JPH09143799A - 電気化学反応の制御方法および制御装置 - Google Patents

電気化学反応の制御方法および制御装置

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JPH09143799A
JPH09143799A JP30596895A JP30596895A JPH09143799A JP H09143799 A JPH09143799 A JP H09143799A JP 30596895 A JP30596895 A JP 30596895A JP 30596895 A JP30596895 A JP 30596895A JP H09143799 A JPH09143799 A JP H09143799A
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working electrode
working
electrodes
sample
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Yasuyuki Hieda
泰之 稗田
Nobuhiro Motoma
信弘 源間
Takashi Ishino
隆 石野
Kuniyoshi Tanaka
国義 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料基板上での局所的な電気化学反応の制御
を可能にする新規な方法およびこの方法を実施するため
の装置を提供する。 【解決手段】 溶液中に、電気化学反応の場となる試料
として用いられる第1の作用電極と、該第1の作用電極
に対して局所的に対向する第2の作用電極とを設置し、
前記第1および第2の作用電極の電位をそれぞれ一定に
設定し、前記2つの作用電極の表面間距離Dをその溶液
中での電気二重層の厚み以内に設定した後、前記第2の
作用電極の電位を変化させるか、または前記表面間距離
Dを変化させることにより、第1の作用電極上における
電気化学反応を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶液中での電気化学
反応を制御する方法およびこの方法を実施するための装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、走査型トンネル顕微鏡(STM)
および原子間力顕微鏡(AFM)の技術により物質を原
子・分子レベルで加工することが可能になっている。こ
の原子マニピュレーションの技術は、新しい物理現象の
発見、さらには新しい動作原理に基づくデバイスを実現
する可能性を秘めている。また、STM、AFMの技術
は、大気中、超高真空中ばかりでなく、溶液中において
も適用が可能であり、様々な試料表面での現象が原子レ
ベルで解明されつつある。
【0003】溶液中では溶媒に様々な反応物質を溶解す
ることができるため、溶液中に設置された電極の表面は
化学反応の場として非常に重要である。溶液中での電気
化学反応は、真空装置のような大がかりな装置を特に必
要としないため、工業的にもエッチング、メッキ等の湿
式プロセス、センサー、電池等、古くから広範囲に応用
がなされている。最近では、化合物半導体の原子層結晶
成長を電気化学的方法で行なおうという取り組みも見ら
れる。また、生物においては、溶液中が生体分子により
行われる特異的な反応の場となっている。溶液中での局
所的なマニピュレーションはこのように広い応用が考え
られ、期待は大きい。しかし、大気中や超高真空中での
研究に比べて、溶液中での局所的なマニピュレーション
に関する研究報告は圧倒的に少なく、制御性の高い方法
は確立されていないのが現状である。以下に、STM、
AFMおよびその関連技術により局所的な反応もしくは
加工を行った例の中からいくつかについて詳しく説明す
る。
【0004】1)Bardらは、微小電極からなる探針
に用いたScanning Electrochemi
cal Microscopy(SECM)により、試
料電極上への金属の電析、金属および半導体電極表面の
エッチングを局所的に行なった(Acc.Chem.R
es.,23(1990)357)。この方法では、探
針上で生成したイオン種の濃度が、探針直下で局所的に
高くなることを利用して、基板表面で電気化学反応を起
こしている。この方法では、探針と試料とがこれらの表
面が相互作用するほどには接近されておらず、探針上で
起こる反応が基板表面での反応を誘発しているため、試
料電極上の電気化学反応を制御しているとはいえない。
また、適用できる電極および電気化学反応には制限があ
る。
【0005】2)Nagaharaらは、HFを含む溶
液中でSiおよびGaAsの基板を、STM走査するこ
とにより、数10nmの線幅でエッチングが可能である
ことを示した(Appl.Phys.Lett.,57
(1990)270)。この現象は、STM探針と基板
との間の強い電場により、試料表面が陽極酸化されるた
めとしている。また、Thundatらは、NaOH溶
液中でSTM観察中に試料基板のTa表面が平坦化され
ることを見い出した(J.Vac.Sci.Techn
ol.,A8(1990)3537)。この現象は、探
針と試料基板間の強い電場のために溶液中のOH- イオ
ンが基板表面に吸着し、表面の酸化が進むためであると
考えられる。しかし、いずれの報告においても、STM
走査中に参照電極に対する探針および試料の電位制御は
独立には行なわれていない。したがって、試料表面での
反応自体は、電気化学的には制御されておらず、所望の
反応を選択的に行うことは不可能である。
【0006】3)Sasanoらは、ピロールを含む溶
液中でのSTM探針により、HOPG基板上にポリピロ
ールを局所的に析出させることができることを報告した
(Jpn.J.Appl.Phys.,32(199
3)L863)。具体的には、試料基板の電位をポリピ
ロールの析出が起こる直前の電位に設定し、探針をその
電位より高く設定してHOPG基板表面を走査すること
によりポリピロールの局所的な析出を実現している。こ
の反応の機構は以下のように考察されている。まず、S
TM探針上でピロールモノマーが酸化される。ピロール
は探針よりもHOPG上に吸着しやすいため、HOPG
上でその後の重合反応が進む。この方法も、前述のBa
rdらの方法と同様、探針および試料の表面が相互作用
しておらず、探針上での反応が試料基板上での反応を誘
発しており、試料基板上の電気化学反応を制御している
とはいえない。
【0007】4)溶液中で探針−試料間に4〜5V程度
の比較的大きな電圧を印加して、試料表面の加工をした
例も多く見られる(Fosterら、Nature 3
31(1988)324;Pennerら、Appl.
