JPH09150139A - 環境汚染物質の除去方法 - Google Patents

環境汚染物質の除去方法

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JPH09150139A
JPH09150139A JP7314314A JP31431495A JPH09150139A JP H09150139 A JPH09150139 A JP H09150139A JP 7314314 A JP7314314 A JP 7314314A JP 31431495 A JP31431495 A JP 31431495A JP H09150139 A JPH09150139 A JP H09150139A
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porous
environmental
groundwater
adsorption member
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Yoshio Ishimori
義雄 石森
Naoyuki Hirate
直之 平手
Takashi Anami
傑士 阿波
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理コストが低く、手間が掛らず、さらに環
境負荷が低い等という特徴を損うことなく、処理時間の
短縮、反応制御性やバイオ安全性の向上、さらには高濃
度の環境汚染物質の処理を可能にする。 【解決手段】 環境汚染物質が存在する土壌や地下水4
等の汚染環境中に、多孔性吸着部材1の一端1aを挿入
すると共に、多孔性吸着部材1の他端1bを空中に露出
させる。空中に露出させた多孔性吸着部材1の端部1b
側に、環境汚染物質を揮発、上昇させつつ除去する。環
境汚染物質は大気中に揮発除去したり、あるいは多孔性
吸着部材1に固定した微生物で分解除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境汚染物質が存
在する土壌や地下水等の汚染環境から環境汚染物質を除
去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の工場で洗浄剤等として使用
されてきたトリクロロエチレンやジクロロエチレン等の
塩素系有機溶剤の環境への漏出が大きく問題視されてい
る。また米国では石油やガソリンに端を発し、塩素系有
機溶剤等による土壌や地下水の環境汚染に深刻なものが
ある。上述したような塩素系有機溶剤等は、その使用規
制を強化する方向で進んでいるが、現在までに塩素系有
機溶剤等で汚染された環境、例えば汚染土壌や汚染地下
水の問題は依然として残っている。
【0003】そこで、塩素系有機溶剤等で汚染された土
壌や地下水等の環境を浄化することが検討されている。
これらの浄化処理には、例えば真空抽気や燃焼等の物理
的な方法も検討されてはいるが、より低コストで環境負
荷の少ない手法として微生物を利用した環境汚染物質の
分解・除去技術、いわゆるバイオレメディエーション
(環境修復)が注目されている。
【0004】バイオレメディエーションとしては、大別
して以下の 3つの手法が知られている。すなわち、 (1)
汚染物質の分解菌を固定化して利用するバイオリアクタ
方式(閉鎖系処理法)、 (2)汚染された土壌や地下水中
に元々生息する微生物に各種栄養物質を供給し、その分
解活性を増強させる方式(土着微生物応用法)、 (3)汚
染物質の分解菌(固定化して用いることもある)を汚染
現場に直接散布する方式(解放系処理法)、である。こ
れらの手法の特徴を簡単にまとめると、以下の表1のよ
うになる。
【0005】
【表1】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
微生物を利用した環境汚染物質の分解・除去方法は、表
1から明らかなように、いずれも長所、短所を合わせ持
っている。例えば、閉鎖系処理法は処理能力や反応制御
