JPH09152608A - 液晶表示装置、その製造方法およびその駆動方法 - Google Patents

液晶表示装置、その製造方法およびその駆動方法

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JPH09152608A
JPH09152608A JP8032382A JP3238296A JPH09152608A JP H09152608 A JPH09152608 A JP H09152608A JP 8032382 A JP8032382 A JP 8032382A JP 3238296 A JP3238296 A JP 3238296A JP H09152608 A JPH09152608 A JP H09152608A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視角特性およびコントラストが優れる液晶表
示装置およびその製造方法、駆動方法を提供する。 【解決手段】 2枚の基板間にネマチック液晶よりなる
液晶層が挟持された複数の画素を有する液晶表示装置に
おいて、液晶のねじれ方向の異なる微小領域と液晶分子
の立上り方向の異なる微小領域の4つの微小領域A、
B、C、Dが共存することを特徴とする。特に、液晶の
ねじれ方向が同一で、立上り方向が異なる2領域が、仮
想平面上、線で接していない構造を有する。さらに、4
つの領域の安定化のために液晶層が高分子を含む。視角
依存性が優れるとともに高コントラストの液晶表示装置
を従来と同様の簡易な工程で製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字、図形等を表
示する液晶表示装置、その製造方法およびその駆動方法
に関するものであり、視覚特性が優れるとともに、高コ
ントラストの液晶表示装置として利用される。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示装置は、電圧印加時の液
晶分子特有の挙動により視野角が狭いという固有の課題
を有している。液晶表示装置の視野角が狭い理由を、薄
膜トランジスタ(thin film transis
tor;TFT)駆動の液晶表示装置に多く用いられて
いるねじれネマチック(twisted nemati
c;TN)モードを例にとって説明する。図25は、電
圧非印加時の液晶表示装置の断面図であり、図26は電
圧を印加したときの液晶表示装置の断面図である。
【0003】液晶分子は棒状の分子と考えられるが、T
Nモードにおいては図25に示すように液晶分子が2枚
のガラス基板間に挟持されている。すなわち、液晶分子
11は上基板33でも下基板23でもほぼガラス基板に
平行に配向している。(但し、ガラス基板界面とは小さ
なプレチルト角13をなして配向している。)実際に
は、液晶分子の上基板面内の方位方向と下基板面内の方
位方向がほぼ90°をなすように配置されているが、図
25、図26においては見易くするために、この90°
の液晶分子のねじれは表示していない。この電圧非印加
の状態では顕著な視覚依存性は生じない。
【0004】このTN配列に電圧を印加すると、図26
に示すように液晶分子は電界と平行になるように配列を
変える。この際、プレチルト角方向から液晶分子は立ち
上がろうとする。液晶分子の複屈折性は、液晶分子長軸
と光線のなす角度によって決まる。図26のセル中央部
の液晶分子に注目すると、光線42はセル中心部の液晶
分子長軸と大きな角度をなし、一方光線41は小さな角
度をなす。このため、図26の左方向への視覚変化と右
方向への視覚変化に対して異なる光学特性を示す。通常
の液晶表示装置では、図26の左右方向が画面の上下方
向に設定されている。このため、上方向への視覚変化に
対しては、画像が白っぽくなりコントラストが低下する
「白浮き」として認識され、下方向への視覚変化に対し
ては画像が暗くなり、ネガポジが反転した「黒つぶれ」
として認識される。
【0005】この課題を解決するための技術が特開昭6
3−106624号公報に開示されている(図27)。
この従来技術においては液晶表示装置の1画素を複数の
領域(領域I、領域II)に分割し、隣り合う領域での
ラビングの向きを変えている。ラビングにより配向膜表
面における液晶分子はプレチルトを生じるが、隣り合う
領域でその方向が異なるため、電圧印加時の液晶分子の
立上り方向が逆となる。これにより視覚依存性は隣り合
う領域で相殺され、視覚依存性の少ない素子が得られ
る。すなわち、1画素が液晶分子が左から立ち上がる領
域と右から立ち上がる領域に分割されており、光線が傾
いた場合、一方の領域中の液晶分子と光線の成す角度は
大きくなり、他方の領域中の液晶分子との成す角度は小
さくなる。これにより、光線の傾きに対して画素全体の
光学特性は左右対称となり、前述した視覚に伴う画像反
転や白浮きが抑制されるようになる。
【0006】さらに、上下基板のラビングの位置をずら
すことにより、1画素内を4領域に分割する技術が、特
開平5−173135号公報に開示されている(図2
8)。
【0007】上記課題を解決するための他の技術が特開
平6−194655号公報に開示されている(図2
9)。この従来技術においては、基板表面はラビングさ
れておらず、また液晶中には液晶分子が基板間で90°
ねじれるようにカイラル剤が添加されている。等方相で
液晶を注入し、室温まで冷却すると、液晶の配向ベクト
ルが場所により異なり、連続的に変化する素子が得られ
る。この素子において光線が傾いた場合の各配向状態の
寄与は、全方向について平均化されるためにいずれの方
向においても視覚依存性の小さい液晶表示装置が得られ
る。
【0008】また、視覚特性を改善する他の技術が特開
平7−92466号公報に開示されている(図30)。
この技術においては、カイラル材を含む液晶材料とプレ
チルト角が0°である配向膜を使用することにより、複
数回のラビングを行うことなく、特開昭63−1066
24号公報と同様な視覚依存性の小さい液晶表示装置が
得られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の液晶表示装置においては、以下のような問題があ
る。
【0010】まず、特開昭63−106624号公報
(図27)および特開平5−173135号公報(図2
8)に開示された技術においては、微小領域に異なるラ
ビングを行うため、通常のTN型の液晶表示装置の製造
工程に比べて、さらにレジスト工程が必要とされるとと
もに複数回のラビング工程も必要とされる。また、これ
らの上下基板の微小領域を正確に重ね合わせるために、
2枚の基板を高精度に張り合わせなければならない。こ
の結果、これらの開示技術における液晶表示装置は、従
来の液晶表示装置に比べ、コスト高になるとともに生産
性が低下する。
【0011】一方、特開平6−194655号公報(図
29)に記載された従来技術では、配向膜がラビング処
理がされていないために、配向膜による液晶分子の配向
力が弱く、液晶を液晶相状態において基板間に注入する
と注入時の流れ模様が残り、良好な配向状態が得られな
い。そのため、この従来技術では、基板全体を加熱し、
等方相状態において液晶を注入しなければならないとい
う課題がある。
【0012】また、特開昭63−106624号公報
(図27)、特開平6−194655号公報(図29)
および特開平7−92466号公報(図30)に開示さ
れた技術に共通する課題として、微小領域間の境界部か
らの光漏れにより、コントラストが低下するという課題
がある。すなわち、これらの技術による液晶表示装置に
おいては、液晶の配向ベクトルのねじれ方向(以下「液
晶のねじれ方向」という)が同一で、液晶分子の立上り
方向(以下「液晶の立上り方向」という)の異なる2領
域が「線」で接する状態で共存する(ここにいう「線」
とは、基板垂直方向から見たときに境界部が「線」に見
えることを意味し、三次元的に見れば基板にほぼ垂直な
「面」として接している状態である)。後で検討するよ
うに(図10)、この2つの領域の境界部の液晶分子は
電圧印加時においても、電圧無印加時の配列状態が保持
されたままである。従って、電圧印加により黒表示とし
た場合(ノーマリホワイトモード)においても、その境
界部からは光漏れが生じ、黒表示時の透過率は十分に小
さくならず、コントラストの大きい液晶表示装置を得る
ことができない。
【0013】このコントラストの低下を解決する方法と
して、2領域の境界部に遮光マスクを設けることが考え
られるが、この方法では遮光マスクにより各画素の開口
率が低下し、結果として液晶表示装置の画面の明るさが
低下するという問題を生じる。
【0014】また、特開平7−92466号公報(図3
0)に開示された技術においては、電圧印加時に不均一
電界が生じるのは主に電極の端部においてであり、電極
中央部での電界の不均一性は生じない。このため、電極
中央部の液晶の立上り方向が電極端部における立上り方
向と一致しない場合が生じる。この傾向は特に電圧印加
直後において著しい。さらに、このような立上りが生じ
た場合には、液晶の立上り方向の異なる2つの領域が経
時的に変化することとなり、斜め方向における視覚特性
が経時的に変化するとともに、境界部を覆うために設け
た遮光マスクが有効に機能しないという課題がある。
【0015】この境界領域の移動の詳細な状況について
は特願平7−98336号公報に記載されている(図3
1)。図31は対角方向に開口部35を有する電極を使
用した液晶表示装置の電圧印加後の様子を示したもので
ある。状態Hと状態Lは、液晶のねじれ方向が同一で、
立上り方向の異なる2領域を示す。電界印加直後、十分
な時間を経過した後には、開口部35に従った2領域に
分割されるが、電圧印加直後においては開口部と異なる
位置に境界部が生成し、意図しない位置に2種類の領域
が発生する。
【0016】従って、本発明は上記従来技術の課題を解
決し、視覚特性およびコントラストの優れる液晶表示装
置およびその製造方法、駆動方法を提供することを目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであり、1)微小領域について
のラビングを施すことなく液晶の立上り方向の異なる2
領域、さらには液晶のねじれ方向および立上り方向の異
なる4領域を液晶層内に生成させる新規な技術、2)液
晶のねじれ方向の異なる2領域の境界部と液晶の立上り
方向の異なる2領域の境界部が光学的に異なる挙動を示
す(ねじれ方向の異なる2領域間では光漏れが生じな
い)という新規な知見、3)液晶のねじれ方向の異なる
2領域の境界部を液晶の立上り方向の異なる2領域の境
界部に比べ優先的に発生させる新規な技術、さらに4)
そのような4つの微小領域を安定に共存させ、固定化す
る新規な技術を見いだしたことによってなされたもので
ある。
【0018】具体的には、本発明による液晶表示装置
は、2枚の基板間にネマチック液晶よりなる液晶層が挟
持された液晶表示装置において、前記液晶層内に液晶分
子の立上り方向が異なる2種の不規則な微小領域が共存
することを特徴とする。
【0019】また、本発明の他の液晶表示装置は2枚の
基板間にねじれネマチック液晶よりなる液晶層が挟持さ