Phys.Lett.,58(1991)1389;前
坂ら、1993年秋季応用物理学会講演会予稿集 30
p P−7)。しかし、これらの方法は、探針および試
料の電位がそれぞれ独立に制御されておらず、大気中と
同様の機構に基づく加工であり、電位制御などに問題が
ある。したがって、一般的な電気化学反応の制御方法と
しては適用できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、ST
M、AFMまたはこれらに類似する技術を用いて局所的
な加工を行った報告はあるが、電気化学反応を厳密に制
御するには至っておらず、現在のところ試料基板上で局
所的な電気化学反応を起こす方法は確立されていない。
本発明の目的は、試料基板上での局所的な電気化学反応
の制御を可能にする新規な方法およびこの方法を実施す
るための装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の電気化学反応制
御方法は、液中に、電気化学反応の場となる試料として
用いられる第1の作用電極と、該第1の作用電極に対し
て局所的に対向する第2の作用電極とを設置し、前記第
1および第2の作用電極の電位をそれぞれ一定に設定
し、前記2つの作用電極の表面間距離Dをその液中での
電気二重層の厚み以内に設定した後、前記第2の作用電
極の電位を変化させるか、または前記表面間距離Dを変
化させることにより、第1の作用電極上における電気化
学反応を制御することを特徴とするものである。
【0010】本発明の方法においては、例えば表面電荷
零電位を基準にして前記第1および第2の作用電極の電
位をそれぞれV1 、V2 とし、両電極間に働く力をFと
するとき、V1 およびV2 の極性が等しい条件下で、d
F/dD≧0となる領域で前記表面間距離Dを固定し、
前記第2の作用電極の電位を変化させることにより、第
1の作用電極上における電気化学反応を制御する。
【0011】本発明の方法では、2つの作用電極の表面
間距離が液中の電気二重層の厚みを越えるまで第1およ
び第2の作用電極を互いに遠ざけた条件下で所望の電気
化学反応が進行する第1の作用電極の電位のしきい値を
Veとするとき、Ve>0の場合にVe>V1 を満足
し、Ve<0の場合にVe<V1 を満足するように、V
1 を設定することができ、従来の方法では実現できない
低電位でも電気化学反応を実現することができる。
【0012】本発明の方法においては、誘起された電気
化学反応により第1の作用電極の構造が変化し、実質的
な表面間距離DがΔDだけ変化する。ここで、ΔD>0
すなわちエッチングなどの反応により第1の作用電極の
表面に凹部が形成される場合には第1および第2の作用
電極を互いに接近させ、実質的なDを減少させることに
より電気化学反応を連続的に生じさせることができる。
一方、ΔD<0すなわちデポジションなどの反応により
第1の作用電極の表面に凸部が形成される場合には第1
および第2の作用電極を互いに遠ざけ、実質的なDを増
加させることにより電気化学反応を連続的に生じさせる
ことができる。
【0013】本発明の方法においては、dF/dD≧0
となる条件で第1の作用電極上における電気化学反応を
起こさせている場合に、2つの作用電極の表面間距離D
を変化させるか、または第2の作用電極の電位V2 を変
化させて、dF/dD<0とすることにより、電気化学
反応を停止させることが可能である。特に、上述したよ
うに誘起された電気化学反応による第1の作用電極の構
造変化に伴う2つの電極の表面間距離Dの変化量をΔD
とするとき、ΔD>0の場合(例えばエッチング反応の
場合)に第1および第2の作用電極の位置を固定し、実
効的な表面間距離の増加に伴うdF/dDの増加を利用
して自動的に電気化学反応を停止させることもできる。
【0014】本発明の電気化学反応の制御装置は、液中
に設置された、電気化学反応の場となる試料として用い
られる第1の作用電極に対して局所的に対向配置される
第2の作用電極と、前記2つの作用電極の表面間距離D
を制御する手段と、前記第1および第2の作用電極の電
位を各々独立に制御する手段と、前記2つの作用電極間
に働く力Fを検出する手段と、dF/dDを検出する手
段とを具備したことを特徴とするものである。そして、
dF/dDおよびFをモニターし、これらの値に基づい
て第2の作用電極の電位を変化させるか、または前記表
面間距離Dを変化させることにより、第1の作用電極上
における電気化学反応を制御する。本発明の装置では、
dF/dDの値を一定とするようにDの値を制御する手
段を設けることにより、電気化学反応を連続的に生じさ
せることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。まず、溶液中に1つの固体電極を設置したとき
の、その電極近傍における電気的な状態を図1を参照し
て説明する。図1(a)に示すように、所定電位の電極
100の表面近傍では、溶液中のイオンが再分布して電
気二重層が形成される。ここで、電極100の電位を
V、外部ヘルムホルツ面での電位をΨs とすると、Ψs