性に優れ、また安全性も高い等の長所を有するものの、
設備コストや処理コストが高いというような難点を有し
ている。土着微生物応用法は処理能力には優れるもの
の、反応制御性、設備コスト、処理コスト、バイオ安全
性の点については必ずしも満足のいくものではない。解
放系処理法は、設備コスト、処理コスト、安全性等につ
いては満足できるものの、処理時間や処理可能な汚染物
質濃度に問題があると共に、反応をほとんど制御するこ
とができず、さらに新たに微生物を散布することからバ
イオ安全性の点で問題がある。このようなことから、個
々の汚染環境の状況に合わせて、他の物理化学的手法と
組合せて使い分けられているのが現状である。
【0007】ところで、バイオレメディエーションの本
来の利点、すなわち処理コストが低く、手間が掛らず、
さらに環境負荷が低い等という利点を考えると、解放系
処理法がバイオレメディエーション本来の特徴を有する
方法として挙げられるが、従来の解放系処理法は上述し
たような欠点を有しており、これらの改善が強く望まれ
ている。
【0008】このように、従来のバイオレメディエーシ
ョンを適用した環境汚染物質の除去方法では、処理コス
トが低く、手間が掛らず、さらに環境負荷が低い等とい
う特徴を損うことなく、処理時間の短縮、反応制御性や
バイオ安全性の向上、さらには高濃度の環境汚染物質の
処理を可能にすることが課題とされていた。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、処理コストが低い、手間が掛らな
い、高濃度の環境汚染物質の処理が可能であるというよ
うな特性、さらには環境負荷が低い、処理時間が短い、
反応制御性やバイオ安全性に優れるというような特徴を
有する環境汚染物質の除去方法を提供することを目的と
している。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の環境汚染物質の
除去方法は、請求項1に記載したように、汚染環境から
環境汚染物質を除去するにあたり、前記汚染環境中に、
多孔性吸着部材の一端を挿入すると共に、前記多孔性吸
着部材の他端を空中に露出させ、前記空中に露出させた
多孔性吸着部材の端部側に前記環境汚染物質を揮発、上
昇させつつ除去することを特徴としている。また特に、
請求項2に記載したように、前記多孔性吸着部材の少な
くとも一部に、前記環境汚染物質の分解能または吸着能
を有する微生物を固定したことを特徴としている。
【0011】汚染土壌や汚染地下水等の汚染環境中に多
孔性吸着部材の挿入すると、環境汚染物質は多孔性吸着
部材に吸着され、それ自体の蒸発力や環境汚染物質を含
む地下水の蒸発力等によって、多孔性吸着部材中を環境
汚染物質が自然に上昇する。環境汚染物質が揮発性を有
する場合、環境汚染物質は空中に露出させた多孔性吸着
部材の端部から大気中に除々に揮発するため、汚染環境
から除去することができる。また、重金属イオンのよう
に親水性を有する環境汚染物質の場合には、地下水等が
揮発することによって、空中に露出させた多孔性吸着部
材の端部側に濃縮される。従って、汚染環境から環境汚
染物質を除去することができる。
【0012】このように、一度多孔性吸着部材を汚染環
境中に埋設すれば、メンテナンスやエネルギーを全く必
要とせずに、環境汚染物質を効率よく除去することがで
き、さらには良好な反応制御性を得ることができる。ま
た、微生物を用いる場合にも、多孔性吸着部材の少なく
とも一部に微生物を固定して用いることで、環境負荷の
低減やバイオ安全性の向上を図ることができる。多孔性
吸着部材の材料選択や微生物の使用等、さらには各種の
条件設定によって、十分高濃度の環境汚染物質を有効に
処理することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0014】図1は、本発明の環境汚染物質の除去方法
の実施形態を模式的に示す図である。図1は、本発明の
一実施形態として汚染地下水中から環境汚染物質を除去