れた液晶表示装置において、前記液晶層内に液晶のねじ
れ方向の異なる微小領域と液晶分子の立上り方向の異な
る微小領域とが共存することを特徴とし、特に液晶のね
じれ方向が同一で液晶分子の立上り方向の異なる微小領
域が、前記液晶層を横切る仮想平面上において線で接し
ていないことを特徴とする。
【0020】また、本発明の他の液晶表示装置は、2枚
の基板間にネマチック液晶よりなる液晶層が挟持された
液晶表示装置において、液晶分子のねじれ方向および立
上り方向の異なる4つの微小領域が1画素内に共存する
ことを特徴とする。
【0021】また、本発明の他の液晶表示装置はこれら
の微小領域を安定化させ、経時変化のない液晶表示装置
を得るために、液晶層に少量の高分子が存在しているこ
とを特徴とする。
【0022】また、本発明はこのような液晶表示装置を
製造する方法として、2枚の基板間に液晶を注入し、そ
の後電圧印加下で液晶相−等方相の相転移温度以上の温
度から相転移温度以下の温度まで液晶層を冷却する方法
等を提供する。
【0023】さらに、本発明はこのような方法で製造さ
れた構造を安定に存在させる技術として、液晶層が少量
の高分子を含む構造および液晶層がモノマーまたはオリ
ゴマ(以下「モノマー等」という)を含み、当該モノマ
ー等を液晶の液晶相−等方相の相転移温度以上の温度で
高分子とする液晶表示装置の製造方法等を提供する。
【0024】さらに、本発明はこのような液晶表示装置
の駆動方法として、低レベルの電圧印加時においてもし
きい値電圧以上の電圧を印加する駆動方法を提供する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の構成および作用を以下図
を用いて説明する。
【0026】図1は本発明の液晶表示装置の中間の電圧
印加時における1画素分の液晶層を拡大した斜視図であ
る。なお、図1においても図25と同様に液晶分子の9
0°のねじれは省略してある。
【0027】この本発明による液晶表示装置は、2枚の
基板間にねじれネマチック液晶よりなる液晶層が挟持さ
れた液晶表示装置において、電圧印加時に液晶分子11
の立上り方向が異なる2種の不規則な微小領域A、Bが
共存することを特徴としている。
【0028】なお、本発明の構成を特定するために使用
する「不規則な微小領域」という表現は、レジスト等を
使用して意図的に一画素内を2以上の微小領域に分割す
る従来技術により作製される「規則的な」微小領域を除
く意であり、このような意図的な方法によらず自然発生
的に生じた規則性を有する微小領域も「不規則な微小領
域」に含まれる。
【0029】液晶層が各画素についてこのような構造を
有することにより、2種の領域の視覚依存性が相殺し、
中間調においても上下方向について視覚依存性の少ない
広視野角な液晶表示装置が得られる。中間調における液
晶層の断面図を図2に示す。図2において斜めからの光
線41、42に対してAとBの領域は逆の関係になり、
視覚依存姓が相殺する。
【0030】本発明の液晶表示装置の他の例を図3を用
いて説明する。図3は本発明の液晶表示装置の中間電圧
印加時における一画素を拡大して、基板垂直方向から見
た図であり、各微小領域(A、B、C、D)のセル厚中
央部の液晶分子の立上りの様子を示す。また、図3中の
矢印は、液晶分子のねじれ方向を示す。この発明におい
ては図1に示す液晶分子の立上り方向の異なる領域A、
Bのほかに、さらに、A、Bとはねじれ方向が異なり、
互いに液晶分子の立上り方向の異なる領域C、Dの合計
4種類の微小領域が共存している。
【0031】これら4種の微小領域A、B、C、Dにお
ける液晶分子11の立上り方向は、図3に示すように、
90°づつ異なっている。図24で説明したように、液
晶分子の立上る方向(通常のTN素子の下方向)の視野
角は狭いが、本発明の液晶表示装置においては、液晶の
立上り方向、ねじり方向の異なる4種の微小領域が共存
し、結果とした液晶分子の立上り方向が90°づつずれ
た4種の微小領域からなるため、すべての方向において
階調反転のない広視野角の液晶表示装置が得られる。
【0032】なお、視覚特性改善という点から4種の微
小領域の大きさは、大きすぎることは望ましくなく、そ
れぞれの画素の中に4種の微小領域が共存していること
が望ましい。しかし、複数個の画素で一つの色を表示す
るような場合もあり、1画素内に4種の微小領域が存在
することは必須の要件ではない。
【0033】図1は2種の微小領域からなり、図3は4
種の微小領域からなるが、この間の状態である3種の領
域が共存する液晶表示装置も製造可能である。具体的な
方法としては、カイラル剤を極微少量添加する、電圧印
加下で冷却する等による。
【0034】本発明の4種の微小領域を有する他の液晶
表示装置の例を図4、図5を用いて説明する。図4は本
発明の液晶光学素子の中間の電圧印加時における液晶表
示装置の1画素を基板の垂直方向から見たときの拡大図
である。図4中には液晶層中央部の液晶分子の立上り挙
動を示すとともに、矢印により液晶のねじれ方向を示し
てある。また、図5は図4のc−c′における本発明の
液晶表示装置の断面図を示したものである。
【0035】この本発明の液晶表示装置においては4つ
の微小領域が1画素内に存在するとともに、その形状も
より制御されている。
【0036】図4に示した本発明の液晶表示装置におい
ては、液晶のねじれ方向および立上り方向の異なる4つ
の微小領域A、B、C、Dが共存するのみでなく、各画
素内における液晶の立上り方向が反対の2領域が対称の
位置に存在し、かつ、その大きさもほぼ等しい。従っ
て、「白浮き」と「黒つぶれ」が正確に相殺し、さらに
全方位に対して優れた視覚特性が得られる。
【0037】本発明の液晶表示装置における「4つの微
小領域は」は、液晶のねじれ方向、立上り方向が異なる
ほぼ4つの微小領域からなることをいい、厳密に「4
つ」の領域のみからなることを必要としない。たとえ
ば、いずれかの領域が2つに分かれて存在している場合
や、1画素を2分割または3分割等し、その各々が4つ
の微小領域からなっている場合であってもよい。また、
4つの微小領域は図4に示すように、厳密に4等分であ
ることは要せず、意図的にその比率を変えたものであっ
てもよい。
【0038】一方、本発明の液晶表示装置における4つ
の微小領域の制御は、後述するように自然発生的な因子
も含むため、その境界部は直線に限られず、曲線であっ
てもよい。
【0039】また、本発明における液晶表示装置におい
て重要な点は、共存する4種の微小領域のうち液晶のね
じれ方向が同一で液晶分子の立上り方向の異なる領域
(図3または図4のAとB、CとD)が仮想平面上にお
いて線で接していないことである。
【0040】これにより、本発明の液晶表示装置は、ノ
ーマリホワイトモードにおいて視覚特性が優れるのみで
なく、特開昭63−106624号公報、特開平6−1
94655号公報に記載された従来技術に比べ、高いコ
ントラストを得ることができる。
【0041】本発明の液晶表示装置は、たとえば以下の
ような配向手段や液晶材料を使用することにより実現さ
れる。
【0042】まず、本発明の配向手段としては、液晶分
子の2つの立上り方向がほぼ同じ確率で生成する配向手
段を使用することが必要である。立上り方向が1方向の
みでは、2種または4種の微小領域が生じないからであ
る。従って、配向手段としてラビング配向膜を使用する
場合は、2つの立上り方向がほぼ同じ確率で生成する配
向膜を使用する。
【0043】このような1回のラビングにより2種の立
上り方向が共存しうる配向膜として、例えば以下の2つ
の配向膜をあげることができる。
【0044】一つには、ラビングによって生成するプレ
チルト角が小さい配向膜である。
【0045】従来、知られている配向膜においてはラビ
ングの向きにより液晶分子の立上り方向が決定された。
これは、ラビング操作により配向膜がラビング方向に平
行にプレチルト角を生じることに起因している。このた
め従来の配向膜では、1回のラビングにより液晶分子の
立上り方向の異なる2種の領域を生成させることが不可
能であるか、または2種の領域が生成したとしてもきわ
めて不安定であり実用性のないものであった。
【0046】本発明はこの問題を解決することによりな
されたものであり、1回のラビングにより2種の立上り
方向が安定に共存しうる配向膜を使用することにより、
従来のTN型の液晶表示装置作製と同様の簡易な工程に
より広視野角かつ高コントラストの液晶表示装置を得る
ことができる。すなわち、従来の工程と同様、1回のラ
ビングにより、液晶分子が立上る方向の異なる2種の領
域、または液晶のねじれ方向が異なる領域および液晶分
子が立上る方向の異なる4種の領域が生成する広視野角
の本発明の液晶表示装置を得ることができる。従って、
微小領域ごとのラビングを必要としないので、特開昭6
3−106624号公報、特開平5−173135号公
報に開示されている技術のような複数回のラビング工程
や、レジスト工程は不要である。また、それぞれの基板
は一回ラビングを行っているため液晶分子に対する配向
力は強く、注入時の流れ配向は問題とならない。従っ
て、室温での注入が可能であり、注入時に基板を加熱す
る必要もない。
【0047】このような低プレチルト角を有する配向膜
として、特定のポリイミド、ポリスチレンなどを挙げる
ことができる。プレチルト角の小さい配向膜を使用する
ことにより、液晶分子の立上り方向が異なる場合のエネ
ルギー差は小さくなり、電圧印加時に液晶分子が両方向
から立上るとともに、その状態が安定に存在する本発明
の液晶表示装置を得ることができる。具体体には、この
ような低プレチルトの配向膜として、プレチルト角が
0.5°以下である配向膜を挙げることができる。ま
た、ある種の高分子(たとえばポリスチレン)を配向膜
として使用した場合には、高分子鎖がラビング方向に対
して垂直に配向し、液晶分子もラビング方向に垂直に配
向する。このような配向膜においてはラビング方向とプ
レチルトの発生方向は垂直であり、プレチルト角がほと
んど0に近い配向状態が得られる。
【0048】プレチルト角は、クリスタルローテーショ
ン法等により測定することができる。
【0049】一方、立上り方向の異なる2種の微小領域
を有する本発明の液晶装置においては、プレチルト角が
小さい配向膜を使用せず、カイラル剤の添加により、2
種の立上り方向をほぼ等しい確率で発生させることもで
きる。
【0050】また、本発明の液晶表示装置に使用する配
向手段としては、偏光を利用して基板表面の液晶分子を
1方向に配向させるものやグループ等の微小な凹凸溝に
より配向させるものが利用できるが、この場合において
も2方向の立上りがほぼ等確率で生成するものである必
要がある。これは、偏光による配向面や微小溝が基板に
対して傾いているものでなればよいことに対応し、通常
の方法により容易に作成できる。直線偏光による配向処
理方法としては、たとえば、ジャパン ジャーナル オ
ブ アプライド フィジックス(Jap.J.App
l.Phys.),Vol.31(1992)PP.2
155−2164または、ネイチャー(Natur
e),Vol.351(1991)PP.49−50に
記載された方法がある。また、これらの配向膜を単独で
用いるほか、これらの配向膜を塗布、直線偏光で配向処