は図1(b)のような変化を示す。以下においては、本
発明による電気化学反応制御の原理をわかりやすくする
ために、ヘルムホルツ層内の電位分布を、電気二重層内
の電位分布と同様に取り扱うものとする。なお、このよ
うにヘルムホルツ層内の電位分布を簡略化して取り扱っ
たとしても、ヘルムホルツ層内の電位分布を厳密に取り
扱った場合と、原理面での違いはない。
【0016】上述した電気二重層内の電位分布Ψ(d)
は、電極表面からの距離をd、溶液の濃度をc、イオン
価をzとすると、次式のように表される。 Ψ(d)=Vexp(−κd) …(1) ただし、κは電気二重層の厚みの逆数であり、溶液の誘
電率をε、溶液の温度をTとすると、κ2 =8πce2
2 /εkTの関係がある。
【0017】電気化学反応は、反応種が外部ヘルムホル
ツ面にまで近づいたときに起こる。ヘルムホルツ層の厚
みは数オングストローム程度であり、1mMの溶液の電
気二重層の厚みが10nm程度であることから、電気化
学反応に関しては電極表面近傍の電場の強さが非常に重
要になる。通常の電気化学反応は、電極/溶液界面に印
加した電位Vによって電極表面での電場を変化させるこ
とによって制御する。電極表面近傍での電場の大きさE
(d)は次式で表される。
【0018】 E(d)=−κVexp(−κd) …(2) 以上の(1)および(2)式から、溶液中に存在する1
つの電極表面からある距離dだけ離れた位置でのΨおよ
びEはVのみによって決まる。
【0019】次に、溶液中に2つの電極(第1の作用電
極および第2の作用電極)が存在し、各々の表面が相互
作用する場合について説明する。いま、第1および第2
の作用電極の表面電位をそれぞれV1 およびV2 、2電
極の表面間距離をDとし、V1 およびV2 をDによらず
一定に保つような系を考える。このような系は、2つの
電極をバイポテンシオスタットにより電位制御すること
により実現できる。ここで、第1の作用電極の表面から
dの距離(0≦d≦D)における電位Ψ1 (d)および
電場の大きさE1 (d)は以下のように表される。
【0020】 Ψ1 (d)=V1 cosh(κd)+Asinh(κd) …(3) E1 (d)=−{κV1 sinh(κd)+κAcosh(κd)} … (4) ただし、 A=(V2 −V1 cosh(κD))/sinh(κ
D) また、表面間距離Dだけ離れている2電極の表面に働く
力F(D)は以下のように表される。
【0021】 F(D)=−(εκ2 /8π)cosech(κD){(V1 2 +V2 2 ) cosech(κD)−2V12 coth(κD)} …(5) (3)および(4)式から、上述したような溶液中に1
つの電極だけが存在する場合と異なり、溶液中に存在す
る2つの作用電極が相互作用している場合には、第1の
作用電極の表面からある距離dだけ離れた位置における
Ψ1 およびE1は第2の作用電極の影響を受け、V1
けでなくDおよびV2 にも依存している点が重要であ
る。以下において第1の作用電極表面での電気化学反応
を考える場合には、d=0近傍でのE1 (d)の値が重
要になるので、E1 (d=0)の値を特にE1 と表記
し、E1 に関して議論する。
【0022】図2(a)に、第1の作用電極表面におけ
る電場E1 の2電極の表面間距離Dに対する依存性を、
2つの作用電極の電位V1 およびV2 の大小関係に応じ
て示す。図2(a)に示されるように、V1 >V2
0、V2 <0<V1 およびV1<0<V2 の場合には、
1 の極性は変化することなく、特にDが小さく2つの
作用電極が接近した領域では、表面間距離Dが小さくな
るほどE1 の絶対値は増加する。ところが、V2 >V1
>0の場合には、E1 はDが大きいと正の値をとるが、
Dが小さくなるにつれて減少し、あるDの値を境界とし
て極性が反転して負の値をとり、さらにDが小さくなる
と負の符号で絶対値が増加する。この場合、Dの値が小
さくなるほど、E1 は急峻に変化する。したがって、D
が小さい領域、すなわち第1の作用電極に対して第2の
作用電極を接近させた領域で、選択的に電場E1 を大き
く変化させることができる。なお、V1 <V2 <0およ
びV2 <V1 <0の場合については、電場E1 はそれぞ
れE1 の正負の符号が反転する以外は、V1 >V2
0、V2 >V1 >0の場合と同様の変化を示す。
【0023】一方、(4)式から、Dを固定した場合に
は、V2 を変えることによりE1 の値を変化させること
ができる。この場合、E1 の変化の度合は、V2 ・κc
osh(κd)/sinh(κD)で表され、この値は
Dが小さくなるにつれて急激に増加する。すなわち、こ
の場合にも、2つの作用電極の表面が接近しているほ
ど、V2 を変化させることによりE1 をより大きく変化
させ得ることがわかる。
【0024】また、図2(b)に、2電極の表面間に働
く力Fの表面間距離Dに対する依存性を示す。図2
(a)と図2(b)とを対比すると、E1 の変化とFの
変化には対応関係があることがわかる。特にV1 とV2
とが同符号の場合に、FまたはdF/dDを観測するこ