する状態を示している。なお、本発明による汚染環境の
浄化は地下水以外に、環境汚染物質が存在する土壌等、
各種の汚染環境に対して有効である。
【0015】本発明で除去(処理)対象とする環境汚染
物質としては、疎水性の環境汚染物質の場合にはある程
度の揮発性を有する物質が挙げられる。環境汚染物質が
揮発性を有することにより、汚染物質除去用の多孔性吸
着部材1への拡散、浸透および蒸発が起こり、自然に除
去することができる。具体的には、石油、ガソリン、ト
リクレン等の塩素系有機溶剤、滞留性の農薬類、PCB
類等が例示される。これらは本発明による処理に適して
いるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。一
方、重金属イオンのように親水的な環境汚染物質の除去
にも本発明は有効であり、重金属イオン等は多孔性吸着
部材1に吸着、除去される。
【0016】具体的な環境汚染物質の除去方法について
説明する。ここで、図1において2は地表面、3は土壌
であり、図1はこの土壌3の下層として汚染された地下
水層4が存在している状態を表している。このような汚
染環境に汚染物質除去用の多孔性吸着部材1を埋設す
る。多孔性吸着部材1は、その先端部1aが汚染地下水
層4中に位置すると共に、他方の端部1bが地表面2よ
り上に、すなわち空中に露出するように、土壌3および
地下水4中に挿入する。また、汚染環境が土壌である場
合には、多孔性吸着部材1の先端部1aが汚染された土
壌中に位置するように多孔性吸着部材1を挿入する。な
お、図中5は地下水解析用の井戸である。汚染物質除去
用の多孔性吸着部材1としては、例えばろ紙、フィルタ
材、スポンジ材のような吸着性を有する多孔性の構造体
が用いられる。すなわち、多孔性吸着部材1に吸着され
た環境汚染物質や環境汚染物質を含む地下水等が、それ
自体の蒸発力により多孔性吸着部材1内を上昇し得るよ
うな構造体であればよい。多孔性吸着部材1の形状は、
例えば地下水層4から地表面1まで達する長さを有すれ
ばよいが、汚染物質の除去性能等を考慮して、帯状部材
のような長尺な形状を有するものが好ましく用いられ
る。また多孔性吸着部材1の素材としては、一般的な紙
の他に、各種の繊維やプラスチック等を用いることがで
き、具体的には各種繊維やプラスチックの不織布、織
布、発泡体等を用いることができる。
【0017】ただし、除去対象の環境汚染物質により溶
解しないような素材を選択する。また特に、多孔性吸着
部材1を適度な生分解性を有する素材で構成することに
よって、汚染環境に埋設した後に一定期間で自然に分解
されるため、汚染環境を浄化した後の多孔性吸着部材1
の処理を省くことができる。
【0018】除去対象の環境汚染物質が疎水性物質であ
る場合には、多孔性吸着部材1にテフロン等で適度な疎
水性を付与する処理を施したり、また多孔性吸着部材1
をテフロン等の疎水性材料を含有する部材で構成するこ
とが好ましい。多孔性吸着部材1の疎水性を調整するこ
とによって、地下水の蒸発力を環境汚染物質の除去の推
進力として利用することが可能となる。多孔性吸着部材
1を疎水性材料で構成する場合、特にポリウレタンが好
ましく用いられる。ポリウレタンは、プレポリマーの合
成時にその疎水性が容易に調整できると共に、スポンジ
状構造(発泡体等)を容易に構築できるためである。な
お、ポリウレタンは後述する微生物の固定化材料として
も好適である。
【0019】多孔性吸着部材1の挿入数や多孔性吸着部
材1の地表側端部1bの露出面積等は特に限定されるも
のではなく、除去対象物質の種類、土壌や地下水の汚染
状態、汚染範囲、多孔性吸着部材1の性状や大きさ、さ
らには後述する微生物の固定化の有無や微生物性状等を
考慮して設定するものとする。具体的には、継続して環
境汚染物質を除去することが可能な条件範囲であればよ
い。この条件は、上述した条件に加えて、汚染環境の土
質、汚染現場の深さ、季節等の様々な因子が絡み合って
決まるため、実際に処理が行われる個々の汚染環境の状
況に応じて設定することが好ましい。