理を行った後、例えば、リキッド クリスタルズ(Li
quidCrystals),Vol.18,(199
5)PP319−326に記載されているような光重合
基をもつ液晶性モノマーを塗布し、偏光方向と垂直方向
に液晶性モノマーを配向させた後、光重合させ、配向膜
として用いることにより、より安定した配向状態が得ら
れる。
【0051】2種の液晶の立上り方向を安定に共存させ
る他の方法は、図1に示す2種の不規則な領域が存在す
る液晶表示装置において液晶層に、液晶がスプレイ配列
となるねじれ方向を有するカイラル材を含ませることに
よるものである。
【0052】スプレイ配列とは図6に示す配向状態であ
り(図6は見やすくするために、90°のねじれを省略
してある)、図25に示すノーマルティルト配列に対立
するものである。
【0053】プレチルトの小さい配向膜を使用した場合
には、スプレイ配列とノーマルティルト配列との差は小
さいが、完全に同一ではなく、液晶分子の立上り方向の
異なる2種の領域の安定性に差が認められる。すなわ
ち、スプレイ配列とすることにより、2つの立上り領域
の割合がほぼ等しく、また経時的に変化しない安定な微
小領域を得ることができる。
【0054】なお、ラビング方向と液晶分子の配列の関
係を示したのが、図7である。24、34はそれぞれ上
側基板、下側基板のラビング方向を示す。図7におい
て、Cがスプレイ配列、Dがノーマルティルト配列とな
る。
【0055】液晶分子がラビング方向に垂直に配向する
配向膜を使用した場合には、原理的にはプレチルト角が
特定方向に生じることはない。しかし、実際にはラビン
グ時の微妙な条件により両ねじれ方向に対する立上り方
向の異なる2種の領域は等しく安定にはならない場合が
ある。このため、2種の領域が安定する方向を実験的に
決定し、適当な回転方向を有するカイラル剤が添加され
る。
【0056】次に液晶材料の点からは、そのねじれ特性
が本発明の液晶表示装置においては重要である。
【0057】本発明の液晶表示装置において、液晶分子
のねじれ方向はカイラル剤の添加により自由に制御する
ことができる。
【0058】カイラル材の添加により、前述のようにス
プレイ配列に制御した場合、または低プレチルト角の配
向膜を使用し、ねじれ方向を一方向に制御した場合に
は、液晶分子の立上り方向の異なる2種の領域のみが共
存する図1のような本発明の液晶表示装置が得られる。
【0059】一方、カイラル材を全く添加していないか
または添加量が少ない場合には液晶のねじれ方向の異な
る微小領域と液晶分子の立上り方向の異なる微小領域の
合計4種の微小領域が共存する図3または図4に示した
液晶表示装置が得られる。すなわち、2つのねじれ方向
の異なる領域がほぼ等確率で発生するため、4種の領域
がほぼ等確率で発生する本発明の液晶表示装置が得られ
る。また、この本発明の液晶表示装置は、液晶層がカイ
ラル材を含まないため駆動電圧の増加も生じないという
利点もある。
【0060】また、カイラル材の量をきわめて少量に制
御することにより、4種の領域が存在するが、その存在
比が異なる液晶表示装置とすることができる。これによ
り、図8に示すような液晶のねじれ方向の異なる領域の
大きさを意図的に不均等にすることもできる。これは、
液晶表示装置の視角特性が図4に示したような4回対称
のものであることが必ずしも最良ではなく、上下方向に
より広視野な液晶表示装置、左右方向により広視野の液
晶表示装置であることが要求されることもあるからであ
る。従って、本発明の液晶表示装置においては、少量の
カイラル剤の添加により、上下方向をより広視野角な液
晶表示装置や左右方向により広視野角の液晶表示素子な
どを自由に作り分けることができる。
【0061】そして、この中間の視角特性を有する液晶
表示装置においても、液晶のねじれ方向が同一で、液晶
分子の立上り方向が異なる領域が直接に接しない構造と
することができ、高いコントラストを得ることができ
る。
【0062】以上のように4つの液晶分子の立上り方向
が生じる配向手段と1方向にねじれる性質を有しない液
晶材料を使用することにより、液晶分子のねじれ方向の
異なる領域と液晶分子の立上り方向の異なる領域が共存
する液晶表示装置が得られる。しかし、この条件のみで
は、図4や図8に示したような「4つの微小領域」が共
存する液晶表示装置は得られず、4種類の領域はランダ
ムに生成する液晶表示装置となる。
【0063】4種類の領域のランダム性をなくし、意図
的に4つの微小領域の形状を制御することにより、より
視角特性の優れた液晶表示装置を得ることができる。こ
のような方法として、不均一電界の使用等が考えられ
る。たとえば、図5に示すように、上側基板33の電極
32を下側基板23の電極22より大きくするなど2つ
の基板上の電極を異なる形状とする方法や、図9のよう
に少なくともいずれか一方の基板上の電極32に開口部
35を設ける方法によることができる。このような開口
部としては、「+」、「×」、「/」等の形状のほか、
直線、円形、多角形等適宜使用することができる。ま
た、通常のTFT付き基板においては、共通電極側とT
FT基板側の電極は異なる形状となっているのが一般的
であり、この形状の違いによる不均一電界をそのまま利
用することにより、本発明の液晶表示装置を得ることも
できる。この場合には、冷却時にどのような電圧を印加
するかが特に重要である。
【0064】4つの微小領域を発生させるために印加す
る電圧としては、一定の電圧あるいは液晶分子が応答で
きない高周波数の交流波電圧とすることもできるが、特
に液晶分子が応答するような低周波数の三角波、正弦
波、矩形波などを使用するほうが、ねじれ方向が同一で
立上り方向が異なる領域が線で接することのない良好な
特性を有する液晶表示装置が得られやすい。
【0065】4種の領域が存在する本発明における液晶
表示装置において重要な点は、共存する4つの微小領域
のうち液晶のねじれ方向が同一で液晶の立上り方向の異
なる領域(図3または図4のAとB、CとD)が、仮想
平面上において線で接することのないことである。
【0066】ここで「仮想平面上において」と規定した
のは、以下の理由による。図4において液晶のねじり方
向の異なる2領域、例えばBとC、は「線」で接してい
ると言える(この境界部は光漏れを生じない)。しか
し、液晶層が有限の厚みを有し、三次元的であることを
考慮すれば、厳密には、BとCは「面」で接しているこ
とになる。同様に、液晶のねじれ方向が同一で液晶の立
上り方向の異なる領域、たとえばAとB、は図4におい
ては「点」で接しているが、三次元的に考えれば「線」
で接している。
【0067】「仮想平面上において」はこのような誤解
が生じないように規定したものである。たとえば、仮想
平面として、上下の基板23、33の中央に基板と平行
な平面を考えることができ、この平面上の境界線は、た
とえば図4と等しくなる。従って、本発明の内容を規定
する「仮想平面」は基板に垂直な平面などは含まない。
しかし、液晶表示装置を斜め方向から見る場合もあるこ
とから明らかなように、基板に厳密に平行であることは
要せず、基板面に対し傾いている仮想平面であってもよ
い。
【0068】4つの微小領域のうち液晶のねじれ方向が
同一で液晶の立上り方向の異なる領域が、仮想平面上に
おいて線で接していない構造を有していることにより、
本発明の液晶表示装置は以下のような長所を有する。
【0069】まず、本発明の液晶表示装置はこのような
構造により、視角特性が優れるのみでなく、特開昭63
−106624号公報、特開平7−92466号公報に
開示された液晶表示装置に比べ、ノーマリホワイトモー
ドにおいても遮光マスク等を使用することなく、高コン
トラストの液晶表示装置を得ることができる。
【0070】特に図3に示した4種の領域が不規則な形
状で存在するために多数の境界部が存在し、その制御が
困難な液晶表示装置においては、境界部から光漏れが生
じない効果は著しい。
【0071】このような効果を有する本発明の液晶表示
装置が高コントラストになる理由を図10、図11を用
いてさらに詳しく説明する。図10は従来の液晶表示装
置に見られる液晶のねじれ方向が同一で立上り方向が異
なる領域の境界部を、図11は液晶のねじれ方向が異な
る領域の境界部をそれぞれ示している。また、(a)は
電圧非印加状態を、(b)は電圧印加状態を示してい
る。図10に示す液晶のねじれ方向が同一で液晶の立上
り方向が異なる2領域の境界部における液晶分子は電圧
印加時においても、基板に対して水平のままであり、電
圧非印加時の90°ねじれた初期状態をそのまま保持し
続ける(図10(b))。従って、ノーマリホワイトモ
ードにおいては、「黒」表示であるはずの電圧印加状態
においても、境界部は電圧非印加時の「白」状態のまま
であり、この境界部の光漏れにより「黒」表示の透過率
が上昇し、結果として液晶表示装置のコントラストが低
下する。これに対して、液晶のねじれ方向の異なる2領
域の境界部(図11)においては、境界部の液晶分子は
電圧の印加とともに電界方向に配向方向を変え、通常の
TNセル内の液晶分子と同様に十分な電圧印加下では、
基板に垂直となる(図11(a))。従って、ねじれ方
向の異なる2領域の境界部においても電圧印加時におけ
る表示は「黒」となり、コントラストの高い液晶表示装
置が得られる。
【0072】液晶のねじれ方向が同一で立上り方向の異
なる領域が、仮想平面上において線で接することがない
構造を有する本発明の液晶表示装置の他の長所は以下の
点である。
【0073】特開平5−173135号公報に開示され
たような意図的に微小領域ごとのラビングを行う方法に
おいては、液晶の立上り方向はラビングによる面からの
規制力により決定されるため、画素中央部においても液
晶の立上り方向が反対になる領域は発生しにくい。しか
し、特開平4−92466号公報に開示された液晶表示
装置のような電圧非印加時においては均一領域をなし、
電圧印加時にのみ不均一電界の作用により液晶の立上り
方向の異なる領域が発生する液晶表示装置においては、
不均一電界の弱い画素の中央部で液晶の立上り方向が反
対となる領域が生じやすい。これに対して、本発明の液
晶表示装置においては、電圧非印加時においても液晶の
ねじれ方向の異なる領域が存在するため、電圧非印加時
における一つ一つの領域が小さな領域になるとともに、
液晶のねじれ方向の異なる領域が交互に存在しているた
め(これは、液晶のねじれ方向が同一で立上り方向の異
なる領域が線で接していないことと等しい)、一つの領
域の立上り方向が反対になった場合においても隣接する
領域との境界部における光漏れの問題が生じず、安定し
た光学特性が得られる。
【0074】本発明の液晶表示装置において液晶のねじ
れ方向が同一であり、立上り方向の異なる2種の領域が
線で接していない構造が発現する理由は以下のように説
明される。
【0075】液晶分子の立上り方向または液晶のねじれ
方向の異なる領域の境界部においては、境界部以外の領
域に比べ、液晶はひずんだ配向をしており、このひずみ
によりエネルギーの高い状態にある。しかし、立上り方
向の異なる領域の境界部とねじれ方向の異なる領域の境
界部における液晶のひずみは異なり、当然にひずみのエ
ネルギーも異なる。立上り方向の異なる領域の境界部の