とにより、E1 が顕著に変化する表面間距離Dを判断で
きることが重要である。すなわち、V1 >V2 >0、V
1 <V2 <0の場合には、Fが極大、換言すればdF/
dD=0となる表面間距離DでE1 がそれぞれ極小、極
大になる。また、V2 >V1 >0、V2 <V1 <0の場
合には、dF/dD=0となる表面間距離DでE1 =0
になる。
【0025】ここで、dF/dD=0となる位置は、次
式で与えられる。 cosh(κD)=V1 /V2 …(6) また、F=0となる位置は、(5)式から以下のように
与えられる。
【0026】 V1 >V2 >0、V1 <V2 <0の場合 cosh(κD)=(1+(V1 /V22 )/2(V1 /V2 ) …( 7) V2 >V1 >0、V2 <V1 <0の場合 cosh(κD)=(1+(V2 /V12 )/2(V2 /V1 ) …( 8) 以上のような表面間距離Dの変化に対するE1 の急峻な
変化は、2つの作用電極を互いに接近させていくとき、
dF/dD≧0となるようなDにおいて始まり、F<0
の領域で顕著になる。したがって、dF/dDまたはF
をモニターすることにより、DおよびV2 を変化させた
時のE1 の変化を評価することができる。この場合、少
なくともdF/dD=0となるような位置を検出できれ
ば、E1の変化が顕著になり始めるDのしきい値を求め
ることができる。
【0027】このように2つの作用電極を近距離まで接
近させた系では、反応場となる片方の作用電極表面の電
場を他方の作用電極の位置または電位によって大きく変
化させることができ、そのような位置はFまたはdF/
dDの値を観察することにより検出できる。
【0028】なお、上述したE1 およびFに対するV2
およびDの影響は、D>>1/κのとき、つまり電気二
重層の厚みより2電極の表面間距離が大きい場合には著
しく微弱になる。したがって、上記のような効果を得よ
うとするならば、第1の作用電極に対して第2の作用電
極を1/κと同程度の距離以下にまで接近させることが
好ましい。1/κの値は、1価のイオンの場合、濃度1
0μMで100nm、濃度1mMで10nm程度であ
る。
【0029】本発明では、dF/dDおよびFをモニタ
ーしながら、第1の作用電極上の電場E1 を、第2の作
用電極の電位V2 および両電極間距離Dによって変化さ
せることによって、第1の作用電極上における所望の電
気化学反応を進行させるかまたは停止させるように制御
する。
【0030】以下、本発明における電気化学反応制御の
原理をより具体的に説明する。ここでは、通常の電極系
における電極反応のしきい値電位または平衡電位をVe
とし、電極の電位V>Ve(>0)のときに電気化学反
応が進行するものとして説明する。この場合、V=Ve
のときの電極表面での電場をEeとする。
【0031】例えば、溶液中に第1の作用電極とこれに
対して局所的に対向する第2の作用電極とを設置し、2
つの作用電極の電位がVe>V1 >V2 >0となるよう
に電位を固定した状態で、2つの作用電極を互いに接近
させる場合を考える。ここで、2つの作用電極間の距離
が十分大きい場合には、第1の作用電極上のどの領域で
も電気化学反応は進行しない。次に、dF/dD=0と
なる位置まで両電極を近づけて両電極を固定し、V2
減少させると、第1の作用電極上の電場E1 は大きくな
る。そして、E1 >EeとなるようなV2 において第1
の作用電極上で電気化学反応が開始する。また、同様に
Ve>V1 >V2 >0の条件で、F<0となる位置まで
両電極を近づけることによっても、E1 >Eeとして電
気化学反応を起こすことができる。
【0032】一方、V2 <V1 <0の条件で両電極間の
距離をdF/dD=0となる位置まで近づけ、V2 を減
少させると、E1 の極性が変わってE1 >Eeとなり、
電気化学反応を起こすことができる。また、同様にV2
<V1 <0の条件下で、両電極をdF/dD<0まで近
づけることによっても、E1 >Eeとして電気化学反応
を起こすことができる。
【0033】以上のような操作を行っている間、第2の
作用電極が相互作用していない第1の作用電極上の領域
では常にVe>V1 (Ee>E1 )が保たれているた
め、電気化学反応は進行しない。このように、第1の作
用電極上の電場を、第1の作用電極と第2の作用電極と
の距離、および第2の作用電極の電位によって制御する
ことができ、第2の作用電極が相互作用している第1の
作用電極上の局所的な領域でのみ電気化学反応を制御す
ることが可能となる。
【0034】逆に、V1 >Veの条件で第1の作用電極
上で電気化学反応を進行させている場合に、2つの作用
電極の表面間距離Dを変化させるか、または第2の作用
電極の電位V2 を変化させて、dF/dD<0とするこ
とにより、局所的に電気化学反応を停止させることが可
能である。
【0035】以上では、Ve>0のときに限って述べた
が、Ve<0の場合についても、極性を逆にして考えれ
ば同様である。本発明において制御する電気化学反応が
エッチング反応のように第1の作用電極上に局所的に凹
