREMを、h1
6はBを、h17〜h18はNを、夫々好ましい範囲に
制御した例であり、これらはいずれもλが改善されるこ
とが分かる。
【0056】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているの
で、素材段階においても十分なプレス加工性を有すると
共に、加熱処理によって高加工性・高強度化を図ること
ができ、しかも加熱による鋼板の変形が少ない等の利点
を併せ持つことができる。本発明鋼板を用いれば、低温
度下の短時間加熱によっても十分な強度上昇が得られる
ので、生産効率の面でも非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼板の圧延方向縦断面の光学顕微鏡写真
である。
【図2】炭化物バンド中の炭化物直径と加熱後の伸びフ
ランジ性との関係を示すグラフである。
【図3】炭化物バンドの有無による引張強度上昇量の影
響を示すグラフである。
【図4】炭化物バンド中の炭化物間距離と引張強度上昇
量との関係を示すグラフである。
【図5】炭化物バンドの扁平率と引張強度上昇量との関
係を示すグラフである。
【図6】炭化物バンドの平均長さと引張強度上昇量との
関係を示すグラフである。
【図7】炭化物バンドの長さ密度と引張強度上昇量との
関係を示すグラフである。
【図8】C量と引張強度上昇量の関係を示すグラフであ
る。
【図9】C量と伸びフランジ性の関係を示すグラフであ
る。
【図10】Mn量と引張強度上昇量の関係を示すグラフ
である。
【図11】Mn量と伸びフランジ性の関係を示すグラフ
である。
【図12】加熱前の引張強度と、十分な引張強度上昇量
が得られるだけ加熱を行った後の伸びフランジ性との関
係を示すグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト中に、最大直径が2μm以下
    の炭化物からなる炭化物バンドが多数存在すると共に、
    800℃で4秒間加熱した後室温まで20℃/secで
    冷却したとき、該加熱処理前の引張強度に比べて引張強
    度が20%以上増加することを特徴とする加熱による高
    強度化特性に優れた高加工性鋼板。
  2. 【請求項2】 前記炭化物バンドを構成する炭化物同士
    は、互いに接触しているか、或いは、該炭化物同士が、
    前記鋼板を800℃で4秒間加熱した後に生じた硬質相
    を介して接触する程度に近接している請求項1に記載の
    高加工性鋼板。
  3. 【請求項3】 伸びフランジ性が30%以上である請求
    項1または2に記載の高加工性鋼板。
  4. 【請求項4】 合金元素として、 C :0.04〜0.30%(質量%の意味、以下同
    じ)およびMn:1.0〜4.0%を含有するものであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の高加工性鋼板。
  5. 【請求項5】 更に、 P :0.2%以下(0%を含まない),Cu:1%以
    下(0%を含まない),Ni:1%以下(0%を含まな
    い)のいずれか1種以を含み、残部がFe及び不可避的
    不純物よりなるものである請求項4に記載の高加工性鋼
    板。
  6. 【請求項6】 更にSi:3%未満(0%を含まな
    い),Cr:1%以下(0%を含まない)のいずれか1
    種以上を含むものである請求項4または5に記載の高加
    工性鋼板。
  7. 【請求項7】 更にS :0.01%以下(0%を含ま
    ない)を含むものである請求項4〜6のいずれかに記載
    の高加工性鋼板。
  8. 【請求項8】 更にCa :20ppm 以下(0ppm を含
    まない),REM:20ppm 以下(0ppm を含まない)
    のいずれか1種以上を含むものである請求項4〜7のい
    ずれかに記載の高加工性鋼板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7459039B1 (en) * 2004-06-23 2008-12-02 Daniel Watson Method for forming carbide banding in steel materials using deformation
US7459040B1 (en) * 2004-06-23 2008-12-02 Daniel Watson Method for making a steel article with carbides already in the steel and no deformation used in the process
US7459038B1 (en) * 2004-06-23 2008-12-02 Daniel Watson Method for making steel with carbides already in the steel using material removal and deformation
US8388774B1 (en) 2003-06-24 2013-03-05 Daniel Martin Watson Multiwave thermal processes to improve metallurgical characteristics

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