【0020】また、多孔性吸着部材1の地表側端部1b
は、図1に示したように単に大気中に露出させてもよい
が、風雨(特に雨)等による除去性能の低下等を防ぐた
めに、例えば図2に示すように、多孔性吸着部材1の地
表側端部1bを保護筒6内に配置してよい。保護筒6
は、環境汚染物質の揮発除去を妨げないように、その側
壁等に通気孔6aを設けて使用する。さらに、特に有害
な環境汚染物質を汚染環境から除去する場合には、保護
筒6に排ガス処理装置等を接続し、有害な環境汚染物質
が大気中に拡散しないようにすることもできる。
【0021】さらに、図3に示すように、多孔性吸着部
材1の周囲に空間形成筒7を配置して、多孔性吸着部材
1の回りに適当な空間を確保することによって、空気の
流通が良くなるため、環境汚染物質の蒸発をより促進す
ることができる。空間形成筒7は、環境汚染物質の流
入、吸着を妨げないように、その側壁等に流入孔7aを
設けて使用することが好ましい。なお、空間形成筒7の
使用は、後に詳述する微生物を利用する場合に対しても
効果的である。
【0022】上述したような多孔性吸着部材1を汚染環
境、例えば汚染地下水層4中に上記した条件を満足させ
て埋設すると、環境汚染物質が塩素系有機溶剤のような
疎水性物質である場合には、まず環境汚染物質は汚染地
下水中から多孔性吸着部材1に拡散、吸着される。多孔
性吸着部材1に吸着された環境汚染物質は、多孔性吸着
部材1の端部1bが大気中に露出されていることから、
それ自体の蒸発力すなわち毛管現象により自然に上昇
し、端部1bから大気中に除々に揮発していく。このよ
うにして、汚染地下水層4中の環境汚染物質を除去する
ことができる。
【0023】また、環境汚染物質が重金属イオンのよう
に親水的な環境汚染物質である場合には、まず環境汚染
物質を含む地下水が多孔性吸着部材1に吸着される。多
孔性吸着部材1に吸着された地下水は、それ自体の蒸発
力により自然に上昇し、端部1bから大気中に除々に揮
発していく。この地下水の上昇、揮発に伴って、重金属
イオン等は上昇し、大気中に露出された多孔性吸着部材
1の端部1b側に重金属が濃縮される。例えば一定期間
後に多孔性吸着部材1を回収し、吸着されている重金属
を処理(もしくは再生)することで、汚染地下水層4中
の環境汚染物質を除去することができる。
【0024】このように、多孔性吸着部材1を汚染環境
中に一旦埋設してしまえば、メンテナンスやエネルギー
を全く必要とせずに、汚染土壌や汚染地下水等の汚染環
境から環境汚染物質を効率よく除去することができる。
また、多孔性吸着部材1の回りに適当な空間を確保する
ことによって、空気の流通がよくなるために、環境汚染
物質の揮発、除去を促進することができる。本発明で処
理可能な環境汚染物質の濃度は、多孔性吸着部材1の性
状、後述する微生物の使用の有無、汚染源の位置、地
質、季節等の多数の要因により決定されるが、従来の解
放系処理法と比較すると、より高濃度の環境汚染物質を
処理することができる。すなわち、低コストで、手間を
掛けることなく、高濃度の環境汚染物質まで効率よく処
理することが可能となる。また、反応制御についても容
易に行うことができる。
【0025】本発明によれば、上述したように多孔性吸
着部材1を汚染環境中に埋設するだけで環境汚染物質を
除去することができるが、環境汚染物質の除去効率を高
めるために、多孔性吸着部材1の少なくとも一部に除去
対象の環境汚染物質の分解能または吸着能を有する微生
物を固定しておくことがことが望ましい。これにより、
環境汚染物質のほとんどは地表側端部1bまで上昇して
くる間に、固定化分解菌の働きで分解されて無害化され
たり、あるいは固定化吸着菌の働きで吸着・固定され、
環境負荷をより小さくすることが可能となる。また、微
生物を多孔性吸着部材1上に固定化することで、周囲の
環境への漏出の心配もなくなり、バイオ安全性も確実に
向上する。
【0026】使用する微生物としては、上述したように
除去対象の環境汚染物質を分解し得るもの、あるいは吸
着・固定化し得るものであれば、特に限定されるもので