部が形成される場合、反応の進行に伴って2電極の表面
間距離Dが増加しE1 が減少するため、これを利用して
反応を停止させることもできる。この際、F<0となる
ように両電極を接近させて反応を進行させていれば、D
の変化に対するE1 の変化が急峻であるため、精度よく
エッチング深さを決めることができる。しかも、溶液の
濃度が高い場合などには、さらにE1 の変化が急峻にな
るため、原子層レベルでのエッチング深さの制御も可能
となる。このように、電気化学反応の種類によっては、
外部からの制御によらず、自動的に電気化学反応を停止
させることもできる。
【0036】次いで、本発明の装置の各構成部材をより
詳細に説明する。本発明において、第1の作用電極およ
び第2の作用電極として用いられる材料としては、A
u、Ag、Pt、Ph、Pdなどの貴金属およびSiな
どの半導体が挙げられる。第1の作用電極として上述し
た貴金属や半導体からなる材料の表面を各種の官能基ま
たは酸化還元種で被覆したものを用いてもよい。第2の
作用電極としては、走査型プローブ顕微鏡、特に力を検
出することが可能な原子間力顕微鏡(AFM)に用いら
れる探針付きカンチレバーを用いるのが好ましい。カン
チレバー先端に曲率半径1μm以上の微小球を固定した
ものを用いてもよい。AFM用のカンチレバーを用いる
場合には、探針または微小球に導電性を持たせる必要が
ある。この場合、カンチレバー自体を貴金属で形成して
もよいし、絶縁体で構成されたカンチレバー、探針およ
び微小球を貴金属の膜で被覆してもよい。後者の場合、
電位を変化させたときに、カンチレバーの表面張力が変
化して電気二重層間の力の測定に影響を与えるのを防止
するために、カンチレバーの両面を同種の貴金属で被覆
する。
【0037】本発明においては、第1の作用電極と第2
の作用電極との間の距離を電気二重層の厚みより小さい
程度、つまり1nm以下の精度で制御することが要求さ
れるので、例えば圧電素子からなる微動機構が用いられ
る。
【0038】本発明において、第1の作用電極と第2の
作用電極との間に働く力を検出する手段としては、例え
ばカンチレバーのたわみを検出する光変位検出系が用い
られる。
【0039】本発明において、第1の作用電極および第
2の作用電極に印加される電位をそれぞれ独立に制御す
る手段としては、第1の作用電極、第2の作用電極、参
照電極、対極からなる4電極系が用いられる。参照電極
としては、水素電極、カロメル電極、銀−塩化銀電極、
水銀−酸化水銀電極、水銀−硫酸水銀電極などが好まし
い。また、電気化学STMなどで使われるAu、Ag、
Ptなどを用いてもよい。第1の作用電極および第2の
作用電極に印加される電圧は、原理的には、直流電圧で
も交流電圧でも問題はない。電気化学反応に影響がない
程度の大きさの交流であれば、第1の作用電極または第
2の作用電極に交流電圧を印加し、電圧と力との変化を
同期検出することによって、力検出のS/N比が向上す
るので、微小な力の変化を高感度に測定可能となる。本
発明において、電極反応をモニターするには、第1の作
用電極または第2の作用電極に流れる電流を測定する手
段を設けることが好ましい。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図3は本発明の実施例において用いられた電気化
学反応制御装置の構成図である。図3に示すように、防
震台1上に微動/粗動機構2が設置され、その上に試料
セル3が載せられる。微動/粗動機構2はパルスモータ
ー、圧電素子などからなり、試料高さを0.1nm以下
の精度で変位させることが可能である。試料セル3は上
部4および下部5の2つの部分から構成されている。試
料セル上部4の底部に設けた穴にOリング6を介して試
料(第1の作用電極)7を試料セル下部5により押し付
けて固定する。試料セル上部4と試料7により形成され
る部分に水溶液8が収容される。また、試料セル下部5
には導電部材9が設けられており、押し付けることによ
り試料7裏面の導電性部分に接触し導通をとることが可
能である。試料セル3は、微動/粗動機構2により垂直
方向および水平方向に移動される。試料セル3上には、
Oリング10を介してカンチレバーホルダ11が載せら
れる。試料7が垂直方向に移動する際には、Oリング1
0を変形させながら動くことになるので、Oリング10
には圧縮率の高い材質のものを使用することが好まし
い。本実施例では、シリコン系樹脂からなるOリング1
0が用いられている。カンチレバーホルダ11の下面に
は、Pt製またはステンレス母材の全面にAuを被覆し
た固定用クリップ12により、導電性のカンチレバー
(第2の作用電極)13が固定される。このクリップ1
2は液中に浸漬されるため、電位測定などに悪影響を与
えないように貴金属からなることが好ましい。また、試
料セル3中には、参照電極14および対極15が浸漬さ
れる。参照電極14としてカロメル電極や銀−塩化銀電
極を用いる場合には、参照電極14からしみ出してくる
電極液の拡散による影響を防止するために、電極の周り
の液を循環ポンプ16により常時交換している。