ひずみエネルギーがねじれ方向の異なる領域の境界部の
ひずみエネルギーよりも高い場合には、立上り方向の異
なる領域の境界部よりもねじれ方向の異なる領域の境界
部が優先的に生成することが期待される。
【0076】本発明は、このような知見に基づいて、液
晶のねじれ方向が同一であり立上り方向の異なる2種の
領域が線で接することのない液晶表示装置を開示すると
ともに、その製造方法をも開示するものである。以下、
本発明の液晶表示装置の製造方法について説明する。
【0077】前述の配向手段、液晶材料を備えた液晶表
示装置において、液晶のねじれ方向および立上り方向の
異なる4種の領域を、ほぼ等しい割合かつ微小領域とし
て得るためには、液晶層を一度等方相に加熱した後、液
晶相−等方相の相転移温度以下まで冷却する方法が望ま
しい。この過程においては、等方相から多数の液晶滴が
発生し、液晶のねじれ方向、立上り方向の異なる4種の
領域が生成する。この際重要なことは、本発明の液晶表
示装置の製造方法として規定するように、この冷却操作
を電圧印加下で行うことである。これにより液晶のねじ
れ方向が同一であり、立上り方向の異なる2種の領域が
仮想平面上において線で接していない本発明の液晶表示
装置を得ることができる。
【0078】このような条件下で本発明の液晶表示装置
が得られる理由は、以下のように説明される。電圧非印
加の状態ではねじれ方向が同一、立上り方向が異なる領
域は実質的に同一である(図10(a))。従って、こ
の領域の境界部ではひずみエネルギーは生じない。一
方、ねじれ方向が異なる領域の境界部は電圧非印加時に
おいても存在し、ひずみエネルギーの高い状態にある。
この結果、電圧非印加で冷却操作を行うとねじれ方向が
同一、立上り方向の異なる2種の領域が線で接している
構造が生成しやすく、高コントラストの液晶表示装置を
得ることができない。これに対して電圧印加下では、図
10(b)、図11(b)において予想されるように、
ねじれ方向が同一で立上り方向が異なる領域の境界部に
おいては、境界部の液晶が電圧非印加の状態のままなの
で印加電圧の増加に伴って急速にひずみエネルギーが増
加していくと考えられ、一方、ねじれ方向が異なる領域
における液晶分子は周囲の液晶分子と同様に電界方向に
向きを変えるためにひずみエネルギーはあまり増加しな
い。従って、電圧印加下で冷却操作を行った場合には、
ねじれ方向が同一で立上り方向が異なる領域が線で接す
ることのない広視野角で高コントラストの液晶表示装置
が得られる。
【0079】本発明の液晶表示装置の製造過程を含めて
考えることにより、液晶のねじれ方向が同一で立上り方
向が異なる領域が、仮想平面上において線で接していな
い本発明の構造の利点をさらに明らかにすることができ
る。意図的に微小領域ごとのラビングを行う方法におい
ては、液晶の立上り方向はラビングの向きにより決定さ
れるため、その規制力は面から生じ、画素中央部におい
ても制御通りの立上り領域が得られる。これに対して、
本発明の液晶表示装置における各微小領域は等方相から
の冷却時に発生する液晶滴から生じるものであり、十分
な不均一電界がかからない領域においては、各領域の形
状の制御が不十分となり易い。しかし、この場合におい
ても本発明の液晶表示素子は、液晶のねじれ方向が同一
で立上り方向が異なる領域が線で接していない構造とな
るために、境界部からの光漏れがなく、高コントラスト
を維持することができる。
【0080】なお、上述した本発明の液晶表示装置は基
本的には広視野角、高コントラストという優れた特性を
有するが、課題がないわけではない。
【0081】1つには、微小領域が十分に安定でない場
合があり、特に電圧のON−OFFの繰り返しの中で、
境界部が移動していき、微小領域のいずれかが消失する
場合がある。また、他の課題は電圧印加直後の液晶分子
の立上り方向が、十分な時間が経過した後の安定な立上
り方向と異なる場合があることである。この結果、電圧
印加直後には液晶のねじれ方向が同一であり立上り方向
が異なる2領域が線で接し、その境界部から光漏れが生
じるとともに、この境界部が秒オーダの遅い速度で平衡
状態に向かって移動するため、応答速度が遅くなるとと
もに、斜め方向の特性が境界部の移動に伴い変化する場
合がある。さらに、本発明の液晶表示装置の微小領域は
液晶層を等方相にまで加熱すると消失するという問題が
あり、液晶層が等方相まで加熱された場合には、再度、
不均一電界下等で微小領域を生成させることが必要とな
るという課題がある。
【0082】これらの課題を解決するため、他の発明と
して、液晶層中に高分子が存在している液晶表示装置お
よびその製造方法を開示する。
【0083】このような液晶表示装置として、図12の
ように液晶中には少量の高分子12が、たとえばネット
ワーク状に分散しているものを挙げることができる。こ
の高分子の存在により、4つの微小領域が安定化され、
電圧ON−OFFの繰り返しによっても境界部が移動せ
ず、4つの微小領域が消失することのない液晶表示装置
が得られる。この場合には、4つの微小領域の固定が問
題であるから、高分子の量はかなり少量でも十分な効果
が得られる。また、高分子12の存在により電圧印加直
後の液晶分子の立上り方向が、十分な時間が経過した後
の安定な立上り方向と同一の位置に固定され、境界部か
ら光漏れがなく、また、応答速度が遅くなることもな
い。さらに、高分子の量が多い場合には液晶層を等方相
に加熱した後冷却した場合にも、初期状態に回復する液
晶表示装置を得ることもできる。
【0084】本発明の液晶層中に少量存在する高分子
は、液晶のねじれ方向、液晶分子の立上り方向の異なる
領域を安定させるためのものであるから、そのような機
能を有すれば特にネットワーク形状等に限定されない。
従って、基板上に突起状に高分子が存在してもよいし、
微小なビーズ等を配向膜に分散させて凹凸をつける方法
によってもよい。
【0085】また、配向膜表面における微小領域の固定
が問題であるから、高分子の量はかなり少量でも十分で
ある。一方、高分子の量が多すぎる場合には、この高分
子により液晶分子の配向が乱れ、90°ねじれを生じな
くなる場合や、高分子により散乱が生じコントラストを
低下させる原因となる。従って、高分子の量は、高分子
の種類、液晶分子との相互作用にもよるが、液晶層中に
0.02wt%以上4wt%以下であることが望まし
い。
【0086】図1、図3に示す本発明の液晶表示装置に
おいては、液晶分子の立上り方向は、2通りのいずれを
とることもでき、任意性があるが、高分子が分散されて
いる場合には、最初に電圧を印加した際の立上り方向を
少量共存する高分子が記憶するために、その後も最初に
立上った方向に液晶分子は立上り、微小領域の境界部は
移動しない。すなわち、液晶中に少量分散した高分子の
共存により微小領域の境界部はその位置を固定され、液
晶表示装置の応答速度やコントラスト比を低下させるこ
とがない。ただし、液晶分子の立上り方向を制限するた
めには、微小領域を安定化させるよりも多くの高分子を
必要とする。
【0087】本発明で液晶層に分散する高分子12とし
ては、高分子を液晶中に分散したものを基板間に導入す
ることもできるし、モノマー等を溶解した基板間に導入
した後に、モノマー等を反応して高分子とすることもで
きる。しかし、注入の容易さ、初期配向の安定化の点よ
り、液晶相中でモノマー等を反応させることが望まし
い。また、この方法においては電圧印加下でモノマー等
を反応させることにより、液晶分子の初期配向にプレチ
ルトをつけ、駆動電圧や、応答速度を改善できるという
利点もある。従って、本発明はかかる液晶表示装置の製
造方法も提供するものである。
【0088】すなわち、電圧印加時に液晶分子の立上り
方向が異なる不規則な領域を形成するように組み合わさ
れた2枚の基板間に、少量のモノマー又はオリゴマを含
む液晶溶液を注入し、その後当該モノマーまたはオリゴ
マを反応させる液晶表示装置の製造方法を提供する。
【0089】また、紫外線照射等により液晶中でモノマ
ー等を反応させる場合には、液晶の配向を記憶した状態
で高分子が形成される。
【0090】一方、ねじれ方向の異なる微小領域を含む
液晶表示装置の場合には、液晶が等方相となる温度で紫
外線を照射することにより、液晶の配向に関係のない高
分子にするか、またはあらかじめ微小領域を作製してそ
の配向状態を固定する形で紫外線照射等を行う方法が望
ましい。この場合には、モノマーの硬化を2段階に分け
て行う方法も有用である。すなわち、第1段階の弱い反
応の後に微小領域を形成させ、これが安定に存在してい
る状態で、第2段階の反応を進めることにより、電圧印
加直後の液晶分子の立上り方向を固定するものである。
【0091】モノマー等を含む液晶表示装置の製造にお
いても、電圧印加下で、液晶相−等方相の相転移温度以
上から相転移温度以下まで液晶層を冷却することがで
き、広視野角かつ高コントラストの液晶表示装置を製造
するのに有用であるが、液晶中でモノマー等を反応させ
高分子とする方法では、どのような条件下でモノマー等
を反応させるかが、液晶表示装置の特性に影響する。す
なわち、室温等の液晶材料が液晶相を形成している状態
で、モノマー等を反応させた場合には、反応してできた
高分子が液晶相の配向を記憶する。従って、このような
条件下でモノマーを反応させた場合には、その後、加熱
−冷却工程によって、4つの微小領域を均等に得ること
は困難である。
【0092】そこで、他の発明として、液晶層が少量の
モノマーを含み、当該モノマー等を反応させて高分子と
する液晶表示装置の製造方法において、液晶の液晶相−
等方相の相転移温度以上の温度でモノマー等を反応させ
て高分子とする液晶表示装置の製造方法を開示する。こ
れにより、生成した高分子の配向はランダムであり、モ
ノマー等の反応後の液晶層の冷却条件に従い良好な4つ
の微小領域を得ることができる。
【0093】そのため、どのような条件下で紫外線照射
等を行うかにより、液晶表示装置の特性が変化する。ね
じれ方向が一方向のみに限定され、立上り方向の異なる
2種の微小領域が存在する液晶表示装置の場合には、電
圧非印加時の液晶の安定性より、室温でモノマーを硬化
させる方法が望ましい。
【0094】さらに、ねじれ方向の異なる微小領域を含
む液晶表示装置を室温で反応させる場合の方法として、
電圧を印加して液晶分子を立たせた状態でモノマー等を
硬化させる方法がある。モノマー濃度が低い場合には反
応してできた高分子の束縛力が弱いため、反応後の電圧
を除けば、液晶分子は基板面に平行な方向に配向する。
また、電圧印加下でモノマー等を反応させることによ
り、液晶分子の初期配向にプレチルトをつけ、駆動電圧
や、応答速度を改善できるという利点もある。
【0095】モノマー等を反応させた後に4つの微小領
域を生成させる場合には、等方相−液晶相転移温度以下
の温度でモノマー等を反応させることは望ましくない
が、逆に、すでに生成している4つの微小領域を固定す
るという観点からは、室温でモノマー等を反応させ、そ
の構造を固定化することができる。本発明の液晶表示装
置の4つの微小領域は通常液晶層を等方相にまで加熱す
ると消失する。しかし、4つの微小領域が生成した後
に、液晶層中のモノマー等を反応し高分子とすることに
よりこの構造を固定または記憶させ、相転移以上の温度