はない。例えば、塩素系有機溶剤の分解菌としては、ミ
クロコッカス属、ストマトコッカス属、プラノコッカス
属、スタフィロコッカス属の細菌等が挙げられる。
【0027】環境汚染物質の分解能または吸着能を有す
る微生物を固定化する方法は特に制限されず、通常使用
されている固定化法、例えば包括法や吸着法等を適用す
ることができる。例えば包括法では、コラーゲン等の繊
維性蛋白質やカラギーナン等の多糖類、ポリアクリルア
ミドやポリウレタン等の高分子といった物質が固定化材
料として用いられる。
【0028】ここで、生分解性の高い材料で分解菌を固
定化した場合には、図3に示したように、多孔性吸着部
材1の周囲に空間形成筒7を配置して適度な空間を確保
し、環境中に存在する微生物による自然分解を抑制する
ことがより好ましい。空間がない場合には、土着の微生
物による分解を受け易くなり、環境汚染物質の処理可能
期間が短くなってしまうおそれがある。一方、ポリマー
のように生分解性が乏しい材料の場合には、多孔性吸着
部材1の周囲の空間は必ずしも必要ではないが、一定期
間後に多孔性吸着部材1を回収して何らかの方法で処理
する。また、微生物成育のための条件(通気性等)を確
保する上でも、空間形成筒7の配置は有効である。
【0029】なお、固定化材料としてポリウレタンを使
用すると、プレポリマーの合成時にその疎水性が容易に
調整できるので、例えば多孔性吸着部材1表面を特に疎
水性処理する必要はなくなる。このため、多孔性吸着部
材1の製造工程上より好ましくなる。さらに、ポリウレ
タンの場合には、スポンジ状構造を構築することも可能
であり、これだけで環境汚染物質の吸収・揮発作用を持
たすことができる。すなわち、固定化分解菌が多孔性吸
着部材1を兼ねることになる。
【0030】固定化分解菌の多孔性吸着部材1への接着
法も特に制限はなく、環境汚染物質や水等の作用で簡単
に溶解される接着方法や微生物の生育に影響を与える方
法でなければよい。例えば、エポキシ系接着剤やシアノ
アクリレート系接着剤等が最適である。なお、多孔性吸
着部材1との密着性がよい場合には、必ずしも固定化分
解菌を多孔性吸着部材1に接着する必要はない。
【0031】
【実施例】次に、実験結果に基いて本発明の好適な実施
例について説明する。
【0032】実施例1 まず、トリクレン汚染地下水の浄化モデル実験について
述べる。トリクレンは比重が水よりも大きく、ほとんど
水に溶解しない(飽和濃度で1000ppm 程度)ことから、
地下水層の下部に滞留すると言われている。
【0033】図4に、この実施例1における実験の概略
を示す。まず、 100mlのガラス製ビーカ11内に直径 2
mmのガラスビーズを約50ml入れ、1000ppm のトリクレン
水溶液を適当量注入し、トリクレン汚染地下水のモデル
としてトリクレン含有ガラスビーズ層12を調製した。
次に、幅20mm、長さ 100mmに切断した疎水性フィルタ
(ポリフロンPF100 、アドバンテック社製、厚さ=1mm)
13を、一端が大気中に露出する(フィルタ上部約50m
m)ように、トリクレン含有ガラスビーズ層12に挿入
し、そのまま一昼夜吸気中のドラフト内に放置した。
【0034】一方、本発明との比較例として、フィルタ
を挿入しないビーカも用意し、上記実施例による疎水性
フィルタを挿入したビーカと同時に、一昼夜吸気中のド
ラフト内に放置した。
【0035】一昼夜放置後、実施例による疎水性フィル
タを導入したビーカでは、トリクレン濃度が約100ppm減
少していることが認められた。これに対して、フィルタ
を導入しなかった比較例のビーカでは、トリクレン濃度
の減少は数ppm 程度であった。これらの実験結果から、
地下水中に滞留しているトリクレンを、疎水性フィルタ
をトリクレン層に導入することで効率よく除去できる可
能性が示された。
【0036】実施例2 トリクレン汚染地下水の浄化実証試験について述べる。
10ppm のトリクレンで汚染されている、5mの深さにある
地下水の浄化試験を、実施例1と同様なポリフロンフィ
ルタを用いて実際に実施した。試験区域は 10m四方と