【0041】クリップ12、試料セル3の導電部材9、
参照電極14および対極15は、バイポテンシオスタッ
ト17の電圧印加系に接続されている。このような構成
により、溶液中においてカンチレバー13および試料7
の電位を独立に制御することができる。
【0042】カンチレバー13の変位は、半導体レーザ
ー、ミラー、レンズ、フォトダイオードなどから構成さ
れるカンチレバー変位検出光学系18により、フォトダ
イオードの出力として検出される。すなわち、カンチレ
バー13の背面にレーザー光が照射され、その反射光が
フォトダイオードで検出されるように構成されており、
カンチレバー13の変位がフォトダイオードの出力変動
として検出される。
【0043】微動/粗動機構2の圧電素子には、任意関
数発生器19により交流電圧を印加することができる。
試料−探針間距離の微小な変化に伴うフォトダイオード
の出力変化は、位相敏感検波器20により同期検波さ
れ、その出力に基づいてdF/dDをモニターできる。
位相敏感検波器20の出力はコントロールユニット21
を介して微動/粗動機構2に帰還され、dF/dDを一
定に保つように制御される。
【0044】装置全体はコントロールユニット21によ
り制御される。 実験1 図3の装置構成において、試料セル内に0.01mMの
CuSO4 水溶液を収容し、第1の作用電極となる試料
としてAu基板、第2の作用電極として母材先端が四角
錐状のティップをなし、両面にCrを25nm、Auを
500nmの膜厚で順次真空蒸着した構造のAFM用の
カンチレバー、参照電極としてカロメル電極、対極とし
てPtワイヤーをそれぞれ用いた。
【0045】図4に、試料(第1の作用電極)の電位V
1 およびカンチレバー(第2の作用電極)の電位V2
それぞれV1 =0.2V、V2 =0.3Vに設定したと
きの、試料とカンチレバー探針との間に働く力の表面間
距離依存性を示す。図4に示されるように、Dが大きい
領域では斥力が観察され、D=20nmで斥力は極大値
を示し、D<10nmでは引力が観察された。
【0046】まず、2電極の表面間距離Dを1μmに固
定して、V1 =0.2V、V2 =0.3Vに設定した
後、5分経過した時点で両電極の電位制御を解除した。
この後、AFMにより探針下の試料の凹凸を観察した結
果を図5に示すが、1nm以上の凹凸は観察されなかっ
た。また、V1 を0.2Vに保持し、V2 を0.2Vか
ら1.4Vまで0.2Vおきに変化させ、それぞれ電位
を変化させた後、5分経過した時点で同様に探針下の試
料のAFM像を観察したが、図5と同様に平坦であっ
た。
【0047】次に、電極間距離Dを20nmに固定し、
1 を0.2Vに保持し、V2 を0.2Vから1.4V
まで0.2Vおきに変化させ、それぞれ電位を変化させ
た後、5分経過した時点で同様に探針下の試料のAFM
像を観察した。この場合、V2 の電位が0.2Vから
0.6Vまでの範囲では、AFM像で1nm以上の明瞭
な凹凸は観察されなかった。図6にV2 を0.8Vに設
定した場合の試料のAFM像を示す。この図に示される
ように、試料表面に高さ10nm、直径100nmの突
起物が観察された。同様に、V2 ≧1.0Vの場合に
も、突起物が観察され、突起物の高さはV2 が大きいほ
ど高くなっていた。
【0048】なお、同様の実験を0.01mMのH2
4 水溶液中で行ったが、AFM像から図6に見られる
ような突起物の形成は観察されなかった。以上の結果か
ら、図6に示される突起物は、Au基板上へのCuの析
出によるものと結論できる。
【0049】実験2 実験1と同じ水溶液、試料(第1の作用電極)、カンチ
レバー(第2の作用電極)、参照電極、対極を用いて、
実験1と同様にAu基板上へのCuデポジション反応の
制御を行った。
【0050】D=20nmに固定し、V1 =0.2V、
2 =1.0Vに設定して反応を開始させた後、10分
経過した時点で試料−カンチレバー探針間の距離を50
nmに離す実験を行い、このときのFおよびdF/dD
の経時変化−dF/dDを調べた結果を図7に示す(図
7では、図2と逆にDが減少する向きに横軸をとってい
るので、経時変化の符号は逆になる)。図7に示される
ように、10分経過するまではFおよび−dF/dDと
も負の領域で徐々に減少し、10分後に試料−探針間を
離した後は、Fおよび−dF/dDとも正の値で一定値
となった。
【0051】この結果は以下のように現象によるものと
解釈できる。すなわち、10分経過するまでは、試料上
でのCuの析出が進行し、実効的な表面間距離Dが徐々
に小さくなるため、Fおよび−dF/dDが低下すると
考えられる。また、試料−探針間の距離を離した後は、
試料上での反応が停止し、それ以上の析出が起こってい
ないことを示している。
【0052】実験3 実験1と同じ水溶液、試料(第1の作用電極)、カンチ
レバー(第2の作用電極)、参照電極、対極を用いて、
実験1と同様のAu基板上へのCuデポジション反応の
制御を行った。
【0053】まず、D=20nm、V1 =0.2V、V
2 =0.2Vに設定した。次に、この位置でV2 =1.