に加熱されても、液晶相まで冷却することによって再び
4つの微小領域が回復する液晶表示素子とすることがで
きる。
【0096】そこで、他の液晶表示装置の製造方法の発
明として、液晶層中のモノマー等を反応させる液晶表示
装置の製造方法において、モノマー等を2回以上分けて
反応させることを特徴とする液晶表示装置の製造方法を
開示する。この発明においては、第1段階の弱い反応に
おいて4つの微小領域の安定化を助ける高分子を形成
し、その後の冷却により4つの微小領域を生成させ、第
2段階の反応によりこの構造を固定するものである。従
って、本発明においては主に第1段階の反応は相転移温
度以下の温度で、第2段階の反応は相転移温度以上の温
度で行う。
【0097】本発明に使用するモノマー、オリゴマとし
ては光硬化性モノマー、熱硬化性モノマー、あるいはこ
れらのオリゴマ等のいずれを使用することもでき、また
これらを含むものであれば他の成分を含んでいてもよ
い。本発明に使用する「光硬化性モノマー又はオリゴ
マ」とは、可視光線により反応するものだけでなく、紫
外線により反応する紫外線硬化モノマー等を含み、操作
の容易性からは特に後者が望ましい。
【0098】また、本発明で使用する高分子は、液晶分
子と類似の構造を有するものでもよいが、必ずしも液晶
を配向させる目的で使用されたものではないため、アル
キレン鎖を有するような柔軟性のあるものであってもよ
い。また、単官能性のものであってもよいし、2官能性
のもの、3官能以上の多官能性を有するモノマー等でも
よい。
【0099】本発明で使用する光または紫外線硬化モノ
マーとしては、たとえば、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、ブチルエチルアクリレート、ブトキシエチルアク
リレート、2−シアノエチルアクリレート、ベンジルア
クリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリ
レート、NUN−ジエチルアミノエチルアクリレート、
NUN−ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロ
ペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレ
ート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリ
ルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデシル
アクリレート、ラウリルアクリレート、モルホリンアク
リレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ
ジエチレングリコールアクリレート、2,2,2−トリ
フルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペ
ンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−
テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,
4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート等の単
官能アクリレート化合物、2−エチルヘキシルメタクリ
レート、ブチルエチルメタクリレート、ブトキシエチル
メタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、ベ
ンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エト
キシエチルアクリレート、NUN−ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート、NUN−ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシ
クロペンテニルメタクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボ
ニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウ
リルメタクリレート、モルホリンメタクリレート、フェ
ノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレング
リコールメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエ
チルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘ
キサフルオロブチルメタクリレート等の単官能メタクリ
レート化合物、4,4′−ビフェニルジアクリレート、
ジエチルスチルベストロールジアクリレート、1,4−
ビスアクリロイルオキシベンゼン、4,4′−ビスアク
リロイルオキシジフェニルエーテル、4,4′−ビスア
クリロイルオキシジフェニルメタン、3.9−ビス
[1,1−ジメチル−2−アクリロイルオキシエチル]
−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカ
ン、α、α′−ビス[4−アクリロイルオキシフェニ
ル]−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス
アクリロイルオキシテトラフルオロベンゼン、4,4′
−ビスアクリロイルオキシオクタフルオロビフェニル、
ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタン
ジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコール
ジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、
グリセロールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリ
アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、
ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレ
ート、4,4′−ジアクリロイルオキシスチルベン、
4,4′−ジアクリロイルオキシジメチルスチルベン、
4,4′−ジアクリロイルオキシジエチルスチルベン、
4,4′−ジアクリロイルオキシジプロピルスチルベ
ン、4,4′−ジアクリロイルオキシジブチルスチルベ
ン、4,4′−ジアクリロイルオキシジペンチルスチル
ベン、4,4′−ジアクリロイルオキシジヘキシルスチ
ルベン、4,4′−ジアクリロイルオキシジフルオロス
チルベン、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペ
ンタンジオール、1,5−ジアクリレート、1,1,
2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジ
アクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマ等の多官
能アクリレート化合物、ジエチレングリコールジメタク
リレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジシク
ロペンタニルジメタクリレートグリセロールジメタクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジメタクリレート、テトラエチ
レングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
メタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレ
ート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジ
ペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレ
ート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタ
ンジオール1,5−ジメタクリレート、ウレタンメタク
リレートオリゴマ等の多官能メタクリレート化合物、ス
チレン、アミノスチレン、酢酸ビニル等があるがこれに
限定されるものではない。
【0100】また、本発明の素子の駆動電圧は、高分子
材料と液晶材料の界面相互作用にも影響されるため、フ
ッ素元素を含む高分子であってもよい。このような高分
子として、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペ
ンタンジオール、1,5−ジアクリレート、1,1,
2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジ
アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリ
レート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル
アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピ
ルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフル
オロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエ
チルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ
プロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘ
キサフルオロブチルメタクリレート、ウレタンアクリレ
ートオリゴマ等を含む化合物から合成された高分子が挙
げられるがこれに限定されるものではない。
【0101】本発明に使用する高分子として光または紫
外線硬化モノマーを使用する場合には、一般に光または
紫外線用の開始剤を使用する。この開始剤としては、種
々のものが使用可能であり、たとえば、2,2−ジエト
キシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニ
ル−)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系、
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテ
ル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系、ベン
ゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾ
フェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェ
ノン等のベンゾフェノン系、チオキサンソン、2−クロ
ルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン等のチオ