し、 500mm間隔でポリフロンフィルタを打ち込んだ。フ
ィルタの幅は便宜的に 100mmとした。また、空中へは 3
00mmずつ露出させた。これらとは別に、地下水の特性を
経時的に解析するための井戸を試験区域の中央に設置し
た。この試験の概略構成は図1に示した通りである。
【0037】上記した方法にしたがって地下水の浄化を
行い、地下水中のトリクレン濃度を経時的に測定した。
その結果を図5に示す。図5から明らかなように、約 3
か月でトリクレン濃度は30ppb(環境基準)以下まで減少
したことが分かる。真空抽気や活性炭吸着等の物理処理
を用いると、1ppm程度までは比較的短期間で達成できる
が、さらに低濃度まで下げるためには 1か月以上の連続
運転が必要と言われている。これらに比べて処理期間は
長いものの、本発明を用いればエネルギーやメンテナン
スを全く必要とせずに、地下水中のトリクレンを除去で
きることが実証された。
【0038】実施例3 固定化トリクレン分解菌を併用したトリクレン汚染地下
水の浄化実証試験について述べる。実施例2と同様の試
験区域において、トリクレン分解菌を固定化した多孔性
吸着部材を用いて浄化試験を実施した。トリクレン分解
菌としては、シュードモナス・セパシアKK01株(FER
M:BP-4235)を利用した。この菌体を、予め1ppmのトリ
クレンを含むLB培地中で 3日間(298K)培養し、集菌し
た後に適当量の最少培地に懸濁させ、固定化操作に入る
まで冷蔵保存した。固定化にはポリウレタンを使用し
た。
【0039】固定化操作は以下のようにして行った。プ
レポリマー(HYPOLFHP2000、メルク社製)の適当量と等
重量の緩衝液を加え、 1分間よく撹拌する。次に、上記
菌体懸濁液を加えて 1分間撹拌し、さらに菌体懸濁液を
加えて 1分間撹拌する。これらの操作によりポリウレタ
ンフォームに固定化されたトリクレン分解菌を調製し
た。
【0040】得られた固定化分解菌を、厚さ 5mm、 100
mm角のシ−ト状に成形し、実施例2と同一のポリフロン
フィルタ上にエポキシ系接着剤を使用して貼り付けた。
貼り付けた範囲は、地下水層の上部から地表下50mmまで
とした。このような帯状フィルタを、内径95mm、肉厚10
mm、長さ4.7mのポリプロピレン製パイプの内部にセット
し、実施例2と同様に試験区域に打ち込んだ。なお、ポ
リプロピレン製パイプには、フィルタ固定用の 2本の溝
(深さ=25mm 、幅=6.5mm)が設けられ、かつ適当な密度
で通気用の孔が開けられている。
【0041】上記した方法にしたがって地下水の浄化を
行い、地下水中のトリクレン濃度を経時的に測定した。
その結果を図6に示す。図6から明らかなように、トリ
クレン濃度が約 2か月の期間で30ppb 以下のレベルまで
減少することが分かる。実施例2と比較すると、固定化
分解菌を併用することで、 1か月程度処理速度が向上す
ることが示された。
【0042】実施例4 カドミウム汚染地下水の浄化モデル実験について述べ
る。通常の活性汚泥は、カドミウム等の重金属をよく吸
着すると言われている。そこで、この活性汚泥を利用し
たカドミウム汚染水の浄化試験(モデル実験)を行っ
た。
【0043】活性汚泥は一般の下水処理場から入手し、
不活性な粒子を除いた後に 1晩培養して調製した。これ
を2.5%のアルギン酸ナトリウム溶液に懸濁し、厚さ 5m
m、幅20mmのスリットを経て0.1Mの塩化カルシウム中を
ゆっくり通すことにより固定化菌体とした。この固定化
菌体を帯状(幅=20mm 、長さ=100mm)に切断した硬質ろ
紙(No.4A、アドバンテック社製)に密着させた(下部か
ら約50mm)。汚染水は10ppm の塩化カドミウムを含むpH
=8の硼酸緩衝液で代用した。
【0044】上記汚染水50mlを 200mlのビーカに取り、
ここへ上記した固定化菌体付き帯状ろ紙を入れた。その
まま室温に放置し、定期的にカドミウム濃度を原子吸光
分光光度計で分析した。その結果を図7に示す。約 3日
間の試験期間で、汚染水中のカドミウムがほぼ完全に除