0Vに変化させて反応を開始させ、dF/dDの値を一
定に保つようにDを制御した。その後、z方向のピエゾ
素子の伸び量が10nmに達した時点でV2 =0.2V
に変化させ、反応を停止した。反応開始から反応停止ま
での経過時間は5分であった。
【0054】反応停止後の探針下の試料のAFM像を図
8に示す。図8に示されるように、探針直下の位置に直
径が100nm、高さが10nmの突起物が形成されて
いるのが観察された。
【0055】また、z方向のピエゾ素子の伸び量が50
nmおよび100nmに達した時点でそれぞれ反応を停
止した場合に、同様に探針下のAFM像を観察すると、
それぞれ高さ50nmおよび100nmの突起物が形成
されているのが観察された。反応開始から反応停止まで
の経過時間はそれぞれ25分および50分であった。
【0056】形成された突起物の高さと反応に要する時
間との比較から、dF/dDを一定に保つことにより、
反応速度を一定に保つことが可能であることがわかる。
また、z方向のピエゾ素子の伸び量から、堆積量をコン
トロールすることも可能であることがわかる。
【0057】実験4 試料(第1の作用電極)としてp型Si基板の裏面に1
0nmのCrおよび50nmのAuを順次真空蒸着した
ものを用い、カンチレバー(第2の作用電極)、参照電
極および対極は実験1で用いたのと同じものを用いて、
Si基板上の局所的エッチングを試みた。この実験で
は、水溶液として1mMのHF溶液を用いた。HF溶液
中で正電位を印加すると、Si表面に形成されている酸
化膜が除去されてエッチングが進行する。
【0058】図9に、試料(第1の作用電極)の電位V
1 を−0.2V、カンチレバー探針(第2の作用電極)
の電位V2 を−0.3Vに固定したときの、FのD依存
性を示す。図9に示されるように、Dが大きい領域では
斥力が観察され、D=30nmで斥力は極大値を示し、
D<20nmでは引力が観察された。すなわち、Dが大
きいと試料表面の極性は負であり、Si表面の電気化学
的酸化は起こり得ない。
【0059】次に、D=10nmに固定した後、経過時
間t=2分から20分までの範囲で、探針直下の試料の
AFM像を観察した。この際、経過時間を変化させるご
とに試料表面に平行に探針位置を移動させ、それぞれの
経過時間に対して1回のAFM観察を行った。
【0060】その結果、t=10分まで徐々にSi基板
表面がエッチングされ、穴が形成された。10分経過後
における探針直下の試料のAFM像を図10に示す。穴
の形状は、直径100nm、深さ7nmであった。
【0061】また、穴の深さの経時変化を図11に示
す。この図に示されるように、10分後までは穴が深く
なりエッチングが進行しているが、12分以降はそれ以
上の形状の変化は見られなかった。
【0062】次に、上記と同様な手法で、D=5nmに
固定した後、経過時間t=1分から10分までの範囲
で、探針直下の試料のAFM像を観察した。この場合に
も、上記と同様に、探針直下の試料表面がエッチングさ
れて穴が形成された。穴の深さの経時変化を図12に示
す。この図に示されるように、5分後まで穴が深くなり
エッチングが進行しているが、6分以降はそれ以上の形
状の変化は見られなかった。5分経過後に試料表面に形
成された穴の形状は、直径100nm、深さ12nmで
あった。
【0063】以上の結果から、エッチング反応が進行す
ると、実効的な探針−試料表面間距離が大きくなり、あ
るエッチング量で自動的に停止することがわかる。ま
た、D=5nmに固定した場合、エッチング速度、エッ
チング量ともに、D=10nmのときより大きくなって
いる。これは、Dが小さくなったことにより、試料表面
の電場E1 がより大きくなったことによると考えられ
る。また、試料の極性を負に保っているにもかかわら
ず、試料表面でエッチング反応が起こっているのは、探
針が接近している試料表面の領域では極性の反転が生じ
ていることを示している。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、試
料(第1の作用電極)に局所的に対向して設置される探
針(第2の作用電極)の電位を変化させるか、または両
電極の表面間距離を変化させることにより、試料上での
局所的な電気化学反応を制御することができる。また、
表面間距離の変化に対する試料上での電場の急峻な変化
を利用して、外部からの制御なしに電気化学反応を自動
的に停止させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液中で電極表面に形成される電気二重層の模
式図、および電気二重層の電位分布を示す図。
【図2】2つの作用電極上の電気二重層の相互作用に基
づく一方の作用電極上の電場および2つの作用電極間に
働く力の表面間距離依存性を示す図。
【図3】本発明の実施例において用いられた電気化学反
応制御装置の構成図。
【図4】実験1で検出された探針−試料間に働く力の表
面間距離依存性を示す図。
【図5】実験1において探針−試料間を1μmに設定し
て電気化学反応を制御した場合の試料表面のAFM像を
示す図。
【図6】実験1において探針−試料間を20nmに設定
して電気化学反応を制御した場合の試料表面のAFM像
を示す図。
【図7】実験2における電気化学反応の進行に伴うFお
よびdF/dDの経時変化を示す図。
【図8】実験3においてデポジション反応を行った後の
試料表面のAFM像を示す図。
【図9】実験4における探針−試料間に働く力の表面間
距離依存性を示す図。
【図10】実験4においてエッチングされた試料表面の
AFM像を示す図。