キサンソン系、ジアゾニウム塩系、スルホニウム塩系、
ヨードニウム塩系、セレニウム塩系等が使用できる。
【0102】また、電圧印加直後の液晶分子の立上り方
向に起因する問題を解決するための他の方法として、本
発明は液晶分子の立上り方向を制限する液晶表示装置の
駆動方法も提供するものである。
【0103】本発明による液晶表示装置の駆動方法で
は、2枚の基板間に液晶分子の立上り方向の異なる領域
が存在する液晶表示装置において、低レベルの電圧印加
状態においても液晶分子のしきい値以上の電圧を印加す
る。ここで、「低レベルの電圧」とは、階調表示の中で
印加電圧が最も低い時の電圧レベルをいう。
【0104】本発明の液晶表示装置の駆動方法を図1
3、図14を用いて説明する。図13(a)は本発明の
液晶表示装置の製造方法において液晶セルに印加する電
圧波形の一例であり、一方、図13(b)は従来の液晶
表示装置の駆動に使用する印加電圧波形の一例である。
高レベル、低レベルの電圧は、ノーマリホワイトモード
においてはそれぞれ黒表示、白表示に対応する。
【0105】図13に示した印加電圧と液晶セルの透過
率の関係を図14を用いて説明する。
【0106】従来の駆動波形における印加電圧は、B状
態とC状態の間でスイッチングされていた。B状態には
印加電圧が0Vである場合も含まれ、この電圧印加状態
では液晶分子が基板表面と平行になっている。従って、
印加電圧をBからCに変化させた場合には液晶分子の立
上り方向は2方向が可能であり、立上り方向の異なる領
域の境界部で光漏れが生じるとともに境界部の移動に伴
う秒オーダの遅い応答、視角特性の変化が生じる。
【0107】これに対して、本発明の液晶表示装置の駆
動方法においては、低レベルの電圧印加状態において
も、液晶分子のしきい値電圧より高い電圧Aを印加する
ことを特徴とする。印加電圧Aは液晶分子のしきい値電
圧よりも大きいために、A状態における液晶分子はいず
れかの方向にすでに少し立上った状態にある。このた
め、高いレベルの電圧Cが印加された場合でも、A状態
における液晶分子の立上り方向が維持されたまま液晶分
子は立上り、大きな電圧を印加したときの液晶分子の立
上り方向は一方向に規定される。これにより液晶分子の
立上り方向が一方向に規定され、「白」表示のままの境
界部が発生することがなく、光漏れ、境界部の移動に伴
う秒オーダの遅い応答、視角特性の変化が生じない。
【0108】本発明の素子をTFT(thin fil
m transistor;薄膜トランジスタ)等の能
動素子として駆動させるためには、液晶は電気抵抗が大
きく、電荷保持率の大きいことが要求される。従って、
フッ素系、塩素系等の高抵抗の液晶材料であり、また可
視光線、紫外線照射により電荷保持率特性の低下しない
ものが望ましい。
【0109】また、本発明の液晶光学素子においては液
晶セルと偏光膜の間に補償板を使用することによりさら
に視角特性を改善することができる。このための補償板
としては、正の屈折率異方性を有する液晶を補償するも
のであるために、負の屈折率異方性を有する補償板が望
ましい。特に、4領域が共存する液晶表示装置において
はその対称性から斜め方向における色つきの問題が相殺
され、色つきのない良好な視角特性が得られる。また、
液晶層の4つの微小領域に対応したミクロ領域ごとに特
性の異なる配向膜が特に望ましい。さらに、光学軸が斜
めに傾いた補償板の使用も望ましい。特に、図3、図4
に示す4領域が共存する液晶表示装置においてはその対
称性から斜め方向における色つきの問題も押さえられ、
特に望ましい。また、液晶分子の立上り方向を考慮する
ように光学軸が垂直方向から傾いた補償板を使用するこ
ともできる。このような補償板の作製方法としては特開
平6−222213号公報に開示されているようなロー
ルの回転速度の異なるロール間で延伸して作製したフィ
ルム等を使用できる。
【0110】以上のように本発明を用いることにより、
従来のねじれネマチック液晶素子と同様の簡易な方法で
製造可能な広視野角かつ高コントラストの液晶表示装置
を得ることができる。
【0111】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。
【0112】(実施例1)一画素の大きさが100μm
×300μm 、画素数480×640×3、表示画面の
対角サイズが240mmのアモルファスシリコン薄膜トラ
ンジスタアレイを有する基板を用いた。
【0113】この基板2枚23、33を洗浄後、ポリイ
ミド配向剤JALS−428(日本合成ゴム)21、3
1をスピンコートで塗布し、90℃および220℃の焼
成を行った。
【0114】この後、レーヨンからなるバフ布によりラ
ビング処理を施した。
【0115】各基板のラビング方向は、基板張り合わせ
時に90°となるよう、基板の対角方向である。基板の
周辺部に接着剤を塗布し、スペーサとして径6μm のラ
テックス球を散布した。続いて、両基板上の画素構造が
整合するように位置を調整し、加圧しながら張り合わせ
た。
【0116】張り合わせた基板を真空漕内に置き、真空
排気後、ネマチック液晶(メルク社製ZLI4792)
11を注入した。ネマチック液晶には、自然ピッチ長が
70μm となるようにカイラル剤(S811)を混入し
た。注入後素子を90℃まで加熱し、その後室温まで冷
却した。
【0117】作製した液晶素子を光学顕微鏡(偏光)で
観察した。各画素内では電圧非印加時に均一配向であっ
たものが、電圧を印加すると2種の領域A,Bに分離す
るのが観測された。ステージを傾けた観察より、2種の
領域では液晶分子の立上り方向が反対であることが確認
できた。2種の領域は経時変化がなく、安定であった。
【0118】作製した液晶表示装置にクロスニコルに偏
光板を取り付けた後、回転ステージに設置、その正面に
色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を設置し、液
晶表示装置の視角依存性を調べた。液晶表示画面に8階
調表示させ、各階調表示時の視角依存性を測定した。視
角40°以内の範囲で階調間の輝度の準位関係が反転す
ることはなかった。
【0119】薄膜トランジスタアレイを有しない基板
(30mm×40mm)上に同様に配向膜を作製し、50μ
m スペーサを用いてセルを作製し、クリスタルローテー
ション法でプレチルト角を計ると0.05°であった。
【0120】(実施例2)負の屈折率異方性を有する補
償板として、補償板の屈折率楕円体の短軸がフィルム面
に垂直である位相差フィルム(住友化学(株)製VAC
−100)を使用して補償板の効果を検討した。実施例
1と同一の条件で作製した液晶表示装置において液晶セ
ルと偏光板の間に補償板を貼り付けた。色彩輝度計を用
いて視角依存制御を測定したところ、視角40°以内で
階調間の輝度順位の反転が生じなかった。また、斜め方
向からのコントラストは実施例1に比較して良好であっ
た。
【0121】(比較例1)汎用のポリイミド配向膜(日
本合成ゴム製 AL1051)を用いた以外は、実施例
1と同様に素子を作製した。偏光顕微鏡下で観測する
と、電圧印加時にも均一の領域しか認められなかった。
【0122】前記実施例1と同様の方法で視野角を測定
すると、視角10°以内で、階調間の輝度順位の反転が
生じた。この配向膜のプレチルト角は1.0°であっ
た。
【0123】(実施例3)配向膜としてポリスチレンの
キシレン溶液を使用し、焼成温度を120℃とした以外
は、実施例1と同様に素子を作製した。偏光顕微鏡下で
観測すると、電圧印加時に立上り方向の異なる2種領域
が観測され安定であった。
【0124】実施例1と同様の方法で視野角を測定する
と、視角40°以内の範囲で階調間の輝度の順位関係が
反転することはなかった。また、プレチルト角は0.0
7°であった。
【0125】(実施例4)注入する液晶として、ZLI
4792と4,4′−ジアクリロイルオキシビフェニル
アクリレート(液晶に対して1wt%)、ベンゾインメ
チルエーテル(モノマーに対して1wt%)の混合溶液
を使用した以外は、実施例1と同様に素子を作製した。
さらに、注入孔を封孔後、室温にて紫外線を照射した。
紫外線照射後も素子は透明のままであった。偏光顕微鏡
下で観測すると、各画素内に電圧印加時に液晶分子の立
上り方向の異なる2種の領域が観測され、かつ電圧印加
直後より境界部の移動は認められず安定であった。
【0126】実施例1と同様の方法で視野角を測定する
と、視角40°以内の範囲で階調間の輝度の順位関係が
反転することはなかった。
【0127】(実施例5)注入する液晶として、ZLI
4792にKAYARAD PET−30(日本化薬
製)0.2wt%、イルガノックス907(モノマーに
対して1wt%)の混合溶液を使用した以外は、実施例
1と同様に素子を作製した。得られたパネルを液晶相−
等方相の相転移温度以上の100℃まで加熱し、その状
態で紫外線(0.1mW/cm2 )を照射した。その後、
5Vの電圧を印加しながら、10℃/分でパネルを冷却
した。各画素内には、複数の領域が観察された。得られ
た素子の一画素内の偏光顕微鏡写真を図15、図16に
示す。
【0128】図15は電圧非印加時の写真を示す。図1
6は3V印加時にパネルを少し傾けて観察したものであ
り、異なる色調は異なる配向状態を示す。傾けた状態の
観察から液晶分子の立上り方向の異なる4つの微小領域
が存在することが確認される。電圧印加直後には、同一
ねじれ方向で立上り方向の異なる領域が接する部分が生
じたが、しばらくするとその境界部は消失し、同一ねじ
れ方向で立上り方向の異なる領域は点のみで接する構造
に変化した。
【0129】前記実施例1と同様の方法で視野角を測定
すると、視角50°以内の範囲で階調間の輝度の順位関
係が反転することはなかった。
【0130】また、液晶評価装置(LCD−5000)
で測定した基板垂直方向の透過率−電圧曲線を図14に
示す。TN素子とほぼ同様の特性が得られ、印加電圧5
Vにおけるコントラストは200:1以上であった。
【0131】また、方位角45°間隔で階調表示時の視
角特性を測定した(図17〜図19)。すべての方向に
対してほとんど同一の視角特性が得られ、50°以内に
おいて中間調の逆転は得られなかった。
【0132】得られた素子のコントラスト(1V/5
V)をコノスコープ像として図20に示す。等コントラ
スト曲線はほぼ円形であり、どの方向に対してもほとん
ど同じ視角特性を有していることが分かる。
【0133】(実施例6)実施例5で作製したパネル
を、冷却速度を変化させて(1℃/分〜20℃/分)検
討した。冷却速度を大きくするほど、微小領域の大きさ
が小さくなった。
【0134】(実施例7)実施例5で作製したパネルを
印加電圧を変化させながら(2V、3V、5V、10
V)冷却すると、電圧が大きいものほど、微小領域のサ
イズが小さく、図3の構造が生じ易かった。
【0135】(実施例8)モノマー含有量を0.1%か
ら1.0%まで変化させた以外は実施例5と同一の方法
でパネルを作製した(冷却速度10℃/分)。モノマー
の含有量が多いほど、微小領域のサイズが小さくなっ
た。また、モノマー含有量が0.5wt%以上の場合
は、電圧印加直後から液晶分子の立上り方向が一方向に