去されることが明らかになった。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の環
境汚染物質の除去方法によれば、エネルギーやメンテナ
ンスを必要とせずに、すなわち低コストおよび低工数の
下で、高濃度の環境汚染物質まで効率よく除去すること
が可能となる。また、請求項2記載の環境汚染物質の除
去方法によれば、より一層効率よく環境汚染物質を除去
できるだけでなく、環境への負荷を低減することができ
ると共に、従来の解放系処理法等に比べてバイオ安全性
の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の環境汚染物質の除去方法の実施形態
を模式的に示す図である。
【図2】 図1に示す実施形態の変形例の要部を示す断
面図である。
【図3】 多孔性吸着部材の周囲に空間形成筒を配置し
た状態を一部破断して示す斜視図である。
【図4】 実施例1における実験の概略を示す図であ
る。
【図5】 実施例2による地下水中のトリクレン濃度の
経時変化を示す図である。
【図6】 実施例3による地下水中のトリクレン濃度の
経時変化を示す図である。
【図7】 実施例4による汚染水中のカドミウム濃度の
経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1……多孔性吸着部材 1a…汚染環境側端部(先端部) 1b…地表側端部 2……地表面 3……土壌 4……汚染された地下水層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚染環境から環境汚染物質を除去するに
    あたり、 前記汚染環境中に、多孔性吸着部材の一端を挿入すると
    共に、前記多孔性吸着部材の他端を空中に露出させ、前
    記空中に露出させた多孔性吸着部材の端部側に前記環境
    汚染物質を揮発、上昇させつつ除去することを特徴とす
    る環境汚染物質の除去方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の環境汚染物質の除去方法
    において、 前記多孔性吸着部材の少なくとも一部に、前記環境汚染
    物質の分解能または吸着能を有する微生物を固定したこ
    とを特徴とする環境汚染物質の除去方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の環境汚染
    物質の除去方法において、 前記汚染環境中に挿入された前記多孔性吸着部材の周囲
    に、空間形成筒を配置することを特徴とする環境汚染物
    質の除去方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の環境汚染
    物質の除去方法において、 適度な疎水性を有する前記多孔性吸着部材を用い、揮発
    性を有する疎水性の前記環境汚染物質を前記空中に露出
    させた多孔性吸着部材の端部から揮発除去、または前記
    微生物により分解除去することを特徴とする環境汚染物
    質の除去方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載の記載の環
    境汚染物質の除去方法において、 親水性を有する前記多孔性吸着部材を用い、親水性の重
    金属イオン等からなる前記環境汚染物質を前記空中に露
    出させた多孔性吸着部材の端部に濃縮除去、または前記
    微生物により吸着除去することを特徴とする環境汚染物
    質の除去方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の記載の環境汚染物質の除
    去方法において、 前記汚染環境は、前記環境汚染物質が存在する土壌また
    は地下水であることを特徴とする環境汚染物質の除去方
    法。
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