【図11】実験4におけるエッチング深さの経時変化を
示す図。
【図12】実験4におけるエッチング深さの経時変化を
示す図。
【符号の説明】
1…防震台、2…微動/粗動機構、3…試料セル、4…
試料セル上部、5…試料セル下部、6…Oリング、7…
試料、8…水溶液、9…導電部材、10…Oリング、1
1…カンチレバーホルダ、12…クリップ、13…カン
チレバー、14…参照電極、15…対極、16…循環ポ
ンプ、17…バイポテンシオスタット、18…カンチレ
バー変位検出光学系、19……任意関数発生器、20…
位相敏感検波器、21…コントロールユニット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 国義 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液中に、電気化学反応の場となる試料と
    して用いられる第1の作用電極と、該第1の作用電極に
    対して局所的に対向する第2の作用電極とを設置し、前
    記第1および第2の作用電極の電位をそれぞれ一定に設
    定し、前記2つの作用電極の表面間距離Dをその液中で
    の電気二重層の厚み以内に設定した後、前記第2の作用
    電極の電位を変化させるか、または前記表面間距離Dを
    変化させることにより、第1の作用電極上における電気
    化学反応を制御することを特徴とする電気化学反応の制
    御方法。
  2. 【請求項2】 表面電荷零電位を基準にして前記第1お
    よび第2の作用電極の電位をそれぞれV1 、V2 とし、
    両電極間に働く力をFとするとき、V1 およびV2 の極
    性が等しい条件下で、dF/dD≧0となる領域で前記
    表面間距離Dを固定し、前記第2の作用電極の電位を変
    化させることにより、第1の作用電極上における電気化
    学反応を制御することを特徴とする請求項1記載の電気
    化学反応の制御方法。
  3. 【請求項3】 2つの作用電極の表面間距離が液中の電
    気二重層の厚みを越えるまで第1および第2の作用電極
    を互いに遠ざけた条件下で所望の電気化学反応が進行す
    る第1の作用電極の電位のしきい値をVeとするとき、
    Ve>0の場合にVe>V1 を満足し、Ve<0の場合
    にVe<V1 を満足するように、V1を設定することを
    特徴とする請求項1または2記載の電気化学反応の制御
    方法。
  4. 【請求項4】 誘起された電気化学反応による第1の作
    用電極の構造変化に伴う2つの電極の表面間距離Dの変
    化量をΔDとするとき、ΔD>0の場合には第1および
    第2の作用電極を互いに接近させ、ΔD<0の場合には
    第1および第2の作用電極を互いに遠ざけることによ
    り、電気化学反応を連続的に生じさせることを特徴とす
    る請求項1乃至3いずれか記載の電気化学反応の制御方
    法。
  5. 【請求項5】 dF/dD≧0となる条件で第1の作用
    電極上における電気化学反応を起こさせている場合に、
    2つの作用電極の表面間距離Dを変化させてdF/dD
    <0とすることにより、電気化学反応を停止させること
    を特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の電気化学反
    応の制御方法。
  6. 【請求項6】 dF/dD≧0となる条件で第1の作用
    電極上における電気化学反応を起こさせている場合に、
    第2の作用電極の電位V2 を変化させてdF/dD<0
    とすることにより、電気化学反応を停止させることを特
    徴とする請求項1乃至4いずれか記載の電気化学反応の
    制御方法。
  7. 【請求項7】 誘起された電気化学反応による第1の作
    用電極の構造変化に伴う2つの電極の表面間距離Dの変
    化量をΔDとするとき、ΔD>0の場合に第1および第
    2の作用電極の位置を固定し、実効的な表面間距離の増
    加に伴うdF/dDの増加を利用して電気化学反応を停
    止させることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載
    の電気化学反応の制御方法。
  8. 【請求項8】 液中に設置された、電気化学反応の場と
    なる試料として用いられる第1の作用電極に対して局所
    的に対向配置される第2の作用電極と、前記2つの作用
    電極の表面間距離Dを制御する手段と、前記第1および
    第2の作用電極の電位を各々独立に制御する手段と、前
    記2つの作用電極間に働く力Fを検出する手段と、dF
    /dDを検出する手段とを具備したことを特徴とする電
    気化学反応の制御装置。
  9. 【請求項9】 dF/dDの値を一定とするようにDの
    値を制御する手段を具備したことを特徴とする請求項8
    記載の電気化学反応の制御装置。
  10. 【請求項10】 前記第2の作用電極が走査型プローブ
    顕微鏡の探針であることを特徴とする請求項8記載の電
    気化学反応の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020044548A1 (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 オリンパス株式会社 原子間力顕微鏡

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