規定され、同一ねじれで立上り方向が異なる領域の境界
部は観察されなかったが、0.3wt%以下では、電圧
印加直後の経時的に移動する境界部が観察された。
【0136】(実施例9)実施例5で得られた素子を低
レベルの電圧を液晶分子のしきい値電圧以上の電圧であ
る1.6Vとして、駆動させると高レベルの電圧印加直
後から液晶分子の立上り方向は一方向に規定され、コン
トラストの低下、視角特性の経時変化は認められなかっ
た。電圧印加の有無による応答曲線の差を図21に示
す。低レベルの電圧を加えなかったものは、秒オーダで
ゆっくりと透過率が変化していくのに対して、低レベル
においても1.6Vの電圧を加えたものは、そのような
遅い応答は認められない。
【0137】(比較例2)紫外線を室温で照射した以外
は、実施例5と同様にしてパネルを作製した。紫外線照
射時の液晶の配向が記憶されているため、微小領域の大
きさの制御が困難であった。
【0138】(実施例10)室温、電圧印加(10V)
下で紫外線を照射した以外は、実施例5と同様にパネル
を作製した。冷却時の冷却速度、印加電圧を変化させる
ことにより、微小領域の大きさの異なるパネルが得られ
た。
【0139】(実施例11)紫外線照射の条件およびモ
ノマー含有量を0.5wt%とした以外は、実施例5と
同様にパネルを作製した。紫外線照射(0.1mW/cm
2 )は第1段階として3分間照射した。これにより、微
小領域は安定に存在するようになったが、電圧印加直後
の液晶分子の立上り位置には任意性があり、「白」状態
の境界部が発生し、移動するのが認められた。第2段階
として室温で紫外線を60分照射した。得られた素子は
電圧印加直後の立上りも固定され、視角特性もすべての
方向についてほぼ同等であった。
【0140】上記の配向膜を作製したTFT基板、カラ
ーフィルター基板を用い、実施例2と全く同様にしてパ
ネルを作成した。冷却後、図24と同様の構造ができて
いるのが確認できた。視角特性を測定すると視角60°
以内の範囲で輝度の順位が反転することはなく、コント
ラストも150:1であった。実施例1と同様の方法で
測定したプレチルト角を測定したところ、ほぼ0°であ
った。
【0141】(実施例12)全面電極に「X」型の幅5
μm の開口部が多数配置された配向基板33(図22
(a):基板の一部分を拡大して表示)と1画素の大き
さが100μm ×100μm の電極が10μm 間隔で多
数配置された配向基板23(図22(b))を基板とし
て使用した。これらの基板を洗浄後、ポリイミド配向剤
JALS−428(日本合成ゴム)21、31をスピン
コートで塗布し、90℃および220℃の焼成を行っ
た。この後、レーヨンからなるバフ布によりラビング処
理を施した。ラビング方向は基板の対角方向であり、上
側基板と下側基板のラビング方向は90°の角をなすよ
うになっている。基板の周辺部に接着剤を塗布し、スペ
ーサとして径6μm のラテックス球を塗布した。続い
て、電極開口部が100μm ×100μm の電極の中央
に来るように両基板を加圧しながら張り合わせた。
【0142】張り合わせた基板を真空漕内に置き、真空
排気後、ネマチック液晶(メルク社製ZLI4792、
相転移温度:92℃)紫外線硬化モノマー(KAYAR
ADPET−30(日本化薬製)0.2wt%)、開始
剤(イルガノックス907、モノマーに対して5wt
%)からなる液晶溶液を注入した。得られたパネルを1
10℃まで加熱し、その温度で紫外線(0.1mW/cm
2 )を30分照射した。その後、8V、10Hzの正弦
波電圧を印加しつつ、20℃/分で基板を冷却した。得
られたセルの偏光顕微鏡写真を図23に示す。図23は
セルをわずかに傾け中間の電圧印加下で撮影した。10
0μm ×100μm の各区画が「×」形の開口部に従
い、4つの微小領域に分割されていることが分かる。セ
ルを傾けたときの明るさの変化から、4つの微小領域が
図4に示す立上り方向となっていることが確認できた。
また、100μm ×100μm の区画と隣の区画の境界
領域には、ねじれ方向の異なる領域が進入してきてお
り、画素間の境界部においても十分な電圧印加時におい
ては光漏れが認められなかった。これは、図4(a)の
C領域と隣の区画のD領域の間にA領域またはB領域が
細く進入しているために、液晶のねじれ方向が同一で立
上り方向の異なる領域が線で接していない本発明の液晶
表示装置における特徴的な構造が発現しているためであ
る。また、電圧印加直後における液晶の立上り方向も十
分な時間が経過した後の液晶の立上り方向と同一であ
り、光漏れが生じることはなかった。さらに、長時間電
圧のON−OFFを繰り返しても4つの微小領域が消失
することはなかった。
【0143】作製したセルにクロスニコルに偏光板を取
り付けた後、回転ステージに設置、その正面に色彩輝度
計(トプコン社製BM−5A)を設置し、液晶表示装置
の視角依存性を調べた。液晶表示画面に8階調表示さ
せ、方位角45°間隔で、各階調表示時の視角依存性を
測定した。すべての方向において、視角60°以内の範
囲で階調間の輝度の順位関係が反転することはなかっ
た。また、液晶評価装置(LCD−5000)で測定し
た基板垂直方向印加電圧5Vにおけるコントラストは2
00:1以上であった。
【0144】(実施例13)一画素の大きさが100μ
m ×300μm 、画素数480×640×3、表示画面
の対角サイズが240mmのアモルファスシリコン薄膜ト
ランジスタアレイ(TFT)を有する基板を用いた。上
側基板にはRGBのカラーフィルターがあり、全面が電
極(対向電極)であり開口部はない。一方、下側基板に
は、TFTがあり、画素電極のほか、ゲート線、ドレイ
ン線がある。これらの基板を洗浄後、ポリイミド配向剤
JALS−428(日本合成ゴム)をスピンコートで塗
布し、90℃および220℃の焼成を行った。その後、
それぞれの基板にレーヨンからなるバフ布によりラビン
グ処理を施した。各基板のラビング方向は、基板張り合
わせ時に90°となるよう、基板の対角方向である。基
板の周辺部に接着剤を塗布し、スペーサとして径6μm
のラテックス球を散布した。続いて、両基板上の画素構
造が整合するように位置を調整し、加圧しながら張り合
わせた。
【0145】紫外線モノマーの濃度が、液晶に対して
0.3wt%である以外は、実施例1と同様に液晶溶液
を注入した。得られたパネルを100℃まで加熱し、そ
の温度で紫外線(0.2mW/cm2 )を60分照射し
た。その後、ゲート線に33Hz、15Vの32μsの
パルス波、ドレイン線に33Hz、8Vの矩形波を印加
しつつ、ヒータをはずし、室温まで放冷した。得られた
液晶表示装置の1画素を偏光顕微鏡で観察した様子を図
24に示す。対向電極と画素電極間の不均一電界によ
り、各画素はやや不規則であるが、4つの微小領域に分
割されている。実施例1と同様の観察から、4つの微小
領域は液晶分子の立上り方向が異なる領域であり、ねじ
れ方向の異なる領域が交互に存在し、ねじれ方向同一、
立上り方向が反対の2領域は点でのみ接していた。ま
た、電圧印加直後における液晶の立上り方向も十分な時
間が経過した後の液晶の立上り方向と同一であり、光漏
れが生じなかった。さらに、長時間電圧のON−OFF
を繰り返しても4つの微小領域が消失することはなかっ
た。
【0146】実施例12と同様に視野角特性、正面コン
トラストを測定すると、視野角はすべての方向で60°
以内での階調反転がなく、5Vでのコントラストは15
0:1であった。
【0147】(比較例3)冷却時に電圧を印加しない以
外は、実施例13と同様に液晶表示装置を作製した。冷
却後に立上り方向の異なる4種類の領域が共存していた
が、その4種類の領域は画素形状と関係なく、ランダム
な形状であった。電圧を印加すると、画素端部において
は予想される方向に立上る部分もあったが、画素の内部
においては液晶の立上り方向に規則性が認められなかっ
た。また、電圧印加後十分な時間が経過した後において
も、光漏れの生じる境界部が多数認められた。斜め視角
方向からの観察により、この境界部が液晶のねじれ方向
が同一で、立上り方向の異なる領域間の境界部であるこ
とが確認できた。さらに、電圧印加直後から、このよう
な境界部が移動し、安定な場所に向かってゆっくり移動
していくのが認められた。
【0148】実施例12と同様に正面コントラストを測
定すると、電圧印加後十分な時間が経過した時点におい
ても50:1であった。
【0149】(比較例4)室温下で紫外線を照射した以
外は、実施例12と同様に液晶表示装置を作成した。電
圧印加下の加熱−冷却の後にも液晶のねじれ方向の異な
る領域が、所々に点在しているのみで図23のような4
つの微小領域は認められなかった。この液晶のねじれ方
向の異なる領域が点在している構造は、紫外線照射等の
室温での状態が記憶されているためと予想された。実施
例12と同様の方法で視角特性を測定すると、視角10
°にて階調反転の生じる方向があった。
【0150】(実施例14)低プレチルトのポリイミド
配向膜として2種の配向膜(ヘキスト社製 TAL10
07および東レ社製K104を乳酸エチルで処理したも
の)それぞれを用い、モノマー濃度を0.5wt%とし
た以外は、実施例12と同様に素子を作製した。実施例
12と同様、4つの微小領域が発現し、実施例12とほ
ぼ同様の視野角特性が得られた。プレチルト角を測定す
るとTAL1007、K104はそれぞれ、0.35
°、0.5°であった。
【0151】(比較例5)汎用のポリイミド配向膜(日
本合成ゴム製 AL1051)を用いた以外は、実施例
12と同様に素子を作製した。偏光顕微鏡下で観測する
と、電圧印加直後には、複数の領域が発生したがやがて
消失し、均一の領域しか認められなかった。
【0152】実施例12と同様の方法で視野角を測定す
ると、視角10°以内で、階調間の輝度順位の反転が生
じる方向が存在した。この配向膜のプレチルト角は1.
0°であった。
【0153】(実施例15)実施例13と同様に作製し
た液晶パネルに、紫外線モノマーの濃度が1.0wt%
とした以外は実施例12と同様の液晶溶液を注入した。
得られたパネルを100℃まで加熱し、その温度で紫外
線(0.2mW/cm2 )を5分照射した。その後、実施
例1とゲート線に33Hz、15Vの32μsのパルス
波、ドレイン線に33Hz、10Vの三角波を印加しつ
つ、ヒータをはずし、室温まで放冷した。この状態で各
画素には図24に示す構造が認められた。その後、室温
下で紫外線(0.1mW/cm2 )を120分間照射し
た。得られた液晶表示装置は、実施例13と同様の視角
特性を有していた。さらに、この液晶表示装置を100
℃まで加熱し、10分間保持した後、電圧非印加の状態
で冷却した。冷却後、偏光顕微鏡観察をすると、加熱前
と同様に、図24に示す構造が認められた。
【0154】(実施例16)配向膜としてポリスチレン
のキシレン溶液を使用し、焼成温度を120℃とした以
外は、実施例12と同様に素子を作製した。偏光顕微鏡
下で観測すると、電圧印加時に立上り方向の異なる4つ
の種領域が観測され安定であった。
【0155】実施例12と同様の方法で視野角を測定す
ると、視角60°以内の範囲で階調間の輝度の順位関係
が反転することはなかった。また、プレチルト角は0.
07°であった。
【0156】(実施例17)注入する液晶として、ZL
I4792と4,4′−ジアクリロイルオキシビフェニ
ルアクリレート(液晶に対して0.3wt%)、ベンゾ
インメチルエーテル(モノマーに対して1wt%)の混
合溶液を使用した以外は、実施例12と同様に素子を作
製した。
【0157】実施例12と同様の方法で視野角を測定す
ると、視角60°以内の範囲で階調間の輝度の順位関係
が反転することはなかった。
【0158】(実施例18)紫外線モノマーの濃度をそ
れぞれ0wt%、0.01wt%、0.02wt%、
0.05wt%、0.1wt%とした以外は、実施例1
2と同様に液晶セルを作製した。いずれのセルにおいて
も図23と同様の構造が生成していた。しかし、電圧の
ON−OFFを繰り返すと、紫外線モノマー濃度が0w
t%、0.01wt%の液晶セルにおいては4つの微小
領域が消失する部分が観察された。
【0159】(実施例19)紫外線モノマーの濃度をそ
れぞれ2wt%、4wt%、10wt%とし、紫外線照
射時間を5分間とした以外は、実施例12と同様に液晶
セルを作製した。モノマー濃度2wt%、4wt%のセ
ルにおいては、図23と同様の構造が生成していたが、
モノマー濃度10wt%のセルにおいては、液晶の配向
が乱れ、90°ねじれとなっていない領域が多く認めら
れ、電圧非印加時においても白状態とならなかった。
【0160】(実施例20)実施例12と同様にして、
配向膜のみAldrich社製ポリビニルシンナメート
のクロロベンゼン/メチレンクロライドの1/1混合溶
液(2wt%)に変え、焼成温度を90℃にし、ラビン
グのかわりに紫外光の直線偏光を照射した。直線偏光の
方向はラビングと同様の方向とした。実施例1と同様に
液晶パネルを作製した。図23と同様な構造が認めら
れ、視角60°以内の範囲で順位が反転することはな
く、コントラストも200:1であった。
【0161】クリスタルローテーション法で直線偏光の
偏光方向と垂直な方向のプレチルト角を測定したとこ
ろ、ほぼ0°であった。
【0162】(実施例21)実施例20と同様にして、
ポリビニルシンナメートを塗布、直線偏光を露光した
後、1wt%の光重合開始剤(Irgacure65
1)を混合した1,4−di−(4−(6−acryl
oyloxyhexyloxy)benzoloxy)
benzeneを塗布し、50℃に加熱しながら、紫外
光を照射し、室温に戻した。これによりネマチック液晶
相で、配向したままの状態が基板表面で固定された。こ
のことはテスト用のガラス基板を用い全く同様の処理を
行った偏光顕微鏡観察により確認できた。
【0163】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、従来の
ねじれネマチック液晶の液晶表示装置と同様の簡易な方
法で製造可能な広視野角かつ高コントラストの液晶表示
装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の液晶層を拡大した斜視
図である。
【図2】本発明の液晶表示装置を示す断面図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の液晶層を基板垂直方向
から見た拡大図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の液晶層を拡大した上面
図である。
【図5】本発明の液晶表示装置を示す断面図である。
【図6】スプレイ配列を示す液晶表示装置の断面図であ
る。
【図7】ラビング方向とスプレイ配列の関係を示す図で
ある。
【図8】本発明の液晶表示装置の液晶層を拡大した上面
図である。
【図9】本発明の液晶表示装置を示す断面図である。
【図10】液晶のねじれ方向が同一で液晶分子の立上り
方向が異なる領域の境界部における液晶分子の挙動を示
す図である。(a)電圧非印加時(b)電圧印加時
【図11】液晶のねじれ方向が反対で液晶分子の立上り
方向が異なる領域の境界部における液晶分子の挙動を示
す図である。(a)電圧非印加時(b)電圧印加時
【図12】高分子を含む本発明の液晶表示装置を示す断
面図である。
【図13】本発明の液晶表示装置の駆動方法に用いる波
形の図である。(a)本発明(b)従来技術
【図14】本発明の液晶表示装置の透過率−電圧曲線で
ある。
【図15】本発明の液晶表示装置の一画素の偏光顕微鏡
写真である。
【図16】本発明の液晶表示装置の一画素の偏光顕微鏡
写真である(傾斜)。
【図17】本発明の液晶表示装置の視角特性を示す図で
ある。
【図18】本発明の液晶表示装置の視角特性を示す図で
ある。
【図19】本発明の液晶表示装置の視角特性を示す図で
ある。
【図20】本発明の液晶表示素子のコントラストを示す
図である。
【図21】低レベル時においてしきい値電圧以上の電圧
を印加したときの応答曲線の図である。
【図22】実施例1で使用した基板の電極形状を示す図
である。
【図23】本発明の液晶表示装置の偏光顕微鏡写真であ
る。
【図24】実施例2で得られた本発明の液晶表示装置の
1画素の様子を拡大した図である。
【図25】従来の液晶表示装置の断面図である(電圧非
印加)。
【図26】従来の液晶表示装置の課題を説明するための
断面図である(電圧印加)。
【図27】従来の液晶表示装置の斜視図である。
【図28】従来の液晶表示装置の上面図である。
【図29】従来の液晶表示装置の断面図である。
【図30】従来の液晶表示装置を示す図である。
【図31】従来の液晶表示装置の課題を示す図である。
【符号の説明】
11 液晶分子 12 高分子 13 プレチルト角 21、31 配向膜 22、32 透明電極 23、3 ガラス基板 34 ラビング方向 35 電極開口部 41、42 光線 A、B、C、D 配向の異なる微小領域 a−a′、b−b′ 基板のラビング方向

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚の基板間にネマチック液晶よりなる液
    晶層が挟持された液晶表示装置において、前記液晶層内
    に液晶分子の立上り方向が異なる2種の不規則な微小領
    域が共存することを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】2枚の基板間にネマチック液晶よりなる液
    晶層が挟持された液晶表示装置において、前記液晶層内
    に液晶の配向ベクトルのねじれ方向の異なる微小領域と
    液晶分子の立上り方向の異なる微小領域とが共存するこ
    とを特徴とする液晶表示装置。
  3. 【請求項3】前記液晶層内に液晶の配向ベクトルのねじ
    れ方向の異なる微小領域と液晶分子の立上り方向の異な
    る微小領域の合計4種の微小領域が共存することを特徴
    とする請求項2記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】液晶の配向ベクトルのねじれ方向の異なる
    微小領域と液晶分子の立上り方向の異なる微小領域の4
    つの微小領域が前記液晶層の1画素内に共存することを
    特徴とする請求項2または3記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】前記微小領域が不規則な形状をしているこ
    とを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一に記
    載の液晶表示装置。
  6. 【請求項6】前記2枚の基板の表面がそれぞれ一方向に
    配向処理されていることを特徴とする請求項1から請求
    項5のいずれか一に記載の液晶表示装置。
  7. 【請求項7】液晶の配向ベクトルのねじれ方向が同一で
    あり、液晶分子の立上り方向の異なる領域の各々が、前
    記液晶層を横切る仮想平面上において線で接していない
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一に
    記載の液晶表示装置。
  8. 【請求項8】前記2枚の基板の少なくとも一方の基板上
    に液晶分子を配向させるための配向膜があり、その配向
    膜のプレチルト角が0.5°以下であることを特徴とす
    る請求項1から請求項7のいずれか一に記載の液晶表示
    装置。
  9. 【請求項9】前記2枚の基板の少なくとも一方の基板上
    に液晶分子を配向させるための配向膜があり、その配向
    膜がラビング方向に垂直に液晶分子を配向させる特性を
    有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれ
    か一に記載の液晶表示装置。
  10. 【請求項10】前記液晶層が、液晶がスプレイ配列とな
    るねじれ方向を有するカイラル剤を含むことを特徴とす
    る請求項1記載の液晶表示装置。
  11. 【請求項11】前記2枚の基板上の電極が異なる形状を
    しているか、または少なくともいずれか一方の基板上の
    電極に開口部があり、2枚の基板間で不均一な電界を生
    じる領域があることを特徴とする請求項1から請求項1
    0のいずれか一に記載の液晶表示装置。
  12. 【請求項12】前記液晶層に少量の高分子が存在してい
    ることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか
    一に記載の液晶表示装置。
  13. 【請求項13】前記液晶層中に存在する高分子の量が
    0.02wt%以上4wt%以下であることを特徴とす
    る請求項12記載の液晶表示装置。
  14. 【請求項14】前記2枚の基板の一方側または両側に負
    の屈折率異方性を有する補償板を配することを特徴とす
    る請求項1から請求項13のいずれか一に記載の液晶表
    示装置。
  15. 【請求項15】液晶分子の立上り方向が異なる2種の微
    小領域、または液晶の配向ベクトルのねじれ方向の異な
    る微小領域と液晶分子の立上り方向の異なる4種の微小
    領域が形成されるように組み合わされた2枚の基板間
    に、液晶または少量のモノマーまたはオリゴマを含む液
    晶溶液を注入し、その後電圧印加下で、液晶相−等方相
    の相転移温度以上の温度から相転移温度以下の温度まで
    液晶層を冷却することにより液晶分子の立上り方向が異
    なる2種の微小領域、または液晶の配向ベクトルのねじ
    れ方向および液晶分子の立上り方向の異なる4種の領域
    を生成させることを特徴とする液晶表示装置の製造方
    法。
  16. 【請求項16】液晶分子の立上り方向が異なる2種の微
    小領域、または液晶の配向ベクトルのねじれ方向の異な
    る微小領域と液晶分子の立上り方向の4種の微小領域が
    形成されるように組み合わされた2枚の基板間に、少量
    のモノマー又はオリゴマを含む液晶溶液を注入し、その
    後当該モノマーまたはオリゴマを反応させ高分子とする
    ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  17. 【請求項17】液晶の液晶相−等方相の相転移温度以上
    の温度で前記モノマーまたはオリゴマを反応させ高分子
    とすることを特徴とする請求項15または請求項16記
    載の液晶表示装置の製造方法。
  18. 【請求項18】電圧印加下で前記モノマーまたはオリゴ
    マを反応させ高分子とすることを特徴とする請求項15
    から請求項17のいずれか一に記載の液晶表示装置の製
    造方法。
  19. 【請求項19】前記モノマーまたはオリゴマを2回以上
    分けて反応させることを特徴とする請求項15から請求
    項18のいずれか一に記載の液晶表示装置の製造方法。
  20. 【請求項20】電圧印加時に液晶分子の立上り方向が異
    なる微小領域が共存する液晶表示装置の駆動方法におい
    て、低レベルの電圧印加状態においても液晶分子のしき
    い値電圧以上の電圧を印加することを特徴とする液晶表
    示装置の駆動方法。
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TW085104987A TW411402B (en) 1995-06-12 1996-04-24 Twisted nematic liquid crystal display with a high contrast and a wide angle of visibility, method for fabricating the same and method for driving the same

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